山火事の被害とイスラエル政府の対処 2016.11.27

 2016-11-27
全国で発生した山火事は、今週末、あらたに186カ所で出火したが、スーパータンカーがアメリカから到着したこともあり、現地時間で土曜夜までには、おおむね鎮火した。

Yネットによると、土曜夕方の時点で、特に被害が大きかったハイファでは、ビル計175棟が焼け、アパート1784室、4832人が被害を受けた。このうち、77棟、527室が居住不能と判定され、1616人が、家を失った。

正確な数は不明だが、エルサレム周辺でも家や経営していたレストランが全焼した人々がいる。

負傷者は、救急隊によるとハイファと、エルサレム近郊マアレイ・アドミムから約180人で、煙を吸うなどして搬送されていた。うち3人が中等度の負傷。129人は軽傷で、50人は自力で病院を受診していた。

今回は、全国規模でしかも少なくとも出火の半数はテロによるといった出来事は、イスラエル史上、前代未聞で、被害総額も、少なくとも20億シェケル(約600億円)とこれもまた史上最大とみられる。

相当な被害だが、そこで立ち止まらないのがイスラエルである。もっとも被害が大きかったハイファでも、土曜夜には、被害の詳しい調査を終え、日曜には、通常の生活に戻っている。出火原因の一部はテロであることから、できるだけ、早く日常に戻るというのがイスラエルの対処である。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4884557,00.html

<被害者への補償>

イスラエルでは、テロによる被害である場合、法律で、国が全額補償することになっている。たとえば、ガザからのロケット弾を受けて破壊された家は、国が全額再建費用を出すという形である。

カフロン経財相は、土曜夜のうちに、テロによるとみられる火災で、自宅に帰れなくなった被害者全員に、国が見舞金として、1人2500シェケル(約75000円)を支給すると発表した。一家4人の場合は1万シェケル(30万円)ということになる。

また、テロによる火災で被害を受けた建物については国が全額補償するとが発表した。なお、カフロン経財相とネタニヤフ首相は、被害のほとんどはテロによるとの味方で合意している。

しかし、これが良いことばかりではない。個人で火災保険に入っていた人の場合、国の補償が優先してしまうと、逆に補償金額が下がってしまうのだという。

このタイプのテロで、ここまで大規模な被害はこれまでになかったので、国がはたして、全額補償できるのかなど、今後、予想外の様々な課題が出てきそうである。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4884824,00.html

ところで、イスラエル人は、困った時の助け合いに関しては非常に目をみはるものがあるが、今回も火災で焼け出された人々を、緊急にと自宅に迎えるとの申し出が殺到していた。また、諸団体もチャリティ活動を開始している。

http://www.jpost.com/Israel-News/Israelis-welfare-organizations-rally-to-help-in-wake-of-fires-473732

<ネタニヤフ首相からアッバス議長へ感謝>

火災発生時は、アラブ社会のソーシャルメディアなどで、イスラエルの火災を喜ぶ書き込みがなされていたが、国レベルでは、近隣アラブ諸国も応援の消防隊や消防機を多数派遣した。

イスラエルの消防士2000人とイスラエル軍兵士450人とともに、パレスチナ自治政府、ヨルダン、エジプト、トルコなど、日頃は敵対する国々の消防士たちが、24時間体制でともに消火作業を行った。ネタニヤフ首相は、アッバス議長に感謝を伝えている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4884637,00.html

<放火テロへの報復は?>

テロである場合、イスラエルが、だまってそのままにしておくことはない。これまでに放火の容疑者23人が逮捕され、調査がすすめられている。

右派ユダヤの家党ベネット党首は、焼失した家々は必ず再建し、「西岸地区にさらにユダヤ人の家を建てることがテロへの報復だ。」と語っている。イスラエル我が家党のリーバーマン党首も同様の発言をしている。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/220873
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ISIS4人死亡:イスラエル空軍 2016.11.27

 2016-11-27
日曜朝、ゴラン高原のシリア側から、イスラエルの警備兵らに向かって、銃撃があった。これを受けて、イスラエル軍が反撃。イスラエル空軍が、イスラエル側へ発砲する軍用車を爆撃し、乗っていたISIS戦闘員4人の死亡が確認された。

シリア国境からイスラエルの流れ弾が着弾し、イスラエル軍と小競り合いになるというパターンは時々発生しているが、イスラエルとISISが直接対立するのはこれが初めてである。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4884827,00.html

<ゴラン高原の最近の様子>

イスラエルはゴラン高原で、シリアと国境を接している。しかし、イスラエルとシリアの間には、1967年の戦争以来、非武装地帯が定められ、その中のクネイトラという町に国連軍UNDOFが駐留し、両者がぶつからないように監視していた。

2011年、アサド政権と反政府勢力の間で内戦が勃発すると、クネイトラ周辺は、反政府勢力の中でも過激派アルカイダ系のアル・ヌスラが支配するところとなった。UNDOF兵士らがアル・ヌスラに拉致される事件(兵士らは無事解放)も発生したため、2年前に撤退を余儀なくされた。

しかし、アル・ヌスラがいるために、ゴラン高原でのISISの勢力はまだまだ少数派であった。

今年、アル・ヌスラは、アルカイダから離脱。アル・シャムスと名を変え、穏健派の反政府勢力に合流したとみられている。そのためか、ゴラン高原では、平穏が続き、11月14日からは、UNDOFがゴラン高原での駐留を再開している。

http://www.timesofisrael.com/un-peacekeepers-return-to-syrian-side-of-golan-heights/

<反政府勢力劣勢か?・アレッポその後>

シリアの都市アレッポの東側は、反政府勢力が支配する地域だが、10月にロシアの斡旋でしばしの停戦が実施されたが、現在は、激しい攻撃が再開され、今日で13日目になる。

