現在のペルシャ:イランが弾道ミサイル実験再び 2017.3.10

 2017-03-10
プリムには、イスラエルの滅亡を企むハマンが話題になるが、現在のハマンは、イランであるという見方が一般的である。イランは、現在のペルシャであるだけでなく、常に、特に理由もなく、イスラエルを滅亡させると公言しているからである。

そのイランだが、トランプ大統領が、オバマ前政権がイランと交わした核開発合意を破棄する可能性を公言するなどして、アメリカとの関係で、緊張が高まっている。

<弾道ミサイル実験>

アメリカ高官すじの情報、またイラン軍司令官アミール・ハジジャダによると、イランは、2月中旬、射程300キロの弾道ミサイルホルムズ2の戦艦からの発射実験を行い成功した。

さらに昨日木曜、射程250キロの弾道ミサイルファタハ110の発射実験を行い、成功したと発表した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/226475

これらのミサイルで、イスラエルを直接攻撃することは不可能だが、ヒズボラが、シリアやレバノンから使えば、イスラエルにも十分届く距離である。Times of Israelによると、イランの高官は、この技術をハマスにも伝授した可能性を示唆しているという。

http://www.timesofisrael.com/iranian-general-palestinians-have-longer-range-missiles/

また、昨日、イランの国営放送は、ロシア製最新式地対空迎撃ミサイルS300の発射実験に成功したこと、また、イラン製のさらに高度な迎撃ミサイルも完成すると伝えた。

S300については、イスラエルが、これまで必死にロシアに交渉するなどして、イランに配備されないよう、努力してきた武器だが、ついにイランが入手したことを意味する。

S300は、上空を高速で飛行する戦闘機を撃墜する能力を持つため、イランにこれが配備されたとなると、今後万が一、イスラエルがイランを攻撃しようとする際に、かなりの障害になると予想される。

http://www.timesofisrael.com/defiant-iran-successfully-tests-another-ballistic-missile/

<北朝鮮とイラン、イスラエルの関係>

今週、北朝鮮が4発の弾道ミサイル実験を行い、3発が日本の排他的経済水域に着弾。1発は、能登半島からわずか200キロの地点に着弾したことで、北朝鮮と日米韓の緊張が高まっている。

この件はイスラエルとまったく無関係ではない。北朝鮮はイランと核兵器開発など軍備において関係があることは知られているところである。イランがミサイルの実験を行う中で、北朝鮮も行っている。イランはアメリカの出方に注目しているとみられる。

INSS(イスラエル国家治安研究所)でイラン問題のエキスパート、エミリー・ランダウ博士は、今回、北朝鮮の問題が大きくなる中で、一応は国際社会との交渉を行ったイランのイメージがあがる可能性を指摘する。

イランのイメージがあがる一方で、アメリカが、北朝鮮に対する対策に失敗した場合、アメリカの権威が失墜することとなり、イランのイスラエルに対する脅威が大きくなることになる。

いずれにしても、北朝鮮問題は、トランプ大統領の大きなテストになりそうである。

http://www.jpost.com/Israel-News/Analysis-How-North-Korea-endangers-Israel-483771
タグ :

ネタニヤフ首相:トランプ大統領との初会談 2017.3.3

 2017-03-03
* 諸事情により、配信が遅れましたこと、心よりお詫び申し上げます。最後の配信から今日に至るまで、2月中のイスラエルの様子をまとめました。幸い、大きなテロで負傷者が出たりすることもなく、イスラエルは、アーモンドの花が咲き乱れる平穏な春を迎えています。

ネタニヤフ首相は2月15日、ワシントンにてトランプ大統領との初会談を行い、その後、両首脳は、共同記者会見を行った。会談後、帰国したネタニヤフ首相は、トランプ大統領とは1980年代からの知り合いであり、両者の会談が非常に良好な始まりになったと述べている。

