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イランに立ち向かうアメリカ 2018.12.08

 2018-12-08
イスラエルが、今大きな動きに出られる背景には、トランプ政権が親イスラエルであるという点が考えられる。11月5日、トランプ政権は、イランへの第二弾経済制裁を発動。さすがに原油に関しては、全面的な制裁を一気に開始できず、180日の猶予を設けたが、それでもイラン経済は大きな打撃を受けている。

イラン通貨のリアルは、アメリカが核合意から離脱する前は、1ドル=37000リアルだったが、今は11万9000リアルとなっている。これは、日本で言えば、1ドル=113円が、400円ぐらいになったようなものである。

https://www.presstv.com/Detail/2018/11/28/581387/Iran-rial-US-sanctions-dollar-Rouhani-forex

イランの海外のテロ組織への支援は一段と難しくなっているはずである。しかし、イランも負けてはいない。最近のイラン関連のニュースは以下の通り。

1)イランが中距離弾道ミサイル実験

1日、イランが、核弾頭を装着できる中距離弾道ミサイルの実験を行った。イランからの中距離弾道ミサイルは、中東に位置するアメリカの基地をすべて射程に入れることができる。

アメリカのポンペイオ国務長官は、これは国際社会との合意に違反すると非難した。また、シリア、イエメン、レバノン、イラクのテロ組織への支援もやめていないことも批判した。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5418286,00.html

2)イランと貿易?:中国ファーウェイの女性副社長逮捕

アメリカは、11月5日、イランへの第二弾経済制裁を発動した。原油を含む制裁は、世界への影響が大きいとして180日の猶予を発表している状況だが、イランとの取引については、諸国に厳しく制限を課している。

そのような中5日、中国の通信機器大手ファーウェイの女性副社長が、イランとの取引を継続している疑惑があるとして、アメリカの要請により、カナダで逮捕された。身柄は今後、アメリカへ移されるとみられている。

この件は、今とりあえずの”停戦”とみられた米中の貿易戦争に影を落とすと言われている。しかし、問題は、経済だけでなく、ファーウェイ社の技術が、サイバーセキュリティ上、危険だとみられている点で、アメリカ政府は、すでに情報関連でファーエイ社の利用を停止している。問題は、経済だけではなさそうである。

https://www.businessinsider.jp/post-180962#cxrecs_s

なお、ファーエイ製品については、7日、日本政府も政府関係機関では利用しないと発表した。日本では、ソフトバンクが、ファーウェイ社を使っているが、6日、このタイミングで大規模な通信障害を起こしたことから、今後、同社の株にも影響がでるのではないかと懸念されている。

この件について、イランからの声明はない。

3)イエメン内戦:和平交渉開始

イランとサウジアラビアが代理戦争をしているイエメンでの内戦は、今年で4年目に入る。国連によると、国民の75%が人道支援を必要としており、多くの子供たちが餓死しているほか、1780万人が、次の食事のあてがない状況だという。すべては人的災害であり、人類最大の罪悪を言われている。

https://www.bbc.com/news/world-europe-46462255

これを受けてようやく、国連が仲介となり、スェーデンで、イエメン政府(スンニ派サウジアラビア支援)、フーシ派(シーア派イラン支援)が、初めて顔を合わせて和平交渉を始めた。しかし、何かよい結果が出るとはほとんど期待されていない。

イランの支援を受けているフーシ派の旗には次のように書かれている。”神(アラー)は偉大なり。アメリカに死を。イスラエルに死を。ユダヤ人の上にのろいがあるように。イスラムに勝利を”

https://www.apnews.com/e32442a4c8c24acd9d362c433d5cd10e

地理的にも政治的にも、直接にはなんの関係もない、イエメンのフーシ派から、イスラエルとユダヤ人へののろいが出てくるところに、霊的な恐ろしさを感じさせられる。
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米イラン経済制裁再開:ネタニヤフ首相歓迎表明 2018.11.05

 2018-11-05
11月5日、アメリカのイランへの経済制裁が全面的に再開される。この中には原油の取引も含まれており、イラン経済に決定的な打撃を与えるとみられる。しかし、アメリカがこの方針を発表して以来、イランから手を引く会社が続出しており、イラン経済への打撃はすでに始まっていた。

