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トルコ侵攻:シリア北東部情勢その後 2019.11.8

 2019-11-08
シリア北部、ユーフラテス川東では、アメリカ軍の撤退を開始すると、トルコ軍が、10月9日、シリアとの国境120キロ、シリア側へ30キロ幅の帯状の地域へ侵攻を開始した。トルコ国内に滞在するシリア難民200−300万人を住まわせるための”安全地帯”を設立すると称している。

これを受けて、クルド人勢力(YPG)主導のシリア民主軍は、迫り来るトルコ軍に反撃しながら、南への撤退を余儀なくされた。共にISISと戦ってきた米軍に見捨てられた形である。撤退する米軍にクルド人らが、芋を投げつける様子が伝えられている。

こうして、クルド人勢力は、これまで戦ってきたISISではなく、トルコとの戦いに専念しなければならなくなった。シリア北東部で、クルド人勢力が管理してきたISISの戦闘員と家族の収容所から多数が逃亡。再び暴力活動を再開したものもいる。

クルド人勢力は、やむなくかつての敵であったシリアのアサド政権に助けを求めた。シリア政府軍は、ただちにシリア北東部、ユーフラテス東のクルド自治区に入った。シリア内戦後はじめてのことである。せっかく立ち上げたクルド自治区にかつての敵アサド政府軍を招き入れ、もとの木阿弥となった。

シリアは、今やイランとロシアの庇護下にあるので、これはそのまま、イランとロシアが、シリア北東部、ユーフラテス東に入ったことを意味する。また、この地域には、M4ハイウェイと呼ばれる主要道路がある。この道路は、最終的には、レバノンの港ラタキアに続くもので、ユーフラテス川東から、レバノンへの道路が開通したと言ってもよいだろう。

<トルコとシリア軍が戦犯行為か>

もっとも悲惨なのは、トルコが侵攻した地域にいたクルド人市民たちで、20万人(うち8万人は子供)とも言われる群衆が、南へと避難しなければならなくなった。途中で少なくとも市民50人、クルド人戦闘員100人が死亡したもようである。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50036901

アメリカの仲介で、クルド人たちが、いわゆる”安全地帯”から撤退するための、”停戦”期間が設けられたが、現地では停戦にはならなかったようである。この間にも。トルコ軍に雇われた反政府戦闘員らによる残虐な行為が、ネット上に流れて問題となっている。

クルド人勢力(YPG)の女性部隊の隊員でISIS撃退に活躍したアマラ・レナさんは、殺害されたあと、血まみれの遺体に戦闘員が足を踏みいれる様子が撮影されていた。この他にも、戦犯にあたる行為が多数撮影されている。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50250330

CBNによると、トルコが使っているシリア反政府戦闘員は、ISISと変わらない残虐性を持っており、イスラム以外のクリスチャンたちなど少数派の人々が非常に危険な状態に陥っているという。

米退役海兵隊員のブランドン・ウィーラーさんは、トルコは、ISISに間接的に協力する動きがあったことからも、トルコの言う安全地帯は安全とは程遠く、アメリカが撤退した今、この地域は、アメリカに敵対する勢力が支配する地域になるだろうとの懸念を語っている。

https://www1.cbn.com/cbnnews/shows/jerusalemdatelineepisodes

<トルコとロシアの合意>

22日、アメリカが設定した一時停戦期間が始まると、エルドアン大統領は、ソチで、プーチン大統領を会談。シリア北東部についての話し合いを6時間以上行った。

特に米軍が撤退した今、シリアの実質上の権力者は、領内に軍も置いているロシアだからである。エルドアン大統領は、日本の天皇即位式をキャンセルしてソチへ向かったのであった。

会談の結果、一時停戦が終了する29日以降、トルコとロシアは、ともに、”安全地帯”からのクルド人勢力の撤退を監視することで合意し、共同でパトロールすることが決まった。イランはこれに合意しているという。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50138121

今、トルコからシリア領内30キロまでの帯状のエリアは、①トルコとトルコに雇われた反政府勢力が支配する地域。②ロシア軍とシリア人の地域で、この地域の国境から10キロが、トルコとロシアが、共同で監視するエリアとなる。この中にはかつての反政府勢力の拠点コバネが含まれる。

この中にシリアは含まれていないが、トルコ、ロシア、シリア、イランもこの合意に異論はないというところである。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50152390

トルコは、国連総会で、この帯状の”安全地帯”にトルコにいるシリア難民200万人を住まわせると言っている。そのための費用は530億ドル(5兆8000億円)。

<トランプ大統領の反撃:バグダディ死亡宣言とクルド自治区の石油施設守る米軍は維持へ>

シリア北部が急速にトルコ、ロシアの手に入っていく様子、クルド人が管理していた元ISIS戦闘員らが逃亡などという事態を見て、世界は、トランプ大統領の米軍撤退政策を非難した。

