FC2ブログ

トランプ大統領:世紀の取引・中東和平案公開へ:ネタニヤフ首相・ガンツ氏をワシントンへ招待 2020.1.28

 2020-01-28
第5回ホロコーストフォーラムが開催された23日、トランプ大統領が、独自の中東和平案”世紀の取引”を数日以内に明らかにするとして、ネタニヤフ首相と、そのライバル、青白党のガンツ党首とワシントンへ招待すると発表した。

ネタニヤフ首相は、ただちにこれを快諾。ガンツ氏も承諾したが、後に、ネタニヤフ首相の罠だと感じたのか、これを断るとのニュースも流れた。最終的には、ガンツ氏もワシントンに行くことになったが、ネタニヤフ首相とは別に、トランプ大統領と会談する。

27日夜、ネタニヤフ首相は、サラ夫人を伴って、ワシントンに到着。ガンツ氏は、別の飛行機で、27日日中に到着。28日、まず、ネタニヤフ首相がトランプ大統領と会談、その1時間半後にガンツ氏がトランプ大統領と会談する。翌28日、トランプ大統領とネタニヤフ首相がもう一度会談するという流れである。

https://www.nytimes.com/2020/01/23/world/middleeast/israel-peace-plan-kushner.html

この他、世紀の取引、中東和平案が発表されるにあたり、アラブ諸国の大使らもその場に招待されているとの情報もある。(チャンネル13)

<トランプ大統領中東和平案:世紀の取引とは?>

トランプ大統領が、親イスラエルであることは、明白であるため、トランプ大統領の中東和平案は、おおむねイスラエルに有利であるとみられているが、まだ何がおこるかは予想不可能と言っておいたほうがよいだろう。これまでに、メディアにもれて、明らかになっている点は以下の通り。

①イスラエルはヨルダン渓谷を合併。西岸地区のユダヤ人入植地にイスラエルの法律を適応する(つまり合併??)。
②エルサレムの一部(防護壁の外側)を首都とし、非武装のパレスチナ国家を設立する。

この双方とも、ネタニヤフ首相が、すでに訴えてきたことであるため、ネタニヤフ首相はこれを歓迎するとみられる。26日、ネタニヤフ首相はワシントンへ出発するにあたり、「この3年、イスラエル最大の友人、トランプ大統領とは数え切れないほど話し合ってきた。彼と共に、歴史をつくりに行ってくる。」と述べた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/275139

一方、ガンツ氏は、トランプ大統領が、ネタニヤフ首相に対して、異様に好意的であることから、ワシントンで2人にまるめこまれないよう、警戒しているもようで、いったん招待を断るとのニュースも出たが、最終的には、ワシントンへ向かっている。

実際、トランプ大統領が、ネタニヤフ首相との会談を予定している28日、イスラエルの国会では、ネタニヤフ首相の汚職への起訴に関する決議が行われる。その日をあえて選んだかのごとく、ネタニヤフ首相をワシントンへ招待していることが、トランプ大統領とネタニヤフ首相の計略であるとも考えられるわけである。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Deal-of-the-Century-Does-Israel-know-what-it-wants-615456

<反発するパレスチナ:自治政府解散を脅迫>

パレスチナ自治政府のアッバス議長は、トランプ大統領の世紀の取引を全面的に拒否した上、アメリカとの交渉も全面的に拒否している。

今漏れ聞こえてくる取引の内容によると、パレスチナ国家ができたとしても、領土は今の70%になり、しかも非武装となっている。パレスチナ自治政府がこれを受け入れることはないだろう。

26日、パレスチナ自治政府の報道官は、高官らが、議論を続けており、自治政府を解散することや、オスロ合意の部分的破棄の可能性が上がっているという。いずれの場合も、和平どころか、混乱を引き起こすことになる。

また、パレスチナ自治政府のマルキ外相は、アラブ諸国との実質的な対処の話し合いが進んでいると述べた。

しかし、近年、パレスチナ人と同じスンニ派のアラブ諸国は、アメリカとイスラエルに近づく傾向にある。サウジアラビアにいたっては、イスラエルからの観光客を受け入れるとの話にもなっている。パレスチナ問題で、これらのアラブ諸国がどう出てくるか、先行きは見通せない。

ハマスもトランプ大統領の「世紀の取引が成立することはない。」と、これを拒否すると表明した。ハマスの指導者ハニエは、近くカイロで、ハマスとファタハ(パレスチナ自治政府)の会談が予定されていると言っている。

https://www.timesofisrael.com/savaging-trump-peace-plan-palestinians-again-threaten-to-dissolve-pa/

そのハマスだが、最近、またガザから、風船に爆発物を装着したものをイスラエル南部に飛ばしてきて、問題になっている。25日(土)には、ガザから40キロも離れたネゲブ地方の、キブツ・スデ・ボケルで、爆発物が装着されている風船が発見された。

これを受けて、イスラエル軍は、ガザ内部への空爆を行った。これによる負傷者は報告されていない。

https://www.timesofisrael.com/idf-jets-strike-gaza-targets-in-response-to-launch-of-incendiary-devices/

<ヨルダンのアブドラ国王:トランプ和平案に反対表明>

ヨルダンにとって、イスラエルがヨルダン渓谷を合併することは受け入れがたいことである。ヨルダンのアブダラ国王は、トランプ大統領の中東和平案には、まったく同意できないとする立場を強調した。

https://www.timesofisrael.com/jordanian-king-reiterates-opposition-to-us-peace-plan-ahead-of-release/

<本当の目的は?:和平案でも和平は期待せず?>

今回のトランプ大統領の世紀の取引の公表だが、本来はもっと早くに発表される予定だった。それが、イスラエルの総選挙で首相がいまだに決まっていない状況を受けて、発表ができなかったのである。

