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イランとアメリカの攻防:アメリカに軍配か 2020.1.9

 2020-01-09
イランのスレイマニ総司令官がアメリカ軍に暗殺されてから6日目の昨日8日、イランが、反撃だとして、イラクの米軍駐屯地2箇所に向かって、弾道ミサイルを18発撃ち込んだ。イラン革命防衛隊は、アメリカ兵80人以上が死亡。200人が負傷したと伝えた。

しかし、アメリカはこれを否定。攻撃から12時間後もアメリカが反撃する様子はない。8日夜(日本時間9日深夜)、トランプ大統領は、ペンス副大統領、ポンペイオ国務長官を伴って記者会見を開き、改めて、イランの攻撃で、アメリカ軍に被害はなかったと発表した。

イランの攻撃で、アメリカ兵に犠牲が出なかったということになれば、これはイランが劣勢になったということを意味する。トランプ大統領は、イランの覇気は落ちたようだとの判断を述べ、これに追い打ちをかけるように、米軍を攻撃したことへの反撃だとして、イランへの新たな経済制裁を発動すると発表した。

また、ロシア、中国を含む世界諸国に対し、今こそイランとの新しい核合意を再検討する時であると訴えた。

https://www.ynetnews.com/article/ByhW11uXeL

まだ断言はできないが、トランプ大統領が、絶妙なタイミングで、アメリカ、イスラエル、また世界にとっての危険人物を排斥し、イランを弱体化させた可能性もある。

<イランとアメリカの対立:これまでの流れ>

新年早々の2日深夜すぎ(金)、アメリカのトランプ大統領が、まさかのイラン革命防衛隊スレイマニ総司令官をイラクのバグダッドで暗殺するいう超・大胆な予想外の攻撃に出た。当然ながら、イランは憤慨し、アメリカへの宣言を繰り返した。

トランプ大統領は、5日、「イランが反撃するなら、イランの重要な文化的サイトを含む52箇所を攻撃する。」と、イランの反撃に大きく釘をさした。数字の52とは、1979年にテヘランで、アメリカ大使館が1年以上にわたって占拠された際、捕虜になったアメリカ人の数である。

https://www.bbc.com/news/world-us-canada-50987753

また、アメリカ国防省は、クエートに駐留している第82空挺部隊に新たに750人を追加して、3500人に増強したと発表した。中東全体に駐留するアメリカ軍は、1万2000人になるとの見通しである。

https://www.nytimes.com/2020/01/03/opinion/iran-trump-suleimani.html

これに対し、イランは、5日、2015年の核合意で決められた核の濃縮に関する制限を撤廃すると宣言した。イランは今後、無制限に、核兵器の濃度にまで核の濃縮をすすめるということである。これは事実上、合意を破棄することを意味する。

https://www.jpost.com/Middle-East/Germany-We-cant-accept-Iran-suspending-commitments-on-nuclear-deal-613452

イランは、スレイマニ司令官の遺体を、バグダッドからテヘランへ遺体を移送して6日、首都テヘランで、葬儀を行った。この時に100万ともみられる大群衆が、テヘランの通りを埋め尽くし、「アメリカに死を!イスラエルに死を!」と叫んだ。

https://www.ynetnews.com/article/Sk8siiWxI

これほどの群衆が集まるのは、1979年にイラン革命を導いたホメイニ師の葬儀以来だという。あまりの大群衆で、将棋倒しが発生し、イラン人少なくとも56人が死亡。200人以上が負傷した。この後、スレイマニ司令官の遺体は故郷のケルマンで葬られた。

イランが、アメリカへの報復を誓っていることから、イラクのマフディ首相(親イラン派)は、米軍を含むすべての外国籍軍はすべて撤退するようにとの声明を出した。イラクには、アメリカに協力するイギリス軍なども駐留しているからである。

マフディ首相は、7日、アメリカが、すぐにも撤退するともとれる返信を送ってきたと発表した。

https://www.timesofisrael.com/iraqi-pm-says-he-received-signed-us-withdrawal-letter-monday/

