国連安保理:反イスラエル決議を採択 2016.12.26

 2016-12-26
日本でも大きく報じられていたが、23日、国連安全保障理事会(国連安保理)は、イスラエルの西岸地区での入植地政策を非難する反イスラエル決議を理事国15カ国のうち賛成14カ国、棄権1カ国の圧倒的多数で可決した。

こうした反イスラエル決議は、通常ならアメリカが拒否権を発動して却下されてきたのだが、今回、オバマ大統領が、異例にも棄権にまわって拒否権を発動しなかったため、可決されたものである。

これにより、エルサレムの旧市街を含む東エルサレムはじめ、1967年の六日戦争以後、イスラエルの支配下に入ったとされる西岸地区(いわゆるグリーンラインよりパレスチナ側)にあるユダヤ人入植地はすべて、違法とみなされる。

先にユネスコが神殿の丘とユダヤ人の関係を無視したのに続き、神殿の丘のみならず、嘆きの壁や、旧市街のユダヤ人地区についてもイスラエルが支配することは違法ということになり、イスラエルにとっては非常に痛い決議である。

アメリカが拒否権を発動しなかった理由について、サマンサ米国連代表は、「(西岸地区にユダヤ人の)入植地活動を認めながら、(西岸地区にパレスチナ人の国を作るという)二国家二民族を同時に承認することは不可能である。」と述べている。

決議案を安保理に出したのは、マレーシア、ニュージーランド、ベネズエラ、セネガル。エジプトは、イスラエルとトランプ氏の圧力を受けて、決議の数時間前になって、これらの国々とともに名前をつらねることを断念していた。

賛成票を投じた国は、棄権したアメリカ以外の安保理理事国すべてで、以下の14カ国。

イギリス、フランス、ロシア、中国、アンゴラ、マレーシア、ベネズエラ、ニュージーランド、スペイン、エジプト、セネガル、ウクライナ、ウルグアイ、日本。

<決議の結果どうなるのか:世界からのさらなる孤立>

この決議は、国連総会ではなく、国連安保理での決議であるため、ある程度の実効力がある。イランの核開発疑惑が持ち上がった際、国際社会はいっせいに経済制裁に入ったが、それは国連安保理で、条項7と呼ばれる条件の元で避難決議が可決されたからである。

今回の反イスラエル決議の場合、まだそこまでの実効力はない条項6の条件下だが、今後のイスラエルの出方によっては、条項7になる可能性もあるという。

イスラエルでは、特に現在、西岸地区の入植地を、合法的にイスラエルの土地として登録するためのRegulation Bill(正常化法案)が国会審議にかけられ、すでに1回目が通過。あと2回通過すれば、正式にイスラエルの法律になるところである。

国連安保理の今回の決議はまさに、これに大きな釘をさすもので、今後、国会審議中のこの法案について、イスラエルがどう動くのか、注目される点である。

ネタニヤフ首相は、閣僚たちに対し、とりあえず、オバマ大統領が正式に退任するまでは、この件に関するコメントや行動を控えるよう指示したもようである。

現時点での具体的な影響としては、西岸地区のユダヤ人入植地をめぐって国際法廷への訴えを準備しているパレスチナ自治政府への追い風が懸念される。

また今後、東エルサレムや西岸地区での建築許可を出す閣僚や政治家たちが国際法廷に訴えられる可能性が出てくる。

現在、イスラエルは、テロ予防策として、イスラエル人を殺害したテロリストの家を破壊する報復措置がとられているが、こうした行為はジュネーブ協定における”戦犯”とみなされる可能性もある。

入植地におけるイスラエル人の存在、また事業もすべてが違法とみなされるこことから、そこで、事業を展開しているイスラエルの民間人も、世界中の法廷で訴えられる可能性が出てくる。

産業については、今回の決議により、出処はイスラエル国内か入植地か明記することが義務付けられており、今でも世界中で加熱しつつある入植地製品のボイコット運動に拍車がかかるかもしれない。

産業にとどまらず、世界のブラックリストに乗せられることをさけようと、ハイテク関連企業、銀行、ガス会社や、健康管理をするHMOなども、入植地にあるブランチを閉じる可能性が出てくる。影響は様々な分野に及ぶと懸念されている。

いずれにしてもイスラエルは違法行為を行っている国として、外交上は国際的な孤立が深まっていくと思われる。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4897773,00.html

<イスラエル政府の反応>

金曜に反イスラエル決議が採択されると、イスラエルは、「アンバランスなイスラエル非難」であると反発。拒否権を発動しなかったオバマ大統領とケリー国務長官に対し、「友は友を国連安保理に持ち込まないものだ。」と非難した。

今回のアメリカの拒否権不行使は、皮肉にも、ネタニヤフ首相が、世界の報道陣に対し、アメリカがこれまで国連において拒否権を発動してきたことに感謝し、あらためてアメリカとの友好関係の重要性を語るとともに、感謝を表明した直後のことであった。

イスラエルのダノン国連代表は、「イスラエルの最大の友(アメリカ)は、これまでの慣例に基づいて行動すると思っていた。次期新政権がこれまでと違うものになるというのも頷ける。」と反発。

エネルギー相ステイニッツ氏は、「これは単に反入植地政策ではない。イスラエル、ユダヤ人とユダヤ人の国に反対する決議だ。アメリカは、中東で唯一の友を見捨てた。」と述べた。

強行右派で、問題の正常化法案を押しているユダヤの家党ベネット党首は、「これまでの世界に遠慮する政策が問題だった。今こそ、入植地にイスラエルの法律を適応する時だ。」と主張した。

一方で、イスラエルの左派勢力は、危機感を募らせている。

左派シオニスト陣営のヘルツォグ党首は、今回の外交危機は避け得た事態であり、ネタニヤフ首相は道をあやまったとして、クラヌ党に連立から抜けて、ネタニヤフ首相をクビにするべきと訴えた。

未来がある党のラピード党首も、ネタニヤフ首相はパニックに陥っていると指摘。国連安保理の決議を「一方的で悪い。受け入れられない」事態である。ネタニヤフ首相はもっと明確な対処を示すべきだと訴えた。

リクードのツィッピー・リブニ氏は、「強行右派の政策がイスラエルに害になることがあきらかになった。世界はあきらかに入植地政策に反対だ。」とコメントしている。

1)国連に対する反発措置

ネタニヤフ首相は、国連でのイスラエルの役割についての再検討を指示。すでに、国連の中でも特にイスラエルを敵視する5つの組織に拠出していた3000万シェケル(約9億円)を停止する。

またこれら5組織のスタッフに対するイスラエルでの労働ビザの発給停止。特にUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業期間・ハマスなどのかくれみのと言われる)については、そのスポークスマンの追放も検討している。

加盟国としての年1億8600万シェケル(約31億円)の拠出についても検討する。

2)諸国に対する反発措置

イスラエルは、この決議案を提出したニュージーランドとセネガルに派遣しているイスラエルの大使を呼び戻した。

セネガルについては農業の技術支援を行っていたのだが、それを停止した。3週間後にセネガル外相がイスラエルを訪問する予定だったが、これをキャンセルした。

上記2国とともに、今回の決議案を提出したマレーシアとベネズエラについては、もともと国交がないため、特に対処はしていない。

続いて、決議案に賛成した14カ国の中で、イスラエルに大使館をおいている10カ国(日本を含む)に対し、抗議を行う為大使を召喚した。しかし、各国大使を召喚したのが、ちょうど日曜で、クリスマスの祝日でもあったため、実際には、大使ではなく、次官や高官が応じた国々もあったという。

この他、来月ウクライナの首相のイスラエル訪問が予定されていたが、これもキャンセルした。

通常はイスラエルに友好的なウクライナやその他の国々が反イスラエル決議に賛成していたことから、イスラエルは、背後で、オバマ政権が動いていたとみている。

ネタニヤフ首相は、今回の国連決議が出た後、「イスラエルは諸国に(技術など)提供するものを多く持っている。ともに働く国々は得るものがあるが、イスラエルに敵対する国はそれらを失う。」と語った。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4898065,00.html

*入植地アモナは戦わずして解決

前回、入植地アモナについて、右派活動家が集結。強制撤去をしにくるイスラエル軍兵士たちに抵抗する準備をすすめているとお伝えした。これについて、イスラエル政府がアモナ住民に新たな妥協案を提案。アモナ側がこれを受け入れたため、この件については平和裡に解決することが決まった。

合意した内容は、政府は、現在の位置からすぐ近くの丘に24家族が住むことを許可すること。さらに、撤去期限は12月25日であったところ、45日延長して2月8日と決まった。(トランプ新政権発足後)

ネタニヤフ首相としては、国際社会の入植地への厳しい視線から、今、この時に強制撤去を実施すれば、逆恨みした右派入植者たちが、”値札作戦”とよばれるパレスチナ人への暴力に出る可能性があると懸念したとみられている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4894734,00.html

