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ぎりぎり中東戦争?:イスラエル軍が中東広域でイラン拠点を攻撃か 2019.2.26

 2019-08-26
この週末、イスラエル軍が、イラク、シリア、レバノンと中東の広範囲で、イランの拠点をつづけさまに攻撃したと伝えられた。

INSS(イスラエル国家治安研究所)のアモス・ヤディン所長(元イスラエル軍諜報部長官)は、今、イスラエルとイランの紛争が、アメリカとロシアが見守る中、シリア、イラク、レバノン、広域にはサウジアラビアとイエメンも含め、中東全域で、繰り広げられていると語った。

イスラエルの閣僚、エルキン環境相が、「イランは今、中東全域にその帝国を築いて、イスラエルへの攻撃に備えようとしている。」とのコメントを出したが、イスラエル政府が、これに対処しているとみられる。

ただし、攻撃は、大きな中東戦争に発展しないよう、注意深く、相手に警告も与えながら、ぎりぎりのところで行なわれているもようである。

一方、これと並行して、中東から目をそらせようとするかのように、イスラエル国内の西岸地区、ガザ地区では、テロ事件や、軍との衝突が、相次いでいる。

ヤディン氏は、軍は、国内のテロ事件に振り回されることなく、中東広域での諜報活動も的確に行い、迅速に対処していると、軍の動きを評価するとコメントした。ここしばらくの中東での攻撃は以下のとおり。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/267868

1)イラクでイラン拠点を攻撃:イラン司令官2人死亡

23日(金)、イラクのイラン拠点、ハシェッド・アル・シャビの武器庫が攻撃、爆破された。ハシェッドは、イランと関係のあるシーア派主流のグループである。この拠点は、7月にも攻撃を受けており、イラン人司令官2人が死亡している。

これを受けて、イランの拠点とする強力なイラク人シーア派イスラム指導者グランド・アヤトラ・カゼム・ハエリは、攻撃はイスラエル軍が、アメリカ軍の協力を得て実施したとして非難。イラクのアメリカ軍は直ちに撤退させると主張した。

こうなるとイラクに駐留するアメリカ軍に危害が及ぶことが懸念される。このためか、アメリカ軍は、当初、この攻撃がイスラエルによるものとの見解を発表したが、後に、8月の熱波(43度)によるものとの推測に変更した。イラクの武器庫では、こうした熱波による自然発火は時々あるのだという。

イラクには、イスラム国への攻撃が行われていた2017年以来、対テロ軍事訓練などを目的として、アメリカ軍5000人が駐留している。いうまでもなく、この地域におけるアメリカ軍は歓迎されるものではない。

トランプ大統領は、就任当初、イラクにいる米軍の撤退を宣言したが、実際ここからアメリカ軍が撤退すると、イスラエルとクルド人たちが無防備になるため、結局、撤退はできないままとなっている。

シーア派とスンニ派の両方が存在するイラク政府も、対テロ対策のためにも、アメリカ軍の駐留を擁立する立場をとっている。

しかし、イスラエルは、中東にあるイラン拠点の確率を決して容認しないと言っているので、攻撃が続けば、アメリカ人たちに被害が及ぶだろう。そうなると、いよいよアメリカ軍が、ユーフラテス川付近から撤退を余儀なくされるかもしれない。

https://www.jpost.com/Middle-East/Israeli-airstrike-leads-to-renewed-calls-for-US-troops-to-leave-Iraq-599536

そうなれば、いよいよ、ロシア、イラン、トルコ、中国などの大国がユーフラテス川を越えて、イスラエルに流れ込んでくるという聖書の預言が実現する可能性が出てくるかもしれない・・・。

2)ダマスカス南東部イランの”神風・ドローン”拠点攻撃:イラン兵1人、ヒズボラ2人死亡

24日(土)イスラエル軍は、シリア首都ダマスカス南東部のヒズボラとイラン革命軍の拠点を攻撃。イスラエル(ゴラン高原)に向けたテロ攻撃用ドローンが準備されていたためと公式に発表した。

イスラエル軍によると、この拠点から発せられる予定であったドローンは、数キロの爆発物を運搬可能で、イエメンでイランが使っているタイプのもので、イスラエル北部ゴラン高原に侵入したのち、複数のターゲットで自爆するとみられた。

イスラエル軍スポークスマンのコーネリウス少佐はこれを「神風・ドローン」と表現している。イスラエル軍は、このテロが市民をねらう計画であったとして、大きな危機を未然に阻止できたとみている。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/267875

*神風ドローン関連のビデオ(イスラエル軍): http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/267881

