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ガザ国境:ぎりぎりの平穏維持 2019.7.16

 2019-07-16
11日(木)、ガザ北部国境で、パレスチナ人2人が国境を超えそうになったため、イスラエル軍が発砲。パレスチナ人一人(28)が死亡した。ところが、死亡したのは、ハマスメンバーで、国境を越えようとする2人を止めようとしていたのであった。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5548212,00.html

これに対し、イスラエルは、”misunderstanding”(誤解)と釈明したが、ハマスは激怒。イスラエル南部にむけてロケット弾2発を発射した。これによる被害はなかった。再びの衝突も懸念されたが、その後、大きな動きはない。

今回の危機は、エジプトが、イスラエルとハマスの間を仲介していた最中のことであった。エジプトがなんとかハマスを説き伏せたのであろうか。12日には、エジプト代表団がガザへ入り、ハマスとイスラム聖戦と対話し、13日にガザを出た。

エジプトは、仲介者として、イスラエルとハマス、さらには、パレスチナ自治政府のアッバス議長とも交渉を行っている。

https://www.timesofisrael.com/egyptian-delegation-meets-with-palestinian-factions-to-prevent-new-gaza-flareup/

ここ数日中には、カタールと国連関係者がガザへ入り、イスラエルからの電力ライン(ライン161)、水道設備、国境付近の病院などの設立を視察するという。カタールが、これらのインフラ整備費用の出資者である。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5549809,00.html

こうした中、12日(金)には、相変わらず、ガザ国境で、6000人が、毎週のイスラエルへの暴力的なデモを行った。この衝突により、パレスチナ人33人が、イスラエル軍の実弾により負傷した。

<危うい非公式の”停戦”>

エジプトの仲介により、イスラエルとハマスの間には、非公式、非公開のあやうい停戦状態、衝突、また停戦という繰り返しが続いている。

ハマスは、イスラエルが存在していること自体が悪いという主張の元、イスラエルへの”反撃”の攻撃を行っている。しかし、イスラエルにしてみれば、先にハマスから攻撃されたことへの”防衛”であって、ハマスから”停戦”と言われるのは、理に合わない。

しかし、ガザへ、そのまま武力で反撃することが、イスラエルの益にはならないという特殊な状況がある。

ハマスは、多数のミサイルと持っているとはいえ、武力においては、イスラエルとは比べようがない。凧と戦闘機の戦いである。このため、まともに反撃すると、釣り合いがとれず、国際社会の非難を買うことになる。

また、ガザには、ハマス以外にも、イスラム聖戦など別組織がおり、ハマスとは別にイスラエルを攻撃してくることもある。ハマスはこれを抑えようとしているようではあるが、完全には支配できていないので、ハマスと約束しても、別組織がそれを破るという繰り返しである。

<ガザの特殊事情とイスラエルの現実的?対策>

ガザ地区は、もはや人間が住める状態にはない。このため、イスラエルは、エジプトの仲介で、平穏が保たれると、”ご褒美”として、人道物資などを搬入するという、ムチと反対のアメ対策を続けている。今回も同様に、平穏になったことを評価して、医薬品や、物資搬入に同意したとみられている。

https://www.timesofisrael.com/israel-said-to-promise-gaza-medicine-goods-in-return-for-continued-calm/

また、ガザでは、電力不足で、下水を海やイスラエル領内へ垂れ流すようになってすでに久しい。この状態でガザを攻撃しても、イスラエルが対処する問題が増えるだけである。

下水垂れ流しについて、イスラエルは、ガザの下水をスデロットロットの下水処理場へ引く地下パイプを建設し、処理するシステムを構築することを決めた。これに必要な資金は、1500万シェケル(約4億5000万円)にのぼる。イスラエルはこの費用を、パレスチナ自治政府への送金(税徴収)から差し引くとのこと。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5528090,00.html

攻撃されているのに、ハマスに様々な奉仕をしているかのようなイスラエル政府の対応に、南部住民は、業を煮やしている。

しかし、Times of Israel によると、ガザからの火炎凧による攻撃は、2018年に比べ、減少傾向にあるという。危ういながらも、ガザへのアメ作戦は、多少は効果があるのかもしれない・・・。

https://www.timesofisrael.com/south-sees-stark-drop-in-number-of-fires-caused-by-gaza-arson-attacks/
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第二のハマスの息子登場:ハマスの汚職を暴露 2019.7.8

 2019-07-08

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シュヘイブ・ユーセフさん 写真出展:Times of Israel

ハマスといえば、ハマスの息子で知られるモサブ・ユーセフさんである。モサブさんは、ハマス創設者の一人で、今も指導者であるシーカー・ハッサン・ユーセフの息子だが、クリスチャンとなり、イスラエルの諜報機関シンベトに協力した。

やがてガザに帰れなくなり、アメリカへ亡命。そこからハマスの不条理を摘発し続けている。

今回、その実の兄弟にあたるシュヘイブ・ユーセフ氏(38)が、やはりハマスから離脱して南アジアへ亡命。先週、イスラエルのテレビ、チャンネル12に出演して、ハマスの汚職など内部上を証した。

チャンネル12の番組(約14分)
https://www.mako.co.il/news-world/arab-q3_2019/Article-d997e3fb259bb61026.htm?sCh=31750a2610f26110&pId=948912327

シュヘイブさんは、トルコのハマス関連機関で働いていたが、ハマスのあまりの汚職と矛盾に怒りを感じ、ひそかにトルコを脱出して、ある東南アジアの国にきている。(タイ?)

