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ガザとの停戦:流れは変わったのか?2019.5.8

 2019-05-08
3日夜から始まったガザからのロケット弾の雨。ラマダン入りの6日、深夜すぎから、停戦のニュースが出始め、4:30以降、平穏が戻った。

仲介は、エジプトとカタール、国連。ハマスは、停戦の条件をイスラエルが実行するのを1週間待つと言っている。その条件とは、物資の搬入制限を解くなどで、カタールの資金搬入を許可したとの情報もある。*カタールの資金は西岸地区へ搬入される予定

https://www.timesofisrael.com/gaza-official-israel-agreed-to-implement-ceasefire-concessions-within-a-week/

イスラエル政府は、停戦が成立したとして、6日、南部住民に通常の生活へ戻るよう指示した。

https://www.haaretz.com/opinion/.premium-when-will-death-stop-falling-from-our-skies-1.7209255

この3日間の衝突で、ガザが発射したロケット弾は、700発以上。市街地へ着弾するとみられたものは迎撃ミサイルシステムが撃墜したが、その防護率は86%であった。一方、イスラエル軍のガザへの空爆は、350箇所以上であった。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/262734

この衝突で、イスラエル人4人、パレスチナ人は23人が死亡した(ガザ側発表)。

イスラエル人で死亡した4人は、以下の通り。(報道の混乱で一時死者は5人に見えたが、最終的には以下の4人)被害地域は、ガザ周辺にとどまらず、アシュケロン、アシュドド、スデロット、ベエルシェバにまで拡大した。

①モシェ・アガディさん(60)/アシュケロン
②ジアド・アルハメムダさん(47)ベドウイン/アシュケロン

③ハス・メナヘム・プレズアズマンさん(21)/アシュドド
④モシェ・フェデルさん(68)/クファル・サバ

リブリン大統領は、すべての犠牲者家族を慰問した。ガザでは、カイロに集まっていたハマスの指導者ヤヒヤ・シンワル、イスラム聖戦のジアド・アル・ナクハラが、ガザへ戻った。

<カタール資金:西岸地区へ搬入へ>

ガザは、現在、崩壊ギリギリの限界にきている。(失業率51%)。これを助けていたのが、カタールからの援助金であった。これまで、イスラエルは、ガザとイスラエルの衝突が発生するたびに、カタールの資金がガザへ入ることを承諾してきた。

資金がなくなって、ガザが崩壊すると、イスラエルが、ガザを再占領することをせまられるか、そうでなければ、ハマスよりやっかいなものが入ってくる可能性があるからである。このため、ハマスは、資金を得る手段として、イスラエルへのロケット攻撃を使うというサイクルになりつつあるとみられた。

これを「弱さ」と見たリーバーマン当時防衛相は、昨年11月、これ以上、ネタニヤフ政権とともに歩めないとして、辞任を表明し、以後、ネタニヤフ首相が防衛相も兼任するようになった。

今回もカタールは6日、ラマダン前に、4億8000万ドルを、パレスチナ人支援に送金すると発表した。その直後に、ハマスは攻撃を停止した。

しかし今回の搬入先は、ガザではなく、西岸地区のパレスチナ自治政府である。ガザにどのぐらい入るのかは、はなはだ疑わしい。ガザに資金が入らなければ、またイスラエルへの攻撃が再開されるだろう。

https://www.timesofisrael.com/qatar-pledges-to-send-480-million-in-aid-to-west-bank-and-gaza/

一方で、パレスチナ自治政府が、この資金を使って、ハマスを手なづけて、パレスチナ地区を統一する可能性を指摘する分析家もいる。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5505730,00.html

7日、エルサレムポストによると、ガザでは、イスラエルの攻撃で家を破壊された家族には一件につき、ハマスから1000ドルが支給されることになっているとのこと。西岸地区経由の資金かどうかは不明。

https://www.jpost.com/Middle-East/Hamas-offers-1000-to-Gaza-families-whose-homes-were-destroyed-by-Israel-589068

<南部住民の怒り>

同様のガザとの衝突は、昨年11月、3月に続いて3回目になるが、イスラエル市民に4人もの死者が出たのは今回が初めてである。

イスラエル南部住民は、夜中に何度もサイレンで起こされ、シェルターに駆け込む。子供達は学校が休校になるし、仕事にも行けない。これが日常になるのは受け入れられないと語る。

自国民が、深刻な被害にあっているのに、政府が、いつまでたってもガザに対して決定的な政策をとらず、いつまでもこうしたイタチゴッコを続けていることに、南部住民は当然ながら怒りをぶつける。

今回も、死者を出しながらも、ガザを一掃しようとしないネタニヤフ首相とその周囲にいる右派たちを「弱い」と批判する声も決して小さくない。また、政府は、ユーロビジョンを開催したいばかりに、早期に妥協したとの見方が優勢で、南部住民らは、またもやその犠牲になったと怒っている。

https://www.timesofisrael.com/in-rocket-scarred-south-quiet-sets-in-and-anger-at-government-simmers/

しかし、4月の総選挙では、南部住民の90%が、ネタニヤフ首相に投票していたのである。

また、このような状況にありながらも、イスラエル南部に移住していくユダヤ人は増加傾向にあることは特記すべきであろう。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/The-next-round-of-rockets-is-coming-soon-analysis-589009