しかし、トランプ大統領はただちにこれを否定。「今は撤退する時ではない。」と言い返した。こうして8日、イランがイラク国内でアメリカ軍が駐留するイラク軍基地2箇所に弾道ミサイルを打ち込んできたという流れであった。結果、イランの主張に反して、アメリカ軍兵士に被害は出ていないということである。

<トランプ大統領のねらい:今のイランの反撃能力には限界あり?>

イラン革命防衛隊、その最もエリートであるコッズ部隊のトップを暗殺された。これはイランにとっては大きすぎる屈辱である。しかし、それでも、イランが今アメリカと正面から戦って勝てる可能性はほぼない。

アメリカ主導の厳しい経済制裁で、2019年、イランのインフレ率は40%を超え、失業率は15%となった。イラン経済は、昨年1年で1億ドル縮小したという。アメリカと戦う状況にも、核兵器を一気に製造する体力もなさそうである。

また、イラン革命防衛隊は、シリアをはじめ、レバノンのヒズボラやハマスも含む外国のテロ組織を支援し、イラン国内は財政破綻したわけである。にもかかわらず、イラン革命防衛隊は、軍事だけにとどまらず、政権直属のエリートとして、社会の様々な分野に関与し、あらゆるところで汚職の根源になっていた。

こうしたことから先月、激しい反イラン政権デモが全国100の都市で発生した。政権側は、武力でこれを厳しく取り押さえ、デモに参加した市民1500人が死亡したとも伝えられている。この一連のことは、わずかひと月前のことである。

テヘランでのスレイマニ総司令官の葬儀で通りに出たのは、100万人を超える大群衆ではあったが、総人口約8000万人から考えるとわずかと言えなくもない。イランは内政においても危機的状況にある。

現実問題として、今のイランは、アメリカと戦う余裕はないといえる。実際、イランは、「アメリカとの戦争は望まない。」との声明を出している。

しかし、BBCの調査によると、それでもスレイマニ司令官は、イランでは、超大物であったことから、たとえ悪者であったとしても、国としての大きな屈辱として捉えられて、反政府感情に一定のブレーキになる可能性もある。

<なぜアメリカはスレイマニ参謀総長を暗殺したのか:長年の指名手配の結果>

トランプ大統領は、今この時にスレイマニ司令官を排斥したのは、彼がとてつもない大きなテロを計画していた兆しがあったからだと説明した。

スレイマニ司令官は、1998年からイラン革命防衛隊クッズ隊隊長に就任。以来、影の将軍として、シリア、イランにおける様々な軍事作戦を指揮した。

元CIA(アメリカ中央情報局)長官のデービッド・ペトラウス氏によると、スレイマン総司令官は、中東各地のテロ組織に武器や支援金を与えて、過去約20年、イランが中東で覇者になるためのあらゆる作戦、執行の立役者であったという。これらのテロ組織との対峙で死亡したアメリカ兵は600人に上る。

ペトラウス氏は、「スレイマニ司令官の暗殺により、アメリカの反撃が強力で確実であると示した。これは今後の反撃への確かな予防策になる。これはオサマ・ビン・ラディンや、ISISのアブ・バクル・アル・バグダディの暗殺以上に重要であったと語る。

https://www.jpost.com/Middle-East/Petraeus-US-Soleimani-strike-more-important-than-Bin-Laden-killing-613191

トランプ大統領は、スレイマニ司令官は、もっと早くに排斥するべきであったと述べている。

今後の懸念としては、スレイマニ司令官が支援してきた中東各地のテロ組織が、アメリカ関連施設や、もしかしたらアメリカ国内でのテロに出てくる可能性がある。

しかし、総元締めのスレイマニ司令官自身がもういないことから、今後の支援がどうなるかも不明であること、また、アメリカは必ず反撃してくること、イラン自身がアメリカとの戦争を望んでいないと言っていることなどから、いずれの組織もあまり大きな行動には出ないのではないかと考えられる。

トランプ大統領が言うように、スレイマニ司令官の死は、確かに中東から世界の覇者を狙うイランの鼻をくじき、危険なテロ組織の行動にブレーキをかけた可能性がある。

<イスラエルとの関連:ヒズボラとハマスは?>

レバノン南部のヒズボラは、イランの傀儡である。イランがイラクのアメリカ軍へのミサイル攻撃を行った際、ナスララ党首は、「もしアメリカが反撃してきたら、イスラエルを攻撃する。」と脅迫した。しかし、アメリカが反撃していないので、ヒズボラも動きようがない。

