ユダヤ人大量移送の罪を認めるフランス:ネタニヤフ首相パリ訪問 2017.7.17

 2017-07-17
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写真出展:Reuters: Stephane Mahe

神殿の丘でのごたごたがある中だが、ネタニヤフ首相は予定どおり金曜、フランス、ハンガリーを訪問する5日間の外遊に旅だった。

パリでは、マクロン新大統領と初の直接会談し、ホロコーストの時代に、パリからユダヤ人13000人がナチスの死の収容所へ連行されてから、75年を記念する式典に参加した。珍しく、BBCもトップでこれを報じた。

それによると、1942年7月16-17日、パリの警察が、子供4000人を含むユダヤ人13000人を逮捕し、エッフェル塔近くのサイクリング場に集めた。その後、そのほとんどを列車に乗せてアウシュビッツへと送り込んだのであった。13000人のうち、戦後まで生き残ったのは100人以下だった。

このサイクリング場ではこの出来事を記念する式典が毎年行われているが、イスラエルの首相が出席するには、今回が始めてだという。マクロン大統領は、式典において、「ユダヤ人を逮捕したのはフランスの警察であり、ナチスは一人もいなかった。」と国家としての罪を認めた。

http://www.bbc.com/news/world-europe-40622845

この他、実務レベルの会談で、マクロン大統領は、神殿の丘でのテロを非難したが、ネタニヤフ首相には、2国家解決にむけて、パレスチナと対話するよう要請したという。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4989977,00.html

ネタニヤフ首相は、次にハンガリーを訪問し、水曜にイスラエルへ戻る予定。

http://www.timesofisrael.com/pm-to-depart-for-4-day-trip-to-france-and-hungary/ 
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マクペラの洞窟をパレスチナの世界遺産に指定:ユネスコ 2017.7.8

 2017-07-08
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ヘブロン・マクペラの洞窟 2017.7.6

ユネスコの世界遺産委員会(21カ国の代表)が、ポーランドのクラカウで、7月2日から12日まで、世界遺産の検証や指定を行っている。

この中で、エルサレム旧市街と城壁の「危機にある世界遺産」としての現状、続いて、パレスチナ自治政府の申請に基づき、ヘブロンのマクペラの洞窟をパレスチナの世界遺産に指定するかどうかの審議が行われた。

結果、4日、エルサレムの旧市街は、「イスラエルの”占領”によって危機的状況にある。イスラエルは、不条理な圧迫をやめるべきである。」という報告が、賛成10、反対3で可決された。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4984802,00.html

http://www.jpost.com/Israel-News/UNESCO-votes-Israel-occupying-power-in-Jerusalem-498755

これは今年5月の神殿の丘に関する採択に引き続き、イスラエルとエルサレムとの歴史的関係をも無視するものである。しかし、理事国21カ国のうち、賛成したのが半数以下の10カ国であったのは初めてのことで、悪い中にもよい兆しはあったとの見方もあった。

続いて、7日、ヘブロンのマクペラの洞窟に関する採択では、賛成12、反対3で、パレスチナの世界遺産として登録することで可決した。

パレスチナの世界遺産として登録されるのは、洞窟そのものと、その上にヘロデ大王が建てたとされる建造物である。投票は公開されなかったため、どの国が賛成、反対したかは不明。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-40530396

今回可決された内容は、エルサレムの神殿の丘と同様、マクペラの洞窟とユダヤ人の歴史的関連を無視する形となっており、理屈からすれば、ユダヤ人がヘブロンに住む正当な理由はないということになる。

*マクペラの洞窟

マクペラの洞窟は、アブラハムとサラ、イサクとリベカ、ヤコブとレアが葬られていると言われる洞窟で、聖書によると、アブラハムがその土地を購入したと記録されている。ユダヤ人にとっては父祖の墓として非常に重要な場所である。

この洞窟の上には、1世紀前後にヘロデ大王が建てた建造物が今も残されている。

ヘロデ大王の後、エルサレム、ヘブロンを含むユダヤ人の国、ユダ王国は、エルサレムと同様、ローマ帝国によって滅ぼされ、その後638年からは、十字軍とイギリス時代を除いて、1700年近く、イスラム教国が治めた。この間、マクペラの洞窟は、モスクとして使用された。

