東アレッポ陥落:アサド大統領が勝利宣言 2016.12.17

 2016-12-17
シリア政府軍がロシアの後押しを得て、東アレッポの反政府勢力への激しい総攻撃を開始して2週間あまり。ついにシリア政府軍が東アレッポを制圧した。

反政府勢力が撤退を余儀なくされ、東アレッポの小さな2地区に立てこもるだけとなった火曜、シリア政府軍は、いったん空爆を停止した上で、当初、アル・ヌスラとそれ以外の組織を分けて、東アレッポから出て行くよう通告。脱出用のバスも用意した。

しかし、この時点では、反政府勢力はこれに応じなかった。このため、シリア政府軍は、水曜から木曜にかけて、この最後の砦ともいえる2地区への激しい空爆を再開した。現場にいた住民によると、空からはシリア軍、地上ではイラン軍が攻撃していたという。

この間、シリア政府軍が無差別に市民82人を、通りで射殺したとか、子供約100人が取り残されたビルが燃やされているとか、脱出しようとした車列が空爆されたなど、残虐な行為が行なわれているとの情報が流れた。

激しい爆撃の中、シリア市民による救出隊ホワイトヘルメッツなど、現場に取り残されたシリア市民らがソーシャルメディアを通じて、「これが最後のレポートになる。」といった悲痛なメッセージを次々に発信してきた。

バン・キ・ムン国連総長は、「アレッポで残虐な行為が行なわれている。」「アレッポは地獄だ。」と懸念を表明した。ケリー米国務長官は、こうしたシリア軍の行為は戦犯にあたると訴えた。

しかし、丸腰の市民の虐殺について、シリア政府軍は完全に否定。逆に、”テロリスト”である反政府勢力が市民を人間の盾にしていると主張した。

危機的状況の中、ロシア(シリア政府側シーア派)と、トルコ(反政府勢力側スンニ派)が、東アレッポの引き渡しについての交渉を続けた。

結果、シリア政府は、反政府勢力の安全を約束。まずは負傷者を脱出させることで合意し、改めてバス20台、救急車10台が準備された。BBCによると、反政府勢力4000人とその家族1万人を含む5万人が脱出すると推測された。

脱出した人々が行く先は、シリア北西部の反政府勢力支配域で、唯一残された拠点イドリブの近くの2つの村である。脱出するのは、反政府勢力約4000人とその家族1万人を含む5万人と推測されている。

木曜午後から負傷者の脱出がはじまり、ほこりまみれの救急車と緑のバスの車列が、完全にがれきとなった街から延々と出て行く続く映像が報じられた。国際赤十字によると、金曜朝までに約6500人(ロシア軍は9000人と主張)は脱出したとみられる。

救急車とバスは何度もピストン運転していたが、金曜午後、ロシア軍の司令で再び脱出が停止させられ、金曜夜(日本時間明け方)より、長い車列は立ち往生しているもようである。

原因は不明だが、どうやら、反政府勢力が、約束に違反して重火器の兵器を持ち出したとの情報がある。

ニュース映像で見ると、脱出者を乗せていくバスには、フロントガラス部分に、シリア政府の国旗とアサド大統領の顔写真が貼り付けてあった。このバスでアレッポを後にする反政府勢力や、多くの家族を失いながらも今まで耐えてきた市民たちの屈辱感は想像を絶する。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-38329461

一般市民でアレッポに残留したい人は残留も許されているようだが、地雷が埋められていることと、あまりの破壊のすさまじさで、もはや人間が住める状態ではなさそうである。

人間によって完全に破壊されつくした人口200万人、シリア第二の都市アレッポが、ほぼ完全に破壊され、無人となり、今はまるでSF映画の世界である。

http://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-syria-idUSKBN1420H5

<これからどうなる?>

1)さらなる戦いと殺戮の可能性

アレッポを制圧したアサド大統領は、ウェブサイトで、この勝利は、シリア軍にとって、テロに対する勝利と位置づけ、歴史的な転換になると豪語した。これでアサド政権を倒すという反政府勢力、ならびにアメリカの目標は、かなり遠のいたといえる。

