イスラエル軍:親シリア戦力を空爆か 2017.4.26

 2017-04-26
23日、イスラエル空軍は、ゴラン高原シリア側のクネイトラ付近にある親シリア政府軍の基地を空爆した。シリア側からの情報によると、戦闘員3人が死亡したもよう。アル・ジャジーラによると、イスラエルはこれを否定している。詳細は不明。

これに先立つ21日にも、ゴラン高原のイスラエル側に、迫撃砲が着弾したことを受けて、イスラエル軍は、この地域への攻撃を行った。これについては、双方から負傷者等、報告されていない。

現在、ゴラン高原のシリア側を支配しているのは、大部分が反政府勢力で、南部国境付近に、イスラム国が小さく存在している。これまでのところ、流れ弾が着弾する程度で、なんとか平穏が続いているといったところ。

今回、シリア領内の親シリア政府関係要所を空爆したわけだが、今の所、ロシアはノーコメント。

http://www.timesofisrael.com/israel-said-to-strike-pro-assad-forces-in-syria-killing-3/

<シリア情勢その後>

アメリカ軍がトマホークを打ち込み、赤線をあえて示さない形で、攻撃態勢を崩していないことで、今の所、シリアが新たに化学兵器を使うこともなく、大きな爆撃もない。ロシアも無言で、いわば、ニュースがない、といった状況である。

<F35ステルス戦闘機3機到着>

現時点で最もすぐれている戦闘機F35ステルス戦闘機がアメリカからあらたに3機到着した。最終的には50機を購入し、2飛行隊を立ち上げる予定。F35があれば、敵のレーダーに発見されることなく領空に侵入が可能。

余談になるが、日本の自衛隊もこの戦闘機を一機受領ずみである。自衛専門で、先制攻撃をしないはずの自衛隊が、なぜステルス戦闘機が必要なのかとの声もあるもよう。なおF35は、一機100万ドル(1億円以上)とも言われる。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4953297,00.html
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アメリカの脅し効果!?シリア空軍が戦闘機を移動 2017.4.21

 2017-04-22
4月6日、アメリカが不意にアサド政権の空軍をトマホークで攻撃し、大打撃(シリア戦闘機20%を破壊)を与えたことはお伝えしている通り。

その後、イスラエルのメディアが、アメリカ政府筋の情報として伝えたところによると、シリア軍は、残っている戦闘機すべてをラタキアのロシア軍拠点付近に避難させていたことがわかった。

この基地には、最新の対空ミサイルが設置されており、アメリカに再び攻撃され、戦闘機をさらに失うこととを予防できるとみられる。

米ロの関係が緊張する中、ロシアは、来週水曜、モスクワで、「国際治安会議」と称する国際会議を開催する予定になっている。議題はシリア問題だけでなく、北朝鮮などアジアの問題も話し合われるみこみ。

Yネットによると現時点での参加国は、ヨルダン、インドネシア、キューバ、マレーシア、ミャンマー、ニカラグア、ベネズエラ、ブラジル。

アメリカとNATOも招かれているが、まだ返答していない。特にアメリカは、ロシア主導のこの会議には出席しないのではないかと見られている。

イスラエルからは、カンファレンスとは別筋で、リーバーマン防衛相が、モスクワにてロシアのラブロフ外相らと会談することになっている。焦点は、シリア領空でのイスラエル戦闘機の活動とロシアとの協力関係になるみこみ。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4951642,00.html

*ヒズボラがメディアツアー

シリア情勢が緊迫し、アメリカへの攻撃をイスラエルへの攻撃にすり替える可能性も視野に、イスラエルは、これまで以上に、ヒズボラの動きに注目している。

レバノン南部には今も15000発とみられるミサイルが、イスラエルに標準を合わせていることをイスラエル軍は把握している。

イスラエル最北端のキブツからは、レバノン南部、ヒズボラがミサイルを隠している地域を見ることが可能だが、20日、ちょうどその逆から国境にあるイスラエルの拠点を見るメディアツアーをヒズボラが実施した。