シュヘイブさんは、そこから、イスラエルのテレビ局、チャンネル12のアラビア語キャスターのオハッド・ヘモさんに自ら連絡をとり、取材を依頼した。

シュヘイブさんは、数ヶ月前まで、トルコでハマスの極秘諜報部で働いていた。そこには、高度な盗聴システムがあり、イスラエル人の会話や、アラブ諸国の情報も得ていたという。その情報をイランに売ってお金にしていた。金はトルコの銀行に支払われていた。

シュヘイブさんによると、トルコのハマスメンバーは、かなりぜいたくな暮らしをしている。給与は月に4000から5000ドル(50-60万円)で、プールや、警備員つきのぜいたくなホテルやタワーに住み、子供達は私立の学校で学んでいる。

ガザの市民が一月100ドルで生活しているのに、ハマスのメンバーは、トルコで、一食で200ドルもする食事をしている。この状況に激しい怒りを感じたと話している。

この他、トルコのハマスは、西岸地区で、テロを起こす者たちの調達も行っていた。その目的は、パレスチナの地やエルサレムを解放するためではなく、ユダヤ人へを憎んでいたからでもなく、ただイスラエル市民を殺害し、問題をガザから西岸地区に拡大させるためであったと語る。

パレスチナ市民たちが騙されて、テロに引き出されているが、ハマス幹部らが自分の子供たちをテロに駆り出すことはない。ガザ国境でのデモに、ハマスの首領であるイシュマエル・ハニエが来ることはないのである。

シュヘイブさんは、こうしたテロ活動は、ただハマスが、権力を維持するためのものであると指摘。ハマスがいなくなれば、ガザの問題はなくなるとの認識を語った。

シュヘイブさんは、自分は、”書物の民”ユダヤ人を憎んでいないと言い、ハマスこそ人種差別の組織であり、パレスチナ人にとって危険な存在だと語った。

ただ、シュヘイブさんは、イスラム教徒であり、兄弟モサブさんと違い、イスラエルに協力はしておらず、ハマスに忠実であったと強調している。その上で、ハマス創始者であった父親に対し、ハマスは変わってしまった、父もそこから出てくるべきだと訴えている。

https://www.timesofisrael.com/second-son-of-hamas-leaves-terror-group-exposing-corruption-turkish-spy-ring/

<エルサレム西北部で車つっこみテロか:イスラエル兵5人負傷>

6日夜、東エルサレムの検問所近くヒズマで、イスラエル兵の列にパレスチナ人の車がつっこみ5人が負傷した。3人は中等度の傷とのこと。イスラエル軍はただちに、車の運転手の捜索を開始。容疑者とその父親が連行されたという。詳細はまだ伝えられていない。

<泥沼ガザ情勢>

ガザからは相変わらず、火炎凧が飛来し、広大な地域で火災が発生するという事態がつづいている。ハマスは、その度に「停戦」といい、イスラエルもそれに応じるが、またすぐに火炎凧が来るといった繰り返しになっている。

イスラエルが、ガザを一層してしまうことは難しくはないが、緊張するイラン情勢もあり、今は下手に事を大きくすることを控えているとみられる。しかし、相変わらずガザとの国境では、金曜デモも続いており、イスラエル南部住民は不満を募らせている。

<石のひとりごと>

イスラエルが最も願っていることは、パレスチナ人自身で、汚職と不条理にまみれた指導部を倒し、民主的で落ち着いた隣人になることである。イランも同様である。イラン人自身で内部から、今の難しい指導部を一新してくれれば、それが一番良い。

しかし、それを実行することは、文字通り、自分も家族も捨てなければならないことである。捨てるだけでなく、命の危険が伴う。

シュヘイブさんは、この番組に出ることで、命を狙われることを覚悟している。また自分の行為で父親の身にも危険が及ぶこともまた覚悟の上である。

イスラエルというだけで、反発する人が多いが、それは間違いである。同様に、パレスチナ人だからといって、そのまま全員が、テロリストなのではないということを忘れてはならない。
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イシバ危機一髪:スデロットにロケット弾 2019.6.15

 2019-06-15


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スデロットのイシバ 写真出展:Ynet

イスラエルでは、先週8-10日の週末、シャブオット(7週の祭り)が行われた。この例祭では、収穫を祝うと同時に、出エジプトから50日目にシナイ山で、イスラエル人たちが、律法を授かった日として、夜を徹して聖書を読むなど、各地で様々なイベントや祭りが行われた。幸い、各地での例祭は、平和に終わっている。

しかし、イスラエル南部では、ガザから凧などによって飛来する火炎物が続き、12日だけで12個は飛来して、麦畑畑が焼失するテロ事件が相次いだ。これを受けて、イスラエル政府は、12日(水)、いったん拡大していたガザの漁業海域を再び閉鎖する報復措置をとった。