アメリカは、経済制裁を全面再開する際には、日本はじめ8カ国(中国、インド、韓国、トルコなど)にもイランとの取引を全面的に停止するよう要請していたが、4日、これを180日まで延期することを容認すると発表した。しかし、180日(6ヶ月)以降の猶予はないとしている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181104-00050053-yom-bus_all

関係国の制裁を半年延長するというのは、これから冬で最も石油を必要とする時なので、アメリカが配慮したのかもしれない・・・とは考えすぎかもしれないが、これから冬に突入する日本は特にイランの石油を必要としているところである。(輸入先としてはサウジ、UAEに続いてイランは3番目)

これについて、トランプ大統領は、イランの原油分についてはサウジアラビアがカバーするので問題ないと言っている。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5389278,00.html

<ネタニヤフ首相がアメリカの制裁再開を歓迎>

世界では、イランへの経済制裁に懸念もある中、イスラエルのネタニヤフ首相は、制裁再開を全面的に歓迎するとするビデオメッセージを発表した。

https://www.timesofisrael.com/pm-praises-trump-for-iran-sanctions-renewal-were-already-seeing-results/

アメリカのイランへの経済制裁のねらいは、イラン市民による現イスラム政権の転覆である。しかし、イランでは、逆に反米感情が高まっており、4日には、アメリカ大使館前に数千人が集まって、「アメリカに死を」「イスラエルに死を」と群衆が叫ぶ様子が報じられた。この日は、1979年のアメリカ大使館占拠を記念する日でもあった。

https://www.timesofisrael.com/iranians-chant-death-to-israel-on-anniversary-of-us-embassy-takeover/

<あぶなっかしいトランプ政権>

1)中間選挙の結果次第で失脚もありうる

微妙なのは、これと同時期にアメリカで中間選挙があることである。6日の中間選挙で、トランプ大統領が勝利すれば、トランプ大統領の次期就任も確実な見通しとなり、イランへの態度も強化できるし、世界でのアメリカの態度は今より大きくなるだろう。

しかし、その逆であれば、トランプ大統領の議会での求心力が弱体化し、イラン政策についても混乱が始まるだろう。ならば、イランは、アメリカの制裁に同意しいないロシア、中国、EUなどとの取引を続けて、トランプ大統領の失脚までなんとか頑張れば良い。国々もイランとの取引を再開させるかもしれない。

*わかりやすいNHKの中間選挙解説: https://www3.nhk.or.jp/news/special/us_election_2018/

2)対イラン制裁のかなめとなるサウジアラビアの失脚もうすいながらもなきにしもあらず

中間占拠の結果以前に、サウジアラビアのカショギ「記者殺害に関するモハンマド・ビン・サルマン皇太子スキャンダルもアメリカには痛い要因だ。この件に関しては、まだカショギ記者の遺体がみつかっておらず、おそらくは、ばらばらに切断した上、酸性物質で遺体を溶解抹消した可能性が高いとされる。

サウジアラビアは、イエメンでイランと戦争中で、市民たちが飢餓に苦しむ中、批判が高まっている。おそらくはアメリカが丸め込むと思われるが、もし、サウジアラビアが失脚するようなことになれば、アメリカの対イラン政策は、大きな打撃を受ける。

3)中央アメリカ難民への対処次第で批判が高まる可能性

また、中央アメリカからアメリカの国境を目指して歩いている難民たちがいる。10月中旬、ホンデュラスからアメリカへの移住を目指して、百人ほどがメキシコとの国境を目指して歩き始めたのだが、途中のグアテマラなどからも人々が加わり、今では7000人以上に膨れ上がっている。

https://www.fnn.jp/posts/00379530HDK

トランプ大統領は、国境に警備隊を派遣し、これを徹底的に阻止する構えである。これは難民受け入れを阻止しようとするトランプ大統領に追い風になるとの見方もあるが、逆にもし難民に警備員が事故的にでも発砲するようなことになれば、トランプ大統領への批判は倍増するだろう。