ハマスは、イランから武器の支援を受けているので、その指導者ハニエは、テヘランでのスレイマニ総司令官の葬儀に参列。スレイマニ司令官から受けたこれまでからの支援に感謝を述べ、これからもイスラエルとの戦いは続けていくと述べた。

また、スンニ派イスラムの湾岸諸国は、スレイマニ司令官の指図で暗殺の危機にあったという。

イスラエルも、アメリカと同様、スレイマニ司令官が、イスラエルへのあらゆる攻撃の背後にいることを知っていたので、2006年の第二次レバノン戦争中と、昨年、暗殺を試みたが、失敗に終わっていた。

ネタニヤフ首相は、アメリカによる暗殺を歓迎し、「イスラエルはアメリカと100%同じとことに立つ。」と宣言した。スレイマニ司令官暗殺は、右派ネタニヤフ首相には、総選挙に向けて追い風になったともみられている。

イスラエルは、イランやヒズボラが、北から攻撃してくることはないとみたのか、一旦閉鎖されていたヘルモン山の観光地は、5日から、一般市民に解放されていた。

https://www.timesofisrael.com/by-killing-soleimani-the-us-takes-a-dramatic-step-with-unknown-consequences/

<ほくそ笑む?ロシア>

今回、ロシアの実質的な介入はみられなかった。ロシアは、シリアで、アメリカが撤退した後地へ軍をすすませて、支配力を強化している。そうした中、同様に、シリアで勢力を伸ばそうとするイランが弱くなることは、ロシアにとっても好都合である。

https://www.reuters.com/article/us-turkey-russia-pipeline/turkey-russia-launch-turkstream-pipeline-carrying-gas-to-europe-idUSKBN1Z71WP

同様にトルコも今回、ほぼ沈黙だった。この混乱のさなかの8日、ロシアは、トルコを経由してヨーロッパに天然ガスを送るパイプラインの開通式行っていた。

また、トルコは最近、リビアへ進出したが、9日、エルドアン大統領とプーチン大統領が、リビアの内戦を来週にも集結させる方向で動き始めている。世界がイランで忙しくしている背景で、ロシアとトルコは、友好を深め、リビアへの共同進出をすすめていたということである。

<イランで増加中?福音派クリスチャン>

今懸念されることは、イランにいるクリスチャンたちの存在である。イランでは、苦しい生活状況もあり、クリスチャンになる人が増えているという。

シリアなど、中東の危険地域で医療活動を展開して宣教している福音派クリスチャン団体FAIが公開した、イスラム教国の中にいる福音派クリスチャンに関するドキュメンタリーシリーズ「狼の中の羊」によると、イランではここ数年、激しい迫害の中で地下教会(福音派)が拡大しているという。そのスピードは世界最大だと同団体は報告している。

https://www.christianpost.com/news/sheep-among-wolves-documentary-looks-at-growth-of-christianity-in-iran-led-by-women.html

アメリカとの戦いで苦しいところに立たされているイラン政権、またそれに従う者たちが、イスラエルやユダヤ教、アメリカにも関係する”敵国のもの”聖書を重んじるクリスチャンたちへの迫害をさらに強める可能性がある。彼らが守られて、逆に国の祝福になっていくように。

イランはかつてのペルシャである。そのクロス王は、紀元前6世紀にユダヤ人のイスラエルへの帰還を実現した。苦境に立つイランで、さらにリバイバルが広がり、他国の死を叫んで呪う国から、祝福する国へと変わっていくようにと願う。

<石のひとりごと>

アメリカの経済制裁の影響は予想以上に甚大だった。2015年にオバマ大統領が、イランとの核合意を締結して経済制裁をやめた際、ネタニヤフ首相は、「今こそイランをたたくときなのに、なぜ経済制裁をやめるのか。」と一人で激しく反発していた。

