FC2ブログ

世紀の取引:トランプ大統領の中東和平案とは? 2020.1.29

 2020-01-30
28日夜(日本時間深夜2時)、トランプ大統領が、世紀の取引と銘打った中東和平案を発表した。それによると、パレスチナ国家を認め、イスラエルと共存する2国家2民族の案である。

基本的に現状を維持するので、引越しを余儀なくされる人はなく、トランプ大統領は、「現実的な2国家共存案」だと自負する。しかし、トランプ大統領は、これは案であり、両者が交渉を行うベースにしてもらいたいと述べた。

https://www.timesofisrael.com/trump-unveils-plan-for-realistic-2-state-deal-undivided-israeli-jerusalem/

和平案は80ページにわたって詳細に明記されている。このうち30ページは、西岸地区とガザの経済開発に関するもので、これについては、昨年6月に発表されたが、パレスチナ自治政府は拒否したものである。

ホワイトハウスが公開した和平案原本:https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2020/01/Peace-to-Prosperity-0120.pdf

ワシントンでのトランプ大統領の記者会見は、ネタニヤフ首相をともない、50分近くにわたって行われた。主な内容は以下の通り。

1)領土:パレスチナ国家成立にむけて 

①アメリカは西岸地区のユダヤ人入植地をイスラエル領土として認める。同時に、むこう4年間、入植地の拡大はせず、パレスチナ国家成立にむけた交渉を行う。*4年たっても交渉が成立しない場合の案は提示されていない。

②パレスチナの領土は、ガザと、入植地以外の土地となるので、西岸地区の70%と、今の倍になる。新たにパレスチナ人が使う道路を建設するが、入植地に接する地域は、橋かトンネルにする。ガザと西岸地区の間は、トンネルとする。

③ガザと西岸地区からなるパレスチナ国家は、非武装とする。

2)エルサレムについて

①現在のエルサレムは分割せずそのままで、イスラエルの首都、主権とする。

②パレスチナは、現在の東エルサレムで、イスラエルが建設した防護壁の外側部分、シュアファット東部、アブ・ディス東部、カファル・アカブを含む地域を首都とする。

③現在防護壁の内側の東エルサレムの在住するアラブ人については、そのままイスラエルの永住権でとどまるか、イスラエルの市民権、もしくはパレスチナの市民権を取ることができる。

https://www.timesofisrael.com/trump-plan-gives-palestinians-capital-in-jerusalem-but-beyond-security-barrier/

3)神殿の丘について

神殿の丘の現状維持の原則はそのままとする。ただし、すべての宗教者が祈ることを許可することが望ましい。

https://www.timesofisrael.com/trump-plan-includes-apparent-contradiction-over-prayer-rights-at-temple-mount/

発表にあたり、トランプ大統領は、ネタニヤフ首相と、時期首相の可能性が否定できないガンツ氏の両方と会談したが、ネタニヤフ首相、ガンツ氏、どちらもが、この和平案を受け入れたとのことである。

西岸地区入植地の増殖は、むこう4年間停止するが、今ある入植地の撤去はなされず、引越しはなく、イスラエルに合併されるとあって、入植地ユダヤ人代表らはこれを歓迎すると表明した。

<ヨルダン渓谷と西岸地区合併へ意欲:ネタニヤフ首相>

トランプ大統領の和平案発表を受けて、ネタニヤフ首相は、来週日曜にも、ヨルダン渓谷と、西岸地区の入植地の合併に向けて、閣議での審議を始める意向を明らかにした。また、29日には、モスクワへ飛び、プーチン大統領にこの案への理解を求めるとのこと。

しかし、次の記事で述べるが、ネタニヤフ首相の汚職に関する起訴が決まったので、ネタニヤフ首相がこの懸案をどこまで実行に移せるかは、不透明だとも言われている。

https://www.timesofisrael.com/cheering-trump-plan-netanyahu-says-he-will-start-annexation-process-sunday/