このように様々なことがおこり、どちらにどうころぶのか、先行きが見えない中で、アメリカの中間選挙が行なわれているのである。

<石のひとりごと:イスラエルを支持するのは曲者ばかり?終末の匂い>

トランプ大統領は、これまでの国際社会の常識には逆らうことばかりをしている大統領である。その中でも最も大きな反逆がイスラエル支持であろう。トランプ大統領の登場以降、アメリカに従って、イスラエルを支持すると公に言う国々が現れてきてはいるが、どうも国際社会では曲者感の多い国々ばかりのようである。

9月にイスラエルを訪問したフィリピンのディトルテ大統領は、容赦せず麻薬関係者を次々に処刑していることで、国際社会からはひんしゅくをかっている。自分をヒトラーにもたとえて大ひんしゅくであった。イスラエルではこの大統領を受け入れるかどうかがすでに論議になっていた。

しかし、国連においては、フィリピンはイスラエルにフレンドリーな国の一つ。エルサレムへの大使館移動の可能性もうすいながらもある国である。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5339053,00.html

先週ブラジルで当選したヤイール・ボルソナロ大統領(63)は、大統領自身が福音派クリスチャンで、かなりの親イスラエル。ブラジルの大使館をエルサレムへ移動させることを公約に掲げている。来年1月の大統領就任式には、ネタニヤフ首相が参加するといった情報もある。

しかし、ボルソナロ大統領は、極右と目される人物でもある。

https://www.bbc.com/news/topics/cdr1vzk8ngvt/jair-bolsonaro&link_location=live-reporting-story

福音派クリスチャンといえば、福音派クリスチャンで神学者、国際政治関連で影響力のあるヨエル・ローゼンバーグ氏は、積極的にイスラエル支持を表明し、福音は代表団を率いてエジプトのシシ大統領に会った他、先週には、アブダビのザイード国王に会った後、サウジのモハンマド・ビン・サルマン皇太子にも面会した。

福音派の動きが、ここまで大きくなり表面化することは、トランプ大統領が出てくるまではありえなかったことだった。オバマ政権下でのアメリカは、ゲイや中絶を認めるといったポリコレ(ポリティカル・コレクト政治的な正しさ)の流れが主流であったため、福音派は宣教の自由を失いかけた。それがトランプ大統領の出現で、逆転したというのが今である。

イスラエルとしては、こうした味方たちが増えてくるのはありがたいことである。しかし、これに警戒感を持つ意見も少なくない。イスラエル支持を表明する国々や団体が、国際社会ではやはり、常識破りである場合が多いからである。

彼らへの評価がそのままイスラエルの評価になることと、最近のイスラエル支持表明の指導者たちは新参で、いつ失脚するかもわからないというあやうさもある。もし彼らの次に出てくる指導者が、同じ路線でない場合、反動でイスラエルの立場は、以前よりいっそう困難なものになるだろう。

アメリカでは今、福音派が勢いづいているが、中間選挙で共和党が破れ、トランプ大統領が弱体化することになれば、またポリコレが復活し、イスラエルとユダヤ人、福音派バッシングへと豹変する可能性もなきにしもあらずである。そうなれば、終末時代の聖書の神に従う者たちにとっての艱難時代の図式に近づいていくことになるのかもしれない。

もう一つ、注目される点は、アメリカの全面制裁に対し、イランは、ロシア、中国、ヨーロッパ(イスラム化進む)との取引で、なんとか何を逃れようとしている点。

前から指摘されていることではあるが、アメリカ、イスラエルという聖書価値観組と、それ以外組の対決という、終末論的図式にさらに近づいていくともみえなくもない。さらにもしアメリカでトランプ大統領が失脚し、ポリコレに制圧されてしまった場合、イスラエルは孤立する流れである。

国粋主義が世界中に蔓延し始めている中、トランプ大統領が失脚することはなさそうではあるが、何が起こるのかわからないというのが最近の国際情勢である。

イランは、アメリカの全面的な経済制裁にどう出てくるのか、イランと取引する8カ国はどう出てくるのか、世界市場はどう反応するのか、そして中間選挙でアメリカがどうなっていくのか、ニュースから目を離せない死1週間になりそうである。
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米経済制裁前夜で緊張するイラン情勢 2018.8.6

