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イスラエル総選挙:ネタニヤフ首相敗北か 2019.9.19

 2019-09-19
イスラエルで行われた総選挙。アラブ系住民エリアなど数カ所で不正な撮影などが発生し、投票所が一時閉鎖されたところもあったが、全国で無事、投票が終わった。投票率は、4月より0.9%上がって69.4% 403万843人。

結果はまだ正式発表ではないが、ほぼ数え終わったところでの結果は以下の通り。 下線:右派系 

リクード(ネタニヤフ首相):32議席

ブルーアンドホワイト(ガンツ党首):33議席

アラブ統一党(オデー党首):12議席

シャス(ユダヤ教政党):9議席

イスラエル我が家(リーバーマン党首):8議席

統一トーラー党:8議席

ヤミーナ(右派党):7議席

労働党:6議席

民主連合:5 議席

<ネタニヤフ首相の敗北>

極右政党のオズマ・ヤフディが、議席獲得のための最低得票率3.25%を超えるのではないかと注目されていたが、結局超えることはできず、議席は確保できなかった。

これにより、ネタニヤフ首相が、今のままで、右派系、ユダヤ教政党と組んだとしても、合計議席は56議席で、過半数には届かない形となった。今回の選挙は、事実上、ネタニヤフ首相の信任を問う選挙でもあったことから、大きく議席を伸ばせないどころか、減少となったネタニヤフ首相の敗北と分析目立つ。

4月の総選挙の時と同様、もし、右派系のリーバーマン氏が、ネタニヤフ首相と協力関係を維持していれば、ネタニヤフ首相は文句なしに右派政権を樹立することができたはずである。しかし、リーバーマン氏はネタニヤフ首相主導の政権には加わらないと明言。キングメーカー(誰が王になるかのカギになる人物)は今回もリーバーマン氏であったということである。

https://www.jpost.com/Israel-Elections/Israel-elections-results-based-on-counted-ballots-12-am-602045

一方、最大議席を獲得したブルーアンドホワイト(ガンツ党首)は、世俗派に支えられている中道左派であることから、ユダヤ教政党と組むことはありえず、イスラエルの存続そのものに反発しているアラブ統一政党とも組むこともほぼないとみられる。(が、可能性は否定できない。その場合、合計はこちらも56議席)。したがって、こちらも、今のままなら、過半数を超える政権の樹立は不可能である。

といういうことはどうなるのか。もう一回総選挙をするわけにはいかないので、選択肢としては、右派リクードと、中道左派ブルーアンドホワイト、双方が加わる国家統一政権を立ち上げるしかないとみられている。

<統一連立政権樹立に向けて>

総選挙の結果を受けて、各党は、どことどのように組むかを考えて、交渉を開始した。どんな統一政権になるかは、いくつかの可能性がある。

1)リクード(32)+ブルーアンドホワイト(33)=65で過半数

この場合、ネタニヤフ首相とガンツ氏が、交代で首相を務めることになるが、どちらが先かで揉めることになる。

しかし、その前に、問題になるのが、ネタニヤフ首相の身の振り方である。ブルーアンドホワイトのガンツ氏は、リクードとは組んでも、ネタニヤフ首相との統一政府は否定している。総選挙から2週間後(10月2-3日)ネタニヤフ首相が、司法長官に起訴されることになっているからである。

リクードはネタニヤフ首相を党首として維持するのか、だれかと交代させるのか・・・しかし、これまで、長期にわたり、リクードを支配してきたネタニヤフ首相を引き継げる人物は見当たらないとも言われており、先行きはまったく見えない状況である。

2)リクード(32)+ブルーアンドホワイト(33)+イスラエル我が家(8)=73議席で余裕の過半数 

リクードとブルーアンドホワイトだけでも十分過半数だが、通常、連立政権の場合、より多くの政党が加わることが望ましいとされる。キングメーカーのリーバーマン氏は、2大政党に自らが加わるという、この形をめざしていた。これにより、安定してユダヤ教政党抜きで政権運営ができるからである。

