合法化法案:国会通過 2017.2.8

 2017-02-08
西岸地区の入植地のうち、土地の所有権がパレスチナ個人になっているため、違法とされる未認可の入植地の合法化を可能にする法案、「合法化法案(Regulation Bill)について。

イスラエルでは、法案が成立するためには、まずは、国家での審議を3回通過し、最高裁が認めることが必要となる。合法化法案は、昨年中に1回目を通過していたが、6日夜、2回め、3回目が行われ、賛成60、反対52と、賛成が上回って、国会を通過した。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4918700,00.html

この後、最高裁の司法長官が、この法案に関する不服申し立てを聴取して、これらをクリアすれば、正式にイスラエルの法律となる。もしクリアしない場合は、法律にはならない。

これまでのところ、マンデルブリット司法長官は、「この法案は、どうみても国際法上違反であり、イスラエルを国際的に難しい立場に追いこむ可能性がある。」と主張。この法案を、最後の司法の段階でストップさせるとの意向を明らかにしている。

しかしその場合、政府は、司法長官を解任することも可能とのことで、今後、司法長官がどういう決断を出すのかが注目されている。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/224590

<法律になった場合、ならなかった場合どうなるのか>

もし法律となった場合、イスラエル政府は、未認可入植地の土地を所有するパレスチナ個人に、相当額以上の補償金をもって土地を買い取り、正式に国有地として、入植地に長期リースする。*

しかし、もし法律にならなかった場合、法的にパレスチナ個人の土地とされる地所にある入植地家屋は、違法として撤去を命じられ、家屋は破壊されることになる。先週、強制撤去が完了したアモナでは、建物の破壊が始まっている。

もしこの法案が通らなかった場合、撤去措置を命じられる入植地は、アモナだけで終わらない。

アモナに近いオフラという入植地では、9軒の家が、高等裁判所によって、2月8日を期限に撤去が命じられていた。しかし、反発が大きいため、高等裁判所は、期限を約1ヶ月延期し、3月5日までとした。3ヶ月の延期要請に対しぎりぎりの譲歩である。

すると、これを不服とするオフラ住民ら約5000人が、「これ以上入植地を撤去させるのではなく、合法化すべきである。」と訴えるデモを行った。さらに国会が合法化法案を論じた火曜にも、エルサレムで、9軒の合法化を訴えるデモを行った。

この他、入植地タプアハでも、高等裁判所から、6月を期限に17の家屋の撤去を命じられている。Yネットによると、もし合法化法案が成立しなかった場合、西岸地区で、同様の処置を命じられる物件は2000~2500軒にのぼるという。

国際社会からの非難を避けて合法化法案を破棄した場合、今度は入植者の怒りがイスラエル政府に向くということである。

http://www.timesofisrael.com/5000-rally-in-ofra-to-protest-planned-evacuation-of-9-homes/
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4860424,00.html

*土地は全部国有ということについて

イスラエルでは、土地はすべて国有で、個人所有地はない。一部、ギリシャ正教の土地などがあるが、政府が長期で借り上げて、市民にリースしている。ちなみにクネセト(国会)を含む地域の土地は、政府が、ギリシャ正教から長期で借り上げている土地。

このため、新しい土地に何かを建てる際、非常に複雑で長い手続きが必要になる。イスラエルの住宅事情がなかなか改善しない一因になっている。

<国会大論争>

この法案については、審議をすすめようとする与党連立政権に対し、激しく反発する野党勢の間で、昨年からずっと激しい論議となっていた。

この法案は、最終的には西岸地区のユダヤ人地域(C地区)を、すべてイスラエルに合併するということで、事実上、二国家共存案を不可能にしてしまう可能性がある。これは、パレスチナのみならず、国際社会の反発も避けられないことを意味するからである。

実際、この法案の国会での議論が始まると、パレスチナ自治政府は、イスラエルへの暴力の再燃を示唆するほど反発。また国連では、安保理が、昨年末に反イスラエル入植地決議を可決したばかりである。野党勢は、今、合法化法案を論じるのは、時が悪すぎると訴えている。