そうした中、29日、トランプ大統領は、ホワイトハウスから、米軍が、イドリブに近いトルコとの国境地点で、ISIS指導者バグダディアブ・バクル・バグダディを追い詰めたところ、3人の子供とともに自爆したと発表した。のちにISISからもこれを確認する声明が出された。

トランプ大統領によると、バグダディは、米軍の犬にどん詰まりのトンネルに追い詰められ、みじめな犬のように自爆したという。

https://www.bbc.com/news/world-us-canada-50200339

しかし、ISISは指導者で成り立っているわけではなく、イデオロギーなので、今後、バグダディが神格化され、逆に世界各地で復讐のテロが発生していくことが懸念されている。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50208793

また、トランプ大統領は、いったん撤退させた米軍を、クルド自治区の油田を守るとして、シリア北東部へ再び軍を戻しているようである。その規模は不明。

https://www.jpost.com/Opinion/The-US-disconnect-in-Syria-607228

<イスラエルとシリア情勢>

1)クルド人勢力を支援


シリア情勢がますます複雑になっていくが、イスラエルは、基本的には、関与しない方針である。しかし、水面下では、米軍撤退後、追い詰められたクルド人勢力を支援していたことが、政府高官の発言から明らかとなった。

とはいえ、ホットベリー副外務相によると、軍事支援ではなく、外交、人道支援である。クルド人勢力とイスラエルは以前から友好関係にあったため、ネタニヤフ首相が、支援を公に約束していたのであった。

しかし、単に人道支援目的だけではなく、シリア北東部にイランの勢力増してくることを警戒する目的でもある。

https://www.timesofisrael.com/official-israel-providing-aid-to-kurds-since-us-pullout-in-syria/

2)シリアに落下した最新長距離迎撃ミサイルをロシアが確保か

ロシアとは、イスラエル人ナアマ・イッサカルさん(26)が、トランジットでモスクワに立ち寄った際に、微量のマリファナを持っていたとして身柄を拘束され、7年半の刑を言い渡されるなど、関係が微妙な流れになっている。

ロシアは、ナアマさんと引き換えに、アメリカに対するハッキングを行っていたとして、2015年にイスラエルで逮捕されたアレクセイ・ブルコブとの交換を要求した。しかし、アレクセイは、すでに最高裁が、アメリカへの送還することを決定していたため、ロシアの要求には応じるわけにはいかない。

ナアマさんの母親のヤッファさんは、いったん最高裁に、アレクセイのアメリカ送還を停止するよう要請していたが、後にそれを撤回した。理由は、ナアマさんが政治的な道具に使われるべきではないと判断したからである。

ヤッファさんは、リブリン大統領やネタニヤフ首相が、ロシアにかけあってくれている、彼らを信用すると言っている。ナアマさんの釈放については、来年1月のアウシュビッツ解放記念にプーチン大統領がイスラエルを訪問する際に実現するのではと期待されている。

https://www.timesofisrael.com/mom-of-jailed-us-israeli-backpacker-withdraws-petition-against-russian-hacker/

こうした中、6日、イスラエルの最新長距離迎撃ミサイルダビデの投げ縄のミサイルをロシアが確保しているとの情報を中国メディアが流した。

このミサイルは、2018年7月、シリアからイスラエルに向けて発射されたミサイル(ロシア製)に向けて2発発射されたミサイルのうちの一発である。ダビデの投げ縄は、飛来するミサイルを察知して迎撃ミサイルを発射したが、イスラエル領内には届かないことが判明。

1発は空中で自爆させたが、もう1発は、シリア領内に不発のまま着地していたとみられる。ミサイルはそのままで、シリア軍からロシア軍へ引き渡されたもようである。

イスラエルはアメリカとともに、これの返還をロシアに要請している。

https://www.timesofisrael.com/russia-reportedly-in-possession-of-advanced-israeli-interceptor-missile/
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アメリカ仲介:クルド自治区侵攻のトルコが停戦合意へ 2019.10.21

 2019-10-21
<これまでのまとめ>

シリア北部のクルド自治区への侵攻予告を受けて、トランプ大統領が、10月6日、その地域に駐留する米軍1000人を撤退させると発表すると発表。その2日後の8日、トルコは、シリア北東部、ユーフラテス川東のクルド自治区へ進軍を開始した。

トルコ軍は、480キロにもおよぶシリアとの国境からシリア側32キロ地帯を安全地帯にするため、クルド人勢力YPGを一掃するとして、この地域への激しい攻撃と進軍を開始した。

クルド人たちは、「アメリカはクルド人を見捨てた」と非難しながら、いっせいに撤退、逃亡したが、空爆などの激しい無差別攻撃で、8日後の18日までに一般市民も72人が死亡。難民となった人々は、30万人と推測されている。クルド人の民族浄化になるのではないかと世界は懸念した。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50091305

問題は、この地域が、ISを追放してクルド自治区になった地域であったため、多数の元IS関係者捕虜やその家族の収容所が存在するという点である。トルコ軍侵攻による混乱で、それらの施設が見捨てられ、すでに800人以上のISが解き放たれ、逃亡したとみられる。