<トランプ新政権との関連は?>

1月20日に発足するトランプ次期大統領は、イスラエル支持派、さらには入植地政策支持派と目されている。この安保理での採択の前には、イスラエルとともに、アメリカは拒否権を発動するべきであると主張していた。

決議が出たあと、トランプ氏はツイッターで、「1月20日以降は、違う流れになる。」と発信している。イスラエルとパレスチナの問題については、この決議案で和平実現はさらに困難になったが、それでも和平は必ず実現するとの決意も述べている。

いったん国連安保理で採択された決議を排斥することは困難だが、それが実際に実効へと移される条項7への移行についての決議になる時には、オバマ大統領はおらず、トランプ新大統領は、拒否権を発動すると期待されている。

・・・が、予想外の連続のトランプ氏である。あまり期待しすぎないほうがよいかもしれない。

<石のひとりごと>

12月20日、安保理決議の2日前、エルサレムでは、海外からの報道陣を集めて年末のネタニヤフ首相記者会見が行われた。

この時のネタニヤフ首相の報告では、一部のイスラム諸国を含め、最近ではイスラエルとの交流を求める国が増えているということだった。実際、記者会見には、最近国交が回復したばかりのトルコの大使もにこにこと同席していた。

経済についても、諸国との関係が改善するにつれ、大荒れの中東にあって、イスラエルの経済だけは、毎年右肩上がりだという。

現実においてはイスラエルと世界諸国との関係は改善しているにもかかわらず、国連では、反イスラエル決議になるといういわばねじれた外交状況になっている。これは多数決の限界ということであろう。

これまでは、多数決で決める国連は公正であると考えられてきた。しかし、今や、多数決が必ずしも正しい答えであるとは限らないことや、必ずしも現状を反映するものではないという事実が明らかになりつつある。

しかし、明らかにまちがっているとだれもがわかっていても、システム上の流れは、だれにも変えられないのである。

聖書には、世の終末には、イスラエルが国際社会から孤立するだけでなく、世界から軍事攻撃されると書かれている。

もしかしたら、矛盾であり、不条理であるとわかっていても、世界はそれを止められず、やがてイスラエルを攻撃するようになるという図式が、なんとなく出来上がり始めているのかもしれない。
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アメリカ抜きでシリア内戦関連交渉:トルコ、ロシア、イラン 2016.12.26

 2016-12-26
シリアの東アレッポからの住民の一斉非難計画だが、いったんシリア政府が用意したバスに、反政府勢力に続いて一般住民も脱出するこころみが行われた。

脱出が始まると、まもなく、イランやヒズボラが脱出の妨害を始めた。反政府勢力が約束に反して重火器などを搬出しようとしたからである。これにより、東アレッポからの住民脱出は一進一退となり、悲惨をきわめた。

そうした中、トルコとロシアが、アメリカも国連も抜きに、アレッポ住民の早期避難についての交渉を行い、以後、作業はスムーズにすすんだのか、ロシア軍は23日、反政府勢力のアレッポからの脱出はほぼ完了したと伝えている。

しかし、ロイターによると、ロシア軍は、反政府勢力が去ったあとのアレッポで、拷問を受けて、手足などが切断された遺体多数を含む集団墓地を発見したという。相変わらず地獄の様相が続く。

ロシアとトルコ、それにイランの外相は20日、モスクワに集まって、シリアの内戦をどう終わらせるかという話し合いを行った。アメリカと国連は抜きである。3国は、シリア内戦を終わらせるための”モスクワ宣言”を発表した。

それによると、シリアのアサド政権は残留。ISISとアル・ヌスラ(アル・シャムス)を過激派として弾圧する。加えて、トルコの外相は、過激派はすべて攻撃対象にと主張している。

これは、アサド政権は排斥すると言っているアメリカとは異なる方針である。トルコは、本来、少なくとも表向きはアメリカチームであったのだが、今回のモスクワでの会議に加わったことで、もはやアメリカではなく、ロシア側の主張に合意する立場に寝返ったということのようである。

これはアメリカが、トルコの敵であるPKKを含むクルド人勢力を支援しているなど、自国の国益とはあわない動きをしていたことが原因と思われる。

ちょうどこのような動きの中、トルコのアンカラで、ロシアの外相が、トルコ人警備員に堂々とテレビカメラの前で射殺されるという暗殺事件が発生した。

トルコのエルドアン大統領は、ただちに「これはトルコ政府によるものではない。」と明確に表明。ロシアもこれを受け入れるなど、両国は、何があっても今は一致しているということを、世界にアピールした。

一方、アメリカと国連は2月にジュネーブで、シリア内戦集結にむけた会議を行うことになっているが、こちらは、これまで6年近く会議を重ねて、いまだになんの成果もあがっていない。

もしこの3国の発案で、シリアで当事者どうしの和平会談が実現した場合、アメリカの中東での権威はますます落ちることになる。

http://www.nytimes.com/2016/12/20/world/middleeast/russia-iran-and-turkey-meet-for-syria-talks-excluding-us.html?_r=0

<なぜここにイラン・・?>

当初は、トルコとロシアの2国ですすめられていたシリア停戦への試みだったが、今回、そこにイランが加わっているのはどういうわけだろうか。

シリアのアサド政権は、アラウィー派である。スンニ派はアラウィー派を異端とみなしているが、シーア派は、イスラムの一派とみなしている。このため、アサド政権としては、国内がシーア派で固まる方が落ち着く。

強力なシーア派国家イランが和平交渉に加わることは、シリアにとっても有益で、ロシアにしても、地理的にもシリアに近いイランが、アサド政権を支えつつ地域ににらみをきかせることは必要な要素であるといえる。

しかし、イランがすぐ隣に影響を及ぼすことは、イスラエルにとっては、あまり好ましい状況ではない。

イラン、ロシア、トルコといえば、エゼキエル書38-39章を思い出す方も少なくないだろう。それによると、ペルシャ(イラン)は、「北の果ての国から多くの民を率いてくる」国(ロシア?)とともに、イスラエルを攻め上ると書かれている。

聖書をそのまま時々情勢に当てはめることはできないのだが、こちらも徐々に、終末の気配がしてきそうな配置になり始めているようで、緊張感を覚えた。
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ハイファの化学工場が大火事 2016.12.26

 2016-12-26
先月、大規模な山火事(527棟焼失)が発生したばかりのハイファだが、25日日曜、ハイファ港に近い化学工場のガソリン精製工場で大規模な火災が発生した。

火は大きく炎上し、黒い雲が北方へ流れた。有害物質の危険性があったことから、ハイファ北部の地域の住民は一時屋内へ入るよう指示が出された。火は消防士40人によって、約10時間後に消し止められた。原因は不明だが、テロとの見方は今のところない。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4898102,00.html

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次期米在イスラエル大使は強行右派イスラエル支持者 2016.12.17

 2016-12-17
金曜、トランプ次期米大統領が、在イスラエル大使に経済と法律の専門家デービッド・フリードマン氏(71)を指名すると発表した。 

フリードマン氏は、強硬右派で、イスラエル支持者として知られる。アメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移行するというトランプ氏の布石ともいえる。

フリードマン氏はまた、西岸地区の入植地支持者でもある。American Friend of Beit El と呼ばれる組織の長で、ラマラ近郊の入植地ベイト・エルを経済的に支援している。入植地が平和の妨害ではないと考えているのである。

二国家二民族(国を2つにわけて、イスラエルとパレスチナが隣国として共存する案)を支援するオバマ大統領、ケリー国務長官と違って、西岸地区をイスラエルが合併し、ユダヤ人が治める一国家に二民族(ユダヤ人とアラブ人)を支持している。

西岸地区を合併して、アラブ人が多数になってもまだユダヤ人国家の民主国家を維持できると考えているのである。

フリードマン氏のこうした考えは、前回お伝えした”正常化法案”(Regulation Billー西岸地区のユダヤ人入植地の合法化案)を提出している右派ユダヤの家等のベネット氏と同様である。

大使の立場で、政府の方針を変える力はないのだが、これまでの大使は、西岸地区に家を1つ立てただけで、アメリカ本国へ報告し、イスラエルへの国際的な批判にまで発展させてきた。フリードマン氏が大使になれば、このパターンが変わってくると思われる。

たとえば、入植地が拡大していても、問題視しないので、本国にいいつけることもない。また、フリードマン氏は、トランプ氏とも関係が深いため、非公式にでもトランプ氏に影響力を持つと予想されている。

Times of Israelがフリードマン氏が語ったこととして伝えたところによると、トランプ氏は、ガザ地区の小学1年生たちが、ステージでイスラエル兵をナイフで殺害し、作り物の血まで流しているのを見て、これこそが平和を妨害するものだと言っていたという。

http://www.timesofisrael.com/trumps-israel-envoy-new-administration-wont-tell-israel-what-policies-to-adopt/


