ガザ情勢緊張:イスラエル国内に迎撃ミサイル配備 2017.11.15

 2017-11-15
10月末、ガザからのテロ・トンネルをイスラエルが破壊し、最終的にイスラム聖戦、ハマス指導者それぞれ2人づつを含む計12人が死亡した件。最初にガザ側入り口から発見された7人の遺体に続いて、5人の遺体は、イスラエル領内地下で発見され、今もイスラエルが保管している。

イスラエルでは、この5人の遺体と、2014年のガザとの戦争で戦死し、ハマスに囚われたままになっている2人のイスラエル兵の遺体との交換に期待が高まった。しかし、予想通り、そのような流れにはなっていない。パレスチナのテロ組織にとって、仲間の遺体はそれほど価値のあるものではないからである。

イスラエルは、イスラム聖戦(イランの支援組織)が宣言しているように、近く報復に出る可能性が高まったとして、テルアビブ近郊などイスラエル中央地域にアイアン・ドーム(迎撃ミサイルシステム)を配置した。*ただし、これについては、一応の対応で特別なことではないとの見方もある。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5042389,00.html

また西岸地区では、ジェニン近郊で、イスラム聖戦指導者の一人タレック・カダンを逮捕した。

一方、アラビア語紙アル・ハヤットが伝えたところによると、ガザのイスラム聖戦の方でも、イスラエルが先制攻撃をしてくる可能性があるとみて、最大限の警戒態勢に入っているという。双方とも最大の警戒態勢で、いわば、一触即発の状態といえる。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/238046

1)ハマスとファタハの和解にイランの影

ガザ情勢は、上記のように緊迫しているが、エジプトの仲介ではじまった、ハマスとファタハ(パレスチナ自治政府)の和解は、予定通りすすめられている。

先週、ガザ地区の検問所を管理する権威がハマスからパレスチナ自治政府アッバス議長へ移行したが、このままガザの行政に関しては、12月1日までにすべてアッバス議長のパレスチナ自治政府が担うことになる予定である。

これが何を意味するのかといえば、これからは、ハマスが、ガザの行政から解放されて、イスラエルとの闘争に集中できるということである。このためか、今、ハマスが、イスラエル打倒という同じ目標を持つイスラム聖戦に近づいていると思われる動きが伝えられている。

その一つが、破壊されたトンネルの中に、イスラム聖戦戦闘員に混じって、ライバルで対立しているはずのハマス戦闘員もいたという点である。

イスラム聖戦は、イランの支援を受けていると知られているが、最近、ハマスもイランのシーア派勢力に近づいいているようである。

ハマスは、シリアの反政府勢力の側についたことから、イランにはいったん見捨てられていたのだが、ハマスの副長官サリ・アロウリが、10月末、テヘランでイランの高官と会談。継続した支援の約束をとりつけた。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Deputy-Hamas-Chief-Iran-to-continue-support-for-resistance-508187

続いて、11月1日、レバノンで、イランの傀儡、ヒズボラのナスララ党首とも会談したことが伝えられている。

https://www.timesofisrael.com/hamas-leader-talks-resistance-with-hezbollah-chief-in-beirut/

こうしたイランの影がガザで色濃くなる中で、パレスチナ自治政府(ファタハ)とハマスが和解・一致することは、イスラエルにとってはきわめて危険なことだが、イランと対立するサウジアラビアにとっても穏やかなことではない。

2)サウジアラビアがアッバス議長を召喚

サウジアラビアのサルマン国王と、モハンマド皇太子は、11月7日、アッバス議長をリヤドへ召喚した。

会談の内容は明らかではないが、ハマスとの和解にあたっては、イランとの関係を完全に排除することを改めて強調したとみられる。

加えて、サウジアラビアは、まもなく提示されるとみられるアメリカの中東和平案に同意するよう、圧力をかけたとイスラエルのメディアは報じた。しかし、これについては、後にパレスチナ自治政府は否定するコメントを出している。

中東では、今、サウジアラビア率いるスンニ派と、イラン率いるシーア派の対立が深刻になってきている。この中で、サウジアラビアは、同じイランを敵とする者であるイスラエル、またアメリカに近い動きになってきていると注目される点である。

https://www.timesofisrael.com/top-pa-official-says-no-us-peace-plan-yet-rebuffs-report-of-saudi-ultimatum/