世界は、クルド人を見捨てたアメリカ、トランプ大統領を大非難したが、かといって自ら介入し、クルド人を助ける国はひとつもないわけである。クルド人勢力は、予想されていた通り、シリアのアサド政権に救援を要請した。

要請に応じ、シリア軍は、14日、ユーフラテス川東北部タル・タマールに駐留を開始した。シリアによると、この動きは、ロシアの承認を受けていると表明した。これにより、アメリカの権威は失墜。ユーフラテス川東に、シリア、イラン、ロシア、トルコが控える形が現実となった。

実際、クルド人たちは、ロシアにも仲介を要請。ロシアも、この件に介入してくる動きを見せはじめていた。

<アメリカの巻き返し:ペンス副大統領とポンペイオ国務長官がトルコ訪問>

米軍のシリアからの撤退は、トランプ大統領の孤立を深め、アメリカの威厳をさらに落とす結果になったが、アメリカがそのままだまっていることはない。予告通り、トルコへの厳しい経済制裁を匂わせはじめた。

そうした中、17日、ペンス副大統領がポンペイオ国務長官を伴い、アンカラのエルドアン大統領を訪問。4時間以上の協議で、アメリカとトルコが、停戦への合意に至ったと発表した。

詳細はまだ発表されていないが、今後120時間(5日間)を停戦とし、トルコはクルド人たちへの攻撃をいったん停止するという。その間に、YPGとクルド人たちは、国境から32キロまでの地域から撤退を完了する。それを見届けたら、恒久的な停戦に入るということである。

この合意により、アメリカは、トランプ大統領が予告していたトルコを破壊するレベルの経済制裁は行わないことになり、トルコへの侵攻の責任も追及しないということで合意したもようである。

ペンス副大統領は、記者会見において、「アメリカはトルコの軍事行動には同意しないが、安全地帯設立については、これまでからも合意していた。」とし、ともかくも人命を守る事が先決とだけ述べた。

合意を発表するペンス副大統領の顔が、これまでになく緊張しているようにも見えたのが印象的であった。

ポンペイオ国務長官は、エルドアン大統領との会談が終わるとその足でイスラエルへ移動。18日朝、ネタニヤフ首相とシリア問題について会談し、アメリカとイスラエルに同盟関係継続を確認。その後、ブリュッセルに向かい、NATOのストルテンブルグ事務総長と会談する予定である。

https://www.timesofisrael.com/pompeo-lands-in-israel-for-meet-with-netanyahu-talks-on-syria/

*NATO(北大西洋条約機構軍(対ロシア西側連合)の動き

NATOとは、主にロシアなど、民主主義とは異なる勢力に対抗する西側諸国の連合軍のことである。トルコはその一員だが、今回のように勝手にシリアに攻め込み、ロシアの勢力を中東に招き入れる結果を作ることは、許容されることではない。

特にこの攻撃により、IS関係者が逃亡しており、ISに参加していたアメリカやヨーロッパ出身者たちが、帰国してくる可能性が出てきている。

ストルテンベルグ・NATO事務総長は、トルコがNATOの一員であることには変わりなく、今回のことも乗り越えられると思う。しかし、トルコが徐々にロシア側へスライドし始めていることは否定できないだろうとの見解を語っている。

<今後どうなる・・?:進む米軍撤退とすでに壊れ始めた合意>

アメリカが、危機一髪で、ロシアより先に仲介の旗を上げたことはよかったかもしれない。しかし、野党民主党員で下院議長のナンシー・ロペシ氏が指摘するように、この仲介がただのみせかけで終わる可能性も否定できないと指摘した。

だいたい、クルド人勢力が、裏切られたと思っているアメリカの策に乗って、完全撤退に応じるはずはなく、戦闘が再開される可能性は高い。そうなれば、今回の合意で、アメリカが、トルコが安全地帯を作るというトルコの”正義”に合意した以上、次に出す手がなくなってしまうだろう。

そうなれば、トルコは、アメリカの経済制裁回避は得た上で、クルド人たちを攻撃するということになる。

実際、停戦が始まってから2日目、シリア北部タルアブヤドで、(トルコの主張によると)クルド人の攻撃で、トルコ軍兵士1人が死亡。1人が負傷した。クルド人勢力(クルドシリア民主軍)はこれを否定している。

トルコのエルドアン大統領は、トルコ軍兵士が死亡したことを受けて、”テロリストの頭を砕く”と、クルド人を徹底的に排斥する意向を強調。トルコが軍事行動をいつでも再開する流れになりはじめている。

またトルコは、アメリカが責任を持って、クルド人を撤退させるべきだとも言っている。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50108417?intlink_from_url=https://www.bbc.com/news/world/middle_east&link_location=live-reporting-story

こうした中20日、アメリカ軍主要部隊(車両70台コンボイ)は、予定通りシリア北部の要所を離れ、イラク領内にまで撤退を完了した。今後クルド人が頼れるのはシリア、そしてロシアということになり、いよいよロシアが介入してくる可能性が高まっている。