しかし、この場合でも問題になるのは、ネタニヤフ首相。キングメーカーのリーバーマン氏も、統一政府になる場合、リクードは、党首を変える必要があると言っている。

また、これは1)の場合でも同じだが、リクードは代々ユダヤ教政党とともに歩んできているので、彼らを排斥した形での政治運営はリクードには難しいだろうとの意見もある。

3)ヤミーナ(右派党)から新右派党(ナフタリ・ベネット氏)が分裂してブルーアンドホワイト(33)勢の連立に加わる可能性

新右派党は、他の右派党より穏健、中道をアピールしている。そのため、ブルーアンドホワイトについて、こちら主導の政権を支持する可能性がある。・・・が、たんにベネット氏が、なんとしても政権に加わるという目標のもとに動いているだけのような感じも否定できない。

4)ユダヤ教政党がリーバーマン氏となんらかの合意に至り、ブルーアンドホワイトに加わる可能性

ユダヤ教政党もなんとかして政権に加わらなければ、自らの要求がまったく通らなくなり、イスラエルのユダヤ性が失われていくとも考えている。そのため、超正統派の従軍問題で、正面から対立するリーバーマン氏となんらかの合意に至り、ブルーアンドホワイトの側につく可能性も否定できない。

<ひるまないネタニヤフ首相>

ネタニヤフ首相は、総選挙で敗北したとの分析でも、まったくひるむ様子はない。

アラブ政党が躍進したことを受けて、「アラブ政党が躍進する政府にするわけにはいかない。」としてさらに強力な右派政権を樹立すると言っている。今回、アラブ統一政党が躍進したのは、ネタニヤフ首相自身のこうした反アラブ的な発言が、原因とみられているのだが・・・

ネタニヤフ首相が政権を維持する形で可能性があるとすれば、右派勢56議席に労働党(6)が加わることである。これで62議席になる。実際、リクードは、選挙の後、労働党にその要請を出したとのことだが、労働党はこれを拒否したもようである。

https://www.timesofisrael.com/where-do-we-go-from-here-all-the-options-for-a-ruling-coalition

その後、ネタニヤフ首相自身が、ガンツ党首に統一政権の可能性についての交渉のために面談を呼びかけたとのニュースが入っている。ネタニヤフ首相、なかなかひるむ様子はなさそうである。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5592389,00.html

<今後の動き>

中央委員会の正式な報告とともに、リブリン大統領が各党首と面談し、大統領の判断で、次期首相の可能性のある人物に連立政権立ち上げを任命する。この際、任命は必ずしも最大議席数を獲得した党の党首とは限らない。各党首との面談で、どの党首がだれと組む意思があるのかを見て、大統領が判断するということである。

その大統領の任命から、その党首は、各党との交渉を行い、国会過半数を占める連立政権を立ち上げを試みる。前回は、ネタニヤフ首相が指名されたが、連立立ち上げに失敗したために、再総選挙になった。

任命されてから、政権を立ち上げるまでの期限は28日。もしできなければ、14日の延長が可能となっている。遅くとも11月初頭には、次の首相が決まっていることになる。

<ネタニヤフ首相:国連総会欠席へ>

次期政権形成の明らかな見通しがなくなったネタニヤフ首相は、来週、ニューヨークで開かれる国連総会への出席を見送ることを明らかにした。ネタニヤフ首相が国連総会を欠席するのは初めてである。したがって、この時に計画されていたトランプ大統領との会談もキャンセルになる。

トランプ大統領は、明らかにネタニヤフ首相を支援する立場で、選挙後明らかにされると予告しているアメリカの中東和平案「世紀の取引」についても、ネタニヤフ首相が首相ならうまくいくと言っていた。

トランプ大統領は、選挙後もネタニヤフ首相と話していないが、我々のイスラエルとの関係は変わらないとの意思表示をしている。

トランプ大統領は、先に強硬派、特にイランに対して強硬的であったボルトン大統領補佐官を更迭し、その直後にイランとの対話の可能性を表明し、世界を驚かせた。これはネタニヤフ首相にとっては大きな痛手であったと思われる。

ところがその直後に、サウジアラビアの石油施設が大規模な攻撃を受け、イランは、トランプ大統領との対話ありえないと一蹴したのであった。これを受けて、トランプ大統領は、イランへのさらに強硬な経済制裁を発動した上、「あらゆる対処が可能」と言っている。