記者会見全文:http://www.haaretz.com/israel-news/1.771992

1)治安問題について

トランプ大統領は、ユダヤ人が通ってきた数々の苦難を覚え、イスラエルは「回復の象徴だ。」と述べた。また、イスラエルが直面する治安問題の深刻さを認識しており、アメリカは、友好国として、また命を尊重するという同じ価値観を持つ国同士として、イスラエルの治安維持に協力すると語った。

また、トランプ大統領は、国連において、イスラエルの扱いがアンバランスに不利に動いているという認識も語った。

ネタニヤフ首相が最も重要視しているイラン問題については、イランが、1月末に、弾道ミサイルの発射実験を行った事は、世界諸国との合意に違反するという認識していること、またイランの核兵器保有を阻止する必要があることの認識もネタニヤフ首相と同じであることを確認した。

これについて、ネタニヤフ首相は、イランが実験に使った弾道ミサイルには、ヘブライ語で「イスラエルは撃滅すべき」と書かれていたと述べ、イスラエルにとっては、イランが最大の脅威であることを、改めて強調した。

2)入植地問題について

イスラエルが、西岸地区のユダヤ人入植地の拡大を急激に進めていることについて、トランプ大統領は、「平和への助けになるとは思えない。」と述べ、今しばらく、拡大を抑えるようにとネタニヤフ首相に要請した。

一方で、トランプ大統領は、イスラエル、パレスチナ双方が合意する案なら、二国家共存案(国を2つに分ける案)でも、一国家案(どちらか一国が支配する案)でも、どちらでもよいと語った。

これは、もし(実際にはありえないことではあるが。。。)パレスチナ側が同意するなら、イスラエルが西岸地区もすべてを支配する形であっても、平和さえ保てるなら、アメリカはこれに反しないということをである。これは二国家共存案に固執していたオバマ前大統領とは違う姿勢である。

また、国際社会の圧力による解決をすすめたオバマ前大統領と違い、トランプ大統領は、解決のためには、両者が直接話し合う必要があるとし、今後、両者が、お互い納得出来る”Deal(取引)”を探すための交渉を再開させる意欲を語った。

これについて、ネタニヤフ首相は、平和への障害は、入植地ではなく、パレスチナ人たちが、どうしてもイスラエルがユダヤ人の国であると認めない、受け入れないことであると訴えた。

また、イスラエルが治安を維持するためには、ヨルダン渓谷とヨルダン川西岸地区における支配権を維持する必要性を訴えた。

ネタニヤフ首相は、入植地問題においては、「すべてにおいて両国が合意しているわけではない。」と語り、西岸地区の一部を合併するなど、他にも案があることを示唆し、今後話し合いを続けていくと語った。

*入植地の合法化法案について

イスラエルではトランプ大統領が、イスラエルに支持的であることを受けて、右派ユダヤの家党ベネット党首が、西岸地区のユダヤ人地区(C地区)の合法化、つまり合併を可能にする法案を提出し、国会を3回通過。あとは最高裁の司法長官の支持を待つばかりとなっている。

これまでのところ、司法長官は、この法案に合意していないとの意向を表明しており、この案が法律になることは阻止されている。その後、この件に関するニュースがないところを見ると、そのまま保留になっていると思われる。

ネタニヤフ首相は、「アメリカがイスラエルに好意的であるとはいえ、何をしてもよいということではない。」と述べている。

こうした中、西岸地区では、最高裁からの指令で、パレスチナ個人の土地に建てられている違法な入植地とされるアモナからのユダヤ人居住者の強制撤退が、2月初頭に行われた。これに続いて、先週、予定通り、同じく違法とされていた入植地オフラの一部から42家族の強制撤退が行われた。

これらは、合法化法案を国会で審議することと引き換えに、法案発案者のベネット党首が合意した、言い換えれば見捨てた地域である。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/224443

