米・パリ協定離脱を考える 2017.6.3

 2017-06-03
6月1日、トランプ大統領が正式にパリ協定からの離脱を表明した。ドイツ、フランスをはじめとするEU諸国、日本や、イスラエルもこの動きを「残念」とする声明を出し、アメリカが孤立する流れになっている。

日本でも多くの報道や分析がなされているが、これが何を意味するのか、これからどうなるのか、今後の注目点について、筆者の学びのためにも、ここでもまとめておくこととする。

<まずは・・・パリ協定とは何か>

パリ協定とは、2015年12月に、COP(Conference of Parties) 気候変動枠組条約締約国会議において、採択された国際的な協定(合意)で、地球温暖化を遅らせ、気候変動に伴う大型災害を防ぐために国際社会全体で取り組んでいこうとするグルーバルな試みである。

温室効果ガスの最大排出国であるアメリカ(オバマ前大統領)と中国が批准したことで、2016年11月にこの試みが発動している。

パリ協定では、今から3年後の2020年以降2100年まで(つまり80年先)の、地球の平均気温の上昇を2度以下(目標1.5度)に抑えることが目標とされている。今のまま無策であれば、平均気温は4.8度上昇し、大型災害は避けられないと予測されている。

その具体策として、温室効果があって、地球の温暖化の要因と考えられる二酸化炭素などの温室効果ガスの各国の排出抑制などが挙げられている。

現時点での主な温室効果ガス排出国は、①中国、②アメリカ、③インド ④ロシア ⑤日本で、これらの国々は5年ごとに削減目標を、自主的に提出することになっている。

この他、途上国は、対策にかける費用がなく、災害の被害も最も受けると考えられることから、これらの国々の温暖化対策の支援金として、緑気候基金が設立された。大国がそれに投資する形になっている。

こうした取り組みはパリ協定に始まったことではない。地球温暖化に対処しようとする最初の試み(COP)は、1992年、リオデジャネイロで始まった。この時、気候変動枠組条約というものができた。

以降、関係国は毎年集まっていたが、1997年には京都でCOP3が開かれ、国際条約としての「京都議定書」が、先進国の間で批准された。この時は2020年までの目標が定められた。

この時、アメリカ(ブッシュ前大統領)は不参加を決めて話題となった。また中国とインドは主な二酸化炭素排出国であるにもかかわらず、まだ後進国として認識されていたため、会議には不参加であった。このため、効果はあまりなかったとされる。

今回のパリ条約は、この京都議定書の次の段階として批准されたもので、2020年から2100年までのことが議題とされた。

今回は、すでに実際に温暖化が原因とみられる異常気象が始まっていることから、先進国だけでなく、全世界がこの試みに参加するべきとの流れになった。このため、パリ条約では、1992年に定められた気候変動枠組条約に参加している196カ国がすべて参加する枠組となった。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/256336.html

こうしてみると、国際社会が一丸となって地球温暖化をなんとかしようとしている流れの中で、トランプ大統領は、事なかばにて、椅子を蹴り、「やめます。」と言って水をかけたということである。

<トランプ大統領の言い分と実際>

トランプ大統領の言い分は、平たく言うと「地球温暖化を予防するなど、ほとんど不可能なのに、無駄な取り組みをして、アメリカは、無駄な金を払わされている。こんな無駄金を払うぐらいなら、自国の発展と雇用にまわす。」ということである。

トランプ大統領によると、パリ協定でアメリカ(オバマ前大統領)が緑の気候基金に約束した額は、全世界で100億ドル中、30億ドル(3300億円)。このほかのエコ設備投資なども入れるとアメリカの損失の総額は3兆ドルにもなりうるとトランプ大統領は主張する。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN01H1V_R00C17A6000000/

これについては、全く理解不能ではない。これほどの大金をかけ、80年かけて、気温の上昇を2度にまで抑えるという、なんとも気の長い話である。しかも、実際には、上昇を2度までに抑えられるかどうかもわからず、結局、人類がいくら努力しようが、温暖化を止めることは不可能だというデータもある。

最近では、地殻からくる地球の温暖化を海水が抑えられなくなり、予想以上に気温が上がる可能性があるという説もでている。そうなれば、確かにアメリカが、今これほどの大金を出資して、自国を犠牲にしても、まったく無駄ということにもなりうる。

もしかしたら、トランプ大統領は、いわば、「はだかの王様」に出てくる”本当の事”を叫んだ子供である可能性もある。この後、これに賛同する国々が出てきて、将棋倒し的に協定が崩れる可能性もなきにしもあらずである。