ヒズボラ戦闘員の案内で、ジャーナリストたちが、レバノン南部から、国境のむこうにイスラエルの車両が動いている様子が撮影している。

これについて、怒ったのはレバノンだった。まるで政府の公式プレスオフィスであるかのように、ヒズボラが、世界のメディアを案内したからである。これではレバノン政府は不在であり、2006年の第二次レバノン戦争後の国連決議1701による合意も、すでにないも同然のようなプレゼンであったからである。

ヒズボラがこのようなメディアツアーを行うのは異例。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Lebanese-leader-calls-Hezbollah-media-tour-a-strategic-mistake-488547
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アロー迎撃ミサイル初始動:対シリア 2017.3.18

 2017-03-18
木曜深夜、ヒズボラへの武器移送の情報に基づき、イスラエルの空軍機がシリア領内(北部)のヒズボラ武器関連とみられる施設への空爆を行った。その後、帰還体制に入った空軍機に対し、シリア軍が、地対空ミサイル(S200)を複数発発射。

空軍機を追って、シリアのミサイルが、イスラエル領内に向けて発射されたため、イスラエルのアロー迎撃ミサイル・システムが反応し、一発を空中で撃墜。残骸はヨルダン領内に落下した。

イスラエルではヨルダン渓谷住民に対し警報がなったが、幸い、ヨルダンにもイスラエルにも市民に被害はなかった。

シリア政府は、当初イスラエルの戦闘機を撃墜したと主張した。イスラエル軍はこれを否定。戦闘機は無事イスラエルに帰還したと発表した。

今回、シリアが高度な地対空ミサイルS200を使用するのは初めてだったが、イスラエルのアロー迎撃ミサイルが実戦で発動するのもはじめてであった。シリアはこの上にS300、S400とさらに高度な迎撃ミサイルを持っている。

この一連の事件を受けて、ネタニヤフ首相は、「イスラエルは、これまでからもこうした防衛のための作戦を行ってきたが、これからも方針は変わらない。」とのコメントを発表した。イスラエルが、シリア領内での攻撃を公式に認めるのは極めて異例である。

イスラエルのコメントを受けて、シリア政府は、国連に対し、「イスラエルが領空に入って国際法に違反した。イスラエルは1967年6月4日以前の国境線にまで撤退するべきだ(ゴラン高原から撤退せよという意味)。このISISを支援するシオニストのテロ支援国家をとりしまってほしい。」と訴えた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/226872

*アロー迎撃ミサイルシステム

アロー迎撃ミサイルは、イスラエルが開発した高度な迎撃ミサイルで、音速以上のスピードで飛ぶ弾道ミサイルがまだ大気圏外にあるうちに撃退する能力を持つ。

エルサレムポストによると、今回、アローシステムが、シリアの地対空ミサイルを撃墜した時の音がモディーンや、エルサレムで聞こえたと伝えている。

http://www.jpost.com/Breaking-News/Report-Red-alert-siren-heard-in-Jordan-Valley-484452

http://www.jewishvirtuallibrary.org/arrow-missile-program

<シリアの背後にいるロシアの反応>

今回の事件を受け、シリア内戦に介入し、シリア政府を支援するロシアは、在ロシア・イスラエル大使を召喚し、事情聴取を行っている。

これに先立つ3月9日、ネタニヤフ首相は、日帰りで、モスクワのプーチン大統領を訪問。地中海に海軍の拠点を建築しようとしているなど、イランがシリア領内で存在感を拡大していることについて警告していた。

この時に、今回のようなイランからヒズボラへの武器供与移送をイスラエルが見逃すわけにはいかないといったことなども話し合われたと見られる。

イランは最近、アメリカとの関係が緊張する中、弾道ミサイルの発射実験を行うなど、イスラエルにとって、脅威となる動きが続く。

イスラエルは、ロシアに対し、「イスラエルを崩壊させると公言し続けるイランが、イスラエルと直接国境を接するシリアに進出してくることは受け入れられることではない。」と訴えている。

http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Netanyahu-in-Moscow-leverages-Putin-Purim-greeting-to-slam-Iran-483736

