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ハマス・イスラエル停戦合意とその後 2018.8.10

 2018-08-10
8日夕刻から9日朝にかけて、ガザからのロケット弾が、イスラエル南部、スデロットやアシュケロンを含む南部一帯に断続的に打ちこまれ、9日午後には、射程の長いミサイルがベエルシェバ郊外にも着弾した。

午後9時すぎにも南部地域へ数発のロケット弾が撃ち込まれたが、それ以後の飛来はない。10日朝、政府は南部地区住民に出していた、イベントなどの中止の指示をすべて解除した。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5326293,00.html

アラブ系メディアからの情報として伝えられたところによると、9日夜10時45分に、エジプトの仲介ですすめられていたハマスとイスラエルに間の停戦合意が成立したとのことである。

イスラエルはこれを否定しているが、ネタニヤフ首相は、9日午後5時から予定されていた治安閣議を午後7時に延期し、その後2時間あまりの話し合いの結果、午後10時に、「治安閣議は、イスラエル軍に今後もテロ組織には断固たる対応を行うよう指導した。」との報告が出された。

停戦になったのは、午後10時45分ということである。この流れから、イスラエルは、エジプトに、ハマスとの交渉の時間を提供していたとみられ、イスラエルも、ハマスとの停戦に応じたと見るのが自然である。

ただし、この停戦合意は、たんにこの24時間の間の暴力のやり取りを停止するというだけであって、これがエジプトがすすめていた本来の、長期間(5年)の停戦合意かどうかは不明。

後者の合意については、ハマスがイスラエルとエジプトの国境を開放することを要求。イスラエルは、すべての暴力行為を停止することと、イスラエル人2人とイスラエル兵2人の遺体の返還を要求している。もしこちらの停戦であれば、今後、なんらかの動きが出てくるはずである。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5326061,00.html

<この24時間:双方の被害状況>

この24時間で、ハマスが打ち込んだロケット弾は180発以上。このうち30発は迎撃ミサイルが撃墜した。イスラエル側の負傷者は7人で、このうち1人はタイからの出稼ぎ女性で、腹部に破片を受けて重症である。

9日、スデロットを訪ねたが、町は静まりかえっており、公園にも球場にも道路にも人影はなかった。皆前夜にロケット弾の雨で眠れず、この時に寝ていたのかもしれない。

ロケット弾の攻撃を受けた現場を、いくつか訪ねた。ロケット弾は、着弾そのもので被害が出るというよりは、着弾とともに飛び散る金属片で、物や人が傷つくことになる。道路に着弾したロケット弾の周囲5−6メートルにあった車はガラスがが破壊され、胴体には多数の穴があいていた。

あるアパートは、窓の周辺に穴が多数あき、窓ガラスも当然割れていた。居間の天井に穴が空いている家もあった。住民はこの時、家にいなかったそうである。これだけの攻撃を受けて、負傷者が3人ですんだというのは、かなりの奇跡である。

一方、イスラエル軍は、ガザ地区内のハマス関連地点20箇所を空爆。特に今回は、ハマス本部があるとされる5階建のビルを空爆し、グランド0にまで完全に破壊した。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5325862,00.html

ガザでは、ハマス戦闘員と、妊娠中の23歳の女性とその子供(18ヶ月)の3人が死亡した。これについて、ハマスも世界は、めずらしく大きな反発を出していない。

<イスラエルの心理戦?:地上軍投入準備も示唆>

イスラエルは、これまでにハマスと3回、大きな衝突を経験している。もうこれが最後にするべき声も少なくない。実際のところ、イスラエルが本気になれば、ガザ地区の一掃はそう難しいことではない。

正式発表ではないが、イスラエル軍報道官ジョナサン・コンリカス中尉によると、イスラエル軍は地上軍投入の準備も整えているもようである。しかし、地上軍を投入した場合、膨大なガザ市民への被害が出るだけでなく、イスラエル側への被害も覚悟しなければならない。できるだけ避けたいところである。

元首相付治安顧問でイスラエル軍士官36年のヤアコブ・アミドロール少佐(退役)によると、昨夜開かれたイスラエルの治安閣議では、①ハマスが弱体化している今こそ踏み込むのがよいという意見、②北部情勢が緊張している今、ガザとの大きな戦争をするべきでない、という2派に分かれて話し合いが行われた。

