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オリーブ山通信

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世紀の取引:トランプ大統領の中東和平案とは? 2020.1.29

 2020-01-30
28日夜(日本時間深夜2時)、トランプ大統領が、世紀の取引と銘打った中東和平案を発表した。それによると、パレスチナ国家を認め、イスラエルと共存する2国家2民族の案である。

基本的に現状を維持するので、引越しを余儀なくされる人はなく、トランプ大統領は、「現実的な2国家共存案」だと自負する。しかし、トランプ大統領は、これは案であり、両者が交渉を行うベースにしてもらいたいと述べた。

https://www.timesofisrael.com/trump-unveils-plan-for-realistic-2-state-deal-undivided-israeli-jerusalem/

和平案は80ページにわたって詳細に明記されている。このうち30ページは、西岸地区とガザの経済開発に関するもので、これについては、昨年6月に発表されたが、パレスチナ自治政府は拒否したものである。

ホワイトハウスが公開した和平案原本:https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2020/01/Peace-to-Prosperity-0120.pdf

ワシントンでのトランプ大統領の記者会見は、ネタニヤフ首相をともない、50分近くにわたって行われた。主な内容は以下の通り。

1)領土:パレスチナ国家成立にむけて 

①アメリカは西岸地区のユダヤ人入植地をイスラエル領土として認める。同時に、むこう4年間、入植地の拡大はせず、パレスチナ国家成立にむけた交渉を行う。*4年たっても交渉が成立しない場合の案は提示されていない。

②パレスチナの領土は、ガザと、入植地以外の土地となるので、西岸地区の70%と、今の倍になる。新たにパレスチナ人が使う道路を建設するが、入植地に接する地域は、橋かトンネルにする。ガザと西岸地区の間は、トンネルとする。

③ガザと西岸地区からなるパレスチナ国家は、非武装とする。

2)エルサレムについて

①現在のエルサレムは分割せずそのままで、イスラエルの首都、主権とする。

②パレスチナは、現在の東エルサレムで、イスラエルが建設した防護壁の外側部分、シュアファット東部、アブ・ディス東部、カファル・アカブを含む地域を首都とする。

③現在防護壁の内側の東エルサレムの在住するアラブ人については、そのままイスラエルの永住権でとどまるか、イスラエルの市民権、もしくはパレスチナの市民権を取ることができる。

https://www.timesofisrael.com/trump-plan-gives-palestinians-capital-in-jerusalem-but-beyond-security-barrier/

3)神殿の丘について

神殿の丘の現状維持の原則はそのままとする。ただし、すべての宗教者が祈ることを許可することが望ましい。

https://www.timesofisrael.com/trump-plan-includes-apparent-contradiction-over-prayer-rights-at-temple-mount/

発表にあたり、トランプ大統領は、ネタニヤフ首相と、時期首相の可能性が否定できないガンツ氏の両方と会談したが、ネタニヤフ首相、ガンツ氏、どちらもが、この和平案を受け入れたとのことである。

西岸地区入植地の増殖は、むこう4年間停止するが、今ある入植地の撤去はなされず、引越しはなく、イスラエルに合併されるとあって、入植地ユダヤ人代表らはこれを歓迎すると表明した。

<ヨルダン渓谷と西岸地区合併へ意欲:ネタニヤフ首相>

トランプ大統領の和平案発表を受けて、ネタニヤフ首相は、来週日曜にも、ヨルダン渓谷と、西岸地区の入植地の合併に向けて、閣議での審議を始める意向を明らかにした。また、29日には、モスクワへ飛び、プーチン大統領にこの案への理解を求めるとのこと。

しかし、次の記事で述べるが、ネタニヤフ首相の汚職に関する起訴が決まったので、ネタニヤフ首相がこの懸案をどこまで実行に移せるかは、不透明だとも言われている。

https://www.timesofisrael.com/cheering-trump-plan-netanyahu-says-he-will-start-annexation-process-sunday/

*イスラエルでの論議:左派と極右はNO

ネタニヤフ首相、ガンツ氏はともに中道右派であるため、この案に問題はない。しかし、ベネット国防相など極右は、そもそもパレスチナ国家の設立に反対している。そのため、この案を受け入れることに反対を主張した。

しかし、実際のところ、このトランプ大統領の和平案が通らない場合は、一国案、つまりイスラエルが西岸地区もガザも全部とりこむ案しか残らず、そうなると、ユダヤ人よりアラブ人が多くなってしまうと指摘されている。

一方左派、労働党のペレス党首は、パレスチナ人との和平は、土地交換により、双方の話し合いで決めるべきであり、パレスチナ側がすでに拒否しているものを一方的にすすめるものではないとして、トランプ大統領の和平案を拒否する意向を表明した。

しかし、実際のところ、パレスチナ側は、95%の土地を提供した時もイスラエル全土を要望して拒否したという経過があるので、いったいどうなれば、双方が合意する和平案になるのかという代案はだしていないではないかと指摘されている。

https://www.ynetnews.com/article/BJxzuJR118

<パレスチナ自治政府は1000回のNO!暴力の危険性高まる>

トランプ大統領の和平案では、パレスチナ国家を認めるとしているが、非武装、つまりは軍隊を持たないということで、中東においては、いくら領土をもらったとしても、これが独立した主権国家とは考え難い。

