トランプ政権の外交始動 2017.2.3

 2017-02-03
トランプ政権が発足して2週間。これまでの間に実に様々なことがあったが、世界情勢は動いており、トランプ政権も不動とはいかなくなりつつある。今後徐々に外交姿勢もあきらかになってくるとみられる。

特に、今のトランプ政権が直面するのは、オバマ前大統領が、あまりにも紳士的すぎたせいか、挑発的になってきているロシア、イラン、中国、北朝鮮の脅威である。

1)どうするロシアとの関係?:緊迫するウクライナ情勢

トランプ大統領は、大統領選挙運動中から、ロシアとの関係改善をめざすとの姿勢を明らかにしていた。

これを受けて、ロシアは、アメリカはもはや驚異ではないと判断したのか、昨年12月、シリアで膠着していたアレッポでの戦いに猛烈に乗り出し、シリア政府軍に奪回させるという流れになっていた。

今度は膠着しているウクライナ情勢である。2月に入ってから東ウクライナで、ロシア軍とウクライナ軍が激しい交戦状態に陥り、これまでに市民を含む15人以上の死者が発生している。

ウクライナ紛争は、東ウクライナを併合しようとするロシアと、それをわたすまいとするウクライナ(欧米より政府)との紛争である。いわば東西対立の最前線といえる。

今回、紛争が再燃したことについて、ロシアは、ウクライナ側から仕掛けられたと主張し、ウクライナは、ロシアが先に攻撃したと主張している。

今回、両者が交戦状態になったのは、トランプ大統領が、プーチン大統領と電話で話した翌日であったことから、ロシアがアメリカの力量を試しているとの見方もある。トランプ大統領への初の外交テストだとして注目されている。

http://www.bbc.com/news/world-europe-38850375

また、ウクライナ問題については、NATOの問題でもあり、アメリカとヨーロッパが今後どう付き合っていくのかの指針にも関わってくる問題といえる。

2)どうするイランとの関係?:イランが大陸弾道ミサイル実験

トランプ大統領の入国禁止に指定された中東、アフリカ7カ国にイランが入っていることで、すでにアメリカとイランの関係にはひびが入り始めているところである。

そんな中、イランが、先週末、長距離弾道ミサイルの発射実験を行った。イランもこれを認めたが、安保理条約には違反しないと主張している。

これに対し、アメリカは、「全く受け入れられない」とのコメントを発表。アメリカの安全保障担当大統領補佐官マイケル・フリン氏が、この件に関する記者会見を行い、アメリカは公式にイランに警告したことを明らかにした。*この後、経済制裁発動とのニュースが入っている。

フリン氏は、イランが、核兵器開発以外にも、武器輸出、テロ支援などにも関わっているとし、イエメンで、イランの支援を受けてサウジアラビアと戦う過激派シーア派組織フーシ派が、サウジの空母を爆撃したことも例としてあげた。

フリン氏は、イランが核兵器開発以外にも、世界の平和を脅かす行為があることから、先に世界6大国とイランが結んだ核兵器開発に関する合意とそれに続く経済封鎖緩和に弱点があることを認めるとした。

フリン氏は、イランは、世界6大国との合意で、本来は感謝すべきところ、逆に強気になっていると語った。

http://www.bbc.com/news/world-us-canada-38832407

3)どうする中国・北朝鮮との関係?:マティス国防長官の早期アジア訪問

トランプ大統領は、中国に対して、厳しい発言を行っている。

政権発足後、マティス米国防長官が、最初に訪問した先が、韓国と日本であった。挑戦的な行為が続く中国、北朝鮮に対し、アメリカ、韓国、日本が一致していることを強調した形だ。

韓国で、マティス長官は、「もし北朝鮮が、核兵器を使うなら、圧倒的な反撃を受ける。」と北朝鮮に釘を刺した。

アメリカは北朝鮮の核兵器に備え、韓国にTHAADという高度な迎撃ミサイルシステムを配置している。しかし、このシステムは、中国、ロシアとの戦いにも備えうることから、中国、ロシアは、アメリカに抗議しているという。

http://www.bbc.com/news/world-asia-38850995

日本では、安倍首相との会談において、日米安全保障条約第5条の重要性を確認し、アメリカと日本の友好、安保関係を確認。東シナ海や尖閣諸島で挑発的な行為を続ける中国を牽制した。