今回の流れで分かることは、確かにアメリカの動き一つで、イランをここまで抑え込むことができるはずとネタニヤフ首相は見ていたのだろう。

トランプ大統領は、先を考えず、その場その場で動いていると言われる。しかし、不思議に、イスラエルにとって有利な形になることを行っている。本人はその気はないと思われるので、やはりこれは、主によって動かされているのではないかと思わざるをえない。

しかし、ここからどうなるかは、イランの核兵器開発を含め、まだまだ不透明である。

今回のイランとアメリカの戦争は、なんとか避けられそうでもある。イランでは、リバイバルが続く。戦争になれば、多くの若者が徴兵され、死んでいくことになる。今もしかしたら主が、このリバイバルを守るために、聖書がいうように、救われる人の数が満ちるまで、時をのばされたかもしれないと思う。
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テヘラン:ウクライナ旅客機墜落:乗客176人全員死亡 2020.1.9

 2020-01-09
イランとアメリカの対立が緊張している中、1月8日、キエフ行きのウクライナの旅客機(ボーイング737)が、テヘランの空港を飛びだってまもなく、墜落、大破した。爆発が大きく、飛行機は大破しているので、乗客167人乗員9人の計176人全員が死亡した。

死亡した人々で最も多いのはイラン人で82人。次にカナダ人63人。ウクライナ人11人、スェーデン人10人、アフガニスタン人4人、ドイツ人3人、イギリス人3人となっている。

イランが、イラクのアメリカ軍拠点2箇所へのミサイル攻撃を実施した直後というタイミングではあるが、墜落の原因は、”技術的なこと”とされ、イランとアメリカの対立に関係があるかどうかの情報はない。

https://www.jpost.com/Middle-East/Ukranian-plane-crashes-in-Iranian-after-technical-issue-613494

墜落の原因を知る鍵になるのが、ブラックボックスだが、イランはこれをアメリカのボーイングには渡さないと言っている。

https://www.timesofisrael.com/iran-wont-hand-over-black-boxes-from-airliner-that-crashed-killing-176/

今の所、事故であるとされているが、イランとアメリカの対立が緊張していることを受けて、現在、ほとんどの旅客機は、イランとイラク上空の飛行を避けているとのこと。

63人もの市民を失ったカナダだが、イランとの国交に制限があり、遺体を引き取りにいくこともできないようである。遺族の悲痛を思わされる。

<石のひとりごと>

こんな時なので、記事が小さくなりがちだが、大変な大事故である。飛行機事故で死亡したのは、イラン人が一番多かった。イランは、本当に苦難続きのようである。
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アメリカ軍:イラン革命軍スレイマニ総司令官を暗殺 2020.1.4

 2020-01-04
トランプ大統領が、予想外に思い切った作戦に出た。アメリカのドローンが、2日夜、イラクのバグダッド国際空港で、カッサム・スレイマニ・イラン革命軍総司令官(62)らの乗った車両2台を攻撃。これにより、スレイマニ総司令官(文字通りイラン革命軍のトップ)を含む10人が死亡した。イラン革命軍もこれを認めた。

アメリカのペンタゴン国防総省は、「トランプ大統領の指示により、海外のアメリカ人を守るため、カッサム・スレイマニ・イラン革命軍総指令官を暗殺した。イラン革命軍は、アメリカがテロ組織と指定する組織である。」と正式に発表した。

報道によると、スレイマニ総司令官とともに、イラクの親イラン派、アブ・マフディ・アル・ムハンディス人民徴用軍総長(59)と副総長も死亡したとのこと。イラク人民徴用軍スポークスマンは、「敵であるアメリカとイスラエルがアブ・マフディ・アル・ムハンディスとカッサム・スレイマニを殺害した。」との声明を出した。

また、レバノンのヒズボラ関係メディアが伝えたところによると、ヒズボラの高官ムハンマド・アル・ジャバリもこの攻撃で死亡した。

https://www.timesofisrael.com/iran-quds-force-head-qassem-soleimani-killed-in-baghdad-strike-iraqi-tv/

<イランのハメネイ・イスラム最高指導者が深刻な反撃を予告>

イランのハメネイ・イスラム最高指導者は、3日朝、スレイマニ総司令官の死を受けて、イラン国営放送を通じて、3日間喪に服すよう伝え、「中東の自由な国々は、ともに犯罪者アメリカへの深刻な報復を行うだろう。」と宣言した。