*イスラエルでの論議:左派と極右はNO

ネタニヤフ首相、ガンツ氏はともに中道右派であるため、この案に問題はない。しかし、ベネット国防相など極右は、そもそもパレスチナ国家の設立に反対している。そのため、この案を受け入れることに反対を主張した。

しかし、実際のところ、このトランプ大統領の和平案が通らない場合は、一国案、つまりイスラエルが西岸地区もガザも全部とりこむ案しか残らず、そうなると、ユダヤ人よりアラブ人が多くなってしまうと指摘されている。

一方左派、労働党のペレス党首は、パレスチナ人との和平は、土地交換により、双方の話し合いで決めるべきであり、パレスチナ側がすでに拒否しているものを一方的にすすめるものではないとして、トランプ大統領の和平案を拒否する意向を表明した。

しかし、実際のところ、パレスチナ側は、95%の土地を提供した時もイスラエル全土を要望して拒否したという経過があるので、いったいどうなれば、双方が合意する和平案になるのかという代案はだしていないではないかと指摘されている。

https://www.ynetnews.com/article/BJxzuJR118

<パレスチナ自治政府は1000回のNO!暴力の危険性高まる>

トランプ大統領の和平案では、パレスチナ国家を認めるとしているが、非武装、つまりは軍隊を持たないということで、中東においては、いくら領土をもらったとしても、これが独立した主権国家とは考え難い。

パレスチナ自治政府のアッバス議長(84)は、アメリカが、世紀の取引を発表した後、ラマラで記者会見を開き、トランプ大統領の和平案を意味なしと評し、「NOが1000回だ。」と述べた。

アッバス議長は、「パレスチナ人は、イスラエルの占領を終わらせ、東エルサレムを首都とする国家を立ち上げることをめざしている。」として、その目標に変わりはない。パレスチナ人の権利を売ることはない。」と述べた。

アッバス議長は、エルサレムは、バーゲンのように取引されるものではないとし、アメリカとイスラエルの策略がなることはないと述べた。

https://www.ynetnews.com/article/ByplSG0WI

すでに西岸地区パレスチナ人の町ナブルスなど西岸地区各地では、トランプ大統領の和平案に反対するデモが発生した。イスラエル軍は、ヨルダン渓谷や、西岸地区で、軍事衝突が発生する可能性をかんがみ、ヨルダン渓谷の警備を強化している。

エルサレムのアメリカ大使館も、米国人に対し、西岸地区に行かないよう警告を発した。

*ハマス:トランプの策略に”あらゆる可能性”を示唆

ハマスとイスラム聖戦は、世紀の取引をすぐに拒否する声明を出し、これに対し、”あらゆる可能性(暴力も)”あると警告した。ガザでは28日、トランプ大統領の写真を燃やすなどのデモが発生している。

アメリカの和平案発表の前に、アッバス議長は、めずらしく、ハマス指導者の一人イシュマエル・ハニエに電話し、トランプ大統領の案を一致して妨害するよう話しあったと伝えられている。

https://www.timesofisrael.com/hamas-slams-trump-plan-as-israeli-conspiracy-as-palestinians-riot-in-west-bank/

<イスラエルと和平条約ある隣国ヨルダンとエジプトの反応>

ヨルダンは、すでにこの案への反対を表明していたが、改めて、ヨルダンは、イスラエルが1967年以前のラインまで撤退する(今の東エルサレムから撤退)形を支持すると表明。トランプ大統領の和平案には反対する意向を表明した。

ヨルダンの国民の多数派はパレスチナ人である。アンマンのアメリカ大使館では、アメリカの中東和平案に反対する市民らが、反対デモを行った。

エジプトは、イスラエルとパレスチナに対し、和平案をよく調べるようにと述べた。

<イランとトルコは反発と危機感を表明>

イランのザリフ外相は、トランプ大統領の、恥知らずなこの和平案は、必ず失敗するとし、「世紀の取引」ではなく、「世紀の反逆」だと述べた。また、アメリカが、「平和へのビジョン」として発表した和平案の地図にバツマークをつけ、「カタストロフィへの夢遊歩行」と記した。