しかし、これで内戦が終わったのではない。

アレッポをとられた今、反政府勢力と市民たちが脱出している先のイドリブ周辺は、広範囲に反政府勢力エリアで、シリア政府支配域に囲まれた形になっている。(地図参照)

南部でも、シリア政府支配域に囲まれている反政府勢力のエリアが多数、点在する。イドリブやこうした町が、第二のアレッポになる可能性は十分ある。

悲惨なのは一般市民たちである。シリア政府が、東アレッポの住民の脱出先として選んだ村は2つで約2万人の町。脱出者たちが来る前からすでに、食べ物は底がつき、草を食べ、病院では麻酔なしで手術が行われるようになっているような町である。

そこへ身も心も傷ついた人々5万人が来るのである。住めるような場所もない。中東ではここ数日寒く冷たい雨も降った。気温はマイナスになるのに、毛布はあるかないかである。食べ物なく寒い。冬はまだこれからである。

2)イラン、ロシア、トルコの台頭

アサド政権のアレッポでの勝利は、ロシア、イランなしにはありえなかった。今後、中東ではこの2つの国、特にイランの存在感が倍増したといえる。

http://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-syria-iran-analysis-idUSKBN143252

金曜夕方からアレッポで、住民の脱出が立ち往生になっているが、脱出を止めたのはロシアだった。現在、ロシアとトルコは、カザフスタンに、シリア政府と反政府勢力の代表を呼び、和平交渉を行うよう働きかけているという。

こうした働きかけは、アメリカと国連、EUがジュネーブで行おうとしている和平会議とは別に行われる試みで、もし実現したとしたら、アメリカや西側諸国にとっては、敗北ともいえる状況になる。

トランプ氏ひきいるアメリカが、今後中東でどのような政策に出てくるのか。今後目が離せないことになってきている。

*トランプ新政権とロシア

就任が来月にせまったトランプ米新政権だが、オバマ政権とはまるで方針が違うため、アメリカ政府から出てくるメッセージが現在、バラバラである。

特にアメリカのCIA(中央情報局)が、今回のアメリカ大統領選挙で、ロシア、特にプーチン氏自身も関わってサイバー攻撃を行ったと衝撃的な訴えを行った。ロシアが、トランプ氏を当選させるため、クリントン候補の情報を流したというのである。

オバマ大統領は、これはけしからんことであるとして、断固、対処する姿勢を明らかにしている。当然、ロシア側はこれを完全に否定。トランプ氏も、自国のCIA諜報機関の訴えであるのに、ただちに「バカバカしい」と一蹴した。

アメリカのトップ2人から、全く違う2つの声が発せられている。どちらが本当ことを言っているのかはわからないが、トランプ氏はm自国の諜報機関と大統領の間に信頼関係がない状態で、今後国は成り立つのか・・・とも思わされる。

3)イスラエルへの影響

中東、特に隣国シリアで、イランが強くなることはイスラエルにとっては好ましいことではない。しかし、アレッポが制圧される前後、ちょうどネタニヤフ首相が奇しくもカザフスタンと、ウズベキスタンを歴訪していた時だったが、イランからは、強気の発言が続いた。

日曜、イランの防衛相は、トランプ氏が、イランとの合意を破棄すると言っていることについて、「もしトランプが中東で戦争をしかけたら、シオニスト政権(イスラエル)と湾岸諸国は破滅する。世界戦争になる可能性もある。」と警告した。

http://www.timesofisrael.com/iran-if-war-imposed-on-us-israel-gulf-states-will-be-destroyed/

またイラン最高指導者ハメネイ師は15日、「前から言っているが、もしイスラム世界とパレスチナ人が一つになって戦えば、シオニスト政権は、25年後には存在していないだろう。」とツイッターした。

ネタニヤフ首相は、カザフスタンの大統領との対話の中で、「イスラエルはうさぎではなく、トラである。イランはそれを知っておくべきです。」と語った。

大きな話は別として・・イスラエルとシリアとの国境、ゴラン高原のシリア側は、現在、大部分を反政府勢力が支配している。もしここで、アレッポのような激しい戦闘になれば、流れ弾等が飛んできて、イスラエルが反撃せざるとえず、巻き添えになる可能性が出てくる。