戦況としては、反政府勢力が劣勢で、ここ数日の間に、シリア政府軍がロシアの支援を受けて、アレッポ北東部の要所を奪回したもよう。

一方、反政府政府勢力は、東アレッポと、反政府勢力地域に囲まれたシリア政府管理下の西アレッポへの反撃を開始している。

激しい市街戦が続く中、東アレッポには一般市民27万5000人がまだいるとみられている。イギリス系人権保護団体によると、これまでに、市民219人が死亡。うち27人が子供だという。もちろん、西アレッポでも市民らに犠牲が発生している。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-38120009

<エジプトの寝返り>

アサド政権は、イランやロシアという強力なバックアップがあるが、さらにトランプ次期米大統領がロシアに接近する構えであるため、勢いを盛り返しているようである。

さらに、先週には、エジプトのシシ大統領が、「エジプトは、正規の国軍を支援する。」と、シリア政府側に立つかのような発言をした。これはトランプ次期米大統領がロシア接近の意思表示をしていることもあいまって、反政府勢力には大きな打撃である。

http://www.jpost.com/Middle-East/Egypt-shifts-to-open-support-for-Assad-regime-in-Syrian-civil-war-473693

エジプトはスンニ派で、その親方であるサウジアラビアからの大規模な経済支援も受けている。そのため、これまでは、サウジ側に立ち、シーア派主流のアサド政権陣営とは敵対する立場であった。

しかし、エジプトは、考えた。もし、シリアで反政府勢力(スンニ派)がアサド政権を倒すと、その勢いに乗ってエジプトが自国内で手を焼いているムスリム同胞団(スンニ派)が台頭してくる可能性がある。

また、トランプ次期大統領は、ロシアと接近を表明しており、アサド政権は勢いを増している。このまま、反政府勢力を支援し続けることがエジプトの国益になるとは限らない状況になってきたということである。

エジプトは、防衛においては、ロシアとイランに接近し、経済においてはサウジアラビアとの関係も続けるという戦国時さながらの知略をすすめているとみられる。

今後シリアで、反政府勢力が弱体化してくると、次にゴラン高原に台頭してくるのは、アサド政権とその背後にいるヒズボラ、イランか、もしくはISISか・・?イスラエルとしては、今のアル・シャムスのほうがまし・・・といったところだろうか。

いずれにしても、今の中東はロシアを味方につけておく。。。というのがポイントのようである。無論、イスラエルもネタニヤフ首相がなんどもプーチン大統領を訪問するなど、すでに、ぬかりない外交をすすめているようである。

<イラク・モスルのISIS総攻撃その後>

一方、イラクではISISが占領するモスルへのISIS撃滅にむけた総攻撃が始まってから6週間になる。市内では激しい市街戦が続き、連合軍の前進のスピードは落ちているという。

BBCによると、これまでに68000人以上が避難したが、まだ100万人が市内にいるとみられている。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-38097488
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各地で連続山火事:放火テロか 2016.11.25

 2016-11-25
今週火曜、沿岸部から始まった大規模な山火事以降、ハイファや、エルサレム周辺の山々から、南はラキシュ付近などの各地で、次々に山火事が発生。

イスラエルでは、ここ数日、空気が非常に乾燥している上、強風が続いているため、鎮火が困難となっており、3日目の今日も、まだ延焼が続いている。

一部の地域では、住民が避難を余儀なくされている他、イスラエル軍基地も避難したところがある。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4883045,00.html

<被害状況>

山火事が始まったのは、今週火曜。ハイファとカイザリヤの間の沿岸に近いジカロン・ヤアコブで出火。ジカロン・ヤアコブでは、30軒が被害を受け、うち20軒は、焼け残ったものの、居住不能と査定された。

さらにナザレやガリラヤ地方、ヨルダン渓谷など、複数の地点でも出火。(これらの地域では2日後にはだいたい鎮火し、被害のなかった住民は、帰宅している。)

続いて、水曜には、エルサレムの山々から低地にかけた地域ラトルンで出火し、ラトルン周辺では、一部の住民が避難を余儀なくされた。ここでは家屋2軒が焼失した。テルアビブに向かう国道443号線は木曜朝は、閉鎖された。

その後、木曜午後から、ハイファの複数の地点で山火事が発生。強風を受けて火事は大規模に延焼し、木曜夜中に約75000人が、何も持ち出せない状態で緊急避難を余儀なくされた。現在、市内のホテルなどで待機している。

ハイファ市内での火災の様子:http://www.bbc.com/news/world-middle-east-38088651

負傷者は出ていないが、150人が煙を吸い込むなどして手当てを受けている。

ハイファでの大規模な火事を受けて、テルアビブ方面からハイファに続く列車が運休。国道6号線他、周辺道路も複数の地点で閉鎖された。

その後、深夜以降、水曜の出火からいったん鎮火に向かっていたエルサレムの山中では、ベイトシェメシュ、シャアル・ハガイ周辺(エルサレム市内から23キロ)で出火し、モシャブ・ベイト・メイールの住民は全員、夜中に避難した。

地元紙によると、ベイト・メイールには、ゲストハウスがあり、宿泊していた400人も避難したが、その中には、日中、ハイファの山火事から避難してきていた人もいたという。

*ベイト・メイールの内部の火災の様子 http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/220829

現在金曜朝、ベイト・メイールが面するエルサレムとテルアビブを結ぶ国道1号線にあるガソリンスタンドへ、火が燃え移らないよう、消火作業が続けられている。

さらに木曜夜には、再び北部カルミエル近郊ガリラヤ地方でも出火。ハルーツ山のユダヤ人地区に到達し、6件の家屋の庭が焼失した。

イスラエルでは、金曜朝もまだかなりの強風が続いており、現在も燃えているところでの鎮火は、まだまだ困難な様子である。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4884201,00.html