パレスチナ自治政府のアッバス議長(84)は、アメリカが、世紀の取引を発表した後、ラマラで記者会見を開き、トランプ大統領の和平案を意味なしと評し、「NOが1000回だ。」と述べた。

アッバス議長は、「パレスチナ人は、イスラエルの占領を終わらせ、東エルサレムを首都とする国家を立ち上げることをめざしている。」として、その目標に変わりはない。パレスチナ人の権利を売ることはない。」と述べた。

アッバス議長は、エルサレムは、バーゲンのように取引されるものではないとし、アメリカとイスラエルの策略がなることはないと述べた。

https://www.ynetnews.com/article/ByplSG0WI

すでに西岸地区パレスチナ人の町ナブルスなど西岸地区各地では、トランプ大統領の和平案に反対するデモが発生した。イスラエル軍は、ヨルダン渓谷や、西岸地区で、軍事衝突が発生する可能性をかんがみ、ヨルダン渓谷の警備を強化している。

エルサレムのアメリカ大使館も、米国人に対し、西岸地区に行かないよう警告を発した。

*ハマス:トランプの策略に”あらゆる可能性”を示唆

ハマスとイスラム聖戦は、世紀の取引をすぐに拒否する声明を出し、これに対し、”あらゆる可能性(暴力も)”あると警告した。ガザでは28日、トランプ大統領の写真を燃やすなどのデモが発生している。

アメリカの和平案発表の前に、アッバス議長は、めずらしく、ハマス指導者の一人イシュマエル・ハニエに電話し、トランプ大統領の案を一致して妨害するよう話しあったと伝えられている。

https://www.timesofisrael.com/hamas-slams-trump-plan-as-israeli-conspiracy-as-palestinians-riot-in-west-bank/

<イスラエルと和平条約ある隣国ヨルダンとエジプトの反応>

ヨルダンは、すでにこの案への反対を表明していたが、改めて、ヨルダンは、イスラエルが1967年以前のラインまで撤退する(今の東エルサレムから撤退)形を支持すると表明。トランプ大統領の和平案には反対する意向を表明した。

ヨルダンの国民の多数派はパレスチナ人である。アンマンのアメリカ大使館では、アメリカの中東和平案に反対する市民らが、反対デモを行った。

エジプトは、イスラエルとパレスチナに対し、和平案をよく調べるようにと述べた。

<イランとトルコは反発と危機感を表明>

イランのザリフ外相は、トランプ大統領の、恥知らずなこの和平案は、必ず失敗するとし、「世紀の取引」ではなく、「世紀の反逆」だと述べた。また、アメリカが、「平和へのビジョン」として発表した和平案の地図にバツマークをつけ、「カタストロフィへの夢遊歩行」と記した。

ザリフ外相は、この案が、地域にとって悪夢であるとし、間違っているイスラム諸国の目が開かれることを望むと述べた。

トルコ外務省は、この案を「死産」だとし、イスラエルによる入植地等の合併は、2国家案を破壊すると批判した。また、「パレスチナ人が受け入れないものをトルコが受け入れることはない。占領がなくならない限り、中東和平はありえない。」との考えを明らかにした。

<サウジアラビアと湾岸諸国は支持>

サウジアラビアは、アメリカが、兄弟パレスチナ人のために努力していることに感謝し、イスラエルとパレスチナが、交渉に戻ることを歓迎すると表明した。

バハレーン、オマーン、アラブ首長国連邦は、和平案の発表に際し、大使をホワイトハウスに派遣していたほどで、この和平案を歓迎する意向を表明した。

カタールは、1967年以前の国境線と、パレスチナ難民がイスラエルへ帰還することを支持しながらも、イスラエルとパレスチナが交渉を再開することを支持するとした。

<国際社会の反応>

国連のグテーレス事務総長は、2国家案を支持するとしながらも、あくまでも国連決議に基づく1967年以前の国境線を支持するとした。いいかえればトランプ案には同意しないということ。

イギリスのボリス首相は「ポジティブな結果を生み出すかもしれない」と述べ、ドイツのマアス外相は、「双方が交渉して納得したことだけが、長続きする平和に続く道だ。」と述べた。オーストリアのクルツ首相は、この案に基づき、イスラエルとパレスチナが交渉をはじめるようにと述べた。

https://www.timesofisrael.com/iran-turkey-slam-trump-peace-plan-as-uae-saudi-arabia-urge-negotiations/

<石のひとりごと>

ジャイアン・トランプ大統領の、中東和平案がついに明るみに出た。この案で、実質何が動くのかといえば、イスラエルのヨルダン渓谷と西岸地区入植地の合併への足がかりができたというところだろう。イスラエルだけに好意的な案であることは間違いない。

これをパレスチナ人が受けれることはありえず、危険な事態にもなりかねないわけだが、トランプ大統領とネタニヤフ首相にとって、このゴリ押しを発表するのは、今しかないと判断したのだろう。この試みは、この2人だからこそ、可能な動きだと思われるからである。