<石のひとりごと:福音派の活躍と反発>

中東の混乱が増す中、アメリカの2人の使者が動き回る姿は、黙示録に登場する2人の証人を彷彿とさせるところだが、奇しくも、ペンス副大統領とポンペイオ国務長官は、2人とも、福音派クリスチャンである。2人はそれを公にしている。

ポンペイオ国務長官は、11日、国務長官の立場で、「クリスチャンのリーダーとして」というようなことを述べ、政教分離の基本理念に反しているのではないかとの物議となった。

https://www.timesofisrael.com/us-secretary-of-state-delivers-contentious-speech-on-being-christian-leader/

ポンペイオ国務長官の発言は、クリスチャンカンセラー協会の会議での発言であるので、特に問題はないはずだが、その場が、国務省主宰であり、国務長官という公の立場であったため、違和感を感じた人もいたわけである。

これはいいかえれば、ポンペイオ国務長官が、本当に公にキリストを認めているということを意味する。これはペンス副大統領も同じである。世界からの孤立を深めるトランプ大統領とこの2人のクリスチャンの動きは、非常に興味深いところである。

別件になるが、世界では、同じく福音派クリスチャンであることを公にしているエチオピアのアビー・アハメド首相(43)が、ノーベル平和賞を受賞した。アハメド首相は、父はイスラム教、母はエチオピア正教だが、自身はプロテスタントである。

内政でも外交でも、あちこちで和解を実現したことで、今回の受賞となった。

https://www.christiantoday.co.jp/articles/27284/20191012/ethiopia-pm-abiy-ahmed-nobel-peace-prize.htm (日本語)

現実の世で、クリスチャンたちが実質的な貢献もしている姿に励まされるとともに、特に今は、アメリカ政府でトランプ大統領を支えるペンス副大統領、ポンペイオ国務長官という2人の兄弟を覚えて祈る時であろう
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トランプ大統領:サウジアラビアに米軍3000を派遣へ 2019.10.21

 2019-10-21
リアからの撤退を決めたトランプ大統領だが、米防衛省からの情報としてTimes of Israelが伝えたところによると、中東全域でみれば、14000にまで戦力を増強している。11日、ペンタゴン(米国防省)は、サウジアラビアに、米軍3000を増強すると発表した。

2基のパトリオット迎撃ミサイル、THAAD弾道ミサイル迎撃ミサイルシステム、2飛行戦闘部隊、1遠征部隊などがサウジアラビアに配備される。

これは、先月、サウジアラビアの油田が攻撃され、さらにその後、サウジ沖でイランのタンカーがミサイルによるものと思われる攻撃を受けて地域の緊張が急速に高まってきたからである。

サウジアラビアの油田攻撃については、イランは否定。イエメンでサウジと戦っているフーシ派(イラン背景)が、この油田を含めサウジの油田3分の1を破壊したと主張したが、サウジアラビアはじめ、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスは、イランによるものであると言っている。

https://www.timesofisrael.com/us-deploying-3000-more-troops-to-saudi-arabia-to-boost-air-defenses/

フーシ派はイランのバックアップで戦っているので、いずれにしても攻撃はイランということである。

トランプ大統領は、サウジアラビアは、対イランにおける大事な同盟国だというと同時に、貿易において、かなりのお得意様であると説明。

また、「よーく聞いてくださいよ。」といいつつ、「なんと、私の要請に応じ、サウジに駐留する米軍の費用は、全部サウジが負担してくれることになった。」と発表した。

https://www.reuters.com/video/2019/10/11/trump-says-saudi-arabia-will-pay-the-usf?videoId=611590123

<変化するサウジアラビア>

サウジアラビアは、厳格なイスラム主義国で知られてきたが、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の登場で欧米化がすすんでいる。

女性に運転を認め、今回は、観光客を受け入れるビザを発行することを決めた。とはいえ、服装の規則始め、政治的会話も禁止、アルコール禁止などの規則はそのままである。

また男性と女性が同席することも最低限となっているが、今回、ようやく外国人夫婦に限りホテルで一緒に滞在をに認めたとのこと。普通の旅行とはだいぶイメージが違うようである。

しかし、BBCによると、サウジアラビアには、他に類をみない風景や遺跡が魅力だとのこと。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50013068

エゼキエル38章では、シェバやドタンと表現されているのが、サウジアラビアの地域で、終末におけるイスラエルへの攻撃には加わっていない国であるとみられている。

<レバノンで大規模反政府デモ:ヒズボラ(イラン)台頭の可能性は?>

変化が続く中東だが、レバノンで、ベイルートなど全国の都市で、大規模な反政府デモが続いている。原因は、ワッツアップなどの通信関係で新たな課税が決められたことからである。

レバノン政府は、すぐにこの課税を撤回すると発表したが、デモは、広く反政権デモへと発展。群衆となり、「革命だ」と叫んでいる。デモに参加している市民たちは、日常生活がいっこうに楽にならないとして、政府に根本的な政治改革を求めているのである。

