中東緊張:サウジアラビア対イラン 2015.3.26

 2015-03-26
シリア内戦にイスラム国と、もう十分カオス状態の中東だが、もう一つ新しい戦線が発生してしまった。25日夜、サウジアラビアが、湾岸諸国とヨルダン、エジプトやパキスタンも巻き込んで、隣国イエメンの主都サヌアを空爆したのである。

この戦闘が新たなスンニ派・シーア派の対立拡大にとどまらず、イランを巻き込んで深刻化して行くのではないかと懸念されている。


<イエメンで何が起きているのか:イラン+シーア派武装勢力の台頭>

イエメンといえば、スンニ派武装勢力アルカイダが、アメリカ関係施設などでテロを頻発させて、幅をきかせていた国だが、昨年9月、イランの支援を受けたシーア派武装勢力フーシ派が、イエメンの治安組織の一部と前大統領をかついで、登場してきた。

治安の著しい悪化から、昨年中にアメリカやイギリスは大使館を主都から南部港湾都市アデンへ移動せざるをえなくなった。湾岸諸国諸施設もその後に続いた。

フーシ派は、そのまま勢力を拡大し、今年1月、ハディ大統領を追放して暫定政権を設立。2月には主都サヌアを完全に占拠して、事実上、クーデターを成功させた形となった。

イエメンのハディ大統領はアデンに逃亡した後、そこからサウジアラビアなど湾岸アラブ諸国に軍事介入を要請していたもようである。

サウジアラビアの駐米大使は26日、ワシントンで記者会見を開き、「合法的なイエメンのハディ大統領の要請を受けて、湾岸アラブ諸国と、ヨルダンなど10カ国が共同で、昨夜イエメンのフーシ派拠点を攻撃した。」と発表した。

この攻撃で、フーシ派の空軍勢力が壊滅的な打撃を受けたと伝えられている。続いてアラブ連合から地上軍が派遣される可能性もあり、シリアに続く第二の内戦と泥沼になるのではないかと懸念されている。

26日、イランは、「このような行為は問題を複雑化させるだけだ。直ちに攻撃を停止するように。」との声明を出した。またザリフ外相は、「イランは、イエメンの危機を落ち着かせるためにあらゆる努力をする。」とも語っている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4641225,00.html

<湾岸諸国へのイランの脅威逼迫か>

前回の記事でお伝えしたように、イランは対ISIS問題に乗じて、シリア、イラクに地上軍を送り込むなどして勢力を徐々に伸ばし始めている。それがイエメンにまで勢力を伸ばすようになれば、サウジアラビアなど湾岸諸国にはかなりの脅威となる。

今回は、シリアのISISへの攻撃で手一杯のはずのヨルダンも空軍を出してイエメン攻撃に参加している。エジプトも今は国内の問題で手一杯のはずが、サウジアラビアへの協力を申し出ているという。それだけ、中東諸国にとってイランが脅威になりつつあるということである。

イランの核兵器保有に備え、サウジアラビアが静かに核兵器取得の準備を進めているとも言われる。

http://www.nytimes.com/2015/03/26/opinion/to-stop-irans-bomb-bomb-iran.html?_r=0
http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/193139#.VRP0iKW9DCs

ネタニヤフ首相は、世界にうさんくさがられてもなお、声を大にして、しつこくイランの脅威を訴えているが、実際、その状況に近づきつつあるのかもしれない。

*ISISの関与

しかし、ここで問題をさらに複雑化しているのがISISの関与である。イエメンのアルカイダ組織は、シーア派に押されているからか、今年に入ってISISの傘下に入ると発表。ISISもこれを受け入れると発表している。

3月には、ISISがサヌアで巨大な自爆テロを決行し、140人を殺害した。つまり、サウジアラビアは、フーシ派を攻撃することでISISを助けることにもなりかねないということである。

サウジアラビアはシリアでISISを空爆中である。にもかかわらず、フーシ派を攻撃したということは、それだけイランの脅威の方が逼迫しているとも考えられる。

いずれにしても、中東は、だれとだれが戦い、だれがスンニ派でだれがシーア派か、だれがだれの味方か、だんだんわけがわからなくなりつつある。

こうした状況に対し、アメリカはまたも後手にまわり、何もできなかったとの分析する記事がある。
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4641278,00.html

<原油価格への影響>

今回のサウジアラビアによるイエメン攻撃で、懸念されるのは原油輸出への影響である。サウジアラビアのイエメン攻撃を受けて、まもなく、原油価格は6%上昇した。

今の所、アジアへの原油の輸出に問題は出ていないが、今後、どうなっていくか目が離せない状況である。

<頑固者:イエメンのユダヤ人>http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4641205,00.html

イスラエルが建国ちた後の1959年、イエメンには5万人のユダヤ人がいたという。そのほとんどはすでにイスラエルへ移住したが、まだ100人ほどのユダヤ人が移住を拒否したまま、イエメンに居残っている。このうち76人が主都サヌアにいるという。

ユダヤ機関は、以前よりイスラエルへの移住をすすめてきたのだが、100人は頑固にその手を拒否しているという。しかし、昨年9月にフーシ派がイエメンを攻撃して以来、治安が悪化し、信仰活動も縮小せざるを得なくなっているもようである。

イスラエルは、今回のサウジアラビアのイエメン攻撃を非常に注意深く見守っている。この100人も、手遅れになる前に移住してくれることを願うところである。
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ネタニヤフ首相、連立立ち上げへ始動 2015.3.26

 2015-03-26
http://www.jpost.com/Israel-News/Rivlin-entrusts-PM-with-forming-his-fourth-government-395104

25日夜、リブリン大統領は官邸にて、総選挙の正式な結果を受理し、その後、ネタニヤフ首相に、連立交渉を行い、第34代政権を立ち上げるよう正式な要請を行った。

連立立ち上げの期限は28日。4月22日の独立記念日前夜までが目標となる。もし目標を達成できなければ、14日の延長を要請することが可能だが、要請が却下され、大統領が別の人物に政権立ち上げを指名する可能性もまだ残っている。

ネタニヤフ首相はさっそく26日から連立交渉を開始しているが、すでに難航しているようである。一番先に経財相の椅子を約束されたみんな党のカフロン氏が、国会経済委員長のポジションが統一トーラ-党(ユダヤ教政党)になるとの情報を得て、連立交渉を拒否した。

カフロン氏が経財相になっても、国会経済委員長がユダヤ教政党であれば、改革がすすまないことはすでに目に見えているからである。しかし、カフロン氏が連立に入らなければ、ネタニヤフ首相の連立政権立ち上げは難しくなる。