最終的に、リーバーマン防衛相は、ハマスにはすでに致命的な打撃を与えたとの判断を示し、地上軍投入の準備は整えながらもとりあえずは、もう少し様子を見るということのようである。

アミドロール少佐は、ハマスには、もはやイスラエルには歯が立たないということがわかっているはずだと語る。

ロケット弾は、いくら打ち込んでも大部分は迎撃ミサイルに撃墜されるし、地下トンネルもすぐに発見され破壊される。海上ルートもイスラエルには完全に遮断されている。加えて、燃料の搬入も止められている。ハマスにはもう手がないのである。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/250317

<ハマスの魂胆は?>

今回、ハマスは、エジプトでイスラエルとの停戦を話し合いながら、同時にイスラエルに対する攻撃を行った。普通に考えれば、理屈にあわず、理解に苦しむ。

ハマスは、今回の衝突について、イスラエルが、まず火曜日にハマスメンバー2人を殺したからであって、責任はイスラエルにあると主張した。しかし、この2人が先にイスラエルを攻撃したからイスラエルが砲撃したのであって、これは間違いなくハマスが先だったと、アミドロール少佐は強調する。

また、今回のイスラエルへの激しいロケット攻撃は、ハマスの指導者が、停戦交渉のためにエジプトへ出発するのを待つようにして始まっていた。万が一イスラエルが大規模に侵攻してきた場合に、指導者だけは逃げておいたとも考えられるが、ハマス内部に不一致があるとも考えられる。

9日夜に停戦合意に至っているのだが、10日金曜には、毎週の国境でのデモを行うという声もある。

要するにハマスは、いったい何を考えているのか、理解しがたい集団と言っておこう。

一方で、イスラエルの方も、何手も先まで読み、裏の裏までかいて動いているので、筆者ごときには、本当のところはわからないと言っておいた方がよいだろう。

<たくましい南部住民>

イスラエル政府としては、国を守ることが最優先なので、できるだけ開戦は避けたいところである。しかし、南部住民は、数年おきにハマスのロケット弾を受け続けている。この地域の子供達の80%は、なんらかのPTSDを抱えているという。

今回、ロケット攻撃が始まった8日夜、スデロットでは、サイレンが鳴り続けたため、夏のイベントなどはキャンセル、スーパーなども閉店を余儀なくされた。この夜に結婚式を計画していた2人は、ラビの元で結婚はしたが、披露宴を延期にしなければならなかった。

花嫁の女性が、テレビに出ていた。一生に一度の結婚式である。日本なら大騒ぎになりそうだが、実にたんたんとしていて、新婚旅行は予定通り行くし、披露宴はまた先にやりなおすと言っていた。新婚の2人も客も、事態は理解しているということであろう。

スデロットにある小高い丘からは、遠くにガザが見える。反対をむけば、スデロット市がみえる。驚いたことに、新しいアパートが次々に建築中であった。ロケット弾でいつ被害に遭うかもわからない町だが、人口は増加傾向にある。出て行く人より移住してくる人の方が多いのである。

スデロットには、学生数800人に上る宗教シオニストの従軍イシバ(神学校)ハスデール・イシバがある。ディレクターのアリ・カッツ氏は、「スデロットにいれば、犠牲を伴うことは覚悟しなければならない。しかし、私たちは、ここに置かれたのであって、最終的には、もっと大きな(神の)計画があることを信じている。」と語った。

スデロットにい続けている住民も、ここから出て行く気はないと語る。この町で、恐れず、日常を続けることが使命とも思っている人もある。Yetには、9日夜、まだ攻撃が終わっていない中、バーに出かけたアレックスさん夫妻の様子が伝えられている。

1発のミサイルを9日午後に受けたベエルシェバでも、その夜に予定されていた屋外での電飾によるライトショーが行われ、4万5000人が参加した。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5326237,00.html

苦難に屈しないこの人々には、いつもながら教えられる。
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ガザから南部へロケット弾の雨:6人負傷 2018.8.9

 2018-08-09
8月8日夕刻からガザから、スデロットなどイスラエル南部地域に向かって、ロケット弾が夜中になってもまだ発射され続けており、イスラエル市民に負傷者も出て、緊張が高まっている。イスラエル軍はガザへの空爆を行っている。