3)アメリカ大使館エルサレム移動問題

大統領選で大きく公約に掲げていたアメリカ大使館のエルサレムへの移動について。トランプ大統領は、すぐにでも実行したいが、慎重になる必要があると述べた。

この件を進める目的とみられたデービッド・フリードマン氏の在イスラエル米大使就任は、同氏が、明白な入植地拡大支持派であることから、延期になったままになっている。

*トランプ大統領の中東政策:イスラエル国家治安研究所ウディ・デケル氏の分析

INSS(イスラエル国家治安件研究所)のウディ・デケル氏は、今回のネタニヤフ首相とオバマ大統領の会談を以下のように分析している。

トランプ大統領の中東政策において明らかになりつつある優先順位は、①ISIS撃滅、②イランへの厳しい態度、③中東諸国の中で、アメリカの益となる国々との関係強化、④イスラエルとの関係改善、である。つまり、イスラエルに関することの優先順位は4番目ということ。

デケル氏によると、1990年代までは、中東における米露対立の最前線は、中東で唯一の民主国家イスラエルだった。このため、アメリカの中東政策において、イスラエル支援は常に最優先事項であった。

しかし、今は、シリア問題はじめ、中東問題のいかなる対策にもイスラエルが関与しないことが求められる時代になっている。イスラエルが介入することで、問題がよりややこしくなるからである。

デケル氏は、イスラエルがすすめる西岸地区の入植地合法化政策や、イスラエルとアメリカのイランに対する攻撃的な姿勢などから、今後、パレスチナ人との対立激化、および、ヒズボラ(イランの傀儡)からの攻撃など北部情勢の悪化も懸念されると指摘する。

デケル氏は、アメリカの国益を最優先するトランプ大統領が、今後、どこまでイスラエルを支持し続けるか、保証はないと指摘する。

こうした状況を踏まえ、ネタニヤフ首相は、トランプ政権への入植地政策容認要請への右派勢力からの圧力をうまくかわしながら、イラン問題など治安維持の緊迫性を強調したのが今回のネタニヤフ首相の作戦であったようだと分析する。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4925479,00.html

<石のひとりごと:ジャイアン効果なるか!?>

トランプ大統領は、2月28日、初の議会での演説を行なった。これまでの過激発言は控え、大統領らしい演説だったと評価され、予想外にも国民に好意的に受け入れられたとのニュースが入っている。

演説の骨子、トランプ政権の目標は、軍事力強化、経済力強化(1兆ドル:約113兆円規模のインフラ投資を含む雇用の拡大)で、力によるアメリカの影響力の回復を目指すというものだった。

もしこれが本当に実現し、”強い”アメリカの一睨みで、世界が振り回されるようになれば、イスラエルは、ジャイアンを味方にしているということになり、たとえイランといえども容易にイスラエルには手出しできないことになる。

ただ、今回の大統領演説には、やはりまだ具体性が欠けていると分析されており、やはり今後、これらの公約をどこまで実行できるかで、アメリカが、本当に世界最強の国になるのか、その逆になるのかが決まってくる。

今後、ますますネタニヤフ首相に状況を正確に判断し、先を予測する知恵が必要になってくるだろう。

しかし、安倍首相と同様、ネタニヤフ首相も、首相個人付きの弁護士が、イスラエル軍の潜水艦をドイツの会社から購入するにあたり便宜を図った疑いで、刑事訴訟の可能性もとりざたされるほどになっている。

民主国家のリーダーはなかなか大変である。

http://www.timesofisrael.com/prosecutors-open-criminal-investigation-over-submarines-affair/
タグ :

相変わらず緊張:北部・南部情勢 2017.3.3

 2017-03-03
トランプ大統領が就任して以来、確かに北部情勢、ガザ情勢でも衝突が続く。また、イスラエル以外の国々での反ユダヤ主義暴力が増加しているという。詳細は以下の通り。