コーネリウス少佐によると、イスラエル軍は、この数ヶ月、イランのアル・クッズ革命軍とヒズボラが、この拠点から、イスラエルへのドローン攻撃を準備しているのを観測。その最終段階で攻撃を実施したと説明している。

しかし、イラン革命軍のモシェン・ラザエイ長官は、このイスラエルの発表を否定。イスラエルにもアメリカにも、イランの様々な地域の拠点を攻撃する能力はないと反論した。

https://www.timesofisrael.com/iran-denies-its-posts-were-hit-in-syria-strike-2-hezbollah-fighters-said-killed/

しかし、シリアの国営放送は、土曜にダマスカス近郊で、実際に攻撃があったことを伝えていた。また、シリアの人権保護監視組織によると、この攻撃で、イラン兵1人、ヒズボラ2人が死亡したという。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5574994,00.html

ネタニヤフ首相は、「イランがどこにいるかはお見通しだ。イスラエルの治安を脅かすイランやその関係組織に容赦することはない。イランに(イスラエルを攻撃する)安全な場所はない。」と語った。

イスラエルが、シリア領内のイラン拠点を攻撃するのは今に始まったことではないが、イスラエルが公式に発表するのははじめてではないが稀である。

これについて、ヤアコブ・アミドロール・イスラエル軍少将(予備)は、イスラエルは、イランが今、中東に拠点を展開しようとしていることをイスラエルは知っているということをイランをはじめ、世界に知らせるために、公式発表したと説明する。

2006年の第二次レバノン戦争の後、イスラエルは、国連監視団軍を信頼していたため、南レバノンに、ヒズボラ(イラン)が、イスラエルの攻撃拠点を築き上げることをむざむざ許してしまった。

国連監視軍は、ヒズボラがミサイルを蓄積するのを放置し、国際社会もこれを無視する形をとったからである。

イスラエルは、これと同様のことが、シリアでもおこり、シリアに、イラン傀儡のイスラエル攻撃の拠点が出来上がってしまうことを容認しないと言っているのである。

3)ヒズボラ拠点でイスラエル?のドローン2基爆発:ベイルート

上記シリアへの攻撃の数時間後、ヒズボラが、レバノンのベイルートで、イスラエルの2基のドローンが爆発したと発表した。

それによると、一基は、爆発物を掲載したもので、ベイルート南部ダヒヤにあるヒズボラのメディア関係のビルに深刻なダメージを与えた。2基目は、1基目のドローンを探しに来たとみられ、空中で爆発して落下したという。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5575082,00.html

レバノンのハリリ首相は、レバノンの主権を侵すイスラエルの無差別攻撃だとして非難。レバノンは度重なるイスラエルのドローンの飛来に以前より苦情を出していたのであった。

これについて、イスラエルはコメントしなかったが、25日(日)、レバノン政府が発表したドローンの写真から、これがイスラエル軍のものとは思えない不出来なもので、イラン製であるとのコメントを出している。なぜイランのドローンが味方であるはずのヒズボラに被害を与えたか??

不明だが、ヤディン元諜報機関長官によると、イランのドローンが、レバノンを出てイスラエルへ入ろうとして失敗したかとの見方もあるようである。

<今後どうなるのか>

今後、どうなっていくのかは不明だが、イランは、経済制裁や、ききんなどで、まともにイスラエルと戦える状態にはないと思われるし、ヒズボラも、今はとりあえず、イスラエルとはことを構えたくないのではないかとの見方がある。

しかし、そこは中東、予想はできない。アミドロール元少佐も、「わからない」と言っていた。

<石のひとりごと>

ニュースだけを見ていると、かなり危機的な状況にみえる。いや、見えるだけでなく、実際にいつ大きな中東戦争になっても不思議はないわけである。

しかし、テロ被害が続く西岸地区、ガザ周辺以外のイスラエル国内はいたって平和。いつもの日常が続いている。上記のような中東情勢は、イスラエル国内にいても、ニュースをみない人は、ほとんど知らないままだろう。海外からの旅行者も相変わらず到着している。

しかし、その平和は、ひとえに国境や、中東各地で危険きわまりない諜報活動を行っているイスラエル軍の司令官や兵士たちがいるからである。平和に旅行できるのは、命がけで戦っているイスラエル軍がいるからということも知るべきであろう。
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イランのザリフ外相がG7に到着 2019.8.26

 2019-08-26
フランスでは現在、先進国 G7(フランス、イギリス、アメリカ、ドイツ、日本、カナダ、ドイツ、イタリア)が行われているが、緊張するイラン情勢についても話し合いが行われた。