<9日深夜までの経過>

8日夕刻18:00、ガザから、国境で対地下トンネルの防護壁を建設機材に向けて砲撃があった。これを受けてイスラエル軍戦車がガザへ砲撃を行った。

続いて19時半ごろ、ガザからロケット弾8発がイスラエル南部に向けて発射され、2発はアイアンドームが撃墜したが、少なくとも2発が、スデロット市内に着弾。家屋2軒と車数台を破損した。

これにより、男性(34)が、飛び散ったガラスの破片で負傷。もう一人の男性は、別の場所で、破片にあたって負傷。負傷者は、13歳を含む少なくとも6人となっている。このほか、妊娠中の女性など15人がショックで病院に搬入された。

現場では、上空で、ロケット弾を迎撃する様子を市民が撮影しており、大きな爆音で、付近にいた子供達が悲鳴でパニックになって、シェルターへ走る様子が伝えられている。

その後、22時ごろから、再び、ホフ・アシュケロンを含む南部広範囲で、立て続けにサイレンが発動なり続けた。深夜0時までにロケット弾70発がガザから発射された。これまでにアイアンドームが4発迎撃し、その他は、空き地に着弾している。

イスラエル軍は、ガザのトンネル関連地域やコンクリ工場、ハマス基地関連など12箇所への空爆を行った。現在、リーバーマン防衛相と幹部は緊急に対策を検討している。

https://www.timesofisrael.com/idf-strikes-hamas-posts-in-gaza-as-fresh-rocket-sirens-sound-in-south/

この一連の攻撃は、昨日7日、ガザからイスラエル側へ発砲した2人が、イスラエル軍戦車の反撃で死亡したことへの反撃とみられる。ハマスは、反撃を予告し、「今夜イスラエル人は寝られないだろう」と言っていた。

https://www.timesofisrael.com/idf-shells-gaza-post-after-soldiers-come-under-fire-2-hamas-men-said-killed/

<ハマス:イスラエルとの長期停戦合意は最終段階と発表>

ガザとイスラエルの衝突がエスカレートしているが、この4ヶ月、エジプトと国連(後の情報ではトルコとカタールも関与)は、ハマスに対し、イスラエルとの長期停戦に応じるよう交渉を行ってきた。

先週、ハマスの海外指導者アル・アロウリもガザ入りし、なんらかの動きがあるとみられた。8日15:00ごろ、ハマスは、合意の最終段階に入ったと発表。試験的に2週間ほどの停戦を実施し、今月末までに、5年間の停戦合意に持ち込むと伝えられた。

合意内容の詳細はまだ正式発表されていないが、ハマスがイスラエルへの攻撃を5年間停止する代わりに、ガザとエジプト、イスラエルの国境を開放することと、ガザへの経済支援策などがあげられている。

自分から始めた暴力をやめるといって、その見返りを要求するというのもおかしな話だが、イスラエルが、これに少し傾いているのは、この合意に、ハマスにとらわれてままになっているイスラエル人2人と、2014年以来のイスラエル兵2人の遺体を返還することがふくまれているからである。

しかし、ハマスは、イスラエルに収監されているハマス・メンバーら多数を交換に開放することも要求しており、イスラエルがそうたやすく応じるとは考えにくい。

https://www.timesofisrael.com/hamas-treating-egyptian-ceasefire-proposal-with-open-mind/

ハマス指導者たちは、8日午後、最終の合意に向けて、カイロへ向かった。同時にハマスが拠点を移動させる動きがみられたため、イスラエル軍は、ガザに近い南部地域の一部道路を閉鎖して警戒態勢に入っていたところ、ロケット攻撃が始まったということである。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5325237,00.html

ガザからの一連の攻撃を受けて、ネタニヤフ首相は、明日朝、治安閣議を招集し、ハマスと進んでいるとみられる停戦合意を見直す方向とみられる。

<パレスチナ組織の不一致>

いつものことながら、ハマスがイスラエルとの停戦合意をすすめることについて、ハマス海外指導者のアル・アロウリが、他組織とも意見を一致できるよう、働きかけていたが、結局、一致できなかったようである。

ハマスとイスラエルの停戦合意に反対する組織が合意を妨害している可能性もある。
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国家民族法で課題噴出:ドルーズ10万人デモ 2018.8.6