<諸外国へ応援要請>

全国広範囲にわたる山火事で、イスラエルの消防隊は、最南端エイラットからもかけつけて40チーム以上に及び、可能なチームは全部出払っている。このため、水曜、ネタニヤフ首相は、周辺諸国に応援を呼びかけた。

現在、イタリア、イギリス、ギリシャ、キプロス、クロアチア、ロシアが応援の消防専用機を派遣。アメリカからはスーパータンカーとよばれる鎮火剤を撒くジャンボジェット級の消防機もまもなく到着し、全国で鎮火にあたる予定。

パレスチナ自治政府も、消防車8台を派遣し、ハイファでの消火に協力している。なお、パレスチナ自治政府は、カルメル山の山火事でも支援隊を派遣した。

*スーパータンカーは、74トンの水や消火剤をまくことができ、2010年のカルメル山での大規模山火事のときにも活躍した。また、ロシアの消防機も5万リットルの消火剤をまくことが可能。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4884096,00.htm 

*注 全国がパニックになっているわけではなく、エルサレム市内を含め、火事の影響を受けていないところは、まったく通常通りの安息日入りの金曜を迎えていることに留意されたし。

<連続山火事:一部はテロとネタニヤフ首相>

昨夜発生したベイトシェメシュ周辺の山火事では、出火直後に周辺から逃亡しようとしていたパレスチナ人が目撃され、一人が逮捕された。この他、これまでに各地で計12人が放火と扇動の容疑で逮捕されている。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/220832 

現在、取り調べが行われているが、ネタニヤフ首相は、記者会見において、一部はテロとみられ、今後火事現場すべてを調査し、放火犯には厳しい処罰を行うとの意向を発表している。警察によると、すでに特別捜査チームが活動を開始しているもよう。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4883972,00.html

国内治安省のギラッド・エルダン相によると、この3日での火災は、約200箇所に及び、このうち、半数は、放火によるものとみられている。

<”イスラエルが燃えている”歓喜するアラブ系ソーシャルメディア>

イスラエル全国で発生している火災で、多数のイスラエル人が避難しているのを受けて、アラブ系ソーシャルメディアは、”イスラエルが燃えている”と題して大ブレークしている。

クウェートでは、ツイッターで1160万人のフォロワーをもつ説教師が、火事の”成功”を願う書き込みを行っている。

エジプトでは、イスラエルがムアジーンを禁止する法案を審議していることに対する「神罰」だと言っている。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/220824

*ムアジーンとその禁止法案

ムアジーンとは、イスラムの祈りへの呼びかけのことで、朝4時ごろから1日に5回、地域へ大音量で一斉放送される。地域によっては、普通の会話も聞こえないほどの大音量で流れてくるとこころもある。

ムアジーン法案とは、こうした大音量に苦しむ周辺ユダヤ人たちが政府に苦情を申し立てて、法案化したもので、屋外での大音量での一斉放送を禁止する法案である。イスラエルでは法律になるまで3回の国会審議を通過することが必要だが、すでに1回目を通過している。

以来、国際的にもイスラエルが、イスラムの祈りを禁止しているとして物議になっている。実際には、祈りへの大音量による地域一斉放送を禁止しているだけであり、代わりに、携帯への一斉配信など、周辺住民に苦痛を与えない形での放送に切り替えるよう要請するものである。

エルサレムポストは、モハンマドの時代に、地域一斉放送のテクノロジーはなかったとして、反論している。

しかし、ムアジーンはイスラムのシンボル的な要素もあり、これを禁止するとなると、反感が出るのは避けられないことである。

また、これと並行して、イスラエルではもう一つの法案が論議を呼んでいる。前回お伝えした西岸地区のユダヤ人入植地で、まだ合法化されていない地域を合法化する法案で、こちらもすでに1回目国会審議を通過している。(法律になるまでには3回の通過が必要)これもイスラエルが、西岸地区をとりこもうとしているとして、反感を呼んでいるところである。

こうした背景の中での全国的な山火事であったため、アラブ系社会が歓喜しているのである。

興味ふかいこどだが、こうしたイスラエルを憎む者たちが、イスラエルをあざわらう様子は聖書にも数多く出てくる。

確かに、神は、イスラエルの高ぶりや不信仰の軌道修正をする時に、敵対者たちを用いて、イスラエルに大きな痛みを与えられている。しかし、イスラエルをあなどるのは危険である。最後にはイスラエルを侮る国々が歴史的にも逆に滅びる結果になっているからである。(エゼキエル25など)

いずれにしても、あらゆる機会において、イスラエルとアラブ社会の憎しみあいは、悪化の一途であるということである。
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トランプ次期大統領と中東・これから 2016.11.17

 2016-11-17
選挙前日まで90%クリントン氏の勝利と伝えられておきながら、次期大統領に選出されたドナルト・トランプ氏(70)。世界中がこの話題でわきたち、なにやら妙な地球一体感まで感じるほどである。

トランプ氏が当選すると、メキシコなどアメリカの周辺諸国はじめ、シリアの反政府勢力から、アサド大統領、イラン、ロシアと対峙するウクライナ、NATO、EU離脱へ進むイギリス、・・・皆それぞれ「これからどうなる?」と考え、動き始めている。

日本も当然、例外ではない。沖縄米軍基地問題にTPP白紙か。。。トランプ氏の影響で、日本円が、わずか数日の間に8円も下がった。安倍首相は17日、世界の首脳としては最初にトランプ氏に会うことになっている。相手が「アメリカ一番」なら、こちらも「日本一番」で頑張ってもらいたいところである。

こうした中、前のオバマ政権+クリントン氏と違って、トランプ氏は、①中絶反対②同性結婚反対などの他、イスラエルに好意的ともみられ、福音派クリスチャンからの反応はおおむね良好のようである。しかし、現時点でそう言い切れるのか・・・?