しかし、最終的に、全世界がこれを認め、パリ協定そのものが破棄にならない限り、トランプ大統領は、国際社会全体に逆らうもの、破壊者としか見えないだろう。

なお、アメリカ国内でも、ティラーソン国務長官はじめ、イバンカ補佐官等多数の閣僚も、離脱に反対する意見で、政権内部でも意見は大きく分かれていた。

ティラーソン国務長官は、アメリカが完全に孤立するのを防ぐため、パリ協定は離脱しても1992年の気候変動枠組条約の加盟はやめないと言っているもようである。

<各国の反応:嫌われるアメリカ>

2日、トランプ大統領が、パリ協定からの離脱を正式に表明すると、まずはドイツ、フランスなどEU諸国から、また中国、カナダなど世界諸国から次々にブーイングが飛んだ。

トランプ大統領は、離脱表明とともに、パリ協定の内容の再交渉をしたいと言ったが、当然ながら、フランスのマクロン大統領は、すかさずきっぱりと断った。

パリ協定に同意しないトランプ大統領が、加盟したまま残留し、皆の足をひっぱるよりは、すっぱりやめてくれてよかったという開き直ったような意見もある。

しかし、温暖効果排出第2位のアメリカがこの試みに参加しないとなると、世界がいくらがんばっても温暖化はますます遅らせることができないのではないかという懸念は否めず、アメリカのこの動きはまさに「水をさす」ものである。

先週、トランプ大統領は、NATO首脳会議に出席した際にも、「アメリカだけでなく、加盟国は、全員払うべきメンバーシップをきっちり払うべきだ。」とストレートに語り、首脳たちが眉をひそめる様子が報じられている。

アメリカと欧州との関係悪化は否めないようである。

なお、日本は、安倍首相らが「クールビズ」に身をかため、「トランプ大統領にはついていかない。」旨を表明した。イスラエルも同様である。アメリカ国内からも様々な形でこれに反対するデモも発生している。

<離脱の必要はなかった!?>

どうもこの離脱表明は、アメリカにとって不利に流れているようだが、実際には華々しく離脱表明をする必要はなかったとの意見がある。

アメリカを代表して、パリ条約に署名したケリー前国務長官は、「この条約は単に枠組、つまりボランティアであることが基本になっている。アメリカに課されている義務はない。条件が気に入らないなら、自ら変えることも可能だった。そこから離脱する必要は全くなかった。」と指摘した。

ケリー氏は、この離脱宣言により、「今後、アメリカは国際社会の尊敬と発言権を失うことになる。結局、アメリカ・ファーストがアメリカ・ラストになった。」と激怒している。

http://www.bbc.com/news/av/world-us-canada-40126807/paris-negotiator-john-kerry-grotesque-abdication-of-leadership

この点はロシアのプーチン大統領も同様で、「パリ条約は単なる枠組なのだから、トランプ大統領は離脱する必要はなかったと思う。”Don’t worry, Be Happy”だ。」と笑いとばした。

またプーチン大統領は、「ここ(ロシア)では寒いので温暖化は感じない。」と冗談めいて語り、パリ協定で本当に温暖化は防げるのかどうかも疑問視するような発言をして、「ロシアはロシアのやり方で行く。」との考えを語った。

http://tass.com/politics/949542

また、もう一点ナンセンスな点がある。離脱を大きく宣言したものの、加入国が離脱できるのは、3年以降と定められている。様々な手続きを考えると、実際の離脱は4年先になるという。その時点で、トランプ大統領がまだ大統領であるかどうかもわからないので、その時点で、また状態がひっくりかえっている可能性もあるという。

離脱表明をしてからの4年間は、いわば、辞職願を出してから実際に職場を去るまでのあの、しんどい期間ということである。その時までは、条約に批准したままの中途半端で、アメリカは、発言権を失うだけになる。

実際のところ、アメリカ国内でももすでに進んでいる温暖化ガス削減計画がストップすることもないので、実際は、何も変わらないのに、国際社会でのアメリカの権威がただただ失墜しただけに終わるとの見方もある。

<中国の台頭> http://www.bbc.com/news/world-us-canada-40127896

アメリカが、パリ協定から離脱を表明し、ほくそ笑んだのは中国だと言われている。中国は、すかさず、ドイツとともに、率先してパリ協定を進めていく考えを明らかにした。

中国にすれば、グリーンエネルギー(風力など)の開発や、それらの技術を後進国に販売する、もしくは投資することは大きなビジネスチャンスになりうる。ライバルのアメリカはもういないのである。