また今なら、若干にでもホロコーストへの世界の同情があり、イランも弱く、ロシアもまだ遠い。たとえ無理のあるゴリ押しでも、中東の場合、とにもかくにも先に既成事実を作ってしまえば、そうなってしまうのである。

以下に述べるが、ネタニヤフ首相は、28日、国会への首相免責法案を取り下げると発表した。このため、3月の総選挙前にも、汚職問題での起訴がはじまるとされる。選挙で、不利になると思われ、もしかしたら、現職首相初、刑務所へ直行することになるかもしれない。

ネタニヤフ首相は、この和平案が成功すれば、汚職疑惑があっても当選すると自信があって、免責法案を取り下げたのか。または、これさえ成し遂げたら、自分の役割は終わると思っているのか。

長くネタニヤフ首相を見ているが、むろん、ずるい部分もあるだろうが、基本的に命がけで、なにがなんでも、イスラエルを守るという気迫はあったと筆者は思う。ネタニヤフ首相と、イスラエルの国を主が見捨てず、国を守りきってくださるようにと思う。
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ネタニヤフ首相起訴決定:免責法案取り下げにより 2020.1.29

 2020-01-29
ワシントンでトランプ大統領とともにいるネタニヤフ首相は、28日、国会に提出していた免責法案を取り下げると発表した。

ネタニヤフ首相がこの法案を取り下げると、マンデルビット司法長官は同日28日、エルサレム地方裁判所に、ネタニヤフ首相を、贈収賄、詐欺、背信の罪で起訴した。現職首相、しかもイスラエル史上在職最長の首相が、これらの罪で起訴されるのは、イスラエル史上初である。

ネタニヤフ首相が、免責法案を取り下げたのは、国会が、ネタニヤフ首相の免責法案を拒否する権限を持つ調査委員会を立ち上げる数時間前のことであった。おそらく、国会で免責法案をはでに拒否される茶番を避けたものと思われる。

この委員会については、青白等のガンツ氏が加わる予定であった。ガンツ氏は、ネタニヤフ首相の免責法案取り下げを受けて、「3つの罪で裁判に立つ者が国を運営することはできない。」と述べた。

https://www.timesofisrael.com/netanyahu-indicted-for-corruption-in-three-cases-in-first-for-a-sitting-pm/

「公職に対する公の信用を落とした」「賄賂をとって、職権を乱用した」などとされる起訴内容は以下の通り。

①ケース1000:ハリウッド関係者などから70万シェケル(250万円相当)の品を受け取り、ビジネスの便宜を図った。(背信罪)

②ケース2000:新聞イディオト・アハロノトに自身に肯定的な記事を出す見返りにライバル社より優遇措置をとった。(背信罪)

③ケース4000:通信会社ベゼックに18億シェケル(540億円)相当の利益を生み出すような利便をはかり、その見返りとして、ネタニヤフ首相に有利な記事を書かせた疑い(収賄)*最も深刻とされる

*起訴(Indict)と判決(Accused)の違い

起訴ということは、相当確実とみられる罪状についての訴えがなされたということで、まだ罪人として決定されたわけではない。問題は判決がどうなるかである。可能性は低いとされながらも、無罪となる可能性もまだ残されている。

起訴された結果、無罪になれば、ネタニヤフ首相は文字どおり、無罪放免である。しかし、有罪とされた場合、収賄なら10年以下の禁錮刑か、相当する罰金。もし、詐欺と背信であれば、3年以下の禁固刑となる。ここまで来てはじめて、ネタニヤフ首相が退陣を余儀なくされることになる。

https://www.ynetnews.com/article/SkdXPPV2r
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トランプ大統領:世紀の取引・中東和平案公開へ:ネタニヤフ首相・ガンツ氏をワシントンへ招待 2020.1.28

 2020-01-28
第5回ホロコーストフォーラムが開催された23日、トランプ大統領が、独自の中東和平案”世紀の取引”を数日以内に明らかにするとして、ネタニヤフ首相と、そのライバル、青白党のガンツ党首とワシントンへ招待すると発表した。

ネタニヤフ首相は、ただちにこれを快諾。ガンツ氏も承諾したが、後に、ネタニヤフ首相の罠だと感じたのか、これを断るとのニュースも流れた。最終的には、ガンツ氏もワシントンに行くことになったが、ネタニヤフ首相とは別に、トランプ大統領と会談する。

27日夜、ネタニヤフ首相は、サラ夫人を伴って、ワシントンに到着。ガンツ氏は、別の飛行機で、27日日中に到着。28日、まず、ネタニヤフ首相がトランプ大統領と会談、その1時間半後にガンツ氏がトランプ大統領と会談する。翌28日、トランプ大統領とネタニヤフ首相がもう一度会談するという流れである。

https://www.nytimes.com/2020/01/23/world/middleeast/israel-peace-plan-kushner.html

この他、世紀の取引、中東和平案が発表されるにあたり、アラブ諸国の大使らもその場に招待されているとの情報もある。(チャンネル13)