<ガザ情勢にゲームチェンジ?:ネタニヤフ首相>

イスラエル政府への不満がある一方で、ネタニヤフ首相は、今回、ガザとの関係において、流れを変えることができたと主張する。すなわち、ガザとイスラエルの衝突のペースを決めるのはイスラエルになったということである。確かに、今回は、いつものように、ハマスが「勝利宣言」を出していないのも興味深い点である。

これについて、Yネットの著名な中東評論家ロン・ベン・イシャイ氏は、次のように解説している。

1)”停戦”を要請したのはハマスであって、イスラエルではなかった。

今回は、ガザの方から停戦を要請し、イスラエルがまだ応じていないうちに、ハマスとイスラム聖戦は自分からロケット攻撃を停止していた。ハマスは、ラマダン入りなので、戦いをスローダウンしなければならなかった。

また、イシャイ氏によると、今回、イスラエルが、ガザに向かって証明したかったことは、「いくらやってもイスラエルは動かない。抵抗は無駄。」という現状である。確かに4人もの犠牲者を出しながら、イスラエルはあわてることなく、停戦を持ち出すことはなかった。

イシャイ氏は、ユーロビジョン(国際歌謡コンテスト)開催のために、ガザへの総攻撃を避けたという説は否定する。

2)イスラエルは反撃の正当性を維持した。

イスラエルは、ハマスやイスラム聖戦指導者らをピンポイント攻撃するなどして、ガザ市民への被害を最小限に抑えた。一方で、イスラエルは、市民4人が自宅などで死亡している。トランプ大統領が言ったように、イスラエルは、防衛の権利を持つという立場を維持することができた。

3)政府と軍が一致し、イスラエルの脅威を示した

イスラエル軍参謀総長は、今年1月に就任したばかりのアビ・コハビ氏である。今回、政府と軍は一致して動いており、その作戦の内容の詳細が、メディアに漏れることはなかった。

また今回、イスラエル軍は、どういうわけか、ハマス指導者らの自宅や居場所を知っていて、正確にピンポイント攻撃に及んだ点も、ハマスやイスラム聖戦には改めて、脅威になったのではないかという点。

しかも、イスラエルは、地下に潜んでいるテロ組織の司令官らに、自宅を攻撃するので、家族を避難させるよう予告してから、攻撃していたという。この点もまた、ハマスやイスラム聖戦にイスラエルの大きさと余裕を示す結果になったはずである。

3)イスラム聖戦を攻撃した

イスラエルはこれまで、ガザの管理者はハマスだと断定し、ハマスの拠点ばかりを攻撃してきた。ところが、今回は、イスラム聖戦(イラン配下)の拠点も攻撃している。イスラエルが、イランを恐れていないということを示した。

とはいえ、これらは、ガザからの攻撃を抑止する助けにはなっても、解決ではない。ハマスが、その存在基盤をイスラエルの破壊においているテロ組織である以上、戦いは、またすぐ発生するだろう。

結局のところ、ハマスには、ガザから出て行ってもらい、もっとガザ市民のことを考える指導者に入ってもらうしかない。今の所、そういう人物がいないというのが、問題である。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5505129,00.html

イシャイ氏は、今回のガザへの対応を評価している形ではあるが、市民に4人の犠牲者が出たことについて、迎撃ミサイルの配備をもう少し増やしておくべきだったと述べている。

<石のひとりごと>

ネタニヤフ首相については、課題も多く、賛否両論ではあるが、実質を見れば、今回もできるだけ兵士に犠牲を出さず、比較的短期間で平穏を取り戻したことは、確かである。

イスラエルでは、8日から戦没者記念日、独立記念日と大事な日がつづく。また、ユーロビジョンを成功させることは、ヨーロッパからBDS(ボイコット)運動に苦しめられてきたイスラエルにとって、政治的にも非常に重要である。ガザと戦争をしている場合ではない。

そういう意味では、南部住民は、国全体のための犠牲になっているといえる。ネタニヤフ首相はこれをどう捉えているのかはわからないが、国の指導者としての決断とそれに伴う責任の重さは、想像を絶するほど重い。

特にイスラエルという国の運営は、世界一難しい仕事である。それを13年以上もやっているネタニヤフ首相の知力、体力、精神力は、驚異的である。イスラエルの繁栄を守るという信念が、ネタニヤフ首相の中にはあるのだろう。自分の地位や権力を守るためだけに動いている政治家には、決してできない仕事である。

日本の国を運営している阿部さんはどうなのだろう。命がけで、日本の繁栄を守ろうとしてくれているのだろうか。それならば、私たちは、日本国民として、特にクリスチャンとしては、批判ではなく、彼のために祈るということが非常に重要である。
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ガザのロケット攻撃終わらず:イスラエル市民4人死亡 (5日午後9時(日本6日午前3時)) 2019.5.6

 2019-05-06

F190505NRF04-640x400.jpg 写真出展:Times of Israel

ガザからのロケット弾攻撃は、日曜朝になり、再び激化。朝だけで40発がふりそそぎ、アシュケロンでは、工場が直撃を受けて3人が負傷した。このうち、男性1人(22)、ベドウィン男性(50)が、後に死亡した。