しかし、その概要は関係諸国には伝えられていたとみられ、すでに、パレスチナ側は、完全拒否を表明しているわけである。この状態で、イスラエルとパレスチナの間に、和平が実現するはずはない。とすると、トランプ大統領が、今この和平案を発表するとしても本当の目的は、和平の実現ではなさそうである。

アメリカでは、今年の大統領選挙を前に、トランプ大統領が弾劾の危機にある。今まだ、トランプ大統領の庇護があるうちに、イスラエルが、ヨルダン渓谷と、西岸地区の30%を合併してしまうということが目的とも考えられなくもない。

今回の和平案発表は、ちょうどエルサレムで、第5回世界ホロコースとフォーラムに46人の首脳が集結し、ホロコーストに思いをさせた直後である。イスラエルへの世界の同情が若干でも残されている時期であるとも考えらえる。

こうした要素から、今回のトランプ大統領の和平案発表の動きは、政治的にネタニヤフ首相を起訴から救い出して、次の総選挙での立場を有利にするとともに、トランプ大統領自身も、大統領選挙を前に、ユダヤ人や福音派の支持を得ようとする政治的なパフォーマンスだとの見方もある。

この同じ時期の先週、トランプ大統領は、現職大統領としては初めて、中絶反対のマーチ・フォー・ライフで、演説した。これについても、福音派の熱狂的な支持を得たとみられる。

<ISIS:イスラエルとユダヤ人を攻撃せよ>

それはまた、これを阻止しようとする力も大きいことからも察せられる点である。27日、ISが、トランプ大統領の和平案に反発し、イスラエルとユダヤ人(入植地)を攻撃するよう呼びかける録音の音声を流した。

ISは、パレスチナ人は、アラブの戦いの最前線にいるとし、「今日、我々は新しいステージに入った。我々の目は今、エルサレムに向けられた。」と宣言した。

https://www.ynetnews.com/article/SyL6pD2ZL
カテゴリ :イスラエル外交・防衛 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

ネタニヤフ首相汚職問題:28日首相免責法案関連委員会立ち上げを国会で審議 2020.1.28

 2020-01-28
先月、マンデルビット司法長官は、ネタニヤフ首相を、汚職、背任などの罪で起訴すると発表。これにより、ネタニヤフ首相には、国会で、首相には免責が認められるとする法案を提出する期間が定められ、その期間内に、ネタニヤフ首相は、免責法案を出すかどうかを決めることができる。

もし法案を提出しなければ、ネタニヤフ首相の起訴は、すぐにも可能になる。もし出した場合、国会がこれを承認すれば、ネタニヤフ首相の起訴はなくなるが、国会がもしこれを拒否すれば、ネタニヤフ首相は起訴される運びとなる。

こうなると、今の国会での票が問題になるが、ネタニヤフ首相を支持する右派政党とユダヤ教政党を合わせた右派ブロックは、過半数の61票には届かない。ネタニヤフ首相が法案を提出しても、これが承認される可能性は低いわけである。

しかし、ともかくも、ネタニヤフ首相は、期限ぎりぎりになり、法案を提出。これに対し、国会では、まずは、委員会を立ち上げるかどうかの議決が行われることになった。

この委員会は、ネタニヤフ首相の免責法案を拒否する権限を持つとされ、この委員会がその拒否案を実行するまでは、司法長官は起訴することができないとされる。

このため、リクードは、少なくとも3月2日の3回目総選挙まで、この委員会の立ち上げを遅延させ、起訴されてない状況でネタニヤフ首相が選挙に臨めるようにと努力した。しかし、結局、明日28日に、この議決が行われることになったものである。

*イスラエルの国会での免責システムは、非常に複雑で、ここに記したものは、おおまかな情報であるとご理解いただければと思う。

https://www.timesofisrael.com/netanyahu-mulling-pulling-immunity-request-as-knesset-pushes-ahead-report/

<石のひとりごと>

トランプ大統領は、旋風を巻き起こしながら、だんだん聖書的な動きになりつつある。たとえ、それが票獲得のためだったとしても、結果的には聖書に忠実な動きになっていることは聖書の読者なら否定できないだろう。

それはまた、この動きを妨害しようとする力もまた半端なく大きいというところからも察せられる点である。トランプ大統領と、ネタニヤフ首相を政治的に支持するわけではないが、2人とも不思議に弾劾の危機に立っている。

また、ISが、いよいよイスラエルに目を向け始めた。聖書的価値観陣営と、そうでない陣営の対立が明確になってきているようでもある。

世界は、気候変動の過渡期にあり、また、巨大な山火事に大きな地震(ここでは上げてないが、今週、トルコで大地震が発生し、死者も多数)も各地で発生している。何度も書いているが、いよいよ聖書のいう終末が近づいているのではないだろうか。
カテゴリ :イスラエル国内ニュース トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

第5回ホロコーストフォーラムより:世界統一の型?? 2020.1.28

 2020-01-28
23日、エルサレムのホロコースト記念館ヤド・バシェムで、第5回世界ホロコースト・フォーラムが行われた。ちょうどアウシュビッツ・ビルケナウ虐殺強制収容所がソ連の赤軍に解放されてから75年目であった。

このため、このフォーラムの先立ち、プーチン大統領は、リブリン大統領とネタニヤフ首相も同席する中、ナチス崩壊の になった、レニングラードの戦争を戦った赤軍兵士を記念するモニュメントを創立する式典を行った。フォーラムはこの直後にヤドバシェムで始まった。

このフォーラムは、単にアウシュビッツの解放を記念することが目撃ではなく、今、欧米社会で反ユダヤ主義暴力が悪化していることを受けて、イスラエルが、首脳たちに対処を約束してもらうという趣旨のもとでのイベントであった。

このテーマのもと、49カ国という、イスラエル史上最も多くの首脳が、イスラエルに集結したことは、前代未聞であり、歴史的なイベントになったことは間違いない。

<リブリン大統領、ネタニヤフ首相演説>

首脳たちを前に、リブリン大統領は、イスラエルが、このフォーラムで、被害者として、諸国の哀れみや補償を訴えているのではないと強調した。世界の反ユダヤ主義は、今も変わりはないが、イスラエルは前向きな民主国家として強い国になっていると主張した。