 2018-08-06
1)アメリカの経済制裁開始前夜

トランプ大統領がイランとの核合意の離脱を宣言してから90日になる8月6日、イランへの最初の経済制裁が発動される。続いて180日後の11月5日には、原油の輸出制限を含むあらたな経済制裁が課される予定。

https://www.cnbc.com/2018/05/08/here-are-iran-sanctions-returning-after-trump-leaves-nuclear-deal.html

イランでは、通貨価値が急激に下がり、その経済はすでに大打撃を受けている。また、深刻な干ばつもあいまって、テヘランを含む各地で、時々に反体制デモが行なわれている。

先週金曜には、テヘランから100キロ地点で、反体制デモの500人が、シーア派イスラムの神学校を襲撃したが鎮圧された。デモは発生しているが、まだアメリカとイスラエルが期待するような、現イスラム政権を揺るがすほどのデモにはなっていない。

また、アメリカは各国にもイランからの輸入停止を要請しているが、中国は、それに同調せず、イランから継続して石油を輸入することを明らかにした。

今後、アメリカの経済制裁がどの程度、現イスラム主義政権打倒への圧力として効果を発揮するのか、まだ、予想もつかないといったところである。

https://www.aljazeera.com/news/2018/08/china-rejects-demand-reduce-iran-oil-imports-report-180803145824860.html

2)ホルムズ海峡閉鎖を示唆か

トランプ大統領は、いよいよイランへの経済制裁を始めるにあたり、「今、イランの経済は最悪だ。もしイランが話し合いたいというなら、無条件で会う。」とメディアを通じてよびかけた。

これに対し、イランは、「アメリカとの話し合いは、アメリカが2015年の核合意に戻ることが条件だ。」として、これをすかさず一蹴した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/250025

さらに、イランは、ホルムズ海峡に近いペルシャ湾で大規模な海軍演習を行った。ホルムズ海峡の閉鎖を示唆したものとみられている。ホルムズ海峡を閉鎖されると、日本をはじめ世界各国への原油の供給に大きな影響が出る。

イランのザリフ外相は、「イランはアメリカより2000年も前から存在する。アメリカはここから7000マイルも遠くにいて、我々の庭でどうふるまったらよいのか、わからないようだ。」と言い放った。現時点では、アメリカの経済制裁をやりすごす自信があるようである。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5321966,00.html
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イラン情勢その後 2018.7.11

 2018-07-11
イランでは、アメリカが核合意から離脱し、8月から徐々にイランへの経済制裁を再開し、11月からはいよいよイランからの原油の輸出に制裁ををはじめると発表してからすでに経済への大きな打撃が始まっている。

国内では反体制のデモや、労働者のストも頻発しているが、これらは今の所、武力で鎮圧されている。

イランは、2015年の核合意ー包括的共同行動計画(JCPOA)を、維持するためには、アメリカの経済制裁による経済の打撃をヨーロッパに補うよう要求している。もしそれが実現しないなら、イランも合意から離脱する、つまり、イランは核開発を再開すると脅迫している。

2015年にイランとJCPOA核合意に至ったのは、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、ロシアの6カ国である。アメリカ以外の5カ国は、イランとの合意が崩壊しないよう、打開案をイランに提示したが、イランのロウハニ大統領はこれを不十分だと受理しなかった。

フランスのマクロン大統領は、ヨーロッパだけで、11月までに、イランが要請するような経済の補填は難しいとの見解を述べ、イランに対し、(合意を離脱するといった)脅しはやめるべきだと逆に釘をさした。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5305096,00.html

今後のイランの出方に関する見通しについて、イスラエル国家治安研究所(INSS)の所長で元イスラエル軍諜報部長官のアモス・ヤディン氏の予想は以下のとおりである。

8月から始まるトランプ大統領の経済制裁が、イランへの圧力となって功を奏した場合、好ましい結果とそうでない結果が予想される。

好ましい結果は、①イランが、さらに確実な核放棄にむけた合意内容への変更に応じる。②今のイスラム政権が倒れ、民主的な政権に交代する。

好ましくない結果は、③アメリカの経済制裁耐えながら、アメリカ抜き5カ国と現在の合意を維持してトランプ大統領の任期が終わるのを待つ。④今の核合意の期限は10−15年なので、そこまでただただ耐えて、再びウラン等の濃縮を再開する。

