シリア情勢緊張:イランが中距離ミサイル発射など 2017.6.21

 2017-06-21
シリアの内戦は6年目となる。もともとシリア人とシリア政府の内戦のはずであったが、まずは様々なテロ組織が入り込み、ISISが登場してきた。これにより、アメリカと有志国、ロシア、イラン、トルコなどがからむ代理戦争に発展し、さらにはその構図が変化し、複雑化がすすむ一方である。

1)イランがISISへ地対地中距離ミサイル

19日、イランがイラン領内からシリアのISISをターゲットに地対地中距離ミサイル(射程700キロ)7発を発射した。イラン革命軍は、これは、6月7日にテヘランの市議会などが主撃され、17人が殺害された(ISIS犯行声明)ことへの報復だと発表した。

http://www.timesofisrael.com/iran-launches-missile-strike-into-syria-for-tehran-attacks/

イスラエルの報道によると、実際には、ミサイル7発のうち目的地に達したのは2発で、2発は目標をかなりはずし、3発はイラクに着弾していたもようである。

しかし、攻撃自体がどこまで成功していたかとは別に、イランが、中距離ミサイルを使用するのは30年ぶりであったことが注目されている。「イランは報復する」というメッセージをISISだけでなく、敵対するアメリカとその友好国にも誇示した形である。

また、イランは、これまでシリアで、アサド政権とロシアに協力して大きな犠牲をはらってきたにもかかわらず、最終的に中東で支配力を発揮するのは、イランではなくロシアになる様相になってきた中、イランの存在感を主張したとの見方もある。

http://www.presstv.ir/Detail/2017/06/19/525815/Iran-Syria-missile-strike-Daesh-Dayr-alZawr-terrorism

2)アメリカがシリアの戦闘機、イラン製ドローンを撃墜

イランがシリアへ中距離ミサイルを撃ち込んだ数時間後、シリアのISIS支配域上空で、アメリカの戦闘機がシリアの戦闘機を撃墜した。初めてのことである。

これを受けて、シリアとロシアは、互いに戦闘機の衝突を避けるためにアメリカとかわしている合意を破棄した。さらにシリア上空に入ってくるアメリカとその有志軍の戦闘機を撃墜する脅迫もしている。

https://www.nytimes.com/2017/06/19/world/middleeast/russia-syria.html 

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これに続いて火曜、アメリカはシリア上空で、イラン製のドローンを撃墜した。同様のイラン製ドローンは、8日にも、アメリカが支援する反政府勢力に爆弾を投下したため、アメリカに撃墜されている。

https://www.nytimes.com/2017/06/20/world/middleeast/american-warplane-shoots-down-iranian-made-drone-over-syria.html

アメリカがシリアの内戦に徐々に深みに入りこみはじめているとみられている。

こうした中、ニューヨークタイムスは、イスラエルがゴラン高原で、軍事的にも反政府勢力を支援してアサド政府軍やイランが近づかないようにしていると伝えた。イスラエルは、今も極秘にシリア難民を救出する働きは継続している。

イスラエルとしてはできるだけ関わりたくないが、大きな戦いがすぐそばで繰り広げられているため、まったく関わらないというわけにもいかなくなりはじめている。
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ロシア、イラン、トルコが合意:シリアに4安全地帯設置へ 2017.5.8

 2017-05-08
4日、ロシア、イラン、トルコの首脳が、カザフスタンのアスタナに集まり、シリア内戦解決に向けて、4つの安全地帯を設ける方向で合意に署名し、6日、6ヶ月の予定で開始した(実際に開始したかどうかは未確認)。

安全地帯は、イドリブ県やアレッポ周辺などの激戦地域の近くで、4つとも反政府勢力エリアに指定されているが、3国は6月4日までに、正式な境界線を策定することになっている。

安全地帯とは、上空をいかなる戦闘機も飛行せず、原則として戦闘が行われない地域のことで、難民となった市民たちが避難できる場所のことである。

しかし、これまでの停戦協定と同様、ISISやアルカイダなどの過激派に対する攻撃は続行される上、保証国となるのが、すでにシリアで残虐な行為を行っているイランであるため、どこまで実効力があるのかは疑問視されている。

反政府勢力は、これに同意しないと言っている。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-39830307

<ロシア、イラン、トルコ>

この案はロシアが、シリア政府側代表として提言し、反政府勢力側代表としてトルコが合意。それをイランが、保障するという形となっている。

アメリカはここに加わっていないが、安全地帯の設立は、トランプ大統領も提案していたことでもあり、この会議に先立つ2日、ロシアのプーチン大統領はトランプ大統領が電話会談を行っている。