すると、その翌13日(木)朝、ガザからイスラエル南部へ向けてロケット弾が発射された。住民はサイレンで避難。ミサイルは迎撃ミサイルが撃墜した。イスラエル軍は、ガザへ、報復の空爆を行った。

その同じ13日(木)夜9時、ガザから再びロケット弾が飛来。イシバ(ユダヤ教神学校)2階の外壁にあたり、窓が割れたり、外壁の瓦礫が階下に散乱するなどの被害が発生した。部屋にいた学生らは、サイレンで避難したが、数秒で着弾したため、わずか数メートルの地点に破片が散乱したという。まさに危機一髪の軌跡だったと語っている。

軌跡はそれだけではない。着弾したロケット弾は、不発だったのか、弾頭が破裂していなかった。また、学生の多くは、週末ですでに帰宅しており、残っていたのは数人であったという。破片でとなりのシナゴーグも被害を受けたが、こちらも人的被害はなかった。

これを受けて、イスラエル軍は再度、ガザ内部への空爆を行っている。

https://www.timesofisrael.com/israeli-planes-reportedly-hit-gaza-after-sderot-rocket-attack/

<金曜ガザ国境デモ再開へ>

イスラエルとガザは、今年5月の大きな軍事衝突(イスラエル南部へミサイル700発)で、イスラエル人4人が死亡。ガザでは29人が死亡した。この後、公式ではない形で、6ヶ月の停戦合意が交わされたと伝えられている。しかし、現場においては、停戦とは言い難い状況になりはじめている

こうした中、アメリカのデービッド・ フリードマン在イスラエル大使が、先週金曜、ニューヨークタイムスのインタビューで、「イスラエルには、西岸地区を合併する権利がある。しかしおそらく全部ではないが。」と語ったことから、アメリカの中東和平案に、西岸地区のイスラエルへの合併が含まれるのではないかと、大きな論争となった。

ガザでは、先週、ラマダンが終了したこともあり、国境での金曜デモを再開するが、これからは、フリードマン大使の発言に焦点をしぼったデモにすると言っている。*これまでは、トランプ大統領が米大使館を、エルサレムに移動させると言ったことへの反発が焦点であった。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5522995,00.html

<ハマスの真意は?>

今回、イスラエル南部へ火炎物を飛ばしたのは、一般のガザ市民ではなく、ハマスの組織的な攻撃であったとみられている。ハマスは、イスラエルを攻撃するにあたり、停戦で合意したことをイスラエルがなかなか履行しようとしないことへの抗議行動だと言っている。

Times of Israel の評論家、アビ・イサカロフ氏は、ハマスの挑発の背景には、以下のような点があると指摘する。

1)カタールからの現金到着遅延に反発

ハマスが暴力的なデモを抑制する背景には、カタールがその担当官が直接ガザに持ち込んで、貧しい市民たちに配給する現金という要素があった。イスラエルはこれを容認する方針をとっている。

しかし今回、イスラエルが漁業海域を再閉鎖した際、カタールからの現金(3000万ドル予定)も届かなくなるといううわさがガザに流れた。この直後に、イスラエルへのロケット弾が発射されている。

14日、イスラエルは、来週末までには、カタールの現金がガザへ入るようにすると言っているという情報がある。ガザでは、イスラエルを困らせて、カタールからの現金をもらうという、妙なサイクルができあがっているようである。

2)バハレーンでの国際会議への反発

トランプ大統領は、中東和平案を公開するに先立ち、まずは、パレスチナ人の経済を活性化するとして、6月25-26日、バーレーンで、湾岸諸国を中心とした国々によるワークショップを開催することになっている。

これについて、パレスチナ自治政府は、占領を金で解決しようとしている、(和平交渉への障害で開示できないでいることへの)単なる時間稼ぎだなどと反発している。しかし11日、ホワイトハウスは、アッバス議長の繰り返しの欠席要請をよそに、エジプトとヨルダンの首脳もこの会議に出席すると発表した。

なお、この会議に招かれた、パレスチナ自治政府、ロシアと中国は欠席を表明している。

3)ネタニヤフ首相の指導力低下を狙う

イスラエルでは、ネタニヤフ首相が連立政権を樹立できず、10月ぐらいまで暫定政権となる。大きな決断ができないばかりか、ネタニヤフ首相自身も、汚職で起訴される可能性が高まるという不安定な状況である。ハマスはこれをチャンスと見た可能性もある。

https://www.timesofisrael.com/with-netanyahu-vulnerable-ahead-of-elections-hamas-ups-the-pressure/

しかし、以下に述べるが、今、イランとアメリカが一触即発状態で、緊張が高まっていることから、イランが、ハマスを使ってイスラエルと衝突させ、注目をそらそうとしている可能性もあるだろう。ハマスは経済的にイランに依存しており、今やイランのいうことには逆らえない状況にあると思われる。

<石のひとりごと:金の威力>

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ガザでカタールの現金を受け取ったガザ市民 写真出展:Times of Israel

カタールからの現金配布の記事にあった写真が印象的だった。ガザ地区の一人の男性が、カタールからもらった100ドル紙幣を手に満面の笑顔になっている写真である。この男性がハマスなのかどうかは不明だが、まったく普通の人が、まったく無心にただただうれしいといった表情である。