トランプ大統領は、駐日米軍の駐留経費は日本が払うべきと主張し、払わなければ米軍は撤退させる言い、地域の安全保障に懸念が持たれていた。しかし、マティス長官によれば、経費負担は日本に求めない方向のようである。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H3O_T00C17A2MM8000/?dg=1&nf=1
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トランプ政権の最重要人事 2017.2.3

 2017-02-03
トランプ政権の重要な2ポストの人事が明らかになった。

1)連邦最高裁判官推薦:ニール・ゴーサッチ氏(49)

トランプ大統領は1日、ニール・ゴーサッチ氏(49)を連邦最高裁判官に推薦したと発表した。

連邦裁判官は一年前から欠員になっており、トランプ大統領がだれを推薦するのかが注目されていたが、公約通りゴーサッチ氏を推薦したものである。上院が合意すれば、ゴーサッチ氏がこのポストにつくことになる。

ゴーサッチ氏は、プロテスタントで保守派。中絶や同性愛結婚、安楽死などに反対する立場で知られる。連邦最高裁判官は、終身就任となっている。

http://www.bbc.com/news/world-us-canada-38818482

2)国務長官就任:レックス・ティラーソン氏(64)

1日夜、ティラーソン氏が、アメリカの国務長官に就任した。ケリー前国務長官の後を引き継ぐ。これから外交の舞台でティラーソン氏を日々みかけることになる。

ティラーソン氏は、大手石油会社エクソンモービルのCEOという経歴を持つベテランのビジネスマンである。ロシアとの関係が強いため、懸念も持たれているが、逆に期待されている部分でもある。

<石のひとりごと>

トランプ大統領は、就任以来、大胆に次々に大統領令をとばして世界を騒がせている。発言もツイッターもその言葉遣いは、テレビのトークショーばりで、いかにも品がない。

今日は、オーストラリアとオバマ前大統領が交わした公約を、”Dump Deal”と呼んで、最悪だとニュースになっていた。

これは日本語で言うなら、「くそ約束」である。もし安倍首相が、「くそ約束」などと言えば、お上品な日本では即刻、クビではなかろうか。

品がないにもほどがあるが、それでもアメリカ人の友人たちに聞くと、「確かに口は悪いが、よく考えれば筋は通っている。メディアが悪いイメージにしているだけだ。」とか、「トランプ大統領は変化をもたらすだろう。その変化は、少なくともオバマやヒラリーではもたらしえないものだと思う。」という返答が来る。

特に福音派アメリカ人にとっては副大統領は、ボーン・アゲインクリスチャンで、連邦最高裁判官も中絶にも反対の保守派、しかも親イスラエル、となると、オバマ大統領時代にくずされたアメリカの本来の倫理観が回復するのではないかとの期待もあるようだ。

しかしながら、黙示録17:16−19のようなこともあるので、まだまだ懐疑的な思いはとり去れないところである。

ところで、トランプ氏は70歳ながら、身長190センチ、体重100キロ以上あるという。奥様のメラニアさんも180センチだとか。大きな態度や言葉遣いで、世界をふりまわす姿をみていると、ドラえもんの「ジャイアン」みたいではないかと思わされている。
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トランプ政権とイスラム社会の対立 2017.1.30

 2017-01-30
日本でも報じられているところだが、トランプ大統領は、アメリカに敵対する意思がみられるとする中東、アフリカのイスラム教徒の国7カ国イラク、イラン、シリア、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンからの入国をむこう90日間停止すると発表した。

難民の場合は120日間停止する。シリア難民については、基本的に受け入れを停止するという厳しい内容だ。

この方針は、議会での審議を通さない大統領として発令されたものであり、ただちに実行に移されることとなった。

これにより、アメリカの永住権や正式なビザを持っているにもかかわらず、アメリカに戻れない人が続出している。中には仕事で出国していたり、ちょっとした里帰りで上記の国々に行っていて帰れなくなった人もあり、家族が離れ離れになる人も出ている。