ユダヤ人がヘブロンへのアクセスを回復したのは、1967年になってからである。しかし、その後もヘブロンでは双方ともテロを行って殺しあったため、今は、「現状維持」という枠組みで、両者がこの建物を半分づつに分け合い、使用法を譲り合ってなんとか、双方が使えるように回している状況である。

しかし、今回、パレスチナ自治政府は、「マクペラの洞窟はイスラムのモスクである。」として、パレスチナの世界遺産であるという報告書をまとめた。エルサレムの神殿の丘の時と同様、ヘブロンとユダヤ人の歴史的は無視された形での報告書になっている。

実際のところ、今のヘブロンは、パレスチナ自治政府が管理するパレスチナ人20万人の町である。その中に、ヘブロンはユダヤと主張する右派入植者たちとその家族約300人が、ヘブロン全市のわずか3%の地域(マクペラの洞窟ユダヤ側を含む)に、大勢のイスラエル軍兵士に守られながら、生活しているという状態である。

入植地周辺は、土産物屋が多数あるが、治安維持のため、現在は1800店舗が閉鎖している。イスラエル軍に閉鎖を要請された店が多いが、自ら出て行った店主も少なくないという。

パレスチナ側としては、このややこしいユダヤ人たちに、早く出て行ってもらいたいのである。このように政治的意図で、マクペラの洞窟をパレスチナの世界遺産に指定するよう、ユネスコに申請し、ユネスコもこれを受け入れたわけである。

この申請に対する採択については、アメリカとイスラエルが、採択そのものを行わないよう訴えていた。

また、会議がポーランドで開催されていることから、ホロコースト生存者12人が、ポーランドの外相に対し、ポーランド政府に、ヘブロンに関する採択を行わないよう、ユネスコに働きかけてほしいと嘆願書を提出していた。

しかし、それも受け入れられなかったということになる。

https://www.haaretz.com/israel-news/1.800138

<イスラエル政府の反応>

この結果に対し、イスラエル政府からはネタニヤフ首相はじめ、閣僚たちがいっせいに非難する声明を出した。

ネタニヤフ首相は、ただちに、ユネスコへの拠出金から100万ドルを差し押さえ、その分を、ヘブロンとキリアット・アルバ(ヘブロンに隣接するユダヤ人入植地)に、ユダヤ人の遺産に関する博物館を建てるのに使うと発表した。

イスラエルがユネスコへの年間拠出金を差し押さえるのは、今年1月に600万ドル、3月に200万ドル、さらに100万ドルと、今回の100万ドルと4回目になる。結果的にイスラエルからユネスコへの拠出金は、170万ドルとなった。

これだけ少ないと、イスラエルがユネスコで投票する権利を失う可能性もあるとハアレツ紙は伝えている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4986097,00.html
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インドと国交25周年:モディ首相来訪 2017.7.8

 2017-07-08
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インドのモディ首相 ベン・グリオン空港 2017.7.4 出典:Haim Zach GPO

ユネスコでは、予想通り、イスラエルにとってアンフレンドリーな結果が出たが、これに先立ち、7月4日、インドのナレンドラ・モディ首相が、ドイツでのG20出席を前に、ビジネス代表団とともにイスラエルに到着、7日まで3日間滞在した。

インドの首相がイスラエルを訪問するのは、1992年に国交が正常化して以来、初めてのことである。

あまり知られていなかったが、インドとイスラエルの関係はここ10数年の間にかなり強化された。インドはイスラエルの技術に助けられ、イスラエルにとっては、インドは貿易上の重要な得意先となったのである。

今やインドは親イスラエルの国と言っても過言ではない。今回の3日間の間に、パレスチナへの訪問はなかったばかりか、「パレスチナ」という言葉さえ出なかった。

国際社会では、結局のところ、最終的にはお金が大きくものを言うということのようである。

<最高国賓の歓迎>

モディ首相は、ネタニヤフ首相が自ら出迎え、空港で閣僚が勢ぞろいする中、歓迎式典まで行われた。規模は小さいとはいえ、これは先のトランプ大統領や、バチカンのフランシス法王が来訪したときと同レベルに近い歓迎である。

また、イスラエル滞在中は、ネタニヤフ首相みずからがモディ首相をつきっきりで案内し、空港からはまず空港近くの農業研究所へ直行し、その後でヤド・バシェムに向かった。

リブリン大統領官邸での会見や、首相官邸での歓迎夕食会などのほか、テルアビブの国際会議場にインド系ユダヤ人数千人が集まり、モディ首相を歓迎した。

http://www.jpost.com/Israel-News/Modis-Visit/LIVE-Indian-PM-Modi-arrives-in-Israel-for-historic-visit-498728