あまりにも論争が激しいことから、与党リクードの中からも、国会での最終審議は、せめてネタニヤフ首相とトランプ大統領の会談(2月15日予定)が、終わるまで延期すべきだと声も多数あった。

また、ネタニヤフ首相は、今日、6日、イギリスのメイ首相を公式訪問したのだが、せめてそれが終わるまで審議は延期するよう、発案者の右派ユダヤの家党ナフタリ・ベネット党首に要請していた。

しかし、ベネット氏はそれを拒否。6日火曜、国会は、ネタニヤフ首相を待たずに、法案の審議に突入したのであった。ネタニヤフ首相は、メイ首相との会談後、急ぎ直帰したが、審議、採択は、ネタヌヤフ首相不在のままで始められた。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4918700,00.html

<国際社会いっせいブーイング>

この法案が国会を通過したことが伝えられると、予想通り、国際社会はいっせいにブーイングを出した。名をあげたのは、イギリス、フランス、トルコ。

EUは、入植地の合法化は、”赤線を超える”(受け入れられない)とする声明を発表。2月28日に、イスラエルとの関係改善をめざすサミットを予定していたが、これを保留にすると伝えてきた。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4918960,00.html

国連のグテーレス事務総長は、「国際法に違反する。イスラエルは、法的な責任を問われる。」と厳しく非難した。

パレスチナ自治政府は、国際社会に対し、イスラエルを処罰するよう、呼びかけた。

また、アッバス議長は、先月、70カ国以上を招いて、この問題に関する国際会議を開催し、安保理の反入植地決議案を確認したフランスのオーランド大統領を訪問した。オーランド大統領は、イスラエルはこの法案を撤回すべきであると語った。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4919004,00.html

<アメリカの反応>

今回、イスラエルが一気に入植地政策をすすめているのは、トランプ政権がイスラエル支持ということが拍車になっている。しかし、ホワイトハウスは。「入植地の存在は平和への妨害にならないが、一方的な建築は妨害になりうる。」と若干、釘をさすコメントを出していた。

合法化法案の国会での議論については、トランプ大統領とネタニヤフ首相の会談が終わるまでは、動かないようにとネタニヤフ首相に伝えていたという。しかし、結局、審議は会談の前に行われ、国会を通過してしまった。

これについて、ホワイトハウスは、「最高裁の判断が出るまでは、コメントは控えるべきと考える。」と言っている。

<石のひとりごと:今後どうなるのか>

まずは今後、この法案が、実際に成立するかどうか。司法長官の決断が注目される。

しかし、現時点では、この法案が国会を通過して、イスラエルが世界中から非難されていることから、たった今、パレスチナがイスラエルを攻撃しても、イスラエルに同情する国はほとんどないという形が出来上がっている。正義はパレスチナ側にあり、という状況だ。

実際、ここ数日、ガザから銃撃が数回あり、南部地域に向けてミサイルも飛んできたことから(被害はなし)、イスラエル軍がハマスを空爆するという事態になっている。

しかし、ここで、この先、トランプ政権がどう出てくるかによって、状況は変わるだろう。イスラエルの盟友はアメリカだけだが、そのアメリカは、なんといってもまだまだ世界最強の国だからである。このジャイアンが味方してくれれば、イスラエルは、守られるかもしれない。

ところで、イスラエルが孤立しているというのは、政治上、ということであり、ビジネスや技術開発という面では、イスラエルは決して孤立していない。以前にもまして、イスラエルの技術力を求めてくる国は増えている。

不思議なパラドックスだが、ビジネスはビジネス。友ではないので、国益にならなければ、それらの国々はイスラエルをさっさと見捨てるだろう。

そういう意味では、やはり、イスラエルにとって、アメリカは唯一の”決して裏切らない”・・・はずの同盟国なのだが、そのアメリカがトランプ政権で、予期不能だから、なんとも危うい感じである。
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イランとアメリカの対立 2017.2.8