1)シリア内戦にイランの進出懸念

シリア情勢は、トランプ大統領が、”他国政権の打倒はアメリカのすることではない”として、自由シリア軍(反政府勢力)への支援を打ち切ったため、現在は、ロシアに支えられたアサド政府軍とヒズボラ勢力が優勢となっている。シリア内戦におけるアメリカの影響力はほとんどない。

先週火曜、国連安全保障理事会は、シリア内戦で、アサド政権が化学兵器を使っている疑いがあることについて非難する決議が行われたが、ロシアと中国が拒否権を発動したため、却下されるに至っている。

これはイスラエルにとっては、穏やかなことではない。やがてアサド政権とヒズボラの背後にいるイランが、ゴラン高原にまで進出してくる可能性があるからである。

2月21日、シリア領内のヒズボラの武器関連施設とみられる地点で、爆撃が確認された。イスラエルはノーコメントだが、おそらくはイスラエルによるものとみられている。こうした攻撃は、危険が迫る前に行われる防衛の一環で、これまでにもなんども行われてきたものである。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Initial-report-Israel-Air-Forces-strikes-Damascus-overnight-482263

また。現在、ゴラン高原のシリア側は、反政府勢力のアル・ヌスラ(アル・シャム)と、南部に小さくISISが支配する形となっている。これらとシリア政府軍が戦う中、流れ弾がイスラエル内にも着弾し、そのたびにイスラエルは、シリア軍の施設を報復攻撃するという繰り返しとなっている。

これまでのところ、すべては流れ弾であるとみられ、大きな対立には発展していない。また、イスラエルは、ゴラン高原を介して、スンニ派反政府勢力から負傷者を受け入れるなどして、反政府勢力となんらかの合意が成り立っているのか、平穏が続いている。

しかし、シリア人患者を受け入れてきた北部の病院に政府からの支援金が一部しか届いていないことから、病院側は、今年3月5日から、かなりの重症でない限り受け入れを止めると発表している。これが今後の北部情勢にどう関わってくるか注目されるところである。

*イラク・シリアのISIS

トランプ大統領が、ロシアと協調路線をとってでもISIS妥当に乗り出しているが、ISISはイラク、シリア双方で、勢力を失いつつある。

昨年10月、ISISの拠点で、イラクの大都市モスルに対するイラク軍、クルド人勢力などの総攻撃は始まったが、これまでに、東モスルをISISから奪回。西モスルにせまっているところである。

BBCによると、西モスルからは約17万人が難民となって避難したが、まだ65万人の市民がいる推測されている。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-37702442

シリアでは、世界遺産のパルミラがISISに支配されていたものの、昨年10月にシリア軍がいったん奪回していたのだが、昨年末、アレッポでの戦いが激化しているすきに、ISISが再びパルミラを支配するに至っていた。

それを再びシリア軍が、3月1日、奪回したと伝えられている。シリア領内のISISの領域はかなり縮小している。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-27838034

2)南レバノンからイスラエルを脅迫するヒズボラと背後のイラン

南レバノンはヒズボラが支配している。その背後にいるのはイランである。イスラエルとレバノン国境に行くと、ヒズボラの旗とともにイランの旗も見ることができる。

その国境にあるキブツ・マナラ付近で、レバノン市民数十人が、イスラエルに対するデモを行い、一時、国際的に定められたイスラエル領内にまで入ろうとした。(イスラエルの防護壁は超えず)

そのため、イスラエル軍は、手榴弾による脅しや、催涙弾を使ってデモ隊をレバノン領内へ追い返した。デモは、ヒズボラが、イスラエル軍が南レバノンにスパイ機器を仕掛けたと主張していることに関するものとみられている。

ヒズボラのナスララ党首が、今週、イラン国営放送のテレビインタビューにて、ヒズボラはイスラエルがヒズボラとの戦闘に入った場合は、”非常に繊細”な施設への攻撃も辞さないと豪語している。