マクロン大統領は、イランとの核合意が崩壊することは中東の戦争を意味すると懸念し、G7に先立つ23日、イランのザリフ外相と面談。核合意を維持する方向で、経済制裁の緩和などが話し合われたもようである。

フランスのマクロン大統領は、「G7は、イランに何を言うかで合意した。」と発表した。しかし、トランプ大統領は、この発表を否定。「アメリカは独自のやり方でいく。」と語った。

https://www.france24.com/en/20190825-macron-g7-nuclear-france-iran-trump

こうした中、イランのザリフ外相が、日曜、G7が開かれているビアリッツに招かれ、到着した。ホルムズ海峡での危機をふまえ、イランとの直接の話し合いが行われる。しかし、アメリカはザリフ外相には会わないという。

https://www.reuters.com/article/us-g7-summit-iran-jet/iranian-foreign-minister-arrives-in-g7-summit-town-in-france-iran-official-idUSKCN1VF0JR?il=0

*ホルムズ海峡その後

ホルムズ海峡を通過するタンカーをイランが攻撃したり拿捕していた事件。アメリカが、タンカーを保護する有志連合の結成を呼びかけたが、これに参加すると表明する国はなく、どうも宙に浮いた感じになっている。

こうした中、イギリスが自国のタンカーを護衛するために独自の戦艦を、地域に派遣して緊張が高まっている。また、イギリスは、ジブラルタル海峡で、原油を密輸していたとして拿捕したイランのタンカーを、43日後、アメリカの意向に反して釈放。タンカーはトルコに向かっている。

https://www.nytimes.com/2019/08/15/world/europe/iran-gibraltar-tanker.html
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緊迫するホルムズ海峡情勢:ヒズボラがイスラエル国境へ武力移動か 2019.7.23

 2019-07-23

ホルムズ
ホルムズ海峡:出展BBC

ホルムズ海峡でのアメリカとイランの対立が緊迫を続けており、ヨーロッパ諸国や日本や韓国などアジア諸国も巻き込み始めている。こうした中、イランの傀儡であるヒズボラが、レバノン南部やシリア東部に部隊を増強し、イスラエルへの攻撃に備えるとも見える動きに出ているという情報がある。

今後、ホルムズ海峡での情勢によっては、ヒズボラがイスラエルを攻撃してくるのではないかと懸念されている。

<ホルムズ海峡をめぐる緊張>

ホルムズ海峡でのアメリカとイランの緊張拡大の経過については、この記事の最後にまとめたので参照いただければと思う。

最も最近では、19日、イギリス船籍(乗組員は全員イギリス人以外)タンカーがイランに拿捕された。イランは、このタンカーが、海峡通過時のルールに反していたとし、警告に従わなかったためと主張している。

しかし、イランは、先月、イギリスがジブラルタル海峡で、違法にシリアに原油を搬入しようとしていたイランのタンカーを拿捕したことへの報復とも言っている。これを受けて、イギリスはじめ、フランス、ドイツがイランを非難する声明を出した。続いてサウジアラビアも、イランを非難する声明を出した。

https://www.jpost.com/Middle-East/France-Germany-and-Britain-ban-together-to-condemn-Irans-actions-596261

https://www.timesofisrael.com/saudi-arabia-urges-global-action-against-iran-after-uk-tanker-seized/

続く22日、イランは、CIA(アメリカの中央情報局)のためにイラン国内でスパイ活動をしていたイラン人17人を逮捕し、一部には死刑宣告をしたと発表した。トランプ大統領は、ただちにこの17人と、CIAとの関連を否定する声明を出した。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-49074162

<アメリカの「有志連合」呼びかけで世界規模の対立へ>

アメリカは、ホルムズ海峡に部隊を派遣しているが、中東からの原油を必要としているわけではない。そのため、基本的に、タンカーを守るのは、アメリカではなく、それぞれの国であるべきとの姿勢を表明している。

アメリカは19日、ホルムズ海峡を経由して原油を輸入している60カ国の代表者を集め、アメリカとともに「有志連合」を結成し、地域の安全を監視するシステムを呼びかけた。外交的にもイランに圧力をかける目的があるとみられている。

日本も、この枠に入るため、19日の会合に出席。さらに今、ボルトン米大統領補佐官が来日しており、この件について話し合われたもようである。

日本は、イランからの原油を必要としていることからも、あまりイランを逆なでするようなことはしたくないところだが、日米有効関係からもこの構想に参加しないという選択肢はないと思われる。自衛隊派遣になるかどうか、安倍政権にとって非常に難しい決断になる。