なかなかむずかしい駆け引きがはじまるというわけである。
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もうすぐペサハ(過ぎ越の祭り)2015.3.26

 2015-03-26
イスラエルでは、4月3日日没から過ぎ越の祭りとなる。人々の挨拶はすでに「ハグ・サメアッハ!(祝日に祝福があるように)」になっている。

ユダヤ教ハバッド派のベーカリーでは、すでにペサハ用のマッツァ(種無しパン)の製造(手製)がフル回転で始まっている。町では、工場製のマッツァがすでに売られている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4641003,00.html (マッツァ製造風景みられます)

過ぎ越の間は、家に小麦粉があってはならないため、ユダヤ教徒たちはぼちぼち、小麦粉関係の食料を今のうちにたべてしまうなどして、処理しはじめている。またスーパーでは、年に一度の大掃除に向けてお掃除グッズがセールとなっている。

またこの時にお皿や、シーツを新調する家庭が多いので、町のあちこちで、それらのセールも行われている。日本では、お正月前になると、こういう品々は逆に高くなるのだが、イスラエルでは安くなるのである。家庭での必要物品は今が買い時である。

一方、これだけ世界が、きな臭くなっても、過ぎ越しの大型連休を利用して、多くのイスラエル人が、海外旅行に出かける。外務省が渡航注意などを発しても気にする者はほとんどいない。誘拐やテロに巻き込まれるイスラエル人がでないよう、祈りが必要である。

*今週フランスで発生した飛行機の墜落事故では、イスラエル人1人が犠牲になったとみられている。
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ヨブのような事故 2015.3.23 

 2015-03-23
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4639851,00.html 

今週末金曜から土曜にかけての安息日、ニューヨークのブルックリンに住む正統派ユダヤ人家族サソンさんの自宅で火事が発生し、5才から15才までの子供たち7人が死亡した。

生き残ったのは次女チポラさん(15)と母親ガイルさん(45)だが、2人とも重傷となっている。父親のガブリエルさんは、海外に出かけていて不在だった。一家は2年前にイスラエルから母親の実家のあるブルックリンに引っ越したばかりだった。(NYTimes)

正統派ユダヤ教徒たちは、律法により、安息日には火を使うことができない。そのため、金曜日には日没までに料理をすませ、その後は持続性のホットプレートの上に鍋を置いたままにして保温するのが習慣になっている。そのホットプレートが、夜中0:30ごろ、なんらかの支障で発火したとみられる。

ニューヨークのブラスト市長は、あまりの悲惨な事故に、「信じられない悲劇だ。元気だった大家族が、全滅してしまった。」と沈痛な面持ちで語った。

22日、7台の霊柩車が並ぶ中、葬式が行われた。黒装束の正統派たち1000人以上が参列する中、喪主のガブリエルさんは、「子供たちは天使のようだった。主は私が子供たちをどんなに愛していたか知っておられる。何も言う事はない。ただひれふすだけです。」と涙ながらに繰り返していた。

子供たち7人 - エリアンさん(16)、ダビッド君(12)、リブカさん(11)、イェホシュア君(10)、モシェ君(8)、サラちゃん(6)、ヤアコブ君(5)の遺体はこの後、イスラエルへ運ばれ、エルサレムに埋葬されることになっている。
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リブリン大統領と各党の会談 2015.3.23

 2015-03-23
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4639464,00.html

選挙が終わり、22日から、各党の代表団がそれぞれ個別にリブリン大統領を訪問し、大統領にだれが連立政権の指導者にふさわしいと考えているのかを伝える訪問が行われている。

初日の今日は、議席数30を獲得したリクードに続いて、24議席のシオニスト陣営、統一アラブ政党と、上位の党が訪問。明日からは、未来がある党や、ユダヤの家党などが大統領に面会する。

初日が終わった段階で、ネタニヤフ首相を推薦した議員の数(各党の獲得議席)は51。ヘルツォグ党首は24だった。明日の会談で61を超えるかどうかが焦点となる。その後、最高裁長官が、正式な選挙の結果を大統領に提出し、連立政権設立をだれに指名するかをリブリン大統領が決める。

しかし、これらは、いわば儀式的な決まり事であって、実際にはだいたいどんな政府になるのかは目鼻立ちが見え始めている。

ネタニヤフ首相には真っ正面から衝突してきた未来がある党のラピード党首は、さっそく、「汚職で刑務所に入っていたような人物(ユダヤ今日政党シャスのデリ党首)を内務相にしてはならない。」と釘をさす発言を行っている。

ラピード氏が指摘するように、デリ氏は,1999年、内務相在籍中に、155000ドル(約1800万円)の賄賂を受け取ったとして3年の実刑判決を受け、実際に刑務所に2年ほど服役した人物。それが、2012年に出所してまもなくシャス党の党首に返り咲いたという経過になっている。

”敬虔なユダヤ教徒”が汚職とはこれいかにだが、確かにそういう人物が、再び同じ内務相ポジションにつくのはおかしいといえるネタニヤフ首相は連立を成立させるためにはシャスを入れないわけにはいかない。デリ氏が、連立入りする条件として内務相の椅子を要求するのは避けられないとみられる。

一方、財務相にと目されているみんな党のカフロン氏は、国民の期待を受けて、そのポジションを得るとの見通しだ。あとは国防相、外務相という重要なスポットをめぐる駆け引き、交渉が行われることになる。

イスラエルでは、テレビでこういう動きを、物まねでパロディにしたり、新聞では漫画にしたりしながら、見守っている。
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深まるアメリカとの溝  2015.3.23

 2015-03-23
http://www.theguardian.com/world/2015/mar/22/barack-obama-netanyahu-comments-make-palestinian-negotiations-harder

ネタニヤフ首相が、総選挙で圧勝した後、友人であるはずのオバマ大統領は2日もたってから電話をかけてきた。その内容はどうもかんばしくなかったとの報道もある。

今最も問題となっているのは、ネタニヤフ首相が投票直前の右派のラリーで、「自分が首相であるうちは、パレスチナ人の国はありえない。」と公約したことである。これは、オバマ大統領と、ネタニヤフ首相自身もともにすすめてきた2国家2民族の目標に相反する発言だった。

ところが選挙直後、ネタニヤフ首相は、「パレスチナ人の国を拒絶したわけではない。現状ではありえない。という意味だった。」と意見を翻したかのような発言を行った。これを受けて、国内でも、ネタニヤフ首相のじぐざぐぶりが大きくとりあげられた。