お金・・その支配力の大きさに、改めて恐ろしいものを感じた。ガザのパレスチナ人であろうが、日本人であろうが、お金をもらえば、みな等しくただただ嬉しいのだ。また、ハマスもヒズボラも皆、イランからのお金でサバイバルしている以上、なんであれ、イランのいうことを聞かなければならない。

あたりまえだが、今の人間社会、ガザであろうが、東京であろうが、結局、同じお金ですべてがまわっている。人類はみな同じなのである。

しかし、聖書の黙示録には、この経済という支配者が、やがて崩壊する様子が描かれている。そのあと、そのお金さえも、支配下に収めている創造主なる神が明らかにされ、その支配下にある新しい世界がやってくる。(黙示録18章)

信じるか信じないかはそれぞれだが、まだ聖書を読んでない人は検証の価値ありと筆者は思う。
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ガザとの停戦:流れは変わったのか?2019.5.8

 2019-05-08
3日夜から始まったガザからのロケット弾の雨。ラマダン入りの6日、深夜すぎから、停戦のニュースが出始め、4:30以降、平穏が戻った。

仲介は、エジプトとカタール、国連。ハマスは、停戦の条件をイスラエルが実行するのを1週間待つと言っている。その条件とは、物資の搬入制限を解くなどで、カタールの資金搬入を許可したとの情報もある。*カタールの資金は西岸地区へ搬入される予定

https://www.timesofisrael.com/gaza-official-israel-agreed-to-implement-ceasefire-concessions-within-a-week/

イスラエル政府は、停戦が成立したとして、6日、南部住民に通常の生活へ戻るよう指示した。

https://www.haaretz.com/opinion/.premium-when-will-death-stop-falling-from-our-skies-1.7209255

この3日間の衝突で、ガザが発射したロケット弾は、700発以上。市街地へ着弾するとみられたものは迎撃ミサイルシステムが撃墜したが、その防護率は86%であった。一方、イスラエル軍のガザへの空爆は、350箇所以上であった。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/262734

この衝突で、イスラエル人4人、パレスチナ人は23人が死亡した(ガザ側発表)。

イスラエル人で死亡した4人は、以下の通り。(報道の混乱で一時死者は5人に見えたが、最終的には以下の4人)被害地域は、ガザ周辺にとどまらず、アシュケロン、アシュドド、スデロット、ベエルシェバにまで拡大した。

①モシェ・アガディさん(60)/アシュケロン
②ジアド・アルハメムダさん(47)ベドウイン/アシュケロン

③ハス・メナヘム・プレズアズマンさん(21)/アシュドド
④モシェ・フェデルさん(68)/クファル・サバ

リブリン大統領は、すべての犠牲者家族を慰問した。ガザでは、カイロに集まっていたハマスの指導者ヤヒヤ・シンワル、イスラム聖戦のジアド・アル・ナクハラが、ガザへ戻った。

<カタール資金:西岸地区へ搬入へ>

ガザは、現在、崩壊ギリギリの限界にきている。(失業率51%)。これを助けていたのが、カタールからの援助金であった。これまで、イスラエルは、ガザとイスラエルの衝突が発生するたびに、カタールの資金がガザへ入ることを承諾してきた。

資金がなくなって、ガザが崩壊すると、イスラエルが、ガザを再占領することをせまられるか、そうでなければ、ハマスよりやっかいなものが入ってくる可能性があるからである。このため、ハマスは、資金を得る手段として、イスラエルへのロケット攻撃を使うというサイクルになりつつあるとみられた。

これを「弱さ」と見たリーバーマン当時防衛相は、昨年11月、これ以上、ネタニヤフ政権とともに歩めないとして、辞任を表明し、以後、ネタニヤフ首相が防衛相も兼任するようになった。

今回もカタールは6日、ラマダン前に、4億8000万ドルを、パレスチナ人支援に送金すると発表した。その直後に、ハマスは攻撃を停止した。

しかし今回の搬入先は、ガザではなく、西岸地区のパレスチナ自治政府である。ガザにどのぐらい入るのかは、はなはだ疑わしい。ガザに資金が入らなければ、またイスラエルへの攻撃が再開されるだろう。

https://www.timesofisrael.com/qatar-pledges-to-send-480-million-in-aid-to-west-bank-and-gaza/

一方で、パレスチナ自治政府が、この資金を使って、ハマスを手なづけて、パレスチナ地区を統一する可能性を指摘する分析家もいる。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5505730,00.html

7日、エルサレムポストによると、ガザでは、イスラエルの攻撃で家を破壊された家族には一件につき、ハマスから1000ドルが支給されることになっているとのこと。西岸地区経由の資金かどうかは不明。

https://www.jpost.com/Middle-East/Hamas-offers-1000-to-Gaza-families-whose-homes-were-destroyed-by-Israel-589068

<南部住民の怒り>

同様のガザとの衝突は、昨年11月、3月に続いて3回目になるが、イスラエル市民に4人もの死者が出たのは今回が初めてである。

イスラエル南部住民は、夜中に何度もサイレンで起こされ、シェルターに駆け込む。子供達は学校が休校になるし、仕事にも行けない。これが日常になるのは受け入れられないと語る。

