リーバーマン国防相・就任 2016.5.31

 2016-05-31
右派イスラエル我が家党党首、リーバーマン氏が国会の承認を得て、昨日、国防相に正式に就任した。

就任演説の中で、特に明確にしたのは、「2国家2民族」を支持するという点。リーバーマン氏は、右派思想だが、2国家2民族に反対していたわけではなく、逆に、彼独自の案で国を2つに分けることを支持するということである。

リーバーマン氏の2国家2民族案は、これまでのように1967年時点でのラインで2国家に分けるのではなく、今現在の、ユダヤ人アラブ人居住区の現状を見て、それに応じて分割ラインをひくということである。

その中で、「分割する以上は、ユダヤ側に入るアラブ人は全員パレスチナ側へ行ってもらう。」というような点が、過激とされる点である。イスラエルで生まれ育ったアラブ人は当然、これに反発している。

また、リーバーマン氏は、就任にあたり、今まいこんできているエジプトとサウジアラビアを筆頭とするアラブ穏健派が仲介するパレスチナとの和平案には、イスラエルにとっても益になる点があると語り、エジプトのシシ大統領の発言を重要視するとも語った。

http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Analysis-A-dovish-Liberman-sings-sweetly-of-two-states-455501

<2国家2民族案は可能か?>

国を2つの民族のそれぞれの国として分離する・・・この案は今にはじまったわけではない。実際、23年前に、ラビン首相と、アラファト議長がアメリカの仲介で合意に至り、イスラエルの隣に、パレスチナという国を実現する事を目標にこれまでやってきたのである。

ところが、今、その目標は、実現するどころか、両者の関係は前にもまして悪くなっている。

両者の居住地は、ますますいりくんだものになり、分割というのはどうみても不可能である。両者をあくまでも分けようとすると、リーバーマン氏案のように、極端にならざるをえない。

エルサレムに関しては、東はアラブ、西はユダヤとけっこう、くっきりと別れているのだが、リーバーマン氏がエルサレム分割までは考えていないと思われる。そうなると、パレスチナとしては、すでに交渉する以前の問題であろう。

また、それでも強硬的に分けたとして、イスラエルのアラブ人とパレスチナ人が一致してテロをやめ、建設的に国家を建設するのかといえば、ハマスなど過激派がそれを妨害したりで、そうならないのは日を見るより明らかである。

これらをみこしているので、ユダヤの家党のベネット氏は、2国家2民族など夢物語だと主張して、反対しているのである。しかし、かといって、2つに分けないで、このまま全部をイスラエルが管理できるのかといえば、これもまた、不可能と言わざると得ない。

そのどうみてもインポッシブルな2国家2民族をまたやろうとしているのだが、今回、エジプトたちがどんな案を持ち込んでいるのか・・・今後の動きが注目される。

<右派内部でも争い>

今回、リーバーマン氏が入って最強右派政権の様相になっているわけだが、だからといって右派で一致団結しているわけではない。同じ右派でも、政策については様々な意見があるのは上記の通りである。

リーバーマン氏をとりこんだことで、ネタニヤフ首相の2国家2民族推進が、さらに強くなりつつることを受けて、右派ユダヤの家党のベネット氏が必死にブレーキをかけようとしている。

ベネット氏にしてみれば、ネタニヤフ・リーバーマンのコンビで、彼自身は悪夢を招くと考えている2国家2民族をすすめてもらいたくないのである。

ところで、イスラエルには、戦争を始めるなど、重要な治安問題の決定を行う機関として、国家治安委員会がある。ネタニヤフ首相を筆頭に、閣僚たちでなりたっている。

”反抗的”なベネット氏も教育相であるため、委員会の一員だ。常にもめていることから、この委員会が本当に一致してよい決断ができるのかどうか、社会からは不安視されているところである。

ベネット氏は、今の国家治安委員会では、重要な情報を知っているのは首相や国防相だけで、委員会メンバーは、会議で初めて状況を聞かされ、十分検討する余地がないと指摘。

特別な治安秘書を置き、治安上の重要な情報は、首相だけでなく、委員会メンバーにもすみかに届けられるシステムを構築することを、リーバーマン国防相承認の条件として、ネタニヤフ首相と争っていた。

結果、どんな合意になったのかは不明だが、最終的にネタニヤフ首相が勝ったとみられ、日曜夜に落着。月曜には国会で承認。翌朝火曜、国家治安委員会は何も変わらないままで、リーバーマン氏が国防相になったということである。

要は、首相が決断しやすい、つまりは暴走もしやすい状況があるということであろう。この直後から、ベネット氏は、「首相の任期は2回までにすべきだ。」とまたあらたな策にとりかかっている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4810058,00.html

政治はこんな状況だが、イスラエルのメディアではこれと平行して、ネタニヤフ首相と妻のサラ夫人の公費使用の問題が再び表沙汰になり、連日報じている。

これだけ緊急死活問題の多い国で民主国家、イスラエルの首相という仕事は、なかなか大変である。。。。

*昨日、テルアビブの国防省の近くの通りで、イスラエル兵(19)が刺されるというテロ事件が発生した。犯人は西岸地区在住のパレスチナ人(17)で、無事逮捕された。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4809846,00.html

<5日:エルサレム統一記念日>  

上記のように、土地分割の話がわき上がって来たところだが、イスラエルでは、5日、49回目のエルサレム統一記念日を迎える。

1967年の六日戦争以降、エルサレムが統一され、イスラエル領内に入ったことを祝う日で、市内では、右派の若者たちが、イスラエルの旗をふりながら、市内から嘆きの壁までをパレードをすることになっている。

パレードは、あえてテロが多発しているダマスカス門から嘆きの壁に入ったりすることがあるため、治安上、非常に緊張した状況になる。今年も、数日後にはそのルートが発表される見通し。

言うまでもなく、このイベントは東エルサレムのパレスチナ人たちにとっては穏やかなことではない。旧市街では、店を閉め切って様子を見たりしている。

今年は、特に、6日からイスラム教のラマダンである。1日ずれたのが幸い。。。といったところか。
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イスラエルで見たオバマ大統領広島訪問 2016.5.28

 2016-05-28
伊勢志摩でのG7に続いて、オバマ大統領の広島訪問は、27日、BBC, CNNとも朝からトップで報じた。

BBCは、オバマ大統領の広島訪問を実況中継で伝えた。この時間、イスラエルはランチタイムなので見た人は少ないと思われるが、見る事は可能だった。

BBCの特派員は、オバマ大統領が、スピーチの中で、”被爆者”という日本語を使った点に注目。安倍首相が、あえて謝罪を要求しないと語ったことなどもあわせて高く評価する報道を行った。

また、広島には、日本人だけでなく、在日韓国人も被害にあったことを配慮したスピーチであったとも伝えた。

http://www.bbc.com/news/world-asia-36394975

アメリカのメディアであるCNNは、この件とともに、広島原爆記念館の展示物の写真を公開している。その中には、有名な「原爆で黒こげになった弁当箱」もあった。少しだが、当時の被爆者の悲惨なビデオも報じられた。

広島で被爆したアメリカ人捕虜を、被爆者として登録することに尽力した歴史家の森重昭さんへのインタビューも行っている。

http://edition.cnn.com/2016/05/26/politics/obama-japan-hiroshima-what-to-watch-for/index.html

<イスラエルでの報道>

イスラエルでは、テレビの夕方のニュース、また、プライムタイム・ニュースでも、トップニュースではなかったが、オバマ大統領の広島訪問を、原爆投下当時の映像、被爆者との面会、日本人一般女性へのインタビューも含めて報じた。

特にオバマ大統領が、「我が国を含む核保有国は、(核兵器をなくせば攻撃されるという)恐れの論理を克服する勇気をもたなければならない。私が生きている間に実現しないかもしれないが、努力はつづけていくべきである。」と語った点をとりあげて報じていた。

イスラエルは、核兵器を保有について肯定も否定もしないという立場で、実際には保有していると考えられている。

http://www.mako.co.il/news-world/international-q2_2016/Article-e501cd59361f451004.htm(チャンネル2のネットサイト)

<石のひとりごと>

オバマ大統領が、広島の原爆資料館を視察したのち、原爆ドームを訪問したことは日本人にとっては非常に意義あることである。しかし、それに加えて、原爆の事実が多少なりとも世界に報じられたこともまた、大きな成果ではないだろうか。

また、被爆者の方々や、広島の人々が、憎しみをぶつけたり、謝罪を求めたりするのではなく、オバマ大統領の訪問を歓迎している様子が、印象的だった。海外のメディアも、その点も評価する形で報じていたことが感謝であった。