<トランプ氏は右派・親イスラエルか!?:イスラエルの反応>

いうまでもなく、イスラエルは、アメリカに依存状態であるため、次期大統領の動きは死活問題である。トランプ氏が次期米大統領に決まって喜んだのは右派だった。

まず、トランプ氏は、アメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移動すると公約している。つまり、首都をエルサレムと認めるということで、これはイスラエルの悲願。これまでにこの公約をした人物が大統領になったことはなかった。

ネタニヤフ首相とオバマ大統領との関係がこじれたことで、イスラエルとアメリカの関係は、この8年の間に冷え切ったと言われているが、トランプ氏の登場で、まずはアメリカとの関係の改善が、期待されている。

次に、トランプ氏は共和党で、もともと国内重視の民主党より、右派強硬になる傾向があると考えられる点。今回、上下院とも共和党が多数となり、オバマ政権の時のねじれ国会ではなくなった。トランプ氏が動き易い環境になっている。

さらに、トランプ氏が次期政権移行・人選準備委員会のリーダー、また次期副大統領に選んだのが、マイク・ペンス氏である。ペンス氏は、カトリックのボーンアゲインクリスチャンで、自分を①クリスチャン②保守派③共和党と位置付けている。親イスラエルの立場とみられる。

トランプ氏の自慢の娘イバンカ氏は、美貌のモデルであると同時に、敏腕ビジネスウーマン。ユダヤ教に改宗し、ユダヤ人の夫と結婚している。このイバンカ氏がトランプ氏に持つ影響力は大きい。政権人事にも介入しているといわれる。

こうしてみると、次期トランプ政権は、かなりイスラエルに追い風になるのではないかとの楽観視が、イスラエルの右派勢の間にひろがっている。

強硬右派のユダヤの家党・党首ベネット氏は、西岸地区の入植地拡大に関するアメリカの軟化すると見て、「千載一遇のチャンスの時」、「パレスチナ国家の時代は終わった。」などとと述べ、イスラエルでも政策を変化させるべきと主張。

さっそく、アモナなど現時点では違法な西岸地区のユダヤ人入植地の合法化も可能になる”正常化”法案を提出し、国会への準備委員会を通過した。

http://www.jpost.com/US-Elections/Donald-Trump/Likud-MKs-react-to-Trumps-victory-in-US-Presidential-Election-472088

しかし、トランプ氏に両手を上げて期待するのは右派のみで、トランプ氏が、経験不足は言うまでもなく、パレスチナ問題の基本的なことすら知らないとみられる点を懸念する声も少なくない。

中東のエキスパート、モルデカイ・ケダール博士も、トランプ氏のあまりの未知数に、「今は何を言っても、あとで後悔する。」と述べている。つまり、予想不能ということである。

http://www.israelnationalnews.com/Articles/Article.aspx/19740

<イスラエルからの今後の注目点>

1)パレスチナ問題

トランプ氏は、イスラエル支持の立場を非常に明確に述べ、就任早々にもネタニヤフ首相を招いて会談をする意向を表明している。また、トランプ氏は、国連で、イスラエルを否定するような決議が出た場合には、必ず拒否権を発動するとも言っている。

また、アメリカの大使館をエルサレムに移動を公約に掲げているが、これは、エルサレムをイスラエルの首都として認めることになると同時に、東エルサレムを首都とするパレスチナ国家を否定することにもつながる。

これらが実際に、実現するかどうかは未知数であるが、もし公言通りであれば、パレスチナ人の反発、暴力が悪化するのは避けられず、トランプ氏が、イスラエル支持だからといって、平和が期待されるわけでもない。今はバランスを崩すことの方が危険なのである。

しかし、イスラエルが今、懸念するのは、トランプ氏が大統領に就任するまでの2ヶ月である。この間に、国連か、フランスがあらたなパレスチナ問題に関する和平交渉を持ち出す可能性がある。その場合、オバマ大統領は、イスラエルを見放して、支持しない可能性もある。

http://www.jpost.com/Israel-News/Trump-Israeli-Palestinian-peace-would-be-ultimate-deal-472404

2)イラン問題

トランプ氏は、オバマ大統領がすすめたイランとの核兵器に関する合意を”惨事”と酷評し、これを反故にすると言っている。イランと交渉し直すのか、新しい条件を提示するのかなど、詳細はまだ明らかでない。

3)ロシアとの関係

トランプ氏は、ロシアのプーチン大統領との関係改善を主張する。しかし、中東においては、単純にロシアとの関係だけにとどまらず、それに付随して様々な矛盾が生じてしまう。

まず、ロシアは、アサド政権維持を主張しながら、ISISのみならず、シリアの反政府勢力を攻撃している。

オバマ政権は、その反政府勢力を支援しているのだから、トランプ氏のロシアとの関係改善は、シリアの反政府勢力からすれば、いわば裏切り行為となる。アメリカは反政府勢力支援から手を引いていくことになるのか。。?