 2018-08-06
7月19日に国会審議3回目を通過して基本法にとりいれられた国家民族法(Nation State Law)。

イスラエルはユダヤ人の国と定義する法律だが、安息日やユダヤの例祭を国の祭日とし、アラビア語は公用語からはずして格下げになる他、国の自決権はユダヤ人に帰属するとされていることから、差別的だとして、少数民族から不満が噴出している。

特にイスラエルに忠誠を誓い、イスラエル軍や、国境警備隊にも従事し、多数の戦死者を出してきたドルーズ族からの反発が大きい。国家民族法が確定以来、ドルーズのイスラエル軍将校2人が、「この国に命をかける気が無くなった。」として、辞任を表明した。

アラブ系市民からも、この法律で、運転免許証の記載がヘブル語だけになるとか、これまで以上に、ユダヤ人地区とアラブ人地区へのインフラ整備や教育への差が拡大するんではないかなど、本来の論点ではない論議にまでひろがっている。

<ネタニヤフ首相の方針とドルーズ指導者の反応>

ネタニヤフ首相は、ドルーズとの交渉を行うチームを立ち上げ、1日、長老たちとの交渉を始めた。基本的に、すでに法律となった国家民族法に変更を加えるつもりはなく、新たな妥協案をもって話をまとめようとしているのである。

ネタニヤフ首相は、国家民族法受け入れの見返りとして、①ドルーズの治安部隊の貢献を認める、②ドルーズの宗教、教育、文化を支援する,③ドルーズの居住を推進し、必要なら新しい居住区を認める、加えて、ドルーズの文化遺産保護にも言及した。

一部のドルーズ指導者は、これを「歴史的譲歩」として受け入れたが、信用できないとはねつけたものもあり、交渉はまとまらなかった。

https://www.haaretz.com/israel-news/.premium-nation-state-law-backlash-netanyahu-offers-druze-new-legislation-1.6338137

結果、4日(土)、予定通りテルアビブで大きなデモが行われた。10万人とみられるドルーズ族とその支援者が、ドルーズの旗やイスラエルの旗を振りかざして、「我々はこの国の建設に大いに貢献してきた」と主張。平等な扱いを訴えた。

ドルーズたちは、ハティクバを歌い、「イスラエルはユダヤ人の国で民主国家」であってほしいと訴えた。イスラエルがユダヤ人の国であることに、異論はないわけである。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5322434,00.html

<なぜ今、このような法ができたのか>

イスラエルがユダヤ人の国であるということは、独立宣言に明記されている通りで、あえて法律で明言しなくても、明らかなことである。またこの点が動かされることはない。

また、イスラエル人の20%は、アラブ人であり、厳密にいえば、ユダヤ人が誰かという点も明確な定義が難しい。このため、イスラエルでは、これまで、基本法の中で、ユダヤ人の国と定義せず、「イスラエルは、ユダヤ人の国で民主国家」と、この2点が等しく力点を持つという認識で、国が運営されてきたのであった。

しかし、ヘブライ大学のタウブ博士によると、7年ほど前から、イスラエルはユダヤ人の国であることを法律で定義する必要が論じられ始めたという。

左派議員らが、右派勢力主導の政治運営について、基本的人権をベースに、最高裁に訴える件数が増えてきたからである。左派議員らは、国のユダヤ性を重視する右派政権の方針は、ユダヤ人以外の国民の人権に反すると訴えていた。

これが強調されすぎると、ユダヤ人にのみ認められている帰還法が危うくなってくる可能性がある。帰還法とは、ユダヤ人ならだれでもイスラエルの国民としての権利を有するという法律である。

イスラエルは民主国家であるが、その前に、ユダヤ人が世界で唯一主権を持つ国として立ち上がった国である。ユダヤ人だけにこの権利があると言ってもなんら問題はないはずだが、民主主義の視点からみると、イスラエル在住のアラブ人に対して100%正しいとは言い切れないだろう。

実際のところ、ユダヤ人の国で民主国家は、両立しきれないものなのである。

また、パレスチナ問題においても近年、二国家二民族(国を2つに分ける)案はもはや不可能だとの認識がひろがっている。では、一国家案を推進した場合、イスラエルが、西岸地区やガザ地区を併合することになり、たちまちユダヤ人が多数派でなくなる時代が来てしまう。