<謝罪を求めないということについて>

作家の塩野七海さんは、日本政府があえて謝罪を求めないことについて、それこそ日本の品位であり、逆により効果的に原爆を訴える力にもなると語っている。

http://www.asahi.com/articles/ASJ5R3T1VJ5RULZU00Q.html?iref=comtop_favorite_01

原爆の問題は、アメリカの犯罪というだけでない。人類全体に対する警告も含む大きな問題である。

これはイスラエルのドイツに対する態度にも見られる。イスラエルは、ドイツに対して謝罪は求めていない。これは謝ってもらってすむというレベルの問題ではないからである。むしろ、これは、人類全体の問題だと世界に訴えている。

ドイツの方でも、口だけの謝罪ではなく、70年たった今もまだイスラエルへの実際的支援を行っている。ドイツの次世代の子供たちにはホロコーストを語り伝えている。結果、イスラエルに来るボランティアは、現在もドイツ人が一番多いという結果になっている。

世界で唯一の被爆国である日本が、これを機に、品位をもって、世界の核兵器廃絶にさらに貢献できればと思う。
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右派リーバーマン氏連立加入交渉成立 2016.5.28

 2016-05-28
前回お知らせした右派イスラエル我が家党のリーバーマン氏と、ネタニヤフ首相との交渉が、水曜、ようやく成立した。これにより、ネタニヤフ政権の議席数が、ぎりぎり過半数120議席中61から66議席になった。

しかし、まだ新政権として正式に発足したわけではない。

ネタニヤフ首相が最終的に目指しているのは、やはり左派右派交えた統一政権であり、今は決裂と報じられている中道左派シオニスト陣営のヘルツォグ氏に対し、まだ連立加入を呼びかけている。

なぜ統一政府にこだわるかというと、大きな決断がしやすくなるからである。イスラエルでは、六日戦争の直前に左派右派含む統一政府になったことがある。

フランスや、エジプト、穏健アラブ諸国からの和平交渉再開への動きを受けている中で、ネタニヤフ首相は、「今、パレスチナ問題解決への大きなチャンスのときが来ている。」と語り、今度こそ、パレスチナとの合意を実現したいと熱く語っている。

・・・とはいえ、現時点では、史上最強右派政権で、右派閣僚が2人、うち1人は2国家2民族案に反対している。これをもってなぜネタニヤフ首相が、「パレスチナとの和平を前進させる政府になる。」と言えるのかは、不明である。

*2国家2民族案

土地をユダヤ人のイスラエルとパレスチナ人のパレスチナに分割する案。アメリカと国際社会はこれをめざして和平をすすめようとしているのだが、エルサレム問題をはじめ、実際の分割は、ほぼ不可能といってもよいほど複雑化している。

<大臣ポストは交渉の道具!?>

今回、リーバーマン氏との合意に至るまでに、一悶着あったことをお伝えしておこう。

リーバーマン氏は、連立加入の主な条件として、①年金法案改正、②国防相のポジション、③テロリストは死刑の法案の3つを上げていた。リーバーマン氏は、自身がロシア系移民なので、選挙公約としてロシア系移民の年金を増やすことをあげていた。

この3つの中で、リーバーマン氏の最優先事項は年金問題だった。そのためには、②③は譲歩するとまでいう勢いだった。交渉はかなり難航し、一時はこちらも決裂と伝えられた。しかし、ネタニヤフ首相は、交渉にカフロン財務相を加えて話し合いを続けた。

結果、年金については、ロシア移民に限らず受給者全員を対象に増額するということで、2017年開始4年間で14億シェケル(約430億円)が計上され、3者が合意した。

テロリストの死刑法案*(軍法会議に限られ、従ってパレスチナ人に限られる)については、現在の法律では、死刑を執行する場合、裁判官全員の完全一致が必要であるところ、裁判官2人の合意のみでよいという形での法案になった。(あくまでも法案であり、まだこれから国会で長々と審議される)

*イスラエルの死刑制度について

イスラエルの法律には死刑があるのはあるという。しかし、条件である裁判官全員一致をもって、死刑が執行されたケースは、1962年,
元ナチス将校で、イスラエルにて裁判を受けたアドルフ・アイヒマンだけである。

国防相のポストについては、予定通りリーバーマン氏に内定することで合意。しかし、ネタニヤフ首相が、まだ統一、または拡大政府を目指していることを受けて、もし別の党も交渉に応じた場合、再び大臣のポストの振り分けが天秤にかけられる、ということで合意した。

つまり、ひょっとすると再び国防相のポストが別の人物になる可能性も、まったく0ではない、ということである。

他にもいろいろな交渉があったが、なんとか3人で合意に至り、水曜、ネタニヤフ首相とリーバーマン氏は、「正式に交渉が成立し、イスラエル我が家党は、連立政権に加わる。」として合同記者会見を行った。

記者会見では、両者はどちらも、にこにこであった。リーバーマン氏は、「とにかく治安の維持が優先」と語っている。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/212785#.V0c1baUWnA-

<国内からの反応>

リーバーマン氏の国防相内定で喜んだのが、西岸地区の入植者たちだ。リーバーマン氏自身も西岸地区の入植地に住み、ユダヤ人入植を促進する立場である。

一方で、リーバーマン氏が国防相になることをどうしても受け入れられない人もいる。中道クラヌ党(経済相のカフロン党首)の議員アリ・ガバイ氏は、強硬右派であるリーバーマン氏が国防相になることに抗議するとして、議員を辞職すると発表した。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4808650,00.html

内外から右派と目されるリーバーマン氏の国防相就任は、確かに不安材料になる。しかし、逆に「彼は極端な発言をするが、よく考えれば一理ある。」タイプの人物でもあり、今のところ、市民からの大きな反対デモなどは発生していない。

<国外からの反応>

リーバーマン氏が、国防相になるとのニュースに、いち早く反応したのはヒズボラのナスララ党首だった。ナスララ党首は、水曜、南レバノンからイスラエルが撤退したことを記念する行事において、防護シェルターの中から映像で、レバノン市民へのメッセージを語った。

その中で、イスラエルこそが本当の敵であることを強調。「リーバーマンはクレイジー」と評した。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4807999,00.html

余談になるが、アルーツ7によると、ヒズボラは、イスラエルに向けて地下トンネルを掘っているもよう。ヒズビラはすでに10万発のミサイルをイスラエルに向けていることも考えると相変わらず、イスラエルへの敵意は健在だ。

Yネットは、イスラエルが、ヒズボラとの衝突に備え、北部のユダヤ、アラブの村それぞれにおいて、市民自衛組織を訓練していると伝えた。訓練を受けた市民たちは、有事の際には、軍に協力して様々な対策をとる。これについては、アラブ人たちも協力的だという。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4808679,00.html 

ところで、イスラエルが最強右派になって最も影響を受けるのは、パレスチナ自治政府だが、まだ公式のコメントは出していない。新右派政権やリーバーマン氏の国防相就任もまだ正式ではないからである。(リーバーマン氏の国防相・就任は来週の予定)

イスラエルという国は、最後の最後までわからない、急に変わることが多々あるということを、さすが”長いつきあい”の隣人パレスチナ人たちは、よくわかっているようである。

http://www.haaretz.com/israel-news/.premium-1.720541

アメリカ政府スポークスマンは、「リーバーマン氏が連立入りしたことで、史上最強の右派政権となった上、2国家2民族に合意しない閣僚が2人になった。これは、イスラエルの今後の意向を反映していると懸念しても当然だろう。

しかしともあれ、実際にどういう動きをするのかを見ながら、これまでと同様の付き合いをする。」といっている。

<ユダ・グリック氏・国会入り>

前ヤアロン国防相が政界から身を引いたことで、国会入りが決まったユダ・グリック氏だが、一時、国会議員になる条件を満たしていないとして、火曜、議員入りにまったがかけられた。

グリック氏は、今にいたるまでアメリカの市民権を保持していた。グリック氏自身は、これを正式に返上する手続きをすませていたのだが、国会入りが浮上するにあたり、アメリカ政府が一時、これを差し止めたのである。そのため、国会議員定員から1人減って199人になると言われていた。

グリック氏は、強力な第三神殿推進派の指導者である。このグループが神殿の丘へ入る事で、パレスチナ人との暴力的な衝突がエスカレートする。アメリカの措置は、グリック氏が国会入りすることに警戒してのことであったかもしれない。しかし、結局それもクリアし、水曜、グリック氏は正式に国会議員となった。
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ラグ・バ・オメルで大規模山火事か 2016.5.28

 2016-05-28
水曜夜はユダヤ教の祭り、ラグ・バ・オメルというたき火の祭りの日だった。

この祭りは、聖書的な例祭ではない。ユダヤ教の根幹をなす書物の一つで、ユダヤ神秘主義の基でもある「ゾハル」の著者、ラビ・シモン・バル・ヨハイを記念する祭りである。

それによると、ラビ・シモン・バル・ヨハイは、2世紀、イスラエル北部ペキーンの洞窟に13年間隠れている間に、神から特別な啓示を受け取った。ラビは、それを死ぬ当日になって明らかにすることを決めた。