最悪のパターンは、⑤イランが合意から離脱し、ウランの濃縮を強行的に再開する。ヤディン氏は、この最悪の可能性は5%以下だとしながらも、決して否定できないと警告する。

今後、イランがどのように出てくるのか。中東のいかなるエキスパートも予想できないようである。

<石のひとりごと:現実味おびてくるエゼキエル38章(聖書)>

エゼキエル38章には平和に住んでいるイスラエルに、ペルシャ(イラン)を含む多くの国々を従えて、北の果ての国(ゴグ)から大軍勢が攻めのぼってくることが預言されている。エゼキエル書はこの時、イスラエルに大きな地震が起こると書いている。

イスラエルは、今、南北に危機をかかえながらも、市民生活においては、建国以来、おそらく最も平和で繁栄した時をむかえている。

そのイスラエルが今一番、神経をとがらせているのが北部情勢で、その中でも、最も得体のしれない動きをしているのが、北の果ての国ロシアである。そのロシアは、シリアとイラン(ペルシャ)に大きな影響力を持ち始めている。

北の果ての国ロシアが、諸国を従えてイスラエルに攻め入る形や、イスラエルに大きな地震が発生する可能性まで重なって、いよいよエゼキエル38章が現実味を帯びてきているようである。まだ読んだことのない人はぜひ。
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どうなるイラン!?革命軍台頭か 2018.6.30

 2018-06-30
イスラエルとアメリカは、今のイラン政権が倒れ、近代的な民主国家に生まれ変わることを望んでいる。イスラエルのネタニヤフ首相は、水技術を提供するとして、イラン人自身が現政権を打倒するよう呼びかけたりしている。

しかし、実際には、今のイラン政権の後には、同じく冷酷なイスラム主義軍で知られるイラン革命軍(カリスマ性を持つと言われるカッサム・スレイマニ将軍)が政権を取るのではないかとの予測が出てきている。

エジプトでは、エジプト軍の長であったシシ将軍が、クーデターの後、大統領になり、イスラエルとの関係が改善したという例もあるが、イラン革命軍は残酷で知られるため、イランが今後どうなっていくかは、まったく不透明である。

<窮地の現イスラム政権>

イランの現政権は、シリア内戦に介入しため、非常に多くの軍事費を費やすことになり、イラン経済に大きな打撃となった。これにより、国内外の投資家がイランからいっせいに手を引いたため、2017年だけで、300億ドル(石油輸出の75%)を失うこととなった。

これを受けて昨年12月から、労働階級の市民200万人が、全国各地で、シリア内戦への介入へ反対を訴える反体制デモを展開。

市民は、いつもの「イスラエルに死を」ではなく、「ハメネイに死を」「バシル(イラン革命軍の部隊の一つ)に死を」と叫んだ。現政権は、これを、イラン革命軍を使って、暴力的に10日間で鎮圧した。

しかし、この次に女性がヒジャブの着用強制に反対する平和的なデモを展開。同時に様々な職業の労働者がストをおこした。この時も革命軍が対処している。

こうした中、5月、トランプ大統領が、イランとの核合意からの離脱と経済制裁の再会を宣言。イランの経済はさらに悪化した。これに追い打ちをかけるように、アメリカが、日本はじめ各国にイランからの石油輸入を、11月までに全面停止するように求めている。

イラン通貨が大きく下落した(1ドル=42000リアルが90000リアル)24日の翌25日、イランでは再び市民によるデモが、首都テヘランで行われた。

https://edition.cnn.com/2018/06/27/middleeast/iran-protests-analysis-intl/index.html

では、デモを行っている市民たちが、現政権の後に、何を望んでいるのだろうか。

エルサレムポストが、イランの野党系メディア(視聴者150万人)が、行った調査として伝えたところによると、次期政権にだれを望むかについて、59%は、イスラム革命で追放されたシャー・パーレビ国王の息子をあげ、イスラム政権になってからのハタミ大統領と答えた人は2%に過ぎなかった。