またその後に、イランが、レバノンとイスラエルとの国境にその配下のヒズボラを配備しているのと同様、ゴラン高原にまで影響を及ぼしてくるかもしれない。

ゴラン高原については、今後シリアで、ロシアがどうでてくるのか、また、トランプ新政権がどう出てくるのかによっても情勢は大きく変わってくるだろう。現時点では、これまでと同様に、諜報活動を行いつつ、国境の守りを固めるだけ。。といったところのようである。

*ネタニヤフ首相のカザフスタン・アゼルバイジャン訪問

今週、ネタニヤフ首相は中央アジアのイスラム国であるカザフスタンとアゼルバイジャンを訪問した。両国との良い関係を保ち、経済、各種協力関係を維持することが目的の外交訪問である。

カザフスタンは、国連総会では、常に反イスラエルの立場をとっている。ネタニヤフ首相は、今回、同国を訪問する初めてのイスラエル首相となった。

カザフスタンは、ロシアや中国だけでなく、アメリカとも友好関係を維持している。この国を通じて、さらに中国での市場にアクセスができると期待されている。

また、ネタニヤフ首相は、カザフスタンに対し、イスラエルが、国連安保理の非常任理事国になるために賛成票を要請したという。エルサレムポストによると、イスラエルはまだ一度も安保理入りしたことはない。

アゼルバイジャンは、イスラエルが最も多くの石油を輸入している国。一方アゼルバイジャンは、イスラエルから武器を購入している。

http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Kazakhstan-asks-Netanyahu-for-help-in-war-on-terror-475341

こうしたアラブ諸国が、ネタニヤフ首相の訪問を受け入れ、イスラエルと協力関係を進めていることに対して、イランは反発していた。
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シリア情勢:一進一退シリア政府軍とロシア軍 2016.12.12

 2016-12-12
1)シリア政府軍:東アレッポの75%を制圧か

ロシアとシリア政府軍が、東アレッポへの総攻撃を開始してから2週間。BBCによると、これまでにアレッポの75%(ロシアは95%と主張)が、ロシアの支援を受けたシリア政府軍に奪回された。

同時に27万人はいるとみられるアレッポ住民の脱出が始まり、アル・ジャジーラによると、攻撃がやんでいるこの数日の間に7万人がシリア政府軍エリアへ脱出したという。

アラブ系メディア・アル・ジャジーラによると、現在、シリア軍とロシア軍はいったん攻撃を停止し、まだ残っている反政府勢力にアレッポから脱出せよと言っている。

ただし、ロシアが過激派と目するアル・ヌスラはイドリブ方面へ、それ以外の組織は別の方向へと指示されている。ロシアは、アル・ヌスラを反政府勢力から分離することをかねてから主張していた。

しかし、アル・ヌスラは、今年アルカイダの傘下から離脱してアル・シャムスと名を変え、他の穏健派反政府勢力に加わったとみられていおり、アメリカは実質、彼らを黙認しているとみられていた。アル・シャムスが反政府勢力を強くしていたからである。

つまり、アメリカとロシアはこの点においても対立していたのである。しかし、アレッポ情勢が人道的にも相当悲惨な事態になってきたことを受けて、アメリカのケリー国務長官とロシアのラブロフ外相は、ジュネーブで話し合いを続けている。

そのような中で、今回、アル・ヌスラと他の組織を分離するかのような指示が出されたということは、アメリカがロシアに対して譲歩したとも考えられる。

ただし、この申し出に対して、反政府勢力からの返事はまだない。

http://www.aljazeera.com/news/2016/12/aleppo-safe-passage-syrian-fighters-proposed-161211170351336.html

2)ISISがパルミラを再制圧

上記のようにアレッポが混乱しているすきに、ISISが、いったん撤退していた世界遺産パルミラをシリア政府軍から奪回し、11日、再度町に入ったもよう。ISISがシリア軍兵士を撃退しているもようである。

パルミラには重要な世界遺産があるが、アレッポと同様に、シリア軍やロシア軍が、ISISに対する激しい空爆を行えば、この遺産はいよいよ破壊されつくしてしまうだろう。少なくともここに市民は住んでいないのは不幸中の幸い。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4891183,00.html