しかし、同時にフリードマン氏が、明白な強硬右派であることから、アメリカのユダヤ人や、イスラエルの左派からもこの人選に反対する声も上がっている。

アメリカの親イスラエル・親平和主義のユダヤ人組織J streetは、平和的に二国家2民族を推進しようとしているユダヤ人グループで、この人選に懸念を表明している。フリードマン氏は、以前、このグループを「カポ(ナチス協力したユダヤ人)より悪い。」と言ったことがあるという。

http://www.haaretz.com/israel-news/.premium-1.759455

*フリードマン氏の宗教についての記事はみあたらないが、ウィキペディアによると、無神論者。

<国務長官はエクソンCEOを指名>

フリードマン氏がいくら親イスラエルでも、実際にイスラエルとパレスチナ、そしてアメリカ政府を行き来し、大統領とともに、事を動かしていくのは国務長官である。

トランプ氏は、ケリー現国務長官からこのポジションを引き継ぐ人物として、世界的な石油会社エクソンのCEO・レックス・ティラーソン氏(64)を指名した。

ティラーソン氏には政治的な外交経験はないが、エクソンのCEOとして、数多くの国際的な交渉を成功させている。特に、ロシアのプーチン大統領とのパイプをもつことで知られる。しかし逆に、果たして、アメリカの国益を最優先できるのかどうか疑問視する声もある。

イスラエルにどのような考えを持っているかは、現時点ではまだ不明である。

http://www.jpost.com/Us-Elections/Trump-Stay-tuned-for-secretary-of-state-475093
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強制撤去に備える入植地アモナ 2016.12.17

 2016-12-17
入植地に好意的なアメリカの大統領や大使が、見えてきているが、イスラエルでは、最高裁の裁定に従い、西岸地区入植地アモナ(住民約200人)をまもなく強制撤去する。

西岸地区の約4000戸を合法化するための正常化法案を国会審議にかけて、やがては法律にするという大きなビジョンを実現するため、右派勢力と政府との交渉が行われた。

最終的には、正常化法案を国会審議に乗せる変わりに、2年前からすでに最高裁から違法との判決を言い渡されているアモナの撤去だけは予定通り実施することになった。

政府は、アモナ住民に対し、もし自主的に撤退するなら、今と同じ丘の上だが、所有者が不明な場所に一時移動できるようにとりはからい、その後定住する場所を提供すること、またそれぞれに補償金を払うなどの条件を出して交渉した。

しかし、金曜朝、アモナ側はこれを拒否すると発表した。アモナ住民は、全員宗教シオニストである。エルサレムを含むユダの山々はユダヤ人の土地であると信じてゆずらない。また彼らの主張によれば、土地は購入した土地である。おとなしく撤退する理由はないのである。

撤退期限は12月25日。それまでには撤退を完了していなければならない。今週安息日明けにもイスラエル軍兵士らが来て、ガザ地区のように強制撤退が実施される可能性がある。

アモナでは、住民ではないが、アモナに同調する若者たちが集結している。撤去に来るイスラエル軍が入れないよう、妨害物を並べ、また仮設住宅を破壊できないよう、屋根の上に立つなどして、抵抗する準備を進めている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4894006,00.html

<ネタニヤフ首相からアモナ住民へ>

ネタニヤフ首相は、アモナ住民に対し、メッセージを送った。それによると、政府は、どうやったらアモナ住民をそのままにしておけるか、審議を繰り返したが、合法的にそれを実現する案は出なかった。

イスラエルは法治国家であるため、最高裁の裁定には、政府を含めすべての国民が従わなければならないと理解を求めた。

ネタニヤフ首相によると、法治国家としてイスラエルは民族に関係なく違法な住居は撤去するという方針を強調するため、イスラエル国内のアラブ人違法住宅の強制撤去も支持したとのこと。

また、撤去に来るイスラエル軍兵士たちは、私たちを守る息子たちであるから、彼らを傷つけないよう要請し、今は兄弟として、一つになるときであると訴えた。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4894043,00.html
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東アレッポ陥落:アサド大統領が勝利宣言 2016.12.17

 2016-12-17
シリア政府軍がロシアの後押しを得て、東アレッポの反政府勢力への激しい総攻撃を開始して2週間あまり。ついにシリア政府軍が東アレッポを制圧した。

反政府勢力が撤退を余儀なくされ、東アレッポの小さな2地区に立てこもるだけとなった火曜、シリア政府軍は、いったん空爆を停止した上で、当初、アル・ヌスラとそれ以外の組織を分けて、東アレッポから出て行くよう通告。脱出用のバスも用意した。

しかし、この時点では、反政府勢力はこれに応じなかった。このため、シリア政府軍は、水曜から木曜にかけて、この最後の砦ともいえる2地区への激しい空爆を再開した。現場にいた住民によると、空からはシリア軍、地上ではイラン軍が攻撃していたという。

この間、シリア政府軍が無差別に市民82人を、通りで射殺したとか、子供約100人が取り残されたビルが燃やされているとか、脱出しようとした車列が空爆されたなど、残虐な行為が行なわれているとの情報が流れた。

激しい爆撃の中、シリア市民による救出隊ホワイトヘルメッツなど、現場に取り残されたシリア市民らがソーシャルメディアを通じて、「これが最後のレポートになる。」といった悲痛なメッセージを次々に発信してきた。

バン・キ・ムン国連総長は、「アレッポで残虐な行為が行なわれている。」「アレッポは地獄だ。」と懸念を表明した。ケリー米国務長官は、こうしたシリア軍の行為は戦犯にあたると訴えた。

しかし、丸腰の市民の虐殺について、シリア政府軍は完全に否定。逆に、”テロリスト”である反政府勢力が市民を人間の盾にしていると主張した。

危機的状況の中、ロシア(シリア政府側シーア派)と、トルコ(反政府勢力側スンニ派)が、東アレッポの引き渡しについての交渉を続けた。

結果、シリア政府は、反政府勢力の安全を約束。まずは負傷者を脱出させることで合意し、改めてバス20台、救急車10台が準備された。BBCによると、反政府勢力4000人とその家族1万人を含む5万人が脱出すると推測された。

脱出した人々が行く先は、シリア北西部の反政府勢力支配域で、唯一残された拠点イドリブの近くの2つの村である。脱出するのは、反政府勢力約4000人とその家族1万人を含む5万人と推測されている。

木曜午後から負傷者の脱出がはじまり、ほこりまみれの救急車と緑のバスの車列が、完全にがれきとなった街から延々と出て行く続く映像が報じられた。国際赤十字によると、金曜朝までに約6500人(ロシア軍は9000人と主張)は脱出したとみられる。

救急車とバスは何度もピストン運転していたが、金曜午後、ロシア軍の司令で再び脱出が停止させられ、金曜夜(日本時間明け方)より、長い車列は立ち往生しているもようである。

原因は不明だが、どうやら、反政府勢力が、約束に違反して重火器の兵器を持ち出したとの情報がある。

ニュース映像で見ると、脱出者を乗せていくバスには、フロントガラス部分に、シリア政府の国旗とアサド大統領の顔写真が貼り付けてあった。このバスでアレッポを後にする反政府勢力や、多くの家族を失いながらも今まで耐えてきた市民たちの屈辱感は想像を絶する。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-38329461

一般市民でアレッポに残留したい人は残留も許されているようだが、地雷が埋められていることと、あまりの破壊のすさまじさで、もはや人間が住める状態ではなさそうである。

人間によって完全に破壊されつくした人口200万人、シリア第二の都市アレッポが、ほぼ完全に破壊され、無人となり、今はまるでSF映画の世界である。

http://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-syria-idUSKBN1420H5

<これからどうなる?>

1)さらなる戦いと殺戮の可能性

アレッポを制圧したアサド大統領は、ウェブサイトで、この勝利は、シリア軍にとって、テロに対する勝利と位置づけ、歴史的な転換になると豪語した。これでアサド政権を倒すという反政府勢力、ならびにアメリカの目標は、かなり遠のいたといえる。

しかし、これで内戦が終わったのではない。

アレッポをとられた今、反政府勢力と市民たちが脱出している先のイドリブ周辺は、広範囲に反政府勢力エリアで、シリア政府支配域に囲まれた形になっている。(地図参照)

南部でも、シリア政府支配域に囲まれている反政府勢力のエリアが多数、点在する。イドリブやこうした町が、第二のアレッポになる可能性は十分ある。

悲惨なのは一般市民たちである。シリア政府が、東アレッポの住民の脱出先として選んだ村は2つで約2万人の町。脱出者たちが来る前からすでに、食べ物は底がつき、草を食べ、病院では麻酔なしで手術が行われるようになっているような町である。

そこへ身も心も傷ついた人々5万人が来るのである。住めるような場所もない。中東ではここ数日寒く冷たい雨も降った。気温はマイナスになるのに、毛布はあるかないかである。食べ物なく寒い。冬はまだこれからである。