BBCによると、イラク出身にある夫婦は、何年もかけてようやくアメリカの永住権を取り、家を売り、仕事も辞めて、アメリカ行きの飛行機に乗ったところで、この事態になったという。いまさらイラクに戻っても行くところがない。

空港で途方にくれたり、「どうしたらいいかわからない。」と涙する人もいる。中には航空会社の客室乗務員がアメリカに到着後、入国できないといったケースもある。

こうした事柄は、人々の人生を大きく変えることになるため、通常なら、長い準備期間をかけて行うものなのだが、トランプ大統領はこれをなんの準備もなく、速攻で実施に移したため、非常な混乱となったのである。

BBCによると、アメリカの空港や出発地、中継地で足止めになっている人の数は100−200人に上っているという。身柄を拘束された人もいる。アメリカ各地の空港の外では、数千人が、「これはアメリカではない。」として方針に反対するデモを行っている。

こうした事態を受けてアメリカの連邦裁判所は、異例ながら大統領令に反して、空港で身柄を拘束されいる人々の国外追放処置は保留にするようにとの命令を出した。これにより、アメリカ各地で裁判所が、拘束されている人々に同様の措置を行っているが、まだまだごく一部にしか到達できていないという。

この問題は国際問題にも発展し始めている。たとえば中東系のイギリス市民は、れっきとしてイギリス人だが、今回の処置に該当する国の出身者であった場合、アメリカに入国できないことになる。これはイギリス市民を入国させないということにもなるのである。

すでにイギリスとドイツがこの方策に反対すると公式表明している。

今後は、アメリカ国内にいる移住者にも強制送還の可能性が出てくるが、特にアップルやグーグルなどIT企業には、該当7カ国からの技術者も少なくないという。社員が強制送還されると会社の業務にも関わるとして、この方針に懸念を表明している。

アメリカの混乱はしばらくは続くとみられる。

http://www.bbc.com/news/world-us-canada-38781302

<トランプ政権の言い分>

混乱について、ホワイトハウス側は、「1日に32万5000人が通過するアメリカの空港で、今回身柄を拘束されたのは、109人にすぎず、その大部分も解放されている。

まだ拘束されている人々は、本当にアメリカにとって安全であるかどうかを精査する必要のある人々であり、アメリカの理念に違反することは何もない。」と言っている。

トランプ大統領は、「アメリカは何年も前から、こうした徹底した入国審査を行ってくるべきであった。」と語っている。

http://www.bbc.com/news/world-us-canada-38790629

*イスラエルはシリア難民のこども100人を受け入れへ

アメリカが難民を締め出す中、25日、イスラエル内務省はシリア人難民の子供100人に難民のステータスを与えて受け入れると発表した。当面は仮永住だが、4年後には永住権を得て、生涯、イスラエルで生きて行く権利が与えられることになる。

子供達とその家族も同様の権利を得る可能性を持つという。シリア難民たちはイスラエルのアラブ人社会に吸収される形をとっていくみこみ。

イスラエルでは、隣国でシリア人たちが苦しんでいることに対し、救済しようとする声が高まっていた。難民を迎えることで、アラブ人社会にも広がる反イスラエル感情を抑えるねらいがあるのかもしれない。

http://www.timesofisrael.com/israel-to-take-in-100-orphaned-syrian-children-as-refugees/

<中東諸国の反応>

アルジャジーラによると、トランプ大統領に入国制限される7カ国の出身者でアメリカに住むビザを保有する人々のうち、45%はイラン出身者である。現在、100万人を超えるイラン人がアメリカに在住している。

このため、今回名指しされた7カ国のうち、イランが最も影響を受けるとみられる。

イランは、報復措置として、アメリカ人の入国を制限すると発表した。ザリフ外相は、「トランプ大統領の政策は”過激派へ贈り物だ」と今後、テロや暴力が増えてくる可能性を示唆した。

http://www.aljazeera.com/news/2017/01/iran-trump-muslim-ban-170129070556489.html

イラクでは、現在、ISISに支配されている都市モスルを解放するため、イラク軍と5000人以上に上るアメリカ軍がともに戦っている。そこへ、アメリカ政府がイラクも入国制限を適応する国に含めたことで、その協力関係に波風がたっている。