イスラエル軍によると、現在、ヒズボラが南レバノンに設置したミサイルは15万発。イスラエル全土が標的に入る。その中には、ディモナの原子力施設も含まれる。

また南レバノンに近い北部都市ハイファには、非常に危険で施設も老朽化が進む化学工場がある。ハイファ市によると、特にアンモニアが貯蔵されているタンクが崩壊した場合、16000人が死亡すると推測されるという。

さらに、このタンクがあるために毎月アンモニアを運搬してくる船舶が攻撃されるなどした場合、最大60万人が死亡する恐れもあるという。会社側からは反対もあったが、ハイファ地区裁判所は、4月1日を期日に、アンモニアタンクを空にするよう指示した。

http://www.timesofisrael.com/haifa-court-upholds-ruling-ordering-ammonia-tank-emptied/

なお、ヒズボラの脅威だが、レバノンという国と無関係ではない。ホズボラは正式にレバノンの政党の一つであり、レバノンのミハエル・アウン現大統領は明白にヒズボラ支持である。

今後ヒスボラとイスラエルが戦争になれば、イスラエルとレバノンとの戦争という形になると懸念されている。

http://www.timesofisrael.com/dozens-of-lebanese-cross-israeli-border-during-protest/

3)ガザからのロケット弾とイスラエル軍の攻撃

ガザからのロケット弾がイスラエル領内に着弾する事件が相次いでいるが、今週、水曜夜、アシュケロンのビーチに着弾した。被害はなし。また木曜には、ガザの国境を警備するイスラエル軍兵士らに対する発泡もあった。

イスラエル空軍は、こうした攻撃が発生するたびにガザ地区のハマス関連施設を空爆している。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/225994

Yネットによると、水曜、ハマス関連組織は、こうしたイスラエルの反撃に対し、「今後、新しい攻撃のメカニズムを準備している。それは、一気に暴力のエスカレート、紛争へとつながるものだ。」との警告を発表した。

一方、イスラエル軍でガザへの物資搬入などの出入りを担当するCOGATのヨアブ・モルデハイ少佐は、木曜、「ハマスが市内半島のISISに協力していることを、イスラエル軍はよく把握している」と、ハマスへのメッセージとしてフェイスブックに書き込んでいる。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Israeli-official-to-Hamas-We-know-of-your-cooperation-with-ISIS-In-Sinai-483071

イスラエルは北部も南部も火薬庫である。ヒズボラとの戦闘の方が危険性は高いが、先に火をふくのは、南部ガザのハマスとの戦いになるとみられている。
タグ :

合法化法案:国会通過 2017.2.8

 2017-02-08
西岸地区の入植地のうち、土地の所有権がパレスチナ個人になっているため、違法とされる未認可の入植地の合法化を可能にする法案、「合法化法案(Regulation Bill)について。

イスラエルでは、法案が成立するためには、まずは、国家での審議を3回通過し、最高裁が認めることが必要となる。合法化法案は、昨年中に1回目を通過していたが、6日夜、2回め、3回目が行われ、賛成60、反対52と、賛成が上回って、国会を通過した。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4918700,00.html

この後、最高裁の司法長官が、この法案に関する不服申し立てを聴取して、これらをクリアすれば、正式にイスラエルの法律となる。もしクリアしない場合は、法律にはならない。

これまでのところ、マンデルブリット司法長官は、「この法案は、どうみても国際法上違反であり、イスラエルを国際的に難しい立場に追いこむ可能性がある。」と主張。この法案を、最後の司法の段階でストップさせるとの意向を明らかにしている。

しかしその場合、政府は、司法長官を解任することも可能とのことで、今後、司法長官がどういう決断を出すのかが注目されている。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/224590

<法律になった場合、ならなかった場合どうなるのか>

もし法律となった場合、イスラエル政府は、未認可入植地の土地を所有するパレスチナ個人に、相当額以上の補償金をもって土地を買い取り、正式に国有地として、入植地に長期リースする。*