実際、トランプ氏が選挙で当選すると、プーチン大統領は早々とトランプ氏に祝いを述べて、両者は米ロの関係回復をアピールした。

この直後、まるでアメリカがゴーサインを出したかのごとく、ロシアは、アレッポの反政府勢力への激しい空爆を再開している。シリア反政府勢力は困惑しているはずである。

また、シリアのアサド大統領は、トランプ氏を「自然に味方になりうる」と考えていることが、ポルトガル・メディアのインタビューで明らかになった。

http://www.nytimes.com/2016/11/17/world/middleeast/assad-donald-trump-syria-natural-ally.html?_r=0

アサド大統領は、イスラエルを絶対的に敵視するヒズボラやイランとも組んでいる。したがって、イランとの合意を破棄し、イスラエルを支持するというトランプ氏の方針とは完全に矛盾する。

トランプ氏がいったいどこまで真剣に中東問題を考えているのか、どうでるつもりなのか、現時点では、やはりまだ判断不可能ということである。

もう一点、忘れてならないのが、ここ数年、アメリカ、NATOの協力を得てロシアと戦っているウクライナである。万が一、アメリカがロシアと接近し、ウクライナ支援、またNATOからも手を引くことがあれば、ウクライナはあっというまにロシアにとられてしまうだろう。

トランプ氏が巻き起こす変化は、本当に全世界を巻き込む大事になりうるということのようである。

<新世界秩序!?:ヨーロッパのラビたちが懸念>

トランプ氏には、どうしても、「白人優先」のイメージがつきまとう。メキシコとの間に壁を作ると主張したり、イスラム教徒を追い出すと公言するなど、白人の国粋主義ともとれる。

トランプ氏が次期大統領に決まると、一時、アメリカ各地で、イスラム教徒や、有色人種などが、「トランプは私の大統領ではない」と主張するデモも発生した。

アメリカには現在1100万人の違法滞在者がいるが、そのうち300万人が犯罪歴があり、アメリカから追い出される可能性が出てきた。すると、カナダやニュージーランド、オーストラリアへの移住に関するサイトのアクセス数がうなぎのぼりだという。

フランスでは、来春、新大統領が誕生することになるが、極右政党のマリア・ル・ペン氏が台頭しそうな勢いである。ル・ペン氏はトランプ氏が大統領になったことを称賛している。

ルペン氏は、イギリスに続いてフランスもEUから離脱するべきと訴えており、万が一、ルペン氏が大統領になった場合、国民投票を実施する構えである。フランスがEUから離脱すると、これはもうEUの崩壊と思わなければならない。

オバマ大統領は今、ギリシャからドイツへと、最後のヨーロッパ巡回訪問を行っているが、最初の寄港地、ギリシャでの演説で、世界のポピュリズム、国粋主義の台頭について、警告を発している。

https://www.washingtonpost.com/news/post-politics/wp/2016/11/15/in-athens-obama-warns-against-a-crude-sort-of-nationalism-or-tribalism-taking-root-in-the-u-s/

こうした社会の流れは、有色人種や、イスラム教徒のみならず、反ユダヤ主義の台頭にもつながると懸念されている。

15日、ヨーロッパのラビたち700人が集まるのカンファレンスにおいて、代表のラビ・ピンハス・ゴールドシュミットは、ルペン氏をナチス以来の極右だと指摘。”新世界秩序”の始まりだと警告し、ユダヤ人の自由を守っていく決意を述べた。

http://www.jpost.com/Diaspora/Top-European-rabbi-Trump-victory-is-the-start-of-a-new-world-order-472687

<ニューヨークの講壇から:タイムズ・スクエア・チャーチ>

トランプ氏のお膝元ニューヨーク市には、「十字架と飛び出しナイフ」で知られたデービッド・ウイルカーソン氏が立ち上げたタイムズ・スクエア・チャーチがある。霊的すぎず、現実的すぎず、筆者個人の考えだが、堅実な伝道活動を行っている。

アメリカの大統領選挙直後の日曜、カーター・コンロン牧師は、黙示録3:7−11から「すこしばかりの力の責任」というメッセージを語った。

コンロン牧師は、世界がそれぞれの利益を追求しはじめ、やがては全世界は滅びにむかうと警告。それは実際に世界が崩壊するというよりも、もっと本質的な問題、霊的な永遠の滅びと、それに対する戦いが始まったばかりだと語る。

その激しい霊的な戦いの中で、教会は、実績などはなんのたよりにもならず、いよいよ自分ではなにもできない、自分は、実は取るに足りない小さな無力な存在だったという真実に到達する。しかし、それは決して悪いことではないとコンロン師。

「わたしは、だれも閉じることのできない門をあなたの前に開いておいた。なぜなら、あなたに少しばかりの力があって、わたしのことばを守り、わたしの名を否まなかったからである。(黙示録3:7−8)」

教会は決して偉大である必要はない。立派な功績を主がもとめておられるのではない。「自分は小さい」ということを、本当に自覚したときにこそ、主がすでに用意されている開いた扉から入って、主の栄光を表すことができる。

だからこそ、「自分は小さい」ということに落ち込むのではなく、そのときこそ、主の用意された扉から入っていけるのだと訴える。

この約束のもと、コンロン牧師は、私たちが私個人という視点だけではなく、個人を超えたところに属し、主の働きをしている視点と自覚があるかどうかと呼び掛けている。

コンロン牧師は、これからの困難な時代、地上で、主のからだとして建てられている教会の、主の栄光を表す器としての働きの重要性を訴えている。

http://www.tscnyc.org/media_center.php?pg=sermons

<石のひとりごと>

今回、アメリカ大統領選挙を通して、メディアによって右派か左派かで、記事の雰囲気がここまで違うのかということに驚かされた。

イギリスのBBCは明らかに左派であるため、トランプ氏の大どんでん返し当選のニュースを、「だれも望んでいなかったのに・・」とまるでお葬式のような雰囲気で伝えていた。

一方で、アメリカのフォックスニュースは明らかに右派。普段からBBCよりキャピキャピなのだが、トランプ氏の当選はまるで祝い行事のように伝えていた。

イスラエルのメディアでは、エルサレムポストは右で、ハアレツ紙は完全なる左である。当然、パレスチナメディアにも目を配らなければ、偏ってしまう。

トランプ氏当選以来、あまりにも様々な予想やコメントがあり、それらを読みあさるだけで、相当な時間をとられてしまった。これから終末時代を迎えるにあたり、まずは、メディアは一つではないということを肝に銘じる必要があると実感した。