ザリフ外相は、この案が、地域にとって悪夢であるとし、間違っているイスラム諸国の目が開かれることを望むと述べた。

トルコ外務省は、この案を「死産」だとし、イスラエルによる入植地等の合併は、2国家案を破壊すると批判した。また、「パレスチナ人が受け入れないものをトルコが受け入れることはない。占領がなくならない限り、中東和平はありえない。」との考えを明らかにした。

<サウジアラビアと湾岸諸国は支持>

サウジアラビアは、アメリカが、兄弟パレスチナ人のために努力していることに感謝し、イスラエルとパレスチナが、交渉に戻ることを歓迎すると表明した。

バハレーン、オマーン、アラブ首長国連邦は、和平案の発表に際し、大使をホワイトハウスに派遣していたほどで、この和平案を歓迎する意向を表明した。

カタールは、1967年以前の国境線と、パレスチナ難民がイスラエルへ帰還することを支持しながらも、イスラエルとパレスチナが交渉を再開することを支持するとした。

<国際社会の反応>

国連のグテーレス事務総長は、2国家案を支持するとしながらも、あくまでも国連決議に基づく1967年以前の国境線を支持するとした。いいかえればトランプ案には同意しないということ。

イギリスのボリス首相は「ポジティブな結果を生み出すかもしれない」と述べ、ドイツのマアス外相は、「双方が交渉して納得したことだけが、長続きする平和に続く道だ。」と述べた。オーストリアのクルツ首相は、この案に基づき、イスラエルとパレスチナが交渉をはじめるようにと述べた。

https://www.timesofisrael.com/iran-turkey-slam-trump-peace-plan-as-uae-saudi-arabia-urge-negotiations/

<石のひとりごと>

ジャイアン・トランプ大統領の、中東和平案がついに明るみに出た。この案で、実質何が動くのかといえば、イスラエルのヨルダン渓谷と西岸地区入植地の合併への足がかりができたというところだろう。イスラエルだけに好意的な案であることは間違いない。

これをパレスチナ人が受けれることはありえず、危険な事態にもなりかねないわけだが、トランプ大統領とネタニヤフ首相にとって、このゴリ押しを発表するのは、今しかないと判断したのだろう。この試みは、この2人だからこそ、可能な動きだと思われるからである。

また今なら、若干にでもホロコーストへの世界の同情があり、イランも弱く、ロシアもまだ遠い。たとえ無理のあるゴリ押しでも、中東の場合、とにもかくにも先に既成事実を作ってしまえば、そうなってしまうのである。

以下に述べるが、ネタニヤフ首相は、28日、国会への首相免責法案を取り下げると発表した。このため、3月の総選挙前にも、汚職問題での起訴がはじまるとされる。選挙で、不利になると思われ、もしかしたら、現職首相初、刑務所へ直行することになるかもしれない。

ネタニヤフ首相は、この和平案が成功すれば、汚職疑惑があっても当選すると自信があって、免責法案を取り下げたのか。または、これさえ成し遂げたら、自分の役割は終わると思っているのか。

長くネタニヤフ首相を見ているが、むろん、ずるい部分もあるだろうが、基本的に命がけで、なにがなんでも、イスラエルを守るという気迫はあったと筆者は思う。ネタニヤフ首相と、イスラエルの国を主が見捨てず、国を守りきってくださるようにと思う。
カテゴリ :パレスチナ関係 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