それにしても、こんな愚かな殺戮と破壊がいったいいつなで続くのだろうか。シリア軍とロシア軍、また世界の連合軍を相手に互角に戦っているISISの力は想像を超えているといえる。

<石のひとりごと>

オリーブ山便りでは、これまでほとんど取り上げてこなかったが、イランとサウジアラビアが対立する舞台になっているイエメンの殺戮も相当なものである。

BBCによると、戦闘が激しくなった昨年3月から、今年9月末までに市民だけで10963人が死亡。このうち4014人は昨年3月から今年9月までに死亡している。総人口2700万人のうち、330万人が今も国内難民だという。

難民は、医薬品どころか食糧も底をつき、骨と皮だけになった乳幼児の写真が報じられている。中東は、まさに地獄の沙汰である。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-38220785

中東だけでなく、2017年は、世界もトランプ氏の登場、またヨーロッパ諸国でも来年、次々に新しいリーダーが誕生し、今後世界がどう動いていくのか、専門家でも予想できない状況になってきた。

聖書は、終わりの時の前兆について、次のように言っている。

・・・わたしを名のる者が大勢現れ、『わたしこそキリストだ』と言って、多くの人を惑わすことでしょう。また、戦争のことや、戦争のうわさを聞くでしょうが、気をつけて、あわてないようにしなさい。

これらは必ず起こることです。しかし終わりが来たのではありません。民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々にききんと地震が起こります。しかし、そのようなことはみな、産みの苦しみの初めなのです。

そのとき、人々は、あなたがた(聖書の神に従う者)を苦しいめに会わせ、殺します。またわたしの名のために、あなたがたはすべての国の人々に憎まれます。・・・(マタイの福音書24:3−14)

こうした状況は、私たちの周りで、確かに始まっているようである。

このような世界情勢の中、日本では今年の流行語に、「神ってる」「聖地巡礼(映画などで使われたロケ現場を訪ねること」など、神をまったく恐れていない、むしろバカにしているような言葉が流行語大賞になった。

加えて、「保育園落ちた。日本死ね。」までが賞を取っている。

宗教がらみで地獄の沙汰になっている中東、神という存在、また国が死んでしまう、国を失うということはどういうことなのかを、常日頃実感せずにはいられないイスラエルにいると、日本人の意識が、あまりにも世界の常識から外れている事に、いいようのない、ぞっとするほどの恐怖すら感じる。

このブログを読んでくださった方には、言わせていただく。日本で今年流行語大賞になったような言葉は、中東のみならず、おそらくは、世界のどの国に行っても、文字どころか口にものぼらないタブー用語である。

*英語にGodlyという言葉はあるが、いわゆる普通の人間の能力にこの言葉は使わない。
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東アレッポ:最後通告に応じず 2016.11.6

 2016-11-06
シリアでは、反政府勢力最大の拠点である東アレッポが、ロシアの支援を受けたシリア政府軍が包囲されたままの状況が続いている。中にいるのは反政府勢力とともに25万人の市民がいるという。

10月、シリアとロシアは、人道支援目的で一時停戦を図ったが、11月に入って、再び一時的な停戦を行い、反政府勢力には武器を持ったままでよいから東アレッポから出るようにと出口通路を2つ提供した。

また市民にも、東アレッポから脱出するよう呼びかけて通路を6本用意した。しかし、10時間たった現在も、誰一人脱出したものはおらず、人道支援物資の搬入も行われていない。脱出の途中で、シリアとロシア軍に攻撃されないという保証がないからである。

これはいわば、戦国日本でいえば、籠城している城を、取り囲んで、兵糧攻めにし、いよいよ限界になったと思われるので投降を呼びかけているという形である。

しかし、アレッポは、反政府勢力にとっては最後の砦とも言える町で、そう簡単に明け渡すことはないと思われる。住民にしても、散々家族たちを殺され、いまさら、シリア政府に投稿する気にはなれないのだろう。

こちらは、アメリカの大統領選挙の結果を待って、ロシアが総攻撃に入るのではないかとみられている。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-37869193