一つの報道だけをうのみにせず、別の見方もあるということをよく知っておかなければ、私たちは、いとも簡単に間違った方向へと流されてしまうだろう。

海外からの報道が極端に視聴しにくい日本では、逆に守られるのかもしれないが、他を見ないだけに、政府の報道規制に気がつかないまま、政府の思うまま、またある特殊な組織の言うままに流されていく危険性はあると思う。

将来、反キリストが来たとき、メディアを利用するであろうことは容易に想像出来る。私たちは十分に危機感をもち、世界で何が起こっているかに取り残されず、かつ、主の声だけに聞き従っていく訓練をしておかなければならない。

今回、トランプ氏が、口だけかもしれないが、やたらイスラエルよりの発言が多いことから、はじめのうちはイスラエルと硬い契約を結び、途中から態度を激変させるという反キリストのパターンを彷彿とさせられた。

もちろん、トランプ氏が反キリストだと言っているのではない。しかし、表向きの言葉や政策だけで判断するのではなく、慎重に世界がどうむかっていくのかを見極める必要があるということは改めて実感させられた。

*お知らせ

CGNTVオリーブ山便りでは、イスラエルからのニュース解説を映像で提供しています。サイトは画面も大きくなり、見やすくなりました。ぜひご利用ください。http://japan.cgntv.net/detail.php?number=2751
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米大統領選不在者投票:イスラエルでは”一応”トランプ氏の勝ち 2016.11.6

 2016-11-06
アメリカ大統領選挙が近づいている。イスラエルには、アメリカ国籍を持つ人が20万人いるという。イスラエルでは世界でも先駆けて不在者投票が行われ、その出口調査の結果が報じられた。(データ:IvoteIsrael/イスラエル在住アメリカ人の投票支援をするNGO)

結果、投票したのは、3万人で、このうち出口調査に応じた1140人によると、共和党トランプ氏:49%、民主党クリントン氏:44%だった。

イスラエルでは、テロ対策に強行になる傾向にある共和党支持が圧倒的に多くなる傾向があり、2008年と2012年の大統領選挙の時はどちらも共和党に投票したのが平均で75%だった。それが今回、49%というのは、相当に低い数字ということになる。

つまり、多くの人が共和党支持者であるにもかかわらず、トランプ氏に投票しなかったということである。

また、投票した人の数が、2008年には、8万人、2012年は12万人だったのに対し、今回は3万人とはあまりにも少ない数字だった。複数のアメリカ人に話を聞いたが、「トランプ氏は「ひどい」し、クリントン氏は「悪人」で、投票のしようがないと言っていた。

http://www.i24news.tv/en/news/international/129340-161104-trump-clinton-israel-poll

<反イスラエルの超正統派グループはクリントン氏支持を呼びかけ>

ユダヤ人でも、世俗派が運営する現代イスラエル国家の存在に反対しているグループがいる。サトマルとよばれる超正統派の一つのグループで、これまでにもイランを支援するなど、反現代国家イスラエルで知られる。

アルーツ7によると、その指導者であるラビが、トランプ氏はイスラエルを強くしそうなので、ファーストレディ時代からグループを支持してくれたクリントンに投票するよう呼びかけた。

トランプ氏に関する彼らの判断が正しいかどうかは不明だが、クリントン氏が、在職中に、このグループをを支援していたということは、彼ら自身が言うのだから、間違いはないのかもしれない・・・。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/219820 
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荒れ模様のパレスチナ自治区 2016.11.6

 2016-11-06
先週から、西岸地区で、検問所などにいるイスラエル兵を標的にしたパレスチナ人のテロが相次いでいる。これと並行し、パレスチナ難民キャンプで、暴力的な派閥争いも報告された。

<パレスチナ自治警察官がテロ事件>

10月31日、ラマラに近い入植地ベテル近くの検問所で、パレスチナ人がイスラエル兵らに向かって発砲し、兵士ら3人が負傷した。1人(20)は下肢を撃たれて重症となっている。犯人はその場で撃たれて死亡した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/219590

犯人は、パレスチナ自治警察特殊部隊隊員のモハンマド・タークマン(25)だった。タークマンが、パレスチナメディアに語ったところによると、自治警察は、事件発生前に自宅にタークマンを捜索しに来たという。タークマンは、任務で使う武器を持ったまま部署を離れ、犯行に至っていた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/219672

イスラエル軍はこの警察官の自宅を破壊するとともに、親族一同のイスラエル国内での労働許可を剥奪した。

この事件が発生した翌日には、ヘブロンの父祖の墓付近の検問所に、あやしい動きのパレスチナ人女性がいたため、治安部隊が鞄の中をチェックしたところ、ナイフ2つを所持しており、その場で逮捕された。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/219637

この他、3日夕方から夜、イスラエル軍兵士を狙ったナイフによるテロが西岸地区の入植地オフラでも発生。テロリストは撃たれて死亡。ツルカレムでは兵士への発砲で、1人が負傷。テロリストはその場から逃亡したため捜索中である。

<難民キャンプでパレスチナ人同士の争い>

チャンネル2が報じたところによると、西岸地区では最大のナブルス近郊、バラータ難民キャンプ(人口23000人)では、ここ数週間、毎夜、パレスチナ自治警察部隊が突入して、”危険分子”を逮捕している。

このうち2回は2000人規模の部隊で、自治警察の突撃隊と、それに抵抗する難民キャンプの間で実弾による銃撃戦になっている。

チャンネル2の取材では、キャンプ住民らが、銃弾で穴だらけになった壁を見せ、「彼ら(パレスチナ自治警察)は、我々の上に200万シェケル分の銃弾を無駄に使った。」と語っていた。