終わりなき隣人との戦い:ガザと西岸地区 2019.12.22

 2019-12-22
上記のように、国際刑事裁判所が、動き始めているが、スラエルとパレスチナ人との戦いは、まさにエンドレス。最近の動きは以下の通りである。

<西岸地区からPFLP(パレスチナ解放人民戦線)50人逮捕>

18日、シンベト(国内治安維持組織)が発表したところによると、イスラエル軍は、ここ数ヶ月の間に、西岸地区全体で、PFLPメンバー50人を逮捕するとともに、多数の銃や、武器、爆弾製造用具などを押収した。多数の危険なテロを未然に防いだとみられている。

一連の捜査は、今年8月、家族とハイキングに来ていたリナ・シナーブさん(17)が爆弾テロで死亡したことで始まった。捜査により、西岸地区でPFLPが本格的な多数のテロを計画していることがあきらかになったという。

リナさんは、死をもって、多くのイスラエル市民を救ったといえる。

https://www.timesofisrael.com/israel-arrests-50-pflp-members-in-crackdown-following-deadly-august-bombing/

<交渉は挫折?ガザからロケット弾再び>

イスラエルとハマスの交渉が行われているようではあるが、地上では、ガザとの紛争は終わる様子はない。19日木曜深夜2時半、スデロットと周辺地域は、ロケット弾のアラームで起こされ、シェルターへ駆け込んだ。幸い、迎撃ミサイルが発動し、今の所、被害の報告はない。

https://www.timesofisrael.com/rocket-fired-from-gaza-toward-israel-intercepted-by-iron-dome/

この前日、18日には、ガザから夜の闇にまぎれて、イスラエルへライフルを持って侵入しようとしたパレスチナ人1人の姿が、防犯カメラでキャッチされ、イスラエル空軍の攻撃で、後に脂肪が確認されていた。19日のロケット弾はこの件への反撃とも考えられる。

https://www.ynetnews.com/article/Hk1YxoIRr

ガザは上下水システムが崩壊し、電気も1日数時間と、もはや人間が住める場所ではなくなっていると言われていたが、カタールが大量の現金を搬入して、なんとか危機的状況からは脱出できたようである。

カタールが、イスラエルの合意のもとで、これまでにガザに搬入した金額は、11億ドル(約1300億円)にのぼる。ガザがなんとか落ち着いているのは、このカタールの資金によるものである。カタールはとりあえず、来年3月までは支援を続けると言っている。

https://www.reuters.com/article/us-palestinians-israel-qatar-aid/qatar-says-its-gaza-aid-to-continue-through-march-2020-at-least-idUSKBN1YM20I

<ガザにもいるパレスチナ人スタートアップの若者>

ガザは、ハマスがガザ支配するようになってから12年になるが、人々の生活は悪化を続けるばかりである。昨年、ガザの大学を卒業した若者(19−29歳)の失業率は80%を記録した。こうした中、テロに走る若者が絶えないのだが、そうではない若者もいた。

アル・ジャジーラが伝えたところによると、ガザで大学を卒業したタメル・アボ・モトラクさん(26)、ウサマ・カデイアさん(24)、カリッド・アボ・モトラクさん(24)は、オリーブ油抽出後に廃棄される廃棄物から、家庭用燃料玉を開発した。

通常、オリーブは、オイルを抽出後、約40%が廃棄される。西岸地区とガザで年間8万トンが廃棄物になる。モトラクさんらは、この廃棄物から、燃料玉を開発したのである。

この燃料玉は、通常の木であれば、4−5時間燃えて終わるところ、10時間は持つという。家庭用に使えば、64シェケル(約2000円)のガスの消費の代替になる。代替燃料になるとして成功を収めはじめている。

現在、1時間に1000キロを生産しているが、おいつかないほどだという。この成功がガザの若者の起業への夢の発端になればと注目されている。

https://www.jpost.com/Middle-East/Palestinian-entrepreneurs-find-way-to-turn-olive-waste-into-clean-energy-611274