この日、ラビが啓示を語り終えるまで、太陽が沈まなかったという言い伝えから、夜にたき火をして明るくする、というのがこの祭りである。

祭りそのものは、16世紀に、ユダヤ教学者でもあるラビ・アイザック・ルリアによって考案されたのだが、正統派ユダヤ教徒だけでなく、世俗派にまで広がって、今や、イスラエル全国の風物詩になっている。

祭りの本家本元は、北部メロン山のラビ・シモン・バル・ヨハイの墓で、全国から集まるユダヤ教徒が,今年も6万人にのぼった。ぎっしりになった人々の間で巨大なたき火を行い、その回りで歌いよろこぶのである。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/212792#.V0hjoqUWnA8

全国各地では、地域の空き地などで家族や、若者のグループが三々五々、キャンプファイヤーをする。

世俗派などは、この日、なぜたき火をするのか知らない人がほとんどなのだが、とにかくこの日は「たき火の日」ということになっていて、マシュマロを枝に突き刺して焼きながら食べたりして、朝まで楽しむという具合である。

しかし、毎年消防隊には頭の痛い日である。今年はそれが悪夢となってしまった。たき火の日の翌日木曜、エルサレム郊外のあちこちで燃え残った火が山に広がり始め、一時は、住民を避難させるという騒ぎにまでなった。

消防署は、消火の決まりを守らない正統派たちを非難したりしていたが、幸い、夕方近くになってようやく火は消し止められた。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4808264,00.html
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左右統一政権のはずが!?最強右派政権へ 2016.5.21

 2016-05-21
イスラエルでは、ここ3日ほど、政治上、極端から極端へとひっくり返るような大騒ぎが発生し、国内メディアはかなり振り回された。

結論からいうと、右派(与党)と左派(野党)が同居する統一政権にほぼなり始めていたのが、急にどんでん返しとなり、いままでになかったほどの最強・右派政権になるみこみになったということである。

最強・右派になるとはどういうことかというと、「イスラエルはユダヤ」ということに重きがおかれ、パレスチナ人に対しては、これまで以上に妥協をゆるさない運営になっていくということである。

この大どんでん返しは、皮肉にも、エジプトのシシ大統領が、フランスが進めている、イスラエルとパレスチナの和平交渉再開を支援するとし、両者の和解への意欲を発表した直後に発生した。

時期的な一致から、Yネットは、エジプトは、代表野党で中道左派のシオニスト連合(元労働党)ヘルツォグ氏が、統一政権に入る事を予期して和平交渉への意欲を発表したのであり、急に最強・右派政権になったことで、エジプトのシシ大統領が怒りを発したとの記事も出していた。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4805184,00.html

しかし、エジプトは、まもなく、「どんな政権になっても和平交渉への意欲は変わらない。」と発表している。

パレスチナのアッバス議長は、ネタニヤフ首相が、統一政権ではなく、過激系右派政党を連立に加える道を選んだことについて、「結局のところ、ネタニヤフ首相は、過激な右派だということだ。フランスの提案にも応じず、地域の平和に興味がないのだ。」と語った。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4805362,00.html

<左派・右派・同時に交渉をすすめたネタニヤフ首相は非道徳的!?>

現在のネタニヤフ・連立政権は、120議席中61議席と、かなりぎりぎりで出発している。

政権を安定させるため、ネタニヤフ首相はこれまでからも、最大野党(24議席)で中道左派のシオニスト陣営(元労働党)のヘルツォグ党首に対し、連立政権に加わる交渉を行っていた。

エジプトのシシ大統領から、和平交渉推進支援に関する発表があったころも、ネタニヤフ首相は、ヘルツォグ氏に連立政権に加わり、国家統一政権を立ち上げるよう、交渉を行っていた。

エジプトの発表には、ネタニヤフ首相、ヘルツォグ氏、ともに歓迎の意志を発表し、統一政権になるとの見方がひろがった。

ヘルツォグ氏の政党には外務相など多数のポジションが、約束されていたという。この時点で、両者はほぼ、合意に達していたが、一点だけ課題があると報じられていた。

ヘルツォグ氏は、「今現在頻発しているテロが収まるまで」として、東エルサレムとの間に壁を建設し、東エルサレムはパレスチナ自治政府に管理させるとする、事実上のエルサレム分割案を主張しているのだが、これにネタニヤフ首相は合意できないのである。

そうしたことが報じられていた水曜、ネタニヤフ首相が、突然、(強硬系)右派政党のリーバーマン氏に国防相のポジションを提案したと発表し、大騒ぎになった。

ヘルツォグ氏にしたら晴天の霹靂である。ヘルツォグ氏は、「こちらと組めば統一政権で、リーバーマン氏と組めば最強右派政権になるという、両極端の結果であるのに、両者同時に交渉を行っていたのか。」と激怒した。

統一政権はなるのか!?メディアは、この金曜までにはどちらにころぶか明らかになる予定だと混乱の中で報じた。

しかし、昨日木曜のうちに、ヘルツォグ氏は、ネタニヤフ首相との交渉が決裂したと発表した。統一政権の可能性はなくなったということである。

一方、リーバーマン氏は、国防相のポジションを受諾すると発表。まだリーバーマン氏率いるイスラエル我が家党の政権入りが正式に発表されたわけではないが、これをもって、最強・右派政権の発足は、ほぼ確実という見通しとなった。

<国防相の交代:ヤアロン現国防相が自ら辞任>

このバタバタと平行してイスラエル社会を驚かせたのが、ネタニヤフ首相が、国防相という大事なポジションの首を、いとも簡単にすげ替えたということである。

上記の通り、ネタニヤフ首相は、リーバーマン氏に国防相のポジションを提示したわけだが、現在、国防相はヤアロン氏が現職。そのヤアロン氏には、なんの連絡もなく、リーバーマン氏にポジションを提示したというわけである。

ネタニヤフ首相は、後にヤアロン氏に電話で連絡。変わりに外務相のポジションを提示したと伝えられている。

しかし、ヤアロン氏は金曜朝、まだリーバーマン氏の連立入りが正式になる前ではあったが、自ら、国防相を辞任すると発表し、メディアを驚かせた。国防相だけでなく、国会議員もやめてしばらく政治から遠ざかるという。

ヤアロン氏によると、上記外務相ポジションを含め、様々な約束事について、ネタニヤフ首相には、「これは口約束であり、書面にはしない。」と言われたという。「首相を信じられなくなった。(首相の方針についていけなくなった)」と言っている。

<政府の右傾化を危惧する?イスラエル軍幹部>

実はこれに先立ち、ネタニヤフ首相とヤアロン国防相の間には、関係崩壊かとも言われるほどの一悶着があった。

先週、ホロコースト記念日でのイベントの一つで、イスラエル軍のヤイル・ゴラン副参謀長が、「1930年代(ナチ登場のころ)のヨーロッパのような忌まわしい動きが、2016年の今のイスラエルに見られる。」と、今の政府は右派に走り始めたと批判したかのようにもとれる発言をした。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4799593,00.html

この発言を受けて、ネタニヤフ首相は、激怒。説明を求めた。メディアでも大きく取り上げられた。ゴラン副参謀長は、発言の数時間後には、「そんなつもりはなかった。」と謝罪を発表した。

ところが、その1週間後、ヤアロン国防相が、イスラエル軍司令官らへの訓示の中で、「自分の良心に忠実になれ。思っている事を、述べるべきだ。」と語ったことが、さらなる問題となった。ネタニヤフ首相はただちにヤアロン国防相を呼びつけ、説明を求めた。

ここから考えられることは、実際にところ、政府にも軍にも、過激右派への動きが高まっており、もう止められなくなっていると警鐘する声が出始めたという状態ではないかということである。

この問題は、ヘブロンで重傷のパレスチナ人テロリストを撃って死に至らしめた兵士の行為が防衛の一環なのか、殺人なのかの判断を迫られた時から出始めた問題である。イスラエル軍の中にも過激な右派思想の兵士は少なからずいるのである。

ヘブロンでの事件では、ヤアロン国防相とエイセンコット参謀総長は、ただちに、これはイスラエル軍の軍紀に反するとして厳しい対応をとると発表した。

ネタニヤフ首相は、「厳しく対応する」と言いながらも、兵士の父親に国は兵士を支持すると伝えたと伝えられており、ヤアロン国防相とは一枚岩ではなかったということである。

ヤアロン国防相が軍幹部らへ語ったことについて、ネタニヤフ首相は、政府は国防軍兵士を全力でバックアップしていることを強調。その上で、「イスラエル軍の使命は、政府の指令に従い、国防をすることであって、政治に口出しするべきではない。」と主張した。