モディ首相は、2008年にインドのムンバイで、ユダヤ教ハバッド派の施設がテロにみまわれ、4人が死亡したテロ事件で、ベビーシッターに救出され、両親を失いながらも一人生き残ったモシェ君(当時2歳、今11歳)とも面会した。

http://www.timesofisrael.com/mumbai-terror-attack-orphan-tells-modi-he-wants-to-return-to-india/

また、ネタニヤフ首相とともにハイファのイギリス軍用墓地で、イギリス軍とともに戦い戦死したインド人兵士らのメモリアルを訪問した。

最終日は、ハデラの海水淡水化工場を見学。海岸を走行しながら海水を淡水化する車両に試乗し、ネタニヤフ首相とビーチを歩くなどした後、7日、ベングリオン空港で、送迎式典の後、ドイツのG20へと旅立っていった。

<インド:イスラエルの得意先>

インドとイスラエルは1992年まで国交がなかった。アラブ諸国からの圧力で、インドがイスラエルの独立を認めなかったからである。

ところが、1992年、オスロ合意で、イスラエルとパレスチナが、正式に合意に達すると、いわば”大義”が成り立ったと考えたのか、イスラエルとの国交を開始した。今年はそれからちょうど25年である。

インドを愛し、イスラエルとのビジネスの促進に努めるイスラエル・ネパール商工会議所所長のラビブ・バイロン氏(イスラエル人)によると、国交を開始した1992年のインドとイスラエルとの貿易は2億ドルだったが、2017年末までには、50億ドルを超えると見込まれているという。

インドは農業技術やの開発をするイスラエルの企業に投資し、その技術で、農業は著しく発展した。水不足解消のためにもイスラエルの技術がインドを助けている。モディ首相は、農業用水技術とともに、汚染が進むガンジス川をきれいにするパイロット・プログラムをイスラエルに要請したという。

この他、インドは、イスラエルから、ダイヤモンド、カリウムなどの化学物質、肥料などを、大量に輸入している。観光業を伸ばすため、イスラエルへの直行便も検討されている。

特記すべきは、この50億ドルに防衛関係の取引は含まれていないということ。オフィシャルな数字ではないが、インドはイスラエルから年間25億ドル以上とも言われる武器を購入している。

インドは、人口13億の大国。しかも若い世代が今も増えつつある。高齢化がすすみ、経済に陰りが見え始めた中国にかわって、今や注目の国になりつつある。イスラエルにとっても重要な得意先である。

http://jppi.org.il/new/wp-content/uploads/2017/India%20Israel%20and%20the%20Jewish%20People%20JPPI%202017.pdf

<今回の取引>

モディ首相来訪で、さらに大きな取引があるとも予想されていたが、詳しい発表はなかった。しかし、ハアレツによると、両国は今後、さらに防衛関係と幅広い分野における、7項目で協力していくことで合意したもよう。

7項目の中身としては、水不足になりやすいインドにさらに水関係の技術協力をすること。イスラエルには現在、海水を淡水にするだけでなく、空気中の湿気を取り込んで、空気を乾燥させるとともに、その水分から飲み水を作り出す技術があるという。

この他、宇宙開発技術や、農業技術での共同R&D(調査開発)協力に4000万ドル(両国が半々で折半)が投資されることになった。ネタニヤフ首相は今後4年の間に対インド輸出を25%増やしたい考えである。

http://www.haaretz.com/israel-news/business/1.799788
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イスラエルとディアスポラの対立 2017.6.29

 2017-06-29
ユダヤ人といえば、一つの民族で一枚岩だと思われているが、そうではない。まずは、イスラエルに住むユダヤ人か、イスラエル以外の国々に住むユダヤ人かという2つの大きなグループに分かれる。後者が”ディアスポラ”と呼ばれている。

ディアスポラは、ユダヤ機関(Jewish Agency)の運営を通して、建国前からイスラエルを支え続けており、イスラエルにとっても非常に重要なパートナーである。

ところが、今週25日、イスラエル政府が出した2つの決定が、イスラエルのユダヤ人と、このディアスポラのユダヤ人社会の間に大きな亀裂を生み出した。

その決定とは、①嘆きの壁に男性セクション、女性セクションに加えて、混合セクションを増設する案は保留とする、②改宗法案を法案として認める、という2つである。

亀裂となったのは、この2つの決定により、ディアスポラのユダヤ人がイスラエルに拒否されたと感じたからである。

アメリカでは、すでにイスラエル大使館や領事館に、ディアスポラたちからの苦情が殺到しており、イスラエル外務省は、苦情は丁寧に扱うよう指示し、対処に追われているもようである。