<トランプ大統領中東和平案:世紀の取引とは?>

トランプ大統領が、親イスラエルであることは、明白であるため、トランプ大統領の中東和平案は、おおむねイスラエルに有利であるとみられているが、まだ何がおこるかは予想不可能と言っておいたほうがよいだろう。これまでに、メディアにもれて、明らかになっている点は以下の通り。

①イスラエルはヨルダン渓谷を合併。西岸地区のユダヤ人入植地にイスラエルの法律を適応する(つまり合併??)。
②エルサレムの一部(防護壁の外側)を首都とし、非武装のパレスチナ国家を設立する。

この双方とも、ネタニヤフ首相が、すでに訴えてきたことであるため、ネタニヤフ首相はこれを歓迎するとみられる。26日、ネタニヤフ首相はワシントンへ出発するにあたり、「この3年、イスラエル最大の友人、トランプ大統領とは数え切れないほど話し合ってきた。彼と共に、歴史をつくりに行ってくる。」と述べた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/275139

一方、ガンツ氏は、トランプ大統領が、ネタニヤフ首相に対して、異様に好意的であることから、ワシントンで2人にまるめこまれないよう、警戒しているもようで、いったん招待を断るとのニュースも出たが、最終的には、ワシントンへ向かっている。

実際、トランプ大統領が、ネタニヤフ首相との会談を予定している28日、イスラエルの国会では、ネタニヤフ首相の汚職への起訴に関する決議が行われる。その日をあえて選んだかのごとく、ネタニヤフ首相をワシントンへ招待していることが、トランプ大統領とネタニヤフ首相の計略であるとも考えられるわけである。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Deal-of-the-Century-Does-Israel-know-what-it-wants-615456

<反発するパレスチナ:自治政府解散を脅迫>

パレスチナ自治政府のアッバス議長は、トランプ大統領の世紀の取引を全面的に拒否した上、アメリカとの交渉も全面的に拒否している。

今漏れ聞こえてくる取引の内容によると、パレスチナ国家ができたとしても、領土は今の70%になり、しかも非武装となっている。パレスチナ自治政府がこれを受け入れることはないだろう。

26日、パレスチナ自治政府の報道官は、高官らが、議論を続けており、自治政府を解散することや、オスロ合意の部分的破棄の可能性が上がっているという。いずれの場合も、和平どころか、混乱を引き起こすことになる。

また、パレスチナ自治政府のマルキ外相は、アラブ諸国との実質的な対処の話し合いが進んでいると述べた。

しかし、近年、パレスチナ人と同じスンニ派のアラブ諸国は、アメリカとイスラエルに近づく傾向にある。サウジアラビアにいたっては、イスラエルからの観光客を受け入れるとの話にもなっている。パレスチナ問題で、これらのアラブ諸国がどう出てくるか、先行きは見通せない。

ハマスもトランプ大統領の「世紀の取引が成立することはない。」と、これを拒否すると表明した。ハマスの指導者ハニエは、近くカイロで、ハマスとファタハ(パレスチナ自治政府)の会談が予定されていると言っている。

https://www.timesofisrael.com/savaging-trump-peace-plan-palestinians-again-threaten-to-dissolve-pa/

そのハマスだが、最近、またガザから、風船に爆発物を装着したものをイスラエル南部に飛ばしてきて、問題になっている。25日(土)には、ガザから40キロも離れたネゲブ地方の、キブツ・スデ・ボケルで、爆発物が装着されている風船が発見された。

これを受けて、イスラエル軍は、ガザ内部への空爆を行った。これによる負傷者は報告されていない。

https://www.timesofisrael.com/idf-jets-strike-gaza-targets-in-response-to-launch-of-incendiary-devices/

<ヨルダンのアブドラ国王:トランプ和平案に反対表明>

ヨルダンにとって、イスラエルがヨルダン渓谷を合併することは受け入れがたいことである。ヨルダンのアブダラ国王は、トランプ大統領の中東和平案には、まったく同意できないとする立場を強調した。

https://www.timesofisrael.com/jordanian-king-reiterates-opposition-to-us-peace-plan-ahead-of-release/

<本当の目的は?:和平案でも和平は期待せず?>

今回のトランプ大統領の世紀の取引の公表だが、本来はもっと早くに発表される予定だった。それが、イスラエルの総選挙で首相がいまだに決まっていない状況を受けて、発表ができなかったのである。

しかし、その概要は関係諸国には伝えられていたとみられ、すでに、パレスチナ側は、完全拒否を表明しているわけである。この状態で、イスラエルとパレスチナの間に、和平が実現するはずはない。とすると、トランプ大統領が、今この和平案を発表するとしても本当の目的は、和平の実現ではなさそうである。

アメリカでは、今年の大統領選挙を前に、トランプ大統領が弾劾の危機にある。今まだ、トランプ大統領の庇護があるうちに、イスラエルが、ヨルダン渓谷と、西岸地区の30%を合併してしまうということが目的とも考えられなくもない。

今回の和平案発表は、ちょうどエルサレムで、第5回世界ホロコースとフォーラムに46人の首脳が集結し、ホロコーストに思いをさせた直後である。イスラエルへの世界の同情が若干でも残されている時期であるとも考えらえる。