スデロットでは、走行中の車が攻撃を受け、乗っていた男性(60)が、重症を負い、意識を失っているのを、アシュケロンへ向かっていた救急隊が発見した。この男性も、搬送先の病院で死亡した。これで、ガザからの攻撃が始まってから死亡したイスラエル市民は、4人になった。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5504165,00.html

ロケット弾攻撃は、日曜午後からも再び激化しており、警報は、今現在も、ガザ周辺の町や、ヤド・モルデハイなどキブツで、断続して鳴り続けている。ロケット弾の到達地点が徐々に内陸へとひろがってきている。南部では、学校は休校。人々はシェルターにいる。

イスラエル軍は、ガザへの空爆を継続するとともに、国境に駐留する戦車隊を増強している。そこへドローンが飛来しているという。

ガザから飛来するロケット弾は、日曜5時までの段階で600発。このうち70%は空き地に着弾。迎撃ミサイルが撃墜したのは、150発以上で、市街地に着弾すると予測されたロケット弾の大部分は防いでいるといえる。

しかし、ロケット弾は着弾すると、するどい金属片が数百メートルにわたって、広範囲に飛び散るため、たとえ一発でも市街地に着弾すると非常に危険である。

イスラエル軍スポークスマンのロネン・マネリス少佐は、今のこの状態が数日は続くとの見通しを語っている。

https://www.timesofisrael.com/liveblog-may-5-2019/

*これまでのイスラエル・ガザ双方の犠牲者数

金曜夕刻に攻撃が始まってから、イスラエルでは,アシュケロン在住で4人の子供の父親であるモシェ・アガディさん(58)が、死亡。日曜に死亡した3人とあわせて4人。負傷者17人の中には、重傷者もいる。イスラエル南部農場では、出稼ぎに来ていたタイ人男性(30)も中等度の負傷。被害に遭っているのは、すべて一般市民である。

https://www.timesofisrael.com/ashdod-man-killed-by-rocket-raising-death-toll-to-4-amid-massive-bombardment/

ガザでは、IDFによると、戦闘員8人が死亡。ガザ側情報によると、死者は20人。*数字はメディアによって相違あり

ガザ側が、イスラエルの攻撃で1歳の幼児とその母親が死亡したと言っていることについて、イスラエルは、これはガザ内部に落下したロケット弾によるものであって、イスラエルの責任ではないと発表した。

https://www.timesofisrael.com/gearing-up-for-days-of-fighting-idf-sends-tank-reinforcements-to-gaza-border/

<ハマス指揮官でイラン関係者を暗殺:IDF戦略の変化>

イスラエルは、ガザへの空爆を継続しており、これまでの攻撃対象ラインを超えて、攻撃の規模や範囲を広げているもようである。これまでに、ハマス省庁のビルなどを破壊している。

また、ハマス指揮官の一人で、イランからの資金をハマスやイスラム聖戦に届けていたハメッド・ハマダン・アル・コダリ(34)をピンポイントで暗殺したと発表した。

今回のガザからの攻撃については、背後にイランがいると指摘されていた。ハマスも、指揮官であるアル・コダリが死亡したことを認めた。

イスラエル軍は、この他にも、ハマスやイスラム聖戦の指揮官らのピンポイント攻撃を行っている他、彼らの自宅を破壊する作戦に出ているもようである。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5504389,00.html

現在、イスラエル軍は、ガザとの国境に戦車隊を増強し、地上軍投入の気配もあるが、これについては、閣議決定がないと実行には移せない作戦である。

ネタニヤフ首相は、新政権がまだ発足していないため、前の閣僚による治安閣議を行っている。ネタニヤフ首相については、明確なビジョンがなく、その場その場でしか動いていないとの指摘があるが、確かに今回もいったいどう対処するのかどうにも見えてこない感じは否めないと、これは記者の印象・・・

<イランのねらい:戦略専門家ヤアコブ:アミドロール大佐(退役):電話会見>

1)イスラム聖戦の背後にイラン


前回の記事で紹介した元イスラエル軍大佐で、治安問題専門家のクパワッサー氏と同様、戦略専門家のアミドロール氏も、今回のエスカレートの原因(イスラエル兵2人をガザ国境で攻撃)を作ったのがイスラム聖戦であったことに注目する。

イランは、イスラム聖戦を使って、ガザ情勢をエスカレートさせることで、内戦後のシリアに進出するイラン軍関係施設を、容赦なく攻撃し続けるイスラエルの目を引き離そうとしているとアミドロール氏は分析する。

また、イランは、エジプトが仲介となってすすめているハマスとイスラエルの合意を妨害したいとも考えている。

今回、イランは、イスラム聖戦を使ってガザ情勢をエスカレートさせ、ハマスをイスラエル攻撃に加わらせることで、イスラエルとの合意に向けたプロセスを妨害することに成功したといえる。

アミドロール氏によると、イスラム聖戦は、イランが発足させたテロ組織で、実質イランであり、ガザのパレスチナ人にはまったく興味がない。一方、ハマスは、イスラム聖戦より組織としては大きく、一応、ガザのパレスチナ人を管理する立場にある。