*ディアスポラ

現在全ユダヤ人のうち、イスラエルに住むユダヤ人は、648万4000人(43%で最大)、ディアスポラは、792万6700人となっている。

ディアスポラで最大の国はダントツ、アメリカで570万人、続いてフランス46万人、カナダ38万8000人、ロシアは7位で17万9500人である。日本は1000人と記録されている。

http://www.jewishvirtuallibrary.org/jewish-population-of-the-world
http://www.timesofisrael.com/israel-at-69-has-8680000-citizens-43-of-world-jewry/

<嘆きの壁問題>

ユダヤ人は、イスラエル在住か、ディアスポラか、さらには、超正統派かそれ以外の宗派かでもグループが別れる。

イスラエルは世俗派が、43%を占め、国も世俗派が運営する国でが、正式な国教は、建国以来、超正統派と定められている。このため、ユダヤ教の聖地とされる嘆きの壁は、国からの任命を受けた超正統派のラビによって管理されている。

超正統派のしきたりによれば、男女が共に同じ場所で祈ることが許されないため、現在、嘆きの壁は男性セクションと女性セクションに分かれている。

ところがディアスポラ、特に最大のアメリカのユダヤ人社会はほとんどが、リベラルな改革派、または保守派である。特に改革派は、昔からの律法に忠実な超正統派とは違い、変わりゆく社会にあわせて改革していくべきだと考えている。

そのため、改革派には女性ラビも存在し、男女共に祈り、シナゴーグの様子もまるで教会のようでもある。このため、今の嘆きの壁に、同性セクションを設けて欲しいと要請ており、3年にわたる長い論議の末、2016年1月、ネタニヤフ首相はこれを約束していたのであった。

その約束を反故にしたということは、ディアスポラ、またユダヤ機関をもないがしろにしたということになる。

間が悪いことに、この決定が、ちょうどユダヤ機関(Jewish Agency)が、エルサレムに世界中の支部代表を集めて数百人規模の理事会を行っていた最中であったということである。ユダヤ機関は、主にディアスポラによって運営されている。

ユダヤ機関代表ナタン・シャランスキー氏は、「ネタニヤフ首相は約束を破った。」として強い抗議を訴え、国会で予定されていたネタニヤフ首相ら閣僚と、理事会の夕食会を、キャンセルするに至った。

さらに、イスラエル政府のディアスポラ担当相ナフタリ・ベネット氏ともマラソン交渉を行うなど、理事会のプログラムは混乱を極めた。しかし、今の所、目立った結論は出ておらず、論議は次回10月に予定されている理事会に持ちこされることになっている。

http://www.timesofisrael.com/jewish-agency-takes-out-ad-slamming-western-wall-decision/

アルーツ7によると、アメリカの最強ユダヤ人ロビー団体AIPAC代表が、近くイスラエルを訪問し、この件についてネタニヤフ首相と話し意をする流れになっている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4982064,00.html

こうした流れになることは目にみえていたため、リーバーマン防衛相と、ステイニッツ・エネルギー相だけはこの決定に反対していたという。

しかし、現在のネタニヤフ連立政権では、超正統派が運営するユダヤ教政党シャスの存在が欠かせないため、政権存続のためには、シャス党の要求がどうしても通ってしまうのである。

*同性セクションはすでにある!?

嘆きの壁では、改革派の男女共用のセクションを設けてほしいという要望のほか、女性ラビたち(Women of the wall)が、女性もトーラーの巻物をもって嘆きの壁に入りたいとする要望を出し、これを受け入れない超正統派と、何度ももめる事態になっていた。

ところで、嘆きの壁と呼ばれている場所は、神殿の丘をとりかこむ壁の西側部分488mのうちの一部、わずか57mほどの部分である。その外側にあたる部分も結局は同じ壁である。

そこで、政府は数年前から、嘆きの壁広場からさらに南側に、超正統派以外のユダヤ教宗派が、好きなように礼拝できる場所を設けた。

しかし、ここでは、いわゆる、かつての至聖所からは遠くなる上、考古学公園の上にバルコニー風に設置されていて、壁に近寄れる場所はさほど広くない。このため、女性ラビグループや、改革派の満足は得られなかった。