イランのアナリスト、モハンマド・マランディは、「アメリカはイランとイラクに戦線布告した。アラブ首長国連邦やイラクにいる西洋人はすぐにも脱出したほうがよい。」と言った。実際、アメリカ政府は、イラクにいるアメリカ人に直ちに帰国するよう、指示を出している。

https://www.timesofisrael.com/iran-supreme-leader-vows-severe-revenge-for-soleimani-killing/

レバノンの親イラン組織でイスラエルに敵対するヒズボラのナスララ党首も、スレイマニ総司令官殺害への復讐をすることは、抵抗運動をする者の義務だと語った。

https://www.timesofisrael.com/hamas-mourns-soleimani-cites-major-role-in-supporting-palestinian-resistance/

*反イラン政権のデモ隊は?

イランでは、12月まで、激しい反政府運動が各地で拡大し、イラン政府はこれに軍事圧力で対応させられていた。今回も一応鎮圧したが、政府軍の攻撃で市民1000人が死亡したとも伝えられている。アメリカはこの市民による運動を支援していたとの情報もある。

今後、イラン政府が、アメリカやイスラエルに反撃するのか、これらイランの反政府勢力が先にイラン政権を打倒するかというところだろうか。。

<イスラエルの反応:世界のイスラエル大使館厳戒態勢>

スレイマニ総司令官は、これまでのヒズボラやハマスなどを使い、イスラエルへのロケット弾やミサイル攻撃を行っていたとみられることから、イスラエルは、2006年に一度暗殺を試みたが、失敗していた。今回のアメリカ軍によるスレイマニの暗殺は、様々なリスクを考えても、イスラエルにとっては歓迎する出来事であったと思われる。

今後、総司令官を失ったイラン革命軍の指揮系統は、乱れると予想されるが、それでも、このままイランがだまっているとは考えられず、イランが、レバノンのヒズボラなどを動員して、イスラエルを巻き添えにしてくる可能性も否定できない。

ネタニヤフ首相は、訪問先のギリシャから予定を繰り上げて帰国。3日、イスラエルは、シリアとレバノンと両国と国境を接するヘルモン山のスキーリゾートを閉鎖した。このリゾートでは、2019年1月にシリア側からロケット攻撃があり、破片が、スキーのリフトの一部を破損するという事件を経験している。

https://www.timesofisrael.com/israel-closes-hermon-ski-resort-as-iran-vows-revenge-for-us-killing-soleimani/

ネタニヤフ首相、ベネット国防相と、イスラエル軍のコハビ参謀総長は、テルアビブの防衛庁で、イスラエルの防衛態勢について協議した。まずは、世界各地のイスラエル大使館、領事館がイラン関係組織に襲われる可能性に備え、厳戒態勢がとられている。

https://www.jpost.com/Breaking-News/Four-rockets-land-on-Baghdad-airport-report-612947

<解説:最近のイラク国内の混乱とアメリカとイランの武力衝突>

アメリカとイランは、厳しい経済制裁で対立を深めてきたが、先週から武装闘争の様相になりはじめていた。ここに至るまでの経過は以下の通り。

イラクには、約5200人のアメリカ軍部隊が駐留し、ISと戦うイラク兵の訓練にあたっていた。10月には、シリアにいたアメリカ軍の一部もイラクに撤退して、これに加わっていた。この時点で、中東湾岸地域にいるアメリカ軍部隊は14000人と伝えられている。

12月27日、アメリカ軍が駐留していたイラク軍基地が攻撃を受け、アメリカ人作業員1人が死亡、米兵ら数人が負傷した。アメリカによると、この攻撃を実施したのは、イラクの親イラン武装組織でアメリカがテロ組織と指定しているカタイブ・ヒズボラ(首領は今回暗殺されたアブ・マフディ・アルムハンディス)であった。