イランとの強硬姿勢を主張してきたボルトン補佐官とネタニヤフ首相の2人が、不在になったところで、イランへの攻撃もありうる事態とは、なんとも皮肉な話である。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5591969,00.html

<石のひとりごと>

これからどうなるのかは、本当に予想もつかないが、今回、アラブ政党が躍進し、左派勢が政権を担うようになることに、若干、懸念も感じる。右派の方がよいというわけではないが、今のアラブ統一政党は、イスラエルにいながらその存続を否定する政党で、アラブ系市民自身も否定する党だからである。

今回躍進したのは、おそらく、ネタニヤフ首相が続けてきた反アラブ的な政策や発言に、反発したからであろう。

ヨーロッパでは、最近、極端な民族主義に走る極右に対し、極左というものが活発化しつつある。左派は弱者重視で、一見、”よい人”に見えるので、右派への攻撃が正当化されてしまう傾向にある。世界のユダヤ人の間では、昨今、極右より極左が警戒されている。

それにしても、イスラエルの政治は難しい。これまでになかった事態がしょっちゅう起こり、その事態が、人間がいくつも頭をよせて考えてもわからない事態、新しいチャレンジばかりなのである。それは時に深刻なパスルであり、大きな賭けともとれる事態であり、常に新しい考え方を要求されるようなものばかりである。

イスラエルは、それら一つ一つを記録し、次に活かそうとするのだが、それでも次に来るのは予想外である。だから、故ペレス大統領は、「解決策が2つ思い当たったら、今までにやったことのない3つ目を行け。」と言ったのだろう。常に先手を行かなければ生き残れないからである。

イスラエルという、国も直面する問題も超多様な国を運営できるのは、おそらくは、世界中で苦難を経験してきた人々、また最終的には、天地を支配する神に丸投げできるユダヤ人意外には無理だろうと実感する。
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今日やりなおし総選挙:投票開始 2019.9.16

 2019-09-17

総選挙

投票するネタニヤフ首相夫妻 写真出展:GPO

イスラエルでは、今日、やりなおし総選挙の投票日を迎えた。今日は臨時の国民の休日で、有権者は、朝7時(日本時間午後1時)から、全国各地1万543箇所の投票場へ向かっている。有権者は、4月から5万4751人増えて、639万4030人。(チャンネル12)

治安維持のため、今日は1日、西岸地区、ガザ地区からのパレスチナ人の出入りは停止。配備される警察官は2万人。加えて、不正を監視するため、体にカメラを装着した監視員3000人が投票所に配備された。不正に撮影をするものがあれば、警察に通報するよう指示されている。

投票所にカメラを持ち込むことについては、前回の総選挙で、ネタニヤフ首相が、アラブ系住民の投票所などの監視員1200人に隠しカメラを配備させていたことが問題になった。

批判を受けたネタニヤフ首相が、「個人の投票を監視していたわけではない。コンビニにでも(防犯の)カメラはあるではないか。」として反論。これを合法化する手続きをとり、逆に、「違法に撮影するものをとりしまるため」として、堂々とカメラを持ち込めるようにしたものである。

野党からは、「ネタニヤフ首相が有権者たちを脅して、投票に影響を及ぼしている」「逆に投票所での騒動を促しているのではないか。」などと激しい論争になり、中央選挙委員会や、司法長官もこれに反対する意向を表明したが、最終的に内閣はこれを承認したのであった。

https://www.timesofisrael.com/pm-touts-camera-bill-ahead-of-cabinet-vote-ag-tells-ministers-hell-oppose/

<五分五分で先行き読めず:またやり直しになるしかない・・・わけにはいかない総選挙>*数字は最終世論調査による予想議席数

今回のやり直し総選挙だが、世論調査によると、結局、今回もどの政党も国会過半数を(61議席)を超える連立を樹立できそうもないという結果になっている。

今回、総選挙のやりなおしになったのは、右派のユダヤの家党(リーバーマン党首)が、ユダヤ教超正統派への待遇でネタニヤフ首相に反発し、連立政権に加わらなかったために、過半数に到達できず、総選挙やりなおしになったのであった。