こうした要素から、今回のトランプ大統領の和平案発表の動きは、政治的にネタニヤフ首相を起訴から救い出して、次の総選挙での立場を有利にするとともに、トランプ大統領自身も、大統領選挙を前に、ユダヤ人や福音派の支持を得ようとする政治的なパフォーマンスだとの見方もある。

この同じ時期の先週、トランプ大統領は、現職大統領としては初めて、中絶反対のマーチ・フォー・ライフで、演説した。これについても、福音派の熱狂的な支持を得たとみられる。

<ISIS:イスラエルとユダヤ人を攻撃せよ>

それはまた、これを阻止しようとする力も大きいことからも察せられる点である。27日、ISが、トランプ大統領の和平案に反発し、イスラエルとユダヤ人(入植地)を攻撃するよう呼びかける録音の音声を流した。

ISは、パレスチナ人は、アラブの戦いの最前線にいるとし、「今日、我々は新しいステージに入った。我々の目は今、エルサレムに向けられた。」と宣言した。

https://www.ynetnews.com/article/SyL6pD2ZL
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ネタニヤフ首相汚職問題:28日首相免責法案関連委員会立ち上げを国会で審議 2020.1.28

 2020-01-28
先月、マンデルビット司法長官は、ネタニヤフ首相を、汚職、背任などの罪で起訴すると発表。これにより、ネタニヤフ首相には、国会で、首相には免責が認められるとする法案を提出する期間が定められ、その期間内に、ネタニヤフ首相は、免責法案を出すかどうかを決めることができる。

もし法案を提出しなければ、ネタニヤフ首相の起訴は、すぐにも可能になる。もし出した場合、国会がこれを承認すれば、ネタニヤフ首相の起訴はなくなるが、国会がもしこれを拒否すれば、ネタニヤフ首相は起訴される運びとなる。

こうなると、今の国会での票が問題になるが、ネタニヤフ首相を支持する右派政党とユダヤ教政党を合わせた右派ブロックは、過半数の61票には届かない。ネタニヤフ首相が法案を提出しても、これが承認される可能性は低いわけである。

しかし、ともかくも、ネタニヤフ首相は、期限ぎりぎりになり、法案を提出。これに対し、国会では、まずは、委員会を立ち上げるかどうかの議決が行われることになった。

この委員会は、ネタニヤフ首相の免責法案を拒否する権限を持つとされ、この委員会がその拒否案を実行するまでは、司法長官は起訴することができないとされる。

このため、リクードは、少なくとも3月2日の3回目総選挙まで、この委員会の立ち上げを遅延させ、起訴されてない状況でネタニヤフ首相が選挙に臨めるようにと努力した。しかし、結局、明日28日に、この議決が行われることになったものである。

*イスラエルの国会での免責システムは、非常に複雑で、ここに記したものは、おおまかな情報であるとご理解いただければと思う。

https://www.timesofisrael.com/netanyahu-mulling-pulling-immunity-request-as-knesset-pushes-ahead-report/

<石のひとりごと>

トランプ大統領は、旋風を巻き起こしながら、だんだん聖書的な動きになりつつある。たとえ、それが票獲得のためだったとしても、結果的には聖書に忠実な動きになっていることは聖書の読者なら否定できないだろう。

それはまた、この動きを妨害しようとする力もまた半端なく大きいというところからも察せられる点である。トランプ大統領と、ネタニヤフ首相を政治的に支持するわけではないが、2人とも不思議に弾劾の危機に立っている。

また、ISが、いよいよイスラエルに目を向け始めた。聖書的価値観陣営と、そうでない陣営の対立が明確になってきているようでもある。

世界は、気候変動の過渡期にあり、また、巨大な山火事に大きな地震(ここでは上げてないが、今週、トルコで大地震が発生し、死者も多数)も各地で発生している。何度も書いているが、いよいよ聖書のいう終末が近づいているのではないだろうか。
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第5回ホロコーストフォーラムより:世界統一の型?? 2020.1.28

 2020-01-28
23日、エルサレムのホロコースト記念館ヤド・バシェムで、第5回世界ホロコースト・フォーラムが行われた。ちょうどアウシュビッツ・ビルケナウ虐殺強制収容所がソ連の赤軍に解放されてから75年目であった。

このため、このフォーラムの先立ち、プーチン大統領は、リブリン大統領とネタニヤフ首相も同席する中、ナチス崩壊の になった、レニングラードの戦争を戦った赤軍兵士を記念するモニュメントを創立する式典を行った。フォーラムはこの直後にヤドバシェムで始まった。

このフォーラムは、単にアウシュビッツの解放を記念することが目撃ではなく、今、欧米社会で反ユダヤ主義暴力が悪化していることを受けて、イスラエルが、首脳たちに対処を約束してもらうという趣旨のもとでのイベントであった。

このテーマのもと、49カ国という、イスラエル史上最も多くの首脳が、イスラエルに集結したことは、前代未聞であり、歴史的なイベントになったことは間違いない。

<リブリン大統領、ネタニヤフ首相演説>

首脳たちを前に、リブリン大統領は、イスラエルが、このフォーラムで、被害者として、諸国の哀れみや補償を訴えているのではないと強調した。世界の反ユダヤ主義は、今も変わりはないが、イスラエルは前向きな民主国家として強い国になっていると主張した。