なお、今回の事件について、ロシアはシリアがS200を使用することを知らなかったのではないか。両国の関係がそれほど密ではないのではないかという見方がある。

一方で、ロシアの支援で、シリアの気が大きくなり、今回、一段階上の武器S200を使うに至ったのではないかと、両極端の分析がある。

いずれにしても北部情勢の悪化は非常に危険なので、油断せずとりなしが必要。
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東アレッポ陥落:アサド大統領が勝利宣言 2016.12.17

 2016-12-17
シリア政府軍がロシアの後押しを得て、東アレッポの反政府勢力への激しい総攻撃を開始して2週間あまり。ついにシリア政府軍が東アレッポを制圧した。

反政府勢力が撤退を余儀なくされ、東アレッポの小さな2地区に立てこもるだけとなった火曜、シリア政府軍は、いったん空爆を停止した上で、当初、アル・ヌスラとそれ以外の組織を分けて、東アレッポから出て行くよう通告。脱出用のバスも用意した。

しかし、この時点では、反政府勢力はこれに応じなかった。このため、シリア政府軍は、水曜から木曜にかけて、この最後の砦ともいえる2地区への激しい空爆を再開した。現場にいた住民によると、空からはシリア軍、地上ではイラン軍が攻撃していたという。

この間、シリア政府軍が無差別に市民82人を、通りで射殺したとか、子供約100人が取り残されたビルが燃やされているとか、脱出しようとした車列が空爆されたなど、残虐な行為が行なわれているとの情報が流れた。

激しい爆撃の中、シリア市民による救出隊ホワイトヘルメッツなど、現場に取り残されたシリア市民らがソーシャルメディアを通じて、「これが最後のレポートになる。」といった悲痛なメッセージを次々に発信してきた。

バン・キ・ムン国連総長は、「アレッポで残虐な行為が行なわれている。」「アレッポは地獄だ。」と懸念を表明した。ケリー米国務長官は、こうしたシリア軍の行為は戦犯にあたると訴えた。

しかし、丸腰の市民の虐殺について、シリア政府軍は完全に否定。逆に、”テロリスト”である反政府勢力が市民を人間の盾にしていると主張した。

危機的状況の中、ロシア(シリア政府側シーア派)と、トルコ(反政府勢力側スンニ派)が、東アレッポの引き渡しについての交渉を続けた。

結果、シリア政府は、反政府勢力の安全を約束。まずは負傷者を脱出させることで合意し、改めてバス20台、救急車10台が準備された。BBCによると、反政府勢力4000人とその家族1万人を含む5万人が脱出すると推測された。

脱出した人々が行く先は、シリア北西部の反政府勢力支配域で、唯一残された拠点イドリブの近くの2つの村である。脱出するのは、反政府勢力約4000人とその家族1万人を含む5万人と推測されている。

木曜午後から負傷者の脱出がはじまり、ほこりまみれの救急車と緑のバスの車列が、完全にがれきとなった街から延々と出て行く続く映像が報じられた。国際赤十字によると、金曜朝までに約6500人(ロシア軍は9000人と主張)は脱出したとみられる。

救急車とバスは何度もピストン運転していたが、金曜午後、ロシア軍の司令で再び脱出が停止させられ、金曜夜(日本時間明け方)より、長い車列は立ち往生しているもようである。

原因は不明だが、どうやら、反政府勢力が、約束に違反して重火器の兵器を持ち出したとの情報がある。

ニュース映像で見ると、脱出者を乗せていくバスには、フロントガラス部分に、シリア政府の国旗とアサド大統領の顔写真が貼り付けてあった。このバスでアレッポを後にする反政府勢力や、多くの家族を失いながらも今まで耐えてきた市民たちの屈辱感は想像を絶する。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-38329461