しかし、もし法律にならなかった場合、法的にパレスチナ個人の土地とされる地所にある入植地家屋は、違法として撤去を命じられ、家屋は破壊されることになる。先週、強制撤去が完了したアモナでは、建物の破壊が始まっている。

もしこの法案が通らなかった場合、撤去措置を命じられる入植地は、アモナだけで終わらない。

アモナに近いオフラという入植地では、9軒の家が、高等裁判所によって、2月8日を期限に撤去が命じられていた。しかし、反発が大きいため、高等裁判所は、期限を約1ヶ月延期し、3月5日までとした。3ヶ月の延期要請に対しぎりぎりの譲歩である。

すると、これを不服とするオフラ住民ら約5000人が、「これ以上入植地を撤去させるのではなく、合法化すべきである。」と訴えるデモを行った。さらに国会が合法化法案を論じた火曜にも、エルサレムで、9軒の合法化を訴えるデモを行った。

この他、入植地タプアハでも、高等裁判所から、6月を期限に17の家屋の撤去を命じられている。Yネットによると、もし合法化法案が成立しなかった場合、西岸地区で、同様の処置を命じられる物件は2000~2500軒にのぼるという。

国際社会からの非難を避けて合法化法案を破棄した場合、今度は入植者の怒りがイスラエル政府に向くということである。

http://www.timesofisrael.com/5000-rally-in-ofra-to-protest-planned-evacuation-of-9-homes/
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4860424,00.html

*土地は全部国有ということについて

イスラエルでは、土地はすべて国有で、個人所有地はない。一部、ギリシャ正教の土地などがあるが、政府が長期で借り上げて、市民にリースしている。ちなみにクネセト(国会)を含む地域の土地は、政府が、ギリシャ正教から長期で借り上げている土地。

このため、新しい土地に何かを建てる際、非常に複雑で長い手続きが必要になる。イスラエルの住宅事情がなかなか改善しない一因になっている。

<国会大論争>

この法案については、審議をすすめようとする与党連立政権に対し、激しく反発する野党勢の間で、昨年からずっと激しい論議となっていた。

この法案は、最終的には西岸地区のユダヤ人地域(C地区)を、すべてイスラエルに合併するということで、事実上、二国家共存案を不可能にしてしまう可能性がある。これは、パレスチナのみならず、国際社会の反発も避けられないことを意味するからである。

実際、この法案の国会での議論が始まると、パレスチナ自治政府は、イスラエルへの暴力の再燃を示唆するほど反発。また国連では、安保理が、昨年末に反イスラエル入植地決議を可決したばかりである。野党勢は、今、合法化法案を論じるのは、時が悪すぎると訴えている。

あまりにも論争が激しいことから、与党リクードの中からも、国会での最終審議は、せめてネタニヤフ首相とトランプ大統領の会談(2月15日予定)が、終わるまで延期すべきだと声も多数あった。

また、ネタニヤフ首相は、今日、6日、イギリスのメイ首相を公式訪問したのだが、せめてそれが終わるまで審議は延期するよう、発案者の右派ユダヤの家党ナフタリ・ベネット党首に要請していた。

しかし、ベネット氏はそれを拒否。6日火曜、国会は、ネタニヤフ首相を待たずに、法案の審議に突入したのであった。ネタニヤフ首相は、メイ首相との会談後、急ぎ直帰したが、審議、採択は、ネタヌヤフ首相不在のままで始められた。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4918700,00.html

<国際社会いっせいブーイング>

この法案が国会を通過したことが伝えられると、予想通り、国際社会はいっせいにブーイングを出した。名をあげたのは、イギリス、フランス、トルコ。

EUは、入植地の合法化は、”赤線を超える”(受け入れられない)とする声明を発表。2月28日に、イスラエルとの関係改善をめざすサミットを予定していたが、これを保留にすると伝えてきた。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4918960,00.html