ハマスは、イスラム聖戦に振り回されず、逆にこれを制する立場にたってもらいたいとアミドロール氏は語る。

2)カイロでの動き

カイロでは、エジプトが、ハマスとイスラム聖戦の指導者とともに、沈静化の落とし所、つまり、イスラエルに、”停戦”する見返りの条件として、何を提示するのかをさぐっているとみられる。

これまで何度か、ガザから攻撃をしかけておきながら、”停戦”をする代わりとして、イスラエルは多数の譲歩をのんできた。その一つが、カタールの現金搬入である。

イスラエルはガザを再支配したくないので、総攻撃はしそうでも、実際にはしない計算が高い。ここに目をつけたハマスが、時々イスラエルを攻撃しては、イスラエルに譲歩させてきたのである。しかし、今回については、イスラエルがこれに応じようとする様子は、今のところない。

3)ほくそ笑むパレスチナ自治政府のアッバス議長?

イスラエルが、ガザを攻撃することで利益を得るのは、イランと、もう一人、パレスチナ自治政府のアッバス議長である。ガザとライバルであるとしても、同じパレスチナ人である。パレスチナ人が、イスラエル軍によって殺されたら、それは、国連で武器として使える。

また、ガザが崩壊すれば、アッバス議長がその支配に入る可能性もなきにしもあらず。経済危機で破綻しそうな今、ガザ地区でのエスカレートは、アッバス議長には歓迎といったところである。

4)今後の見通し

今後どうなるかについて質問されたアミドロール氏は、それは、ハマスの方針、また地上での各組織の動きによるとして、現時点では、予測できる点はないと語った。
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ガザからロケット弾250発以上:イスラエル人1人死亡(5日朝6時30(日本12:30) 20195.5

 2019-05-05

439771.jpg 写真:イスラエル警察

ガザ情勢がまたエスカレートしている。経過は以下の通り。なお、現在も進行中であるため、記事は時間を追ってお伝えする。

3日(金)、ガザ国境をパトロールしていたイスラエル兵2人が、ガザからの銃撃を受け、負傷した。これを受けてイスラエル軍が、ハマス関連への空爆を行ったが、これにより、ハマスとみられる2人が死亡した。

また、3日には、毎週金曜のデモによる衝突で、パレスチナ人1人(19)が死亡。のちに負傷していた1人も死亡した。金曜だけで、パレスチナ人4人が死亡したことになる。ハマスは、「イスラエルの”犯罪”には屈しない。」とし、また金曜の「機関へに行進」も継続すると発表した。

土曜朝10時(日本時間土曜午後4時)、ガザからロケット弾が、イスラエル南部、アシュケロン、アシュドドに向けて撃ち込まれ、夜まで続いて、250発に及んだ。

迎撃ミサイル、アイアンドームが、一部は撃墜したが、すべてはカバーできず、ガザ周囲エシュコル地方では、民家に直撃。住民は、幸いサイレンで避難した直後であった。国道4号線も被害を受けた。

これを受けて、イスラエル軍が、ハマスとイスラム聖戦拠点など10数箇所へ空爆を行った。ガザからの情報によると、この攻撃により、パレスチナ人1人(22)が死亡。4人が負傷した。(ガザ情報)

この後もガザからのロケット弾攻撃は続き、サイレンは、レホボト(テルアビブ近郊)や、ベイトシェメシュ(エルサレムから20キロ)にまで拡大した。ナハル・オズ、ホフ・アシュケロンでは、民家が直撃の被害を受けた。いずれも住民は避難して無事だった。

しかし、夕方になり、キリアト・ガットで、屋外にいた80歳の女性が、ミサイルの破片に当たって重傷。アシュケロンでは、49歳男性が中等度の負傷を負った。
情勢のエスカレートを受けて、国連とエジプトが仲介を続けているが、今のところ、進展はまだ伝えられていない。

この記事を書いている最中の5日に入った深夜すぎ、ベエルシェバに2発着弾したとの報道が入っている。1発は高校に着弾。後者が炎上した。もう1発は民家に着弾した。負傷者もでているもようで、計6人が病院で手当てを受けている。

さらに午前2時半、ロケット弾がアシュケロンのビルに着弾し、イスラエル人男性(60)が死亡した。2014年のガザとの戦争以来、最初のイスラエル人犠牲者となる。ロケット弾はスデロットにも着弾しているもよう。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/1-killed-as-300-rockets-slam-southern-Israel-588751

現在、ベエルシェバ、アシュケロン、キリアットマラキ、ヤブネなどガザ周辺広範囲地域の住民はシェルターで待機。イスラエル軍は、ガザとの国境はすべて閉鎖。危険地域の道路を封鎖したり、ベエルシェバを含む複数の市は、公共のシェルターも開放して、警戒を続けている。

また、テルアビブなど中央部への攻撃にも備え、アイアンドーム(迎撃ミサイルシステム)をさらに配備した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/262678

イスラエル軍は、120箇所(おそらくそれ以上)への攻撃を実施。エルサレムポストによると、一連の攻撃で、ガザからイスラエルへ続く、イスラム聖戦の地下トンネルも破壊したとのこと。

Times of Israel によると、ハマスは、イスラエルの空爆によって、幼児(1歳2ヶ月)とその母親が死亡したと伝えられている。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5503459,00.html