イラクも報復措置を講じているところである。

http://www.jpost.com/Middle-East/ISIS-Threat/Iraq-to-oppose-US-travel-curbs-to-preserve-alliance-against-ISIS-479912
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トランプ次期大統領と中東・これから 2016.11.17

 2016-11-17
選挙前日まで90%クリントン氏の勝利と伝えられておきながら、次期大統領に選出されたドナルト・トランプ氏(70)。世界中がこの話題でわきたち、なにやら妙な地球一体感まで感じるほどである。

トランプ氏が当選すると、メキシコなどアメリカの周辺諸国はじめ、シリアの反政府勢力から、アサド大統領、イラン、ロシアと対峙するウクライナ、NATO、EU離脱へ進むイギリス、・・・皆それぞれ「これからどうなる?」と考え、動き始めている。

日本も当然、例外ではない。沖縄米軍基地問題にTPP白紙か。。。トランプ氏の影響で、日本円が、わずか数日の間に8円も下がった。安倍首相は17日、世界の首脳としては最初にトランプ氏に会うことになっている。相手が「アメリカ一番」なら、こちらも「日本一番」で頑張ってもらいたいところである。

こうした中、前のオバマ政権+クリントン氏と違って、トランプ氏は、①中絶反対②同性結婚反対などの他、イスラエルに好意的ともみられ、福音派クリスチャンからの反応はおおむね良好のようである。しかし、現時点でそう言い切れるのか・・・?

<トランプ氏は右派・親イスラエルか!?:イスラエルの反応>

いうまでもなく、イスラエルは、アメリカに依存状態であるため、次期大統領の動きは死活問題である。トランプ氏が次期米大統領に決まって喜んだのは右派だった。

まず、トランプ氏は、アメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移動すると公約している。つまり、首都をエルサレムと認めるということで、これはイスラエルの悲願。これまでにこの公約をした人物が大統領になったことはなかった。

ネタニヤフ首相とオバマ大統領との関係がこじれたことで、イスラエルとアメリカの関係は、この8年の間に冷え切ったと言われているが、トランプ氏の登場で、まずはアメリカとの関係の改善が、期待されている。

次に、トランプ氏は共和党で、もともと国内重視の民主党より、右派強硬になる傾向があると考えられる点。今回、上下院とも共和党が多数となり、オバマ政権の時のねじれ国会ではなくなった。トランプ氏が動き易い環境になっている。

さらに、トランプ氏が次期政権移行・人選準備委員会のリーダー、また次期副大統領に選んだのが、マイク・ペンス氏である。ペンス氏は、カトリックのボーンアゲインクリスチャンで、自分を①クリスチャン②保守派③共和党と位置付けている。親イスラエルの立場とみられる。

トランプ氏の自慢の娘イバンカ氏は、美貌のモデルであると同時に、敏腕ビジネスウーマン。ユダヤ教に改宗し、ユダヤ人の夫と結婚している。このイバンカ氏がトランプ氏に持つ影響力は大きい。政権人事にも介入しているといわれる。

こうしてみると、次期トランプ政権は、かなりイスラエルに追い風になるのではないかとの楽観視が、イスラエルの右派勢の間にひろがっている。

強硬右派のユダヤの家党・党首ベネット氏は、西岸地区の入植地拡大に関するアメリカの軟化すると見て、「千載一遇のチャンスの時」、「パレスチナ国家の時代は終わった。」などとと述べ、イスラエルでも政策を変化させるべきと主張。

さっそく、アモナなど現時点では違法な西岸地区のユダヤ人入植地の合法化も可能になる”正常化”法案を提出し、国会への準備委員会を通過した。

http://www.jpost.com/US-Elections/Donald-Trump/Likud-MKs-react-to-Trumps-victory-in-US-Presidential-Election-472088

しかし、トランプ氏に両手を上げて期待するのは右派のみで、トランプ氏が、経験不足は言うまでもなく、パレスチナ問題の基本的なことすら知らないとみられる点を懸念する声も少なくない。