これを受けてアメリカは12月29日、イラク国内にあるカタイブ・ヒズボラの武器庫を含む司令塔など5カ所を攻撃した。これにより、25人が死亡した。

すると31日、これに憤慨したカタイブ・ヒズボラの群衆が、バグダッドのアメリカ大使館を取り囲んで、「アメリカに死を!」と怒りを叫びながら暴力的に侵入しようとした。大使館は、催涙弾を使うなどして抵抗したが、1月1日には、暴徒が大使館の外周にまで入り込み、大使館職員も一時退避したとのニュースも流れた。(実際にはしていなかった)。

これを受けてトランプ大統領は、アメリカ大使館襲撃の背後にいるのはイランだと非難。「イランは大きなツケを払うことになる。これは警告ではない。脅しだ。」とツイートした。その上で、イラクへあらたにアメリカ部隊750人を派遣すると発表した。

するとイラク政府は、アメリカ大使館を包囲していたデモ隊に撤退を要請。デモ隊は、イラク政府と、国内からアメリカ軍をすべて撤退させるということで合意に至ったとして1日夜、大使館の包囲網を解いて撤退したのであった。

https://www.nytimes.com/2020/01/01/world/middleeast/us-embassy-baghdad-iraq.html

しかし、これについて、アメリカは怒りをもって受け取っていたようである。アメリカは、2003年に、サダム・フセイン政権を打倒して以降、過去16年にわたり、より西側に有効的な新政権をたちあげようと、1兆ドルを使ってイラク政府を支援してきた。そのために戦死したアメリカ兵は5000人に上っている。

しかし、イラク政府は、アメリカ大使館が襲撃されても2日間、介入しようとはしなかった。

この後、アメリカのエスパー国防長官は、アメリカはイラクからイランを追放する準備を進めていると発表。先制攻撃もありうると示唆したが、その数時間後、スレイマニ革命軍総司令官らの暗殺となった。

攻撃の後、エスパー国務長官は、「イランは、これまでにも多数のアメリカ人を攻撃してきた。(27日のアメリカ人労働者殺害)は、我々にとっての赤線越えだった。イランは、これ以後も、多数のアメリカ人に対する攻撃を計画していた可能性がある。」として、今回の攻撃が自己防衛であったと強調した。

これに先立ち、ポンペイオ米国務長官は、イスラエルやサウジアラビアなどの友好国には、攻撃を予告していたようである。

https://www.timesofisrael.com/iran-quds-force-head-qassem-soleimani-killed-in-baghdad-strike-iraqi-tv/

しかし、これほどの緊張の中で、スレイマニ総司令官と、カタイブ・ヒズボラのアルムハンディスらが、おめおめと一緒に、車で移動していたことから、イランは、アメリカが、まさかここまでやるとは思っていなかったのではないかとの分析もある。

*混乱のイラク:政府は親イランで、市民は反イラン?

ややこしいのは、今回の事件に先立ち、イラクが反イランと親イランに分かれている点である。イラクでは10月1日から、汚職にまみれ、イランのいいなりになっているイラク政府と、イランに反対する反政府・反イランデモが発生。

だんだんエスカレートして11月末には、ナジャフにあるイラン領事館が襲撃され、燃やされる事件に発展した。イラク政府はこれに武力で対処してきたため、この2ヶ月ほどの間に少なくとも350人が殺害されたと伝えられている。

https://www.aljazeera.com/news/2019/11/iraqi-protesters-torch-iranian-consulate-najaf-191127200729292.html

アルジャジーラによると、イラクの反政府デモは、バグダッドでアメリカ大使館を親イラン派が襲撃している間も続けられていた。こちらのデモ隊は、米大使館への暴行との関係を一切否定し、イラク政府はこの暴徒ををなぜとりしまらないかと訴えていたという。

https://www.aljazeera.com/news/2020/01/iraq-anti-government-protesters-denounce-pro-iran-crowds-200102144314331.html

<ロシア、中国、フランスがアメリカを批判>

ロシアは、スレイマニ総司令官は、イランを心から保護してきた将軍だったとして、イラン市民へ追悼を述べ、中東の緊張が一気に高まったと批判した。中国は、すべての国、特にアメリカに自粛を促し、イラクの主権は守られるべきだと述べた。