今後、この分野では、アメリカに代わって、中国が、国際社会で主導権を発揮していく可能性が出てきた。

中国は先月14日、ロシアやトルコを含む29カ国の首脳を北京に集めて、現代版シルクロード「一帯一路」構想を一歩推し進める会議を行った。これは、中国からヨーロッパに向かう広大な地域を、中国が率先して設備投資するなどして、大経済圏にしようというよびかけである。

トランプ大統領が、アメリカ・ファーストと言って、他国への支援を渋っているのとは逆に、中国は積極的に投資しようとしているのである。ただし、この投資は、曲者で、のちにそれを返金するしくみとなっている。もしできなかった場合は、中国がその主導権をとりあげる、つまりは没収することになる。

スリランカでは、中国の投資で広大な港を建設した。しかし予想よりはるかに利用率が少なく、出資金を返金するみこみがなくなった。するとスリランカは、その港を中国に売却せざるをえなくなった。地域住民は立ち退きの危機にもなっている。

このように、一帯一路構想には、中国が一帯を征服してしまう可能性も秘めていると懸念されているところである。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM09H88_Z01C16A2FF1000/

このほか、中国は、南シナ海に人口島を作り、今や戦闘機も発着できる空港を作ってしまったようである。軍事的にもその影響力は拡大している。トランプ大統領のパリ協定離脱宣言は、まさに中国にとっては渡りに船となったと思われる。

<今後の注目点>

これから注目すべき点は、アメリカに続いてパリ協定を離脱する国があるかどうか。嫌われ者となったアメリカの経済と指導力が、今後どうなっていくのか。そして、中国が本当にパワフルになってくるかどうかなどである。

<石のひとりごと>

今朝聖書を読んでいると次のようなことばが目に付いた。

すべての肉なるものの終わりが、わたしの前に来ている。地は、彼らのゆえに暴虐で満ちているからだ。それで今わたしは、彼らを地とともに滅ぼそうとしている。(創世記6:13)

地球温暖化について、よく考えると、確かにできるかぎりのことはすべきであろう。しかし、もうすでに異常気象は始まっている。

この後に及んでは、もはや人間のわずかな力で温暖化を遅らせることに資金を費やすよりも、それにどう対処していくのかに資金を使った方がいいのかもしれない。

イスラエルは来るべき世界規模の食料危機に備えて、最も早く、少ない水で育つ食料や、最も少ない飼料で最大の牛乳を得る方法、またその保存法などを研究している。大災害、大戦争時にどう市民を保護するのかもきわめて具体的に計画していると聞いている。

無論、聖書の視点で言わせてもらえば、大患難が来る前に、すべてを支配する天地創造の主と和解しておくことはもっと大切だ。

そういう意味では、トランプ大統領は、結果的には自らの孤立というリスクを負って、世界に警鐘を鳴らしたといえるかもしれない。

まあ、トランプ氏の場合、アメリカの雇用だけを考えているのであって、そこまで人類のことを考えていたというのは、こちらの考えすぎだとは思うが・・・。

地球温暖化を遅らせる努力などナンセンスと言ったトランプ大統領が正しかったのか、彼の行動は愚かであって、本当にアメリカが世界の指導者としての立場から落ちて、アメリカ・ラストになってしまうのか、それはこれからの時代が証明する事になる。

それは意外に早く、わかってくることではないかと思う。
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急増する!?イスラム過激派によるテロ 2017.6.2

 2017-06-02
先週、イギリスのマンチェスターで、子供達22人が死亡する残虐なテロが発生したが、それ以降、31日までだけでも46件のイスラムに関係するテロが発生し、408人が死亡している。

*以下のイスラム系のサイトによると、ここしばらく、死者の数が二桁になっている。(犠牲者が1人の事件は省略している。)
https://www.thereligionofpeace.com/attacks/attacks.aspx?Yr=Last30