2)イラン、ロシア、トルコの台頭

アサド政権のアレッポでの勝利は、ロシア、イランなしにはありえなかった。今後、中東ではこの2つの国、特にイランの存在感が倍増したといえる。

http://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-syria-iran-analysis-idUSKBN143252

金曜夕方からアレッポで、住民の脱出が立ち往生になっているが、脱出を止めたのはロシアだった。現在、ロシアとトルコは、カザフスタンに、シリア政府と反政府勢力の代表を呼び、和平交渉を行うよう働きかけているという。

こうした働きかけは、アメリカと国連、EUがジュネーブで行おうとしている和平会議とは別に行われる試みで、もし実現したとしたら、アメリカや西側諸国にとっては、敗北ともいえる状況になる。

トランプ氏ひきいるアメリカが、今後中東でどのような政策に出てくるのか。今後目が離せないことになってきている。

*トランプ新政権とロシア

就任が来月にせまったトランプ米新政権だが、オバマ政権とはまるで方針が違うため、アメリカ政府から出てくるメッセージが現在、バラバラである。

特にアメリカのCIA(中央情報局)が、今回のアメリカ大統領選挙で、ロシア、特にプーチン氏自身も関わってサイバー攻撃を行ったと衝撃的な訴えを行った。ロシアが、トランプ氏を当選させるため、クリントン候補の情報を流したというのである。

オバマ大統領は、これはけしからんことであるとして、断固、対処する姿勢を明らかにしている。当然、ロシア側はこれを完全に否定。トランプ氏も、自国のCIA諜報機関の訴えであるのに、ただちに「バカバカしい」と一蹴した。

アメリカのトップ2人から、全く違う2つの声が発せられている。どちらが本当ことを言っているのかはわからないが、トランプ氏はm自国の諜報機関と大統領の間に信頼関係がない状態で、今後国は成り立つのか・・・とも思わされる。

3)イスラエルへの影響

中東、特に隣国シリアで、イランが強くなることはイスラエルにとっては好ましいことではない。しかし、アレッポが制圧される前後、ちょうどネタニヤフ首相が奇しくもカザフスタンと、ウズベキスタンを歴訪していた時だったが、イランからは、強気の発言が続いた。

日曜、イランの防衛相は、トランプ氏が、イランとの合意を破棄すると言っていることについて、「もしトランプが中東で戦争をしかけたら、シオニスト政権(イスラエル)と湾岸諸国は破滅する。世界戦争になる可能性もある。」と警告した。

http://www.timesofisrael.com/iran-if-war-imposed-on-us-israel-gulf-states-will-be-destroyed/

またイラン最高指導者ハメネイ師は15日、「前から言っているが、もしイスラム世界とパレスチナ人が一つになって戦えば、シオニスト政権は、25年後には存在していないだろう。」とツイッターした。

ネタニヤフ首相は、カザフスタンの大統領との対話の中で、「イスラエルはうさぎではなく、トラである。イランはそれを知っておくべきです。」と語った。

大きな話は別として・・イスラエルとシリアとの国境、ゴラン高原のシリア側は、現在、大部分を反政府勢力が支配している。もしここで、アレッポのような激しい戦闘になれば、流れ弾等が飛んできて、イスラエルが反撃せざるとえず、巻き添えになる可能性が出てくる。

またその後に、イランが、レバノンとイスラエルとの国境にその配下のヒズボラを配備しているのと同様、ゴラン高原にまで影響を及ぼしてくるかもしれない。

ゴラン高原については、今後シリアで、ロシアがどうでてくるのか、また、トランプ新政権がどう出てくるのかによっても情勢は大きく変わってくるだろう。現時点では、これまでと同様に、諜報活動を行いつつ、国境の守りを固めるだけ。。といったところのようである。

*ネタニヤフ首相のカザフスタン・アゼルバイジャン訪問

今週、ネタニヤフ首相は中央アジアのイスラム国であるカザフスタンとアゼルバイジャンを訪問した。両国との良い関係を保ち、経済、各種協力関係を維持することが目的の外交訪問である。

カザフスタンは、国連総会では、常に反イスラエルの立場をとっている。ネタニヤフ首相は、今回、同国を訪問する初めてのイスラエル首相となった。

カザフスタンは、ロシアや中国だけでなく、アメリカとも友好関係を維持している。この国を通じて、さらに中国での市場にアクセスができると期待されている。

また、ネタニヤフ首相は、カザフスタンに対し、イスラエルが、国連安保理の非常任理事国になるために賛成票を要請したという。エルサレムポストによると、イスラエルはまだ一度も安保理入りしたことはない。

アゼルバイジャンは、イスラエルが最も多くの石油を輸入している国。一方アゼルバイジャンは、イスラエルから武器を購入している。

http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Kazakhstan-asks-Netanyahu-for-help-in-war-on-terror-475341

こうしたアラブ諸国が、ネタニヤフ首相の訪問を受け入れ、イスラエルと協力関係を進めていることに対して、イランは反発していた。
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今年も渡り鳥来訪 2016.12.17

 2016-12-17
イスラエルは、ロシアとアフリカ大陸を行き来する渡り鳥の中継地点である。毎年550種類、5億羽もの渡り鳥がイスラエルでしばし休憩していく。エイラットとイスラエル北部のフーラ湖に、アガモン湖がそのメッカである。

暗いニュースが続く中、今年も48000羽ほどの灰色サギがやってきているという。近くの畑を荒らされないよう、イスラエルは、750トンもの鳥の餌を与えている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4893977,00.html

最近では、イスラエルが居心地良くなり、そのまま居ついてしまうものもいるという。

http://www.timesofisrael.com/why-israel-is-a-pilgrimage-site-for-birds-and-birdwatchers/

<石のひとりごと>

エルサレムはここしばらく、雨が続き、石造りの家はかなり寒くなった。シャワーのお湯はぬるく、腹がたつほど寒い。ふと、マイナス5度で毛布もなく暖かい食べ物もないシリアの人々を思ったら、寒くなくなった。

ヤフーメールが止まってしまった。なんとかするのに2日ついやしたが、なおらなかった。ふとシリアの人々を思ったら、こんなことでパニックになるのは、ばかばかしいと思った。

アレッポから脱出するバスの群れは今も停止したままだ。トイレはどうしているのだろう。生理中の女性はどうしているのだろう?寒さの中で下痢をしてしまった人は?それよりも足や手がちぎれているのに麻酔もない人は。。。?

シリアの人々のことを思えば、エルサレムでは、感謝こそすれ、不平不満をいうことなどいっさいないなと思わされているこの頃である。
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西岸地区合併への一歩!?:正常化法案 2016.12.12

 2016-12-12
ユダヤの家党のナフタリ・ベネット党首が提出した入植地の正常化法案について、情報が錯綜していたが、最終的には以下のようになっていることがわかった。

*そもそも・・正常化法案とは?

イスラエルの最高裁が、パレスチナ人個人の所有の土地の上に建てられていて違法であると裁定した西岸地区のユダヤ人入植地を、合法化する法案。法律問題で、へりくつをこねているようでもあり、非常にわかりにくい。

たとえば、所有者不明のまま一定年数が経っている場合は、土地を利用しても良いとか、所有者がわかっている場合は、長期リースという形にするとか、様々な形で、ユダヤ人が住むことを合法化するということである。

この法案が実現した場合、55の前哨地(まだ入植地として認められないレベルの開拓地)と、既存の入植地に加えられる形のあらたな家屋約4000戸が合法化が可能になる。

特に問題になっているのは、建てられてから20年、西岸地区最大の”Outpost(前哨地)”アモナで、2006年に一部9戸の強制撤去が施行され、住民と治安部隊で暴力的な衝突になった。常に問題児とされてきた地区である。

正常化法案では、このアモナはじめ、最高裁が違法であるとして、これまで裁判を続けてきた3つの地域(エリ、ナティブ・アボット、オフラ)も合法化する可能性が出てくる。

これは、現在、イスラエルとパレスチナ双方がめざしている2国会2民族(国をイスラエルとパレスチナで分け合うという考え方)に反して、一国家一民族(イスラエルはユダヤ人の国)、つまりは西岸地区の合併への一歩になる。

右派勢力にとっては、非常に画期的な法案である。

当然、この法案は、パレスチナ自治政府はじめ、国際社会も反発している。イスラエル国内でも、この法案が国際的なイスラエルの立場を悪くすると懸念する声が大きく、左派はいうまでもなく、右派内部でも分裂して論争になっている。

http://www.timesofisrael.com/q-and-a-on-the-israeli-legislation-that-aims-to-legalize-west-bank-outposts/

<国会審議第一回目通過:もめる右派> 

この法案について、クラヌ党(中道右派)のカフロン党首(現財務相)は、もしこのままで国会を通過して、法律になれば、(いったん違法と判断し、撤去を命じた)最高裁の決定に権威がなくなると主張。