この図式は今回も同じなので、また同じ結果になる可能性は残されている。そうなると、だれに連立使命をするかが問題になるが、リブリン大統領は、3回目の総選挙はどうしてもさけたいとの思いを語っている。最終の世論調査結果は以下の通り。

1)ネタニヤフ首相率いるリクードと右派勢 予想:58議席

ネタニヤフ首相率いるリクードは、29-32議席。総選挙後、仮に大統領から連立立ち上げへの指名を受けた場合、右派党(シェキード党首:新右派党とユダヤの家党(ナフタリ・ベネット氏)の合併右派党)9-10議席、ユダヤ教政党のシャス党(アリエ・デリ党首)7-8議席、統一トーラー党(リッツマン党首)7-8議席で、合計58議席。過半数には足りていない。

ここで注目されるのが、アラブ人はイスラエルから追放するなどと主張するカハネ派などが多い極右政党オズマ・ヤフディ(イタマル・ベン・グビール党首)。この党は、極右すぎるので、ネタニヤフ首相は手を組むとは考えていないのだが、ここへ来て、投票膣が最低ライン3.25%を超えそうになってきた。

もし超えた場合、国会で4議席を獲得することになる。もしこの党がネタニヤフ首相の連立に加われば、ネタニヤフ政権は、リーバーマン氏なしでも存続できることになる。

https://www.haaretz.com/israel-news/elections/.premium-the-racist-party-that-could-save-netanyahu-s-political-career-in-tuesday-s-election-1.7835822

*右派勢へのアピール:ヨルダン渓谷合併を公約

総選挙まぎわになり、ネタニヤフ首相は、イランの核兵器開発の新情報を発信したが、加えて、ヨルダン渓谷のCエリア(イスラエル人キブツなどの地域)を合併することを公約に掲げた。さらには、ヘブロンのユダヤ人地域の合併にまで言及している。

その地域は、先にナフタリ・ベネット氏が、トランプ大統領の「世紀のとりひき」とされる和平案の情報として流した地図で、イスラエルの支配域とする地域に合致している。ネタニヤフ首相は、今回の合併公約との関連は否定したが、今後、アメリカとの協力関係を効果的に進められるのは、自分だけであるとアピールした。

https://www.timesofisrael.com/netanyahu-after-jordan-valley-and-settlements-ill-annex-other-vital-areas/

当然ながら、これについては、パレスチナ自治政府、ヨルダン、エジプト、湾岸アラブ諸国も反発を表明している。

2)ベニー・ガンツ率いるブルーアンドホワイト党と中道左派勢 予想:48議席 

国民に人気の高い元イスラエル軍参謀総長ベニー・ガンツ氏が率いるブルーアンドホワイト党は、中道左派。右派政権のユダヤ教正統派への優遇政策(兵役、税金免除など)に反発する世俗派などが支持する正当である。この党の登場で、多くの小さな政党が議席を失い、混乱を巻き起こした。

世論調査によると、現在も、ネタニヤフ首相のリクードと互角の29-32議席。もし、総選挙後に、大統領から連立立ち上げの指名を受けた場合、労働党(アミール・ペレツ党首)6-7議席、イスラエル我が家党(リーバーマン党首)9-10議席と組むことが考えられるが、これだけでは過半数に全く足りない。

こちらに左派元メレツの民主連合党(ニツアン・ホロビッツ党首)7議席が加わることはない。この党は中道左派であり、パレスチナ人と国土を分け合う二国家二民族案という左派の主張にも合意していないからである。ガザ情勢についても、ガンツ党首は、ネタニヤフ首相より強力な攻撃を主張している。

アラブ統一正統派も揺れて入るが、この方針であることだけでなく、まずは、ユダヤ人政権に加わることはありえないだろう。

選択肢としては、リクードとの右左統一政権しかないが、ガンツ氏は、その場合は、リクード党首が、ネタニヤフ首相とは別の人物でないと受け入れないとしている。理由は、ネタニヤフ首相が、汚職疑惑で選挙後追求を受ける可能性があるからとしている。