<ユーロビジョン脅迫>

ガザからの攻撃が始まった土曜、5月から14日から18日に予定されているユーロビジョン関係者が、開催地テルアビブ集まり始めた日で、テルアビブ市は、関係者のためのシャバットディナーを開催していた。

ユーロビジョンは、ヨーロッパのミュージック・アーティストたちによる毎年恒例の国際的なコンテストで、昨年、はじめてイスラエル人アーティストのネタ・バルジライさんが優勝。これにより、今年はイスラエル(テルアビブ)でコンテストが行われる。

イスラエルの観光省は、1万人がこのためにイスラエルに来ると予測している。

しかし、イスラエルについては、紛争地帯であるとして、コンテストの開催の是非については物議を呼び開催が危ぶまれたという経過があった。またBDSムーブメント(イスラエルボイコット運動)がアーティストにボイコットを呼びかけた他、元ピンクフロイドのロジャー・ウォーター氏もアーティストたちにボイコットを呼びかけている。

イスラム聖戦は、この世界的なコンテストが、イスラエルで行われることによって、パレスチナ問題が軽視されることになると訴えている。

ガザからのロケット弾、ミサイルは、余裕でテルアビブにも到達する。情勢のエスカレートが続けば、ベンングリオン空港の使用も含め、コンテストの開催にも影響が出ることはさけられない。

<イスラム聖戦台頭にみる懸念:元イスラエル軍大佐治安問題専門家ヨシ・クパワッサー氏>

1)ガザ崩壊への可能性?


現在、イスラエルは、エジプトの仲介で、ハマスをガザの管理者として、平穏回復への交渉を行っている。

イスラエルが本気になれば、ハマスを打倒することは難しいことではない。しかし、イスラエルは、その後にガザに入って管理することはさけたい。そのため、ハマスをぎりぎりで維持し、平穏を継続するよう働いている。

しかし、問題は、アメリカがパレスチナ人への支援金(UNRWAへの拠出金完全停止)したこともあり、パレスチナ自治政府が、これまで送金してきたガザへの資金を差し止めてしまった。

これは、アッバス議長無視で、ハマスとイスラエルが、交渉をしていることへの反発であるとも考えらえる。

このため、ハマスはまったくの資金不足に陥った。これを救出したのが、カタールからの現金であった。イスラエルはこの現金の搬入を認めた。ところが、今、カタールからの資金が届かなくなった。

ガザが崩壊することは、イスラエルのみならず、エジプトにとっても非常に危険である。ISなどハマスよりはるかに悪いものが来る可能性があるからである。

今、エジプトのカイロでは、ハマスとイスラム聖戦の指導者が集まって、エジプトと今後のことが協議されているが、クパワッサー氏によると、この協議に来るはずのカタールが来ていないという。このままではガザはいよいよ崩壊する。

2)ハマス求心力低下:イスラム聖戦の台頭

今回の衝突は、ハマスではなく、イスラム聖戦が中心になっていることも大きな懸念。もはやハマスがガザを統括できていないとも考えられる。

イスラエルはこれまで平穏をとりもどすため、ハマスを維持しようと、相当な譲歩を行ってきた。しかし、もしそれが意味のないことであるならば、方針の方向転換を行う必要が出てくる。

イスラム聖戦は、イランの配下にあることがわかっているので、イスラエルはこれがガザの支配者としてイスラム聖戦を受け入れることはできない。そうなるといよいよイスラエルがガザを総攻撃しなければならなくなる。

しかし、イスラエルは、200万人のパレスチナ人を抱えるガザを再支配することは絶対にさけたい。大きなジレンマであると同時に、方向転換の決断の影響は非常に大きい。今、イスラエルは注意深く、動きを見守っているところである。

3)イランが関係するか

イスラム聖戦が台頭していることからも、このことにイランが関わっている可能性は高い。ちょうどアメリカが原油の完全禁輸制裁を始めたところで、イランが、そのツケとして、この紛争を覆ったとも考えられる。

イランは、ホルムズ海峡の閉鎖も脅迫しているところである。

また、イスラエルは、これから戦没者記念日(7日夕刻から)、独立記念日(8日夕刻から)に続いて、ユーロビジョン(14-18日)と、国としても大事な行事を控えている。この時期、ちょうどラマダン入りでもあり、イスラエルとの対立を煽るに、これ以上にタイミングはないともいえる。

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パレスチナ自治政府崩壊の懸念 2019.5.2

 2019-05-02
パレスチナ自治政府のアッバス議長が、イスラエルが代理で徴収している貿易上の税金の受け取りを拒んでいる。このままであれば、パレスチナ自治政府の経済が崩壊し、そのまま自治政府が崩壊する懸念が高まっている。

時期的にはアメリカが、長く保留になっている中東和平案を6月に発表する前であり、今、自治政府が崩壊することは、イスラエルにとっても好ましい状況ではない。

パレスチナ自治政府は、トランプ政権が、テロに使われているとしてUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業期間)への支援を打ち切るなどで経済危機に陥っていた。このためガザへの送金も滞り、ガザ情勢の悪化を幇助した形である。

さらに2月、イスラエルは、自治政府が、イスラエルの刑務所にいるパレスチナ人テロリストの家族に補償金を払うのは不当だとして、その分、約半分にあたる税金1億3800万ドルの送金を差し止めた。