しかし、同時にイスラエルは、ホロコーストの事実を覚え続けると言った。それは、恨み続けるということではなく、これを覚えて、歴史を繰り返さないようにするためであり、それは、諸国にとっても同じ責務であると訴えた。

アウシュビッツを解放したのは、旧ソ連の赤軍だが、この時西からも、アメリカ、イギリス、フランスなどの連合軍が、ナチスドイツを攻撃し、全世界が協力して、ナチスを壊滅させた。

人類最大の悪を、人類が協力して打ち破ることができたと述べ、欧米とロシアはイデオロギー的には違っても、結果的に協力できたのだとして、これからも反ユダヤ主義と戦うチームになっていただきたいと呼びかけた。

ネタニヤフ首相は、義なる異邦人が、自分だけでなく、家族の命のリスクを負ってまでもユダヤ人を助けてくれたとして、諸国首脳達に感謝を述べるところから、メッセージをはじめた。

しかし、アウシュビッツ解放は遅すぎたとして、イスラエル国家の存在の重要性とともに、その首相として、第二のホロコーストを起こさないようにすることが、最大、最重要の任務であるとの認識を語った。

<諸国応答>

続いて、プーチン大統領、ペンス副大統領、マクロン仏大統領、チャールス皇太子、そして、諸国代表としては、最後に、ドイツのステインマイヤー大統領が、スピーチを行った。主なスピーチの内容は以下の通り。

1)ロシア:プーチン大統領

プーチン大統領は、大型バス満員のジャーナリストや、護衛など総勢600人を連れてきていたという。フォーラムのメッセージでは、赤軍兵士たちがアウシュビッツを解放した時の記録を読んだとして、そのショックを語るところからメッセージをおこし、アウシュビッツを解放したのがロシア軍であったことを強調した。

当時はナチスに協力した人々が、ウクライナ(ユダヤ人140万人虐殺)やリトアニア(22万人虐殺)におり、時に司令官であったナチスよりも残虐だったとしてナチスだけの犯罪ではなかったと述べた。

また、同時にナチスは、ユダヤ人を抹殺しようとしたが、同じことをロシア人、ベラルーシ人、ウクライナ人、ポーランド人に対しても行おうとしたことを忘れてはならないと語り、ホロコーストは二度と起こってはならないと述べた。

全体的に見ると、プーチン大統領は、ホロコーストを、ユダヤ人に特化せず、グローバルに表現したということである。しかし、たとえば、ポーランドのユダヤ人は、95%が抹殺されたのであり、他の民族とは比べられないような現状があるとして、イスラエルでは、批判の声もあった。

そのロシアだが、1939年に、ナチスと条約を結び、ナチスとともにポーランドの北東部を攻め取ったのであった。これについて、ポーランドとロシアの間には、まだ未解決の問題を抱えたままである。

完全原稿: https://www.timesofisrael.com/this-crime-had-accomplices-full-text-of-vladimir-putin-holocaust-forum-speech/

2)アメリカ:ペンス副大統領

ペンス副大統領は、反ユダヤ主義暴力と戦っていく必要を述べ、ホロコーストを否定し、イスラエルを地図から抹消しようとする国、イランに対し、強くたっていかなければならないと訴えた。

また、イスラエルが、この悲劇(1945年)から3年の”死の谷”の後に、イスラエルが立ち上がった(1948年)ことへの驚きと敬意を述べ、「今日、私たちは、ユダヤ人の力と回復力、信仰を見ているが、それは神のユダヤ人への誠実の証を見ていることである。」と述べた。

最後には、神が、ユダヤ人とアメリカ、ここに集まった全ての国々を祝福されるように。天に平和を創られるように、私たちすべての国に平和を与えてくださるようにと祈りでしめくくった。

完全原稿: https://www.timesofisrael.com/we-marvel-at-jewish-resilience-full-text-of-pences-speech-to-holocaust-forum/

3)ドイツ:ステインマイヤー大統領

ドイツはナチスを生み出した国である。このような場で演説することの難しさは想像に耐えない。ステインマイヤー大統領は、まずはヘブライ語で祈りを捧げた。

「私の国の恥に耐えています」と語り、ドイツの負っているこの責任には、終わりはない。ドイツがこれに対してどう対処するかで、私たちを判断していただきたい。」と、その悔い改めの深さと覚悟を述べた。

しかし同時に、ドイツで反ユダヤ主義暴力が発生していると述べ、「私たちの国は、何も学んでない。反ユダヤ主義は悪化している。」と認め、「同じことが二度と起こらないようにしなかればならない。」と危機感を持って決意を語った。

ステインマイヤー大統領が、へりくだって、明確にその罪の責任には終わりはないとまで言ったことを、イスラエルでは感動をもって受け取られていた。一方で、口で言うだけでなく、実際に反ユダヤ主義暴力を阻止するべきだとの声もあった。

完全原稿:https://www.timesofisrael.com/laden-with-guilt-full-text-of-german-presidents-world-holocaust-forum-speech/