<ホワイト・ヘルメッツ>

シリア軍のバレル爆弾で破壊された建物のがれきの下から、人々を救出するシリア人ボランティアグループがいる。ホワイト・ヘルメッツと呼ばれ、ニュースでも注目されるようになった。シリア各地や、アレッポでも活躍している。

がれきの下敷きになった生後2週間の赤ちゃんを救い出す様子は、感動である。

ホワイト・ヘルメッツ HP https://www.whitehelmets.org
ホワイト・ヘルメッツFB https://www.facebook.com/SyriaCivilDefence 

<石のひとりごと>

モスルもアレッポも、状況はあまりにも地獄絵で、見ているだけで涙がでてくるが、日本からはあまりにも遠く、報道も少なく、この苦しみを理解しようという人はそう多くはないだろう。筆者とて、イスラエルにいるからこそ、多少は身近に感じられるのかもしれない。

最近、日本のアイドルグループ欅坂46が、ナチス・ドイツの軍服に酷似する衣装で歌い踊っていたことに対し、反ユダヤ主義を監視するシモン・ビーゼンタール・センターが抗議を申し入れるという一件があった。

可愛い系のティーンエイジャーの若い日本人女性が、殺戮と恐怖の象徴であるナチス風の衣装に身を包み、ほほえんでいる写真が、イスラエル・メディアのネットでも3日ほど、出っぱなしだった。

実際のところ、イスラエルでは、この件に関心をはらう人はほとんどなかったと思われるが、ここにいる日本人としては、その写真をみるたびに吐き気を催す思いがした。穴があったら入りたい、というような生易しい恥ずかしさではなかった。

その後、このグループの所属レコード会社の親会社とプロデユーサーが謝罪したという記事があったが、問題は、会社の落ち度もさながら、女性たちが、ネオナチでもないのに、そういう服を着て平気で踊ることができたという点である。あまりにも恥ずかしい無知としかいいようがない。

ところが、日本国内では、その点を問題視する記事はみあたらなかった。案の定、在日イスラエル大使館は、フェイスブックで、会社の重役ではなく、このアイドル女性たちを招いて、ホロコーストのセミナーを申し出た。ある意味、日本の教育に対する皮肉ともとれる。恥ずかしい限りである。

このような現状の中、中東は日本からはあまりにも遠く、自分にはまったく何の関係がないことであるので、モスルやアレッポについて、特に忙しい若い世代に、関心を持つことを期待する方が、無理があるのかもしれない。

しかし、せめて、世界には、地獄の苦しみを味わっている人もいるということに、たまには少しでも関心をもってもらえれば。。。とも思う。
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シリア情勢:アレッポで反政府勢力が攻撃再開 2016.10.30

 2016-10-30
先週、イラクでモスルISISへの総攻撃が始まったことと、アレッポでのロシア軍による空爆が、一時停止していることもあり、シリア情勢の話題が隠れた感じになっている。

しかし、28日、反政府勢力が、アレッポで政府軍に包囲されている地域の解放を目指して、シリア政府支配地域への激しい爆撃を行った。

アレッポでは、10月18日から、ロシア軍とシリア軍が、人道支援目的で、アレッポの反政府勢力への空爆を停止しており、3日の予定だったが、20日以上たった今も空爆は再開されていない。

反政府勢力の攻撃を受けて、ロシア軍は、空爆再開の指令をプーチン大統領に要請したが、大統領は、「今はまだその時ではない。」として、これを受け入れなかった。

アル・ジャジーラは、アメリカの大統領選挙が終わり、来年1月に新大統領が正式に就任するまでの期間ーこの間はオバマ大統領が大統領ではあるが、引き継ぎ中であり、通常は大きな決断はしないーを待ってアレッポの反政府勢力への総攻撃を行うのではないかと分析している。

http://www.aljazeera.com/news/2016/10/aleppo-putin-reject-army-request-resume-air-raids-161029060933799.html

アレッポについては、10月17日に、アメリカ軍とロシア軍の戦闘機がニアミスを起こしていたことが明らかになった。もし衝突していれば、深刻な東西問題に発展しかねない危険な状況だった。