しかし、その後の自治政府の様子から、イスラエルは1億8200万ドルの税金を送金すると申し入れた。ところが、アッバス議長がこれを拒否しているのである。イスラエルからの税金は、パレスチナ自治政府の予算の半分以上を占めているため、その資金が滞ることは深刻な事態といえる。

アッバス議長によると、アラブ諸国に、借金扱いで、月1億ドルの支援を要請したという。日曜、アラブ同盟は、イスラエルが差し止めた分として1億ドルを約束したが、本当に送金されるかどうかは不明。

自治政府が崩壊した場合、暴力的なインティファーダに発展したり、ハマスが西岸地区を乗っ取る可能も懸念ある。結局、イスラエルが、パレスチナ人で溢れる西岸地区の面倒を見なければならなくなるだろう。

西岸地区のパレスチナ人をイスラエルにとりこめば、アラブ人人口が上回る日もそう遠くなくなり、民主国家イスラエルがユダヤ人の国として維持できなくなる。

パレスチナ自治政府の崩壊は、イスラエルだけでなく、ヨルダン、エジプトにとっても好ましい状況ではない。アッバス議長が、アメリカとの関係を断絶しているので、アメリカが介入することはできないとして、今、ヨルダンとエジプトが仲介に乗り出している。

https://www.timesofisrael.com/jordan-egypt-said-to-mediate-between-israel-and-pa-over-tax-transfer-standoff/

<西岸地区パレスチナ人は白けている?>

アルーツ7が伝えたところによると、西岸地区のパレスチナ人たちからは、この問題に関して白けているとのこと。パレスチナ人たちの中には、汚職にまみれたアッバス議長が失脚する事を望む人も少なくないのである。

パレスチナ人の多くは、ひそかに、いっそのこと、イスラエルが支配するほうがましと考えているとこの記事は伝えている。しかし、それがイスラエルにとってよいことなのかどうかは不明。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/262545

今回は国会入りできなかったナフタリ・ベネット氏だが、西岸地区を効果的にイスラエルの参加に入れ、パレスチナ人には、民政だけの自治を認めるといった方策が思い出されるところである。

<石のひとりごと>

非常に難しい状況である。ネタニヤフ首相は、よほどの知恵をもってタイミングを逃すことなく決断し、動かなければならないだろう。しかし、ネタニヤフ首相を週3回は見ているというベテランの記者によると、ネタニヤフ首相は、その場その場で動いているだけで、ビジョンがないと言っていた。

新ネタニヤフ政権はまだ発足していないが、第21代国会は、30日に就任した。国会は、リクード(右派系)とブルーアンドホワイト(中道左派系)は議席半々である。今後、ネタニヤフ首相と政府国会の決断が導かれるように祈りが必要である。
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ガザ:土地の日”無事”終了 2019.4.1

 2019-04-01
4月30日(土)は、パレスチナ人の土地の日*であると同時に、ガザ国境での「帰還への行進」と称して、毎週金曜に行うデモが始まってからちょうど1年目にあたる日であった。

ハマスは、29日(金)のデモを休止し、30日(土)の大規模デモに備えるよう、ガザのパレスチナ人たちに指示を出していた。

*土地の日

土地の日は、イスラエルの土地に関する法律により、土地を搾取されたとするパレスチナ人たちが、1976年に、全国的なデモを行ったことを覚える日である。この日の衝突でパレスチナ人6人が死亡している。この事件を記念して、毎年3月31日を土地の日と呼び、パレスチナ人たちが、各地でイスラエルに対するデモが行うことになっている。

ナクバの日というのもある。イスラエルが独立宣言をした5月14日にちなんで、パレスチナ人たちが、5月15日に、「破局の日」としてデモを各地で行う。


イスラエル軍は、戦力を増強し、戦車隊と射撃手を並べて、国境から暴徒がなだれ込んでくる場合に備え、緊張が高まっていた。ここしばらく、エジプトの使者が、双方の間を行き来して、大きな戦争にならないよう、仲介を試みていた。

暴動が始まったのは土曜午後3時。悪天候ではあったが、最終的には4万から5万人が国境に集結。発火物をイスラエル軍に向かって投げつけたり、タイヤを燃やすなどの暴力的なデモが始まった。

侵入を試みる者たちに対して、イスラエル軍は催涙弾と、実弾で対処した。ガザ保健省によると、3人(みな17歳)が死亡。少なくとも300人が負傷した。なお、本格的な暴動が始まる前にも1人死亡したため、今回の暴動での死者は計4人。

この間に、8歳の少年2人がイスラエルへ侵入したが、イスラエル軍は2人を保護。水のボトルを与えて、そのままガザへ戻した。泣いているとみられる少年の姿がなんとも悲しい映像であった。

https://www.youtube.com/watch?v=EMnQgaYWXjI

デモには、ハマス指導者ヤッシャ・シンワルが現場に現れた。またもう一人のハマス指導者イシュマエル・ハニエも、エジプトの使者とともに現場に姿を現した。

これは、ハマスが、イスラエルに対し、エジプトの仲介を受け入れたという印であり、それに応じて、暴動もそれほど大きくはならないという宣言であったともいえる。国境では、ハマスが、めずらしく独自の治安部隊を駐留させ、大きな暴動に発展しないよう監視していた。