この問題は、軍の存在基盤に関わることであり、その点でトップ2人が合意できないということは、危機的な問題である。この後、2人は、一応の一致に至ったとも伝えられたのだが、その直後、ネタニヤフ首相は右派のリーバーマン氏を国防相に指名するという話になったわけである。

政府や軍が危険レベルの右傾化に進んでいるのかどうかは不明だが、これに乗じて、元首相であり元国防相のエフード・バラク氏が、テレビでのインタビューで、過激右派のリーバーマン氏が国防相に指名されたことについて、「今のネタニヤフ政権はファシズムの様相になりつつある。」と語った。

http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Netanyahu-Liberman-government-showing-signs-of-fascism-Ehud-Barak-says-454557

<最強・右派政権の中身>

現在のネタニヤフ政権には、ネタニヤフ首相とは常に険悪だが、(強硬系)右派で、ナフタリ・ベネット氏率いるユダヤの家党がいる。ベネット氏は、2国家2民族の考えに同意しておらず、基本的に、西岸地区も全部イスラエルが支配するべきだと考えている。

ベネット氏にとって、ヘルツォグ氏が主張するエルサレムいったん分割案は、とても受け入れられるものではない。もしヘルツォグ氏が加わって統一政権になっていたら、ベネット氏は間違いなく連立を離脱していただろう。

ベネット氏はまた、ヘブロンでテロリストを撃った兵士について、見方の兵士を殺人に問うのは、敵味方を間違えた行為だとして、ヤアロン国防相らに正面から反対した経過がある。

今回、連立に加わる見込みとなったリーバーマン氏は、以前より、「テロリストは死刑にする法案」を提出している。今の所棚上げになっているが、ネタニヤフ首相は連立参加への見返りとして、この論議を復活させることを、リーバーマン氏に約束したという。そのリーバーマン氏が国防相である。

リーバーマン氏は、軍司令官の経験がなく、これまでの動きからしても、この人が国防相で大丈夫か・・・?と我々のような者でも不安になってくる。

いずれにしても、左派を含んだ統一政権になるはずが、全く正反対の最強右派政権の形になったことから、だれかが裏ですべてを仕組んだのではないかといった記事もあった。

<第三神殿推進派のユダ・グリック氏が国会入りへ>

ヤアロン氏が議員もやめて政界から引退するということになると、次にリクードの選挙名簿に上がっているのは、ラビでもあるユダ・グリック氏である。

グリック氏(50)は、強力な「第三神殿推進派」で、数年前に、パレスチナ人テロリストに撃たれて重傷になりながらも”よみがえった”人物である。それが国会入りする。最強右派政権に、もう一つ右派要素が加わったということである。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4805583,00.html

<石のひとりごと>

政治は生き物とはよく言われる事だが、イスラエルでは本当にそれが顕著だと思う。常に予測不能なのである。

今回連立に入る見通しのリーバーマン氏は、総選挙の時にはネタニヤフ首相と組んでいたにも関わらず、連立に加わらないと言って、ネタニヤフ政権樹立を危機に陥らせた張本人である。

その後も、ことあるごとに、ネタニヤフ首相に対し、そうとう手厳しい批判をとばしてきた。それが、今回、連立に入っただけでなく、国防相という首相の右腕とも言えるポジションである。

ヘルツォグ氏にしても、そこまで言うか。。。とこちらがぎょっとするような言葉使いで、ネタニヤフ首相を批判してきたのである。それが条件しだいで、ほぼ統一政権とまで言われるほどに交渉が行われた。いちいち根に持っていては、イスラエルの政治家は務まらないようだ。

今回は、特に結局の所、やはり、エルサレムの分割で統一政権はならなかったということも注目された。アッバス議長が言う通り、イスラエルが西岸地区や特にエルサレムをパレスチナと分け合う気はないということだろう。

国の右傾化は、イスラエルだけではない。アメリカでは、過激発言で「アメリカ最優先」と言っているトランプ氏が次期大統領になる勢いであるし、ヨーロッパでも、中東からの移民急増で、各国で右傾化が出始めている。

かくいう日本も、安倍政権が国粋に走っていると懸念する声もある。

今すぐ世界が変わっていくということではないが、各国の右傾化の動きとともに、今回、第三神殿推進派のグリック氏が国会入りするというのも、黙示録時代へまた一歩近づいたというしるしのようでもある。
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湾岸アラブ諸国がイスラエルへ妥協案を提示か 2016.5.21

 2016-05-21
イスラエルは最強右派政権への移行で忙しくしているのと平行し、エジプトに続いてサウジアラビアなど湾岸アラブ諸国とヨルダンが、イスラエルとパレスチナとの和平交渉再開に向けて動き始めていると、欧米外交すじの情報としてチャンネル10が報じた。

それによると、サウジアラビアが、2002年に提示した和平案に、イスラエルの国益につながるような変更を加える用意があるとネタニヤフ首相に伝えて来ており、現在返事待ちだという。それを土台にして和平交渉を進めると提案して来ているのである。

サウジ案とは、イスラエルが西岸地区から撤退するなら、アラブ22カ国はイスラエルとの国交を正常化するというものである。これだけ多数のアラブ諸国との国交ができることは、イスラエルにとっても非常に魅力的な話である。

しかし西岸地区からの撤退は、防衛面だけでなく、西岸地区(東エルサレム除く)だけで40万人いる市民を撤退させるのは実質的に不可能であるため、イスラエルはこれまでのところ、この和平案も拒否する形をとってきた。

中東ではシリアの内戦、ISIS、シーア派・スンニ派対立、イランの核兵器問題と、年々、複雑になる中、イスラエルとパレスチナの問題はなんとなく陰になっていたのだが、ここへ来て、また話題に上って来ているというところである。

オバマ大統領が、11月の任期切れまでに和平交渉再開をごり押ししてくるのではと思われたが、そうはならず、別の所から沸々とその話がわいて来ているというところである。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/212588#.Vz-zqaUWnA8

http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Arab-governments-to-Netanyahu-Lets-talk-about-the-Saudi-peace-initiative-454559
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おおむね平和なイスラエル 2016.5.18

 2016-05-18
イスラエルでは、ここ数日、熱波が襲来し、エルサレムでも37度。南部やヨルダン渓谷、アラバ地域、ガリラヤ湖周辺などの低地では40度を超える暑さとなっている。相当暑いのだが、人々はテルアビブなどのビーチに押し寄せている。

乾燥と熱気で、エルサレム周辺で自然発火(一部は放火も疑い)とみられる発火で、緑地などの火事が頻発した。幸い、火はすぐに消し止められて、大きな被害にはなっていない。

テロは、エルサレム近辺で相変わらずぽつぽつと続いているが、死者を出すまでのテロは発生していない。

これまでに2件の死者を出すテロを経験したエルサレム南部アルモン・ハナチーブだが、先週、80歳代の女性たちが、旧市街の展望付近を散歩していたところ、若いパレスチナ人2人に襲われ、負傷した。

一人は重傷だったが、その後ニュースがないところを見ると回復に向っていると思われる。

昨日もエルサレム市内で、正統派男性がナイフで襲われたが軽傷だった。こうした様子だが、エルサレムもイスラエル全体も、特に重大なニュースはなく、おおむね静かな日常を送っている。

<建国記念日>

このような雰囲気の中、先週12日、イスラエルは、戦没者記念日、続いて、建国68周年を迎えた。様々な国家イベントや、右派のパレードも行われたが、テロが発生することもなく、平和に終わった。

一方、イスラエルの建国記念にあわせて、パレスチナ人は「ナクバの日」、”国を奪われた”ことを記念するイベントを行った。

ベツレヘムでは、サイレンでの黙祷の後、難民となって出て行く人々の扮装をした人々のパレードや、「帰還」するための機関車(作り物)が町をパレードした。

この日、西岸地区各地でイスラエル軍との衝突があったが、大事にはいたらなかった。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Apathy-resignation-mark-Nakba-Day-in-Bethlehem-454072

これに対し、イスラエルでは、テルアビブ大学において学生たちが、「ナクバは、政治的な嘘だ。」とするデモを行った。

http://www.israelnationalnews.com/More/VideoDay.aspx/?2015311#.VzsdMqUWnA8

<テロ被害者家族を覚えて>

周囲が平和になる中で大きな苦しみを抱えている人々がいる。テロで愛する家族を失った人々だ。今年は特に戦没者記念日に最近のテロで家族を失った人々の今がテレビで流されていた。

この1月、西岸地区オテニエルの自宅で殺害されたメイール・ダフナさん(39)は、6人の子供たち(2人は養子)の明るく元気なお母さんだった。それから約5ヶ月、ダフナさんの夫ナタンさんは、今も毎朝起きるのがつらいと語っている。