<ロシア軍が小学校を空爆か?>

これに先立つ水曜、アレッポから75キロ南西の町で、小学校が空爆を受け、子供20人を含む少なくとも35人が死亡した。ロシア軍かシリア軍と思われるが、双方とも、これを否定している。国連のバン事務総長は、戦犯の可能性があるとして精査を要請した。

反政府勢力が、アレッポで政府支配地域への攻撃を行ったのは、この事件への反撃であったのかもしれない。

http://edition.cnn.com/2016/10/27/middleeast/syria-civil-war/

<フランスのカライス・難民キャンプ強制撤去>

シリア他の難民たちは、その後も悲惨極まる歩みを強いられている。フランスのカライス難民キャンプは、7000人に上る難民がテントやバラックに住み、犯罪の巣になっているスラムキャンプのようなところだった。ジャングルとよばれていた。

このキャンプにいたのは、多くが保護者のいない14−17歳の未成年である。ニュースでみるからにほとんど全員男子。シリアやアフガニスタンだけでなく、アフリカ難民も多数のようである。

このキャンプは、フランスからイギリスへ向かうフェリーターミナルの近くで、少年たちは、トラックなどに便乗し、イギリスへ行こうとしていた。

しかし、暴力や犯罪など、キャンプが多くの問題を引き起こしていたため、フランス政府は先週月曜に、このキャンプを撤去することを決めた。

撤去予定前に、イギリスにすでに家族がいる子供たち250人はイギリスが受け入れ、家族との再開を果たしている。

それ以外の約5000人は、フランス各地に設けられた収容センターへ送られた。フランスから難民申請をする予定になっている。しかし、子供たちを収容センターへ移送するバスが足りないなど、フランス政府の対応のずさんさも指摘された。

撤去さわぎに紛れて、移送される前に多数が逃亡した他、今も付近で野宿を続ける少年たちが1500人もいる。

フランスは、イギリスが割り当てられた難民数を受け入れるよう、要請している。

http://www.bbc.com/news/world-europe-37811391
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シリア・イラクのISIS撃滅へ王手!? 2016.10.19

 2016-10-19
日本でも報道されているように、16日より、シリア・イラクにおける対ISIS戦に動きが出ている。

16日、ISISの対欧米戦の象徴でもある町ダビック(ISISの機関紙の名前でもある)を、シリア反政府勢力がトルコの支援を受けて奪回に成功した。

続いて17日早朝からは、イラク軍を筆頭に様々な勢力が、一斉にISISの経済的要所、イラク第二の都市、モスル奪回への総攻撃を始めている。

今回、シリア・イラクのISISへの総攻撃が今になって始まった背景には、アメリカの大統領選挙が近づいていることと関係があるとBBCは解説する。

今のオバマ政権の方針のもとで、目標を達してしまわないと、時期大統領がまた別の方針を出してくるかもしれないからである。(来年1月の完全交代までは、基本的にオバマ大統領の方針が続く)

確かにシリア・イラクのISISは撃滅へと向かうかもしれない。しかし、この戦闘が、イラクに平和をもたらすとも考えにくく、相当な人道的被害も予測され、中東がさらなる混乱に進んで行く可能性が懸念されている。

<シリア:ダビック奪回>

ダビックは、トルコ国境から10キロに位置するシリア領内の町である。この町はイスラムにとって宗教的な意義を持つ町である。

中世7世紀、イスラムの預言者モハンマドが、当時、ビザンチン帝国(東ローマ帝国)との戦いにおいて、コンスタンティノープル(イスタンブール)制覇を目指す中、「ダビックか、アル・アマックでローマ(キリスト教勢力)を撃退するまでは、世の終わりは来ない。」と言ったと信じられているのである。

そのため、ダビックは宗教的にも重要な街で、ISの機関紙の名前にもなっていた。アメリカ人人質の斬首をダビックで行い、「アメリカ人十字軍を処刑した。」と宣言していた。ダビックの名前を出すことで、戦士たちの士気を高める効果があったとみられる。

しかし、ここ数ヶ月、トルコが本格的に介入し、トルコとの国境に近いISIS支配域の奪回を進める中、今回、ダビックの奪回にも至ったということである。ダビックを失ったことはISISにとっては象徴的な意味合いもあった。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-30083303