オバマ大統領は、ハフポストへのインタビューで、「ネタニヤフ首相の発言は明らかにアメリカ政府と考え方が異なる。」と語り、アメリカとイスラエルの溝がすぐには埋まらないとの見解を語った。

<進む!?イランとの交渉> 

選挙前にオバマ大統領を無視する形で議会におもむき、イランとのあらゆる合意は避け、完全にイランが核開発をやめるまで、経済制裁を継続するべきだと訴えたネタニヤフ首相。

そんな意見はとりあげず、現在、ケリー国務長官は、スイスで、フランス、イギリスなどP5+1諸国外相らとともに、イランのザリフ外相との交渉を行っている。今回の合意は、6月の最終合意への大きな枠組みとなる合意になるもので、期限は今月末である。

合意の内容は、BBCによると、イランが核開発を交際社会が指定するレベルまで制限するなら、経済制裁をさらに緩和するというものだ。

ケリー国務長官が、イランとの合意は近いと楽観的な見通しを語る中、フランスが期限を引き延ばした方がいいのではとブレーキをかけ始めた。

http://www.jpost.com/Middle-East/Powers-stiffen-postures-ahead-of-critical-hour-with-Iran-394712

これを受けて、イスラエルの情報相ステイニッツ氏が昨日、パリへ出発した。ぐらついているフランスを援護して、イランとの合意に反対するためである。ステイニッツ氏は、国家治安委員会長官のヨッシー・コーヘン氏はじめ、諜報機関関係者を数人同伴している。

ステイニッツ氏は、ネタニヤフ首相と同様、「いま進められている合意は、盲点にみちた愚かなものだ。」と語っている。

http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Israel-communicates-concerns-with-France-over-Iran-nuclear-deal-394733
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ネタニヤフ首相逆転大勝利:連立政権に向けて予想錯綜中 2015.3.19

 2015-03-19
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4638197,00.html

昨夜17日、午後10時に開票が始まると同時に、チャンネル2など主要3テレビ局が、それぞれの出口調査の結果をはじき出した。

結果はだれもが驚くものだった。投票前日までは4議席先を行っていたはずの左派シオニスト陣営が、右派リクード(ネタニヤフ首相)と同じ27議席で並んでいたのである。

時間が経つにつれ、リクードが1票リードし、3時間後の午前1時の時点で、ネタニヤフ首相が早々と勝利宣言を出した。最終的には右派リクードは30議席、左派シオニスト陣営は24席。

リクードは予想より10議席も多く獲得しており、まさに大どんでんがえしだった。これでネタニヤフ首相の3期目続投は決定である。専門家たちの読みは今回も、みごとに大はずれだった。

イスラエル民主主義研究所ディレクターでヘブライ大学のギドン・ラハット教授は、今回、ネタニヤフ首相が予想外の勝利を収めたのは、最終的に右派色を鮮明にし、本来のリクードに戻ったことが、一つの要因だと語る。

有権者が、イランやガザ、北部国境情勢、パレスチナ問題など緊迫している治安問題について、どんな対処をとるのか全く未知数の新しい指導にかけることを避け、安全パイとしてネタニヤフ首相を選んだのではないかと分析する。

つまり、全くネタニヤフ首相に満足しているとはいえないのだが、少なくともある程度は、どんな対策をとるか予想がつくというわけである。

ただし、南部のガザ地区周辺の市民たちは、前回のガザとの戦いを最後までやり通さなかったネタニヤフ首相に強い不信感を募らせているため、今回の選挙では、左派シオニスト陣営への支持が多いという結果になっている。
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4638423,00.html

予想外の結果を受けて、翌朝、ネタニヤフ首相は、嘆きの壁を訪れ、「責任の重さを実感している。」として祈りをささげている。
http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/192822#.VQncZqW9DCs

一方、ほとんど確信していたにもかかわらず、勝利を逃したシオニスト陣営のヘルツォグ氏は、ネタニヤフ首相に祝辞を述べるとともに、今回ネタニヤフ首相更迭を支持する声も今回かなり大きかったことを評価し、今後も、政府とは違う意見を述べる声としての使命(おそらく野党代表)を果たす所存であると語っている。http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4638552,00.html

<その他の党の得票とその意味>

1)中流世俗派・経済改革重視の党が根強い人気:未来がある党(ラピード党首)と新党みんな党(カフロン党首)


前回、中流階級層を引き上げるとして19議席を獲得した未来がある党(ラピード党首)が,8議席失い、その分、注目されていた中道右派の新党みんな党(カフロン党首)が10議席を獲得した。

8議席を失ったとはいえ、未来がある党は、まだ11議席で第4位である。上がり続ける物価の高騰から、経済改革を主張する中道世俗派の政党がやはり根強い人気を保ったということである。

2)投票率も議席数も増えた統一アラブ政党

選挙の結果は、リクードが30議席。2位がシオニスト陣営で24議席。3位は、統一アラブ政党で14議席だった。

アラブ・イスラエル共存社会運動ディレクターで、政治分析の専門家モハンマド・ダラウェシェ氏によると、今回もイスラム主義勢力は、投票をボイコットする運動を展開したという。しかし、最終的に、アラブ人の投票率は70%に上った。

ダラウェシェ氏によると、イスラエルのアラブ系市民たちの80%は、ユダヤ人政権の連立に加わって、アラブ系市民の声を反映することを願っているという。(・・・が、これは同氏の立場からの発言であって、本当はどうなのかは若干疑わしい感もある)

今回、もし、(中道)左派のシオニスト陣営が勝利していた場合、統一アラブ政党が連立に加わり、閣僚のポストを得ていた可能性もあったとダラウェシェ氏は語る。

しかし、予想に反して右派リクードが勝利となった今、その可能性はなくなったということである。しかしそれでもアラブ系市民にとって、今回の選挙は大きな前進だったと語る。

今回の選挙は、国会入りする党は最低でも投票が3.25%なけれなならないという新しい法案を初めて適応した選挙だった。つまり、小さな政党は生き残れないシステムである。

この法案は、「アラブ人は出て行け」といった意思表示を時々吐露しているイスラエル我が家党のリーバーマン氏の提案によるものだったという。おそらく、アラブ人の政党が一致することはありえないと考えた同氏が、弱小のアラブ政党議員を国会から一掃するために提案した法案だったと思われる。

しかし、アラブ政党がまさかの一致をとげたことで、その策略が全く逆に働き、アラブ政党が得票第3位の大きな政党になったのである。このまま行けば、国会からアラブ人議員を一掃するどころか、アラブ統一政党から議員8人が国会に座ることになるという。