アフガニスタンで、テロリストに銃殺された中村哲医師は、水と食事があれば、人々が戦いに行くことはないと言っていた。

イスラエルはガザの生活を改善することが、テロを防ぐ最大の手段と考えて、カタールの現金搬入を歓迎し、その他にも支援を惜しまない構えである。カタールの支援が尽きる前に交渉がすすみ、ハマスが、まともなガザ治世を受け入れてくれたらと思うが、どうだろうか。。

カタールはイラン側の国である。イスラエルは、そのカタールにガザの支援をさせているわけである。おそらく十分に計算してカタールを受け入れているとは思う。
カテゴリ :パレスチナ関係 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

ガザでハマス創設から32年:国境デモ再燃 2019.12.15

 2019-12-15

4O6A7297-e1568883313102.jpg

ハマス12周年(2018年12月17日) 出展: Mohammed Asad/Middle East Monitor

先月、イスラエルがイスラム聖戦を攻撃し(黒帯作戦)、ハマスの温存するかのような動きをとって、イスラエルとハマスが水面下の交渉を行っていると伝えられていた。

水面下での交渉は、まだ戻されていないイスラエル兵2人の遺体に関することも含まれているとみられるが、まだなんの進捗も報告されていない。

https://www.timesofisrael.com/gazans-clash-with-idf-troops-along-border-as-hamas-marks-founding/

こうした中、13日金曜、ガザでは、ハマス創設32年の式典が行われ、群衆が参加する中、イスラエルとの徹底的な戦いが叫ばれた。

また、一時停止していた毎週金曜の国境デモも再開され、およそ2000人がデモに参加して、イスラエル軍と衝突。パレスチナ人5人が負傷した。イスラエルとハマスの交渉は、もはや破綻したかのようである。

https://13news.co.il/item/news/politics/security/hamas-gaza-32years-959765/

<ハマス創設32年で西岸地区でも衝突予想:ヘブロンで指導者複数逮捕>

ハマス32周年で、西岸地区でも関連した衝突が予想されるめ、イスラエル軍は、西岸地区のハマス幹部らの逮捕に乗り出している。ヘブロンでは、複数のハマス幹部が、イスラエル軍に逮捕された。

https://www.timesofisrael.com/israel-arrests-several-senior-hamas-officials-in-west-bank/

パレスチナ自治政府も、イベントに合わせてハマスが暴動を起こさないよう、西岸地区各地で、ハマス関係者を連行した。これについて、ハマスは、「これでパレスチナ自治政府が計画している選挙が、公正ではないということが明らかになった。」と反発している。

*アッバス議長は、自分が高齢でもあることから、近くガザのハマスも含めた全パレスチナ人による総選挙を計画中である。しかし、ハマスがこれに参加するかどうかはまだ明確になったわけではない。

<ガザのクリスチャン:イスラエル・西岸地区への訪問許可なし>

イスラエルは、毎年、クリスマスシーズンに、ガザのクリスチャン数百人に、ベツレヘムや、西岸地区に住む親族に会いに行く許可を出している。しかし、今年は、上記のような情勢から、海外に出ることは許可しても、イスラエル国内やベツレヘムや西岸地区への訪問は許可しないと表明している。ハマスとの衝突を防ぐためである。

なお、ガザには、総人口200万人中、約1000人のクリスチャン(ほとんどがギリシャ正教)がいる。迫害もあり、その数は年々減っているという。

以前、ガザの家族から離れ、一人で西岸地区に潜んでいるという若いガザのクリスチャン男性に出会ったことがある。

彼の家族はギリシャ正教だが、彼自身は、西岸地区に来てから、福音派クリスチャンになった。ガザ出身であるため、仕事もなく、難しい状況が続いているという。当然、ガザの家族とは連絡を取ることはできていない。

https://www.i24news.tv/en/news/israel/society/1576230957-gazan-christians-barred-from-visiting-bethlehem-and-jerusalem-on-christmas

このクリスマスシーズン、ガザのクリスチャンや西岸地区にいる福音派クリスチャンたちを覚えて、その守りと導きを祈っていただければと思う。
カテゴリ :パレスチナ関係 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