自国民が、深刻な被害にあっているのに、政府が、いつまでたってもガザに対して決定的な政策をとらず、いつまでもこうしたイタチゴッコを続けていることに、南部住民は当然ながら怒りをぶつける。

今回も、死者を出しながらも、ガザを一掃しようとしないネタニヤフ首相とその周囲にいる右派たちを「弱い」と批判する声も決して小さくない。また、政府は、ユーロビジョンを開催したいばかりに、早期に妥協したとの見方が優勢で、南部住民らは、またもやその犠牲になったと怒っている。

https://www.timesofisrael.com/in-rocket-scarred-south-quiet-sets-in-and-anger-at-government-simmers/

しかし、4月の総選挙では、南部住民の90%が、ネタニヤフ首相に投票していたのである。

また、このような状況にありながらも、イスラエル南部に移住していくユダヤ人は増加傾向にあることは特記すべきであろう。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/The-next-round-of-rockets-is-coming-soon-analysis-589009

<ガザ情勢にゲームチェンジ?:ネタニヤフ首相>

イスラエル政府への不満がある一方で、ネタニヤフ首相は、今回、ガザとの関係において、流れを変えることができたと主張する。すなわち、ガザとイスラエルの衝突のペースを決めるのはイスラエルになったということである。確かに、今回は、いつものように、ハマスが「勝利宣言」を出していないのも興味深い点である。

これについて、Yネットの著名な中東評論家ロン・ベン・イシャイ氏は、次のように解説している。

1)”停戦”を要請したのはハマスであって、イスラエルではなかった。

今回は、ガザの方から停戦を要請し、イスラエルがまだ応じていないうちに、ハマスとイスラム聖戦は自分からロケット攻撃を停止していた。ハマスは、ラマダン入りなので、戦いをスローダウンしなければならなかった。

また、イシャイ氏によると、今回、イスラエルが、ガザに向かって証明したかったことは、「いくらやってもイスラエルは動かない。抵抗は無駄。」という現状である。確かに4人もの犠牲者を出しながら、イスラエルはあわてることなく、停戦を持ち出すことはなかった。

イシャイ氏は、ユーロビジョン(国際歌謡コンテスト)開催のために、ガザへの総攻撃を避けたという説は否定する。

2)イスラエルは反撃の正当性を維持した。

イスラエルは、ハマスやイスラム聖戦指導者らをピンポイント攻撃するなどして、ガザ市民への被害を最小限に抑えた。一方で、イスラエルは、市民4人が自宅などで死亡している。トランプ大統領が言ったように、イスラエルは、防衛の権利を持つという立場を維持することができた。

3)政府と軍が一致し、イスラエルの脅威を示した

イスラエル軍参謀総長は、今年1月に就任したばかりのアビ・コハビ氏である。今回、政府と軍は一致して動いており、その作戦の内容の詳細が、メディアに漏れることはなかった。

また今回、イスラエル軍は、どういうわけか、ハマス指導者らの自宅や居場所を知っていて、正確にピンポイント攻撃に及んだ点も、ハマスやイスラム聖戦には改めて、脅威になったのではないかという点。

しかも、イスラエルは、地下に潜んでいるテロ組織の司令官らに、自宅を攻撃するので、家族を避難させるよう予告してから、攻撃していたという。この点もまた、ハマスやイスラム聖戦にイスラエルの大きさと余裕を示す結果になったはずである。

3)イスラム聖戦を攻撃した

イスラエルはこれまで、ガザの管理者はハマスだと断定し、ハマスの拠点ばかりを攻撃してきた。ところが、今回は、イスラム聖戦(イラン配下)の拠点も攻撃している。イスラエルが、イランを恐れていないということを示した。

とはいえ、これらは、ガザからの攻撃を抑止する助けにはなっても、解決ではない。ハマスが、その存在基盤をイスラエルの破壊においているテロ組織である以上、戦いは、またすぐ発生するだろう。

結局のところ、ハマスには、ガザから出て行ってもらい、もっとガザ市民のことを考える指導者に入ってもらうしかない。今の所、そういう人物がいないというのが、問題である。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5505129,00.html

イシャイ氏は、今回のガザへの対応を評価している形ではあるが、市民に4人の犠牲者が出たことについて、迎撃ミサイルの配備をもう少し増やしておくべきだったと述べている。

<石のひとりごと>

ネタニヤフ首相については、課題も多く、賛否両論ではあるが、実質を見れば、今回もできるだけ兵士に犠牲を出さず、比較的短期間で平穏を取り戻したことは、確かである。

イスラエルでは、8日から戦没者記念日、独立記念日と大事な日がつづく。また、ユーロビジョンを成功させることは、ヨーロッパからBDS(ボイコット)運動に苦しめられてきたイスラエルにとって、政治的にも非常に重要である。ガザと戦争をしている場合ではない。

そういう意味では、南部住民は、国全体のための犠牲になっているといえる。ネタニヤフ首相はこれをどう捉えているのかはわからないが、国の指導者としての決断とそれに伴う責任の重さは、想像を絶するほど重い。

特にイスラエルという国の運営は、世界一難しい仕事である。それを13年以上もやっているネタニヤフ首相の知力、体力、精神力は、驚異的である。イスラエルの繁栄を守るという信念が、ネタニヤフ首相の中にはあるのだろう。自分の地位や権力を守るためだけに動いている政治家には、決してできない仕事である。