一般市民でアレッポに残留したい人は残留も許されているようだが、地雷が埋められていることと、あまりの破壊のすさまじさで、もはや人間が住める状態ではなさそうである。

人間によって完全に破壊されつくした人口200万人、シリア第二の都市アレッポが、ほぼ完全に破壊され、無人となり、今はまるでSF映画の世界である。

http://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-syria-idUSKBN1420H5

<これからどうなる?>

1)さらなる戦いと殺戮の可能性

アレッポを制圧したアサド大統領は、ウェブサイトで、この勝利は、シリア軍にとって、テロに対する勝利と位置づけ、歴史的な転換になると豪語した。これでアサド政権を倒すという反政府勢力、ならびにアメリカの目標は、かなり遠のいたといえる。

しかし、これで内戦が終わったのではない。

アレッポをとられた今、反政府勢力と市民たちが脱出している先のイドリブ周辺は、広範囲に反政府勢力エリアで、シリア政府支配域に囲まれた形になっている。(地図参照)

南部でも、シリア政府支配域に囲まれている反政府勢力のエリアが多数、点在する。イドリブやこうした町が、第二のアレッポになる可能性は十分ある。

悲惨なのは一般市民たちである。シリア政府が、東アレッポの住民の脱出先として選んだ村は2つで約2万人の町。脱出者たちが来る前からすでに、食べ物は底がつき、草を食べ、病院では麻酔なしで手術が行われるようになっているような町である。

そこへ身も心も傷ついた人々5万人が来るのである。住めるような場所もない。中東ではここ数日寒く冷たい雨も降った。気温はマイナスになるのに、毛布はあるかないかである。食べ物なく寒い。冬はまだこれからである。

2)イラン、ロシア、トルコの台頭

アサド政権のアレッポでの勝利は、ロシア、イランなしにはありえなかった。今後、中東ではこの2つの国、特にイランの存在感が倍増したといえる。

http://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-syria-iran-analysis-idUSKBN143252

金曜夕方からアレッポで、住民の脱出が立ち往生になっているが、脱出を止めたのはロシアだった。現在、ロシアとトルコは、カザフスタンに、シリア政府と反政府勢力の代表を呼び、和平交渉を行うよう働きかけているという。

こうした働きかけは、アメリカと国連、EUがジュネーブで行おうとしている和平会議とは別に行われる試みで、もし実現したとしたら、アメリカや西側諸国にとっては、敗北ともいえる状況になる。

トランプ氏ひきいるアメリカが、今後中東でどのような政策に出てくるのか。今後目が離せないことになってきている。

*トランプ新政権とロシア

就任が来月にせまったトランプ米新政権だが、オバマ政権とはまるで方針が違うため、アメリカ政府から出てくるメッセージが現在、バラバラである。

特にアメリカのCIA(中央情報局)が、今回のアメリカ大統領選挙で、ロシア、特にプーチン氏自身も関わってサイバー攻撃を行ったと衝撃的な訴えを行った。ロシアが、トランプ氏を当選させるため、クリントン候補の情報を流したというのである。

オバマ大統領は、これはけしからんことであるとして、断固、対処する姿勢を明らかにしている。当然、ロシア側はこれを完全に否定。トランプ氏も、自国のCIA諜報機関の訴えであるのに、ただちに「バカバカしい」と一蹴した。

アメリカのトップ2人から、全く違う2つの声が発せられている。どちらが本当ことを言っているのかはわからないが、トランプ氏はm自国の諜報機関と大統領の間に信頼関係がない状態で、今後国は成り立つのか・・・とも思わされる。

3)イスラエルへの影響

中東、特に隣国シリアで、イランが強くなることはイスラエルにとっては好ましいことではない。しかし、アレッポが制圧される前後、ちょうどネタニヤフ首相が奇しくもカザフスタンと、ウズベキスタンを歴訪していた時だったが、イランからは、強気の発言が続いた。