ベツレヘム:今年もクリスマスシーズン到来 2019.12.7

 2019-12-07
ベツレヘムでは、11月30日、キリストの生誕を記念する生誕教会(世界遺産)前、まぶね広場で、巨大なクリスマスツリーの点灯式が行われ、クリスマスシーズンの到来を世界に告げた。

点灯式典には、数千人が訪れ、ベツレヘム市長と、パレスチナ自治政府のハムダラ首相も出席した。これから、クリスマスまで連日、盛大に、クリスマスマーケットや、コンサート、市民によるパレードなどが行われる。

https://www.youtube.com/watch?v=-r9QMyWAyTM

言うまでもなく、クリスマスは、観光業に依存するベツレヘム市にとって、もっとも大事なかきいれ時。幸い、ここしばらく、イスラエルとの大きな衝突が発生していないため、昨年の観光客は150万人だった。新しいホテルも増築され、今年はさらに増えると見込まれている。

しかし、ベツレヘムは、イスラエルではなく、完全なパレスチナ自治政府の支配域である。エルサレムとベツレヘムは、車で約20分と非常に近いのだが、両者の間には、防護壁があり、すんなり出入りできるわけではない。

群衆がベツレヘムに向かうクリスマスイブは、観光客に便宜を図るため、エルサレム市は、ベツレヘムへの国境までの無料バスを朝まで走らせている。しかし、そこから生誕教会まではパレスチナ自治政府のバスが必要になる。

両者の間に、打ち合わせなどの協力体制はまったくないのだが、それでもこの時期、人々は群衆となって、ベツレヘムに来ている。

http://english.alarabiya.net/en/life-style/art-and-culture/2019/12/01/Hundreds-gather-for-Christmas-tree-lighting-ceremony-in-Bethlehem.html

<ローマ教皇からのプレゼント:イエスのまぶねの木片(伝統)>

今年、クリスマスツリーの点灯式に先立ち、フランシス教皇から、イエスのまぶねの一部と語り伝えられてきた手のひらサイズの小さな木片が、ベツレヘムに返還された。

この木片は、1216年から聖地の管理者と目されてきたフランシスコ会が、伝統的に2000年前のものとして伝え、7世紀にバチカンに送られていたものである。木片は、マーチングバンドとともに迎えられ、生誕教会の隣、カトリックの聖カトリナ教会に収められた。

https://www.timesofisrael.com/after-1400-years-relic-thought-to-be-from-jesus-manger-returns-to-bethlehem/

なお、現在、ベツレヘムの人口は約2万9000人。Times of Israelが伝えたところによると、1950年代には、86%であったクリスチャンの人口は今や12%と、減少を続けている。原因は、悪化する貧困とともに、イスラム過激派の流入が考えられている。

ビジネスのためとはいえ、今年もクリスマスを祝うベツレヘムのパレスチナ人たちを覚えて、また少数ながら、ベツレヘムにいるクリスチャンたちを覚えて祈られたし。
カテゴリ :パレスチナ関係 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

イスラエルとハマスが歩み寄り!?:金曜国境デモ3週間保留

 2019-11-30
ガザのハマスが、もう1年以上も毎週金曜に続いてきたガザ国境の暴力的な「帰還への行進」デモを、3週連続でキャンセルしている。

国境でのデモが3週間停止していることを受けて、ガザ沖では漁業が再開。カタールが、現金をガザへ搬入し、来週にも、貧しい1家族ごとに100ドルが配布されることになっている。29日には、イスラエルとハマスが、捕虜の交換も含めた新たな交渉を始めたと発表した。