すでに違法と判断されているアモナと問題の上記3地域が、この法案によって、撤去を免れるなら、クラヌ党はを国会で、賛成票は投じないと表明した。クラヌ党は10議席あり、この党が賛成しないと国会審議を通過することは不可能である。

そこでベネット党首とネタニヤフ首相、カフロン財務相が交渉を行い、アモナの撤去だけは、2014年に最高裁が命じたとおり、今月25日までに実施するということで、カフロン氏も妥協し、合意に踏み切った。

この合意に基づき、国会では7日、この法案に関する審議が行われた。結果、賛成58、反対51で、第一回目の審議を通過した。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4889955,00.html

アモナ住民は、見捨てられたとして、怒りを表明したが、ベネット党首は、たとえアモナを失っても、その他の地域が合法化されるという、大きな目標は達成できたとして、国会で、記念すべき勝利だと宣言した。

実はネタニヤフ首相にとっても、目の上のたんこぶであったアモナが消えてくれる上、右派勢力に借りを作ることができたので、今回のベネット党首、カフロン党首両氏との合意は、都合のよい流れになったとの分析もある。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4891270,00.html

しかし、今後、実際に法律になるには、まだ国会審議を3回通過し、さらに司法長官の承認が必要になる。

最終的に、法律として承認することになる司法長官(最高検事)のマンデルビルト氏は、「結局のところ、パレスチナ人個人の土地を、政府が取り上げるということに変わりはなく、この法案は、どうころんでも違憲(基本法)である。国際法上も違反で、弁護のしようがない。」と主張。最終的は却下せざるをえないとの考えを明らかにしている。

http://www.timesofisrael.com/attorney-general-says-outpost-bill-still-illegal-even-without-amona/

しかし、最終的には政府は、司法長官を更迭することも可能であるらしく、この正常化法案が、正式に法律になる可能性は十分にある。

時期的な問題を指摘する意見もある。アメリカでは、イスラエルの入植地政策に厳しいオバマ大統領があと1ヶ月は大統領である。

もしこの案件が現時点で国会を通過していった場合、国連安保理が動き、オバマ大統領が、反イスラエル決議、制裁などに拒否権を発動しないという可能性も否定できない。*安保理での決議は、総会決議と違って実効力がある。

リーバーマン国防相は、右派だが、正常化法案を通すのは、来年1月20日に、親イスラエルとみられるトランプ氏が大統領になるまで待ったほうがよいと主張している。

<パレスチナ自治政府:国連・国際法廷へ>

まだ法律にはなっていないものの、パレスチナ自治政府は、当然、危機感を持ったようである。この法案が国会で一回め通過した後、パレスチナ自治政府、ドイツ、EUからイスラエルに対する厳しい批判が出された。

パレスチナ自治政府のプレスオフィスは、パレスチナからみたエルサレムと入植地に関するビデオクリップを発表し、国際社会に、「イスラエルは西岸地区をパレスチナ人を追い出して、土地をとりこもうとしている。」と訴えている。

イスラエルの主張や、東エルサレムの開発のための努力、パレスチナ人によるテロで多数のユダヤ人が犠牲になったことなどはまったく反映されていないが、これがパレスチナ側の見方である。参考までに見ることをおすすめする。

https://www.nad.ps/en/videos/east-jerusalem-israel’s-colonial-project-unravelled

さらに、パレスチナ自治政府は、エレカット氏率いる代表団をアメリカへ派遣。ケリー国務長官に面会し、反イスラエル法案への拒否権を発動しないよう、要請するもようである。パレスチナメディアによると、トランプ氏にも面会する可能性があるという。

パレスチナ自治政府は、今のイスラエル入植地政策に厳しいオバマ政権の方針を変えないよう、要請するとのこと。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Palestinian-Authority-delegation-heads-to-US-hoping-to-meet-with-Trump-474987

<アモナ住民が徹底抗戦への支援を呼びかけ>

ベネット党首が、法案を通すためとはいえ、予定通り今月25日までに撤去しなければならないアモナ住民は、激怒している。

政府は、アモナ住民に対し、変わりの土地を提供するほか、補償金として、1家族に50万シェケル(約1500万円)を検討しているようだが、どこまで話が進んでいるのかは不明。

http://www.timesofisrael.com/state-moves-on-compensation-for-amona-residents-as-evacuation-looms/

今の所、アモナ住民に自主退去する意思はなく、強制撤去に来る治安部隊と戦う構えである。撤去自体はすでに決まったことなので、もういつ何時、治安部隊が撤去に現れてもおかしくはない。住民たちに加えて、外部からも一緒に戦う応援隊が集結している。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4890544,00.html

イスラエル人どうしの衝突を避けたい政府は、住民に移動準備期間を与えるために、撤去期限を30日延期することを最高裁に要請することも検討している。30日伸ばすと、トランプ新大統領になっているので、政府としても都合がいい。

<ネタニヤフ首相黄金の像事件:テルアビブ>

今のネタニヤフ政権は、これまでになく右派政権で、ネタニヤフ首相が、政権運営しやすい形となっている。上記のようなイスラエルの動きは、世界各国で右傾化が進んでいるのと同じ流れともとれる動きである。

しかし、イスラエル社会は、右派ばかりではない。イスラエル、特にテルアビブは、リベラルで、左派が多く、右派エルサレムと対照的。様々な点で、対立しているともいえる。

そのテルアビブで5日、ラビン・スクエアのテルアビブ市役所前に、実物大の金のネタニヤフ像が出現した。台座が高いので4mの高さがあり、通行の人々が見上げる形である。出エジプト記の金の牛を連想した人も多かったようである。

像は月曜朝9時にこの場所に置かれ、人々が興味しんしんに眺めている様子は笑えるほどである。テルアビブ市役所は、像に「4時間以内に撤去せよ。」との張り紙をした。

4時間もあれば、会社の昼休みを含め、人々が十分見ることのできる時間である。多くの人々が写真を撮ったりしていたが、午後1時過ぎ、像は倒されて、創作者が撤去した。

この金のネタニヤフ像を設置したのはアーティストのイタイ・ザライト氏。イスラエルにおける言論・表現の自由を試してみたかったと語っている。

アライト氏が何を訴えたかったかを明記した記事はなかったが、この像が置かれたのは、故ラビン首相が、過激右派の青年に暗殺された現場である。

象徴的にいえば、左派でパレスチナとの対話をすすめた故ラビン首相を信奉するテルアビブが、西岸地区合併をもくろむエルサレムの右派勢力の台頭に警告したとも考えられる。

いずれにしても、この事件の後、ネタニヤフ首相が怒ったということもないし、ザライト氏も逮捕されなかった。イスラエルは、民主国家である。

http://www.timesofisrael.com/golden-statue-of-netanyahu-toppled-in-tel-aviv-plaza/
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トルコでまた爆破テロ:38人死亡 2016.12.12

 2016-12-12
10日夜、トルコのイスタンブールのサッカースタジアムのすぐ外で連続爆破テロ(一つは自爆)があり、38人が死亡した。警察車両が爆破されたため、犠牲者は警察官30人と一般市民7人だった。負傷者は155人。

スタジアムでは、人気チームが試合をしており、爆破は試合が終了して2時間後に発生。BBCによると300-400キロもの爆弾が使用され、相当大きな爆発であったもよう。

11日になり、独立を求めてトルコ政府に敵対するクルド人勢力PKK参加のTAKというテロ組織が犯行声明を出した。

トルコでは、今年いっぱい、PKK関連やISISによるテロが多発した。2月アンカラで爆弾28人死亡(TAK)、3月アンカラで爆弾37人死亡(TAK)、6月イスタンブール爆弾11人死亡(TAK)、7月イスタンブール空港で爆弾36人死亡(ISIS)・・・など。

<トルコ:イスラエルとの関係回復は前進>

こうした大荒れのトルコだが、イスラエルとの関係改善は前進した。両国は、2010年に発生したマビ・マルマラ号事件*以来、政府間の国交が途絶えていた。(ビジネスは続行)

しかし、2014年になり、ネタニヤフ首相がトルコに謝罪を申し入れ、多額の賠償金を払うなどしたため、トルコは事件に関係したイスラエル兵に対する訴えを取り下げた。

イスラエルの在トルコ大使はすでにトルコ入りしたが、11日、トルコの在イスラエル大使もイスラエル入りを果たした。これをもって両国の国交は回復したといえる。

*マビ・マルマラ号事件
イスラエル領海へ侵入しようとしたガザへの”支援船”をイスラエル軍が阻止しようとして衝突。トルコ人活動家9人が死亡)だった。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4891268,00.html
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日曜礼拝中の爆弾テロで25人死亡:エジプト・コプト教会 2016.12.12

 2016-12-12
最悪・・としかいいようがない。エジプトの首都カイロにあるコプト教会(キリスト教)聖堂で、11日日曜、朝10時、信者たちが、礼拝している最中の教会内で爆弾テロが発生した。死者は少なくとも25人。負傷者も多数いるもよう。