<改宗法案:だれがユダヤ人かという問題>

嘆きの壁に関する決定がなされた同じ日、もう一つの決定、「改宗法案」が法案として承認されることとなった。

改宗法案によれば、イスラエルで生まれたユダヤ人、または超正統派のユダヤ人以外の場合、たとえ、ユダヤ人であっても、国が定めた超正統派ラビによる認定(改宗)で、ユダヤ人と認められない限り、ユダヤ人とは認められないということになる。

ディアスポラのほとんどは、保守派、改革派であることから、もしこの法案が、実際に法律になれば、ディアスポラのほとんどはユダヤ人ではないと判断され、イスラエルへの移住もできないということになる。

無論、この法案が、実際に法律になるかどうかは疑わしいところだが、ディアスポラにとっては、これが法案として承認された時点ですでに、イスラエルに拒絶されたと感じたわけである。

*なぜイスラエルは超正統派ラビだけを認めるのか?

イスラエルは、建国以来、超正統派ユダヤ教を正式な国教として定めた。当時から、現在に至るまで、基本的に超正統派ラビによってユダヤ教徒と認められたユダヤ人だけが、ユダヤ人として認められ、イスラエルの国籍を取得できることになっている。

ユダヤ人は長い離散の歴史から世界各地で同化しながら生き延びてきた。そのため、イスラエルが建国したのちに機関する権利を持つ”ユダヤ人”をどう定義づけるのかが問題となった。

ひとつは母親がユダヤ人であるという生物学的な点。そして、超正統派からみてユダヤ教を守ってきた家系であると認められた人をユダヤ人として認めるということになった。

ベン・グリオン自身は、超正統派ではなかったが、簡単にいえば、「超正統派」は最も”ユダヤ人らしい”外見としきたりがあるので、他の宗教や民族とはっきり区別できるということであったかもしれない。

しかし、これまでは、後者に関する条件については、超正統派ラビであれば、私立のラビによる認定でも認められてきたため、世俗派や、超正統派以外の宗派のユダヤ人たちは、私立の超正統派のラビに頼んで、短期間の訓練だけで書類を整えてもらい、イスラエルへ移住するということも可能であった。

これが、新しい改宗法案になると、国が認めたラビでなければ、ユダヤ人としての証明としては認められないということになる。

この問題は、ディアスポラの多くは、ユダヤ人であるということを否定されることになり、イスラエルへも移住する権利を持たない、ということにもなるため、急に大さわぎになったというわけである。

<今後の懸念>

昨日28日、ユダヤ機関理事会の最終日を取材したが、代表たちは、「これからそれぞれの国に戻って、地域のユダヤ人社会に、この出来事を説明しなければならない。」と、頭を抱えている様子であった。

最近、欧米ディアスポラの新世代ユダヤ人たちのイスラエル離れが問題視されている。

Brand Israel Group のファーン・オッペンハイム氏が、ヘリツェリア・カンファレンス*で発表したところによると、アメリカのユダヤ人大学生世代で、イスラエルに好意的な思いを持つ人の割合が、2010年から2016年までの間に27%も下がったという・

このままいけば、イスラエルへ移住するどころか、BDS(反イスラエル運動)にユダヤ人自身が傾いてしまうと警鐘を鳴らしたところだった。

http://www.timesofisrael.com/devastating-survey-shows-huge-loss-of-israel-support-among-jewish-college-students/

今回の、イスラエル政府からの拒絶ともとれる動きで、ディアスポラ社会の中で、さらにイスラエル離れがすすむのではないかと懸念されている。
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南北国境でのいざこざ 2017.6.29

 2017-06-29
1)シリア:ゴラン高原

北部情勢がにわかに緊張し始めた。今週に入ってからだけで、ゴラン高原のイスラエル領内に、シリアから流れ弾が5回以上着弾している。だいたいの詳細は以下の通り。

24日土曜、シリアからゴラン高原のイスラエル側に向けて、迫撃砲10発が撃ち込まれた。被害はなかったが、イスラエル軍は、シリア軍拠点を空爆。シリア兵2人が死亡したと伝えられた。