BBCによると、レバノンは、多額の借金を抱えており、このままだと、今年末には、借金が、GDPの150%にまでふくれががってしまうという。電気の供給も滞るようになっている。

ハリリ首相は、ただちに、政府役人の給与を半分にするなどの改革案を提示。政府には3日以内に合意するよう要請を出した。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50118300

ところが、デモが発生するとまもなく、レバノンのキリスト教(マロン派)政党が、「今の政府は、この危機を解決できない。」として、連立から離脱すると発表した。

レバノン政府は、イスラム教シーア派、シーア派過激ヒズボラ、スンニ派、キリスト教と群雄割拠状態であるが、今は、大きくヒズボラの政党に牛耳られている。アウン大統領も親ヒズボラで知られている。

その中で、ハリリ首相は、スンニ派の首相として、これまで綱渡りを続けてきた。この状況の中、2017年、ハリリ首相は、個人的に友好関係にあるサウジアラビアを訪問した際、そこから辞任を表明したことがあった。

この時は、フランスの仲介で、ハリリ首相はレバノンに帰国。復帰して、今にいたるまで首相を続けていた。しかし、今回、大規模なデモを受けて、再び辞任をちらつかせているという情報もある。

レバノンが混乱する中、シリアに続いて、レバノンでもヒズボラ、つまりはイランがが台頭してくることがないか、懸念されるところである。
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トルコがシリア東北部へ侵攻開始:イスラエルの反応は? 2019.10.11

 2019-10-11
トランプ大統領が、シリア北部から米軍を撤退させると発表して約48時間後の10日早朝、トルコが、ユーフラテス川東川を含むシリアとの国境、約300キロ全域で、ロジャバとよばれる西クルド自治区への侵攻を開始した。

戦闘機による空爆は、少なくとも6都市、181箇所に及ぶ。これまでに少なくとも市民11人が死亡。数十人のクルド人戦闘員、SDF(自由シリア軍)戦闘員の死亡が報告されている。(トルコの報道では、トルコ兵1人と、クルド人戦闘員277人死亡となっている)

https://www.timesofisrael.com/turkey-reports-first-military-fatality-in-syria-incursion/

この地域には200万人とみられる人々がいるが、トルコの攻撃でパニックとなり、わずかな荷物とともに車で、多くは大荷物をかつぎ、子供たちを連れて歩いて脱出する様子が伝えられている。多くは、シリアで8年続いた内戦で、すでに難民となっていた人々である。

トルコの侵攻以来、すでに6万人が難民になったとの報告があるが、今後100万人規模で難民が発生する可能性も懸念されている。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50011468

トルコ空軍による空爆は、クルド人が管理していた元IS戦闘員らの収容所にも及んでいるもようで、最も危険とされるISメンバーが、脱出した可能性も指摘されている。

*西クルド自治区のIS関連収容所

クルド自治区には、ISとの戦闘で捕虜としたIS戦闘員とその家族ら数千人が、各地の収容所に入れられている。海外から来ているメンバーも少なくないが、今となっては、この人々を受け入れる国はない。まさに行き場のない囚人となっている。

トルコのエルドアン大統領は、世界中からの非難を受ける中、これはトルコ南部にトルコに対する危険なテロの回廊ができるのを防ぎ、地域の平穏を保つものだと主張。作戦を「平和の泉」と呼んでいる。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5604990,00.html

<西クルド自治区とは?:なぜトルコが攻撃するのか>

まずクルド人は、トルコ、シリア、イラク、イランにまたがる形で住んでいる。クルド人の国として独立国になる夢はあるが、なかなか実現するものではない。

シリア内戦中、シリアのクルド人勢力(シリア人口の7−10%)は、シリアの反政府勢力であるFSD(自由シリア軍)と米軍、水面下では敵であるアサド政権軍ともなんらかな協力をとり、ISと戦った。

IS領域を奪回する中、内戦でアサド政権が弱体化していたこともあって、クルド人の領域が、シリア領の30%を占めるまでに拡大し、ユーフラテス川東に安定したクルド自治区を形成するに至った。これを、イラクのクルド自治区に対して西クルド自治区(ロジャバ)ともよばれる。

このクルド自治区は、中東の中ではめずらしく、民主的な政治運営がなされており、クルド人だけでなく、アラブ系イスラムのほか、キリスト教徒やヤジーディなど、様々な人々が政治に参加するシステムを持つ非常にユニークな地域である。イスラエルとも友好関係にあり、ユダヤ人でクルド人勢力に混じって戦った人もいるほどである。

この西トルコ自治区がトルコに取って問題になるのは、クルド人勢力の中のYPGというグループである。YPGは独立をめざして、トルコ国内でも武力闘争を行ってきたため、トルコは、YPGをテロ組織とみなしている。

そのYPGが中心になっている西クルド自治区が、広く480キロにわたってトルコ南部と国境を接していることにトルコは、かねがね危機感を持っており、2018年にもアフリーンへの攻撃を行っていた。