日本の国を運営している阿部さんはどうなのだろう。命がけで、日本の繁栄を守ろうとしてくれているのだろうか。それならば、私たちは、日本国民として、特にクリスチャンとしては、批判ではなく、彼のために祈るということが非常に重要である。
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ガザのロケット攻撃終わらず:イスラエル市民4人死亡 (5日午後9時(日本6日午前3時)) 2019.5.6

 2019-05-06

F190505NRF04-640x400.jpg 写真出展:Times of Israel

ガザからのロケット弾攻撃は、日曜朝になり、再び激化。朝だけで40発がふりそそぎ、アシュケロンでは、工場が直撃を受けて3人が負傷した。このうち、男性1人(22)、ベドウィン男性(50)が、後に死亡した。

スデロットでは、走行中の車が攻撃を受け、乗っていた男性(60)が、重症を負い、意識を失っているのを、アシュケロンへ向かっていた救急隊が発見した。この男性も、搬送先の病院で死亡した。これで、ガザからの攻撃が始まってから死亡したイスラエル市民は、4人になった。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5504165,00.html

ロケット弾攻撃は、日曜午後からも再び激化しており、警報は、今現在も、ガザ周辺の町や、ヤド・モルデハイなどキブツで、断続して鳴り続けている。ロケット弾の到達地点が徐々に内陸へとひろがってきている。南部では、学校は休校。人々はシェルターにいる。

イスラエル軍は、ガザへの空爆を継続するとともに、国境に駐留する戦車隊を増強している。そこへドローンが飛来しているという。

ガザから飛来するロケット弾は、日曜5時までの段階で600発。このうち70%は空き地に着弾。迎撃ミサイルが撃墜したのは、150発以上で、市街地に着弾すると予測されたロケット弾の大部分は防いでいるといえる。

しかし、ロケット弾は着弾すると、するどい金属片が数百メートルにわたって、広範囲に飛び散るため、たとえ一発でも市街地に着弾すると非常に危険である。

イスラエル軍スポークスマンのロネン・マネリス少佐は、今のこの状態が数日は続くとの見通しを語っている。

https://www.timesofisrael.com/liveblog-may-5-2019/

*これまでのイスラエル・ガザ双方の犠牲者数

金曜夕刻に攻撃が始まってから、イスラエルでは,アシュケロン在住で4人の子供の父親であるモシェ・アガディさん(58)が、死亡。日曜に死亡した3人とあわせて4人。負傷者17人の中には、重傷者もいる。イスラエル南部農場では、出稼ぎに来ていたタイ人男性(30)も中等度の負傷。被害に遭っているのは、すべて一般市民である。

https://www.timesofisrael.com/ashdod-man-killed-by-rocket-raising-death-toll-to-4-amid-massive-bombardment/

ガザでは、IDFによると、戦闘員8人が死亡。ガザ側情報によると、死者は20人。*数字はメディアによって相違あり

ガザ側が、イスラエルの攻撃で1歳の幼児とその母親が死亡したと言っていることについて、イスラエルは、これはガザ内部に落下したロケット弾によるものであって、イスラエルの責任ではないと発表した。

https://www.timesofisrael.com/gearing-up-for-days-of-fighting-idf-sends-tank-reinforcements-to-gaza-border/

<ハマス指揮官でイラン関係者を暗殺:IDF戦略の変化>

イスラエルは、ガザへの空爆を継続しており、これまでの攻撃対象ラインを超えて、攻撃の規模や範囲を広げているもようである。これまでに、ハマス省庁のビルなどを破壊している。

また、ハマス指揮官の一人で、イランからの資金をハマスやイスラム聖戦に届けていたハメッド・ハマダン・アル・コダリ(34)をピンポイントで暗殺したと発表した。

今回のガザからの攻撃については、背後にイランがいると指摘されていた。ハマスも、指揮官であるアル・コダリが死亡したことを認めた。

イスラエル軍は、この他にも、ハマスやイスラム聖戦の指揮官らのピンポイント攻撃を行っている他、彼らの自宅を破壊する作戦に出ているもようである。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5504389,00.html

現在、イスラエル軍は、ガザとの国境に戦車隊を増強し、地上軍投入の気配もあるが、これについては、閣議決定がないと実行には移せない作戦である。

ネタニヤフ首相は、新政権がまだ発足していないため、前の閣僚による治安閣議を行っている。ネタニヤフ首相については、明確なビジョンがなく、その場その場でしか動いていないとの指摘があるが、確かに今回もいったいどう対処するのかどうにも見えてこない感じは否めないと、これは記者の印象・・・

<イランのねらい:戦略専門家ヤアコブ:アミドロール大佐(退役):電話会見>

1)イスラム聖戦の背後にイラン


前回の記事で紹介した元イスラエル軍大佐で、治安問題専門家のクパワッサー氏と同様、戦略専門家のアミドロール氏も、今回のエスカレートの原因(イスラエル兵2人をガザ国境で攻撃)を作ったのがイスラム聖戦であったことに注目する。