 2017-02-08
イランとアメリカの罵り合いが続いている。まずは、アメリカが、オバマ政権時代に交わされた、6カ国とイランとの核兵器関連の合意を破棄すると強硬姿勢を示していたことがあげられる。

当然イランは反発。イランは先月29日、堂々と大陸弾道ミサイルの発射実験を行った。

これに対し3日、アメリカは、ミサイル実験やテロ支援に関わっているとするイランの個人13人と、12企業に対する掲載制裁を開始した。具体的にはアメリカとの取引停止など、銀行の凍結である。

同時に、トランプ大統領は、「イランは危険な火遊びをしている。」とツイートした。ホワイトハウスのスパイサー報道官は、「イランは、新しい大統領になったことを知るべきだ。トランプ大統領は、何もせずに座っているだけの大統領ではない。」と強気姿勢を示した。

すると、7日、イランのハメネイ最高司法指導者は、「アメリカの本当の顔が暴露した。」と言い返した。

アメリカの今回の経済制裁は、決してイランを揺さぶるレベルのものではない。今後、イランは、今のアメリカと再交渉する気はなく、今回始まった制裁が果たしてこのまま終わるのか、エスカレートしていくのか。トランプ大統領の手腕が注目されるところである。

イスラエルにとって、最も危険な国はイランである。今後、アメリカとイランの対立がどうなっていくのかは、イスラエルの治安に大きく関わってくることである。

ネタニヤフ首相は、国際社会に対し、イランの危険性について、訴えを再開し始めている。

http://www.reuters.com/article/us-usa-trump-iran-khamenei-idUSKBN15M0SY
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入植地政策に釘!?:トランプ政権 2017.2.3

 2017-02-03
昨日、イスラエルの調子に乗ったような急激な入植地政策にアメリカは黙認状態とお伝えしたばかりだが、今朝のニュースによると、ホワイトハウスが、これに釘をさすコメントを発表した。

それによると、「入植地の存在が、平和への障害にはならないとは思うが、それを一方的に拡大することは、障害になりうる。」という言い方である。政権発足後、初めてアメリカが二国家二民族案を支持する姿勢を示唆した形だ。

しかし、ホワイトハウスは、この件(入植地)に関するアメリカの正式な立場はまだ表明していないとし、今月15日にネタニヤフ首相がトランプ大統領を訪問したときに、話し合う予定であると語った。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/224340 

<イスラエルの反応>

イスラエルの国連代表ダニー・ダノン氏は、「まだアメリカがイスラエルに対する態度を変えたかどうかを論じるのは早すぎる。」とし、いずれにしても最終的にはイスラエルのことは、イスラエル自身が決めるまでだとの考えを語っている。

* 入植地に関する説明 : Vox Media 
パート1 https://www.youtube.com/watch?v=E0uLbeQlwjw
パート2 https://www.youtube.com/watch?v=B6L9mS9ti6o 
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トランプ政権の外交始動 2017.2.3

 2017-02-03
トランプ政権が発足して2週間。これまでの間に実に様々なことがあったが、世界情勢は動いており、トランプ政権も不動とはいかなくなりつつある。今後徐々に外交姿勢もあきらかになってくるとみられる。

特に、今のトランプ政権が直面するのは、オバマ前大統領が、あまりにも紳士的すぎたせいか、挑発的になってきているロシア、イラン、中国、北朝鮮の脅威である。

1)どうするロシアとの関係?:緊迫するウクライナ情勢

トランプ大統領は、大統領選挙運動中から、ロシアとの関係改善をめざすとの姿勢を明らかにしていた。

これを受けて、ロシアは、アメリカはもはや驚異ではないと判断したのか、昨年12月、シリアで膠着していたアレッポでの戦いに猛烈に乗り出し、シリア政府軍に奪回させるという流れになっていた。