また、今トルコが侵攻している地域は、アメリカとも合意の上で、シリア難民のための安全地域を設立する計画がすすめられていた地域である。

トルコとしては、この国境地域からYPGを追放したあとに、安全地域を確立し、トルコにいる360万人にものぼるシリア難民を、そこへ帰国させたいのである。

しかし、この地域には、YPGだけでなく、一般のクルド人の他、すでに多数のシリア難民や、ISの捕虜とその家族がおり、多くの人々が巻き添えになることはさけられないということである。

https://www.bbc.com/news/world-europe-49719284

<なぜアメリカは撤退を決めたのか>

トランプ大統領は、トルコとシリア国境(シリア側)に沿った安全地帯を設立することには賛成し、米軍もこれに協力していた。ところが、10月6日、エルドアン大統領が、この地域へ侵攻するとトランプ大統領に伝えてきた。理由は上記の通りである。

トランプ大統領は、これには同意せず、「これは”よくない動き”だ。アメリカはこんなエンドレスの戦いに巻き込まれるわけにはいかない。そんな戦争のために米軍兵士を犠牲にするわけにはいかない。」として、米軍を撤退させると言ったのである。

一方で、トランプ大統領にしても、トルコの申し出は、撤退へのよい理由になったとみえ、「戦争するなら勝手にやってくれ。それなら今後、その地域にいるISの捕虜とその家族についても、トルコが責任を持って対処するように。」

「クルド人は、我々とともに戦う中で、これまでに十分武器の供与を受けてきた。これからは、トルコ、ヨーロッパ、シリア、イラン、イラク、ロシアとクルド人でなんとかすることになるのだ。」と言い放って、アメリカは、さっさと手を引いたということである。

トランプ大統領に一理がないわけではない。しかし、広い視野で見た場合、アメリカ軍がここから撤退することは、事実上、同盟として戦ってきたクルド人を見捨てるとともに、多くの難民達を見捨てることになり、さらには中東情勢を大きく変えることになる。

現時点で、すでにどの程度のアメリカ軍がこの地域から撤退したのかは不明だが、もし本当に全部撤退した場合、ユーフラテス東側のをロシア、イラン、トルコにギフトとして与えることになると指摘されている。

<クルド人勢力:ロシアに仲介要請>

トルコからの攻撃を受け、一般のクルド人たちの組織(Autonomous Administration of North and East Syria)は、国際社会に対し、アメリカが中心の連合軍に対し、ただちに国境をノーフライゾーン(戦闘機が侵入できない空域)を設定するよう要請を出した。

しかし、アメリカがすでに撤退を表明していることから、クルド人武装勢力は、ロシアに、シリアのダマスカスにおいて(つまりはシリアの合意のもとということ)、トルコに攻撃をやめるよう仲介を要請を出した。

後者の場合は、西クルド自治区(ユーフラテス川の東)が、いよいよロシア、イラン、シリア(アサド政権)、トルコ側へ移行していくことを意味する。

<ロシアの反応:トルコに青信号も期間限定を要請>

トルコのエルドアン大統領は、シリア北東部への侵攻前にトランプ大統領に電話連絡したが、ロシアのプーチン大統領にも電話していたという。プーチン大統領は、侵攻するなら最小限にとどめるよう伝えたという。

もしトルコの動きに歯止めがかからない場合は、ロシアの権限で、国境の安全地帯をノーフライゾーンにすることも可能である。

ロシアにとっては、この地域からアメリカを撤退させることができ、もしロシアの仲介によって、トルコの動きを制することができたら、ロシアにとっては、政治的なプラスになっていく。いまや、中東ですべての国と対話できるのはロシアだけとなっている。

https://jp.reuters.com/article/russia-middleeast-turkey-idJPKBN1WQ0F0

<イランはトルコとの国境付近で軍事訓練>

イランのロウハニ大統領は、トルコにシリアへの侵攻をやめ、撤退するよう要請する声明を出した。

イランは、トルコがシリアへ侵攻するとまもなく、イランとトルコとアゼルバイジャンとの国境、クルド人居住地に近い地域で、突然、大規模な軍事訓練を開始した。イランは、あらゆる状況に備えるためと言っている。

イランにとっては、ユーフラテス川東から米軍が撤退することは有利であるかもしれないが、同時に、国内でクルド人勢力がどう動くのかにも警戒しているのかもしれない。

<EU・国際社会の反応>

トルコのシリアへの侵攻は世界中が非難している。特にEUは、トルコ経由で地中海を越えてヨーロッパに流れ込んでいたシリア難民をトルコで足止めしてもらうみかえりとして、66億ドル(約7000億円)を支払っているEUにとっては穏やかなことではない。

EUは、トルコの非人道的な攻撃を非難するとともに、危ないISメンバーが野放しにされることへ強い危機感を表明している。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5604990,00.html