<その他のエピソード>

1)ペンス副大統領が嘆きの壁訪問


23日、フォーラム式典後、ペンス副大統領は、嘆きの壁を訪問。敬虔な福音派クリスチャンとして、詩篇からのみことばを読み、10分にわたって、祈りを捧げた。

その後、新しいアメリカ大使館で、ネタニヤフ首相と会談。ネタニヤフ首相は、「アメリカほどの友はいない。」と述べた。

https://www.i24news.tv/en/news/israel/1579800692-us-vp-mike-pence-makes-visits-western-wall-in-jerusalem-s-old-city

2)プーチン大統領が、ベツレヘムでアッバス議長と会談

プーチン大統領は、23日、フォーラム式典後、ベツレヘムで、アッバス議長と会談。アメリカの和平案について話しあった。プーチン大統領は、パレスチナ自治政府への支持を表明。5月の戦勝マーチが行われるモスクワへアッバス議長を招いたとのこと。

https://www.jpost.com/Middle-East/Putin-and-Abbas-meet-in-Bethlehem-discuss-Deal-of-the-Century-615235

3)チャールス皇太子の祖母は義なる異邦人

イギリスのチャールス皇太子は、エルサレムで、その父方の祖母アリス王女の墓を訪問した。

アリス王女は、第二次世界大戦のころ、イギリス王室から、ギリシャとデンマークのアンドリュー王子と結婚。その息子フィリップが、後にイギリスの女王と結婚するにあたり、ギリシャ王族のタイトルを返上して、イギリス王室に入った。その息子がチャールス皇太子である。

アリス王女は、ギリシャで、ユダヤ人をナチスから保護したことで、義なる異邦人と認められた。アリス女王は、戦後もギリシャにとどまり、ギリシャ正教の修道女のための修道会を設立した。亡骸は、エルサレムのマグダラのマリアの教会に埋葬された。

チャールス皇太子は、このほか、ベツレヘムや、エルサレムのキリスト教サイトを訪問した。

https://www.bbc.com/news/uk-51236905

4)サイバー攻撃800回以上

チャンネル12が報告したところによると、このフォーラムの期間中に、キャッチされたサイバー攻撃は少なくとも800回はあったという。攻撃は、イラン、中国、北朝鮮、ロシアからとのこと。目標は航空機関連で、その飛行を妨害しようとしていた。

一般の旅客機が発着する中、これほどの数の首脳が航空機で出入りする。しかもプーチン大統領やペンス副大統領といった超大物ばかりである。これらの出入りや、首脳の動きをここまでみごとに計画し、護衛したイスラエルにはやはり脱帽である。

エルサレム市内は、22日、23日とバスの動きはかなり影響を受けたが、首脳の移動が終わればすぐに、道路閉鎖が解除されるので、困難ではあったが、移動ができなくなるということはなかった。

<石のひとりごと>

今回は、ドイツのステインマイヤー大統領がへりくだり、「私たちの責任に終わりはない。これに私たちがどうするかをみていてほしい。」と述べたことに感動を覚えた。

これを聴きながら、日本では、戦争を子供達に深く教えないまま、韓国に対して、責任の「終了宣言」をしたことを思った。無論、ナチスと日本を比べることはできない。しかし、いくら補償をしたとはいえ、加害者の方から、責任の終了を宣言できるものだろうか。

某国立大学の日本政治外交教授は、ナチスは、その罪があまりにも明確なので、むしろ幸運だ。日本の場合、国の性質が違うし、アジアで犯したとされる罪がどうもグレーの部分もあり、ドイツほど、国として謝罪を明らかにすることに問題が残ると言われていた。

そうした中、日本には、「水に流す」という文化がある。しかし、世界にそんな文化はない。しっかり覚えることで、同じ間違いを繰り返さないようにと努めるのが世界である。世界との文化の違いをよく見据えた上で、外交をしていく必要があると思った。

またこれほどの、首脳陣がエルサレムに集結した様子を見て、韓国人クリスチャンの友人が、将来のエキュメニカルな、世界統一を見るようだと言っていた。イスラエルは、聖書の神を実証する国だが、同時に、最後に神に逆らうものもまたイスラエルから出るのではとも思わせるフォーラムでもあった。
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ポーランドでアウシュビッツ解放75周年記念式典 2020.1.28

 2020-01-28
23日、エルサレムで、第5回世界ホロコーストフォーラムが行われたが、これに続いて、28日、ポーランドでアウシュビッツ解放75周年記念式典が行われた。会場は、アウシュビッツ・ビルケナウの虐殺収容所の入り口に設置された。

この式典は、現在の反ユダヤ主義の台頭を阻止しようとするイスラエルのホロコーストフォーラムとは違って、アウシュビッツ解放そのものを記念する式典である。このため、主役はアウシュビッツからの生存者たちである。式典では、生存者の証言者が続いて講壇に立ってそれぞれの経験を語った。

首脳陣としては、ポーランドのドゥダ大統領、ドイツのステインマイヤー大統領、イスラエルからリブリン大統領が式典に出席した。

式典中継:https://www.youtube.com/watch?v=Y4DP9DqLRI0&feature=emb_logo

ポーランドのドューダ大統領は、第5回世界ホロコーストフォーラムに招かれていたが、出席しなかった。アウシュビッツ解放75周年で、いわばポーランドが脚光をあびる時であるのに、ポーランドには、発言する機会が与えられなかったからである。