国境での暴動は夕方には一段落となった。結果的に、死者は出ているが、いつものレベルの暴動であり、特に懸念されていたような大きな紛争には発展しなかった。

ネタニヤフ首相は、国境でのイスラエル軍の働きを賞賛するメッセージを出した。ハマスも同様に満足であるとのコメントを出している。

それでも暴動終了後の土曜夜中、ガザからイスラエル南部へ5発、日曜午後にものロケット弾が撃ち込まれた。被害はなかったが、イスラエルはいつものように、ガザへの報復攻撃を行った。しかし、空虚な建物を破壊するだけで、象徴的といった類の攻撃である。

イスラエルもハマスも、ロケット弾を放ったのはハマスではないとの見解を出している。(ということに双方がしている可能性もある)

土曜デモが一段落したことを受けて、イスラエルは、日曜朝には、人用、物資用、どちらもの検問所を開放。物資を積んだトラックがガザへ向かっていった。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/261159

<エジプトの仲介とその中身>

今回、衝突が小ぶりですんだのは、エジプトの仲介があったからである。エジプトは48時間、休みなしに両者の間を行き来し、大きな衝突をなんとか防いだといえる。

しかし、仲介はこれで終わったわけではなく、長期の”停戦”に向けて、交渉がつづけられている。

今回、ハマスが、土地の日に大きな暴動を行わないことへの見返りとしてイスラエルが約束したことは、①先週月曜にガザからのミサイル以来、閉鎖していた検問所を開放し、交易を再開すること。

②月曜以来、閉鎖されていた漁業海域を開放すること。③カタールからの現金搬入を再開することと伝えられている。
http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/261150

いいかえれば、ハマスは攻撃をした結果、よい結果を得たということになる。

<イスラエルがハマスと交渉を続ける目的>

暴力に対して、報酬を与えたような結果について、新右派党のナフタリ・ベネット氏は、「イスラエルの民がばかにされている。」と激怒。これ以上のハマスとの合意に反対する意向を表明した。ベネット氏は、ハマスのヤッシャ・シンワルは、とうの昔に亡き者になっているべきだったとも行っている。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/261200

確かに、皮肉なことに、ヤッシャ・シンワルは、2011年に、ギラッド・シャリート兵士との交換で、釈放された1027人のテロリストの中の1人であった。

シンワルは、イスラエル兵2人を殺害して複数の終身刑を言い渡され、イスラエルの刑務所で22年も過ごした人物である。その間、何度も脱走を試みたという。ネタニヤフ首相は、このシンワルをシャリート兵士との交換で釈放した。それが今、イスラエルにとって大きな障害になっているわけである。

しかし、ガザとの関係は、ちょうどベトナム戦争のアメリカと似ているとの指摘がある。力のバランスがあまりにも違うために、逆にイスラエルが絶対に勝てないというのである。

つまり、ハマスをうちのめすことが、必ずしもイスラエルの益になるとは限らないということである。今のイスラエルにとっては、多少プライドは傷ついても、大きく構えて、長期続く平穏を勝ち取る方が得策なのかもしれない。

またのちのニュースでは、ハマスにとらわれているイスラエル兵の遺体と人質を取り返すために交渉がすすんでいるとの情報もある。なんらかの目的があって、あえてハマスの前に折れたようにみえているだけであろう。

とはいえ、いつまでこの鬼ごっこが続くのかと思えば、まったくの第三者である筆者ですら、もううんざりである。イスラエル人、特に南部住民のフラストレーションはいかばかりかと思う。

もう10年も前のことだが、エルサレムに駐在する日本の某大手新聞社のベテラン記者が、「あいつら(パレスチナとイスラエル)は延々といつまでも同じことをやるだけだ。もう書く気しない。」と言っていた。

今回も、なんとか大きな戦争にならなかったのは幸いではあるのだが、まさに、10年たった今も、ほぼ同じことの繰り返し・・・のようである。解決をさぐりながら、それでバランスをとる。それがパレスチナ問題の実態なのかもしれない。
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ガザ紛争:一夜明けて 2019.3.26 7:00(日本14:00)

 2019-03-26
<イスラエル軍による反撃空爆>

25日早朝5時20分に、テルアビブ北部、モシャブ・ミシュメレットの民家にロケット弾が直撃したことを受け、訪米中のネタニヤフ首相は、「責任はハマスにある」と断定。容赦ない武力による反撃を行うと宣言した。

その後、アメリカからイスラエルの治安関係者との会議を実施。ガザ国境へ2部隊を派遣し、空軍関係を中心に予備役兵1000人の招集を開始した。ハマスとイスラエルの交渉を仲介しているエジプト政府関係者はガザから脱出した。

イスラエルが、ガザへの空爆を開始したのは、ミシュメレットへの攻撃からちょうど12時間後の26日午後17:30(日本時間夜中2時半)。ガザのハマス指導者イシュマエル・ハニエのオフィスや、イスラエル軍いわく、”ハマスの極秘基地”を含む施設を断続的に空爆した。(写真出展:ynet)