今度は膠着しているウクライナ情勢である。2月に入ってから東ウクライナで、ロシア軍とウクライナ軍が激しい交戦状態に陥り、これまでに市民を含む15人以上の死者が発生している。

ウクライナ紛争は、東ウクライナを併合しようとするロシアと、それをわたすまいとするウクライナ(欧米より政府)との紛争である。いわば東西対立の最前線といえる。

今回、紛争が再燃したことについて、ロシアは、ウクライナ側から仕掛けられたと主張し、ウクライナは、ロシアが先に攻撃したと主張している。

今回、両者が交戦状態になったのは、トランプ大統領が、プーチン大統領と電話で話した翌日であったことから、ロシアがアメリカの力量を試しているとの見方もある。トランプ大統領への初の外交テストだとして注目されている。

http://www.bbc.com/news/world-europe-38850375

また、ウクライナ問題については、NATOの問題でもあり、アメリカとヨーロッパが今後どう付き合っていくのかの指針にも関わってくる問題といえる。

2)どうするイランとの関係?:イランが大陸弾道ミサイル実験

トランプ大統領の入国禁止に指定された中東、アフリカ7カ国にイランが入っていることで、すでにアメリカとイランの関係にはひびが入り始めているところである。

そんな中、イランが、先週末、長距離弾道ミサイルの発射実験を行った。イランもこれを認めたが、安保理条約には違反しないと主張している。

これに対し、アメリカは、「全く受け入れられない」とのコメントを発表。アメリカの安全保障担当大統領補佐官マイケル・フリン氏が、この件に関する記者会見を行い、アメリカは公式にイランに警告したことを明らかにした。*この後、経済制裁発動とのニュースが入っている。

フリン氏は、イランが、核兵器開発以外にも、武器輸出、テロ支援などにも関わっているとし、イエメンで、イランの支援を受けてサウジアラビアと戦う過激派シーア派組織フーシ派が、サウジの空母を爆撃したことも例としてあげた。

フリン氏は、イランが核兵器開発以外にも、世界の平和を脅かす行為があることから、先に世界6大国とイランが結んだ核兵器開発に関する合意とそれに続く経済封鎖緩和に弱点があることを認めるとした。

フリン氏は、イランは、世界6大国との合意で、本来は感謝すべきところ、逆に強気になっていると語った。

http://www.bbc.com/news/world-us-canada-38832407

3)どうする中国・北朝鮮との関係?:マティス国防長官の早期アジア訪問

トランプ大統領は、中国に対して、厳しい発言を行っている。

政権発足後、マティス米国防長官が、最初に訪問した先が、韓国と日本であった。挑戦的な行為が続く中国、北朝鮮に対し、アメリカ、韓国、日本が一致していることを強調した形だ。

韓国で、マティス長官は、「もし北朝鮮が、核兵器を使うなら、圧倒的な反撃を受ける。」と北朝鮮に釘を刺した。

アメリカは北朝鮮の核兵器に備え、韓国にTHAADという高度な迎撃ミサイルシステムを配置している。しかし、このシステムは、中国、ロシアとの戦いにも備えうることから、中国、ロシアは、アメリカに抗議しているという。

http://www.bbc.com/news/world-asia-38850995

日本では、安倍首相との会談において、日米安全保障条約第5条の重要性を確認し、アメリカと日本の友好、安保関係を確認。東シナ海や尖閣諸島で挑発的な行為を続ける中国を牽制した。

トランプ大統領は、駐日米軍の駐留経費は日本が払うべきと主張し、払わなければ米軍は撤退させる言い、地域の安全保障に懸念が持たれていた。しかし、マティス長官によれば、経費負担は日本に求めない方向のようである。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H3O_T00C17A2MM8000/?dg=1&nf=1
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西岸地区前哨地アモナ:強制撤去完了へ 2017.2.3

 2017-02-03
イスラエル政府は、西岸地区入植地の合法化法案(Regulation Bill)を国会審議にかける条件として、切り捨てられることになった前哨地(Out post)アモナ*の強制撤去が1日、行われた。

*アモナとは?