フランスのマクロン大統領は、「世界はさらに危険になった。」と述べ、すぐにも関係諸国と連絡を取ると述べた。

https://www.timesofisrael.com/liveblog-january-3-2020/

<石のひとりごと:トランプ大統領という人>

トランプ大統領は、中東には介入しないといいながら、実際には、どんどん介入している。しかも、不思議なほどに、イスラエルと同じところに立つという形での介入である。そして結果的に、聖書に書かれている状況をつくりあげてしまっている。

本人は意識しているのかいないのか・・・本当に不思議な大統領である。

聖書にはイスラエルを担ぐものは傷を受けるとあるが、今後、イランがどういう報復に出てくるのか。イスラエルとアメリカが守られるように祈りたい。
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イラン全土で反政府デモ:ロウハニ大統領はアメリカ・イスラエルを非難 2019.11.22

 2019-11-22
アメリカがシリアから撤退し、中東の勢力図が大きく変わり始めた。それに加えて、ソーシャルメディアの発展も伴って、中東では、再びアラブの春ではと言われるほど、反政府デモが、レバノン、イラクでも続いている。

イラクでは、10月1日から激しい反政府デモが続いている。すでに300人以上が死亡したと伝えられている。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50440110

こうした中、イランでも、15日から石油価格が2倍になったことがきっかけとなり、全国各地で、反政府デモが始まり、警察との暴力的な衝突となっている。4日めの20日、アムネスティ人権監視団体が、これまでに、21都市で、計106人、最大200人が死亡したと発表した。

しかし、イラン政府は、死者が106人というのは偽装だとして反発。イランでは4日前からインターネットが遮断されているため、詳細を把握するのが困難になっている。21日、BBCによると、国内のコミュニケーションは可能だが、国外へのコミュニケーションは今も困難な状況が続いている。

https://www.bbc.com/news/technology-50490898

https://www.nytimes.com/2019/11/21/world/middleeast/iran-protests-internet.html

ロウハニ大統領は20日、石油価格を2倍にしたのは、アメリカの経済制裁で困窮している人々を救済するためだったと説明。デモはすでに沈静化させたと発表した。デモは、アメリカとシオニスト(イスラエル)がしかけたものだと非難した。

https://www.timesofisrael.com/iran-blames-deadly-unrest-on-outsiders-including-us-and-israel/

アメリカがデモをしかけたかどうかは不明だが、アメリカのポンペイオ国務長官は17日、イランのデモを支持すると表明。アメリカとイスラエルは、以前から、イラン人自身が、今のイスラム主義政党を打倒して、民主的な国にすることを望んでいると表明していたのであった。

https://www.timesofisrael.com/pompeo-says-us-is-with-iranian-protesters/

<石のひとりごと>

イランはこれからどうなっていくのか。イランの一般の人々は今何を望んでいるのだろうか。今のイスラム政権が打倒されることはあるのか。あったとしたらその後はどうなるだろうか。

イスラエルで政府が決まらないという状態の中、中東は混乱はどんどん緊張が進んでいる。しかも、どうなっていくのか、予測は本当にまったく不可能である。できるだけ、早く、正確にお知らせしたいと願っているが、追いつかないぐらいに目まぐるしく動いている。

今、中東におけるアメリカの存在感が小さくなるとともに、勢力的なバランスが崩れはじめている。この事態に終止符をうつような反キリストなるものが登場する舞台になりはじめているのではないかとの予感もさせられている。
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イランが新たな核合意離脱:ファルドウ核施設稼働再開へ 2019.11.8

 2019-11-08
5日、イランのロウハニ大統領は、ファルドゥにある核濃縮施設に、ウランガスの注入を始めたことを明らかにした。これによりウランの濃縮が5%まで可能になる。これは、イランの2015年の核合意からの離脱措置4回目となる。

この措置は、アメリカが、あらたにイラン人9人の財産を凍結する制裁を行った後に行われたことから、イランがアメリカの経済制裁には屈しないと宣言をした形である。

また、ファルドウは、もともと極秘で建設されたもので、遠心分離機1044機の小さな施設である。しかし、極秘であったことと、急激なウランの濃縮が可能との疑いもあり、2015年の核合意においては、主要項目の一つであった。ファルドウの稼働再開は、核合意からの離脱をより鮮明にするものである。