中東のエキスパート、モルデカイ・ケダール博士も、トランプ氏のあまりの未知数に、「今は何を言っても、あとで後悔する。」と述べている。つまり、予想不能ということである。

http://www.israelnationalnews.com/Articles/Article.aspx/19740

<イスラエルからの今後の注目点>

1)パレスチナ問題

トランプ氏は、イスラエル支持の立場を非常に明確に述べ、就任早々にもネタニヤフ首相を招いて会談をする意向を表明している。また、トランプ氏は、国連で、イスラエルを否定するような決議が出た場合には、必ず拒否権を発動するとも言っている。

また、アメリカの大使館をエルサレムに移動を公約に掲げているが、これは、エルサレムをイスラエルの首都として認めることになると同時に、東エルサレムを首都とするパレスチナ国家を否定することにもつながる。

これらが実際に、実現するかどうかは未知数であるが、もし公言通りであれば、パレスチナ人の反発、暴力が悪化するのは避けられず、トランプ氏が、イスラエル支持だからといって、平和が期待されるわけでもない。今はバランスを崩すことの方が危険なのである。

しかし、イスラエルが今、懸念するのは、トランプ氏が大統領に就任するまでの2ヶ月である。この間に、国連か、フランスがあらたなパレスチナ問題に関する和平交渉を持ち出す可能性がある。その場合、オバマ大統領は、イスラエルを見放して、支持しない可能性もある。

http://www.jpost.com/Israel-News/Trump-Israeli-Palestinian-peace-would-be-ultimate-deal-472404

2)イラン問題

トランプ氏は、オバマ大統領がすすめたイランとの核兵器に関する合意を”惨事”と酷評し、これを反故にすると言っている。イランと交渉し直すのか、新しい条件を提示するのかなど、詳細はまだ明らかでない。

3)ロシアとの関係

トランプ氏は、ロシアのプーチン大統領との関係改善を主張する。しかし、中東においては、単純にロシアとの関係だけにとどまらず、それに付随して様々な矛盾が生じてしまう。

まず、ロシアは、アサド政権維持を主張しながら、ISISのみならず、シリアの反政府勢力を攻撃している。

オバマ政権は、その反政府勢力を支援しているのだから、トランプ氏のロシアとの関係改善は、シリアの反政府勢力からすれば、いわば裏切り行為となる。アメリカは反政府勢力支援から手を引いていくことになるのか。。?

実際、トランプ氏が選挙で当選すると、プーチン大統領は早々とトランプ氏に祝いを述べて、両者は米ロの関係回復をアピールした。

この直後、まるでアメリカがゴーサインを出したかのごとく、ロシアは、アレッポの反政府勢力への激しい空爆を再開している。シリア反政府勢力は困惑しているはずである。

また、シリアのアサド大統領は、トランプ氏を「自然に味方になりうる」と考えていることが、ポルトガル・メディアのインタビューで明らかになった。

http://www.nytimes.com/2016/11/17/world/middleeast/assad-donald-trump-syria-natural-ally.html?_r=0

アサド大統領は、イスラエルを絶対的に敵視するヒズボラやイランとも組んでいる。したがって、イランとの合意を破棄し、イスラエルを支持するというトランプ氏の方針とは完全に矛盾する。

トランプ氏がいったいどこまで真剣に中東問題を考えているのか、どうでるつもりなのか、現時点では、やはりまだ判断不可能ということである。

もう一点、忘れてならないのが、ここ数年、アメリカ、NATOの協力を得てロシアと戦っているウクライナである。万が一、アメリカがロシアと接近し、ウクライナ支援、またNATOからも手を引くことがあれば、ウクライナはあっというまにロシアにとられてしまうだろう。

トランプ氏が巻き起こす変化は、本当に全世界を巻き込む大事になりうるということのようである。

<新世界秩序!?:ヨーロッパのラビたちが懸念>

トランプ氏には、どうしても、「白人優先」のイメージがつきまとう。メキシコとの間に壁を作ると主張したり、イスラム教徒を追い出すと公言するなど、白人の国粋主義ともとれる。