*便宜置籍船システム

ホルムズ海峡を通過するタンカーだが、ややこしいのは、日本を含む先進国が、「便宜地船籍」というシステムを導入している点である。

便宜置船籍とは、自国のタンカーと自国民の乗組員ではなく、パナマなど、海運業により有利な条件を持つ国のタンカーと乗組員を雇うことである。大幅な節税や人件費削減ができるため、昨今、日本を含むほとんどの先進国がこれを採用している。

これにより、たとえば、日本のタンカーであっても、船はパナマの船であって、船員はパナマ人やフィリピン人などである。今回拿捕されたイギリスのタンカーも、スェーデン船籍で、乗組員は、インド人やロシア人、フィリピン人などの外国人でイギリス人はいなかった。

それでもイギリスのタンカーということになり、守るのはイギリスの責任ということになる。

https://www.jsanet.or.jp/seminar/text/seminar_047.html

元タンカー乗りのベテラン、片寄洋一氏は、ホルムズ海峡の危険性が高まれば、雇われ船員が、船を降りてしまう可能性を指摘する。すると原油が各国に届かなくなり、世界が混乱に陥るが、特に日本は、中東の原油に依存しているため、大きく影響を受けることになると警鐘を鳴らしている。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20190720-00134950/

<ヒズボラが南部(イスラエル国境)へ部隊を増強か>

Times of Israelが報じたところによると、複数のヒズボラ司令官が、イスラエルとの戦争に備え、レバノン南部、シリア西部のイスラエルとの国境に部隊を増強しているという。

アメリカの雑誌Daily Beastが伝えたところによると、ヒズボラの司令官”サミール”が、万が一イランが攻撃されたら、ヒズボラが、イスラエルへの攻撃を開始するといっていたということである。

イスラエル軍北部担当アミール・バラム大佐は、ヒズボラは、レバノン南部に武力設備を建築中だと指摘。ヒズボラは、レバノン住民の安全には興味がないので、イスラエルとの戦争になった場合、ツケを払うのはレバノン市民になると警告している。

https://www.timesofisrael.com/as-sanctions-choke-iran-hezbollah-said-deploying-for-war-on-israels-border/

*イラン・ホルムズ海峡危機の経過 

(A:アメリカ陣営 I:イラン陣営)

5月2日:A)アメリカのイランの原油禁輸を発動

5月12日:I)サウジアラビアのタンカーをイランが攻撃か

6月13日:I) ホルムズ海峡近辺で、日本企業のタンカー含む2席が機雷による攻撃(イランか?)

6月21日:I) イランが、アメリカのドローンを撃墜。トランプ大統領、直前でイラン攻撃見送り

7月1日:I)イランが濃縮ウランの貯蔵量超過を発表

7月4日:A) イギリスが、ジブラルタル海峡でイランのタンカー(シリアへ原油密輸)拿捕

7月7日 I) イランがウラン濃縮上限を(3.67%)を超過 (20%に達すると核兵器に急速に到達)

7月9日 A) アメリカが有志連合(対イラン連合組織)結成を宣言

7月10日:I) イランが、イギリス船籍タンカー拿捕未遂

7月18日:I) イランがパナマ船籍タンカー拿捕 アメリカのドローンをイランが撃墜とアメリカが発表(イランは否定)

7月19日:I) イランが、イギリス船籍タンカー拿捕(2隻拿捕して1隻解放) アメリカが、ホルムズ海峡を監視する有志連合をよびかけ

7月20日:A) イギリス、フランス、ドイツがイランへの非難声明 サウジアラビアも。

7月22日:I)イランが国内にいるCIAのイラン人スパイ17人を逮捕(一部死刑宣告)したと発表 アメリカはCIAスパイについては否定

<石のひとりごと>

ホルムズ海峡の様子を見ていると、皆が戦争にはしたくないと言いながらも、後戻りできない状況に進んでいるようにみえる。

世界は大きく動いている。政治指導者の決断により、日本もまた国際的な対立や、戦争に巻き込まれていく時代である。国内だけでなく世界においても日本をうまく舵取りのできる人物が必須になっている。

こうした中、日本での参議院選挙での投票率は、50%を下回った。せっかくの選挙権を無駄にする有権者が半数以上にのぼったということである。また今回、れいわ新撰組が大躍進し、日本でも左派ポピュリズムが生まれたと注目されている。ますます内向きになっていくのではないかと懸念される。