ポーランドに発言を許さなかったことについて、ヤドバシェムは、今回の発言国は、ナチスを打ち破った戦勝国に限っていると説明している。

イスラエルとポーランドの関係は、昨今、ホロコーストの責任はポーランドにもあるかないかという点で、関係がギクシャクしていた。このため、ポーランド大統領のフォーラム欠席は、イスラエルでも物議となった。

フォーラムの後に、ポーランドを訪問したリブリン大統領は、ドゥダ大統領との共同記者会見にて、「ホロコーストはナチスによってはじめられたが、ヨーロッパ全域でそれに協力した形であり、それぞれは、その責任を負うべきである。」と述べた。

同時に、ドゥダ大統領をエルサレムに招き、両国の関係とは別に、歴史は、双方の歴史家の研究に任せて、政治に影響しないようにしなければならないと語った。要はともに反ユダヤ主義と戦うことだとリブリン大統領は語った。

https://www.timesofisrael.com/rivlin-to-polish-counterpart-many-poles-stood-by-helped-murder-jews-in-wwii/

<アウシュビッツに教会建物:ラビたちが撤去を要求>

アウシュビッツは、一度に9万人が在住できるひとつの大きな町である。この広大な殺人工場で、110万人が虐殺された。そのアウシュビッツから見えるところに、大きな教会が、大きな十字架をかかげて立っている。

この教会は、カトリックで、今も礼拝が行われている活発な教会である。この建物は、かつてナチスの本部が置かれていた建物であり、ユダヤ人女性たちが拷問やレイプされた場所でもありという。

いわば、アウシュビッツ・ビルケナウにあるべき建物ではないといえる。アウシュビッツ解放75周年イベントに合わせて、アメリカのユダヤ教ラビたち4人が、「この建物は、1987年に欧州で、アウシュビッツにカトリックの礼拝の場を置かないと決められた協定に違反する。すぐにも撤去せよ。」と訴えた。

この運動を導くラビ・ウエイスは、「これこそアウシュビッツに対する冒涜だ。」と叫んだ。

なお、ホロコーストにおいて、カトリックのバチカンは、公式には、ユダヤ人を助けなかったが、コルベ神父のように、個人でユダヤ人を助けてアウシュビッツで殺されたカトリックの聖職者は、少なからず存在している。

https://www.reuters.com/article/us-holocaust-memorial-auschwitz-rabbi-pr/rabbis-call-for-removal-of-church-at-auschwitz-idUSKBN1ZP0OY

<アウシュビッツからの手紙:アウシュビッツ映像をカラーに>

イスラエルの国立図書館は、アウシュビッツ解放75周年を記念して、アウシュビッツにいた人々とウイーンの親族友人の間の葉書や手紙を公開した。お互いの無事を尋ねる短いやりとりだが、殺されていった人々の直筆からは、失われた命の尊さがあふれている。

https://www.ynetnews.com/article/S1Z00uHhW8

また、ホロコーストの記憶を後世に伝え続けるため、白黒の写真や記録映像にカラーをつけたドキュメンタリーが、今週公開される。論争はあったが、カラーになると、現実味が増して、戦争を知らない次世代にもその現実が少しは伝わるのではないかと言われている。

https://www.jpost.com/Diaspora/Antisemitism/New-documentary-colourizes-images-from-Auschwitz-for-the-first-time-615539

<イスラム教指導者62人がアウシュビッツ訪問>

イスラエルで世界ホロコーストフォーラムが行われ、続いてポーランドで、アウシュビッツ解放記念式典が行われたが、この中にイスラム諸国はまったく含まれていない。

こうした中、24日、アメリカのユダヤ委員会のメンバーとともに、イスラム教指導者62人が、アウシュビッツを訪問した。導いたのは、サウジアラビアのメッカを拠点とする世界イスラム同盟のミハンマド・アル・イサ氏である。訪問の目的は、イスラムの寛容性を示すためとしている。

https://www.aljazeera.com/news/2020/01/muslim-leaders-visit-auschwitz-liberation-anniversary-200123171532513.html

62人は、28カ国から来たイスラム指導者で、うち25人は高位のイスラム教指導者であった。イスラム指導者たちは、アウシュビッツで祈りを捧げ、また一行は、ポーランドのユダヤ博物館も訪問した。

<石のひとりごと>

ホロコーストは、単にユダヤ人が被害者で、ナチスが加害者というだけではない。これは、全人類の罪が表面化した形である。こうしたイベントにアジア諸国もイスラム諸国も招かれていなかったが、日本人を含め、人間として、この問題に無関係の人はいないだろう。

筆者は、ヤドバシェムで、初の日本語公式ガイドとして、より多くの日本の人にもこの問題を知ってもらいたいと願っている。ホロコーストを学ぶ事は、世界を理解する事にとどまらず、個人の生き方にも大きな益になると確信している。

これを読んでくださっている読者もいつか、ヤドバシェムに来てくださるか、学校等でのセミナーの受付もぜひ検討していただければ幸いである。
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