しかし、アメリカ抜きでの連合軍では全く無力であるし、国連はもっと無力で、国際社会にできることはなにもないというのが現状であろう。

<イスラエルはクルド人を見捨てない?:イスラエルの懸念>

イスラエルはクルド人勢力とは友好関係にあり、これまでにも水面下での支援を行っていたといわれている。

トルコのシリア北東部への侵攻を受け、イスラエル軍予備役兵ら数十人が、フェイスブックに、イスラエルは、クルド人への人道支援ならびに、情報、軍事支援をするべきだとの意見を投稿した。

その数時間後、ネタニヤフ首相は、ヨム・キプール戦争に記念式典で、「クルド人はイスラエルとは友好関係のある。ネタニヤフ首相は、イスラエルはクルド人を見捨てず、人道支援を行う。」と発表した。

しかしながら、イスラエルがどのように支援するかは、報道されないであろうし、実際のところ、それを実行するかどうかも不明である。

また、ネタニヤフ首相は、無難にアメリカがクルド人を見捨てたというような非難は盛り込まず、あくまでもアメリカとは友好な関係は維持すると強調した。一方で、ロシアとの連絡も怠っていないだろう。

https://www.jpost.com/Israel-News/Dozens-of-reservists-call-on-Netanyahu-Kochavi-to-help-Kurds-604235

アメリカがシリアから撤退し、クルド人という同盟をも失うことは、イスラエルにとっては、大変危険なことである。しかし、それ以上に危惧されることは、トランプ大統領が、今回の決断で、いよいよ世界から嫌われ孤立することである。

イスラエル側に立つと目されるトランプ大統領が、世界から孤立するということは、それはそのまま、いや倍増する形で、反イスラエル感情につながっていく可能性があるからである。
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アメリカはトルコに経済制裁を発動するのか 2019.10.11

 2019-10-11
全世界からの反発を受けて、トランプ大統領はホワイトハウスで記者会見を行った。

トランプ大統領は、シリア北東部の米軍を撤退させることで、事実上、同盟クルド人を見捨てたと批判を浴びた。その直後には、もしトルコがシリアへの侵攻を行えば、トルコ経済を崩壊させるほどの経済制裁を発動するとフォローする発言をしていたからである。

トランプ大統領は、これからの動きを注視し、もしトルコが非人道的な無差別攻撃をしたり、民族浄化的なことをすれば、経済制裁も検討するが、今の所、そのような赤信号に至るようなことにはなっていないとの認識を語った。

トランプ大統領は、アメリカが今後とりうる対処として次のようにツイートした。①数千人規模の米軍を送ってトルコ軍を撃滅する。②厳しい経済制裁で、トルコ経済を破壊し、その上で、トルコとクルド人勢力の交渉を仲介する。

同時に、トランプ大統領は、中東が混乱をきわめており、アメリカの手に負えるものではないとし、そこからの米軍撤退を改めて示唆した。

こうした中、アメリカ下院の共和党議員29人は、トルコへの経済制裁に関する法案を提出した。

https://www.bbc.com/news/world-us-canada-50009218
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トランプ大統領:シリア北部の米軍撤退発言で中東に激震 2019.10.9

 2019-10-09
6日、トルコのエルドアン大統領は、トランプ大統領に電話をかけ、長年計画していたシリア北部のクルド人勢力への攻撃を実施すると伝えた。これについて、トランプ大統領は、アメリカはこれには関与しないことを決め、地域にいる1000人の米軍を撤退させると発表。これまでに約20人が撤退したと伝えられている。

トランプ大統領は、撤退と同時に、この地域にいるIS生き残りとその家族の管理もトルコに任せるとし、中東の問題は中東自身で解決すべきであり、アメリカ人の血税を使うべきではないとの従来の考えを繰り返した。

https://www.bbc.com/japanese/49956496

中東からの米軍撤退は、トランプ大統領の選挙公約である。トランプ大統領は、就任当初にもこの発言をして、イスラエルを含む中東、世界がいっせいに反発。結局、中東からの米軍の撤退は実現しなかったという経過があった。来年の選挙を前に、今、その実現をあせっているとみられる。

<トルコのクルド人攻撃に青信号?:直後にトルコの経済破壊予告>

今回、トランプ大統領は、トルコがクルド人を攻撃するということを聞いた上で、米軍を撤退させるということなので、実質、アメリカがクルド人を見捨てたということに他ならない。

実際、トランプ大統領のこの発言からわずか数時間後、シリア北部では、クルド人の輸送隊が、トルコ空軍によってすでに空爆された。クルド人勢力は、アメリカはクルド人を見捨てたと非難している。

https://www.rt.com/news/470397-turkey-bombs-kurds-syria/

これを受けて、トランプ大統領は、「クルド人を見捨てたわけではない。」と釈明。「もしトルコが、クルド人勢力に攻め込むことがあれば、アメリカはトルコの経済を破壊する。」と、すでに侵攻準備を整えたトルコに強い口調で釘をさした。