右派が恐れたのは、最近、最高裁が左寄りになりつつあることである。もし、最高裁が左派らの訴えを支持し、右派政府に改善を求めることでもあれば、今のままの、「ユダヤ人の国で民主国家」という定義だけであれば、人権保護の点から、本来のアイデンティティが揺るがされる可能性も否定できない。

このため、右派がパニックとなり、急遽、イスラエルは、ユダヤ人の国であり、国の自決権はユダヤ人に帰依するると定義する国家民族法が、出してきたということである。

今回、国家民族法が基本法に書き記されたことで、たとえ、将来、アラブ人が多数派になったとしても、国の自決権、つまり国の運営は、ユダヤ人が行うということが法律で保障される。実際のところ、イスラエルとしては、いずれは必要になった法律であろう。

しかし、タウブ博士だけでなく、INSS(国家治安研究所)も、政府は、国家民族法によって、少数民族の権利や平等が守られることを確信させる文言を加えるなど、国の分裂を防ぐよう、対処を講するべきであると提言している。

http://www.inss.org.il/publication/ramifications-nation-state-law-israeli-democracy-risk/

<ユダヤ人だけは国を持つことが赦されない:ガディ・タウブ博士/ヘブライ大学>

タウブ博士は、イスラエルにいるアラブ人もドルーズも、どの中東諸国にいる同胞よりも恵まれているということを忘れてはならないと指摘する。同じパレスチナ人、同じドルーズでも、シリアにいる場合は、デモどころか、なにもしなくても、ただただ殺されている。

また、現在、ネタニヤフ政権下では、「Resolution922」という、アラブ系市民の経済活性化のためのプロジェクトが2016年からすすめられている。5年間の予算は3億3000万シェケル(約100億円)である。

http://iataskforce.org/sites/default/files/resource/resource-1462.pdf

タウブ博士によると、現ネタニヤフ政権は、これまでのどの政権よりも、アラブ系市民に投資しているという。にもかかわらず、今、彼らの権利や平等が求められるとは、なんとも皮肉だと語る。

また、タウブ博士は、「どの国にも少数民族はいるが、多数派が自決権を持つことに異論が出る国はない。たとえば、イタリアにも少数民族がいるが、多数派のイタリア人が自決権を持っている。それに疑問を挟む人はいない。

要するに、ユダヤ人だけは、自分の国を持つことを赦されないということだ。」と語った。
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LGBTと代理出産:エルサレム・ゲイパレードに2万人 2018.8.6

 2018-08-06
物議を呼んでいる国家民族法と同じ頃、代理出産に関する法案も、国会を通過した。それによると、イスラエルは、独身女性と結婚している夫婦が代理出産で子供を持つことを支援するが、独身男性にはこれを認めないということである。

言い換えれば、ゲイカップルが、代理出産で子供をもつこどだけは赦されないということを意味している。これを受けて、LGBT(ゲイ・レスビアン・バイセクシャル・トランスジェンダー)が、不平等だとして反発している。

https://www.jpost.com/Israel-News/Surrogacy-bill-passes-Netanyahu-flip-flops-on-homosexual-surrogacy-562810

エルサレムのオープンハウス(ゲイ支援施設)のCEOオフィル・エレズさんによると、イスラエルは、世界でも有数のゲイ・フレンドリーな国だが、同時に市政においてはまだかなり保守的なところがあり、難しい点も多いという。

エレズさんは、イスラエル人は、子供好きが多く、子供こそが人生の喜びであると考えている。ゲイだからといって、その権利を奪うことはどの政府にもできないはずだと訴える。

同性のカップルでは、子供が正常に育たないのではないかとの質問が出たが、エレズさんは、「異性夫婦でも問題を抱える家庭は多い。むしろゲイカップルは愛で結ばれているので、家庭に愛がある。子供に必要なのは愛だ。ゲイカップルの子供は皆、正常に育っている。」と力を込めて訴えた。

イスラエルでのゲイの割合について、エレズさんは、地域性もあるが、概ね総人口の10%ぐらいとの返答であった。

<エルサレム・ゲイ・パレードに2万人以上>

エルサレムでは、8月3日夕方からゲイ・パレードが行われた。3年前、パレードに参加していた16歳少女が、同性愛に反対する超正統派男性に、パレード中に殺害されたことから、今年も治安部隊2500人に守られながらのパレードとなった。