5/31 アフガニスタン90人、イラク(2カ所)計77人、シリア17人、

5/29 ナイジェリア5人

5/28 イラク(モスル)2回で計52人、フィリピン8人、

5/27 アフガニスタン(3カ所)計50人、フィリピン19人

5/26  エジプト29人

5/25 アフガニスタン(3カ所)計22人、イラク(モスル)10人、ケニア5人、

5/24 アフガニスタン13人、ナイジェリア3人、インドネシア(ジャカルタ)3人、イラク(モスル)23人

多いのはやはりアフガニスタンとイラクだが、意外に多いのがフィリピンである。

エジプトでは4月、コプト教会が爆破されて計45人が死亡し、国家非常事態宣言が出されている最中だが、5月26日、再びコプト教クリスチャンの乗ったバスが銃撃され、29人が死亡した。

http://edition.cnn.com/2017/05/26/africa/egypt-shooting-coptic-christians/

これらのテロの犯行はISISが多いが、アフガニスタンではタリバンなども関わっている。いずれにしてもイスラム関連の過激派である。

こうした中にあるイスラム教国の指導者たちを前に、トランプ大統領は、「過激派をそれぞれで撃滅せよ。」と訴えたわけだが、昔からこの状況にあるイスラム教国の指導者たちからすれば、トランプ大統領の訴えは、非現実的と聞こえたのではないだろうか。

なお、イスラエルでは、今日1日にも西岸地区でイスラエル兵が刺され、犯人はその場で射殺される事件が発生したが、全体的には、テロによる死者数は減少傾向にある。
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テロへの挑戦:トランプ大統領@サウジアラビア 2017.5.23

 2017-05-24
イスラエルに来る前、トランプ大統領は、メッカがあり、イスラム世界の代表としてのサウジアラビアを訪問。史上最大額ともいわれる武器売買取引を行ったほか、リヤドにアッバス議長を含むイスラム教国の指導者50人を招いて、演説を行った。

アメリカ大統領として、ここまでイスラム諸国との対話に臨んだのは初めてである。

このトランプ大統領に対し、サウジアラビアは、オバマ大統領の訪問では、迎えに来なかったサレマン国王(81)が、直々に空港で出迎えたほか、上空では、戦闘機の噴射で青空に星条旗を描くなど、破格の歓迎でトランプ大統領を歓迎した。

1)イスラム諸国に”過激派追放”で一致よびかけ

サウジアラビアは、イスラムの聖地メッカを有する国である。そのサウジアラビアで、トランプ大統領は、イスラム諸国の指導者50人との会議に臨み、演説を行った。

この会議には、ヨルダンのアブダラ国王や、パレスチナ自治政府のアッバス議長も出席している。

オバマ大統領が就任後、カイロで行った演説と比べられるところであるが、トランプ大統領は、今回、民主主義といった欧米独特の価値観はいっさい語らず、お互い違うもの同士、敬意をもって、テロ撃滅を目指して協力しようという切り込みだった。

トランプ大統領は、過激派が残虐な行為に及んでいることをやめさせるためには、アメリカが立ち上がるのを待たず、それぞれが、それぞれの国から過激派を一掃し、互いに協力することで可能になると訴えた。

集められたイスラム諸国の指導者たちは、トランプ大統領が、ほんの最近まで「アメリカはイスラムに憎まれている」と叫び、特定の国々の人の入国制限をしたりして、イスラムに明確に敵対する発言をしていただけに、どうもけげんそうな顔で、トランプ大統領の話を聞いていた。

しかし、ここでさすがビジネスマンである。トランプ大統領は、サウジアラビアに、1100億ドル(約12兆円)もの武器輸出の取引を行った。今後10年で計3500億ドル(約36兆円)に上ると、イスラム諸国指導者たちに語った。

これにより、トランプ大統領は本気であり、本気でテロと戦う者のためには、実質の支援を行うということを指導者たちに示すことになった。

また、アメリカとの取引を成立させたサウジアラビアが、両手を上げてのトランプ大統領支援を見て、他のイスラム諸国も、将来、テロ一掃で、協力一致する可能性もなきにしもあらずという雰囲気のようである。

https://www.washingtonpost.com/politics/us-and-gulf-nations-agree-to-crack-down-on-terror-financing/2017/05/21/e1222b34-3dfd-11e7-9e48-c4f199710b69_story.html?utm_term=.758907718edf

トランプ大統領は、サウジアラビア訪問について、イスラム諸国との間になんらかの会話の糸口ができたとして、「大きな成果だ」と、自ら高く評価し、イスラエルでも何度もこの話をアピールした。