アモナは、入植地ならぬ”前哨地”とよばれる西岸地区のユダヤ人居住区である。土地は書類上、パレスチナ個人の所有となっているため、イスラエルの法律によっても違法とみなされている。そのために入植地として認可されていない。

西岸地区にはこのような前哨地が60以上あるのだが、アモナは開拓されてから20年になり、大きさも最大で、政府の撤去命令にも従わず、長年、問題になってきたところである。それが今回、ついに撤去されたということである。

<延期されていた撤去期限>

最高裁が命じた撤去期限は、本来昨年12月25日だったが、期限を前にアモナ住民と政府間の交渉行われ、アモナ住民が撤去に応じたため、撤去期限が、この2月8日に延期されていたものである。

その条件とは、①アモナ住民(42家族)が撤退することで、他の同様の地域が合法化すること。②アモナの42家族のうち、24家族は今のアモナのすぐ近くの丘に、18家族は、シロにそれぞれ新しい住居を用意する。③政府は補償金を支払う、であった。

これを条件にアモナ住民は静かに撤去すると約束していた。ところが、アモナ住民によると、政府は約束を守らず、新しい家屋はまだ準備できていないという。

そのため、1日を前に、アモナ住民は、強制撤去に抵抗する準備をはじめていた。さらにアモナに同調するユダヤ教右派で、過激で知られるヒルトップ・ユースを含むティーンエイジャーたちが次々にアモナに終結し、ものものしい雰囲気となった。

<住民VS警察3000人>

1日朝、数千人におよぶ警察官らが、特別なブルーのトレーナー姿でアモナ入りを開始した。若者たちはタイヤを燃やしたり、投石したりして暴力的な衝突となった。家やシナゴーグの中ではバリケードを築くなどして、立てこもった。

日中、警察が来るは、座り込んで泣くティーンエイジャーの少女たちや、入植者1人を警察官4人が抱えて家屋やシナゴーグから出てくる姿など、ユダヤ人同士のなんとも悲しい争いが続いた。

最終的に、40家族は日中に撤去させられ、若者たちとシナゴーグにこもっていた2家族も翌朝にはほぼ撤去を完了したと伝えられている。

警察の報道官によると、今回、アモナに立てこもった住民200人(応援にかけつけた者を含めると800人)を撤去させるのに要した警察官は3000人だったという。

この24時間で、警察官に暴力を振るうなどして13人が逮捕され、警察官24人を含む多数が負傷した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/224284 (ビデオあり)

*入植者たちはなぜそこまでこだわるのか?

ヨルダン川西岸地区は、ユダの山脈があるところで、ユダヤ人によると、「ユダヤ・サマリヤ地区」「ベニヤミン地方」とよばれる地域である。

中でも特に、ジェニン(シェケム)、エルサレム、ヘブロンを直線につなぐ地域は、アブラハムも歩いた地であり、神がユダヤ人に与えた地であると信じられている。アモナもこのライン上にある。

右派宗教シオニストの正統派ユダヤ教徒たち(黒服の超正統派とは違うグループであることに注意)は、この地に住み、守ることは、神に従うことであり、イスラエル全体の祝福になると固く信じている。

今回も、たてこもった人々は、神への賛美を歌いながら警察に抵抗した。そうすることが神の意志であると信じているからである。

<西岸地区合法化への決意:ユダヤの家党ベネット党首>

合法化法案を国会審議に乗せるために、アモナをいわば”すて石”にしたベネット氏は、入植者たちから激しく非難された。

しかし、「この難から希望が生まれる。私たちはこの後、新しい入植地をつくる。ユダヤ・サマリヤに新しい法をもって、入植地すべてを合法化する。」と約束した。また、入植者たちに、立ち上がって開拓を続けるよう、呼びかけた。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4916203,00.html