イスラエルの空爆が始まると、ガザから、イスラエル南部、ネゲブ地方ににむけてロケット弾が30発撃ち込まれ、数千人の住民が、夜中、サイレンが鳴り響く中、シェルターに駆け込むことを余儀なくされた。スデロットで、民家が被害を受けたが、人的被害はなかった。

ハマスは、「テルアビブを攻撃しようと思っているものはいない。ロケット弾は事故。悪天候による。」などと苦しい言い訳を出したが、イスラエルはとりあわず、攻撃を続けた。

https://www.timesofisrael.com/hamas-investigating-rocket-fire-official-cites-bad-weather-as-possible-cause/

空爆開始から約5時間後の午後10時ごろ、パレスチナメディアが、「ハマスがエジプトの仲介で停戦に応じた」と伝えた。しかし、この時点では、双方とも攻撃は停止しなかった。

https://www.timesofisrael.com/tense-calm-in-gaza-periphery-after-night-of-rocket-barrages-idf-strikes/

結局、双方とも攻撃をやめ、静かになったのは、朝3時15分ごろ(日本時間朝10時すぎ)からで、現在朝7時(日本時間14時)、とりあえず、平穏が戻った状態となっている。

今回の武力衝突では、イスラエルが空爆を始める前にハマスは、関連施設から逃亡していると伝えられていた。一般住民もおそらくハマス関連施設から離れたのであろう。激しい空爆にもかかわらず、ガザでの死者負傷者の報告は、今のところない。

イスラエル側も公営シェルターを準備するなどしていたため、負傷者の報告はない。ロケット弾の多くは空き地に落ちたと伝えられている。朝までには60発が撃ち込まれたとのこと。

https://www.timesofisrael.com/hamas-says-ceasefire-reached-after-heavy-barrage-from-gaza-pounds-south/

<今後のみこみ>

まだ予断を許さないことは言うまでもないが、ハマスは、4月30日の”土地の日”から、国境で、大規模なデモを行うと宣言していることから、まだまだ高い警戒態勢は、続くだろう。

しかし、今回の攻撃で、国境警備への言い訳もできたし、ハマスのミサイルはかなり破壊されたと思われるので、イスラエルにとっては好都合、ハマスにとっては確かに、「失敗」であったかもしれない。そう願いたいところである。

右派で教育相のナフタリ・ベネット氏は、「ハマスとの停戦に応じてもすぐに戦闘になる。」と攻撃続行、打倒ハマスを訴えている。しかし、今のイスラエル政府は、ハマスとガザ地区を一掃してしまうことは避けたいと考えている。

一掃したら、その後の復興をイスラエルが責任を負わなければならなくなるし、もしそうしなかった場合、ISやトルコ、イランが入ってくるだろう。けっしてハマスを歓迎するわけではないが、なんらかの合意で、ハマスを縛ってガザの管理者という立場を維持させておくほうが、イスラエルとしては、まだ”まし”なのである。

今後も、サバイバルと尊厳をかけた水面下での駆け引きは、ますます狡猾で、厳しくなっていくだろう。そうなると、やはり、軍参謀総長の経験しかないガンツ氏より、海千山千の政治家、ネタニヤフ首相に投票する国民が増えるだろう・・・ということは容易に想像できる。

<一瞬の奇跡>

モシャブ・ミシュメレットで直撃を受けた家族の父親、ダニエル・ウオルフさんは、家族が今生きているのは、本当に奇跡であった。指示されたことをしていなかったら、今頃、家族を葬っていただろうと、恐怖をたたえた表情で語った。

ダニエルさんによると、朝5時20分は、通常はベッドで爆睡している時間だった。しかし、たまたまこの日は、ダニエルさんが、スマホをみながら、ソファで寝入ってしまったために、サイレンの音を聞いて起きることができたという。

それからあわてて子供たち、妊娠中の妻、母親を起こして、シェルターに駆け込んだ。駆け込みながらロケット弾が、家に直撃したという。シェルターにあ入りきっていなかった母親は負傷したが、部屋にいたら、大変な大怪我をおっていたはずである。

この攻撃で家は大破。家の前に停車していた車もめちゃめちゃになっていた。

イスラエルにいると、サイレンの訓練もあるし、今回、攻撃を受けた地域は、2014年以来、攻撃がなかった地域である。早朝でもあり、そのまま逃げなかった人も多かったことだろう。ダニエルさん一家が、ちゃんと逃げたのはまさに奇跡であった。

ダニエルさん一家は、30年前にイギリスからイスラエルに移住していた。このため、イギリスの駐イスラエル大使ダビッド・クオレイ氏は、「イギリス人家族が無事でよかった。こんな攻撃にいかなる理由もありえない。」とツイッターでつぶやいた。

https://www.timesofisrael.com/father-says-its-a-miracle-family-survived-gaza-rocket-that-leveled-their-home/

<石のひとりごと>

ガザから70キロ以上も離れた地域で、しかも、無数にある家の中で、ダニエルさん宅にのみ直撃である。日本でいうなら、たとえば、富士山あたりから東京の住宅地へ飛ばされた1発のミサイルが、たまたま加藤宏さん宅を直撃したということである。

たまたまとはいえ、まるで狙われたかのような攻撃である。家族のショックは、いかばかりか・・・
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