翌25日日曜には、シリア軍と反政府勢力の戦闘からの流れ弾とみられるものがイスラエル領内に着弾。被害はなかったが、イスラエル軍はきっちり反撃。シリア軍車両が空爆をうけ、5人が負傷したとアラブ側メディアが伝えた。

26日月曜には、UNDOF(国連引き離し監視軍)の建物にはげしいマシンガンの跡が発見されている。

http://www.timesofisrael.com/idf-reopens-restive-border-area-on-golan-heights-to-civilians/

さらに今日28日夜、さきほど、再びシリアからの着弾があり、イスラエルは、発射したとみられる地点を空爆したとのこと。

こうした状況が続いているため、イスラエル軍は、シリアとの国境周辺を、軍事地域として、一時、農家の作業以外は閉鎖した。しかし、再び解放されると、クネイトラを見下ろすベンタル山の展望台には、戦争を見ようとするイスラエル人や外国からの観光客が押し寄せているという。

http://www.haaretz.com/israel-news/1.797997

<ヒズボラとの戦争突入の危険性も>

シリアとのいざこざが続く中、ひょんなことからヒズボラとの全面戦争になってしまう可能性も懸念されている。タイミングよく?ヒズボラのナスララ党首は、「次回イスラエルと戦争になれば、多数の戦士たちが集まってくるだろう。」と豪語したところであった。

南レバノンを本拠地にしているヒズボラは、イスラエルとのレバノン国境付近の一般家屋の下に、ミサイルを10万基以上、準備していることは周知の事実である。これらはイスラエル全土を標的に入れており、ナスララ党首は、ネゲブ地方ディモナの原子力施設を破壊するとも言っている。

しかし、ミサイルのほとんどは、飛距離28マイル程度の近距離であるとみられるため、万が一の場合は、最北端の町で、レバノンに最も近いメトゥラの町は全員避難することになる。

そのメトゥラから100メートルほどのレバノン領に、パレスチナの旗、ヒズボラの旗、イランのハメネイ最高指導者と黄金のドームの写真があしらわれた看板も立っているのが見えている。こうしたイランの旗等は、ここだけではない。最近、あちこちにこうした側が増えてきているという。

まるで「我々はもうすぐ来る」と言っているようだとY ネットは紹介している。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Irans-flag-on-Israels-border-We-are-coming-498122

2)ガザからもミサイル

26日月曜夜、ガザからイスラエル南部にむけてミサイルが発射された。空き地に落ちて被害はなかったが、イスラエル軍は、ハマスの拠点2カ所を空爆した。

しかし、のちにISIS関連組織が犯行声明をだした。シリアと同様、イスラエルは、いかなる攻撃もシリアはアサド政権、ガザはハマスをそれぞれの支配者とみなして、それらへの反撃を行っている。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/IS-affiliated-group-claim-rocket-attack-on-Israel-498006

なお、イスラム教では、23日(土)にラマダンを終え、27日まで4日間、断食明けの例祭、エイド・アル・フィトラを祝ったところである。

<ガザの電気不足:エジプトが緊急支援>

イスラエルがガザ地区への電力を削減し始めて3日目、エジプトが発電所を稼働するための燃料100万リットルをガザ地区に搬入しはじめた。

これにより、4月末以降、停止していたガザ地区内唯一の発電所の再稼働が始まり、住民は1日8時間程度の電力を受け取れるようになった。この100万リットルで、2−3日はしのげるという。その2−3日はすでにすぎているが、その後のニュースはない。

エジプトは、ガザにハマスに対し、燃料供給の条件を出していた。まず、①ガザ地区にいるエジプトの指名手配犯17人をひきわたすこと。②シナイ半島( ISIS他過激派組織)への武器密輸の停止、③地下トンネルでガザ入りする戦闘員に関する情報を提供する、となっている。

この交渉については、以前からすすめられていたもので、イスラエルも十分承知の動きと思われる。イランが入り込むよりエジプトが支援する方がイスラエルにとっては好都合である。

サウジアラビアとスンニ派諸国(エジプト含む)が、対イランという同じ目的で関係を深め、イスラエルにも接近していることから、背後でなんらかの合意があった可能性も考えられる。

http://www.timesofisrael.com/amid-mounting-power-crisis-emergency-egyptian-fuel-enters-gaza/

http://www.haaretz.com/israel-news/1.795567

*ガザ地区では電力の制限が始まって久しい。このため、様々な工夫をした電池が発明され、活用されているとBBCの取材。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-40369801
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