今年は、特に、代理出産の問題があったことから、ネタニヤフ首相への不満を叫びながら歩いた者もいた。掲げられたプラカードには、愛をモチーフにしたものが多く、「あなたの隣人をあなたのように愛せよ。」というものまであった。

一方、同性愛反対のユダヤ人グループ、レハバは、パレードからはほど通いところで、反ゲイを叫んでいたが、彼らのプラカードは、「イスラエルの神を怒らせるな」とか、「エルサレムはソドムではない。」「エルサレムは、聖なる街」であった。

幸い、事故もテロもなく終了している。

https://www.timesofisrael.com/thousands-march-in-largest-ever-jerusalem-pride-parade-under-heavy-security/

<超正統派ユダヤ教徒もデモ>

ゲイパレードが行われた同じ日、エルサレム市への入り口付近では、大勢の超正統派ユダヤ教徒が集まって、デモを行っていた。路面電車は止められ、バスも迂回させられた。

ゲイパレードに反対するデモかと思ったが、超正統派の従軍を義務付ける法案に反対するデモであった。

これほどデモが行われる点からも、イスラエルは、ユダヤ人の国であるが、確かに民主国家である。あるドルーズが言っていたように、「イスラエルはユダヤ人の国であるからこそ、民主国家」なのではないだろうか。
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水面下で進む?:ガザ・西岸地区・米中東和平政策 2018.8.6

 2018-08-06
<イスラエル・ガザの関係悪化>

ガザからの火炎凧や風船による攻撃は一時減少にあったが、また元にもどっている。火炎風船によるイスラエル南部農地での火災は、今週末だけで40箇所もあった。

https://www.timesofisrael.com/gaza-indendiary-balloons-spark-40-fires-in-southern-israel-over-weekend/

また火炎風船は、ベエルシェバで発見され、家屋の屋根にとまっているものも発見されたため、イスラエルは、いったん再開していたガス、燃料のガザへの搬入を再び停止した。前回が期限付きであったのに対し、今回は期限付きではない。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Israel-again-bans-gas-and-fuel-into-Gaza-563971

Yネットによると、ハマスは、凧・風船攻撃について、参加するのは14歳以下で、この攻撃は、住宅地からに限るとの指令を出したという。イスラエルの攻撃を受けにくくするためである。

毎週金曜の国境での「帰還への行進」デモも続いている。先週28日、国境をパトロールしていたイスラエル兵が撃たれて中東度の負傷を負った。これに対し、イスラエルが、ハマス7箇所を攻撃。ハマスのパレスチナ人3人が死亡した。

https://www.timesofisrael.com/soldiers-fired-upon-by-gazan-gunmen-2-palestinians-said-killed-in-idf-strikes/

今週3日(金)のデモでは、8000人が集まってイスラエル軍との衝突。パレスチナ人1人(25)が死亡した。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5322095,00.html

5日、イスラエルは、ガザとの国境に地上、地下に及ぶ防護壁をん建設中だが、ガザ北部、イスラエルと接する海上200メートル突出する海上防護壁が建設中である様子が公開された。

こうした中、エジプトの仲介で、イスラエルとハマスの和平交渉が水面下で動いているという。

1)ガザ・ハマスとイスラエルの停戦合意への動き

ガザでは先週、海外のハマス指導者アル・アロウリらが、エジプト経由で、ガザ入りした。エジプトの仲介で進められているハマスとイスラエルの停戦合意を協議するためである。

それによると、停戦への合意は3段階で、①1週間以内(来週金曜あたり?)に、火炎凧などの国境デモや、イスラエルへの侵入試みを停止する。その見返りとして、イスラエルのカレン・ショムロン検問所と、エジプトのラファ検問所を解放する。

②ガザへの補給が再開され、市民の生活が改善することを目標とする。③国連によるガザ内部の人道支援活動、となっている。

この交渉には、ガザへの復興支援金や、エジプトにガザ住民が使用する空港や港の建設の案なども含まれているとの情報もある。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5322095,00.htm

こうした動きについて、イスラエルからの正式な情報はなかったが、5日(日)、ネタニヤフ首相は閣議を開き、ハマスとの停戦合意に関する協議を行った。

イスラエル国内では、2014年の戦争で戦死したオロン・シャウルさんの家族らが、「ガザで人質となっているイスラエル人1人とイスラエル兵2人の遺体の返還が伴わない合意にはいっさい応じないでほしい。」と怒りの手紙をネタニヤフ首相に送付した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/249993