しかし、同時にイスラエルは、ホロコーストの事実を覚え続けると言った。それは、恨み続けるということではなく、これを覚えて、歴史を繰り返さないようにするためであり、それは、諸国にとっても同じ責務であると訴えた。

アウシュビッツを解放したのは、旧ソ連の赤軍だが、この時西からも、アメリカ、イギリス、フランスなどの連合軍が、ナチスドイツを攻撃し、全世界が協力して、ナチスを壊滅させた。

人類最大の悪を、人類が協力して打ち破ることができたと述べ、欧米とロシアはイデオロギー的には違っても、結果的に協力できたのだとして、これからも反ユダヤ主義と戦うチームになっていただきたいと呼びかけた。

ネタニヤフ首相は、義なる異邦人が、自分だけでなく、家族の命のリスクを負ってまでもユダヤ人を助けてくれたとして、諸国首脳達に感謝を述べるところから、メッセージをはじめた。

しかし、アウシュビッツ解放は遅すぎたとして、イスラエル国家の存在の重要性とともに、その首相として、第二のホロコーストを起こさないようにすることが、最大、最重要の任務であるとの認識を語った。

<諸国応答>

続いて、プーチン大統領、ペンス副大統領、マクロン仏大統領、チャールス皇太子、そして、諸国代表としては、最後に、ドイツのステインマイヤー大統領が、スピーチを行った。主なスピーチの内容は以下の通り。

1)ロシア:プーチン大統領

プーチン大統領は、大型バス満員のジャーナリストや、護衛など総勢600人を連れてきていたという。フォーラムのメッセージでは、赤軍兵士たちがアウシュビッツを解放した時の記録を読んだとして、そのショックを語るところからメッセージをおこし、アウシュビッツを解放したのがロシア軍であったことを強調した。

当時はナチスに協力した人々が、ウクライナ(ユダヤ人140万人虐殺)やリトアニア(22万人虐殺)におり、時に司令官であったナチスよりも残虐だったとしてナチスだけの犯罪ではなかったと述べた。

また、同時にナチスは、ユダヤ人を抹殺しようとしたが、同じことをロシア人、ベラルーシ人、ウクライナ人、ポーランド人に対しても行おうとしたことを忘れてはならないと語り、ホロコーストは二度と起こってはならないと述べた。

全体的に見ると、プーチン大統領は、ホロコーストを、ユダヤ人に特化せず、グローバルに表現したということである。しかし、たとえば、ポーランドのユダヤ人は、95%が抹殺されたのであり、他の民族とは比べられないような現状があるとして、イスラエルでは、批判の声もあった。

そのロシアだが、1939年に、ナチスと条約を結び、ナチスとともにポーランドの北東部を攻め取ったのであった。これについて、ポーランドとロシアの間には、まだ未解決の問題を抱えたままである。

完全原稿: https://www.timesofisrael.com/this-crime-had-accomplices-full-text-of-vladimir-putin-holocaust-forum-speech/

2)アメリカ:ペンス副大統領

ペンス副大統領は、反ユダヤ主義暴力と戦っていく必要を述べ、ホロコーストを否定し、イスラエルを地図から抹消しようとする国、イランに対し、強くたっていかなければならないと訴えた。

また、イスラエルが、この悲劇(1945年)から3年の”死の谷”の後に、イスラエルが立ち上がった(1948年)ことへの驚きと敬意を述べ、「今日、私たちは、ユダヤ人の力と回復力、信仰を見ているが、それは神のユダヤ人への誠実の証を見ていることである。」と述べた。

最後には、神が、ユダヤ人とアメリカ、ここに集まった全ての国々を祝福されるように。天に平和を創られるように、私たちすべての国に平和を与えてくださるようにと祈りでしめくくった。

完全原稿: https://www.timesofisrael.com/we-marvel-at-jewish-resilience-full-text-of-pences-speech-to-holocaust-forum/

3)ドイツ:ステインマイヤー大統領

ドイツはナチスを生み出した国である。このような場で演説することの難しさは想像に耐えない。ステインマイヤー大統領は、まずはヘブライ語で祈りを捧げた。

「私の国の恥に耐えています」と語り、ドイツの負っているこの責任には、終わりはない。ドイツがこれに対してどう対処するかで、私たちを判断していただきたい。」と、その悔い改めの深さと覚悟を述べた。

しかし同時に、ドイツで反ユダヤ主義暴力が発生していると述べ、「私たちの国は、何も学んでない。反ユダヤ主義は悪化している。」と認め、「同じことが二度と起こらないようにしなかればならない。」と危機感を持って決意を語った。

ステインマイヤー大統領が、へりくだって、明確にその罪の責任には終わりはないとまで言ったことを、イスラエルでは感動をもって受け取られていた。一方で、口で言うだけでなく、実際に反ユダヤ主義暴力を阻止するべきだとの声もあった。

完全原稿:https://www.timesofisrael.com/laden-with-guilt-full-text-of-german-presidents-world-holocaust-forum-speech/

<その他のエピソード>

1)ペンス副大統領が嘆きの壁訪問


23日、フォーラム式典後、ペンス副大統領は、嘆きの壁を訪問。敬虔な福音派クリスチャンとして、詩篇からのみことばを読み、10分にわたって、祈りを捧げた。

その後、新しいアメリカ大使館で、ネタニヤフ首相と会談。ネタニヤフ首相は、「アメリカほどの友はいない。」と述べた。

https://www.i24news.tv/en/news/israel/1579800692-us-vp-mike-pence-makes-visits-western-wall-in-jerusalem-s-old-city