そういうわけで、結局、大統領は、ネタニヤフ首相を政権樹立に指名するとは思われるが、またまた樹立できないという図式は前回も同じである。この事態から、どの評論家も予想できないとして、チャンネル12の人気政治部キャスター・アミット・シーガル氏は、”イスラエル史上最大のギャンブル”とも評していた。

何が起こるのか、新しい時代を迎えるイスラエルの指導者が誰になるのか、非常に興味ふかい選挙である。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5589946,00.html

3)この選挙はアマレクとの戦い:ユダヤ教超正統派が5万人の大集団デモ

総選挙の2日前の15日、エルサレムで、ユダヤ教超正統派5万人とも15万人とも報じられるようなかなりの大規模デモを行った。反発しているのは、超正統派抜きの政府を創ろうとしているリーバーマン氏とラピード氏(ブルーアンドホワイト)。

群衆は、この2人が、ユダヤ人の象徴を維持する超正統派を排斥しようとしているとして、アマレクだと叫んだ。アマレクとは、聖書に出てくるイスラエルの宿敵で、ユダヤ人たちは、彼らを絶滅させようとする敵を「アマレク」と呼ぶことがある。

超正統派が支持するのは、統一トーラー党(リッツマン党首)である。この人々はラビが指示すれば、必ず投票に行くので、得票数はたいてい安定している。彼らの票は、最終的には、ネタニヤフ首相には有利に働くことになる。

https://www.timesofisrael.com/netanyahu-gantz-or-28-other-parties-israel-goes-to-the-polls-again/
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9月1日(日)新学期始まる 2019.8.31

 2019-08-31
9月1日(日)、イスラエルでは、全国的に学校の新学期が始まる。(イスラエルは、土曜日が安息日で、日曜は週の始まりの日) ニュースによると、教師と政府の間で、合意が得られたため、ストが回避されたとのこと。

https://www.jpost.com/Israel-News/School-year-to-start-as-usual-no-strike-press-release-600181

お伝えしているように、イスラエルをとりまく治安情勢は今も、非常に危険な匂いがしている。しかし、市民生活は、ほぼ変わりない。南北国境付近の住民、西岸地区入植地の住民をのぞけば、戦争の匂いに恐れている人々はほとんどないといえる。

エルサレム市内では、神殿の丘や、周辺入植地で死者も出るテロ事件があった。しかし市内では、今年も例年のごとく、7月から8月末まで、数え切れないぐらいのサマーフェスティバルが全部行われた。中止になったものはない。

https://www.jerusalem.muni.il/en/events-and-culture/events-in-jerusalem/?cat=Summer-Events

エルサレム南部から旧市街全貌とオリーブ山を見晴らすハス・プロムナードでは、夕刻の涼しさの中、結婚式が、にぎやかに行われていた。周囲にはたいしたセキュリティもいなかった。

<南部ガザ周辺の人々の苦悩>

しかし、イスラエル南部ガザ周辺の地域だけは、事情が違っていた。ここしばらく、ガザからのミサイルで、日夜サイレンでシェルターに走る生活が続いている。終わりもみえていない。テロリストの侵入も現実問題である。

ガザに近いスデロットでは、この夏、4000人が参加するミュージック・イベントが行なわれている最中に、ミサイルが飛来。サイレンが鳴り響いて、群衆がパニック状態で、シェルターに駆け込んだこともあった。

このため、メンタルヘルスに支障をきたす人が急増し、この夏だけで、327人が心療科を受診。政府が今の所、ガザと大きな戦争をすることは国益にならないと判断し、ガザへはムチよりもアメを提供していることのも不満がある。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5577058,00.html

また、全国的におおむね平和であるだけに、南部住民は「国に見捨てられた」とも感じており、その苦難や悔しさは大きい。しかし、それでもなお、生きていかなければならないという現実の中で、なんとか楽しみを見つけ出して生きているようである。

この地域でも、9月1日、新学期が始まる。

<石のひとりごと>

オリーブ山便りは、主に祈り手に向けたニュースであるため、危なげなニュースが多い。しかし、南北住民を覗いて、イスラエル国内の市民生活は、きわめて平穏で、人々は日々を楽しみつつ生きているようにみえるということを改めて申し述べたい。