<ハマス・ファタハ和解への動き:その後>

上記のような課題がある中、ガザ地区では、和解に向けたイベンドが行われた。深刻な課題がまだ残されているにしても、パレスチナ人の統一が成立すれば、国際社会からの支援なども期待でき、一般ガザ市民にとっては、喜ばしいできごとなのかもしれない。

1)ハマス・ファタハの和解イベント

今回、アッバス議長が、ガザの行政管理に乗り出している背景には、ライバルの政治家モハンマド・ダーラン氏のガザへの介入に乗り出してきたことへの対処であったともいわれる。アッバス議長は、今、行政を担うことで、ダーラン氏より先にガザの支配者になっておこうとしたのである。

そのダーラン氏が、豊かな経済力を利用し、11月9日、ハマス・ファタハの社会的和解のイベントを開催した。このイベントは、2007年、ハマスがガザの支配権をファタハから力で奪い取った際の戦闘で、愛する息子や兄弟を失った双方の家族が集まり、和解するというものである。

このイベントは、仲介者のエジプトが賛同し、ダーラン氏とハマスがアラブ首長国連邦の支援を受けて開催したもので、遺族が、イスラムの教えでは義務付けられている報復を放棄し、ハマスとの和解と表明するなら、慰謝料が支払われることになっている。このための準備された金額は5万ドル(約600万円)

Yネットによると、これに応じて9日、和解すると宣言した100家族は支払いを受け取った。この他にもすでに140家族が支払いを受け取っており、今後も報復しないと宣言する家族には支払いを続けるという。

ダーラン氏と主催側は、これが、ハマスとファタハの真の和解につながっていくと信じると語っている。・・・が、貧困で苦しむガザの住民が、支給金目的で、これに参加しただけという可能性もおおいに考えられるので、どのぐらい意味あるイベントかは疑わしい感じである。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Social-reconciliation-moves-forward-in-Gaza-513845

2)アラファト議長没後13周年イベント

アラファト議長は、現在のパレスチナ自治政府を立ち上げた人物で、ハマスとは敵対するファタハ所属であった。したがってハマスが支配権を奪って以来、ガザで、アラファト議長の没後を祝うことはなかった。

今年は命日の11月11日、ハマスとファタハの和解をアピールする意味でイベントが開催され、ガザ市民の群衆が参加した。会場では、パレスチナの旗や、アラファト議長の写真をふりかざすパレスチナ人でいっぱいとなった。

これに先立つ10日には、ガザ・マラソンも開催されたとのこと。

https://www.timesofisrael.com/tens-of-thousands-commemorate-arafat-in-hamas-run-gaza/

<イスラエルの反応>

イスラエルは、パレスチナ人たちがどういう動きになろうが、国民に危機が及ぶかどうかが焦点である。イスラエルに、ポリティカル・コレクトネスを論じる余裕はない。

9月、エルサレム近郊ハル・アダールのテロで、イスラエルの国境警備隊ら3人が殺害されたが、15日、イスラエル軍は、この事件を起こしたテロリストの家をはでに爆破した。アパートの最上階であったためである。(一軒家ならブルドーザーで破壊する)

アパートのその部屋の部分だけぽっかり穴のあいた爆破の跡形が、イスラエルの怒りを表しているようである。

https://www.timesofisrael.com/top-pa-official-says-no-us-peace-plan-yet-rebuffs-report-of-saudi-ultimatum/
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イスラエル国境へ近寄るイラン軍事力 2017.11.15

 2017-11-15
イランとイラクの国境付近で12日夜9時ごろ、M7.3の大地震が発生したことは日本でも報じられている通り。400人以上の死者、8000人以上の負傷者が確認されている。イラク側の死者は9人。被災して家を失った人は7万人以上だという。イランの冬は厳しい。

日本と同様、イランの下にはアラビア半島とユーラシア大陸のプレートの接点があるため地震が多い。昨年だけで16回、その前年には19回の地震が発生している。今回の地震による被害はすでに今年最大だという。

いつもはにこやかなロウハニ大統領の表情の厳しさが印象的だ。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-41988176