この教会では、男性セクションと女性セクションに分かれて礼拝していたが、爆弾は、女性セクションで炸裂した。教会の2階らしき上部の窓が全部吹き飛んでいる様子から、いかに大きな爆発であったかがうかがえる。

さっきまで共に礼拝していた人が、教会の中で死んでいる。中にいた人の証言では、首のなくなった女性の遺体や子供の遺体、ちぎれた肉片が壁や床に散乱していたという。当然、教会の長椅子もめちゃめちゃになっている。

BBCによると、犯人は、女性で、爆弾を置いて、外へ出たもよう。ムルシ前大統領を支援する比較的新しい過激派組織ハスムが犯行声明を出している。

現在のシーシ大統領は、ムルシ前大統領や、それに続くイスラム過激派組織、ムスリム同胞団などを厳しく弾圧している。これらの過激派組織は、弾圧される立場に追い込まれたのは、コプト教会の責任だと考えているという。

現場は、コプト教の本部ともいえる聖マルコ教会に隣接する礼拝堂で、テロリストがコプト教会をいかに敵視しているかがうかがえる。エジプトでは、コプト教徒が差別され、立場も厳しくなっている。

なお、エジプトでは、この事件に先立つ土曜、ピラミッドのあるギザでも爆破テロがあり、警察官6人が死亡している。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-38280627

*コプト教会

コプト教会は、エジプトを訪れた使徒マルコを記念して、紀元後50年(キリスト昇天から約20年後)に創設されたと考えられ、当時、エルサレムの外に立ち上げられたキリスト教会の中では世界最古の一つと考えられている。

使徒マルコはアレキサンドリアの教会の初代法王であったとも考えられている。その後、ローマ帝国やイスラム帝国の下で迫害を受け続け、今に至っている。神学や儀式は正教会(オーソドックス)に準じている。

エジプトでは、総人口の10-15%、8400万人がキリスト教徒で、そのほとんどがコプト正教(このほかにコプト・カトリックなどがいる)である。イスラエルを含むエジプト以外に国々にも100-200万人はいるとみられている。

*ナイジェリア:集会中に教会の屋根崩壊:60-100人死亡か

上記の事件とは関係ないが、ナイジェリアでは、土曜に新しいビショップの任命のために集まって集会をしていた教会(Reigners Bible Church)の屋根が崩壊し、下にいた信者60-100人(人数はメディアによって違う。最大はAP通信の160人)が死亡した。

こちらは、まだ工事中であったところ、イベントに合わせていい加減に工事を終わらせたことが原因とみられる事故だが、詳細は不明。この教会は、プロテスタント系。

http://www.churchomania.com/church/183870641795377/Reigners%20BIBLE%20Church%20INT'L
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シリア情勢:一進一退シリア政府軍とロシア軍 2016.12.12

 2016-12-12
1)シリア政府軍:東アレッポの75%を制圧か

ロシアとシリア政府軍が、東アレッポへの総攻撃を開始してから2週間。BBCによると、これまでにアレッポの75%(ロシアは95%と主張)が、ロシアの支援を受けたシリア政府軍に奪回された。

同時に27万人はいるとみられるアレッポ住民の脱出が始まり、アル・ジャジーラによると、攻撃がやんでいるこの数日の間に7万人がシリア政府軍エリアへ脱出したという。

アラブ系メディア・アル・ジャジーラによると、現在、シリア軍とロシア軍はいったん攻撃を停止し、まだ残っている反政府勢力にアレッポから脱出せよと言っている。

ただし、ロシアが過激派と目するアル・ヌスラはイドリブ方面へ、それ以外の組織は別の方向へと指示されている。ロシアは、アル・ヌスラを反政府勢力から分離することをかねてから主張していた。

しかし、アル・ヌスラは、今年アルカイダの傘下から離脱してアル・シャムスと名を変え、他の穏健派反政府勢力に加わったとみられていおり、アメリカは実質、彼らを黙認しているとみられていた。アル・シャムスが反政府勢力を強くしていたからである。

つまり、アメリカとロシアはこの点においても対立していたのである。しかし、アレッポ情勢が人道的にも相当悲惨な事態になってきたことを受けて、アメリカのケリー国務長官とロシアのラブロフ外相は、ジュネーブで話し合いを続けている。

そのような中で、今回、アル・ヌスラと他の組織を分離するかのような指示が出されたということは、アメリカがロシアに対して譲歩したとも考えられる。

ただし、この申し出に対して、反政府勢力からの返事はまだない。

http://www.aljazeera.com/news/2016/12/aleppo-safe-passage-syrian-fighters-proposed-161211170351336.html

2)ISISがパルミラを再制圧

上記のようにアレッポが混乱しているすきに、ISISが、いったん撤退していた世界遺産パルミラをシリア政府軍から奪回し、11日、再度町に入ったもよう。ISISがシリア軍兵士を撃退しているもようである。

パルミラには重要な世界遺産があるが、アレッポと同様に、シリア軍やロシア軍が、ISISに対する激しい空爆を行えば、この遺産はいよいよ破壊されつくしてしまうだろう。少なくともここに市民は住んでいないのは不幸中の幸い。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4891183,00.html

それにしても、こんな愚かな殺戮と破壊がいったいいつなで続くのだろうか。シリア軍とロシア軍、また世界の連合軍を相手に互角に戦っているISISの力は想像を超えているといえる。

<石のひとりごと>

オリーブ山便りでは、これまでほとんど取り上げてこなかったが、イランとサウジアラビアが対立する舞台になっているイエメンの殺戮も相当なものである。

BBCによると、戦闘が激しくなった昨年3月から、今年9月末までに市民だけで10963人が死亡。このうち4014人は昨年3月から今年9月までに死亡している。総人口2700万人のうち、330万人が今も国内難民だという。

難民は、医薬品どころか食糧も底をつき、骨と皮だけになった乳幼児の写真が報じられている。中東は、まさに地獄の沙汰である。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-38220785

中東だけでなく、2017年は、世界もトランプ氏の登場、またヨーロッパ諸国でも来年、次々に新しいリーダーが誕生し、今後世界がどう動いていくのか、専門家でも予想できない状況になってきた。

聖書は、終わりの時の前兆について、次のように言っている。

・・・わたしを名のる者が大勢現れ、『わたしこそキリストだ』と言って、多くの人を惑わすことでしょう。また、戦争のことや、戦争のうわさを聞くでしょうが、気をつけて、あわてないようにしなさい。

これらは必ず起こることです。しかし終わりが来たのではありません。民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々にききんと地震が起こります。しかし、そのようなことはみな、産みの苦しみの初めなのです。

そのとき、人々は、あなたがた(聖書の神に従う者)を苦しいめに会わせ、殺します。またわたしの名のために、あなたがたはすべての国の人々に憎まれます。・・・(マタイの福音書24:3−14)

こうした状況は、私たちの周りで、確かに始まっているようである。

このような世界情勢の中、日本では今年の流行語に、「神ってる」「聖地巡礼(映画などで使われたロケ現場を訪ねること」など、神をまったく恐れていない、むしろバカにしているような言葉が流行語大賞になった。

加えて、「保育園落ちた。日本死ね。」までが賞を取っている。

宗教がらみで地獄の沙汰になっている中東、神という存在、また国が死んでしまう、国を失うということはどういうことなのかを、常日頃実感せずにはいられないイスラエルにいると、日本人の意識が、あまりにも世界の常識から外れている事に、いいようのない、ぞっとするほどの恐怖すら感じる。

このブログを読んでくださった方には、言わせていただく。日本で今年流行語大賞になったような言葉は、中東のみならず、おそらくは、世界のどの国に行っても、文字どころか口にものぼらないタブー用語である。

*英語にGodlyという言葉はあるが、いわゆる普通の人間の能力にこの言葉は使わない。
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ヘルモン山に雪・北部情勢 2016.12.5

 2016-12-05
イスラエルではこの週末、全国的に強風を伴う雷雨となった。日本の感覚から言うと、たいした雨でもないのだが、相変わらずハイファやテルアビブの一部では道路が冠水していた。

北部ヘルモン山では、積雪となり、週末は、初雪で遊びたい家族連れが殺到した。ガリラヤ湖では、水位が5センチ上昇したとのこと。日曜からは晴れ上がり、全国で非常に気持ちのよい日々を迎えている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4887643,00.html

<ヘルモン山・ゴラン高原・北部情勢>

週末にイスラエル人家族たちが雪を楽しんだヘルモン山だが、頂上が3つある。レバノン山脈にもつらなっている。そのため、山の中をイスラエル、シリア、レバノン3国の国境が通る。

イスラエルが六日戦争以降、領有するのは南部でその頂上は標高2224mの地点。それよりも高い2814mの頂上はシリアがおさえている。ヘルモン山から、ダマスカスまでは、直線距離なら50キロ程度。車で1時間半ほどで、すでに激戦地である。