生きることがつらく、それでも毎朝子供たちとともに、必死に「生きる事を選んでいる」という厳しい心境を語った。

また長女のラナナさん(15)は、「犠牲者家族は、暗闇に支配されている。朝起きると、黒い雲があって、それとともに学校や職場に行っている。つねにある痛みを表現するのは難しい。」と語っている。

しかし、次のようにも語った。「イスラエルの人々の支えが、暖かく感じます。何があっても、たとえ弱さがあっても最後には勝つという思いが私たちを一つにしています。」

イスラエルの社会はどんどん変化し、前に進む。しかし、愛する家族を失った人々の時計はそこで止まっている。この人々を覚えてとりなしを。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/212090#.VzsU1aUWnA-
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建国68年の成長 2016.5.18

 2016-05-18
イスラエルの中央統計局によると、1948年、68年前の独立宣言の時の人口は80万6000人。68年後の建国記念日の人口は、852万2000人と10倍以上となった。昨年度からは2%の増加だった。

イスラエルでこれほど人口が増えたのは、世界各国から移民が来たことによるのだが、建国宣言からわずか3年の間に、60万人以上が来たとの記録されている。これらの移民はホロコーストで生き残った人々やアラブ諸国で迫害が始まろうとしていた国から来た人々である。

当時の歴史をひもとくと、当時は、移民たちが生まれたばかりの国にたよることはなく、それぞれが自力で生活をたちあげ、かつ、ボランティアで国を守る戦闘にも参加している。それぞれが、犠牲を払って、国を立ち上げたのである。

その後、特記すべき移住の波は、1980年代のエチオピア系、1990年代のロシア系移民の110万人。まったく何もなかった建国当初の移民に比べると、様々な国からの保障を受けられるようになっていた。

イスラエルへの移民は今も続いており、昨年度の移民者は3万6000人。国別ではフランス(25%)、ウクライナ(24%)、ロシア(23%)、アメリカ(9%)となっている。

また、イスラエル人は多くの子供を出産している。出産率は先進国では最高で、昨年度は19万5000人の新生児が生まれた。イスラエルでは、一人の女性が出産する子供の数は3人である。*正統派女性が一人で5人出産するなどして平均率を上げている。

結果、建国当初のイスラエル生まれのユダヤ人(サブラ)は35%という移民者の国であったものが、現在では75%がイスラエル生まれ(サブラ)になった。

イスラエルは若い国である。総人口のうち、28%が0-14才の子供。65才以上の高齢者は10.3%と日本とは逆の社会構造である。

イスラエルの人口は2035年までに、1130万人に至ると推測されている。(イスラエル中央統計局)

<イスラエルは最大のユダヤ人居住地>

イスラエルに住んでいるのは、ユダヤ人だけではない。今年は総人口の74.8%にあたる637万7000人がユダヤ人で、20.8%の177万1000人がアラブ人。4.4%で37万4000人は、ユダヤ人でもアラブ人でもないキリスト教徒その他となっている。

人口の増加率は、ユダヤ人が1.7%で、アラブ人は2%で若干アラブ人の方が増加率が高い。

しかし、現在、全世界のユダヤ人は1430万人であることから、ユダヤ人の43%がイスラエルに在住していることになり、世界で最大のユダヤ人在住地はイスラエルである。

ユダヤ人の内訳は、欧米系(ロシア系を含む)が220万人で36%、アフリカ系(エチオピア、モロッコなど)が14.5%、アジア系(アラブ諸国など)は11.2%となっている。

<急成長の経済>

イスラエルの経済も驚くべき成長をとげている。建国直後の1850年のGDPは250億1000シェケル(約8000億円)だったが、昨年度は、1兆1008億円(訳30兆3000億円)である。

2015年の失業率は5.3%と、1953年の7.2%から大幅に下がっている。ただし、仕事のコンピュター化やロボットの活用が進んで、将来職を失う人が増えるということが今年は話題になっていた。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4801356,00.html
http://www.jewishvirtuallibrary.org/jsource/Society_&_Culture/newpop.html
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中東和平に乗り出す!?エジプト 2016.5.18

 2016-05-18
<フランス主導の中東和平会議・延期の発表>

フランス政府は、パリでのイスラエルとパレスチナのための国際中東和平会議を提案。今月末には開催を目標に、双方への交渉を行っていた。

会議は、5月30日に予定されていたが、17日、フランスのオーランド大統領は、夏まで延期すると発表した。理由は、そこで重要な役割を果たす予定のケリー国務長官が、現在、手一杯で出席できないからと言っている。

また、この試みがもし失敗した場合は、再びテロや戦争のきっかけになると予想されることから、慎重を期す必要があるとも語っている。しかし、実際には、こうした会議を開催する状況にないというのが理由のようである。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4804149,00.html

フランス主導のイスラエル・パレスチナの和平交渉について、ネタニヤフ首相は、案が出た当初から、「この問題への解決は、双方が無条件に直接会談に望むことであり、他者の介入では解決しない。」と述べて拒否する意向を伝えていた。

また先週、ユネスコが、「ユダヤ人と神殿の丘には歴史的な関係がない」との採択を行い、33カ国が賛成票を投じて、可決されていたのだが、その中にフランスも含まれていた。

いうまでもないが、神殿の丘には、ソロモンの第一神殿から、エズラ・ネヘミヤからヘロデ大王に至る第二神殿に至るまで、ユダヤ人の神殿があったのであり、それは歴史学者も考古学も認めているところである。

にも関わらず、ユネスコがこうした決議を認めたことで、ネタニヤフ首相は激怒し、「国連職員全員に歴史の授業を提供する。」と反発。国連も直ちに「その必要はない」と言い返すという出来事があった。

https://www.rt.com/news/342184-israel-unesco-temple-mount/

当然、これに賛成票を投じたフランスが主導する中東和平会議に、ネタニヤフ首相が、参加するはずもない。

ケリー国務長官も、あれほどリキを入れて、アメリカとエルサレム、ラマラ、ヨルダンをさんざん往復してもなお、失敗した両者の関係回復である。

経験のあるアメリカですらさじをなげた問題に、フランスが急に出て来て解決できるはずもない、というところではないだろうか。

<エジプトが和平交渉へ意欲>

ところが、このフランスの会議延期の発表があった後、エジプトのシシ大統領が突然、フランス主導の中東和平会議を支援するとの発表を行った。

シシ大統領は、「1979年以前のイスラエルとエジプトの関係(両国の和平交渉前)は、今のイスラエルとパレスチナ人と同様に敵意に満ちたものだった。」とし、イスラエルとパレスチナも和平は可能であるはずだと述べた。

その上で、これは両者にとって和平のチャンスであるとし、エジプトは、これにできる限りの協力をする。もし合意に至るならば、エジプトはイスラエルとの関係を良きものとして維持すると約束すると述べた。

パレスチナへは、分裂している勢力を統一するようよびかけ、それにもエジプトは協力する用意があると述べた。

ネタニヤフ首相は、エジプトのこの申し出に対し、エジプトと穏健アラブ諸国の協力に期待すると、これを受け入れ感謝すると発表した。代表野党のヘルツォグ党首も同様の見解を発表している。

しかし、実際にはどうだろうか。まずは会議が実現するかどうか、もし実現し、解決したとしたら、それこそ歴史的なことである。今後の動きに注目したい。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4804281,00.html
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ヒズボラ幹部暗殺とシリア情勢 2016.5.18

 2016-05-18
先週土曜、ヒズボラは、幹部司令官のムスタファ・ベドレディンが空爆で死亡したと発表した。

一時はイスラエルによるものではないかと緊張がメディアをかけめぐったが、まもなくヒズボラ自身が、犯行はシリアの反政府勢力によるとの声明を出すにいたった。

これにより、ヒズボラは、イスラエルとの衝突を回避、イスラエルもシリア問題には不干渉の立場を維持することができた。
一報によると、ヒズボラは海外メディアに「イスラエルによる」と書かないように要請していたという。

その後、サウジアラビアのメディアの情報によると、ヒズボラは、ベドレディンのポジションに、ムスタファ・ムグニエを任命した。ムスタファ・ムグニエは、2008年にダマスカスで暗殺されたイマッド・ムグニエの息子である。

イマッド・ムグニエは1990年代からイスラエルが暗殺を試みた経過があるため、暗殺はイスラエルによるものとも思われているが、イスラエルはこれを否定している。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4804040,00.html

<イラク・シリア情勢>

ヒズボラが現在、イスラエルとの衝突を避けたいのは、ヒズボラがアサド政権を支援する立場で、シリア内戦への介入し、これまでに戦闘員を相当数失っているからである。

シリア情勢は、ISISが入り込んで来た事で、欧米軍、トルコ軍も反撃に出て、混乱に混乱を増加えた形になっている。

アメリカ国防軍は、現時点で、ISISに奪われた領地のうち、イラクでは40%、シリアでは10%を奪回したと推測しているが、実際は以下の通り。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/212365#.VzseLaUWnA8