あまりにも平和で、若干、過ぎたる個人主義が通る社会。超豊かな生活に慣れきっている私たち日本人が、次なる国際的な戦争に耐えうるだろうかと思わされる。
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イランと対峙するアメリカとイスラエルへ:ヒズボラ・ナスララ党首演説 2019.7.16

 2019-07-16
アメリカとイランが軍事衝突になりそうで、ならない事態が続いている。そうした中、ヒズボラのナスララ党首が13日、第二次レバノン戦争(2006年)を記念して、テレビを通したビデオ演説を行った。

ヒズボラ支援者へのメッセージなので、多少、誇張もあると思われるが、「今もしアメリカがイランを攻撃すれば、ヒズボラがイスラエルを総攻撃して、撃滅させる。」と脅迫している。具体的には以下の通り。

①シリア内戦が終焉となったことで、ヒズボラは、シリアに派遣していた戦力を呼び戻し、以前のイスラエルとの戦線に備える位置に配備した。

②ヒズボラは、今や戦況の流れを変えうる弾道ミサイル、ドローン、軍事技術など、量・質ともに向上した軍備を備えている。*ベングリオン空港、テルアビブとアシュドドの海水の淡水化工場は標的内にある。

③イスラエルは、シリア領内のイラン基地を時々攻撃しているが、イランがシリアから撤退することはない。逆に、攻撃はイスラエル自身に危険を招くだろう。

④サウジアラビアやUAEに危機が及ぶとわかってもアメリカがイラン攻撃を思いとどまることはない。しかし、イスラエルが、一掃されるとわかれば、思い留まるだろう。アメリカとイランの軍事衝突が、地域を巻き込んで大戦争に発展していくからである。

https://www.jpost.com/Middle-East/Nasrallah-Israel-will-vanish-in-next-war-with-Hezbollah-595528

*アメリカ対イラン:イギリスもペルシャ湾に軍備増強

一触即発状態が続くイラン情勢。

先週、イギリスが、ジブラルタル海峡で、シリアへ違法に原油を運んでいたとみられるイランのタンカーを拿捕した。シリアが内戦中であるため、国際社会は、シリアへの原油輸出を違法と定めている。

イランからシリアは、陸続きですぐ隣なのであるが、陸路で原油を搬入すれば違法になり、イスラエルに爆撃される可能性が高い。そのため、あえて、アフリカ大陸を大回りして、地中海からシリアに入ろうとしたのである。

これを受けて、イランは、報復としてイギリスのタンカーを拿捕すると脅迫した。実際、イギリスによると、イランは先週、報復だとして、ホルムズ海峡を通過中のイギリスのタンカーを拿捕するよう命令を出したという。(イランは否定)

イギリスは、自国籍の船を護衛するため、ペルシャ湾に戦艦を一隻追加派遣することを決めた。また、アメリカと地域への軍備増強について協議していることを明らかにした。

https://www.jpost.com/Middle-East/Tensions-Rise-in-Gulf-as-US-UK-Up-their-Forces-595676

<ネタニヤフ首相コメント>

ナスララ党首のコメントに対し、ネタニヤフ首相は、「ヒズボラが、大胆にもイスラエルを攻撃したら、イスラエルは、ヒズボラとレバノンに壊滅的な攻撃を行う。」と言い返した。

また、攻撃対象を明らかにしているナスララ党首に対し、「我々は手の内を明かさない。」と言った。また、ビデオメッセージで、最新鋭ステルス戦闘機F35の前に立ち、「この飛行機は、イラン、シリア含め中東全土に到達できるということを覚えておいたほうがいい。」と述べた。

言うまでもないが、ヒズボラは、戦闘機は持っていない。

https://www.jpost.com/Breaking-News/Netanyahu-answers-Nasrallahs-threats-in-cabinet-meeting-595606

<戦争の可能性は・・?>

メディアを通じた言い争いや行動からは、危険極まりない匂いがするが、実際にトランプ大統領が、イランを攻撃することはないだろうとの見方がちらほら出始めている。これを”トランプ大統領のオバマ化”といった表現をする記事もある。

トランプ大統領が、先に150人の死者が出ることを理由に、イランへの攻撃を思いとどまったが、結局、トランプ大統領も、来年の大統領選挙に勝つための備えの時期に入っているからではないかとの分析である。

また先週、トランプ大統領のライバルである民主党から立候補しているバイデン元副大統領は、イランとの核合意に戻るとしながらも、イスラエルとの友好関係は保証すると有権者に訴えるコメントを出した。トランプ大統領の支持層、福音派を分裂させかねないコメントである。