ロシア、イラン、トルコ、といえば、エゼキエル38章を思い出させる3国。今後のこの3国の動きが注目される。

<トランプ大統領の執念!?:アフガニスタンのISIS主謀者死亡か>

トランプ大統領がISISの撃滅に置く優先度は高い。先月モアブという最大爆弾をアフガニスタンで使用し、ISIS戦闘員少なくとも36人が死亡している。

アフガニスタン国内では、アメリカ軍の動きが活発になっていると伝えられていたが、8日、アフガニスタンISISのトップと目されるアブドゥル・ハシブが死亡したと伝えられた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/229269

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イスラエル軍:親シリア戦力を空爆か 2017.4.26

 2017-04-26
23日、イスラエル空軍は、ゴラン高原シリア側のクネイトラ付近にある親シリア政府軍の基地を空爆した。シリア側からの情報によると、戦闘員3人が死亡したもよう。アル・ジャジーラによると、イスラエルはこれを否定している。詳細は不明。

これに先立つ21日にも、ゴラン高原のイスラエル側に、迫撃砲が着弾したことを受けて、イスラエル軍は、この地域への攻撃を行った。これについては、双方から負傷者等、報告されていない。

現在、ゴラン高原のシリア側を支配しているのは、大部分が反政府勢力で、南部国境付近に、イスラム国が小さく存在している。これまでのところ、流れ弾が着弾する程度で、なんとか平穏が続いているといったところ。

今回、シリア領内の親シリア政府関係要所を空爆したわけだが、今の所、ロシアはノーコメント。

http://www.timesofisrael.com/israel-said-to-strike-pro-assad-forces-in-syria-killing-3/

<シリア情勢その後>

アメリカ軍がトマホークを打ち込み、赤線をあえて示さない形で、攻撃態勢を崩していないことで、今の所、シリアが新たに化学兵器を使うこともなく、大きな爆撃もない。ロシアも無言で、いわば、ニュースがない、といった状況である。

<F35ステルス戦闘機3機到着>

現時点で最もすぐれている戦闘機F35ステルス戦闘機がアメリカからあらたに3機到着した。最終的には50機を購入し、2飛行隊を立ち上げる予定。F35があれば、敵のレーダーに発見されることなく領空に侵入が可能。

余談になるが、日本の自衛隊もこの戦闘機を一機受領ずみである。自衛専門で、先制攻撃をしないはずの自衛隊が、なぜステルス戦闘機が必要なのかとの声もあるもよう。なおF35は、一機1億ドル程度(100億円以上)とも言われる。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4953297,00.html
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アメリカの脅し効果!?シリア空軍が戦闘機を移動 2017.4.21

 2017-04-22
4月6日、アメリカが不意にアサド政権の空軍をトマホークで攻撃し、大打撃(シリア戦闘機20%を破壊)を与えたことはお伝えしている通り。

その後、イスラエルのメディアが、アメリカ政府筋の情報として伝えたところによると、シリア軍は、残っている戦闘機すべてをラタキアのロシア軍拠点付近に避難させていたことがわかった。

この基地には、最新の対空ミサイルが設置されており、アメリカに再び攻撃され、戦闘機をさらに失うこととを予防できるとみられる。

米ロの関係が緊張する中、ロシアは、来週水曜、モスクワで、「国際治安会議」と称する国際会議を開催する予定になっている。議題はシリア問題だけでなく、北朝鮮などアジアの問題も話し合われるみこみ。

Yネットによると現時点での参加国は、ヨルダン、インドネシア、キューバ、マレーシア、ミャンマー、ニカラグア、ベネズエラ、ブラジル。

アメリカとNATOも招かれているが、まだ返答していない。特にアメリカは、ロシア主導のこの会議には出席しないのではないかと見られている。

イスラエルからは、カンファレンスとは別筋で、リーバーマン防衛相が、モスクワにてロシアのラブロフ外相らと会談することになっている。焦点は、シリア領空でのイスラエル戦闘機の活動とロシアとの協力関係になるみこみ。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4951642,00.html

*ヒズボラがメディアツアー

シリア情勢が緊迫し、アメリカへの攻撃をイスラエルへの攻撃にすり替える可能性も視野に、イスラエルは、これまで以上に、ヒズボラの動きに注目している。

レバノン南部には今も15000発とみられるミサイルが、イスラエルに標準を合わせていることをイスラエル軍は把握している。

イスラエル最北端のキブツからは、レバノン南部、ヒズボラがミサイルを隠している地域を見ることが可能だが、20日、ちょうどその逆から国境にあるイスラエルの拠点を見るメディアツアーをヒズボラが実施した。