2)米史上最大計36兆円の武器取引成立の意味

トランプ大統領は、到着したその日のうちに、サウジアラビアとの武器取引に署名している。これはアメリカの武器輸出では市場最大だという。ここまで話が早いのは、上級顧問のクシュナー氏が手回しをしておいたからだという。

https://www.vox.com/2017/5/20/15626638/trump-saudi-arabia-arms-deal

トランプ大統領は、この取引がアメリカ産業の活性化と雇用の促進につながるとも語った。

この一件は、サウジアラビアと敵対するイランをけん制することになるため、イランと敵対するイスラエルも歓迎する流れになっている。しかし、この動きに警戒する声もある。

イスラエルのエネルギー相ユバル・ステイニッツ氏は、イスラエルが今後も中東では最強というポジションを保持できるのかどうか、よく監視しなければならないと警告した。

サウジアラビアは、基本的にイスラエルと国交のないイスラムの国である。過去には、スンニ派過激派組織アルカイダを生み出し、その支援を行っていた。将来、イスラエルに牙をむくようになる可能性は否定できない。

そのサウジアラビアが、今回の取引で、アメリカから購入することになったのは、最新式の戦車や戦艦4隻、サイバー関係の武器や、THAAD(弾道ミサイル迎撃システム)を含むかなり最先端の武器が含まれている。将来、万が一にもイスラエルに敵対するようになれば、危険なことにもなりうる。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4965141,00.html

また、サウジアラビアは、今実際に戦争をしている国である。イエメンで、イランが支援する過激派フーシ派が暴れ始めたため、イエメン政府軍を支援しているのがサウジアラビアである。つまり、イエメンを舞台にイランとサウジが戦争をしているのである。

そういう中で、サウジアラビアに相当な武器支援をするということは、今後、イエメンでそれらが使われ、結局、市民の犠牲が増えることになる可能性が高い。イエメンではすでに市民1万人以上が死亡し、300万人が難民になったとみられる。

さらに、WHOによると、イエメンでは、極悪な生活状況から、現在、コレラが爆発的に急激に広がっており、19日までに242人の死亡が確認され、2万3000人以上が感染した疑いがあるとして、問題になりはじめているところである。

http://www.asahi.com/articles/ASK5J560FK5JUHBI01P.html

ステイニッツ氏は、「トランプ大統領は、この取引でアメリカの雇用につながると言っているが、武器の取引は、もっと慎重であるべきであり、雇用促進を目的にするものではない。」と警告している。

<石のひとりごと:実質優先>

アラブ諸国との関係の糸口は、トランプ大統領が、サウジアラビアに口だけでなく、実質の武器輸出の取引を実現したことによる。結局のところ、中東では、実質だけがものを言う。

また、トランプ大統領は、まさにビジネスマンである。到着のその日に、さっさと超大口の取引にサインしてから、その後に、友好関係を深める行事には入っている。実質がない友好関係はないからである。

以前、イスラエル人ビジネスマンが言っていたが、日本ではその逆で、先に友好を深める行事があって、関係ができてからはじめて取引に入るという。帰国当日になってようやく取引の話になることに当初はとまどったと言っていたのを思い出した。

ビジネスマンは、実質をみきわめ、結果と収益を最優先し、柔軟に考えを変える。相手にどうみられるかなどはほとんど意味がない。「よい人」ジェントルマンであったオバマ大統領とは正反対である。

今のトランプ大統領の中東政策がどのようになっていくかは、まだまだ不明だが、中東における「アメリカの存在感」は、確かに以前のそれに戻りつつあるようである。

<石のひとりごと2:世俗ビジネスマンの強み?>

今回、メラニア夫人は、サウジアラビアという敬虔なイスラム国訪問に際し、髪のおおいをつけなかった。

トランプ大統領は、以前、オバマ前大統領夫人が、サウジアラビアを訪問した際、髪におおいをつけていなかったことについて、「相手国に対する侮辱だ。」と非難していたので、これいかに、とメディアは鬼の首をとったように指摘した。

トランプ大統領は当然、「相手国から求められなかったから」と全く気にしていない。しかし、逆に被らなかったことで、サウジアラビアとアメリカが、お互い違った文化であることを認めあうという対等関係のアピールになったかもしれない。

トランプ大統領は、日曜に教会に行かずにイスラム教国で公務にあたり、娘一家のクシュナー家は、ユダヤ教徒であるといいながら、安息日に、公務を優先して飛行機に乗っている(ラビの許可はあったとのこと)。

宗教にそこまでこだわらない世俗ビジネスマンであるからこその、今回の3宗教聖地訪問の動きであろうが、アメリカは一応、キリスト教の国であったはずだがな・・・とちょっと頭を掻いているところである。(敬虔なクリスチャンのペンス副大統領は留守番か、同行していない)
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フランス大統領選挙で緊張するユダヤ人 2017.4.26