ファルドウについては、2018年4月、ネタニヤフ首相が、イスラエルの諜報期間が押収したイラン核兵器開発に関する資料としてファイル10万冊を公表した際、イランが秘密裏にウランの濃縮を進めて核兵器を製造する計画アマッドの中心機関であると発表していた。

https://www.youtube.com/watch?v=qmSao-j7Xr4

このため、今後のファルドウの動きによっては、イスラエルが先制攻撃する可能性も否定できないとの懸念も出始めている。

また、ロウハニ大統領の発表の後、査察に入ろうとしたIAEA(国際原子力機関)スタッフの1人が検問を通過しようとしたところ、アラームがなったとして、そのスタッフの身柄が一時イランに拘束された。その後、このスタッフの入場が拒否されていたことがあきらかとなった。今後、IAEAの査察に影響が出る可能性も指摘されている。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5620483,00.html

なかなか強気のイランだが、ロウハニ大統領は、今回の措置も、まだ核の平和的利用の範疇であることを強調し、また、イランへの経済制裁が緩和されるなら、いつでも停止可能としており、国際社会に交渉の可能性を示唆した。

ただし、ハメネイ師によると、交渉は、あくまでもヨーロッパやその他の国々との交渉を指しているのであり、現アメリカのトランプ政権との交渉は拒否したままである。

イランとの交渉については、フランスのマクロン大統領が積極的に行っており、イランの核合意離脱第4弾を受けて、どのような動きに出るか注目されている。

<イランのねらいは?>

INSS(イスラエル国家治安研究所)のイラン核兵器問題の専門家シマ・シネイ氏は、イランの核兵器問題が明らかになってからすでに30年になるのに、まだ実際には核兵器製造にまで至っていないことについて、次のように説明する。

イランは、実際には核保有国になろうとしているのではなく、その気になればいつでも保有国になれるという状態を保ちながらも、核兵器の保有自体は避けるという、いわば、日本と同じような形で世界へのけん制を維持しようとしているのではないかということである。

また、シネイ氏は、イランの様子を見ると、アメリカの厳しい経済制裁で大きな打撃をうけてはいるものの、なんとか乗り切る方策をみつけているようだと見る。それを可能にしているのは、主に中国だと指摘する。

アメリカは、これまでに、イランの原油禁輸措置を発動し、イランとの交易をする国はアメリカとの交易も遮断するという脅迫に近い制裁を強行し、日本を含め各国もそれに従わざるを得ない状況に置かれている。しかし、中国はこの下にあるわけではない。

中国はイランから原油を密輸し、それを国内に運び込まず国外に維持することで、現在必要とする以上の原油をイランから購入している。また、国内に搬入せず、国外の原油保管施設に置くことで、表向きには、イランとの交易は行っていないとも言えるわけである。

来年には、アメリカ大統領選挙があり、11月に、トランプ大統領以外の大統領になっている可能性もある。イランは、核合意離脱を段階をおって実施しながら、経済制裁をなんとかやりすごし、トランプ政権の今後を見定めようとしているとも考えられる。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5620483,00.html

<イスラエルの反応>

ネタニヤフ首相は、ファルドウの再稼働はイスラエルの危険になりうるとの認識を語った。同時に、これはイスラエルだけではなく、世界の危機でもあると強調した。

https://www.jpost.com/Israel-News/Netanyahu-Irans-decision-to-enrich-uranium-at-Fordow-endangers-the-world-606969
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イランのタンカーがサウジアラビア付近で炎上中 2019.10.11

 2019-10-11
トルコがシリア北東部へ侵攻したとのニュースが激震を発する中、イランのタンカーがサウジアラビア沿岸で、爆破・炎上するというニュースが飛び込んできた。

報道によると、紅海上(ホルムズ海峡ではない)、サウジアラビアの港付近を航行していたイランの石油タンカーが、なにものかのミサイルで攻撃され、炎上。紅海に石油がリークしているという。タンカーの船員は無事とのこと。

先月、サウジアラビアの石油施設が大きく打撃を受けて以来の緊張の中での出来事である。まだ発生したばかりのニュースであるため、後続する情報に注目されたし。

https://www.timesofisrael.com/iranian-oil-tanker-explodes-off-coast-of-saudi-arabia/
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