2)プーチン大統領が、ベツレヘムでアッバス議長と会談

プーチン大統領は、23日、フォーラム式典後、ベツレヘムで、アッバス議長と会談。アメリカの和平案について話しあった。プーチン大統領は、パレスチナ自治政府への支持を表明。5月の戦勝マーチが行われるモスクワへアッバス議長を招いたとのこと。

https://www.jpost.com/Middle-East/Putin-and-Abbas-meet-in-Bethlehem-discuss-Deal-of-the-Century-615235

3)チャールス皇太子の祖母は義なる異邦人

イギリスのチャールス皇太子は、エルサレムで、その父方の祖母アリス王女の墓を訪問した。

アリス王女は、第二次世界大戦のころ、イギリス王室から、ギリシャとデンマークのアンドリュー王子と結婚。その息子フィリップが、後にイギリスの女王と結婚するにあたり、ギリシャ王族のタイトルを返上して、イギリス王室に入った。その息子がチャールス皇太子である。

アリス王女は、ギリシャで、ユダヤ人をナチスから保護したことで、義なる異邦人と認められた。アリス女王は、戦後もギリシャにとどまり、ギリシャ正教の修道女のための修道会を設立した。亡骸は、エルサレムのマグダラのマリアの教会に埋葬された。

チャールス皇太子は、このほか、ベツレヘムや、エルサレムのキリスト教サイトを訪問した。

https://www.bbc.com/news/uk-51236905

4)サイバー攻撃800回以上

チャンネル12が報告したところによると、このフォーラムの期間中に、キャッチされたサイバー攻撃は少なくとも800回はあったという。攻撃は、イラン、中国、北朝鮮、ロシアからとのこと。目標は航空機関連で、その飛行を妨害しようとしていた。

一般の旅客機が発着する中、これほどの数の首脳が航空機で出入りする。しかもプーチン大統領やペンス副大統領といった超大物ばかりである。これらの出入りや、首脳の動きをここまでみごとに計画し、護衛したイスラエルにはやはり脱帽である。

エルサレム市内は、22日、23日とバスの動きはかなり影響を受けたが、首脳の移動が終わればすぐに、道路閉鎖が解除されるので、困難ではあったが、移動ができなくなるということはなかった。

<石のひとりごと>

今回は、ドイツのステインマイヤー大統領がへりくだり、「私たちの責任に終わりはない。これに私たちがどうするかをみていてほしい。」と述べたことに感動を覚えた。

これを聴きながら、日本では、戦争を子供達に深く教えないまま、韓国に対して、責任の「終了宣言」をしたことを思った。無論、ナチスと日本を比べることはできない。しかし、いくら補償をしたとはいえ、加害者の方から、責任の終了を宣言できるものだろうか。

某国立大学の日本政治外交教授は、ナチスは、その罪があまりにも明確なので、むしろ幸運だ。日本の場合、国の性質が違うし、アジアで犯したとされる罪がどうもグレーの部分もあり、ドイツほど、国として謝罪を明らかにすることに問題が残ると言われていた。

そうした中、日本には、「水に流す」という文化がある。しかし、世界にそんな文化はない。しっかり覚えることで、同じ間違いを繰り返さないようにと努めるのが世界である。世界との文化の違いをよく見据えた上で、外交をしていく必要があると思った。

またこれほどの、首脳陣がエルサレムに集結した様子を見て、韓国人クリスチャンの友人が、将来のエキュメニカルな、世界統一を見るようだと言っていた。イスラエルは、聖書の神を実証する国だが、同時に、最後に神に逆らうものもまたイスラエルから出るのではとも思わせるフォーラムでもあった。
カテゴリ :反ユダヤ主義 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

ポーランドでアウシュビッツ解放75周年記念式典 2020.1.28

 2020-01-28
23日、エルサレムで、第5回世界ホロコーストフォーラムが行われたが、これに続いて、28日、ポーランドでアウシュビッツ解放75周年記念式典が行われた。会場は、アウシュビッツ・ビルケナウの虐殺収容所の入り口に設置された。

この式典は、現在の反ユダヤ主義の台頭を阻止しようとするイスラエルのホロコーストフォーラムとは違って、アウシュビッツ解放そのものを記念する式典である。このため、主役はアウシュビッツからの生存者たちである。式典では、生存者の証言者が続いて講壇に立ってそれぞれの経験を語った。

首脳陣としては、ポーランドのドゥダ大統領、ドイツのステインマイヤー大統領、イスラエルからリブリン大統領が式典に出席した。

式典中継:https://www.youtube.com/watch?v=Y4DP9DqLRI0&feature=emb_logo

ポーランドのドューダ大統領は、第5回世界ホロコーストフォーラムに招かれていたが、出席しなかった。アウシュビッツ解放75周年で、いわばポーランドが脚光をあびる時であるのに、ポーランドには、発言する機会が与えられなかったからである。

ポーランドに発言を許さなかったことについて、ヤドバシェムは、今回の発言国は、ナチスを打ち破った戦勝国に限っていると説明している。

イスラエルとポーランドの関係は、昨今、ホロコーストの責任はポーランドにもあるかないかという点で、関係がギクシャクしていた。このため、ポーランド大統領のフォーラム欠席は、イスラエルでも物議となった。

フォーラムの後に、ポーランドを訪問したリブリン大統領は、ドゥダ大統領との共同記者会見にて、「ホロコーストはナチスによってはじめられたが、ヨーロッパ全域でそれに協力した形であり、それぞれは、その責任を負うべきである。」と述べた。

同時に、ドゥダ大統領をエルサレムに招き、両国の関係とは別に、歴史は、双方の歴史家の研究に任せて、政治に影響しないようにしなければならないと語った。要はともに反ユダヤ主義と戦うことだとリブリン大統領は語った。

https://www.timesofisrael.com/rivlin-to-polish-counterpart-many-poles-stood-by-helped-murder-jews-in-wwii/