イスラエル政府は、国民を守るということについては、通常、心底、徹底しているため、国民のイスラエル軍への信頼が高い。よほどのことがない限り、国民が不安に陥ることはない。南部住民にしても、ハマスを攻撃しない国や軍の方針には不満があるが、軍そのものへの信頼は、基本的に失われていない。

実際のところ、この平和は、ひとえに、国境は隣国で命がけで戦ってくれているイスラエル軍、国内で目を光らせて諜報活動を行い、スパイ活動という危険までも担ってくれている特殊治安部隊がいるからである。

国民のだれひとりとして、それを当たり前と受け取っている人はいない。それは国の義務としつつも感謝し、また心配しても来る時は来るととらえ、頭の片隅においやってわすれているかのごとくに日々を楽しむ。。。。いつ何が来ても後悔しないよう、日々を楽しむという人もいる。

このイスラエル人独特の無意識の危機に対する対処のしかたを、「異常な日常」と呼ぶ人もいる。

こうした「異常な日常」にあって、イスラエル人の最も大きな楽しみは家族である。

大好きな両親、兄弟姉妹、祖父母やおじ、おば、いとこ・・大きな家族とともに過ごす時間、またとなりのおじさんや、親しい友人たちもその中に入ってきて楽しむ時間。これがイスラエル人の最も大きな楽しみである。

ゆえに、テロで家族を殺された時の悲しみはかなりの大人数に及ぶということでもある。

これは今、お一人様が急増している日本が、どこかで置き忘れてきた幸せかもしれない。イスラエル人は、この幸せを、厳しい外からの憎しみと敵意、実際の危機の中にあって、楽しんでいるということである。
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世界柔道選手権:イスラエルが優勝 2019.8.31

 2019-08-31
8月28日、東京の日本武道館で開かれた柔道・世界選手権の男子81キロ級で、イスラエルのサギ・ムキ選手(27)が、ベルギーのマティアス・カッセ選手を打ち破って、金メダルを受賞した。イスラエル男子が柔道で金メダルを受賞するのはこれが初。

これに伴い、武道館で、イスラエル国家・ハティクバが鳴り響いた。

https://www.timesofisrael.com/israels-sagi-muki-takes-gold-at-judo-world-championships/

<イラン選手の苦悩>

イランは、自国の選手がイスラエル選手と直接戦うことを禁じていた。しかし、世界からの批判を受け、これを停止するという経過があった。

しかし、今回、準決勝戦にまで残っていたイランのサイード・モラエイ選手には、イラン政府から、万が一、サギ選手との試合になった場合には、棄権するよう、圧力をかけられていたことがわかった。

結果的には、モラエイ選手は、準決勝で、サギ選手が打ち負かしたベルギーのカッセ選手に負けて、準決勝で姿を消した。このた、め、サギ選手と向き合うことはなかった。

国際柔道連盟のセゼール会長は、イランへの怒りと共に、モラエイ選手を高く評価する声明を発表。来年の東京オリンピックでは、難民代表チームに入って出場するよう、モラエイ選手に進めたという。

*モラエイ選手は、イラン人だが、ドイツ在住。この後、モラエイ選手が、難民申請したと伝えらえた。

https://www.asahi.com/articles/ASM8Z6K8LM8ZUTQP02K.html
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西岸地区でハイキング家族に爆弾テロ:17歳少女死亡 2019.8.26

 2019-08-26
23日金曜朝10時ごろ、エルサレムから出てすぐ西、ラマラにも近い、西岸地区山中の自然の泉、ボビンの泉で、道路に仕掛けられた爆弾(IED)が爆発。

ちょうど家族で遊びに来ていたロッド市在住で、軍のラビ、エイタン・シュナブさん(49)の長女リナさん(17)が死亡。長男のドビールさん(19)が重傷。エイタンさんも腹部に負傷した。

エイタンさんは、救命救急士でもあったため、爆発後、レナさんに駆け寄ったが、レナさんは全身に負傷してすでに死亡していた。その後エイタンさんは、自身も相当な傷を負いながら、警察に電話連絡。ドビールさんに祈りのショールで止血を施行したとのこと。