トランプ氏が次期大統領に決まると、一時、アメリカ各地で、イスラム教徒や、有色人種などが、「トランプは私の大統領ではない」と主張するデモも発生した。

アメリカには現在1100万人の違法滞在者がいるが、そのうち300万人が犯罪歴があり、アメリカから追い出される可能性が出てきた。すると、カナダやニュージーランド、オーストラリアへの移住に関するサイトのアクセス数がうなぎのぼりだという。

フランスでは、来春、新大統領が誕生することになるが、極右政党のマリア・ル・ペン氏が台頭しそうな勢いである。ル・ペン氏はトランプ氏が大統領になったことを称賛している。

ルペン氏は、イギリスに続いてフランスもEUから離脱するべきと訴えており、万が一、ルペン氏が大統領になった場合、国民投票を実施する構えである。フランスがEUから離脱すると、これはもうEUの崩壊と思わなければならない。

オバマ大統領は今、ギリシャからドイツへと、最後のヨーロッパ巡回訪問を行っているが、最初の寄港地、ギリシャでの演説で、世界のポピュリズム、国粋主義の台頭について、警告を発している。

https://www.washingtonpost.com/news/post-politics/wp/2016/11/15/in-athens-obama-warns-against-a-crude-sort-of-nationalism-or-tribalism-taking-root-in-the-u-s/

こうした社会の流れは、有色人種や、イスラム教徒のみならず、反ユダヤ主義の台頭にもつながると懸念されている。

15日、ヨーロッパのラビたち700人が集まるのカンファレンスにおいて、代表のラビ・ピンハス・ゴールドシュミットは、ルペン氏をナチス以来の極右だと指摘。”新世界秩序”の始まりだと警告し、ユダヤ人の自由を守っていく決意を述べた。

http://www.jpost.com/Diaspora/Top-European-rabbi-Trump-victory-is-the-start-of-a-new-world-order-472687

<ニューヨークの講壇から:タイムズ・スクエア・チャーチ>

トランプ氏のお膝元ニューヨーク市には、「十字架と飛び出しナイフ」で知られたデービッド・ウイルカーソン氏が立ち上げたタイムズ・スクエア・チャーチがある。霊的すぎず、現実的すぎず、筆者個人の考えだが、堅実な伝道活動を行っている。

アメリカの大統領選挙直後の日曜、カーター・コンロン牧師は、黙示録3:7−11から「すこしばかりの力の責任」というメッセージを語った。

コンロン牧師は、世界がそれぞれの利益を追求しはじめ、やがては全世界は滅びにむかうと警告。それは実際に世界が崩壊するというよりも、もっと本質的な問題、霊的な永遠の滅びと、それに対する戦いが始まったばかりだと語る。

その激しい霊的な戦いの中で、教会は、実績などはなんのたよりにもならず、いよいよ自分ではなにもできない、自分は、実は取るに足りない小さな無力な存在だったという真実に到達する。しかし、それは決して悪いことではないとコンロン師。

「わたしは、だれも閉じることのできない門をあなたの前に開いておいた。なぜなら、あなたに少しばかりの力があって、わたしのことばを守り、わたしの名を否まなかったからである。(黙示録3:7−8)」

教会は決して偉大である必要はない。立派な功績を主がもとめておられるのではない。「自分は小さい」ということを、本当に自覚したときにこそ、主がすでに用意されている開いた扉から入って、主の栄光を表すことができる。

だからこそ、「自分は小さい」ということに落ち込むのではなく、そのときこそ、主の用意された扉から入っていけるのだと訴える。

この約束のもと、コンロン牧師は、私たちが私個人という視点だけではなく、個人を超えたところに属し、主の働きをしている視点と自覚があるかどうかと呼び掛けている。

コンロン牧師は、これからの困難な時代、地上で、主のからだとして建てられている教会の、主の栄光を表す器としての働きの重要性を訴えている。

http://www.tscnyc.org/media_center.php?pg=sermons

<石のひとりごと>

今回、アメリカ大統領選挙を通して、メディアによって右派か左派かで、記事の雰囲気がここまで違うのかということに驚かされた。

イギリスのBBCは明らかに左派であるため、トランプ氏の大どんでん返し当選のニュースを、「だれも望んでいなかったのに・・」とまるでお葬式のような雰囲気で伝えていた。