イスラエルは、赤十字を通じて、イランとイラクに支援活動の申し入れをしたが、速攻で拒絶されたという。

https://www.timesofisrael.com/israel-offers-medical-aid-to-iran-iraq-after-quake-rocks-region/

そのイランだが、じわじわとイスラエルとの国境近くにイラン軍を配置しはじめている。

1)シリア南部停戦合意でイスラエル国境に接近の可能性

アメリカとロシア、ヨルダンは、ヨルダンの要請により、シリア南部を停戦地帯にする案で協議が行われていたが、今週月曜に発表されたところによると、イランを含むすべての外国勢力は、シリア南部から撤退するということで、3国は合意したと伝えられた。

しかし、この合意によると、撤退義務とされる境界線のラインが、イスラエルからわずか5-7キロ地点であることが明らかになった。いいかえれば、イスラエルからわずか5-7キロ地点に、イラン軍が近づいてくる可能性を含んでいるということである。

イスラエルが要求していた撤退ラインは、イスラエル国境から50-60キロだったのだが、これは受け入れられなかったということである。この他にも、撤退期限が定められていないことなどから、イランを地域から排斥するという点では、つめの甘さがあるとイスラエルは指摘した。

すると、ロシアのラブロフ外相は、「イランには、シリアに軍事基地を設置する権利がある。イランがシリアから撤退することをイスラエルに約束した覚えはない。」とのコメントを出した。

ネタニヤフ首相は、「ロシアには、前から伝えてあるが、イスラエルは自分の防衛は自分で対処するだけだ。」との言い返した。(イスラエルは、防衛のためなら、手段をえらばないだろうということ)

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5043231,00.html

2)ダマスカス近郊にイラン軍基地か

BBCが西側諜報すじとして伝えたところによると、衛星写真で、ダマスカス南部に、新しいイランの軍事基地とみられる施設が確認された。ゴラン高原からわずか50キロ地点である。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-41945189

イランはシリア領内に多数の軍事基地をすでに建設済みで、今回発見されたものもその一つ。8月にもバニヤスの東方に、イランのミサイル施設と同様のシリアのミサイル基地が確認されている。

シリア領内にイランが軍事基地を多数、建設するということは、イランが、恒久的にシリアに居座ることのしるしであるとして、イスラエルは警戒を強めている。リーバーマン防衛相は、「イスラエルは、シリアがシーア派枢軸国の拠点になることは容認できない。」と語った。

http://www.jpost.com/Middle-East/Report-Iranians-built-a-new-military-base-in-Syria-513973

Yネットのコメンテーターで、アラブ世界に詳しいやアロン・フリードマン博士によると、まだメディアの関心はないが、シリアの反政府勢力の情報によると、イランの革命軍が、ゴラン高原から30キロのクリスチャンの村に拠点を置き、シリア人少年たちを兵士として雇っているという。(月200ドル)イランがシリア人を雇うのはこれが初めてになる。

この新しい部隊は「第313部隊」と呼ばれている。この数字には特別な意味がある。シーア派イスラムの伝統によると、救い主マフディは、313人の兵士を連れて来臨すると考えられているのである。

シーア派からするとスンニ派のISISはサタンであり、これをシリアからほぼ排斥した今、勝利ムードにあり、メシアへの期待となっているのではないかとも考えられる。それが、イスラエルまで30キロの地点にまで迫っているということは、次なる敵は「シオニスト」イスラエルということであろう。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5042133,00.html
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不気味なレバノン情勢:サウジアラビアVSイラン 2017.11.15

 2017-11-15
レバノンのハリリ首相が、4日、サウジアラビアで突然、「レバノンはヒズボラとイランに乗っ取られた。自分はヒズボラに暗殺されそうだ。」として、辞任表明してから10日になる。

ヒズボラ(イラン)とレバノン政府は、「サウジアラビアが、ハリリ首相を拉致して、無理やり辞任表明させたのだ。」とサウジアラビアを非難した。レバノンのアウン大統領は、「サウジアラビアはハリリ首相をすぐにも帰国させるべきだ。」と述べた。