ヒズボラ戦闘員の案内で、ジャーナリストたちが、レバノン南部から、国境のむこうにイスラエルの車両が動いている様子が撮影している。

これについて、怒ったのはレバノンだった。まるで政府の公式プレスオフィスであるかのように、ヒズボラが、世界のメディアを案内したからである。これではレバノン政府は不在であり、2006年の第二次レバノン戦争後の国連決議1701による合意も、すでにないも同然のようなプレゼンであったからである。

ヒズボラがこのようなメディアツアーを行うのは異例。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Lebanese-leader-calls-Hezbollah-media-tour-a-strategic-mistake-488547
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アロー迎撃ミサイル初始動:対シリア 2017.3.18

 2017-03-18
木曜深夜、ヒズボラへの武器移送の情報に基づき、イスラエルの空軍機がシリア領内(北部)のヒズボラ武器関連とみられる施設への空爆を行った。その後、帰還体制に入った空軍機に対し、シリア軍が、地対空ミサイル(S200)を複数発発射。

空軍機を追って、シリアのミサイルが、イスラエル領内に向けて発射されたため、イスラエルのアロー迎撃ミサイル・システムが反応し、一発を空中で撃墜。残骸はヨルダン領内に落下した。

イスラエルではヨルダン渓谷住民に対し警報がなったが、幸い、ヨルダンにもイスラエルにも市民に被害はなかった。

シリア政府は、当初イスラエルの戦闘機を撃墜したと主張した。イスラエル軍はこれを否定。戦闘機は無事イスラエルに帰還したと発表した。

今回、シリアが高度な地対空ミサイルS200を使用するのは初めてだったが、イスラエルのアロー迎撃ミサイルが実戦で発動するのもはじめてであった。シリアはこの上にS300、S400とさらに高度な迎撃ミサイルを持っている。

この一連の事件を受けて、ネタニヤフ首相は、「イスラエルは、これまでからもこうした防衛のための作戦を行ってきたが、これからも方針は変わらない。」とのコメントを発表した。イスラエルが、シリア領内での攻撃を公式に認めるのは極めて異例である。

イスラエルのコメントを受けて、シリア政府は、国連に対し、「イスラエルが領空に入って国際法に違反した。イスラエルは1967年6月4日以前の国境線にまで撤退するべきだ(ゴラン高原から撤退せよという意味)。このISISを支援するシオニストのテロ支援国家をとりしまってほしい。」と訴えた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/226872

*アロー迎撃ミサイルシステム

アロー迎撃ミサイルは、イスラエルが開発した高度な迎撃ミサイルで、音速以上のスピードで飛ぶ弾道ミサイルがまだ大気圏外にあるうちに撃退する能力を持つ。

エルサレムポストによると、今回、アローシステムが、シリアの地対空ミサイルを撃墜した時の音がモディーンや、エルサレムで聞こえたと伝えている。

http://www.jpost.com/Breaking-News/Report-Red-alert-siren-heard-in-Jordan-Valley-484452

http://www.jewishvirtuallibrary.org/arrow-missile-program

<シリアの背後にいるロシアの反応>

今回の事件を受け、シリア内戦に介入し、シリア政府を支援するロシアは、在ロシア・イスラエル大使を召喚し、事情聴取を行っている。

これに先立つ3月9日、ネタニヤフ首相は、日帰りで、モスクワのプーチン大統領を訪問。地中海に海軍の拠点を建築しようとしているなど、イランがシリア領内で存在感を拡大していることについて警告していた。

この時に、今回のようなイランからヒズボラへの武器供与移送をイスラエルが見逃すわけにはいかないといったことなども話し合われたと見られる。

イランは最近、アメリカとの関係が緊張する中、弾道ミサイルの発射実験を行うなど、イスラエルにとって、脅威となる動きが続く。

イスラエルは、ロシアに対し、「イスラエルを崩壊させると公言し続けるイランが、イスラエルと直接国境を接するシリアに進出してくることは受け入れられることではない。」と訴えている。

http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Netanyahu-in-Moscow-leverages-Putin-Purim-greeting-to-slam-Iran-483736

なお、今回の事件について、ロシアはシリアがS200を使用することを知らなかったのではないか。両国の関係がそれほど密ではないのではないかという見方がある。

一方で、ロシアの支援で、シリアの気が大きくなり、今回、一段階上の武器S200を使うに至ったのではないかと、両極端の分析がある。

いずれにしても北部情勢の悪化は非常に危険なので、油断せずとりなしが必要。
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