<アウシュビッツに教会建物:ラビたちが撤去を要求>

アウシュビッツは、一度に9万人が在住できるひとつの大きな町である。この広大な殺人工場で、110万人が虐殺された。そのアウシュビッツから見えるところに、大きな教会が、大きな十字架をかかげて立っている。

この教会は、カトリックで、今も礼拝が行われている活発な教会である。この建物は、かつてナチスの本部が置かれていた建物であり、ユダヤ人女性たちが拷問やレイプされた場所でもありという。

いわば、アウシュビッツ・ビルケナウにあるべき建物ではないといえる。アウシュビッツ解放75周年イベントに合わせて、アメリカのユダヤ教ラビたち4人が、「この建物は、1987年に欧州で、アウシュビッツにカトリックの礼拝の場を置かないと決められた協定に違反する。すぐにも撤去せよ。」と訴えた。

この運動を導くラビ・ウエイスは、「これこそアウシュビッツに対する冒涜だ。」と叫んだ。

なお、ホロコーストにおいて、カトリックのバチカンは、公式には、ユダヤ人を助けなかったが、コルベ神父のように、個人でユダヤ人を助けてアウシュビッツで殺されたカトリックの聖職者は、少なからず存在している。

https://www.reuters.com/article/us-holocaust-memorial-auschwitz-rabbi-pr/rabbis-call-for-removal-of-church-at-auschwitz-idUSKBN1ZP0OY

<アウシュビッツからの手紙:アウシュビッツ映像をカラーに>

イスラエルの国立図書館は、アウシュビッツ解放75周年を記念して、アウシュビッツにいた人々とウイーンの親族友人の間の葉書や手紙を公開した。お互いの無事を尋ねる短いやりとりだが、殺されていった人々の直筆からは、失われた命の尊さがあふれている。

https://www.ynetnews.com/article/S1Z00uHhW8

また、ホロコーストの記憶を後世に伝え続けるため、白黒の写真や記録映像にカラーをつけたドキュメンタリーが、今週公開される。論争はあったが、カラーになると、現実味が増して、戦争を知らない次世代にもその現実が少しは伝わるのではないかと言われている。

https://www.jpost.com/Diaspora/Antisemitism/New-documentary-colourizes-images-from-Auschwitz-for-the-first-time-615539

<イスラム教指導者62人がアウシュビッツ訪問>

イスラエルで世界ホロコーストフォーラムが行われ、続いてポーランドで、アウシュビッツ解放記念式典が行われたが、この中にイスラム諸国はまったく含まれていない。

こうした中、24日、アメリカのユダヤ委員会のメンバーとともに、イスラム教指導者62人が、アウシュビッツを訪問した。導いたのは、サウジアラビアのメッカを拠点とする世界イスラム同盟のミハンマド・アル・イサ氏である。訪問の目的は、イスラムの寛容性を示すためとしている。

https://www.aljazeera.com/news/2020/01/muslim-leaders-visit-auschwitz-liberation-anniversary-200123171532513.html

62人は、28カ国から来たイスラム指導者で、うち25人は高位のイスラム教指導者であった。イスラム指導者たちは、アウシュビッツで祈りを捧げ、また一行は、ポーランドのユダヤ博物館も訪問した。

<石のひとりごと>

ホロコーストは、単にユダヤ人が被害者で、ナチスが加害者というだけではない。これは、全人類の罪が表面化した形である。こうしたイベントにアジア諸国もイスラム諸国も招かれていなかったが、日本人を含め、人間として、この問題に無関係の人はいないだろう。

筆者は、ヤドバシェムで、初の日本語公式ガイドとして、より多くの日本の人にもこの問題を知ってもらいたいと願っている。ホロコーストを学ぶ事は、世界を理解する事にとどまらず、個人の生き方にも大きな益になると確信している。

これを読んでくださっている読者もいつか、ヤドバシェムに来てくださるか、学校等でのセミナーの受付もぜひ検討していただければ幸いである。
カテゴリ :反ユダヤ主義 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

国際世界首脳46人:第5回国際ホロコーストフォーラム 2020.1.23 

 2020-01-23

新しくオリーブ山通信を開設しました。 https://mtolive.net

今日23日、エルサレムのヤド・バシェムでは、アウシュビッツ解放75周年を記念して、第5回国際ホロコーストフォーラムが行われている。

このフォーラムは、イスラエルのリブリン大統領が、ロシアやヨーロッパ、オーストラリアなど、ホロコーストに関係する諸国の首脳たちを招いて、共に反ユダヤ主義と戦おうとするものである。

招きに応じて22日から、フランスのマクロン大統領などヨーロッパの首脳たちがエルサレムに集まり始めた。23日朝には、プーチン露大統領、ペンス米副大統領も到着。順次、リブリン大統領、ネタニヤフ首相と会談している。

首脳たちは、プーチン大統領、ペンス米副大統領、マクロン仏大統領、イギリスのチャールズ皇太子、ドイツのステインメイール大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領、ベルギーのフィリップ国王、オランダのウイレム・アレキサンダー国王、ノルウェーのハアコン皇太子、スペインの国王フィリップ4世,
ルクセンブルクのヘンリー大公

この他大統領の出席は、アルバニア、アルメニア、オーストリア、ベラルーシ、ボスニア、ブルガリア、クロアチア、フィンランド、ジョージア、キプロス、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、モルドバ、モンテネグロ、北部マセドニア、ポルトガル、ルーマニア、セルビア、スロバキア、スロバニア

首相は、チェコ、モナコ、スェーデン その他代表は、カナダ、欧州共同体、バチカン。また、トランプ大統領の弾劾を主張する民主党のナンシー・ペロシ下院議長が出席する。

HPにて、イベントを中継中。詳しくは順次お伝えする。
カテゴリ :反ユダヤ主義 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

エルサレムの日常 2020.1.20

 2020-01-23
以下は、フォーラムが始まる直前のエルサレムの様子です。イスラエル内外は非常に混乱する中、これほどの大きなイベントをやり遂げることができるのは、イスラエルぐらいでしょう。