一方、サウジアラビアは、ハリリ首相は自分の意思で、辞任宣言したのだと反論。レバノンにいるサウジアラビア市民は、すぐにもレバノンから退去するよう通達した。

するとヒズボラは、「サウジアラビアは、イスラエルにレバノンを攻撃させようとしている。」と言った。無論、イスラエルは、こんなコメントが出ても、完全無視状態だった。

https://www.timesofisrael.com/nasrallah-says-saudi-arabia-imposed-lebanon-pms-resignation/

ハリリ首相本人は、上記のようなやり取りがある中、沈黙を保っていたが、1週間ほどして、「サウジアラビアに拉致されたのではない。辞任表明は自分の意思であった。」とのコメントを出した。

https://www.timesofisrael.com/lebanon-saudi-arabia-must-clarify-why-hariri-hasnt-returned/

アメリカのティラーソン国務長官は、ハリリ首相がサウジアラビアに拉致されたのではなく、自分の意思で辞任宣言をしたと認識しているが、ハリリ首相は、いったん帰国し、きちんと辞任すべきだとも語った。この後の動きはまだ伝えられていない。

<代理戦争のイエメンが悲惨>

イエメンでは、イエメン政府を支援するサウジアラビアと、シーア派反政府勢力フーシ派を支援するイランとが、代理戦争を繰り広げている。

10日ほど前、イランがイエメンからサウジアラビアへ弾道ミサイルを発射し、サウジアラビアの迎撃ミサイルが撃墜するという事件があったが、それ以来、サウジアラビアは、イエメン包囲網を強化している。これにより、国連などの支援物資(食料や薬)が、難民たちに届かなくなってしまった。

イエメンでは、内戦勃発から2年、これらが発生し、すでに2000人が死亡。子供達27000人が深刻な栄養失調だという。サウジアラビアとイランの戦争でツケを払っているにはイエメンの子供達である。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-41932807
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米福音派クリスチャンがエジプト・ヨルダンの首脳と会談 2017.11.15

 2017-11-15
お伝えしているように、中東は、パキスタンなど例外はあるが、おおむねサウジアラビア率いるスンニ派とそれにつく国々、イラン率いるシーア派とそれにつく国々、団体という2派に分かれつつある。

スンニ派チームについているのはアメリカなので、このチームはこれまでになくイスラエルに近づく傾向にある。一方、シーア派チームについているのはロシアである。

この背景の中、10月から11月にかけて、トランプ政権は、アメリカの福音派クリスチャン牧師12人からなる代表団をエジプトとヨルダンへ派遣した。代表団は、トランプ大統領付きの福音派牧師らからなるアドバイザーチームである。

チームを率いるのは、ニューヨークタイムスに執筆した聖書予言の視点での中東世界情勢関連の小説で人気の高いヨエル・ローゼンバーグ氏。このほか、保守派家族調査評議会のトニー・パーキンス氏、スカイライン・チャーチ(サンディエゴ)のジム・ガーロー牧師など。

https://www.washingtonpost.com/news/acts-of-faith/wp/2017/11/03/president-trumps-evangelical-advisors-meet-with-egyptian-leader-al-sissi-in-cairo/?utm_term=.a36b062e9875

FOX newsによると、ビリー・グラハム氏(99歳)も加わっていたもようだが、他のメディアは同氏の名前は出していない。

http://www.foxnews.com/opinion/2017/11/07/billy-graham-has-many-spiritual-descendants-as-turns-99.html

トランプ大統領がこの代表団を派遣した目的は、派遣先のアラブ諸国とより関係を深めるということらしいが、派遣された牧師たち自身も、イスラムが多数派で、まだクリスチャン迫害の声も聞く国の首脳との会談で、最初はとまどったようである。

http://www.christianitytoday.com/news/2017/november/what-trump-evangelical-advisers-took-out-of-egypt-sisi.html

<エジプトにて>

代表団は3日、エジプトにて、エジプトのプロテスタント代表ら40人も交えて、シシ大統領と3時間にわたって会談。クリスチャニティ・トゥデイの記事によると、シシ大統領は、うちとけていた様子だったという。

代表団は、大統領がテロ撲滅に真剣であることなどを確認している。

続いて代表団は、故アンワル・サダト・エジプト大統領の自宅を訪問し、夫人に面会した。サダト大統領は、アラブ諸国では初めてイスラエルを訪問し、和平条約を締結。その後、暗殺された大統領である。