閣議の後、イスラエルは、兵士遺体を含む人質の返還がもりこまれない合意にはいっさい応じないとする方針を決めた。

*パレスチナ自治政府が交渉に警告

エジプトと、ハマス、イスラエルの間になんらかの合意が成立して困るのはパレスチナ自治政府である。

現在のガザ地区の苦境の大きな原因は、パレスチナ自治政府が、ハマスへの経済制裁を行ってきたことである。(最近、ガザへの送金を再開したとの情報もある)状態のまま、ハマスがイスラエルとの合意に至れば、パレスチナ自治政府の立場はなくなる。

また、トランプ大統領が、水面下で、独自の中東和平を進めている中で、ハマスがイスラエルとの合意に応じた場合、ガザと西岸地区が分断され、パレスチナ人としての大義や権利が、消滅してしまうのではないかとの懸念も表明している。

*兵士侮辱17歳少女釈放でアッバス議長が英雄として歓迎

西岸地区では、イスラエル兵に暴力を振るって侮辱し(兵士は相手が若い女性であることから、殴られてもいっさい手をださなかった)、イスラエル治安部隊に逮捕されたアヘッド・タミミ(17)が、逮捕から11ヶ月後の7月29日、釈放された。

タミミは、家族そろって英雄として迎えられ、アッバス議長もタミミを、英雄として歓迎した。タミミの父親は、パレスチナ人の結束を訴え、「闘争は続く。ガザの「帰還への行進」を支持する。」と訴えた。

https://www.haaretz.com/israel-news/palestinian-teen-ahed-tamimi-released-from-israeli-prison-1.6315634

2)クシュナー大統領補佐官の動き

トランプ大統領は、アメリカの中東和平案を、”世紀の取引”と呼んでいるが、その全貌はまだ明らかにされていない。しかし、水面下で動いている模様で、時々断片的に情報が漏れてくる。

パレスチナ自治政府が懸念していることを裏付けるように、アメリカが、パレスチナ人の難民としてのステータスを剥奪する方向で、動いているという情報がある。

アメリカのクシュナー大統領補佐官とグリーンブラット米中東特使とのメールでの会話として伝えらえたところによると、クシュナー補佐官は、UNRWA(パレスチナ人に特化した国連難民支援組織)は、設立から70年も延々と同じことを続けているだけで、ハマスとの内通や汚職もあり、和平に貢献していないと考えている。

また当初イスラエル建国によって難民になった当時のパレスチナ人の救済を目的として設立されたUNRWAが、70年経過した現在においては、イスラエルとの和平交渉が成立するまで、パレスチナ人は延々と「難民」でありつづけるかのような理解で、支援を、延々と続けていると指摘する。

そこで、UNRWAは解散し、今いるパレスチナ人は、ヨルダンや、裕福な湾岸諸国が吸収する方向で、アメリカが本来UNRWAに送金する予定であった支援金を、それらの国に送るという案もあがっているようである。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5322304,00.html
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ゴラン高原とシリア:その後 2018.8.6

 2018-08-06
1)シリア政府の支配回復で、UNDOF(国連兵力引き離し監視軍)戻る

シリア南部からクネイトラに向けてシリア軍が反政府勢力に攻撃を行ってたが、この地域での戦闘がはじまって6週間で、シリア政府軍が、おおむね制圧した形になりつつある。

クネイトラには、1974年から内戦が始まるまでの2011年の間シリアとイスラエルの間に駐屯していたUNDOF(国連兵力引き離し監視軍)が駐屯地に戻ることとなった。まもなく、シリアとイスラエルの行き来の再開も検討されている。

しかし、UNDOFは監視するだけで、行動はしないことになっているため、今回は、ロシア軍も警備にあたることになった。イスラエルは、ロシアに、クネイトラにいるシリア難民たちを政府軍の虐殺から保護するよう、要請したという。

https://www.timesofisrael.com/as-it-returns-to-border-un-looks-to-reopen-crossing-between-israel-and-syria/

2)イスラエル軍とFAIクリニック撤収へ

この地域での内戦が収束に向かっていることを受けて、よき隣人作戦の一環として、イスラエル軍とアメリカのクリスチャン団体FAIが協力して2017年から開いていたシリア側のクリニックを撤収する様子も伝えられている。