<連立への予想錯綜:鍵を握るのはみんな党(カフロン氏)>

イスラエルで政権を運営するためには、国会120議席中過半数、つまり、他党と交渉して連立を組む事で61議席を獲得しなければならないのである。現在、リクードは30議席持っている。すなわちあと31議席以上を獲得しなければならない。

連立交渉とは、すなわち、連立に加わればどの大臣のイスがどの党に配当になるのかという交渉である。

こうした連立交渉は、正式には、来週初頭、リブリン大統領の指名を受けてからになるが、イスラエルのメディアでは、すでにネタニヤフ首相がどんな組み合わせで、連立を立ち上げるのか様々な予想の錯綜がはじまっている。

たとえば、今回国会入りを果たしたユダヤの家党、イスラエル我が家党などの右派政党に加えて、ユダヤ教政党のシャス党や、統一トーラー党が連立に加わったとしても、合計57議席でまだ過半数には届かない。中道か左派の党から少なくとも1つの党を取り込まねばならない。

すると可能性があるのは、元リクードで、コミュニケーション大臣のポストで成功した経験をもつカフロン氏のみんな党が最も有力ということになる。

ネタニヤフ首相は、カフロン氏を連立に取り込むために、すでに経財相のポストを提案している。カフロン氏がそれが受理するかどうかが注目されている。

さらにカフロン氏は、ネタニヤフ首相に対し、連立を受け入れる条件として、ユダヤ教政党は連立に入れないでほしいなどと様々な要求を出すことも可能である。

極端な例としては、カフロン氏が連立に加わる条件として、リクードが、左派シオニスト陣営と一緒に統一政府を立ち上げることを満ちだすことも可能性なわけで、そうなるとまた状況は一変することになる。つまり、今連立成立への大きな鍵はカフロン氏が握っているということである。

選挙は終わったが、どんな政府ができるのかはまだまだこれからだ。イスラエル、相変わらず何がおこるか予測不能、ジェットコースター状態である。

<どうなる!?アメリカとの関係>

ネタニヤフ首相は選挙前に、オバマ大統領(民主党)を無視する形で、アメリカ議会(共和党優勢)の招きに応じてイランとのいかなる合意にも反対するという演説を行っている。

そのせいか、選挙に勝った後、EUからは祝辞が届いているのに、オバマ大統領からはいまだに何の連絡もない。ネタニヤフ首相が続投になったことで、今後のイスラエル、アメリカの関係が懸念されるところである。
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本日、投票 2015.3.17

 2015-03-17
イスラエルでは、17日の今朝7時から投票が始まった。18才以上の有権者は588万人。全国に11500カ所投票会場が設置されている。

有権者はそれぞれ住民票がある地域で指定された投票会場に行って投票する。ネタニヤフ首相夫妻、リブリン大統領夫妻はじめ、各党の党首らも、それぞれ朝一番に投票をすませた。地元紙によると、正午までの投票率は26.5%で、これまでの最高を記録した。

午前中に、近くの小学校に設置された登場会場に行ってみると、お年寄りや、子供連れの家族などが、投票に来ていた。入り口付近では、リクードやクラヌ党などの各党のポスターや小さなブースが並び、アルバイトと思われる学生たちが、投票に来る人々に最後のアピールを行っていた。

新党クラヌ(みんな)党のカフロン党首のTシャツを来て、サポーターとして立っていた青年に、「カフロン党首のどの点がいいのか」と聞くと、横からリクード(ネタニヤフ首相)のTシャツの若い女性が「正直にいったら!彼はネタニヤフがいいと思っているのよ」と、笑いながら大声で話に参加して来た。

イスラエルでは住宅価格だけでなく、物価が随分上がって生活にかかる費用が上がる一方である。カフロン氏は、以前、携帯の会社の競争をあおり、電話代を相当下げることに成功した人物。人気はあるのだが、やはり、治安問題をうまく扱えるのかといえば、未知数。。。

投票から出て来た男性に聞くと、やはりネタニヤフだと言っていた。以外にネタニヤフ支持は根強い傾向のようである。*最終の統計では、ネタニヤフ首相のリクードは1位の左シオニスト陣営に4議席下回る結果になっている。

選挙会場に出入りする高齢者などの間で「ハグ・サメアッハ」といった挨拶がされているので、選挙はハグ(祭り)なのかと聞くと、「ユダヤ人には長い間国がなかった。こうして国ができ、その指導者のための投票ができるというのは、本当に夢のような話です。」と答えた。

イスラエルは、領事館関係などの公職以外市民が海外で、投票することができない。そのため先週ぐらいから投票のためだけに帰国する人々の様子も報じられていた。イスラエル人にとって、選挙はやはり大事な行事なのである。

*投票の様子:http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4637591,00.html

なお、投票は午後10時で閉め切られ、明日朝までには正式な結果が発表される予定である。午後10時の時点で、出口調査の結果が出始めるので、テレビではその結果や、各党の選挙事務所の様子が生中継されることになる。

<各党最後の動き・アピール>

イスラエルでは、一党が政権を担うことはない。そのため、有権者は、投票しようとする党が、どこと連立を組むのかまでを計算して投票しなければならない。

選挙が近づくにつれて、各党の主張だけでなく、どの党と連立を組むつもりなのか、どこのオファーをどこが了承する動きにあるのか等の予想に集中しはじめていた。

テルアビブでは、先週末、左派勢力がテルアビブでラリーを行ったのに対し、今週日曜には、右派勢力がラリーを行った。そこでネタニヤフ首相は、自分が首相である間は、パレスチナ国家設立はない、などと右派にアピールする発言を行った。

ネタニヤフ首相と連立を組むと見られるのが、やはり右派のユダヤ人の家党のベネット党首である。彼を取り込むにあたり、ネタニヤフ首相は、左派勢力との連立はないと、右派左派合同政権はありえないと約束したということである。しかし、これも政治の世界なのでどうなるかは不明。

一方、左派勢力の”シオニスト陣営”では、投票前日になり、ヘルツォグ氏と共同出馬だったリブニ氏が、ヘルツォグ氏と2年づつのローテーションで首相になるという約束を破棄するという爆弾宣言を行った。

これにより、仮にヘルツォグ氏が最多数議席と獲得して、連立政権を組む事になった場合、シャスなどのユダヤ教政党と組む事が可能になる。(ユダヤ教系の政党は、女性のリブニ氏が首相になるという約束があるままでは連立を受け入れることは不可能)