代表団は、エジプトのムフティ(イスラムのトップ)と面会した後、エジプトのプロテスタントの代表など60人とのミーティングを行った。

クリスチャニティ・トゥデイがエジプトの情報として伝えたところによると、エジプトのクリスチャンは1500万人で、このうちプロテスタントは200万人。

エジプトのプロテスタントの総代表であるアンドレア・ザキ氏は、「このミーティングを企画した中心人物(ローゼンバーグ氏)がイスラエルに住んでいると聞いて落ち着かなかった。」と語っている。エジプトでは、ザキ氏を含め、多くが置換神学のようである。

しかし、ローゼンバーグ氏が、「アメリカの福音派の多くが、親イスラエルか親アラブで、どちからを排斥する傾向にあるのは残念だと思う。私たちは、信じるところ(神学)は維持しながらも、双方を愛せるということを忘れている。」と語ったことで、今回のミーティングを決めたという。

http://www.christianitytoday.com/news/2017/november/what-trump-evangelical-advisers-took-out-of-egypt-sisi.html

<ヨルダンにて>

エジプトに続いて8日、代表団はヨルダンでアブダラ国王とその家族に面会した。アブダラ国王は、ローゼンバーグ氏の書籍を読んでいるとのことで、同氏との面会は、これで2回目になる。

代表団は、この後、シリア難民のキャンプの一つを訪問した。ヨルダンは、2011年のシリア内戦勃発以来、難民200万人を受け入れた。今やヨルダン国民の25%はシリア難民だという。

http://www.jordantimes.com/news/local/king-receives-us-evangelical-leaders

<石のひとりごと>

こうしたアラブの指導者が福音派クリスチャン指導者たちに面会する背景には、当然、政治的な計算があると思われる。

世界のクリスチャン人口は22億人(世界人口の31.2%)で、このうち13%にあたる約3億人が福音派とみられる。その最大はアメリカである。(米ピュー研究所2015データ)

アメリカのトランプ大統領は、大統領自身の信仰は不明だが、ペンス副大統領が福音派で、そばに福音派牧師たちからなるアドバイザーチームを置いている。それが、今回派遣された代表団だった。アメリカと仲良くするには、この代表団を丁重に受け入れる必要はあったと思われる。

こうした流れは、イスラエルにもある。10月中旬、イスラエル政府が、世界のクリスチャン・メディアのリーダーたちを集めて、サミットを行った。福音派クリスチャン代表たちを迎えたのはネタニヤフ首相、リブリン大統領をはじめ、閣僚たちだった。こんなことは今までありえなかったことである。

理由はなんであれ、イスラエルが、首相、大統領をあげて福音派クリスチャン指導者を迎え、エジプトとヨルダンの首脳が、アメリカに近づき、福音派牧師たちと、直接会談したことは、特記すべきことだろう。

やはり、アメリカの影響力は、まだまだ予想以上に大きい。ヨエル・ローゼンバーグ氏は、アメリカのトランプ大統領を覚えて祈る必要を強調する。

http://nrb.org/news-room/articles/nrbt/delegation-american-evangelical-leaders-travels-egypt-jordan/

聖書(エゼキエル書38章)には、世の終わりに、”イスラエルが安心しているときに”、ロシアと中東諸国、アフリカ諸国からイスラエルを攻めてくることが描かれている。その攻めてくる国々を地図でみると、エジプトとヨルダンは含まれていない。

エジプトとヨルダンは、今すでに、イスラエルと平和条約を維持している国である。しかし、今回、クリスチャンシオニストである福音派代表団がこの2国の首脳を訪問したこともまた、この終わりの時の一コマにつながるものを思わせる出来事であった。
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ガザ・トンネル爆破続報:テロリスト5人の遺体をめぐる問題 2017.11.7

 2017-11-07
先週月曜にイスラエル軍が、ガザからイスラエル領内にまで掘り進んでいたテロ目的の地下トンネル爆破したことはお伝えした通り。これまでに、イスラム聖戦2人、ハマス2人を含む7人の死亡が確認されている。しかし、この他にも、まだ5人の遺体が現場に残っていると考えられた。