これまでにこのクリニックで治療したシリア人は6800人。今後も、必要がなくなったのではないため、撤収というよりは、一次的な凍結という理解でもあるという。

https://www.jpost.com/Israel-News/IDF-closes-field-clinic-providing-aid-to-injured-Syrians-564094

3)シリア南部のISがゴラン高原へ拡散か

7月に入り、ロシア軍の支援を受けたシリア軍が、反政府勢力の拠点ダラアを奪回したことはお伝えした通りである。シリア軍はその後、クネイトラ周辺を攻撃するとともに、南部で孤立していたISへも攻撃を始めた。

すると7月25日、ISが、突然、ダラア北部のドルーズの町スェイダで、自爆テロを複数回決行するなどして、住民250人以上を虐殺。アブ・アマールさん(19)を殺害する様子を公開したほか、住民(ドルーズ)の女性や子供30人を拉致したもようである。

残党ともいえるISはその後、ヨルダン国境へ向かった者は、ヨルダン軍に殺され、一部は、ゴラン高原、イスラエルとの国境付近に拡散していったとみられる。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5322846,00.html

http://english.alarabiya.net/en/News/middle-east/2018/07/30/36-women-children-kidnapped-by-ISIS-during-attacks-on-Syria-s-Sweida.html

シリア南部での激戦の翌週の8月2日、イスラエル軍は、イスラエル国境からわずか200mしか離れていないゴラン高原シリア側を空爆した。この時、武装兵7人が死亡したが、のちに、7人がISであったことがわかった。

7人の遺体は、防弾チョッキに身をつつみ、ライフルや手榴弾のほか、自爆用ベストとみられるものを着用していた。イスラエル国境からわずか200mであったことから、イスラエルに侵入して、自爆テロを計画していた可能性も否定できない。

イスラエルのリーバーマン防衛相は、シリアからのテロリストについて、たとえ反政府勢力であったにしても、これからは、この地域を支配するシリア政府にすべての責任を問うと言っている。

イスラエルとシリアの衝突を防ぎたいのはロシアである。ロシアは、イスラエルに被害が及ばないよう、ゴラン高原の非武装地帯にそって、UNDOFと並行して、8箇所にロシア軍・警察の監視部隊を配置する予定である。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/IAF-killed-7-militans-in-overnight-strikes-in-Syrian-Golan-Heights-564016

4)シリア領内のイランは、イスラエルから85キロ地点まで撤退

イスラエルが、ロシアに、イランをシリアから完全に撤退させるよう要求しているのに対し、先月、ロシアは、それは不可能だとして、国境から100キロまでで、妥協してほしいと申し入れてきた。

イスラエルは、これを拒否したが、その後、ロシアは、「イランと85キロまでで合意した。」と一方的に発表した。イスラエルからはこれに関するコメントはない。

よく考えれば、イスラエルがいくら反対しても、ロシアがこう決めたのだから、それにイスラエルが、どうできるというものでもないわけであるし、いずれにしても、イスラエルが防衛目的で、シリア領内での攻撃を行う事をロシアは認めているので、どうでもよいといえば、どうでもいいのかもしれない。

https://www.jpost.com/Middle-East/Russian-Envoy-Israel-agrees-to-removal-Iranian-troops-85km-from-Golan-563909

そのイランだが、Ynetによると、ガザ地区のハマスとイスラム聖戦に年間1億ドルを支援しているという。割合は、ハマスが7でイスラム聖戦が3。イランはアメリカの経済制裁で窮地にたっているが、ガザへの支援額に変わりはない。

一方、ガザの10倍の支援額を受け取っているヒズボラへの支援額は縮小しているという。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5321985,00.html

4)シリア化学兵器関連大物科学者暗殺

シリアの化学兵器開発のナンバー2とも目される化学者アジズ・アスバル博士が、5日朝、乗っていた車ごと爆破されて死亡した。アスバル博士は、イランとも深い関わりがあったとのこと。

暗殺が何者によるのかは不明。イスラエルもコメントをしていないが、イスラエルは、化学兵器がヒズボラの手にわたることへの懸念を表明しており、これまでにも何度かシリアの科学研究所への空爆をおこなってきたとみられる。

最も最近では、7月22日にもシリアの化学研究所が攻撃されている。
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