しかし、トルコに攻撃を黙認するといいながら、攻撃するなら、経済制裁するというトランプ大統領の発言は、大きく矛盾しているといえる。BBCによると、トルコ軍は、すでにシリアとの国境に続々と戦力を派遣強化しており、エルドアン大統領は、「準備は整った。」と言っているとのこと。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-49978567

<アメリカ国内からも批判殺到>

中東では、先月、サウジアラビアの油田がイランの攻撃を受け、米軍との対立が高まっている最中である。その中で、イランの進出が問題になっているシリアからの米軍撤退では、まさに何を考えているのかと言われてもおかしくないだろう。

シリアからの撤退は、結果的に、アメリカは中東での足がかりを失うことにつながり、イラン、そしてロシアに中東の支配権を引き渡すことにもつながっていく。トランプ大統領は、政権の全員と協議したと言っているが、大統領自身の共和党内部からも、この決断に反発する声が相次いでいる。

<イスラエルの見方:ユーフラテス川の東>

クルド人自治区は、今、問題になっているシリア北部からユーフラテス川東側に続く広大な地域。このうち、シリア北部は今、シリア反政府勢力がアサド政権軍に押されてのがれてきて最後の砦となり、戦乱の中にある。ロシア、イランによる非人道的な攻撃が時々報じられている地域である。

この地域に今、トルコが攻撃を開始しようとしているわけだが、この地域を制覇したあと、トルコが、広くクルド人自治区にまで進出してくる可能性も出てくる。

ユーフラテス川東のクルド自治区には、今も米軍が駐留しているので、トルコが攻めてくることはない。しかし、米軍がここからも撤退した場合、クルド人は孤立無援となるため、生き残りのために、アサド政権(背後のイラン)に投降するしかなくなる。そのアサド政権は、イラン、ロシアの支配下にあるといってもよい。この2国とトルコの3国は、シリア問題においては強力関係にある。

今、アメリカがクルド人を見捨てて撤退してしまった場合、ユーフラテス川東という戦略上、非常に重要な地域に、ロシア、イラン、トルコが勢力を維持するようになる。

すると、イスラエル北部のレバノンにまで続く道が続いてしまい、大きな軍隊が、障害なく来ることができるようになる。これはイスラエルにとっては非常に危険なことである。

これを避けるため、イスラエルは、ユーフラテス川に近い、シリアとイラクの国境付近にまで足を伸ばしてイランの拠点への散発的な軍事攻撃を開始している。しかし、イラクは9月30日、このユーフラテス川に近いシリアとの国境を開放すると発表した。これはイランが、イラクを通ってシリアに行きやすくなったことを意味する。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5600269,00.html

今後米軍がどうなっていくのか、イスラエルは高い関心と警戒をもって、ことの動向を見守っている。

トランプ大統領は、イスラエル支持派とみられ、イランへ強硬姿勢にも積極的で、イスラエルも感謝していることは多い。しかし、トランプ大統領の動きは予測不能で、イスラエルも懐疑的にならざるをえないようである。

先月、サウジアラビアの油田が攻撃された後、アメリカがイランへの攻撃に出るのではと世界に緊張が走った。しかし、アメリカは軍事攻撃には出ずに、経済制裁を強化し、制裁の軽減を餌に、イランの直接交渉を行うよう圧力をかける道を選んだ。

イスラエルは、アメリカがイランとの戦争を避ける点には合意するが、アメリカがイランとの交渉に臨むことには反対している。交渉で、また甘い条件でイランの核開発が受け入れられることを懸念するからである。

厳しい制裁を継続することで、イラン市民によって今のイランの現イスラム政権が崩壊し、別のイスラム主義でないイラン政権になることがベストである。しかし、トランプ大統領は、その点にはこだわりがなく、現政権の生き残りに反対しているわけではないようである。

イスラエルは自己防衛に関しては、たとえアメリカであっても全面的に依存することはない。したがって、トランプ大統領の予測不能なジグザグに想定内であり、今回のシリアからの米軍撤退発言も、大きな驚きではなかったようである。最終的には、自分を守るのは自分でしかない。イスラエルがホロコーストで刻んだ厳しい教訓である。

<石のひとりごと>

シリアから米軍撤退、ネタニヤフ首相起訴前聴聞、3回目総選挙の可能性。。。並べるとなんとも気が狂いそうになるが、それでもイスラエル国内では、何かがおこってしまうまでは、日々の日常にはなんら変わりはない。今日の静かなヨム・キプール。ネタニヤフ首相は何を考えているのだろうか。

46年前の1973年、このヨム・キプールの日に戦争が始まった。断食してシナゴーグで祈っていた人々に徴兵令が発せられた。家族たちは、息子やお父さんたちを突然見送らなけれなならなかった。

来るべき時には来る。イスラエルの人々にとって、それは現実である。そこから目を離さず、逃げることなく、できる準備はしておく。しかし、そこに支配されて、日々恐れて生活する人は一人もいない。来る時には来る。だから、後悔しないよう、1日1日を楽しんでいる。

そういうイスラエル人の姿に学ばされる点である。
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