国連のグテーレス事務総長は、「国際法に違反する。イスラエルは、法的な責任を問われる。」と厳しく非難した。

パレスチナ自治政府は、国際社会に対し、イスラエルを処罰するよう、呼びかけた。

また、アッバス議長は、先月、70カ国以上を招いて、この問題に関する国際会議を開催し、安保理の反入植地決議案を確認したフランスのオーランド大統領を訪問した。オーランド大統領は、イスラエルはこの法案を撤回すべきであると語った。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4919004,00.html

<アメリカの反応>

今回、イスラエルが一気に入植地政策をすすめているのは、トランプ政権がイスラエル支持ということが拍車になっている。しかし、ホワイトハウスは。「入植地の存在は平和への妨害にならないが、一方的な建築は妨害になりうる。」と若干、釘をさすコメントを出していた。

合法化法案の国会での議論については、トランプ大統領とネタニヤフ首相の会談が終わるまでは、動かないようにとネタニヤフ首相に伝えていたという。しかし、結局、審議は会談の前に行われ、国会を通過してしまった。

これについて、ホワイトハウスは、「最高裁の判断が出るまでは、コメントは控えるべきと考える。」と言っている。

<石のひとりごと:今後どうなるのか>

まずは今後、この法案が、実際に成立するかどうか。司法長官の決断が注目される。

しかし、現時点では、この法案が国会を通過して、イスラエルが世界中から非難されていることから、たった今、パレスチナがイスラエルを攻撃しても、イスラエルに同情する国はほとんどないという形が出来上がっている。正義はパレスチナ側にあり、という状況だ。

実際、ここ数日、ガザから銃撃が数回あり、南部地域に向けてミサイルも飛んできたことから(被害はなし)、イスラエル軍がハマスを空爆するという事態になっている。

しかし、ここで、この先、トランプ政権がどう出てくるかによって、状況は変わるだろう。イスラエルの盟友はアメリカだけだが、そのアメリカは、なんといってもまだまだ世界最強の国だからである。このジャイアンが味方してくれれば、イスラエルは、守られるかもしれない。

ところで、イスラエルが孤立しているというのは、政治上、ということであり、ビジネスや技術開発という面では、イスラエルは決して孤立していない。以前にもまして、イスラエルの技術力を求めてくる国は増えている。

不思議なパラドックスだが、ビジネスはビジネス。友ではないので、国益にならなければ、それらの国々はイスラエルをさっさと見捨てるだろう。

そういう意味では、やはり、イスラエルにとって、アメリカは唯一の”決して裏切らない”・・・はずの同盟国なのだが、そのアメリカがトランプ政権で、予期不能だから、なんとも危うい感じである。
タグ :

入植地政策に釘!?:トランプ政権 2017.2.3

 2017-02-03
昨日、イスラエルの調子に乗ったような急激な入植地政策にアメリカは黙認状態とお伝えしたばかりだが、今朝のニュースによると、ホワイトハウスが、これに釘をさすコメントを発表した。

それによると、「入植地の存在が、平和への障害にはならないとは思うが、それを一方的に拡大することは、障害になりうる。」という言い方である。政権発足後、初めてアメリカが二国家二民族案を支持する姿勢を示唆した形だ。

しかし、ホワイトハウスは、この件(入植地)に関するアメリカの正式な立場はまだ表明していないとし、今月15日にネタニヤフ首相がトランプ大統領を訪問したときに、話し合う予定であると語った。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/224340 

<イスラエルの反応>

イスラエルの国連代表ダニー・ダノン氏は、「まだアメリカがイスラエルに対する態度を変えたかどうかを論じるのは早すぎる。」とし、いずれにしても最終的にはイスラエルのことは、イスラエル自身が決めるまでだとの考えを語っている。

* 入植地に関する説明 : Vox Media 
パート1 https://www.youtube.com/watch?v=E0uLbeQlwjw
パート2 https://www.youtube.com/watch?v=B6L9mS9ti6o 
タグ :
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫ 次ページへ ≫