日曜、イランの防衛相は、トランプ氏が、イランとの合意を破棄すると言っていることについて、「もしトランプが中東で戦争をしかけたら、シオニスト政権(イスラエル)と湾岸諸国は破滅する。世界戦争になる可能性もある。」と警告した。

http://www.timesofisrael.com/iran-if-war-imposed-on-us-israel-gulf-states-will-be-destroyed/

またイラン最高指導者ハメネイ師は15日、「前から言っているが、もしイスラム世界とパレスチナ人が一つになって戦えば、シオニスト政権は、25年後には存在していないだろう。」とツイッターした。

ネタニヤフ首相は、カザフスタンの大統領との対話の中で、「イスラエルはうさぎではなく、トラである。イランはそれを知っておくべきです。」と語った。

大きな話は別として・・イスラエルとシリアとの国境、ゴラン高原のシリア側は、現在、大部分を反政府勢力が支配している。もしここで、アレッポのような激しい戦闘になれば、流れ弾等が飛んできて、イスラエルが反撃せざるとえず、巻き添えになる可能性が出てくる。

またその後に、イランが、レバノンとイスラエルとの国境にその配下のヒズボラを配備しているのと同様、ゴラン高原にまで影響を及ぼしてくるかもしれない。

ゴラン高原については、今後シリアで、ロシアがどうでてくるのか、また、トランプ新政権がどう出てくるのかによっても情勢は大きく変わってくるだろう。現時点では、これまでと同様に、諜報活動を行いつつ、国境の守りを固めるだけ。。といったところのようである。

*ネタニヤフ首相のカザフスタン・アゼルバイジャン訪問

今週、ネタニヤフ首相は中央アジアのイスラム国であるカザフスタンとアゼルバイジャンを訪問した。両国との良い関係を保ち、経済、各種協力関係を維持することが目的の外交訪問である。

カザフスタンは、国連総会では、常に反イスラエルの立場をとっている。ネタニヤフ首相は、今回、同国を訪問する初めてのイスラエル首相となった。

カザフスタンは、ロシアや中国だけでなく、アメリカとも友好関係を維持している。この国を通じて、さらに中国での市場にアクセスができると期待されている。

また、ネタニヤフ首相は、カザフスタンに対し、イスラエルが、国連安保理の非常任理事国になるために賛成票を要請したという。エルサレムポストによると、イスラエルはまだ一度も安保理入りしたことはない。

アゼルバイジャンは、イスラエルが最も多くの石油を輸入している国。一方アゼルバイジャンは、イスラエルから武器を購入している。

http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Kazakhstan-asks-Netanyahu-for-help-in-war-on-terror-475341

こうしたアラブ諸国が、ネタニヤフ首相の訪問を受け入れ、イスラエルと協力関係を進めていることに対して、イランは反発していた。
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シリア情勢:一進一退シリア政府軍とロシア軍 2016.12.12

 2016-12-12
1)シリア政府軍:東アレッポの75%を制圧か

ロシアとシリア政府軍が、東アレッポへの総攻撃を開始してから2週間。BBCによると、これまでにアレッポの75%(ロシアは95%と主張)が、ロシアの支援を受けたシリア政府軍に奪回された。

同時に27万人はいるとみられるアレッポ住民の脱出が始まり、アル・ジャジーラによると、攻撃がやんでいるこの数日の間に7万人がシリア政府軍エリアへ脱出したという。

アラブ系メディア・アル・ジャジーラによると、現在、シリア軍とロシア軍はいったん攻撃を停止し、まだ残っている反政府勢力にアレッポから脱出せよと言っている。

ただし、ロシアが過激派と目するアル・ヌスラはイドリブ方面へ、それ以外の組織は別の方向へと指示されている。ロシアは、アル・ヌスラを反政府勢力から分離することをかねてから主張していた。

しかし、アル・ヌスラは、今年アルカイダの傘下から離脱してアル・シャムスと名を変え、他の穏健派反政府勢力に加わったとみられていおり、アメリカは実質、彼らを黙認しているとみられていた。アル・シャムスが反政府勢力を強くしていたからである。