イラン国民は、イスラム革命以後も、国王の時代(アメリカより)の方がよかったと思っていると言えそうである。

<台頭する革命軍>

現政権は、革命軍がデモを鎮圧するたびに、様々な特権を与えた。このため、革命軍、特にその指導者のスレイマニ将軍が、政治的にも力を持つようになっているという。

イラン革命軍は、1979年のイスラム革命の時に設立された、イスラム主義軍で、通常のイラン軍の3倍の予算を使う、いわば政権を擁護するエリート軍である。

これに対抗するのが、イスラム社会主義をかかげるMEK(イスラム人民戦線機構)だが、MEKは、国王が治める王政には反対しているため、今のデモに参加する人々に受け入れられることはない。

また、デモ隊が主張するのは、現政権が、ヒズボラの他、ハマスなどパレスチナ勢力に予算を回していることなのだが、MEKは基本的にパレスチナ組織を支持する方針をとっている。

したがって、デモを行っている市民には、現政権に対する対抗馬がいないということである。

今の危機に対し、たとえ政権交代が避けられなかったとしても、現政権は、無難に、革命軍のスレイマニ将軍に政権を譲りわたして生き延びる道を選ぶ可能性が高い。

イスラエルとアメリカは、イランの現政権が交代することを望んでいるのだが、それが良い結果をもたらすかどうかは、どちらかといえば、悲観的という見方もあるということである。

https://www.jpost.com/Middle-East/ANALYSIS-How-Irans-Revolutionary-Guard-justifies-the-crackdown-560938
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ネタニヤフ首相のイラン包囲網 2018.6.12

 2018-06-12
アメリカが2015年の核合意から離脱し、厳しい経済制裁を再開すると発表してから、イランの経済はすでに厳しい状況になりつつある。

これに乗じて、ネタニヤフ首相が、防衛、外交だけでなく、イラン市民に直接訴えるなどのイラン包囲網を、積極的に展開している。目的は、イランをシリアから撤退させるだけでなく、現在のイスラム政権を内部から打倒することのようである。

1)シリア領内のイラン基地攻撃

イスラエルがシリア領内にあるイランの軍事基地を破壊する作戦に出ていることはお伝えしている通り。

2)ロシアの協力でシリアのイラン軍撤退へ働きかけか

この機に乗じ、ネタニヤフ首相は、ロシアのプーチン大統領と緊密に連絡をとり、イスラエルのイラン軍関係基地への攻撃を黙認してもらうことに成功している。

また、シリア領内で、イランが勢力を伸ばしていることを快く思っていないロシアにとりいり、イランを含むシリア領内にいる外国勢力を、すべて撤退させる案が浮上している。

なお、これについて、シリアのアサド大統領は、そのような合意がイスラエルとロシアの間にあるという事実はないと否定している。

3)ヨーロッパ諸国に核合意からの離脱を訴え

さらにネタニヤフ首相は先週、ドイツ、フランス、イギリスを訪問。訪問先で、アメリカに続いて、イランとの核合意から離脱することを要請した。

ネタニヤフ首相は、BBCでのインタビューに応じ、アメリカが離脱した今、イランとの合意は終了したとの見方を明らかにしている。

https://www.youtube.com/watch?v=22QO6Jhcqz0

しかし、3国は基本的に、イランとの核合意は維持する方向である。   

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/247234

4)「イラン人に命を」:イラン市民へ水リサイクル技術を提供

10日、ネタニヤフ首相は、イラン市民に対し、イスラエルの水のリサイクル技術が多くのイラン人の命を救うとビデオメッセージで訴え、その技術に関するウェブサイトをペルシャ語で立ちあげたと呼びかけた。

ネタニヤフ首相がイランの気象関連組織の情報として語るところによると、イラン人口の96%が、干ばつによるなんらかの被害を受けている。

またイランの農業相によると、イランの5000万人が、環境による被害で移動を余儀なくされているという。ネタニヤフ首相は、これを現イラン政権の失策だと訴えている。

イラン政権は「イスラエルの死を」と叫ぶが、イスラエルは、「イランの人々に命を」と叫ぶと2分あまりのビデオメッセージをユーチューブで流した。

https://www.youtube.com/watch?v=1qZORdDEc3Q
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