一方、イランも、アメリカとの戦争どころではない。厳しいかんばつと、経済制裁で、国民生活は疲弊している。エルサレムポストが、ワシントンの研究所によるとして伝えたところによると、イランでは、200から300万人が薬物中毒だという。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5547681,00.html

イランのロウハニ大統領は、「アメリカが、経済制裁を緩和するなら、話し合う用意があると言っている。しかしこれは、アッバス議長が、「イスラエルが東エルサレムから撤退したら、話し合いに応じる。」と言っているようなもので、アメリカが応じるはずのないオファーである。

<石のひとりごと>

ニュースを見ていると、トランプ大統領自身が予測不能なので、中東で何が起こるということもまた予測不能だというコメントが多くなってきた。今に始まったことではないが、トランプ大統領の決断一つで、非常に大きな戦争にもなりうることを考えると、末恐ろしいポジションである。

トランプ大統領、またその周囲にいる側近たちの精神的霊的健康を祈ることは非常に重要である。
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イランがウランの濃縮引き上げへ:イスラエルの反応 2019.7.8

 2019-07-08

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ウラン濃縮度引き上げを発表するイラン 写真出展:BBC

7日、イランが、核合意で定められたウラン濃縮の上限3.67%を超え、5%にまで高めると発表した。しかしロウハニ大統領は、3日、イランは今後、望むままにウランの濃縮を行うとも言っており、5%を超えていく可能性も示唆している。

核兵器開発に必要なウランの濃度は90%と、まだまだ先ではあるが、仮に20%を超えると、核兵器製造までに1年かからないと推測されている。

また、これに先立つ6月28日、イランは、国内に保有できる低濃度のウランの上限である300キロについても、今後超過すると発表している。また、プルトニウムを抽出する重水炉の建設も示唆した。

イランは、2015年の核合意(JCPOA)によると、もし、一方が、約束を守らなかった場合、他方が一時的に約束を守らないということがあったとしても、合意から離脱することには当たらないとして、あくまでも合意の範囲内にとどまっていると主張している。

IAEA(国際原子力機関)は、イランの発表が事実かどうかの検証を行い、10日、緊急会議を開催する。

https://www.timesofisrael.com/ahead-of-deadline-iran-readies-to-increase-uranium-enrichment-level/

<イランVS核合意関係国(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国、EU)>

6月20日、ホルムズ海峡周辺で、アメリカのドローンがイランに撃墜された。トランプ大統領は、報復の軍事攻撃を指示したが、わずか数時間前に、大統領の意向一つでこれをキャンセルした。

トランプ大統領は、これでイランがアメリカに恐れ入って、態度を変えると期待したのかもしれないが、誇り高いイスラム政権のイランが、引き下がることはない。また、市民生活を優先し、アメリカに頭を下げるということもありえないだろう。

6月28日、イランは予告通り、低濃度ウランの国内保有上限であった300キロを超過すると発表。核合意関係諸国に、7日までに、イランとの貿易を再開し、経済制裁を軽減する妥協策を出さなければ、イランは、ウランの濃縮についても上限を超過させると予告した。

フランスのマクロン大統領は、6日、イランのロウハニ大統領に電話をかけ、1時間近く話をしたという。マクロン大統領は、今月15日までに、核合意関係諸国とイランとの対話再開の条件などを整えることで合意した。

https://www.timesofisrael.com/liveblog-july-7-2019/

<ネタニヤフ首相怒り表明>

イスラエルのネタニヤフ首相は、週初めの閣議において、英語で、核合意関係国に怒りをこめた以下のメッセージを語った。

「イランがウランの濃縮を再開する目的は核兵器しかない。これは非常に危険である。ナチスドイツの拡張は、小さなステップから始まり、オーストリア侵攻となり、急速に進んでいった。イランも同じである。

友であるフランス、イギリス、ドイツの皆さん。合意では、いったんイランが規定以上のウランの濃縮を再開したら、その瞬間に厳しい経済制裁を発動するということになっているではないか。それは国連安保理の決議でもあったはずだ。いったいどうしたことか。」

ネタニヤフ首相は、イスラエルが、これまでシリアに進出してくるイランを懸命に阻止してきたと訴え、ヨーロッパにも同じように戦ってほしいと訴えた。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Netanyahu-Irans-uranium-enrichment-steps-like-those-Nazis-took-in-1930-594853

<英海軍:イランのタンカー拿捕:シリアへ原油密輸か>

こうした中、4日、ジブラルタル海峡で、イギリス海軍が、イランの石油を運搬中とみられるタンカーを拿捕した。イギリス軍は、タンカーが、シリアへ向かっていたとの見解を発表した。これは、現在、イランの原油禁輸政策を取っているイギリスにとっては、重要な違反ということになる。