正式な政府なし状態が1年と内政は混乱、イラン問題など、イスラエルをとりまく情勢もかなり厳しいが、エルサレムの日常は相変わらずである。金曜安息日入りの前のシュック(市場)は、身動きとれない超満員。安息日のパン、おいしい野菜、果物、肉類と祝福溢れる賑やかさだった。

土曜の朝は、バスも電車も止まる安息日。曇り時々雨だったが、通りには、祈りの書やタリートを手にシナゴーグへ行く男性たちや家族づれが歩いていた。ユダヤ人が、ユダヤ人らしい服装で、安息日に堂々とシナゴーグへ行けるのは、イスラエルぐらいだろう。

メシアニックのコングリゲーション、エルサレム・アッセンブリーの礼拝も会堂いっぱいだった。老若男女子供たちと300人以上はいただろう。ユダヤ人と、世界の四隅から来ているとみられる異邦人、白人、黒人、黄色人、皆がヘブライ語で賛美し、共に礼拝を捧げた。

午後は、あいにくの天気とあって皆が休んでいるのか、車もほとんど走らず、静まり返っていた。本当にリラックスする安息日だった。

ニュースは緊張いっぱいだが、実際に全国を巻き込むような戦争にならない限り、エルサレムの日常は、たいがい、このようなであると思っていた頂ければと思う。

<エルサレム旧市街とヘブロンで衝突>

とはいえ、これもまた、日常化してしまっている旧市街のパレスチナ人関連の騒ぎがなかったわけではない。金曜朝、神殿の丘で、イスラム教徒約8000人が、祈りの後、ユダヤ人に挑戦するようなシュプレヒコールを上げたため、治安部隊がまもなくこれを取り押さえた。

https://www.timesofisrael.com/muslims-chant-about-killing-jews-outside-jerusalems-temple-mount/

土曜午前中、旧市街のダマスカス門では、パレスチナ人の女性(50代)が、ナイフテロを試みて逮捕された。警備隊員が軽傷を負った。大事のようだが、瞬時に片付いて、すぐに何もなかったかのように日常に戻る。観光客は何事がおこったかもしらないまま、ガイドに連れられて旧市街を歩いていたと思われる。

エルサレムではないが、上記事件の午後、ヘブロンでは、マクペラの洞窟で、ユダヤ人(22)がパレスチナ人に刺されて中等度の負傷となった。こちらも現行犯逮捕となった。

https://www.jpost.com/Breaking-News/Stabbing-attempted-at-Cave-of-the-Patriarchs-report-614539

ヘブロンでは、先月、ベネット防衛相が、ヘブロンの元パレスチナ人マーケットをユダヤ人の家屋にする許可を出してから、緊張と今回の事件のようなことが、続いているという。これもまた、悲しい、また困った日常になっているようである。

<国際アウシュビッツ解放75周年記念式典:22-23日>

エルサレムのもう一つの日常は、時折世界の首脳がやってきて、市内のあちこちが遮断され、市民の足が混乱するということ。

来る23日には、ヤドバシェム(ホロコースト記念館)で、アウシュビッツ解放75周年の記念式典が予定されている。今回は75周年とあって、イスラエル史上最大、世界のそうそうたる首脳46人が出席する。

首脳たちは、プーチン大統領、ペンス米副大統領、マクロン仏大統領、イギリスのチャールズ皇太子、ドイツのステインメイール大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領、ベルギーのフィリップ国王、オランダのウイレム・アレキサンダー国王、ノルウェーのハアコン皇太子、スペインの国王フィリップ4世,
ルクセンブルクのヘンリー大公

この他大統領の出席は、アルバニア、アルメニア、オーストリア、ベラルーシ、ボスニア、ブルガリア、クロアチア、フィンランド、ジョージア、キプロス、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、モルドバ、モンテネグロ、北部マセドニア、ポルトガル、ルーマニア、セルビア、スロバキア、スロバニア

首相は、チェコ、モナコ、スェーデン その他代表は、カナダ、欧州共同体、バチカン。また、トランプ大統領の弾劾を主張する民主党のナンシー・ペロシ下院議長が出席する。ホロコーストといえばポーランドだが、式典でスピーチできないことを理由に欠席すると申し入れてきた。

相当なセキュリティであることはお察しいただけると思う。22-23日、エルサレム市内の交通はかなり不便になる。これもまたエルサレムの日常である。この日の様子は現地からお伝えする予定。テロなどからしっかり守られるよう、祈られたし。
カテゴリ :イスラエル国内ニュース トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

イランとアメリカの攻防:アメリカに軍配か 2020.1.9

 2020-01-09
イランのスレイマニ総司令官がアメリカ軍に暗殺されてから6日目の昨日8日、イランが、反撃だとして、イラクの米軍駐屯地2箇所に向かって、弾道ミサイルを18発撃ち込んだ。イラン革命防衛隊は、アメリカ兵80人以上が死亡。200人が負傷したと伝えた。

しかし、アメリカはこれを否定。攻撃から12時間後もアメリカが反撃する様子はない。8日夜(日本時間9日深夜)、トランプ大統領は、ペンス副大統領、ポンペイオ国務長官を伴って記者会見を開き、改めて、イランの攻撃で、アメリカ軍に被害はなかったと発表した。

イランの攻撃で、アメリカ兵に犠牲が出なかったということになれば、これはイランが劣勢になったということを意味する。トランプ大統領は、イランの覇気は落ちたようだとの判断を述べ、これに追い打ちをかけるように、米軍を攻撃したことへの反撃だとして、イランへの新たな経済制裁を発動すると発表した。