*ベネット党首のビジョン

ベネット氏は、二国家二民族案は、非現実的だと考えている。

イスラエルがエルサレムを再分割してパレスチナと首都を分け合うことはないし、西岸地区がパレスチナになっても40万人を超える入植地のユダヤ人がパレスチナ国家の下へはいることはありえないからである。

ベネット氏は、最終的には、西岸地区の中で、入植地を中心とする地域で、イスラエルがすべてを管理しているC地区*のみを合併する案を主張する。その一歩が、C地区にイスラエルの法律を適応するという、「合法化法案」なのである。

その上で、A地区(パレスチナ自治区)とB地区(イスラエルとパレスチナ双方で管理)にパレスチナという”国”を作る。ただし、その際のパレスチナは、通常でいう完全な”国”ではないという。2つの条件がつくからである。

*C地区ーオスロ合意(1993)で定められた分類

イスラエル外務省地図
A地区(茶色): パレスチナ自治区 
B地区(黄色):パレスチナ行政だがイスラエルが治安維持
C地区(白色):イスラエルの完全管理

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その条件とは、①1948年以前からのパレスチナ難民とその家族がイスラエルに帰還する要求を放棄すること。また、②パレスチナは非武装ということである。それ以外の主権は有するので、”国”ではあるが、いわば”国マイナス”ということである。

これが成立すれば、イスラエルは西岸地区をさらに発展させ、パレスチナ人にもさらに労働許可を出して、双方、豊かに暮らせるようになるというのがベネット氏のビジョンである。

https://www.youtube.com/watch?v=dgjMTdbvLr8

しかし、これに、パレスチナ側が応じるとは、どうにも考え難い。エルサレムをあきらめる上に、非武装になるという屈辱に応じるはずがないからである。

また地図をみれば明らかだが、A、B地区をとりかこむ道路がすべてC地区に分類されている。

もし、C地区が全部イスラエル領になるということは、結局のところ、AとBの出入りをイスラエルが支配することになる。つまりは、実質的には、イスラエルが、パレスチナの行政責任を首尾よく避けた形で、西岸地区全体を合併している形になるのである。

ベネット氏は、今回、アモナを犠牲にしても、この道を突き進む考えだったのである。

今のネタニヤフ政権は、右派で固まる連立政権である。ネタニヤフ首相は、このベネット氏とうまく付き合いつつ、国際社会の機嫌もとらねばならない。。。という難しい舵取りをしいられている。

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ネタニヤフ首相:西岸地区にあらたに3000軒を認可 2017.2.3

 2017-02-03
トランプ政権発足以来、すでに西岸地区のユダヤ人家屋3000軒を認可したイスラエル政府だが、アモナの撤去が始まった昨日の午後、あらたに3000軒を認可すると発表した。

これらは西岸地区に既存する14の認可ずみ入植地の敷地内での新しい物件である。エルサレムポストによると、3000軒のうち2000軒はすでに販売できる状態で、残り1000軒は、様々な段階にある建築物だという。

トランプ政権になってからすでに6000軒が認可されたことになり、これまでとは比べものにならないスピートである。前オバマ政権でかかっていたブレーキが外れて、本来あるべき姿に戻ったということである。

リーバーマン防衛相は、「西岸地区が通常にもどった。」と語っている。

<新しい入植地建設への委員会設立>

ネタニヤフ首相はまた、入植地を拡大するための委員会を設立すると発表した。今までのところ、認可が続いている物件はすべて既存の入植地内の話である。

この委員会は、入植地を拡大、またはあらたに設立することが目標になる。エルサレムポストによると、こうした動きは、1991年以来だという。

http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Netanyahu-announces-creation-of-new-settlement-480296

<トランプ政権は無言>

トランプ政権は、今回もまったくおとがめなし状態。いわば、”It’s not our business. "である。イスラエルのことなのだから、イスラエルが決めたら良いというのが基本姿勢である。(ネタニヤフ首相とトランプ大統領の最初の会談は2月15日予定)