イランは、タンカーの石油がイランのものであり、スエズ運河を通行できないので、はるばるアフリカ大陸を経由してジブラルダル海峡を通過していたことを認めた。しかし、行き先がシリアであったというイギリスの主張は否定している。

イランは、もしイギリスがイランのタンカーを即座に解放しないなら、イランはイギリスのタンカーを拿捕するしかないと脅迫した。

時期的にも最悪の時であり、1980年代のイラン・イラク戦争の時に、ペルシャ湾を航行中の各国のタンカーが攻撃された、いわゆる”タンカー戦争”を彷彿とさせる事態である。

https://www.timesofisrael.com/tehran-threatens-to-seize-british-oil-tanker-if-iranian-ship-not-released/

<イラン情勢:今後どうなるのか:石のひとりごと>

トランプ大統領もイランのハメネイ最高指導者も共に、戦争は望んでいないことは確かなようである。

1)双方にらみあいのままが続く

もし、ここで、アメリカとイランが戦争になれば、イスラエルも中東全体、ひいては世界も巻き込む世界大戦になってしまう可能性もあり、それは、アメリカにとってもイランにとっても得策ではない。

特にイランは、今、経済制裁で疲弊しており、国民の政権への目も厳しくなっている。アメリカと対決しても、勝つ見込みどころか、内部から政権転覆の可能性が高まる。イスラエル国家治安研究所によると、イラン政府は、ここしばらく、イスラム教の服装などその法典の強化を進めているという。国内が不安定になりつつある証であろう。

イランの核兵器開発が最初に問題となったのは、15年以上も前の2003年だった。以来、イランは、国際社会をのらりくらりとかわしてきた。これからも、国際社会をやきもきさせながら、結局、核兵器レベルにまでウランを濃縮しないという態度を取り続けていく可能性がある。

2)ヨーロッパかロシアが、アメリカ抜きでイランと合意を見出す

アメリカでは、来年大統領選挙なので、近くトランプ大統領が消えるかもしれない。また、今、ヨーロッパが、アメリカ抜きでイランとの新たな合意に至るとか、シリア内戦の時のように、ぎりぎりになってロシアが登場して事態を丸く収め、情勢の主導権をとってしまうなどもありうる。

一方アメリカもこのまま軍事行動には出ず、基本的には、経済制裁をさらに強化して国内のイラン政権への批判が爆発するのを待つという方針のようである。もし今、イランに軍事攻撃を実施して、アメリカ軍人を失うようなことになれば、来年の選挙でマイナス要因となるからとみられている。

また、イランとの妥協案を模索しているとの報道もある。

3)イスラエルから火の手が上がる

さらにイスラエルがどう出るかで、だれも望まない戦争に発展してしまうかもしれない。

イスラエルは、イランが少しでも核兵器に近づくことを許さないと言っている。ロシアの暗黙の了解を得たことで、シリア軍になりすまして、イスラエル国境に近づいてくるイラン革命軍への攻撃を大胆に行い、イラン国内の核施設にまで攻撃する可能性もある。

またこの緊張の中、イスラエルのステルス機が、昨年3月にイラン領内を飛行していたという情報が、今になって流れた。これは、イランには脅威になる。

https://news.yahoo.com/iranian-commander-kept-secret-israeli-113000039.html

これに対し、イランが支援しているレバノンのヒズボラや、ガザのハマスを使って、イスラエルを攻撃させて、国際社会の注目をそらすなどの事態もありうる。

夏は、イスラエルでは戦争が多発するシーズンでもある。なんとか平穏が保たれるようにと願う。
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安倍首相の訪問とイラン危機:イスラエルの報道より 2019.6.15

 2019-06-15

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国華産業(パナマ船籍)のタンカー 写真出展:Jerusalem Post

安倍首相のイラン訪問、日本企業に関連するタンカーが軍事攻撃を受けてイランとアメリカが、非難しあい、これまで以上に緊張がたかまっている。

12日、日本の安倍首相が、ロウハニ大統領に面会。続いて13日には、イランのイスラム最高指導者ハメネイ師と直接会談を行った。ハメネイ師にまで直接対談できたのは、日本のこれまでからにイランとの良い関係によるものである。

アメリカとイランの緊張が高まっている中での訪問で、アメリカとイランとの交渉再開の橋渡しになる可能性も日本では期待されていた。

安倍首相は、アメリカ、イスラエル、ロシアの首脳とも電話で連絡を取り、イラン首脳との会談に臨んだが、結局ハメネイ師は、アメリカとの交渉については明確に拒否した。これまでのイランとアメリカの長い確執の経過を見れば、日本が要請したぐらいで、両国がすんなり交渉の場につくはずもなかっただろう。