また「ヘルツォグ氏はいいが、リブニ氏が2年後に首相になるというのがどうも・・」という人が少なくないため、リブニ氏が身を引く事で、シオニスト陣営では、さらなる投票もみこめるというねらいである。ヘルツォグ氏、リブニ氏は、これについて、「今はネタニヤフ首相を更迭することが最優先」との判断を語っている。

実際には、あまりにも接戦であるため、リブリン大統領がネタニヤフ首相を指名して、右派左派双方を含む統一政権をめざすのではないかという見方もある。

とにかくフタを開けてみるまで、結果がほとんど見えないというのが、今回の選挙のようである。イスラエルは人口900万人以下の小さな国だが、今日の選挙についてはBBCでもトップで報じられ、世界も注目しているようである。

*各党党首(ネタニヤフ首相以外)が最後のアピール。なぜか爪楊枝サイズのイスラエルの旗を持って写真におさまっている記事
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4637558,00.html
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元気です!平和です!エルサレム・マラソン 2015.3.13 

 2015-03-13
http://www.jpost.com/Israel-News/Sports/5th-annual-Jerusalem-Marathon-winner-393821

13日、今年も平和に第5回国際エルサレム・マラソンが開催された。参加ランナーは60カ国から来た外国人も含め、25000人。エルサレムは、道路のほとんどが閉鎖され、ビジネスも大半が休日。文字通り、町ぐるみの市民マラソン大会となった。

マラソンは42.2キロのフルマラソン、ハーフマラソン、10キロ、5キロ、ファミリー向け1.7キロ。出発地点、ゴール地点では、様々な健康ブースや、子供向けアトラクションがあり、家族連れでにぎわった。

気持ちのよい春の日差しの中、エルサレムの城壁の前を健康そのものの人々が、顔をほてらせながら走っている。カメラを向けると次々に笑顔とポースをとりながら走っていく。

障害者の車いすとともに走る男性・・宗教的と思われるおそろいTシャツの若いユダヤ人夫婦・・「イスラエル軍に感謝!」と書いたTシャツ姿の男性・・・いかにも必死で走っている70歳代と思われる女性。その後からはスーパーマン姿の若い男性・・・エルサレムのバルカット市長も市民とともにハーフマラソンを走った。

沿道に立っている女性が小さなイスラエルの旗をランナーたちに手渡している。ほとんどのランナーが走りながら受け取って、手にもって走っている。

沿道には、お年寄りたちが笑顔で手をたたきながら、大声で応援している。フルマラソンの終盤になると、小学校のカリキュラムなのだろう。教師とともに小学生たちが、ぞろぞろやってきて、「You can do it!」などと書いたポスターを掲げて、黄色い声を上げながら応援していた。

中間地点では、水の他、バナナとオレンジが用意され、ボランティアの若者たちが、大声で応援しながらランナーたちに声をかけながら手渡している。バナナやオレンジ皮が、道路中に散乱しまくり、あたりはオレンジのにおいでいっぱいだ。

掃除をするのは、アラブ人たち。エルサレム市清掃係の制服で、待機していた。またアラブ人男性が、人々の間で、ランナーが投げ捨てた水のボトルを集め回っていた。売ればお金になる。これもまたエルサレムの一面なのだろう。

警護の警察官は800人。上空ではヘリコプターが監視して、今年も何事もなく、マラソンは正午までにはだいたい終わった。その後は、安息日入りとなる。

長い長いエルサレムの歴史のほんの一こまだが、この平和な様子に主が喜んでおられるような気がして、こちらまでハッピーな一日となった。

*余談になるが、このマラソン。参加費がけっこう高い。フルマラソンは、昨年11月末までの早期登録でも一人67ドル(8000円)5キロでも22ドル(2600円)、障害者専用車による参加は49ドル(6000円)。ぎりぎり登録はもっと高くなる。
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イスラエル史上最も予想不能な選挙 2015.3.12

 2015-03-12
総選挙を6日後に控え、イスラエル国内はますます選挙にわきはじめている。エルサレム・ポストのベテラン政治部担当記者ギル・ホフマン氏は、今回の選挙はこれまでで、最も先行きの読めない選挙だと語った。予想外の動きは以下の通り。

1)ネタニヤフ首相(リクード)の読み違い?

今回の選挙は、ネタニヤフ首相が任期終了を待たずに国会を解散したことによって始まったものである。ネタニヤフ首相は、楽勝を予想していたと思われるが、その予想は間違いだったとホフマン氏。

予想議席数は、最初は右派リクード(ネタニヤフ首相)と、左派シオニスト陣営(労働党のヘルツォグ氏とハツナ党のリブに氏)の接戦だった。しかし、アメリカ議会での演説を終え、選挙日が近づくにつれてシオニスト陣営の方が予想議席数を伸ばし始めている。

11日の予想では、トップは、シオニスト陣営で、120議席中24議席。ネタニヤフ首相のリクードは21議席と、差が若干開き始めた。

それだけではない。選挙の後、だれに連立政権交渉を指名するかを決めるのはリブリン大統領である。ネタニヤフ首相とリブリン大統領は不仲なことで有名で、ネタニヤフ首相はこれまでリブリン氏が大統領にならないように努力していたとホフマン氏は語る。

通常なら、最多数議席を獲得した党首が、連立交渉へのゴーサインをリブリン大統領からもらうわけだが、大統領とは意見があわないネタニヤフ首相は、なんらかの形で、若干不利になるとも考えられるというわけである。

● 戦いは選挙が終わってから始まる

ホフマン氏によると、選挙の結果はどうであれ、問題はその後だという。

もしリクードが最多数議席を獲得すれば、右派政党との連立は問題なく、スムーズに政権を樹立することができる。しかし、このままシオニスト陣営が、最多数議席を取った場合、事はそう簡単にはすすまない。

シオニスト陣営と連立を組む党がみあたらないからである。ユダヤ教政党が、2年後には女性であるリブニ氏が首相になることを前提としたシオニスト陣営と組むことは難しい。

また、リーバーマン氏率いるイスラエル我が家党や、ベネット氏のユダヤの家党などの右派が、左派政党の連立に加わることはあり得ない。中道のラピード氏も今回は最大野党を目指すと言っており、よほど国のためになると判断しない限り、連立には加わらないとみられる。

つまり、たとえ選挙で勝ったとしても、シオニスト陣営が国会で過半数をとるためには、結局、リクードを取り込む以外には、連立政権を立ち上げることができないのである。

では仮にリクードと連立を組んだとしよう。その場合、ネタニヤフ首相が、”ヘルツォグ首相”や”リブニ首相”の元で、外相などの大臣職に甘んじる事はありえない。連立を組む条件として、まずは2年間、ネタニヤフ首相が首相になるという条件を突きつけて来る可能性が高い。