まもなく治安部隊と救急車がかけつけて、負傷した2人はエルサレムの病院に移送された。ハダッサ病院によると、ドビールさんは、重傷だが、回復に向かっているという。エイタンさんは中等度の負傷で、病床で記者会見も行った。

エイタンさんは、「リナが、自分の体で爆弾を吸収して、私たち皆を守ってくれた。リナは英雄だ。」と語った。ドビールさんは、父親同様に救命救急士になる勉強をしており、共に止血法について話していたところだったという。

https://www.timesofisrael.com/i-wanted-to-believe-its-just-a-dream-dad-recalls-bomb-that-killed-daughter/

リナさんの葬儀は、死亡した当日、安息日入りの直前の午後3時に、居住地のロッドで行われ、数百人が出席。父親のエイタンさんは出席できなかったが、電話で、会衆に、「強くあろうとしています。」と語った。

リナさんの妹は、リナさんと過ごした17年に感謝し、「この失われた穴は、家族だけでなく、イスラエル全体の穴です。」と語った。ネタニヤフ首相は、エイタンさんに電話をかけて、追悼を述べるとともに、エイタンさんたちの早い回復をと話したという。

https://www.jpost.com/Israel-News/Terror-victim-Your-death-leaves-a-void-in-the-heart-of-nation-599508

なお、今回テロがあったボビンの泉だが、2015年にもロッド出身のダビー・ゴネンさん(25)が撃たれて死亡するというテロ事件が発生していた。以来、この泉は、「ダニーの泉」とも呼ばれるようになっていた。

事件後、いつものように、ハマスは事件を起こしたパレスチナ人を賞賛する声明をだしている。

<容疑者3人逮捕>

事件後、イスラエル軍は、ただちに付近のパレスチナ人の村への捜査を開始し、24日までに3人を逮捕した。詳細はまだ不明。

今回のような、仕掛け爆弾によるテロは、新しい手口である。西岸地区には、今回の泉のようなハイキングスポットが数多くあり、イスラエル人も多くが出かけている。今後、同様のテロをどう防ぐのか、懸念がひろがっている。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5574489,00.html

西岸地区では、今月8日に、グッシュ・エチオン地域で、ドビール・ソレックさん(19)がナイフで刺されて死亡。

16日には、神殿の丘のイスラエル警察官がナイフで刺される事件が発生。同日、再びグッシュ・エチオンのバス停で、姉ノアムさん(19)と、弟ナフムさん(17)が車で突っ込まれて、重傷となるテロ事件が発生している。

<西岸地区で何がおこっているのか:パレスチナ自治政府との決裂の結果?>

先月7月26日パレスチナ自治政府のアッバス議長(84)は、治安維持の協定も含め、イスラエルとの協定を全面的に破棄すると言った。

これは、イスラエルが、防護壁周辺のパレスチナ人の家屋を破壊したことを、国連安保理に訴えたが、アメリカがこれを阻止したことへの反発であった。

しかし、アッバス議長は、以前にも同様の発言をした後、結局、イスラエルとの協力を破棄するすることがなかったという前例があったため、今回もさほど深刻にとられることはなかった。

実際、この後、イスラエルは、パレスチナ人が、イスラエルで購入する際に代理で徴収しているガソリン等の税金のうち、ドルを、自治政府に送金することで合意したと報じられた。同時に、今後この税金を今後は、自治政府が直接徴収することになったと伝えられた。

イスラエルは、今年初頭から、パレスチナ自治政府がテロ家族に給与を支払い続けていることに反発し、代理徴収の税金月2億ドルの送金を徐々に停止していた。これに自治政府は反発。イスラエルからの送金を一切拒否するようになった。このため、西岸地区の現金不足が深刻になり始めていたのであった。

このため、イスラエルは5億6800万ドルの送金とともに、今後は、パレスチナ自治政府が、自らガソリン関連の税、月約6000万ドルを徴収することで合意したと報じられた。