逆に、安倍首相のイラン訪問に合わせて13日、ホルムズ海峡に近いオマーン湾で、ノルウェーの船と、日本企業関連のタンカー(サウジのメタノールをシンガポールへ運搬中)が、2回にわたって軍事攻撃され、緊張緩和どころか、緊張を悪化させる結果になった。

被害を受けた国華産業の堅田社長によると、船はパナマ船籍で、旗じるしも日本ではなくパナマであったとして、特に日本をねらったわけではないとの見解を述べているが、イランが、船の情報を持っていなかったという確証はない。

被害を受けたタンカーの乗組員らはいったん船から避難したが、沈没の危険はないとして、現在は船に戻り、アメリカ軍の保護の中、アラブ首長国連邦へ曳行の途上にある。

この一連の出来事から、ホルムズ海峡閉鎖への恐れから、原油先物価格が4%上昇した。

*ホルムズ海峡とは

ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾の間にある幅33キロ、深さ75-100メートルの狭い海峡である。サウジアラビアなど中東から輸出される原油を乗せたタンカーの8割は、この海峡を通過している。BBCによると、この海峡のタンカーの通路は、2レーンしかなく、その間は2マイル(約3200メートル)しかない。

1980年代、イランとイラクの戦争中、それぞれが相手の原油運搬を阻止するために、ホルムズ海峡を通過するタンカーを攻撃。BBCによると、タンカー240隻が攻撃を受け、55隻が撃沈された。

現在、イランは、アメリカとの危機に及び、ホルムズ海峡の閉鎖を示唆している。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-48633016

<ポンペイオ米国務長官:イランによる攻撃>

問題は、だれが、タンカーへの攻撃をしたのかだが、アメリカのポンペイオ国務長官は、この攻撃は、5月にアラブ首長国連邦で、サウジアラビアのタンカーが、妨害攻撃された時と同様、イランによるとの見解を公式に発表した。

イランはこれを毅然として拒否。逆に、タンカーの乗組員は安全に避難させたとして、タンカーの乗組員らが、イランによくしてもらったとコメントする映像まで出した。

https://www.timesofisrael.com/iranian-tv-shows-crew-of-attacked-tanker-in-full-health/

14日に、アメリカ軍が、日本のタンカーから(証拠隠滅のために)不発のリペットマインと呼ばれる密着型機雷らしきものを撤去するイラン革命軍の映像を公開すると、イランは、「ホルムズ海峡の安全を守るのはイランの使命だ。できるだけ早くその危機を取り除いたのだ。」と返答した。

イランは、アメリカは早急にイランによるものと発表したが、お互いが同意できる証拠はいっさいないと主張している。

<イランのザリフ外相:攻撃はアメリカとイスラエルの陰謀>

一方で、イランのザリフ外相は、「Bチームが、外交を妨害して、イランに対する経済テロを隠蔽しようとしているのだ。」とツイッターに書き込んだ。

ザリフ外相が時々使うBチームとは、アメリカの治安顧問ジョン・Bボルトン補佐官、イスラエルのBベンジャミン・ネタニヤフ首相、サウジアラビアのモハンマド・Bビン・サルマン皇太子、アブダビのモハンマド・Bビン・ザイード・アル・ナヒャン皇太子をさしている。

https://www.timesofisrael.com/after-tanker-attacks-iran-claims-us-israel-plotting-to-sabotage-diplomacy/

イランとアメリカが、お互いに正面から非難しあっている状況だが、この問題については、国連安保理で議論が行われる予定である。しかし、安保理では、ロシアと中国が、アメリカのイランへの制裁に反対しており、拒否権を発動すると思われるので、結局何の手立てもできないだろう。

ここからどう発展していくかは不明だが、突発的な衝突から大きな戦争に発展する可能性は続いている。その際、イスラエルでは、イラン配下のヒズボラやハマスにより、南北国境から1日に1000発以上のミサイルが、連日降り注ぐ可能性があると懸念する声もある。

かつてイスラエル人がバビロンで捕囚になっていた時代に、イスラエル人をエルサレムへ帰らせ、神殿と国の再建を実現させたのは、ペルシャ、つまり今のイランであった。今は、イスラエルの宿敵となっているイランだが、イスラエルの祝福になる可能性も秘めている。神の前に、本来のイランの姿を取り戻せるようにと願う。
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