イランは、イスラム聖戦を使って、ガザ情勢をエスカレートさせることで、内戦後のシリアに進出するイラン軍関係施設を、容赦なく攻撃し続けるイスラエルの目を引き離そうとしているとアミドロール氏は分析する。

また、イランは、エジプトが仲介となってすすめているハマスとイスラエルの合意を妨害したいとも考えている。

今回、イランは、イスラム聖戦を使ってガザ情勢をエスカレートさせ、ハマスをイスラエル攻撃に加わらせることで、イスラエルとの合意に向けたプロセスを妨害することに成功したといえる。

アミドロール氏によると、イスラム聖戦は、イランが発足させたテロ組織で、実質イランであり、ガザのパレスチナ人にはまったく興味がない。一方、ハマスは、イスラム聖戦より組織としては大きく、一応、ガザのパレスチナ人を管理する立場にある。

ハマスは、イスラム聖戦に振り回されず、逆にこれを制する立場にたってもらいたいとアミドロール氏は語る。

2)カイロでの動き

カイロでは、エジプトが、ハマスとイスラム聖戦の指導者とともに、沈静化の落とし所、つまり、イスラエルに、”停戦”する見返りの条件として、何を提示するのかをさぐっているとみられる。

これまで何度か、ガザから攻撃をしかけておきながら、”停戦”をする代わりとして、イスラエルは多数の譲歩をのんできた。その一つが、カタールの現金搬入である。

イスラエルはガザを再支配したくないので、総攻撃はしそうでも、実際にはしない計算が高い。ここに目をつけたハマスが、時々イスラエルを攻撃しては、イスラエルに譲歩させてきたのである。しかし、今回については、イスラエルがこれに応じようとする様子は、今のところない。

3)ほくそ笑むパレスチナ自治政府のアッバス議長?

イスラエルが、ガザを攻撃することで利益を得るのは、イランと、もう一人、パレスチナ自治政府のアッバス議長である。ガザとライバルであるとしても、同じパレスチナ人である。パレスチナ人が、イスラエル軍によって殺されたら、それは、国連で武器として使える。

また、ガザが崩壊すれば、アッバス議長がその支配に入る可能性もなきにしもあらず。経済危機で破綻しそうな今、ガザ地区でのエスカレートは、アッバス議長には歓迎といったところである。

4)今後の見通し

今後どうなるかについて質問されたアミドロール氏は、それは、ハマスの方針、また地上での各組織の動きによるとして、現時点では、予測できる点はないと語った。
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ガザからロケット弾250発以上:イスラエル人1人死亡(5日朝6時30(日本12:30) 20195.5

 2019-05-05

439771.jpg 写真:イスラエル警察

ガザ情勢がまたエスカレートしている。経過は以下の通り。なお、現在も進行中であるため、記事は時間を追ってお伝えする。

3日(金)、ガザ国境をパトロールしていたイスラエル兵2人が、ガザからの銃撃を受け、負傷した。これを受けてイスラエル軍が、ハマス関連への空爆を行ったが、これにより、ハマスとみられる2人が死亡した。

また、3日には、毎週金曜のデモによる衝突で、パレスチナ人1人(19)が死亡。のちに負傷していた1人も死亡した。金曜だけで、パレスチナ人4人が死亡したことになる。ハマスは、「イスラエルの”犯罪”には屈しない。」とし、また金曜の「機関へに行進」も継続すると発表した。

土曜朝10時(日本時間土曜午後4時)、ガザからロケット弾が、イスラエル南部、アシュケロン、アシュドドに向けて撃ち込まれ、夜まで続いて、250発に及んだ。

迎撃ミサイル、アイアンドームが、一部は撃墜したが、すべてはカバーできず、ガザ周囲エシュコル地方では、民家に直撃。住民は、幸いサイレンで避難した直後であった。国道4号線も被害を受けた。

これを受けて、イスラエル軍が、ハマスとイスラム聖戦拠点など10数箇所へ空爆を行った。ガザからの情報によると、この攻撃により、パレスチナ人1人(22)が死亡。4人が負傷した。(ガザ情報)

この後もガザからのロケット弾攻撃は続き、サイレンは、レホボト(テルアビブ近郊)や、ベイトシェメシュ(エルサレムから20キロ)にまで拡大した。ナハル・オズ、ホフ・アシュケロンでは、民家が直撃の被害を受けた。いずれも住民は避難して無事だった。

しかし、夕方になり、キリアト・ガットで、屋外にいた80歳の女性が、ミサイルの破片に当たって重傷。アシュケロンでは、49歳男性が中等度の負傷を負った。
情勢のエスカレートを受けて、国連とエジプトが仲介を続けているが、今のところ、進展はまだ伝えられていない。

この記事を書いている最中の5日に入った深夜すぎ、ベエルシェバに2発着弾したとの報道が入っている。1発は高校に着弾。後者が炎上した。もう1発は民家に着弾した。負傷者もでているもようで、計6人が病院で手当てを受けている。

さらに午前2時半、ロケット弾がアシュケロンのビルに着弾し、イスラエル人男性(60)が死亡した。2014年のガザとの戦争以来、最初のイスラエル人犠牲者となる。ロケット弾はスデロットにも着弾しているもよう。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/1-killed-as-300-rockets-slam-southern-Israel-588751