つまり結局、ネタニヤフ首相・・・というのがホフマン氏の推察するシナリオである。

しかし、ホフマン氏自身も言うように、こうした専門家の読みが全く外れることも大いにありうる。まだ14%もの有権者が、どこに投票するか決めていないといっていることもその原因の一つだ。 またこの他に注目されている予想外の要因は以下の2点。

2)以外に人気?:未来がある党のラピード氏

前回の総選挙では、中流世代に優しい政治を訴えた未来がある党(元ニュースキャスターのヤエル・ラピード氏党首)の経済改革に期待が高まり、議席数1位の19議席を獲得するという予想外の結果となった。

ネタニヤフ首相との連立交渉で財務相の座を勝ち取ったラピード氏だったが、口ほどにも変化をもたらすことができず、最後にはネタニヤフ首相から、財務相を解任されるという流れになった。そのため、今回の選挙では、未来がある党は、大幅に議席を失うとみられていた。

ところが、現時点では、その未来がある党(ラピード氏)が、14議席で3位である。住宅価格の高騰に困り果てた有権者が、やはり内政重視を訴える党を支持する傾向がまだ続いているということだろう。テルアビブでは先週、3万人以上が、内政に失敗しているとして、反ネタニヤフラリーを行ったところである。

3)アラブ人の投票率で動くアラブ政党

もう一つの注目はアラブ人政党である。今回は、主要アラブ政党3つが合併して出馬したため、予想議席が、ユダヤの家党などの右派政党をはるかに超えて、13議席となっている。

イスラエルでは、通常、アラブ人の投票率はかなり低いため、主要3党がそれぞれ3-4人づつ議員を出すという形だった。しかし、今年からの新制度で、最低得票率3.25%を達成できない党は、まったく国会に入れない事になる。そのため、3党が歴史的な合併をしたことで、一気に13議席という勢力になったのである。(この3党はいずれもイスラム教徒でキリスト教徒の政党は含まれていない。)

アラブ人は総人口の約20%にのぼる。もしアラブ人の投票率が上がったら、国会に予想議席数13議席を超える勢力になる可能性もある。

そのアラブ政党だが、数日前、左派メレツ党が、共同出馬(余った得票をシェアする)を申し入れた。しかし、アラブ政党は、これを断った。

もしこの合併が実現していれば、ユダヤ人とアラブ人の共同政党があり得たわけである。アラブ政党が、この話を断ったことで、結局は共存ではなく、アラブ人だけの政治を目指している、

つまりはイスラエルをアラブ人の国にするとの野望を持っていることが明らかになったと評する記事もある。  http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4634958,00.html 

日本では、自民党でも民主党でもさほど大きな変化はないかもしれない。しかし、今回は特に右派と左派という大きな違いを含む選挙になっている。どちらが政権をとるかで、国の今後の歩みから存続にまで関わって来ることになる。

リブリン大統領は昨日、「私は投票に行かない。」と主張する市民100人を大統領官邸に集め、話を聞き、投票するよう促した。
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ISISが、イスラエルのアラブ人を処刑か 2015.3.12

 2015-03-12
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4636015,00.html

イスラエルの東エルサレム在住アラブ人ムハンマド・サイード・イシュマイル・ムサラムさん(19)が、シリアで、ISISの人質になったとの情報が入ったのは先月。ISISは、イスラエル諜報機関モサドのスパイだと主張していた。(これについては、家族もイスラエルも否定。)

それから数週間後の昨日、ISISは、モハンマドさんを12才ぐらいの少年に殺害させたとみられるビデオを公開した。エルサレムポストは、mモハンマドさんが倒れたあと、少年はあと3回撃ち、「アラーアクバル」と叫んでいると伝えている。
http://www.jpost.com/Israel-News/ISIS-forced-our-son-to-say-he-was-a-Mossad-spy-family-of-slain-Israeli-Arab-says-393573

ムハンマドさんは、4ヶ月前にトルコに旅行に出て以来、行方不明となっていた。しかし、その後、シリアから家族に電話し、「ISISは、金や車、女性を約束したのにここには何もなかった。」と言っていたという。

その時に送られて来た写真は、カラシニコフを担ぎ、ひげも伸びて、幻滅している様子だったと家族は語る。家族によると、その後逃げようとして捕まり、イスラエルのスパイということにされてしまったとみられる。http://www.bbc.com/news/world-middle-east-31822703

ムハンマドさんの兄アフマドさんは、「弟はイスラムのことも政治も何も知らない子供だった。ISISは弟をだました。」と言っている。

なお、イスラエルでは、北部を中心にアラブ人の若者たちの間で、ISISを支持する者がいるため、取り締まりが行われている。

<処刑人はフランス人>

これまではジハーディ・ジョンなるイギリス人が、ビデオ上の処刑役になっていたが、先月身元がばれ、顔や家族の名前までもは世界中に流れた。

今回、ムサラムさんを殺害するものとして映っている人物は顔を隠していない。この人物は、フランス人で、2012年にフランスのチューロースの学校でのテロ犯、また、先月のユダヤ系スーパーでのテロに関わった人物である可能性があるとして調査がすすめられている。

フランスの諜報機関は、すでに1400人のフランス人がシリアやイラクへ入り、訓練を受けて戻って来ていると懸念しているという。また、フランスの首相は、すでに90人近いフランス人が、シリア・イラクで死亡したと語っている。

<フランス在住ユダヤ人の移住促進プログラム>

イスラエル政府とユダヤ機関が、ディアスポラの若者たちを集めてしばらくイスラエルを経験してもらい、移住を促進するというプログラムにマサ・プログラムがある。ヘブライ後の他、イスラエルについての様々なことを学び、経験する。

現在、フランス在住の若者たちが約1000人、マサ・プログラムに参加中で、11日、移住フェアが行われて移住の手続きなどを学んだ。プログラム終了後、平均、参加者の3分の2が移住を決意する。

昨年は、計人が参加。今いるのは今回一回だけで1000人参加している。今年は参加者の数は急増すると予想されている。

*補足になるが、筆者は、25年ほど前に同様のプログラムに、イスラエル人の友人のつてで、ユダヤ人ではないのに特別に参加させてもらった。それがきっかけとなり、今もイスラエルで働いている。多くのフランスの若者たちが移住を決意するように。
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中東にイラン進出か 2015.3.12

 2015-03-12
先週、シリアで、アルカイダ系スンニ派組織アル・ヌスラ(シリア部)のトップ指導者アブ・ハマム・アル・シャミが,、”空爆”により死亡した。これについては、アル・ヌスラも認める声明を出した。