こうした難民キャンプと、パレスチナ自治政府の間で、衝突が発生するのは今に始まったことではない。2015年にも大規模な衝突が発生している。この背景には、パレスチナ自治政府内部の派閥争いが緊迫化していることが考えられる。

アッバス議長率いるパレスチナ自治政府が、難民キャンプで”危険分子”として逮捕しているのは、ハマスに加え、アッバス議長のライバルと目されるモハンマド・ダーラン氏の支持者などアッバス氏に反抗的なグループである。

ダーラン氏は、アッバス議長と同じファタハのメンバーだが、ガザ地区難民キャンプ出身で、2007年にハマスがガザ地区を占領するのを阻止できなかったとして、後には西岸地区を追放されている。

しかし、ダーラン氏は、追放後アラブ首長国連邦に在住し、湾岸アラブ諸国やエジプトとの強い支持基盤を確立し、経済力も得た。その経済を使って西岸地区の難民キャンプを支援してきたことから、キャンプ内にはダーラン氏の支持者も少なくないのである。

これに対し、アッバス議長は在職12年の間に、難民キャンプの生活改善をまったく図ってこなかった。また、アッバス議長が、イスラエルの治安部隊と協力したり、先にはペレス故大統領の葬儀にも列席したアッバス議長への反発も高まっている。

そのためアッバス議長は難民キャンプの取り締まりを強化しているというわけである。

そのダーラン氏だが、自分が時期議長になる気はなく、現在イスラエルの刑務所にいるマルワン・バルグーティが議長を支持すると表明。アッバス議長後には、西岸地区に復帰する意思を表明した。

バルグーティについては、前首相のサエブ・エレカット氏も支持を表明している。アッバス議長後と目される指導者がいない中、もし、将来、議長選挙が行われた場合、バルグーティが投票最多になる可能性がある。

バルグーティは、テロを先導してイスラエル人複数を殺害したとして、終身刑7回、つまり、イスラエルに死刑がないので死刑にならないだけで、実質、死刑以上の刑を言い渡されている。

もし選挙が行われ、バルグーティが議長になることがパレスチナの民意であることが明らかになった場合、ちょうどパレスチナのネルソン・マンデラのようになり、イスラエルに釈放への圧力がかかると懸念されている。

http://www.jpost.com/Middle-East/Palestinian-Affairs-The-post-Abbas-scenario-470085

<アッバス議長は何を考えているのか?>

こうしてみると、アッバス議長の信任は、ジリ貧のようでもある。それでも今の地位に居続けるためには、国際社会を味方につけておくしかない、というのが、アッバス議長の作戦のようである。

アッバス議長はこれまでにユネスコでパレスチナを国家と認めさせた。続いて今は、神殿の丘をユダヤ人の歴史と切り離したような決議案を認めるに至っている。アッバス議長が次にアプローチしているのは、国際法廷で、イスラエルを戦犯にすることである。

しかし、こうした国際社会での動きが、特にパレスチナ人の生活に変化をもたらしたとは言いがたく、むしろ、”何もなしえなかったリーダー”とのイメージがパレスチナ人の間で広がっている。

アッバス議長後の次世代が、今より過激になるのか、意外にその逆になるのか、はたまたハマスに取って代わられてしまうのか、これはもうフタを開けてみないと、パレスチナ人ですら、まったく予想もできない。。。という状況である。

*パレスチナ難民キャンプとは?

パレスチナ難民キャンプと呼ばれている地域は、イスラエルが独立したことによって発生したパレスチナ難民のキャンプである。とはいえ、イスラエルが独立してからすでに68年。実際には、当時難民とその子孫が住んでおり、いわゆるテント生活のキャンプではない。粗末だが屋根のある家々やアパートが隣接する地域である。

上記バラータ難民キャンプのように、大きなパレスチナ自治区都市に隣接し、現在、ガザ地区に8箇所(約122万人)、西岸地区に20箇所(約74万人)となっている。

パレスチナ人というと、全員貧しいように思われがちだが、東エルサレムにも西岸地区のパレスチナ自治区にも、かなりの豪邸がところどころにみられる。海外にビジネスを持っていたり、様々な理由でパレスチナ人にも富豪は少なからずいる。

一方で失業率は高く、貧しい人は、子供が道でものを売り歩くほど、とことん貧しい。パレスチナ社会も、多様性に富んだ社会であり、貧富の差はかなり大きい。ダーラン氏はこの貧しい人々への支援活動を行っていた。
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女性ラビはありかなしか?:嘆きの壁で乱闘さわぎ 2016.11.6

 2016-11-06
内部でもめているのはパレスチナ人だけではない。嘆きの壁広場では、Woman of the Wall(女性もトーラーを抱えて西壁で祈ると主張するグループ)と、トーラーの巻物をもって、嘆きの壁に入ろうとして乱闘騒ぎとなった。

こうした動きは時々発生しているが、今回は、女性ラビを認めるユダヤ教改革派の男性ラビたちも加わって200人ほどが、嘆きの壁に入ろうとして、警備員らともみあいになった。

このうちトーラーの巻物を抱えた女性たち数人が、嘆きの壁の女性セクションに入るのに成功している。

嘆きの壁は現在、政府が管理し、基本的に超正統派の基準で、運営されている。超正統派は女性ラビを認めないため、今の所、西壁で、改革派の女性ラビがトーラーを抱えて祈ることは許されていない。

政府に指名され、西壁の責任者として立てられている超正統派のラビ・ラビノビッツは、トーラーを抱えた女性と乱闘になる様子に、トーラーに対する敬意がたりないと怒りを訴えている。

イスラエル政府は、こうした衝突を避けるため嘆きの壁と同じ、神殿の丘の西壁の南延長線上に改革派の女性ラビが祈れる場所を設置した。嘆きの壁とは分離してはいるが、同じ西壁である。ただし、かつての神殿の至聖所の位置からは若干、遠くなる。