現在、ベエルシェバ、アシュケロン、キリアットマラキ、ヤブネなどガザ周辺広範囲地域の住民はシェルターで待機。イスラエル軍は、ガザとの国境はすべて閉鎖。危険地域の道路を封鎖したり、ベエルシェバを含む複数の市は、公共のシェルターも開放して、警戒を続けている。

また、テルアビブなど中央部への攻撃にも備え、アイアンドーム(迎撃ミサイルシステム)をさらに配備した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/262678

イスラエル軍は、120箇所(おそらくそれ以上)への攻撃を実施。エルサレムポストによると、一連の攻撃で、ガザからイスラエルへ続く、イスラム聖戦の地下トンネルも破壊したとのこと。

Times of Israel によると、ハマスは、イスラエルの空爆によって、幼児(1歳2ヶ月)とその母親が死亡したと伝えられている。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5503459,00.html

<ユーロビジョン脅迫>

ガザからの攻撃が始まった土曜、5月から14日から18日に予定されているユーロビジョン関係者が、開催地テルアビブ集まり始めた日で、テルアビブ市は、関係者のためのシャバットディナーを開催していた。

ユーロビジョンは、ヨーロッパのミュージック・アーティストたちによる毎年恒例の国際的なコンテストで、昨年、はじめてイスラエル人アーティストのネタ・バルジライさんが優勝。これにより、今年はイスラエル(テルアビブ)でコンテストが行われる。

イスラエルの観光省は、1万人がこのためにイスラエルに来ると予測している。

しかし、イスラエルについては、紛争地帯であるとして、コンテストの開催の是非については物議を呼び開催が危ぶまれたという経過があった。またBDSムーブメント(イスラエルボイコット運動)がアーティストにボイコットを呼びかけた他、元ピンクフロイドのロジャー・ウォーター氏もアーティストたちにボイコットを呼びかけている。

イスラム聖戦は、この世界的なコンテストが、イスラエルで行われることによって、パレスチナ問題が軽視されることになると訴えている。

ガザからのロケット弾、ミサイルは、余裕でテルアビブにも到達する。情勢のエスカレートが続けば、ベンングリオン空港の使用も含め、コンテストの開催にも影響が出ることはさけられない。

<イスラム聖戦台頭にみる懸念:元イスラエル軍大佐治安問題専門家ヨシ・クパワッサー氏>

1)ガザ崩壊への可能性?


現在、イスラエルは、エジプトの仲介で、ハマスをガザの管理者として、平穏回復への交渉を行っている。

イスラエルが本気になれば、ハマスを打倒することは難しいことではない。しかし、イスラエルは、その後にガザに入って管理することはさけたい。そのため、ハマスをぎりぎりで維持し、平穏を継続するよう働いている。

しかし、問題は、アメリカがパレスチナ人への支援金(UNRWAへの拠出金完全停止)したこともあり、パレスチナ自治政府が、これまで送金してきたガザへの資金を差し止めてしまった。

これは、アッバス議長無視で、ハマスとイスラエルが、交渉をしていることへの反発であるとも考えらえる。

このため、ハマスはまったくの資金不足に陥った。これを救出したのが、カタールからの現金であった。イスラエルはこの現金の搬入を認めた。ところが、今、カタールからの資金が届かなくなった。

ガザが崩壊することは、イスラエルのみならず、エジプトにとっても非常に危険である。ISなどハマスよりはるかに悪いものが来る可能性があるからである。

今、エジプトのカイロでは、ハマスとイスラム聖戦の指導者が集まって、エジプトと今後のことが協議されているが、クパワッサー氏によると、この協議に来るはずのカタールが来ていないという。このままではガザはいよいよ崩壊する。

2)ハマス求心力低下:イスラム聖戦の台頭

今回の衝突は、ハマスではなく、イスラム聖戦が中心になっていることも大きな懸念。もはやハマスがガザを統括できていないとも考えられる。

イスラエルはこれまで平穏をとりもどすため、ハマスを維持しようと、相当な譲歩を行ってきた。しかし、もしそれが意味のないことであるならば、方針の方向転換を行う必要が出てくる。

イスラム聖戦は、イランの配下にあることがわかっているので、イスラエルはこれがガザの支配者としてイスラム聖戦を受け入れることはできない。そうなるといよいよイスラエルがガザを総攻撃しなければならなくなる。

しかし、イスラエルは、200万人のパレスチナ人を抱えるガザを再支配することは絶対にさけたい。大きなジレンマであると同時に、方向転換の決断の影響は非常に大きい。今、イスラエルは注意深く、動きを見守っているところである。

3)イランが関係するか

イスラム聖戦が台頭していることからも、このことにイランが関わっている可能性は高い。ちょうどアメリカが原油の完全禁輸制裁を始めたところで、イランが、そのツケとして、この紛争を覆ったとも考えられる。

イランは、ホルムズ海峡の閉鎖も脅迫しているところである。

また、イスラエルは、これから戦没者記念日(7日夕刻から)、独立記念日(8日夕刻から)に続いて、ユーロビジョン(14-18日)と、国としても大事な行事を控えている。この時期、ちょうどラマダン入りでもあり、イスラエルとの対立を煽るに、これ以上にタイミングはないともいえる。

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