1)あやういイラク政府

イラクでは、イラク軍がイラク最大の都市モスルをISISから奪回しようとしている。前進はしているようだが、まだ奪回するにはいたっていない。逆にバグダッドでは、本日火曜にもISISによる空爆があり、60人以上が死亡したと伝えられている。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-36310769

バグダッドでは、今月初頭、なかなかイラクの再建に着手できないでいる政府に対し、シーア派の有力者ムクタダ・アル・サダルの支持者らが、反政府デモを行い、議会会議室へ入り込むさわぎがあった。

アル・サダルの支援者の数は膨大で、反政府デモにおける集会で、アル・サダルが声を出すと大群衆が歓声をあげている様子が伝えられている。

イラクもまた内戦になるかとの緊張もあったが、このデモはアル・サダル自身のよびかけよって終焉となった。いずれにしても、イラクにも反政府勢力が生まれる土壌は十分あるということである。

国際社会は、もしイラクまで政治的混乱に陥った場合、ますますISISへの対処が難しくなるとしてイラク政府に警告を発している。

http://www.aljazeera.com/news/2016/04/protesters-storm-baghdad-green-zone-parliament-160430120004964.html

2)シリア情勢と国際社会のこころみ

一応の休戦となっているシリアでは昨日、パルミラまで響くような大爆音で、シリアでは最大と言われる油田施設が爆破された。ISISの犯行とみられている。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/212379#.VzshKqUWnA8

ウイーンでは、火曜、ケリー米国務長官とロシアのラブロフ外相も加わってのシリア問題を中心とする国際中東和平会議が始まった。

シリア問題では、とりあえずは停戦となっているアサド政権と反政府勢力の和平交渉を再開することが目標だ。

世界は、まずはシリアの内戦を一段落させることで一丸となってISISに対処しようとしているのである。しかし、今回も進展はあまり期待できる状態にない。

BBCは、反政府勢力の支配下で、アサド政府軍に包囲され、破壊されつくしたアレッポの様子を伝えている。

シリア人たちがいなくなったがれきばかりの町で、人がまるでねずみかなにかのようにこそこそと生きている。それでも、瓦礫の中で、小さな畑をして生き延びている男性の様子が伝えられている。

シリアという国は、実質、もうないといってよいほど荒廃しているようである。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-36278132

<リビアで勢力を伸ばすISIS>

イラク、シリアのISISが、欧米やトルコの介入で押されがちになっている今、北アフリカのリビアで、ISISが勢力を拡大していることが懸念されている。

リビアは、中東やアフリカの難民たちがヨーロッパへ向う経路になっており、リビアがISISに占領されることは、欧米社会としては、抜き差しならぬ事態である。

そのリビアでは、先月、リビア政府が、国の大半が、ISISに占領される可能性があると警告を発していた。

現在、ウイーンで開かれている中東問題の国際会議では月曜、これを”緊急事態”と認識し、ISISと戦うリビア政府軍への軍事支援を行う用意があると発表した。

しかしながら、リビア政府も、まだ安定した政府ではなく、そこへ軍事・武器支援をするとなると、非常に難しい問題である。

http://www.bbc.com/news/world-africa-36300525
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ロンドン市長にイスラム教徒 2016.5.18

 2016-05-18
日本でも報じられたことと思うが、ロンドン市長に、欧米の主要都市の指導者としては初となるパキスタン系のイスラム教徒サディク・カーン氏が就任し、注目されている。文字色

イスラム過激派が台頭する昨今、イスラム教徒のカーン氏が当選したことで、メディアが騒ぎたてたが、イギリスでは、すでに多数のイスラム教徒の政治家がおり、特に珍しいことではないという。

カーン氏も就任当初から、「私はイスラム教徒の市長ではなく、ロンドン市民の市長である。」と強調。最初の公式の仕事は、ホロコースト記念式典に参加することだった。

カーン氏は、パキスタンからの移民者の子で、父親はロンドン市内バスの運転手だった。貧しい境遇の中から、今の地位を築いた人で、人格者とみられる。

就任演説:http://www.theguardian.com/politics/video/2016/may/07/my-name-is-sadiq-khan-and-im-the-mayor-of-london-video

一方で、アメリカ大統領選で、「イスラム教徒はアメリカに入れない」と言っているトランプ氏に対し、「私はアメリカ訪問できないということか。」と厳しく批判。トランプ氏は、「例外はある。」と苦しい反論をした。

すると、「これは私だけの問題ではない。私の家族や知人。ロンドンにはたくさんのイスラム教徒がいる。トランプ氏は、イスラムについて無知だ。」と語った。

http://www.theguardian.com/politics/video/2016/may/16/sadiq-khan-donald-trump-muslims-ignorant-video

<イギリス労働党の反ユダヤ主義問題とカーン氏>

イギリスでは、今月初頭、労働党の党首ジェレミー・コービン氏が、ハマスやヒズボラとコンタクトをとっていることが明らかとなった。

さらに、コービン氏自身は、反ユダヤ主義に反対すると宣言しながらも、親パレスチナの立場と、ハマスやヒズボラとの関係は続けると言った。

こうしたことがきっかけとなり、労働党は、議席を大きく失う可能性が出て来た。このためか、コービン氏は、党内に反ユダヤ主義の問題があることを認め、これまでに党員50人を活動停止にしたことを明らかにした。

イスラエルでは、ホロコーストの時もこうしてじわじわと反ユダヤ主義が当たり前になっていったと懸念を表する記事もある。

今回、ロンドン市長になったサディク・カーン氏は労働党だが、コービン氏とは距離を置いていると伝えられている。

http://www.timesofisrael.com/uk-labour-chief-corbyn-rejects-call-to-denounce-hamas-hezbollah/

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ホロコースト記念日 2016.5.6

 2016-05-06
日本では子供の日にあたる5日、イスラエルではホロコースト記念日が行われた。

例年の通り、朝10時のサイレン、ヤドバシェム(ホロコースト記念館)での式典(前夜と当日)、国会での式典、ユースのための式典、記念日終了の式典が行われ、特にリブリン大統領、ネタニヤフ首相には演説三昧の忙しい一日となった。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4799598,00.html

今年、イスラエルに在住するホロコースト生存者と登録されている人は、200901人。

この時期になると、毎年ホロコースト生存者の貧困が話題となるが、Yネットによると、状況は、毎年改善しているものの、まだ3分の1にあたる約6万人が、貧困線以下、つまりは食べ物すら福祉に頼る生活だ。(データ:イスラエル厚生省、経済省)

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4799147,00.html

今年、カフロン経済相は、5億シェケル(約150億円)をホロコースト生存者の福祉予算に計上する計画であると発表した。なお、あくまでも計画。。。。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4798714,00.html

<ホロコースト生存者(特に男性)は長生きの傾向>

ホロコースト生存者の中には、家族をすべて失って、貧しい上に、孤立している人も少なくない。一方で、解放後、結婚して新しい家族を立ち上げ、今では数十人の孫・ひ孫に囲まれている人も多数いる。

しかし、いずれの場合でも、ホロコースト生存者(特に男性)は、病気を多く抱えているものの、一般のイスラエル在住の高齢者より、平均年齢は、平均5年長いという結果が出ているという。(8万人からの調査:Times of Israel)

http://www.timesofisrael.com/study-shows-survivors-sicker-but-longer-lived-than-native-born-israelis/

病気で長生きもどうかとも思うが、今年ヤドバシェムでの式典で、灯火した6人の生存者たちは、そろって「家族も増えた。私もまだ生きている。これこそヒトラーに対する勝利だ。」と語っている。

<日本のシンドラー:チャンネル2が杉原千畝氏を紹介>

ホロコースト記念日あけの夜、チャンネル2は、プライムタイムニュースで約8分、日本人外交官で、ホロコースト時代のユダヤ人難民に、”いのちのビザ”を発行した杉原千畝氏を、日本のシンドラーとして紹介した。

日本国内の杉原千畝博物館も紹介されていた。両親とともに、杉原氏に助けられたユダヤ人女性は、杉原氏について、「私と両親を救ってくれた人です。」と語り、初めて敦賀の港についたとき、人々がとても暖かかったとも語っている。

http://www.mako.co.il/news-world/international-q2_2016/Article-219484fdcf18451004.htm?sCh=31750a2610f26110&pId=2100566639

<次世代に伝えるために:”ジカロン・バ・サロン”ー居間で記念日を>(取材記録)