Woman of the wall や改革派など、超正統派以外の宗派はこれを受け入れず、超正統派以外のグループも西壁で自由に祈れるセクションをつくるべきだと政府に訴えている。

http://www.jpost.com/Israel-News/Violent-fracas-breaks-out-at-Western-Wall-471476
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モスル総攻撃:バグダディ登場!?徹底抗戦へよびかけ 2016.11.6

 2016-11-06
モスルでは、イラク軍がいよいよモスル近郊の解放をすすめながら、いよいよモスル市内に入り始めた。添付の地図のように、だいぶISISのエリアが小さくなっている。モスル総攻撃を行っているイラク軍などは、最初3万の軍勢と報じられていたが、今は5万と伝えられている。

BBC

当然、ISISの抵抗も激しくなっており、モスルを完全に奪回するまでにはかなりの時間や犠牲を要することが見え始めている。国連によると、イラクでの戦闘で、10月中に死亡した人は1792人。このうち1120人が市民であったとのこと。

木曜、ISISの自称カリフ、アル・バグダディらしい声の録音が出てきた。本物かどうかは確認されてないが、モスル住民に対し、徹底抗戦するよう、呼びかけている。最前線には、バリケードも見えている。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-37856274

<難民の状況>

土曜のBBCによると、モスル郊外の自宅から逃げようとしていた市民らが、ISISの爆撃を受け、17人が死亡した。

BBCによると、これまでにモスル市内や近郊の自宅から避難した市民は2万2000人。モスル南部、北部、東部に現在、5万5000人の難民を受け入れるキャンプが準備されているが、この他にも設置がすすめられており、45万人分が準備される予定だという。

しかし、国連は、モスル人口150万人のうち、最悪100万人が、難民となり、70万人が、シェルターを必要とするようになると予測している。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-37702442
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東アレッポ:最後通告に応じず 2016.11.6

 2016-11-06
シリアでは、反政府勢力最大の拠点である東アレッポが、ロシアの支援を受けたシリア政府軍が包囲されたままの状況が続いている。中にいるのは反政府勢力とともに25万人の市民がいるという。

10月、シリアとロシアは、人道支援目的で一時停戦を図ったが、11月に入って、再び一時的な停戦を行い、反政府勢力には武器を持ったままでよいから東アレッポから出るようにと出口通路を2つ提供した。

また市民にも、東アレッポから脱出するよう呼びかけて通路を6本用意した。しかし、10時間たった現在も、誰一人脱出したものはおらず、人道支援物資の搬入も行われていない。脱出の途中で、シリアとロシア軍に攻撃されないという保証がないからである。

これはいわば、戦国日本でいえば、籠城している城を、取り囲んで、兵糧攻めにし、いよいよ限界になったと思われるので投降を呼びかけているという形である。

しかし、アレッポは、反政府勢力にとっては最後の砦とも言える町で、そう簡単に明け渡すことはないと思われる。住民にしても、散々家族たちを殺され、いまさら、シリア政府に投稿する気にはなれないのだろう。

こちらは、アメリカの大統領選挙の結果を待って、ロシアが総攻撃に入るのではないかとみられている。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-37869193

<ホワイト・ヘルメッツ>

シリア軍のバレル爆弾で破壊された建物のがれきの下から、人々を救出するシリア人ボランティアグループがいる。ホワイト・ヘルメッツと呼ばれ、ニュースでも注目されるようになった。シリア各地や、アレッポでも活躍している。

がれきの下敷きになった生後2週間の赤ちゃんを救い出す様子は、感動である。

ホワイト・ヘルメッツ HP https://www.whitehelmets.org
ホワイト・ヘルメッツFB https://www.facebook.com/SyriaCivilDefence 

<石のひとりごと>

モスルもアレッポも、状況はあまりにも地獄絵で、見ているだけで涙がでてくるが、日本からはあまりにも遠く、報道も少なく、この苦しみを理解しようという人はそう多くはないだろう。筆者とて、イスラエルにいるからこそ、多少は身近に感じられるのかもしれない。

最近、日本のアイドルグループ欅坂46が、ナチス・ドイツの軍服に酷似する衣装で歌い踊っていたことに対し、反ユダヤ主義を監視するシモン・ビーゼンタール・センターが抗議を申し入れるという一件があった。

可愛い系のティーンエイジャーの若い日本人女性が、殺戮と恐怖の象徴であるナチス風の衣装に身を包み、ほほえんでいる写真が、イスラエル・メディアのネットでも3日ほど、出っぱなしだった。

実際のところ、イスラエルでは、この件に関心をはらう人はほとんどなかったと思われるが、ここにいる日本人としては、その写真をみるたびに吐き気を催す思いがした。穴があったら入りたい、というような生易しい恥ずかしさではなかった。

その後、このグループの所属レコード会社の親会社とプロデユーサーが謝罪したという記事があったが、問題は、会社の落ち度もさながら、女性たちが、ネオナチでもないのに、そういう服を着て平気で踊ることができたという点である。あまりにも恥ずかしい無知としかいいようがない。

ところが、日本国内では、その点を問題視する記事はみあたらなかった。案の定、在日イスラエル大使館は、フェイスブックで、会社の重役ではなく、このアイドル女性たちを招いて、ホロコーストのセミナーを申し出た。ある意味、日本の教育に対する皮肉ともとれる。恥ずかしい限りである。

このような現状の中、中東は日本からはあまりにも遠く、自分にはまったく何の関係がないことであるので、モスルやアレッポについて、特に忙しい若い世代に、関心を持つことを期待する方が、無理があるのかもしれない。

しかし、せめて、世界には、地獄の苦しみを味わっている人もいるということに、たまには少しでも関心をもってもらえれば。。。とも思う。
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