先週、国連の中東特使ニコライ・ミラディノブ氏が、イスラエルのベネット防衛相を会談。続いて、数日中にガザを訪問する予定だという。

https://www.ynetnews.com/article/S1RjPqRhS

こうした流れではあるが、実際には、ハマスのキャンセルに従わず少人数は相変わらず国境に来て、イスラエル領に近づき、イスラエル軍の発砲で、16歳少年が1人死亡。これの応報としてイスラエル南部にロケット弾が発射され、イスラエル軍はハマスへの空爆を実施した。

ハマスがガザ全部を把握しているわけではないことは、イスラエルもすでにわかっていることなので、この動きが、今のハマスとの交渉再開に影響を及ぼすことはなさそうである。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/272474

<ハマスの変化は何が目的か?>

2週間前、イスラエルは、ガザにいたイスラム聖戦指導者のバハ・アブ・アル・アタと、シリアにいたアクラム・アル・アジョウリを暗殺。これにより、イスラム聖戦が350発に及ぶミサイルを、イスラエル南部地域に撃ち込んできて、これに報復するという黒帯作戦が勃発した。

2日間続いたイスラエルとイスラム聖戦が交戦中、ガザ市民の不信を買うというリスクを負いながらも、ハマスはまったく援護しなかった。イスラエルの誤爆とみられる攻撃で、ガザの一家8人が死亡したにもかかわらずである。

イスラエルも、いつもなら、ガザからの攻撃は、だれがやったかにかかわらず、すべて、ガザの支配者であるハマスの責任を追及するのだが、今回は、ハマスへの非難をしなかった。

さらに、興味深いことに、トランプ政権が、西岸地区のユダヤ人入植地は違法ではないとする立場を表明したことに反発し、26日、西岸地区各地では、これに反発する暴力を含むデモの日、「怒りの日」デモが発生した。この時もハマスは沈黙であった。

https://www.timesofisrael.com/palestinians-clash-with-idf-during-day-of-rage-over-us-settlement-change/

イスラム聖戦は、イランの指示で動く組織である。イスラエルにとっては大きな問題だが、ハマスにとっても今や手に負えない存在になりつつあった。イスラム聖戦の指導者が死亡することは、ハマスにとっても益になったとみられる。

作戦終了後、すぐにイスラエルとハマスが、捕虜の交換を含めた交渉を再開していることから、このイスラム聖戦との戦いにおいて、両者の間に共通の敵という認識の元で、作戦が行われた可能性があるのではとの憶測がとびかっている。

しかし一方で、アルーツ7によると、毎週金曜のデモの主催者の中からは、「デモのキャンセルと、イスラエルとの合意は関係がない。キャンセルは、今ガザで衝突が起こると、右派であるネタニヤフ首相に有利な流れになるからだ。デモは将来も続く。」との反論もある。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/272453

また、アッバス議長が高齢となり、いつ倒れてもおかしくないことから、パレスチナ自治政府では、以前から総選挙を行うという案件がでている。最近、それにハマスが同意したなどとのニュースも出た。

ハマスは、今はともかくも、イスラエルとの平穏を守って、総選挙で勝利して西岸地区も取ると作戦を行っているかもしれない。今、ハマスをおとなしくさせたからといって、必ずしもイスラエルの勝利とは限らないと釘をさす分析もある。油断せず、状況を見守る時であろう。

https://www.timesofisrael.com/palestinian-elections-are-looking-likely-and-may-be-spectacularly-bad-for-abbas/
カテゴリ :パレスチナ関係 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

西岸地区入植地は国際法上違法と認識せず:トランプ政権また爆弾宣言 2019.11.22

 2019-11-22
18日、ポンペイオ国務長官は、西岸地区のユダヤ人入植地の認識について、アメリカの認識を正式に元に戻すと発表した。

すなわち、前オバマ政権が、2016年に、ヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地は基本的に、国際法に違反するとしていた立場を、1981年のレーガン大統領の立場ー西岸地区の入植地の存在が、基本的に国際法に違法にあたるとは考えないーに戻すということである。