また、ロシア、中国を含む世界諸国に対し、今こそイランとの新しい核合意を再検討する時であると訴えた。

https://www.ynetnews.com/article/ByhW11uXeL

まだ断言はできないが、トランプ大統領が、絶妙なタイミングで、アメリカ、イスラエル、また世界にとっての危険人物を排斥し、イランを弱体化させた可能性もある。

<イランとアメリカの対立:これまでの流れ>

新年早々の2日深夜すぎ(金)、アメリカのトランプ大統領が、まさかのイラン革命防衛隊スレイマニ総司令官をイラクのバグダッドで暗殺するいう超・大胆な予想外の攻撃に出た。当然ながら、イランは憤慨し、アメリカへの宣言を繰り返した。

トランプ大統領は、5日、「イランが反撃するなら、イランの重要な文化的サイトを含む52箇所を攻撃する。」と、イランの反撃に大きく釘をさした。数字の52とは、1979年にテヘランで、アメリカ大使館が1年以上にわたって占拠された際、捕虜になったアメリカ人の数である。

https://www.bbc.com/news/world-us-canada-50987753

また、アメリカ国防省は、クエートに駐留している第82空挺部隊に新たに750人を追加して、3500人に増強したと発表した。中東全体に駐留するアメリカ軍は、1万2000人になるとの見通しである。

https://www.nytimes.com/2020/01/03/opinion/iran-trump-suleimani.html

これに対し、イランは、5日、2015年の核合意で決められた核の濃縮に関する制限を撤廃すると宣言した。イランは今後、無制限に、核兵器の濃度にまで核の濃縮をすすめるということである。これは事実上、合意を破棄することを意味する。

https://www.jpost.com/Middle-East/Germany-We-cant-accept-Iran-suspending-commitments-on-nuclear-deal-613452

イランは、スレイマニ司令官の遺体を、バグダッドからテヘランへ遺体を移送して6日、首都テヘランで、葬儀を行った。この時に100万ともみられる大群衆が、テヘランの通りを埋め尽くし、「アメリカに死を!イスラエルに死を!」と叫んだ。

https://www.ynetnews.com/article/Sk8siiWxI

これほどの群衆が集まるのは、1979年にイラン革命を導いたホメイニ師の葬儀以来だという。あまりの大群衆で、将棋倒しが発生し、イラン人少なくとも56人が死亡。200人以上が負傷した。この後、スレイマニ司令官の遺体は故郷のケルマンで葬られた。

イランが、アメリカへの報復を誓っていることから、イラクのマフディ首相(親イラン派)は、米軍を含むすべての外国籍軍はすべて撤退するようにとの声明を出した。イラクには、アメリカに協力するイギリス軍なども駐留しているからである。

マフディ首相は、7日、アメリカが、すぐにも撤退するともとれる返信を送ってきたと発表した。

https://www.timesofisrael.com/iraqi-pm-says-he-received-signed-us-withdrawal-letter-monday/

しかし、トランプ大統領はただちにこれを否定。「今は撤退する時ではない。」と言い返した。こうして8日、イランがイラク国内でアメリカ軍が駐留するイラク軍基地2箇所に弾道ミサイルを打ち込んできたという流れであった。結果、イランの主張に反して、アメリカ軍兵士に被害は出ていないということである。

<トランプ大統領のねらい:今のイランの反撃能力には限界あり?>

イラン革命防衛隊、その最もエリートであるコッズ部隊のトップを暗殺された。これはイランにとっては大きすぎる屈辱である。しかし、それでも、イランが今アメリカと正面から戦って勝てる可能性はほぼない。

アメリカ主導の厳しい経済制裁で、2019年、イランのインフレ率は40%を超え、失業率は15%となった。イラン経済は、昨年1年で1億ドル縮小したという。アメリカと戦う状況にも、核兵器を一気に製造する体力もなさそうである。

また、イラン革命防衛隊は、シリアをはじめ、レバノンのヒズボラやハマスも含む外国のテロ組織を支援し、イラン国内は財政破綻したわけである。にもかかわらず、イラン革命防衛隊は、軍事だけにとどまらず、政権直属のエリートとして、社会の様々な分野に関与し、あらゆるところで汚職の根源になっていた。

こうしたことから先月、激しい反イラン政権デモが全国100の都市で発生した。政権側は、武力でこれを厳しく取り押さえ、デモに参加した市民1500人が死亡したとも伝えられている。この一連のことは、わずかひと月前のことである。

テヘランでのスレイマニ総司令官の葬儀で通りに出たのは、100万人を超える大群衆ではあったが、総人口約8000万人から考えるとわずかと言えなくもない。イランは内政においても危機的状況にある。

現実問題として、今のイランは、アメリカと戦う余裕はないといえる。実際、イランは、「アメリカとの戦争は望まない。」との声明を出している。

しかし、BBCの調査によると、それでもスレイマニ司令官は、イランでは、超大物であったことから、たとえ悪者であったとしても、国としての大きな屈辱として捉えられて、反政府感情に一定のブレーキになる可能性もある。

<なぜアメリカはスレイマニ参謀総長を暗殺したのか:長年の指名手配の結果>

トランプ大統領は、今この時にスレイマニ司令官を排斥したのは、彼がとてつもない大きなテロを計画していた兆しがあったからだと説明した。

スレイマニ司令官は、1998年からイラン革命防衛隊クッズ隊隊長に就任。以来、影の将軍として、シリア、イランにおける様々な軍事作戦を指揮した。

元CIA(アメリカ中央情報局)長官のデービッド・ペトラウス氏によると、スレイマン総司令官は、中東各地のテロ組織に武器や支援金を与えて、過去約20年、イランが中東で覇者になるためのあらゆる作戦、執行の立役者であったという。これらのテロ組織との対峙で死亡したアメリカ兵は600人に上る。

ペトラウス氏は、「スレイマニ司令官の暗殺により、アメリカの反撃が強力で確実であると示した。これは今後の反撃への確かな予防策になる。これはオサマ・ビン・ラディンや、ISISのアブ・バクル・アル・バグダディの暗殺以上に重要であったと語る。

https://www.jpost.com/Middle-East/Petraeus-US-Soleimani-strike-more-important-than-Bin-Laden-killing-613191