<イラク:モスルへの総攻撃>

ダビックを反政府勢力とトルコ軍が奪回した翌17日、イラク政府が、様々な勢力が、長い準備を経て、いよいよモスルへの総攻撃を開始すると発表した。

2014年6月、イラク政府軍は、アメリカの軍事支援や訓練を受けてモスルを守っていた。しかし、いざ、ISが来ると、アメリカにもらった武器をおきざりにして逃亡し、やすやすとモスルをISISに明け渡してしまったという経過がある。以来、モスルは、ISISに支配されてきた。今回をそれを奪回するということでもある。

兵力は、イラク政府軍にクルド人勢力ペシャメルガはじめ、様々な組織も加わり、全勢力あわせて、3万人にのぼる。これまでの攻撃では最大級である。

総攻撃開始から2日目に入る18日、イラク軍はすでに周辺の10つの村を制覇し、予定以上のスピードでモスルに向かっていると伝えられている。18日現在で、モスル中心まで40キロだった。

しかし、問題は、モスル総攻撃を行っているのがイラク軍だけではないという点だ。イラク軍(シーア派)の他に、クルド人勢力ペシャメルガ、シーア派勢力、スンニ派勢力がそれぞれが、一斉にモスルに迫っている。

イラク軍とクルド人勢力は、基本的には対立している。また、モスルの住民のほとんどはスンニ派なので、スンニ派への暴力もあるシーア派の武装組織が入ってくることに懸念もある。

仮にISISを撃退したとしても、その後に、シーア派主流の現イラク政府にこれらをまとめあげる力はない。

今はとりあえず、モスルをISISから解放すること、それだけが目標だが、ではその後平和になるのかといえば、その希望はかなりうすいといえる。

<戦闘による深刻な人道被害への懸念>

モスルをめぐる戦闘は、すぐには終わらず、数ヶ月かかるとみられている。モスルは、アル・バグダディが、自らカリフを名乗り、イスラム国を立ち上げた場所であり、ISが世界的な脅威として認識されるきっかけになった都市である。

油田や銀行があり、ISの主要な収入源、経済的な中心地でもある。ISとしても死守してくることは必須。モスルには現在、最大5000人のIS戦闘員がいると推測され、自爆テロの他、化学兵器を使ってくる可能性が高い。

モスルは、人口150万の大都市である。BBCによると、戦闘が始まれば、その時まで残留している70万人が、戦闘に巻き込まれると推測されている。ISが、市民を人間の盾に使ってくることも十分ありうる。

国連は、多数の住民が難民になるとみこして、すでにモスル郊外に20万人分のキャンプを準備しているという。モスル在住のイラク市民で、すでに脱出を始めている家族もいる。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-37699233

<ISIS撃滅のあとはどうなる?:シーア派VSスンニ派>

シリア、イラクからISISが撃滅することはアメリカと有志軍の目標でもあったことだが、では果たしてそれを達成した後、どうなるのかについては、明確な計画が見えていない。

まずは、今モスルにいるIS戦闘員の一部が逃れて他地域、特にトルコやヨーロッパで、テロを活発化させることが懸念される。

また、中東でのシーア派とスンニ派の対立に拍車をかける恐れがある。

現在、イエメンでは、サウジアラビアが支援するスンニ派のイエメン政府軍と、イランが支援するシーア派の反政府勢力、フーシ派がイエメンで戦闘状態にある。

先週、サウジアラビア軍が、葬儀に集まっていたシーア派の人々に向かって誤爆してしまい、140人が死亡した。これを受けて、サウジアラビアとイランの間の緊張が、これまでになく高まっている。

イエメンには、イランの指示でヒズボラが介入している。Yネットは、イランが、ちょうどレバノンのようにヒズボラを通じて、イエメンをその影響下にいれようとしていると解説する。

もしモスルからISが追放されたあと、スンニ派とシーア派の対立が、イラクにまで拡大していった場合、イラクにもイランが進出してくる可能性もある。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4867379,00.html

いずれにしても、中東では、予想外、想定外のことばかりがおこる。こうした専門家の予想や懸念が現実のものにならないよう祈る時だろう。
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