しかし、ポンペイオ国務長官は、だからといって、アメリカが、全面的に、西岸地区の入植地の存在を合法と認めるということではないと強調した。

それぞれの入植地の合法性は、個別に検討する必要があるとし、その個別の問題にアメリカが関わることはないということである。実際、イスラエルの裁判所も、入植地の合法性、違法性については、個別の判断を出している。

また、アメリカが西岸地区の地位協定について最終的な判断を述べているのではないということも強調。それはあくまでも当事者どうしが交渉で決めることであるとした。

最後に、今回、アメリカがこの決断に至ったのは、この地域の独特の歴史的また環境的な条件を鑑みてのことであり、他の地域にもあてはまるものではないと述べた。

ポンペイオ国務長官は、最後に、これまでのように、入植地を違法だと判断することで、平和を得ることはできなかったと指摘。要するに、西岸地区の入植地問題は、国際法で解決できるものではなく、政治的な問題であり、両者が交渉によって解決するしかないということを認識すべきであると述べた。

https://www.timesofisrael.com/full-text-of-pompeos-statement-on-settlements/

<イスラエルの反応:相変わらず一致せず・・・>

ネタニヤフ首相とそのライバル、ガンツ氏の双方、また中道派たちは、アメリカが西岸地区入植地に関する認識を違法ではないとの認識に戻したことについて、歓迎すると表明した。

しかし、ネタニヤフ首相は、アメリカの動きを歓迎する理由について、「ユダヤ人の”ユダヤ・サマリア地区”(西岸地区)への入植活動は、外国人による植民地活動ではない。(自分の国に戻るという意味)」と述べたのに対し、

中道左派ガンツ氏は、「入植地の存在は、現地の実情に合わせて、治安が維持できるように交渉、合意で決まるものである。(国際法で判断するものではない)」とアメリカが述べた点を歓迎すると述べた。

一方、左派メレツ党のニツァン・ホロビッツ氏は、「アメリカのこの決断は平和への障害だ。入植活動はどうみても国際法上違法であり、アメリカの決断は、イスラエルとパレスチナ双方にとって害になる。」と述べた。

https://www.timesofisrael.com/netanyahu-and-gantz-both-fete-us-for-changing-tack-on-settlements/

イスラエルでは、3回目総選挙になる可能性が濃厚となっているその時に、この発表がなされたことから、アメリカが、”世紀の取引”(中東和平案)に有利と考えている右派ネタニヤフ首相をサポートしようとして、今この発表を行ったのではないかとの見方もある。

<パレスチナ、国際社会の反応>

パレスチナ自治政府のアッバス議長は、「入植地が国際法に違反であることは明らかである。国際法を無効にしたり、入植地を合法化する権利は、アメリカにはない。」と一蹴した。

ヨルダンのサフディ外相は、「西岸地区への入植活動は違法。パレスチナ人とイスラエル人が共存することをめざす2国家2民族(国を分ける)案の大きな障害になる。」と述べた。

EUのモルゲニ外相は、「EUは、イスラエルに対し、占領者の義務として、入植活動をただちに停止することを求める。」と述べた。

https://www.aljazeera.com/news/2019/11/pompeo-israeli-settlements-inconsistent-int-law-191118192156311.html

国連安保理は、月一回の中東に関する会議を行っていたが、ポンペイオ国務長官の発表から2日後、14カ国それぞれが、アメリカの決断に否定的な発言を出した。

https://www.ynetnews.com/article/BkH8E473B

<石のひとりごと>

トランプ政権は、エルサレムをイスラエルの首都といい、今度は、西岸地区のユダヤ人入植地は違法ではないと宣言。まさに親イスラエル政権とみられてもおかしくはないだろう。しかし、今回も含め、実際に何を言っているのかをよく考えると、実質的には何かが変わるということでもない。

一方で、イスラエルは、ますます嫌われる立場に追い込まれているようである。
カテゴリ :パレスチナ関係 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫ 次ページへ ≫