ホロコーストはイスラエル国家にとってその存在意義にも関わる重要なできごとである。決してこれが忘れ去られることはない。しかしそれでも、戦後70年となり、証言者も年々減って行く中、次世代にどう引き継ぐかを懸念する声もあることがわかった。

1)公式式典の現状 http://www.zikaronbasalon.org

今年も、4日夜のホロコーストの記念式典を取材したが、今年、3回目だった。毎年ほぼ同じ内容で、式典に来ている人々の様子もほとんど変わりがない。日本の公式の原爆記念式典を思い起こしていただくとよい。

来ているのは、大統領、首相ほか政治家たちと、政府から招かれ、来るだけの体力があるホロコースト生存者と家族たち(ほとんどが生存者に育てられたとみられる中高年者)と、アメリカなどからユダヤ教育を目的に来ている海外のティーンエイジャーのユダヤ人である。

式典会場では、今年はフランスからの一団に会ったが、以外にも現地イスラエル人を探すのが難しかった。式典は、テレビで生中継され、この時間、他の番組はない。イスラエル人たちは家で式典を見ているということである。つまり、見てない人も少なくないということである。

ユースグループの記念式典では、イスラエルのユダヤ人ティーンエイジャーたちばかり(ドルーズの若者を含む)数百人を前に、ナフタリ・ベネット教育相が訓示を述べ、一人のホロコースト生存者が、若者たちを前に証言をした。この女性が最後に「神はおられます。」と宣言したのが印象的だった。

ところが、若者たちは、式典が終わるやいなや、きゃあきゃあ言いながら、グループごとにポーズをとって記念撮影をし、ものすごいスピードでさっさと帰って行った。悲壮な様子はまったくない。学校のプログラムだから来たという感じだ。

今はまだ若い世代も、自分自身の祖父母たちが生存者という場合が多いので、意識からはなれてしまう事はない。しかし、今のままのシステムだけでは、今いる生存者がすべていなると同時に、記憶はすみやかに、うすれてしまうのではないか。こう考えたのが、ナダブ・エンボンさん(39)夫妻だった。

ナダブさんによると、イスラエルでは、学校や軍隊などに所属している時は、教育の一環として、式典に出席できるが、そうした組織から離れると、式典に出る事も、特別なセミナーに出る事もなくなり、ホロコースト記念日がだんだん遠い存在になるような気がするという。ある時、妻が、ホロコースト記念日を忘れていて危機感を持ったと語る。

この状況を課題と見たエンボンさん夫妻は、2011年、自宅のリビングに友人たち40人を招いて、ホロコースト生存者の話を聞くときをもった。

2)記念式典から家庭集会へ

第一回目のこの会では、多くの発見があった。一つは、式典では、一定時間、ただ座っているだけだが、リビングでは、ただ話を聞くだけでなく、その後で、思いや考えをシェアすることができる。

イスラエル人は、日本人ほと、遠慮をしないでもの言う。証言を聞いたあとで、正直な反応がいろいろ出て来たという。ある人は、「ホロコーストは、あまりにも恐ろしく、理解しがたいことなので、これまで目を塞いできた。」という思いを語った。

ある人は、「親しみのあるこうした会はすばらしい。しかし、やはり敬意を払うという意味でも、きちんとした式典の方がよいと感じた。」と言った。

またある人は、「こうした親しい場所だから言うが、スファラディ(アラブ東方系ユダヤ人)の自分は、ホロコースト記念日は、”かやの外”といった気分だった。」と語った。

ホロコースト記念日といえば、ヒトラーに虐殺された600万人を覚えるとういう日である。当時ヨーロッパにいなかったスファラディや南アメリカ系、エチオピアなどのユダヤ人にとっては、同族に及んだ悲劇ということで、関わりはあるが、自分や自分の家族との直接的な関わりはない。

さらにいうなら、スファラディたちも、アラブ諸国などで十分迫害を経験して来たのだが、それに対する記念日はない。

ナダブさんは、こうした”かやの外”的な人々のためにも、家庭集会は効果的だと考え、翌年には、リビングを開放するホストを募集した。すると、20件でこうした家庭集会、”ジカロン・バ・サロン(リビングでの記念日)”が実現した。

この動きは急激に世界に広がって、3年目には200件、4年目には800件、昨年には3500件。イスラエルを含め世界にも家庭にホロコースト生存者を招く集会が実現した。

今年のホロコースト記念日周辺では、さらにホストが増えて、世界で50万人が、ジカロン・バ・サロンに参加している。(生存者本人だけでなく、生存者に育てられた2代目生存者も証言者になっている)

ジカロン・バ・サロンでは、ホストに必要な教材や、ホロコースト生存者を招けないグループのために、証の収録などを用意しており、ネットからダウンロード可能。しかし、会そのもののプログラムはホストに自由に任せており、家庭だけでなく、職場や、パフォーマンス会場でも行われているという。

昨年、ミュンヘンで行われたジカロン・バ・サロンでは、ホロコースト生存者の孫と、ナチス兵士の孫が共に座って生存者の話を聴くという会も実現した。

なお、今の所、ホストはユダヤ人で、異邦人は招かれるという形をとっている。ナダブさんは、”残念ながら”と言いつつ、今のところ、パレスチナ人家庭での集会は実現していないと語った。

2)ホロコーストが人を立ち上がらせる

ナダブさんはまた、ホロコーストに関しては、非常に残酷でセンセーショナルな部分だけが、強調されるのも課題だと考えている。これだけでは、記憶は長続きしない。ここから何かよいものが出て来る必要がある。

ナダブさんは、ホロコーストから次世代が学ぶべきことは、人種差別の危険性、人間のいのちの神聖さ、兄弟愛、コミュニティの力であり、これらが、ホロコーストが、世界に提供できるポジティブな側面だと強調する。

そこから発展し、ナダブさんは、今、ジカロン・バ・サロンを、刑務所や、落ちこぼれた若者たち、売春女性関係施設で行っている。このような場所にいる人々は、日々、個人的なホロコーストを経験しているため、ホロコースト生存者に会うことで、確かに立ち上がりへの希望につながっていると報告する。

<マーチ・オブ・ザ・リビング:元チーフラビ・イスラエル・メイール・ラウ>

ポーランドでは5日、今年28回目になるマーチ・オブ・ザ・リビング(生者の行進)行われた。アウシュビッツからビルケナウまでの3キロを歩くというプログラムである。この収容所では、ユダヤ人110万人が虐殺されている。

マーチの先頭を行くのはイスラエル政府代表団で、今年は首相府を代表してアイェレット・シャキッド法務相が代表として参加した。

その後から、40カ国、1万人(ユダヤ人・異邦人)が続いた。アメリカ、イギリスなどと並んで、今年は、日本からの参加が,
イスラエルのメディアで注目されていた。このイベントが開始されてから、1988年以来、52カ国、22万人が参加している。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4799739,00.html

イスラエルからも毎年、高校生などの修学旅行でこのマーチに参加する。やはり、実際の死の収容所、ガス室などを見ることで、ホロコーストへの理解とともに、イスラエルへの愛国心も高まるという。

しかし、最近では、旅行費が高額であることと、ヨーロッパでの反ユダヤ主義、テロの悪化から、イスラエルのティーンエイジャーたちの、ポーランドへの渡航にブレーキがかかっているという。 

ジカロン・バ・サロンのナダブさんも、実際に収容所を見る事は効果が大きいだけに、イスラエルからの参加にブレーキがかかるのは残念との見解を語っていた。

*天の父から離れてはならない:元チーフラビ・イスラエル・メイール・ラウ

自らもホロコースト生存者である元チーフラビ・イスラエル・メイール・ラウは、マーチに参加した1万人を前に次のようなパワフルなメッセージを語った。

ラビは、昨年のワシントンDCでの記念イベントで、オバマ大統領が、「現代の反ユダヤ主義は、人類すべてに対するものでである」と言ったことを引用。「現代のヨーロッパや中東に、このスピリットはない。憎しみが満ちている。

・・・私たちはなぜ苦しむのか?なぜ?いったい何をしたというのか? 私たちにはわからない。しかし、天の父から離れてはならない。散々苦しんだあげくに、私たち(ユダヤ人)に与えられたすばらしい財産を失ってはならない。ユダヤ人であることを忘れてならない。

イザヤ書60章(8節)「雲のように飛び、巣に帰る鳩のように、飛んで来る者はだれか。」と書いてある。雲は風に押されてようやく動くが、鳩は風がなくても巣に帰る。

私自身はホロコーストという大嵐に押されてイスラエルに戻らされた。しかし、あなた方は、今、鳩のように、風に押されなくても、自分の意志で、家(イスラエル)に戻る特権が与えられている。

私たちには、イスラエル以外に国、家はない。死に満ちた世界から命の国へ。皆さんが、私と同じ思いになって下さることが私の願いです。(ユダヤ人はイスラエルへ帰還してほしいということ)