だれの空爆かだが、アメリカなどの有志軍は、関与を否定。一方、シリア軍が空爆したと主張している。

その後、アル・ヌスラがアルカイダを出たといった噂がながれたが、アルヌスラはこれを否定した。

アル・ヌスラは、反政府勢力の一派として、ゴラン高原のシリア側で勢力を伸ばすスンニ派過激派勢力である。アルヌスラがここを陣どっているので、逆にISISやイラン・ヒズボラなどが、入り込めない状況となっており、危険ではありながらも、もっと悪いものからは守られていた状態だったといえる。

そのアルヌスラの指導者が死亡したことで、アルヌスラの組織全体が不安定になり、そのすきにイランが入り込んでくるのではないかと懸念されている。

実際、ゴラン高原(シリア側)では、今年1月、イスラエルがは、奇襲作戦による空爆で、司令官1人を含むイラン革命軍兵士6人、ヒズボラ6人の計12人を殺害している。

この時、イスラエル軍は、ゴラン高原のシリア側で、イランとヒズボラが、対イスラエルの前哨基盤を新しく設立する動きがあったと説明していた。

そのイランだが、BBCによると、アメリカなどの有志軍はISISを空爆するしかできていない中、イランは、地上軍を派遣して、イラク軍やシーア派勢力を支援していることが確認されている。

イラク軍は現在、有志軍の空からの支援を受けながら、かつてのサダム・フセインの拠点ティクリットを攻撃中で、町の一部はISISから奪回している。そのティクリットで、イランの国旗を堂々とつけて走るイランの戦車が目撃されている。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-31833592

ネタニヤフ首相は、イランの核兵器の脅威を強調しているが、それよりイランの地上での動きの方がよほど火急な脅威だと批判する記事もある。 http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4633726,00.html

<大丈夫か?オバマ大統領>

アメリカは今、イランとの交渉をすすめようとしていることはこれまでにお伝えしている通りである。

イランが地上で着々と影響力を拡大する中、アメリカは逆に、間接的ではあるが、ISIS撃退のためにイランと手を組む動きすらみえている。

では、仮にイランとともにISISを撃退したとして、その後、アメリカがどのような計画を持っているのかという点については、あまり見えて来ない。したがって、その時には、ISISがいなくなった分、イランの勢力が、中東で大きくなっていたということも大いにありうる。

また、エジプトは、ハマスをテロ組織に指定し、継続してムスリム同胞団などのイスラム過激派の一掃を行っている。先週、シシ大統領はアメリカに対し、「テロとの戦いを進めているのだから、もっと武器を供与してほしい。」との要請を出した。
http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/192380#.VQCsOKW9BCu

これについてのアメリカからの反応は今の所、報じられていない。オバマ大統領は前にも一度、エジプトへのテコ入れ時期を誤り、まんまとムスリム同胞団に関係するムルシ大統領が立ち上がってしまったという結果を経験している。

ところで、エジプトとは地続きのアフリカ大陸では、ナイジェリアで暴虐の限りを尽くしているイスラム過激派組織ボコ・ハラムが、先週、ISISに忠誠を誓う声明を出した。ISISのDNAが飛び火した形だ。

そのアフリカ大陸では唯一、欧米とともにテロと戦っているエジプトの価値は計り知れないと思われる。今、エジプトへの軍事支援すべきとは言わないが、今度は時期を誤らず、大国として、中東、来たアフリカ地域での適切な対応をとっていただきたいところである。
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米議会・ネタニヤフ首相演説とその結果・意義 2015.3.4

 2015-03-04
先月からイスラエル、アメリカ両国内で物議となっていたネタニヤフ首相のアメリカ議会でのイランとの合意に反対する演説について。

イスラエル国内からも相当な反対意見があったが、ネタニヤフ首相は、嘆きの壁で祈った後、予定通り渡米。まずはAIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)のカンファレンスで演説し、親イスラエル派らの絶大な支持を受けた後、昨日火曜、議会において演説を行った。

今回、ネタニヤフ首相が、議会の招聘に応じて演説するのは、期限が3月末と迫ったイランと、P5(アメリカとヨーロッパ、ロシア、中国)との核兵器に関する合意に反対する意見を述べるためである。演説内容の骨子は以下の通り。

演説全文:http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Full-transcript-of-Netanyahus-Speech-to-Congress-392803

1)イランは言っていることと行いが違う

①中東は今不安定になっており、政府不在の国もある。そういう穴へイランが進出している。ガザ、レバノン、シリア、イエメンなど。
ゴラン高原にもイラン革命軍がいて、イスラエルを挑発している。

②ロウハニ大統領やザリフ外相は穏健派への変化を主張しているが、実際には、上記のような動きがある上、同性愛者を絞首刑にし、キリスト教徒を迫害し、ジャーナリストを拘束しているというのが現状。信用できない。

③イランがISISと戦っているからといってだまされてはいけない。両者は同じ目的のために競争しているだけである。イランは、イスラム共和国、ISISはイスラム国と自称して、双方とも最終的には世界を治めるイスラム帝国を目指しているのである。

敵の敵は敵である。ISISを撃退しても、イランが核兵器を持つようになるなら、結局は敗北を意味する。世界最大の脅威は、イスラム武装組織が核兵器を手にすることである。

2)なぜ今回のイランとの合意が悪いのか

①経済制裁緩和との引き換えが、期限付きでの核開発施設の停止だけで、排除ではないという点。合意で遠心分離機の一部が停止しても、合意期間が終われば、再開できる状態で温存される。

②合意機関は10年と短い。10年はあっという間である。合意が終われば、イランは国際社会からの承認を得た状態で核兵器の開発を促進させ、すぐに核保有国になる。

3)ではどうするのがいいのか

イランが基本的な方針を変え、背後で行っているようなテロ支援活動をやめるまで制裁を続ける。イランが、明らかに方針を変えてから制裁緩和を考えるべきである。*今回の合意は、テロをやめないテロ団体に甘いお菓子を与えるようなもので、有効な対策ではないということ。

<アメリカの反応・イスラエルの反応>

オバマ大統領は、アメリカとイスラエルの友好関係が変わる事はないとしながらも、ネタニヤフ首相の演説は聞きもせず、原稿を読んだだけで、「これまでと同じ。ネタニヤフ首相は、何の有効な代替策も示さなかなった。」と一蹴するコメントを出した。(BBC)

イスラエル国内の反応もなかなか厳しい。Yネットは、ネタニヤフ首相が、1993年にもイランに関して同様の発言をしていたことを上げ、”危機的なイランの核兵器保有問題”がもう20年以上も続いていると皮肉る記事を出している。
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4633272,00.html