またヘルモン山は、シリアとの国境線があるゴラン高原に隣接している。ゴラン高原南部では、先週日曜、シリア側から、明らかにイスラエル軍に向けた発砲があった。

攻撃してきたのは、ISIS傘下の組織に所属する4人で、これまでのような流れ弾ではなく、敵意を持った攻撃であった。イスラエル空軍がただちに4人を殺害した。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4884827,00.html

この翌日、イスラエル軍は、ゴラン高原南部で、かつては国連が使用し、今は無人になっている建物で、ISIS関係グループが使用していた場所を爆撃した。

ヒズボラもシリア政府軍も、ISISも、何者であってもイスラエルに手を出すことは絶対に許さないということ、また、イスラエルはたとえシリア領内であっても、どの組織が何をしているかという情報は、確実に把握しているという強力なメッセージである。

http://www.jpost.com/Breaking-News/Israeli-Air-Force-strikes-ISIS-target-in-Syria-473858

さらにその後の水曜、ダマスカス郊外のシリア政府軍武器庫と、シリアからレバノンへ向かう輸送隊が空爆された。イスラエル軍が、ヒズボラへ移送されようとした武器を事前に処分したものとみられる。

攻撃については、シリア軍関係者はじめ、様々なアラブ系メディアが伝えているが、イスラエルはいつものようにノーコメント。

今回、ロシアの後押しを受けているシリア政府軍をイスラエルを攻撃したため、ロシアがイスラエルに対してどう出てくるかが注目されていた。

イスラエルは一応、シリア領内で、こうした防衛的空爆を行うことがある旨、ロシアからの了解を得ているが、実際にロシアは約束を守るのかどうか・・・今回はそのテストだとも言われた。

幸い、攻撃から5日経過後の今にいたるまで、ロシアは反応していない。つまり黙認ととれる。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4886912,00.html

こうした緊張した状況下にありながら、ヘルモン山で、家族連れが、平気で楽しく雪遊びができるというのも、さすがイスラエルと言えるだろう。いかにイスラエルの諜報機関と治安部隊がすぐれているか、また国民も軍に絶対の信頼を置いているということがわかる。

<最新鋭F35ステルス戦闘機配備で中東最強の空軍へ>

イスラエルは、最新鋭ステルス戦闘機F35機をアメリカから17機、購入することを決めた。最終的には50機にする予定。F35は、ステルス機能(敵に察知されずに近づく)が高いだけでなく、垂直離着陸が可能の戦闘機である。

https://www.youtube.com/watch?v=4OYs3VBGfac(垂直離発着するF35)

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4885192,00.html

日本の航空自衛隊は、イスラエルに先立ち、アメリカがF35を実戦配備可能と発表したばかりの8月中に、すでに購入を決定。最終的には42機を調達する予定となっている。今年中にも4機が到着するみこみ。自衛隊の戦力は、実は世界でもトップクラスの一つなのである。

http://www.sankei.com/politics/news/160816/plt1608160013-n1.html
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西岸地区入植地の合法化とアザーン問題 2016.12.5

 2016-12-05
11月中旬以来、イスラエルでは、反パレスチナ、反イスラムともとられる新しい法案が出され、論議を巻き起こしている。これらが先の放火テロの引き金になったのではないかとも言われるほど、大きな論議となった。

一つは、西岸地区の入植地を合法化するRegulation Bill(正常化法案)。もう一つは、モスクの拡声器から流れるイスラムの祈りへの呼びかけを禁止する法案である。

1)Reguration Bill(正常化法案)で物議

西岸地区のアモーナは、ベニヤミン地区にあるユダヤ人の前哨池(入植地の前段階)である。1995年に右派正統派ユダヤ人(宗教シオニスト)らが住み始め、現在、42家族、約200人が住む。

問題はアモーナが、パレスチナ人個人所有の土地にあると訴えられた点である。2006年、イスラエルの最高裁は、これを認め、アモーナは違法であるとしてこの時点ですでに撤去を命じていた。しかし、政府が、撤去の実施を延期し続けて今に至っている。

この間、警察と入居者が衝突したり、パレスチナ人への補償金が命じられたりと紆余曲折の道を通ってきた。このため、アモーナは、開拓から20年になる今もなお仮設住宅の様相である。

最終的な最高裁の判決は2014年に出されたもので、アモーナは違法であるとして、2016年12月25日までに撤去を完了するよう命じている。

政府はアモーナ住民に代わりの土地や住居を提供するなど、妥協案も出したが、アモーナの住民はこれを拒否。今のままであれば、この12月25日、アモーナの住民は、ガザ地区からの撤去のように、イスラエル軍が強制撤去を実施しなければならない。

ところが、撤去期限が迫る11月中旬、思いがけずトランプ次期大統領が選出され、親イスラエルの立場を明らかにした。すると右派ユダヤの家党のベネット党首が強気になり、入植地政策において、国際社会の顔色を伺う方針を変える時が来たと主張。

西岸地区入植地を合法化する法案、問題のアモーナの合法化も可能になる”Reguraltion Bill 正常化法案”を出してきたのである。

もし仮に、この法案が国会審議を3回通過して法律となった場合、アモーナは撤去しなくてもよいということになる。

しかし、当然、この法案に対するパレスチナ側からの反発は大きく、もし、この法案が実際に法律になれば、暴力の再燃になるとアッバス議長が警告。政府内部からも、イスラエルの国際的な評価もあやうくなるという意見もあり、激しい論議が続いた。

多くの反対意見に対し、ベネット党首は、トランプ次期大統領が、明確にイスラエル寄りの姿勢をみせていることから、アメリカは、イスラエル側に立つと主張する。

これについて、もう一人の右派政党、イスラエル我が家党のリーバーマン党首は、この法案の審議は、トランプ氏が大統領に就任するまで、延期すべきと言った。国連では反イスラエル決議が採択され、オバマ大統領が最後にイスラエルを見捨てる可能性もあるからである。

あまりにも論議が大きいため、とりあえず、国会での審議は水曜に延期すると発表された。ベネット党首とネタニヤフ首相は、土曜夜からずっと話し合いを続けてきたが、日曜午後になり、アモーナの撤去命令を30日延期するという妥協案でなんとか、各党とも合意している。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4888496,00.html

http://www.timesofisrael.com/coalition-reportedly-reaches-compromise-on-amona-outpost/

2)アザーン禁止法案で大騒ぎ:地域問題にトルコの大統領が口出し

アザーンとは、イスラム教モスクから放送される祈りへの呼びかけである。ムアジーンと呼ばれる担当者が、1日5回、独特のしらべに乗せて、ろうろうと歌い上げ、それがモスクのミナレット(塔)の先に備えられた複数の拡声器から、一斉放送される。日本でも、地方に行くと、葬式案内が、地域で一斉放送されたりするが、その感じである。

そのため、アラブ人地区の付近に住んでいると、イスラム教徒でなくても、アザーンは聞こえてしまう。問題はこれが1日5回で、早朝は4時ごろが第一回目であるということ。

11月、エルサレム北部でアラブ人地区に隣接するピスガット・ゼエブ住民が、最近、アザーンの音量が耐え難いレベルにまであがっているとして、バルカット・エルサレム市長の住むベイト・ハケレム地区に向かって早朝6時、大音響でアザーンを再現するというデモを行った。

イスラエルには、騒音に関する法律があるが、ここから端を発して、拡声器で無差別に一斉放送するアザーンを禁止する法案が出された。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4877762,00.html

これを受けて、イスラエル国内のアラブ統一政党はもちろん、パレスチナ自治政府のアッバス議長、アラブ諸国やトルコのエルドアン大統領までが、「イスラエルが、イスラムの祈りを禁止しようとしている。」と大騒ぎになった。

しかし、イスラエルとしては、祈り自体を禁止すると言っているのではなく、拡声器で一斉放送することを禁止するといっていたのである。携帯電話の一斉配信など、一斉放送でなくても、他の方法も考えられるからである。

しかし、アラブ議員アフマド・ティビ議員は、この法案が、イスラエルが上記アモーナにからんで入植地を合法化する法案と同時期に出されたことを指摘し、イスラエルが、一気にユダヤ化をすすめようとしていると怒りを訴えた。

問題が大きくなることを受け、リブリン大統領は、イスラム指導者を官邸に集めて、イスラエルはイスラムの排斥をするのではないとアピール。アザーンの問題は、地域での話し合いで決めるレベルのものであり、法律にまでする必要は全くないとの声明を出した。

しかし、イスラエルの大統領には政府の施政に口出しをする権限がない。法案はそのまま審議されそうになった。しかし、ことが大きくなるのを受けて、結局、国会での審議は、先のRegulation Billと同様、先送りとなった。

*以下現地取材

この問題について、エルサレム南部のアラブ人地区ベイトサファファと、すぐ隣接するユダヤ人地区ギロを訪問した。ここでは両者の指導者同士はけっこう仲が良く、アザーンの問題も、両者が話し合って、一応の解決を見いだしていた。