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/211844#.VyuzRKUWnA8

<石のひとりごと>

シリアでの内戦ではこの5年で死亡した人数は25万人以上と推察されているが、ホロコーストでは、ヒトラー就任の1939年から、終戦までの約6年(実際には最後の数年間)で600万人である。今年は特にこの数字の重さを考えさせられた。

毎年思う事だが、ホロコーストは、単にドイツの戦犯であるとか、ユダヤ人に降りかかった災難というだけではない。これは、もはや歴史の一事件というよりは、今に続く、神の前に私たち人類の罪深さ、その能力と恐ろしさ、それを知って、人類すべてが神の前にへりくだることを示唆するできごとである。けっして他人事ではない。

しかし、ユダヤ人ですら、次世代ユダヤ人にホロコーストを伝えることに課題があるとすれば、日本を含めそれ以外の世界で次世代にホロコーストを伝えて行くのはさらに困難、というよりは不可能かもしれない。

実際、ADL(反名誉毀損連盟)が53000人(100カ国以上)から行った統計によると、54%はホロコーストについて聞いた事がないと答え、32%は、ホロコーストは事実ではないか、数字に誇張があると考えていることがわかった。

つまり世界の3分の2は、ホロコーストを知らないか、忘れているということである。世の終わりには人の愛がさめると書かれている通りである。

http://www.jewishjournal.com/sponsored/article/two_thirds_of_the_world_has_forgotten_the_holocaust_can_a_new_worldwide_mov
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ガザ情勢緊迫:ガザからの砲撃・報復続く 2016.5.6

 2016-05-06
イスラエルでホロコースト記念日が行われている背後で、ガザ情勢が、悪化の兆しを見せている。ここ2日ほどの間に、ガザ地区からの砲撃が10発以上続いている。このため、イスラエル空軍はガザ地区をこれまでに2回実施。戦車からの反撃も行われた。

テレビのニュースでは、ガザ地区方面であがる大きな黒い雲が報じられていた。今のところ、イスラエル側での負傷者や被害は出ていないが、ネタニヤフ首相は、治安閣議を招集し、対応の協議を行っている。

パレスチナメディアは、イスラエルの空爆で女性が死亡したと伝えている。

http://www.maannews.com/Content.aspx?id=771402

<新たな地下トンネル発見>

先月、イスラエル領内に入り込んだ地下トンネルが発見されたが、5日、また同様のトンネルが発見された。トンネルは、28m地下で、ガザ南部から、イスラエル領内に入り込んでいた。先月みつかったトンエンルの近くだという。

南部イスラエル人居住区エシュコル地方に向っていた。イスラエル領内で地上に出るためのシャフトは今のところ、まだ見つかっていない。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4799687,00.html

<逮捕のハマス戦闘員がすべて自白:トンネル捜査飛躍>

イスラエル治安機関シン・ベトが発表したところによると、イスラエル領内にしようとしたハマス戦闘員モハンマド・アトゥナ(29)を逮捕していた。

アトゥナは、自宅に自爆ベルトやライフルなどの武器など多数を保持していることを自供。さらには、ハマスの地下トンネルに深く関わっていたということで、トンネルの位置など重要な情報の詳細の他、ガザ地区内部の様子、幹部の名前なども自白しているという。

アトゥナによると、ガザ地区の地下には、ハマス戦闘員がリラックスする部屋なども含むかなりの住居施設ができあがっている他、しばらくは立てこもる備えもできているもよう。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4799814,00.html

<大量の密輸化学物資を押収>

3日、イスラエルは、ガザに搬入される物資の中に、40トンの食塩に混じって4トンものアンモニウム塩化物が発見し、押収した。この物質はロケット弾の材料になるものであった。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4798876,00.html
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シリア難民キャンプを空爆:28人死亡 2016.5.6

 2016-05-06
情勢が悪化するシリアだが、水曜、アメリカとロシアが、協議を行い、アレッポを中心として48時間の停戦延長が決まった。

ロシアは、シリア政権側を支持し、アメリカは反政府勢力を支持していることを受けて、両国が、現地での戦闘停止を命じたというわけである。しかし、この停戦にISISとアルカイダ系アルヌスラは含まれておらず、どんな意味があるのかといったところであった。

そんな中、5日、48時間の停戦の途中で、シリア北部、トルコとの国境にある難民キャンプが空爆され、少なくとも28人が死亡した。ここはシリアの戦闘地域から逃れて来た多数の女性や子供たちが、テントで避難生活をおくっていた地域である。

どの組織が空爆したのかはまだ明らかでないが、この行為は戦犯になる可能性が高い。

破壊されつくしたテントのあとで、男性が泣き叫びながら、「ここにいたのは子供たちだ。子供たちがなにをしたというのだ。イスラムはどこにある?世界は何をしている?」とアサド大統領とその同盟国、レバノン、イランをのろっている様子が伝えられている。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-36218997
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トルコ:ダウトオール首相退任でエルドアン大統領の権力集中へ 2016.5.6

 2016-05-06
日本でも報じられていたと思うが、トルコのダウトオール首相が退任することが、首相本人の記者会見で明らかとなった。

ダウトオール首相は、ヨーロッパへの難民流入を阻止することに成功し、これから7月までに、その見返りとして約束されていたトルコ人のビザなし渡航に向けた協議をすすめていたところだった。それだけに世界はびっくりぽんである。

記者会見において、ダウトオール首相は、「これは、自分の意志ではなく、状況からの判断」と主張。これからも大統領には忠誠をつくすことを強調した。しかし、この背後には、大統領との意見の不一致があったと伝えられている。

ダウトオール首相は、エルドアン大統領の権力集中には反対していたと言われる。今回の退陣については、最近、ヨーロッパとの関係改善で活躍し、力を持ち始めていたダウトオール首相を、大統領が排除したとの見方が濃厚だ。

ダウトオール首相が退陣すると、実質、トルコの指導は大統領が担う形ができあがったことになり、今後、エルドアン首相が強大な権力を発揮して行くと予想される。

トルコでは、エルドアン大統領になってから、イスラム化がすすみ、クルド人との関係が悪化して、アンカラやイスタンブールでのテロも続発した。国内では、エルドアン大統領を支持する人々と、これに懸念をもつ人々で、世論は大きく別れている。

シリア問題にとってトルコの役割が大きいだけに、トルコが今後、どんな国になっていくのか、今後の中東情勢にどんな影響が出てくるのか、注目されるところである。

http://time.com/4320036/turkey-prime-minister-ahmet-davutoglu-resign/
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カナダの山火事で9万人が避難:シリア難民が献金へ 2016.5.6

 2016-05-06
日本でも報じられているが、3日前に、カナダ西武の町フォート・マクマレイで、突然発火して山火事が発生。あっというまにひろがって、一時はフォート・マクマレイが焼失する可能性もあるという報道になった。(NHKによると、東京ドーム21個分にあたる1万ヘクタールが焼失)

これまでに住民88000人以上の全住民が、激しい炎を背景に車で避難。家を失って避難する住民が、「家を失った。」と言いながら、恐ろしい光景を撮影している。その様子は黙示録を連想させるものがある。

http://www.bbc.com/news/uk-36210378

BBCによると、1100人の消防隊が消火にあたっているが、まだ鎮火の兆しはない。しかし、風向きが変わって、今は町から山の方へ炎の向きが変わっているという。フォート・マクマレイからは、1600戸が完全焼失し、廃墟となった町の写真が報じられている。

今はフォート・マクマレイ北部の住民を避難させなければならないが、山火事の影響で仕える道路が仕えなくなると、17000人が取り残されることになるという。金曜にはこの地域から8000人が輸送機で避難をしたもようである。

http://www.bbc.com/news/world-us-canada-36218996

この火事は、エルニーニョ現象と異常な熱波が重なって発生したとみられている。雨はまだ来週にならないと期待できないとのこと。

<シリア難民が被災者に献金運動>

カナダ政府は、これまでにシリア難民25000人を受け入れていたが、今年3月にはさらに1万人を受け入れることを決め、現在、シリア難民35000人がカナダで新しい生活を始めている。

タイム誌によると、カナダでの大きな災害を受け、「カナダ人は私たちにすべてを与えてくれた。今度は私たちの番」と、貧しいはずのシリア難民が、フェイスブックを通して、支援を呼びかけた。

すると、彼らがカナダに来たときに、カナダ人たちが数ヶ月前に与えてくれたばかりの家具や衣類を提供する申し出が相次いだ。今は5ドルの献金を募る形にしているという。

シリア人たちが今通っている艱難を思うと、彼らのこの思いには、なんとも泣ける思いだった。厳しい経験をした人は人の苦しみも理解できるようになるということであろう。

http://time.com/4320302/fort-mcmurray-fire-syrian-refugees-canada/
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