また、実際にはネタニヤフ首相の議会での発言が、現実状況にほとんど影響を及ぼさない事も批判の種になっている。

アメリカの法律によれば、議会が大統領の方針(イランとの合意)をさしとめるためには、”圧倒的”多数の議員が反対する決議を2回通らなければならない。議会には共和党だけでなく、オバマ大統領所属の民主党議員も多数いる。最初から、”圧倒的”多数はありえない。

さらに、たとえ、議会が大統領への反対決議を出したとしても、大統領は、これに対する拒否権を持っている。オバマ大統領は、すでに、議会に反対される事態になった場合は、拒否権を発動すると言っている。

さらに、たとえアメリカが反対意見を出したとしても、ヨーロッパとロシア、中国がイランとの合意に賛成すれば、そうなってしまうのである。

つまり、今回、ネタニヤフ首相は、何かを変えるというよりは、これまでも主張して来たイランの本当の姿を今一度、世界に発信することが大きな目的ともいえる。預言者と同様、ネタニヤフ首相が正しかったかどうかは、後の世が判断することになる。

<今後の課題>

今回、ネタニヤフ首相がオバマ大統領を無視する形で議会に赴いたことで、両者の関係に表向きはどうあれ、ひびが入った事は確かである。もしネタニヤフ首相が次期政権もとった場合、そういうホワイトハウスとのぎくしゃくした関係の中で外交を行って行かなければならない。

しかし、事態は思わぬ方向に進むかもしれない。イランの方で、アメリカを含むP5の合意案を受け入れない可能性がある。

ネタニヤフ首相が米議会で演説をしていた間、ケリー国務長官は、スイスでイランのザリフ外相と会談していたのだが、ザリフ外相は、むこう10年の間の部分的な遠心分離機の停止を拒否しているという。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4632934,00.html (Yネット)

つまり、ネタニヤフ首相が大騒ぎせずとも、この交渉が頓挫する可能性があるのである。しかし、喜んではいられない。もし本当にイランとの交渉が頓挫した場合、もう打つ手が残っておらず、いよいよ軍事介入しか選択の余地がなくなってしまう。

軍事介入がそう簡単にすすむとも思えず、私たちはいつか、イランが核兵器保有を宣言する日を見るのかもしれない。。。。

<明日からプリム>

イスラエルでは、明日からエステル記のプリムの祭りが始まる。イランは現代のペルシャである。現在のペルシャもイスラエルの壊滅をもくろんでいるということで、皮肉にも人々が主の奇跡を思い描きやすくなっているようである。

明日、あさっては、子供たちの学校は休み。各地で様々なイベントが行われ、子供たちを始め、大人も仮装して町へ繰り出す、楽しい2日間となる。・・があいにく天気は芳しくなさそうである。
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総選挙に向けて 2015.3.4

 2015-03-04
3月17日の選挙に向けて、国内では、準備が始まっている。今回、選挙名簿を提出して受理された政党は26。有権者588万人は、この中から1党を選んで投票することになる。

選挙管理センターでは、投票箱や投票用紙の準備が行われている。箱は以外にも段ボールばこ。全国で11500カ所に投票会場が設置される。選挙関連で特別に雇用される人の数は最高5万人になるという。

*選挙管理センターの取材の様子は今週末以降、CGNTVオリーブ山便りでみられます。
http://japan.cgntv.net/newsub.asp?pid=2751&gubun=0309

町では、次期政権への要望として、テルアビブでは、住宅価格の高騰に対策をとってもらいたいという意思表示をするためのデモ・テント村が出現した。

イスラエルの住宅価格は日本以上となり、若い夫婦が家を買う事はもはや不可能だと言われるほとどである。:http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4630157,00.html

こうしたテント村デモは前回の選挙前にも現れ、結果、内政重視の未来がある党(ラピード党首)が最多数議席を獲得した。しかし、ラピード党首もこの2年で大きな実績を残すことができず、ネタニヤフ首相に財務相解任を言い渡された事もあり、今回は大幅に議席を失うとみられる。

今のところ、ネタニヤフ首相のリクード党(右派系)と、”シオニスト陣営”と自称する労働党・ハツナ党の合併政党が、非常な接戦となっている。

そのような中で、ネタニヤフ首相が華々しく米議会の招きを受けての演説を行ったわけで、状況はどうであれ、「やはり首相にはネタニヤフしかない。」という印象をもたらしたことは否定できないようである。

テレビでは党首討論会が行われたが、肝心のリクードとシオニスト陣営が参加を拒否したため、トップ2党会談も検討中という。
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エジプトがハマスをテロ組織に指定 2015.3.4

 2015-03-04
2月28日、エジプトが正式にハマスをテロ組織に指定した。これを受けてハマスは、「エジプトはイスラエルのエージェントになった」と怒りを表現している。

エジプトはこの数ヶ月で、ガザとエジプトの間のトンネルをほとんど破壊した上、1キロもの緩衝地帯をもうけて、イスラエル以上に国境を閉じている。

今回のエジプトの措置で、ガザ地区がさらに孤立を深めるとみられる。Yネットの取材では、「ハマスは、私たちを自分たちのイデオロギーのために私たちを人質にしている」とハマスへの批判を口にする住民もいるようである。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4632224,00.html
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ヨルダンと死海回復に向けた契約署名 2015.3.4

 2015-03-04
死海の南側が干上がって蒸発するみとおしとなって以来、イスラエルとヨルダン、パレスチナ自治政府も加わる形で進めているプロジェクトがある。

紅海の海水を、180キロのパイプラインで死海に流し込むのだが、その際に発生する電力で、海水を一部淡水化し、慢性的な水不足に悩むヨルダンとイスラエル南部、またパレスチナ人の町にも配水する”Red−Dead project”で、いわば一石二鳥の計画ある。

3者は、これまでも段階に応じて署名してきたのだが、今回は、淡水化した水を、イスラエルとヨルダンで配分する合意に達したものである。

3年後ぐらいにパイプラインが完成すれば、水は主に最南端のエイラット(イスラエル)と、その隣のアカバ(ヨルダン)、またヨルダン国内に配水される予定である。

今回、パレスチナ自治政府は、署名に参加していなかったが、希望すればイスラエルとの契約で、イスラエルへの配分から水を購入することは可能。

ちなみに、エイラット市内ではすでに淡水化した水が配水されている。聞いていた通り、蛇口からの水は、市販のミネラルウオーターより安全でおいしかった。
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