一方で、アメリカのフォックスニュースは明らかに右派。普段からBBCよりキャピキャピなのだが、トランプ氏の当選はまるで祝い行事のように伝えていた。

イスラエルのメディアでは、エルサレムポストは右で、ハアレツ紙は完全なる左である。当然、パレスチナメディアにも目を配らなければ、偏ってしまう。

トランプ氏当選以来、あまりにも様々な予想やコメントがあり、それらを読みあさるだけで、相当な時間をとられてしまった。これから終末時代を迎えるにあたり、まずは、メディアは一つではないということを肝に銘じる必要があると実感した。

一つの報道だけをうのみにせず、別の見方もあるということをよく知っておかなければ、私たちは、いとも簡単に間違った方向へと流されてしまうだろう。

海外からの報道が極端に視聴しにくい日本では、逆に守られるのかもしれないが、他を見ないだけに、政府の報道規制に気がつかないまま、政府の思うまま、またある特殊な組織の言うままに流されていく危険性はあると思う。

将来、反キリストが来たとき、メディアを利用するであろうことは容易に想像出来る。私たちは十分に危機感をもち、世界で何が起こっているかに取り残されず、かつ、主の声だけに聞き従っていく訓練をしておかなければならない。

今回、トランプ氏が、口だけかもしれないが、やたらイスラエルよりの発言が多いことから、はじめのうちはイスラエルと硬い契約を結び、途中から態度を激変させるという反キリストのパターンを彷彿とさせられた。

もちろん、トランプ氏が反キリストだと言っているのではない。しかし、表向きの言葉や政策だけで判断するのではなく、慎重に世界がどうむかっていくのかを見極める必要があるということは改めて実感させられた。

*お知らせ

CGNTVオリーブ山便りでは、イスラエルからのニュース解説を映像で提供しています。サイトは画面も大きくなり、見やすくなりました。ぜひご利用ください。http://japan.cgntv.net/detail.php?number=2751
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米大統領選不在者投票:イスラエルでは”一応”トランプ氏の勝ち 2016.11.6

 2016-11-06
アメリカ大統領選挙が近づいている。イスラエルには、アメリカ国籍を持つ人が20万人いるという。イスラエルでは世界でも先駆けて不在者投票が行われ、その出口調査の結果が報じられた。(データ:IvoteIsrael/イスラエル在住アメリカ人の投票支援をするNGO)

結果、投票したのは、3万人で、このうち出口調査に応じた1140人によると、共和党トランプ氏:49%、民主党クリントン氏:44%だった。

イスラエルでは、テロ対策に強行になる傾向にある共和党支持が圧倒的に多くなる傾向があり、2008年と2012年の大統領選挙の時はどちらも共和党に投票したのが平均で75%だった。それが今回、49%というのは、相当に低い数字ということになる。

つまり、多くの人が共和党支持者であるにもかかわらず、トランプ氏に投票しなかったということである。

また、投票した人の数が、2008年には、8万人、2012年は12万人だったのに対し、今回は3万人とはあまりにも少ない数字だった。複数のアメリカ人に話を聞いたが、「トランプ氏は「ひどい」し、クリントン氏は「悪人」で、投票のしようがないと言っていた。

http://www.i24news.tv/en/news/international/129340-161104-trump-clinton-israel-poll

<反イスラエルの超正統派グループはクリントン氏支持を呼びかけ>

ユダヤ人でも、世俗派が運営する現代イスラエル国家の存在に反対しているグループがいる。サトマルとよばれる超正統派の一つのグループで、これまでにもイランを支援するなど、反現代国家イスラエルで知られる。

アルーツ7によると、その指導者であるラビが、トランプ氏はイスラエルを強くしそうなので、ファーストレディ時代からグループを支持してくれたクリントンに投票するよう呼びかけた。

トランプ氏に関する彼らの判断が正しいかどうかは不明だが、クリントン氏が、在職中に、このグループをを支援していたということは、彼ら自身が言うのだから、間違いはないのかもしれない・・・。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/219820 
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