つまり、アメリカとロシアはこの点においても対立していたのである。しかし、アレッポ情勢が人道的にも相当悲惨な事態になってきたことを受けて、アメリカのケリー国務長官とロシアのラブロフ外相は、ジュネーブで話し合いを続けている。

そのような中で、今回、アル・ヌスラと他の組織を分離するかのような指示が出されたということは、アメリカがロシアに対して譲歩したとも考えられる。

ただし、この申し出に対して、反政府勢力からの返事はまだない。

http://www.aljazeera.com/news/2016/12/aleppo-safe-passage-syrian-fighters-proposed-161211170351336.html

2)ISISがパルミラを再制圧

上記のようにアレッポが混乱しているすきに、ISISが、いったん撤退していた世界遺産パルミラをシリア政府軍から奪回し、11日、再度町に入ったもよう。ISISがシリア軍兵士を撃退しているもようである。

パルミラには重要な世界遺産があるが、アレッポと同様に、シリア軍やロシア軍が、ISISに対する激しい空爆を行えば、この遺産はいよいよ破壊されつくしてしまうだろう。少なくともここに市民は住んでいないのは不幸中の幸い。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4891183,00.html

それにしても、こんな愚かな殺戮と破壊がいったいいつなで続くのだろうか。シリア軍とロシア軍、また世界の連合軍を相手に互角に戦っているISISの力は想像を超えているといえる。

<石のひとりごと>

オリーブ山便りでは、これまでほとんど取り上げてこなかったが、イランとサウジアラビアが対立する舞台になっているイエメンの殺戮も相当なものである。

BBCによると、戦闘が激しくなった昨年3月から、今年9月末までに市民だけで10963人が死亡。このうち4014人は昨年3月から今年9月までに死亡している。総人口2700万人のうち、330万人が今も国内難民だという。

難民は、医薬品どころか食糧も底をつき、骨と皮だけになった乳幼児の写真が報じられている。中東は、まさに地獄の沙汰である。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-38220785

中東だけでなく、2017年は、世界もトランプ氏の登場、またヨーロッパ諸国でも来年、次々に新しいリーダーが誕生し、今後世界がどう動いていくのか、専門家でも予想できない状況になってきた。

聖書は、終わりの時の前兆について、次のように言っている。

・・・わたしを名のる者が大勢現れ、『わたしこそキリストだ』と言って、多くの人を惑わすことでしょう。また、戦争のことや、戦争のうわさを聞くでしょうが、気をつけて、あわてないようにしなさい。

これらは必ず起こることです。しかし終わりが来たのではありません。民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々にききんと地震が起こります。しかし、そのようなことはみな、産みの苦しみの初めなのです。

そのとき、人々は、あなたがた(聖書の神に従う者)を苦しいめに会わせ、殺します。またわたしの名のために、あなたがたはすべての国の人々に憎まれます。・・・(マタイの福音書24:3−14)

こうした状況は、私たちの周りで、確かに始まっているようである。

このような世界情勢の中、日本では今年の流行語に、「神ってる」「聖地巡礼(映画などで使われたロケ現場を訪ねること」など、神をまったく恐れていない、むしろバカにしているような言葉が流行語大賞になった。

加えて、「保育園落ちた。日本死ね。」までが賞を取っている。

宗教がらみで地獄の沙汰になっている中東、神という存在、また国が死んでしまう、国を失うということはどういうことなのかを、常日頃実感せずにはいられないイスラエルにいると、日本人の意識が、あまりにも世界の常識から外れている事に、いいようのない、ぞっとするほどの恐怖すら感じる。

このブログを読んでくださった方には、言わせていただく。日本で今年流行語大賞になったような言葉は、中東のみならず、おそらくは、世界のどの国に行っても、文字どころか口にものぼらないタブー用語である。

*英語にGodlyという言葉はあるが、いわゆる普通の人間の能力にこの言葉は使わない。
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