それによると、問題になるのは早朝のアザーンや、ヨム・キプールで、ユダヤ人が断食しながら寝ている日のアザーンであるため、音量には配慮すべきとイスラム側も納得していた。

また、今後テクノロジーを使って、拡声器をイスラム教徒が住むベイトサファファの通りにむけて、細分化して配置し、ユダヤ人のギロにまで放送が聞こえないようにするという案で合意に至ったという。

確かに、ガザ地区に近いアシュケロンでは、ロケット弾が打ち込まれると警報がなるのだが、毎回、街全体に警報を鳴らすと、着弾しそうもない地域住民にまでストレスを与えることになる。

そのため、アシュケロンでは、地域別警報システムが導入されており、同じ市内でも、本当に危険がせまっている範囲の住民だけに警報が聞こえるようになっている。アザーンにも同じシステムの導入は可能と思われる。

ただ問題は、費用。ベイトサファファでは、とりあえず、2つの通りでテストケースを始めて、徐々に拡大していく予定だという。

<石のひとりごと>

ユダヤ人とアラブ人。同じ土地の上に住んでいながら相変わらず、もめごとはエンドレスである。

アザーンについては、地域の問題であり、現地ではすでに指導者同士の話し合いがすすめられていた。しかし、話はどんどん一人歩きをしながら深刻化し、へたをすると、世界のイスラムを敵にまわす可能性まであった。

中東では、ささいなことでも大きな戦争に発展する可能性があるということである。

筆者の住む地域でも、アザーンは毎朝4時から鳴り響いているが、やかましくて寝られなかったというような覚えはない。すでに日常になっている。ただ霊的な問題はあると思われる。

イスラエルは、民主国家だが基本的にユダヤ人が運営する国であり、毎朝ラジオは、「シェマーイスラエル。私たちの主だけが神。」と宣言する。一方で、イスラム教徒たちは、朝から1日5回、「アラーだけが唯一の神。」と大音響で宣言しているのである。

アラビア語を理解する人が少ないせいもあり、この点は問題とはされていないが、けっこう大問題ではなかろうかと筆者は懸念する。。。とはいえ、これを禁止することはやはり、国際的にも大問題であることも現実のようである。
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パレスチナ会議終了:アッバス議長の権力増強か 2016.12.5

 2016-12-05
7年間、延期になっていたファタハ(PLOの最強政党で自治政府を運営する母体)指導者たちの会議が、ラマラにおいて4日間開かれ、土曜、終了した。

会議では1400人が集まって、投票を行い、今一度アッバス議長(81)が、ファタハ最高指導者であるということで合意した。このほかにもファタハの議会や自治体の指導者らも選出された。

会議は前回からすると7年ぶりで、アッバス議長の後継者のめぼしがつく会議としても注目されていた。

アッバス議長の最大のライバルとされていたのは、今はパレスチナから追放され、UAEに身を寄せているモハンマド・ダーラン氏で、アラブ諸国はダーラン氏を会議に加えるよう要請した。しかしアッバス議長はこれを拒否。

ダーラン氏のパレスチナ返り咲きを阻止できたこともり、アッバス議長の権限が、これまでよりも強固になったとみられる。

なお、ダーラン氏自身は、自身ではなく、イスラエルの刑務所にいるマルワン・バルグーティを次期指導者として指示する立場である。

http://www.timesofisrael.com/palestinian-fatah-party-ends-conference-with-boost-for-abbas/

アッバス議長はこの議会において、「絶対にイスラエルを認めない。」と明言した。

<国連総会:パレスチナ人を覚える日>

国連総会では、1947年に、パレスチナ分割案が採択された11月29日を記念し、この日をパレスチナ人を覚えるとしている。今年は、総会の議長ピーター・トンプソン氏は、パレスチナを象徴するスカーフを巻いて総会にのぞみ、決議案をとった。

6つの反イスラエル決議案のうち、一つは神殿の丘に関するものだった。先のユネスコの時と同様に、アラブ諸国が提出し、ユダヤ人と神殿の丘の関連を明記せず、イスラエルを非難する報告書で、今回、国連総会でも、承認された。

この決議に反対したのはイスラエルとアメリカを含む6カ国のみで、フランス、ドイツ、イギリスなど主要ヨーロッパ諸国は全部賛成票を投じていた。日本も賛成票であった。実質的にイスラエルがたよれるトモダチは、アメリカだけという結果である。

これで、もし将来、アメリカも失ったらどうなるのか。。。イスラエルのダノン国連代表は、今後も、アメリカがイスラエル支持から手をひかないことを願っていると危機感を語っている。

http://www.i24news.tv/en/news/israel/diplomacy-defense/131461-161201-un-adopts-more-anti-israel-resolutions-ignores-jewish-ties-to-temple-mount
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すべての子どもに国が積み立て貯金 2016.11.5

 2016-12-05
10月、カフロン財務相が、2017年1月から、イスラエル人の子供すべて、一人一人に、国が積み立て貯金を開始すると発表した。

その開始日が近づいた12月に入り、テレビでは親たちに開始を知らせ、手続きを始めるよう促す政府の宣伝が始まっている。

http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Savings-for-every-child-plan-moves-forward-474421

<CDA(Child Development Account)>

CDAとは、子供たちが18歳になり、いよいよみずからの人生を歩み始める際に、親の経済能力にかかわらず、すべての子供に一定額の貯金があるよう、国が支援して一人一人に積み立て貯金を行うというプログラムである。

この資金で、大学に行ったり、ビジネスを始めることも可能で、貧困な家庭の子供たちが貧困から脱出できるようにするねらいがある。

アメリカやスカンジナビア、シンガポール、中国、2007年からは、韓国でもこのプログラムが始まっている。専門家によると、現時点で最も成功しているのはシンガポールで、仮にこの積み立てを18歳で引き出さなかった場合は、老齢年金にまで回すことができ、文字どおり、生涯を通して助けになるプログラムである。

具体的な方策は国によって違うが、だいたいの国においては、政府から支給される子供手当から一定額を差し引いて積み立てることに両親が合意した場合、政府は、それと同額を上乗せするという形で、積み立てを支援する。この方式であれば、国民すべての子供が対象にはならない。

イスラエルは、OECD諸国の中でも、貧富の差がかなり大きい国である。ミリオネア(資産1-5億円)の人が88000人以上でそのうち17人は、ビリオネア(億万長者)がいる一方で、貧困線以下で生活する貧困率は19%と、OECDでは最悪の国である。

また子供の貧困率は30%と先進国にしては非常に高い。(ただしイスラエルの場合は、出産率が高いユダヤ教超正統派とアラブ人社会の貧困率がそれぞれ一般ユダヤ人社会の3倍、2倍となっていることに注意)

こうした中、イスラエルでもCDAは長年、研究されてきたのだが、いよいよ来年1月から滑り出すこととなった。テレビでは、親たちに理解を求め、手続きを始めるよう促す政府広報が始まっている。

http://taubcenter.org.il/long-term-savings-accounts-for-children/

<イスラエルのCDA> http://haotzarsheli.mof.gov.il/Documents/english.pdf

イスラエルでは、120万世帯、300万人のイスラエル人の子供(ユダヤ人、アラブ人にかかわらずすべて)全員を対象とし、子供が生まれると国はその子供の口座を作り、月50シェケル(約1500円)の積み立てを開始する。

これに親は、支給される子供手当から50シェケルを差し引いて国の積み立てに上乗せすることが可能である。

これにより、子供たちは18歳になった時点で、12215シェケル(約36万円)、上乗せがあった場合は、21930シェケル(約72万円)が準備されていることになる。

イスラエルでは兵役があるため、積み立ての出金は、21歳でも可能。もし18歳で出金しなかったらさらに500シェケル(約15000円)、21歳でも出金しなかったらさらに500シェケルのボーナスがある。

これで、いかに貧しい家庭の子供でも、成績がトップレベルで奨学金を受けられなくても、大学に行くことは可能。なお、使い道については、学業などが好ましいとされているが、親との合意があれば、特に制限はない。

このプログラムを始めるにあたり、不公平がないよう、今いるすべての年齢の子供の場合どうなるのか、子供が18歳未満で死亡したらどうなるのかなど、細かいところにまで対処が準備されている。

相当な財源が必要になると思われるが、国が負担する資金は、初年度で、1億1030万シェケル(約34億円)、2年目からは24億シェケル(約720億円)と試算されている。

すべての子供を対象に、まずは公的積み立てが土台になるCDAはイスラエルが世界で初である。

プログラムが成功するか否かは、18年たってみないとわからない。あまりにも長期計画で、次期政権は、これをちゃんと引き継いでくれるのか、財源は確保できるのか。。。など、疑問や懸念は多々あるが、そこは見切り発車が得意なイスラエルである。なんとかなるのだろう。
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