 2017-04-26
フランスの大統領選挙が行われ、無所属・中道派マフロン氏と、極右の国民戦線党のルペン氏が上位2位となり、5月7日の決選投票に臨むこととなった。

ルペン氏は、その後、国民戦線党の党首を一時降りると発表した。右派でけでなく、フランス市民すべてを代表するとのジェスチャーである。しかし、ルペン氏自身が移民排斥とEU離脱を支持する極右であることに変わりはない。

フランスでは、すでに反ユダヤ主義事件が増加しているが、国粋主義者のルペン氏が大統領になると、その傾向はさらに悪化する可能性が高い。

ルペン氏は、大統領になった際には、公共の場でユダヤ人がキッパをつける事を禁じることや、フランス在住のユダヤ人は、イスラエルとの二重国籍を認めない、つまり、イスラエル人であることを放棄しなければならない、などの方針を語っているという。

http://www.jpost.com/Diaspora/Le-Pen-If-elected-French-Jews-will-have-to-renounce-Israeli-citizenship-481140

また、ルペン氏は、ホロコーストに関して、フランスに責任はないと主張する。しかし、フランスは、ナチにユダヤ人を引き渡しているので、責任はないとは決して言えないはずである。

イスラエルのリブリン大統領は、ホロコースト記念式典のスピーチにおいて、公にルペン氏を非難した。

http://www.timesofisrael.com/blasting-le-pen-rivlin-calls-for-war-on-new-kind-of-holocaust-denial/

現在のヨーロッパは、ヒトラーが登場した30年代に似てきたと言われる。ホロコーストの初期、一部のユダヤ人はヨーロッパから脱出した。しかし、多くのユダヤ人たちは、だんだん迫害が悪化する中でも、まさか事態がそこまで悪化するとは思わず、「この嵐はもうすぐすぎる。」と考えて脱出しなかった。それで虐殺されてしまったのである。

ロシアのチーフラビは、「万が一、ルペン氏が大統領になったら、フランスのユダヤ人はすぐに脱出すべきだ。」と警告した。

http://www.jpost.com/Diaspora/Russian-chief-rabbi-Frances-Jews-should-leave-if-Le-Pen-wins-election-488687
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アメリカの脅しは効果的か?北朝鮮問題 2017.4.21

 2017-04-22
アメリカと北朝鮮の関係もまだ緊張が続いているが、17日からは、ペンス副大統領が、韓国、日本、中国とアジアを歴訪中し、「もはや戦略的忍耐の時代は終わった。」というメッセージを発し続けている。

トランプ大統領は、あえて、北朝鮮に対する赤線を明確にしない方策をとっており、いつ何時アメリカが北挑戦を攻撃してもおかしくないというメッセージを伝えている。赤線がない分、北朝鮮にとっては、対策のしようがない形だ。

一方で、中国に対し、貿易不均衡への制裁というカードを使い、それを思いとどまる代わりに、北朝鮮の挑発行為をやめるよう中国から圧力をかけるようにとの取引が行われたもようである。トランプ政権が、まずは、外交的解決を重視した形だ。

その後、トランプ大統領は、中国の北挑戦に対する対策を高く評価する声明を出していることから、中国が北朝鮮に対し、様々な圧力をかけているとみられている。

アメリカの原子力空母カール・ビンソンは、現在、報じられていたより遅い速度で、まだインドネシア周辺から日本海方面に向けて、航行中である。途中、日本の海上自衛隊と共同の訓練も検討されている。

なお、アメリカが目指すのは、北朝鮮の非核化である。国連安保理は、ロシアが拒否権を発動するなどのゴタゴタがある中、21日にようやく、北朝鮮に対する非難決議を出した。

トランプ大統領は、就任時とは一変、世界の警察アメリカの復帰といわれるような動きに出ている。大きな権力をあたえられたトランプ大統領とその側近たちを覚えてのとりなしが必要である。

*日本政府:都道府県にミサイル着弾時の避難準備を指示

こうした事態を受けて、北朝鮮のミサイルが日本国内に着弾する可能性もありうるとして、政府は21日、全国都道府県に対し、ミサイル着弾時の避難経路などの準備や、市民の訓練を行うよう指示を出した。

イスラエルでもこうした訓練は日々行っているため、ミサイルが来ても市民らは冷静に動いている。日本政府の避難指示は以下の通り。有事の対処法などが具体的に描かれている。 http://www.kokuminhogo.go.jp 
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