ハマスは、赤十字を通して、イスラエルに5人の捜索活動をするため、現場に入ることを要求。イスラエル国内からも、左派少数アラブ系市民組織が、高等裁判所に対し、ハマスに現場を捜索させるようにとの訴えが出された。

現場は、ガザ地区ではない。イスラエル領内へ300mも入ったところである。イスラエル軍は、高等裁判所に対し、テロリスト5人はすでに死亡していると宣言。イスラエル軍もまだ一帯で作業中だとして、これを拒否した。

この後、5日夜、イスラエル軍は、イスラム聖戦5人の遺体を発見したと発表した。イスラエル軍は、遺体がイスラエル領内にあったこと、すなわち、テロ用トンネルが、イスラエル領内にまで至っていたことを強調した。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Israel-says-its-holding-bodies-of-Gaza-terrorists-killed-in-tunnel-blast-513413

<遺体をめぐる対立>

ハマスは、2014年のガザとの戦争の際、ガザ内部で戦死した2人の兵士、ハダール・ゴールィンさんと、オロン・シャウルさんさんの遺体をまだイスラエルに返還していない。

2人の家族は日曜、記者会見を行い、2人の遺体返還がないならテロリスト5人の遺体は返還しないでほしいと訴えるとともに、政府を高等裁判所に訴える構えであると発表した。

兵士2人の家族によると、2人の遺体をとりもどすために強硬な姿勢に出ることを求める家族に対し、政府指導者らは、「次の戦争では、アシュケロンやアシュドドにミサイルが降ってくる。そうなればあなたがのせいだ。」と逆に脅されたという。

また、先の神殿の丘テロ事件のテロリストの遺体を交渉なしに返還したこと、今もガザからイスラエルに収監されているテロリストの面会を許可していることなどをあげ、政府は、ハマスに屈服していると非難した。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5038816,00.html

なお、ガザ地区には、この他にも自らガザに入ったとみられる精神的弱者のベドウイン男性など3人が捕虜になったままとなっている。

ネタニヤフ首相は6日、ハマスに対し、「ただの贈り物はない。」と、2人の兵士の遺体、3人のイスラエル人の返還がない限り、5人の遺体をただで返すことはないと示唆した。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5039192,00.html

<イスラム聖戦の反応>

イスラム聖戦は、イスラエルが5人の遺体を収容したとの発表を受け、遺体に関する交渉はないと宣言。「戦いは終わっていない。イスラム聖戦の”自由の”トンネルは、まだ他にもまだ多数ある。」と豪語した。

実際のところ、パレスチナ人たちの文化に、仲間の遺体を取り戻すために代価を支払うという概念はない。これが交渉になるとは考え難いところである。

https://www.timesofisrael.com/idf-says-it-has-the-bodies-of-5-terrorists-buried-in-gaza-tunnel-demolition/

ところで、執拗なまでにトンネルを掘って、テロリストを送り込もうとする困った隣人に対し、イスラエルはとほうもない代価を払わされている。ガザとの間には、特殊な地下(数十メートル)、地上(6メートル)のバリアが建設中で、完成までにはまだ2年かかるという。

これにかかる費用はなんと30億シェケル(約100億円)。当初は20億シェケルと伝えられていたが、最近の報道によると、30億シェケルになった。

この作業は、単にバリアを建築するだけではない。地下を掘っている最中に、ミネラルの水を流しながら掘っており、もしトンネルにぶつかった場合は、その存在を知ることができるようになっている。

また、地下に設置されるバリアには、センサーが仕組まれており、新たなトンネルが掘り近づいてきた場合、すぐに察知できる。イスラエル軍はこのシステムをガザ沖の海中にも設置を計画中だという。

イスラエルがこれだけの資金を使うのは、それだけ市民を守ろうとする意志の表れであろう。しかし、隣が平和であってさえいれば、使わなくてもよい100億円・・・。

余談になるが、ハアレツ紙が、イスラエル軍からの情報として伝えたところによると、ガザとの国境にはセメント工場が建てられ、スペインや、モルドバ、アフリカ難民など外国人1000人ほどが雇われて、24時間体制で建築にあたっている。

外国人が雇われるのは、当然、危険地帯での作業だからであるが、これもまた、なんとも虚しい点である。。。

https://www.haaretz.com/israel-news/1.806052
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