トランプ大統領は、スレイマニ司令官は、もっと早くに排斥するべきであったと述べている。

今後の懸念としては、スレイマニ司令官が支援してきた中東各地のテロ組織が、アメリカ関連施設や、もしかしたらアメリカ国内でのテロに出てくる可能性がある。

しかし、総元締めのスレイマニ司令官自身がもういないことから、今後の支援がどうなるかも不明であること、また、アメリカは必ず反撃してくること、イラン自身がアメリカとの戦争を望んでいないと言っていることなどから、いずれの組織もあまり大きな行動には出ないのではないかと考えられる。

トランプ大統領が言うように、スレイマニ司令官の死は、確かに中東から世界の覇者を狙うイランの鼻をくじき、危険なテロ組織の行動にブレーキをかけた可能性がある。

<イスラエルとの関連:ヒズボラとハマスは?>

レバノン南部のヒズボラは、イランの傀儡である。イランがイラクのアメリカ軍へのミサイル攻撃を行った際、ナスララ党首は、「もしアメリカが反撃してきたら、イスラエルを攻撃する。」と脅迫した。しかし、アメリカが反撃していないので、ヒズボラも動きようがない。

ハマスは、イランから武器の支援を受けているので、その指導者ハニエは、テヘランでのスレイマニ総司令官の葬儀に参列。スレイマニ司令官から受けたこれまでからの支援に感謝を述べ、これからもイスラエルとの戦いは続けていくと述べた。

また、スンニ派イスラムの湾岸諸国は、スレイマニ司令官の指図で暗殺の危機にあったという。

イスラエルも、アメリカと同様、スレイマニ司令官が、イスラエルへのあらゆる攻撃の背後にいることを知っていたので、2006年の第二次レバノン戦争中と、昨年、暗殺を試みたが、失敗に終わっていた。

ネタニヤフ首相は、アメリカによる暗殺を歓迎し、「イスラエルはアメリカと100%同じとことに立つ。」と宣言した。スレイマニ司令官暗殺は、右派ネタニヤフ首相には、総選挙に向けて追い風になったともみられている。

イスラエルは、イランやヒズボラが、北から攻撃してくることはないとみたのか、一旦閉鎖されていたヘルモン山の観光地は、5日から、一般市民に解放されていた。

https://www.timesofisrael.com/by-killing-soleimani-the-us-takes-a-dramatic-step-with-unknown-consequences/

<ほくそ笑む?ロシア>

今回、ロシアの実質的な介入はみられなかった。ロシアは、シリアで、アメリカが撤退した後地へ軍をすすませて、支配力を強化している。そうした中、同様に、シリアで勢力を伸ばそうとするイランが弱くなることは、ロシアにとっても好都合である。

https://www.reuters.com/article/us-turkey-russia-pipeline/turkey-russia-launch-turkstream-pipeline-carrying-gas-to-europe-idUSKBN1Z71WP

同様にトルコも今回、ほぼ沈黙だった。この混乱のさなかの8日、ロシアは、トルコを経由してヨーロッパに天然ガスを送るパイプラインの開通式行っていた。

また、トルコは最近、リビアへ進出したが、9日、エルドアン大統領とプーチン大統領が、リビアの内戦を来週にも集結させる方向で動き始めている。世界がイランで忙しくしている背景で、ロシアとトルコは、友好を深め、リビアへの共同進出をすすめていたということである。

<イランで増加中?福音派クリスチャン>

今懸念されることは、イランにいるクリスチャンたちの存在である。イランでは、苦しい生活状況もあり、クリスチャンになる人が増えているという。

シリアなど、中東の危険地域で医療活動を展開して宣教している福音派クリスチャン団体FAIが公開した、イスラム教国の中にいる福音派クリスチャンに関するドキュメンタリーシリーズ「狼の中の羊」によると、イランではここ数年、激しい迫害の中で地下教会(福音派)が拡大しているという。そのスピードは世界最大だと同団体は報告している。

https://www.christianpost.com/news/sheep-among-wolves-documentary-looks-at-growth-of-christianity-in-iran-led-by-women.html

アメリカとの戦いで苦しいところに立たされているイラン政権、またそれに従う者たちが、イスラエルやユダヤ教、アメリカにも関係する”敵国のもの”聖書を重んじるクリスチャンたちへの迫害をさらに強める可能性がある。彼らが守られて、逆に国の祝福になっていくように。

イランはかつてのペルシャである。そのクロス王は、紀元前6世紀にユダヤ人のイスラエルへの帰還を実現した。苦境に立つイランで、さらにリバイバルが広がり、他国の死を叫んで呪う国から、祝福する国へと変わっていくようにと願う。

<石のひとりごと>

アメリカの経済制裁の影響は予想以上に甚大だった。2015年にオバマ大統領が、イランとの核合意を締結して経済制裁をやめた際、ネタニヤフ首相は、「今こそイランをたたくときなのに、なぜ経済制裁をやめるのか。」と一人で激しく反発していた。

今回の流れで分かることは、確かにアメリカの動き一つで、イランをここまで抑え込むことができるはずとネタニヤフ首相は見ていたのだろう。

トランプ大統領は、先を考えず、その場その場で動いていると言われる。しかし、不思議に、イスラエルにとって有利な形になることを行っている。本人はその気はないと思われるので、やはりこれは、主によって動かされているのではないかと思わざるをえない。

しかし、ここからどうなるかは、イランの核兵器開発を含め、まだまだ不透明である。

今回のイランとアメリカの戦争は、なんとか避けられそうでもある。イランでは、リバイバルが続く。戦争になれば、多くの若者が徴兵され、死んでいくことになる。今もしかしたら主が、このリバイバルを守るために、聖書がいうように、救われる人の数が満ちるまで、時をのばされたかもしれないと思う。
カテゴリ :イラン情勢 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫ 次ページへ ≫