しかし、これで、アッバス議長が期限を直して、イスラエルとの協力を再開することにはならなかったようである。

今、西岸地区で、テロが急増していることから、イスラエルとの治安維持協力は実際に途絶えており、結果的にテロに走るパレスチナ人が増加している可能性が懸念されている。

ネタニヤフ首相はこのところ、テロに対し、厳しい報復措置、つまり、ムチではなく、アメを与える方策をとっている。たとえば、ハマスを抑えようとして、カタールの現金搬入を認めたなどである。

リーバーマン氏は、こうした政策に同意できず、防衛相を辞任し、政府から離反したのであった。リーバーマン氏は、リナさんが死亡した今回のテロ事件についても、ネタニヤフ首相の弱腰の政策が招いたものだと批判した。

https://www.france24.com/en/20190726-palestinians-israel-halt-agreements-taxes-un-demolitions 

リーバーマン氏が正しいかどうかは別として、現在、西岸地区でのテロの激化が懸念されている。

<石のひとりごと:イスラエル人とテロ被害>

いつも思うが、リナさんは、朝元気に父親と兄と連れ立ってピクニックに向かい、その午後3時半には、もう地中に埋葬された。朝いた人が、もう完全にいなくなったのである。あまりの急展開に、家族の混乱は想像を絶する。

また、死んでしまったリナさん本人も、もしその霊が今、いずこかにいるとしたら、どうこれを受け取っているのかと考えさせられる。まだ十代にして、この世での歩みが終わってしまったのである。これまでの望みや目標はなんだったのか。命というものは、生きているだけで、奇跡なのかもしれない。

しかし、正直なところ、日本人としては、なぜそんな危ないところに子供達を連れて行ったのかとも思えないではないが、イスラエルでは、それを言う人は一人もいない。

ああ、またテロか・・と一瞬顔を暗くする。しかし、すぐに日常に戻らざるをえない。ニュースは次のことに移って、2日以内には、もう話題にすらのぼらなくなる。イスラエルでは、テロはいつ、自分に襲ってくるかもわからない。来たら「自分の番が来た」のであって、それまでは、あまり考えないようにしている。

エイタンさんは、右派、宗教シオニストで、西岸地区はイスラエルの地であると主張するグループに属している。そのエイタンさんの妻で、今、娘のリナさんを失い、長男も今まだ重傷となっている、母親シーラさんは、苦痛の表情で、これもまた信仰の問題で、メッセージであると語る。

そのメッセージとは、ユダヤ人はけっしてひるまないということだという。今回起こったことの痛みは続くが、それでもユダヤ人が、トーラーの国、イスラエルの再建をやめることはないと語った。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/267872

再建するイスラエルの領土がどの範囲かは棚にあげるとして、それは聖書に預言されていることである。いつかは、成就するのであろうが、そこには、ユダヤ人たちの重すぎる支払いがあるということを覚えなければならない。

それはまた同時に、ユダヤ人たちの周囲にいるパレスチナ人たちもまた、ともにその支払いをするということでもあろう。両者を覚えて祈りが必要である。
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北米から移住者242人到着 2019.8.18

 2019-08-18
イスラエルをとりまく情勢が厳しくなってきているが、先週7日、北米(アメリカとカナダ)からイスラエルへ移住する242人が、ベングリオン空港に到着した。

移住をサポートしたのは、北米からの移住を促進するユダヤ人団体ネフェシュ・ベ・ネフェシュ、ユダヤ機関など複数のユダヤ人団体。

医療関係者21人、最年少は生まれて28日目と、若く、高い教育を受けた人々で、イスラエルの祝福になる人々である。

新移民たちは、角笛とともに、歓迎され、踊って喜びを表していた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/267366

CBNによると、第二次世界対戦前の1929年から今日までの90年の間に、ユダヤ機関が支援した移住者は、300万人に登るという。

<石のひとりごと>

ユダヤ人がイスラエルへ戻り始めて、1948年に国が再建された。イスラエルを憎み、破滅を望む敵はいかに多くても、イスラエルへ移住するユダヤ人は後をたたない。しかも最近は、訪米で高い教育を受け、財産もある人材が多く移住している。

これは聖書に記されている預言どおりである。イスラエルが常に正しいわけではないが、ユダヤ人とイスラエルは決してあなどってはならない存在である。それはまた同時に、聖書を単なる宗教の書として、あなどってはならないということでもある。
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