国連も、この1月1日から国連事務総長に就任したアントニオ・グテーレス氏*が、「二国家二民族解決のため、一方的な行動には”懸念”を表明する。」と語るにとどまっている。

フランスは、「12月に可決された安保理決議2334に反する。」として強く批判すると表明したが、それ以上はなすすべなし、といったところである。

*第9代グテーレス国連事務総長

前のバン・キ・ムン事務総長が任期を終え、2017年1月1日からは、新しくポルトガル出身のアントニオ・グテーシス氏が第9代国連事務総長に就任している。

グテーシス氏は、ポルトガルの社会党書記長の後、約7年、首相にもなっている。2005年からは、第10代国連難民高等弁務官だった。トランプ大統領のシリア難民等の入局拒否については、避難する立場である。

グテーシス事務総長は、国連で、神殿の丘とユダヤ人の関係を無視する動きがあることについて、「ローマ帝国は明らかにエルサレムの神殿を破壊し、ユダヤ人を追放した。(神殿の丘とユダヤ人には深い関係があるということ)」との認識を語り、

「反ユダヤ主義とは戦う」姿勢を明らかにしている。

http://www.timesofisrael.com/palestinians-protest-un-chief-for-affirming-jewish-link-to-temple-mount/

<石のひとりごと>

入植地の建築現場で働いているのは、多くが近隣に住むパレスチナ人である。入植地の建設が増えると、パレスチナ人の仕事も増える。なんとも皮肉な話・・・
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トランプ政権の最重要人事 2017.2.3

 2017-02-03
トランプ政権の重要な2ポストの人事が明らかになった。

1)連邦最高裁判官推薦:ニール・ゴーサッチ氏(49)

トランプ大統領は1日、ニール・ゴーサッチ氏(49)を連邦最高裁判官に推薦したと発表した。

連邦裁判官は一年前から欠員になっており、トランプ大統領がだれを推薦するのかが注目されていたが、公約通りゴーサッチ氏を推薦したものである。上院が合意すれば、ゴーサッチ氏がこのポストにつくことになる。

ゴーサッチ氏は、プロテスタントで保守派。中絶や同性愛結婚、安楽死などに反対する立場で知られる。連邦最高裁判官は、終身就任となっている。

http://www.bbc.com/news/world-us-canada-38818482

2)国務長官就任:レックス・ティラーソン氏(64)

1日夜、ティラーソン氏が、アメリカの国務長官に就任した。ケリー前国務長官の後を引き継ぐ。これから外交の舞台でティラーソン氏を日々みかけることになる。

ティラーソン氏は、大手石油会社エクソンモービルのCEOという経歴を持つベテランのビジネスマンである。ロシアとの関係が強いため、懸念も持たれているが、逆に期待されている部分でもある。

<石のひとりごと>

トランプ大統領は、就任以来、大胆に次々に大統領令をとばして世界を騒がせている。発言もツイッターもその言葉遣いは、テレビのトークショーばりで、いかにも品がない。

今日は、オーストラリアとオバマ前大統領が交わした公約を、”Dump Deal”と呼んで、最悪だとニュースになっていた。

これは日本語で言うなら、「くそ約束」である。もし安倍首相が、「くそ約束」などと言えば、お上品な日本では即刻、クビではなかろうか。

品がないにもほどがあるが、それでもアメリカ人の友人たちに聞くと、「確かに口は悪いが、よく考えれば筋は通っている。メディアが悪いイメージにしているだけだ。」とか、「トランプ大統領は変化をもたらすだろう。その変化は、少なくともオバマやヒラリーではもたらしえないものだと思う。」という返答が来る。

特に福音派アメリカ人にとっては副大統領は、ボーン・アゲインクリスチャンで、連邦最高裁判官も中絶にも反対の保守派、しかも親イスラエル、となると、オバマ大統領時代にくずされたアメリカの本来の倫理観が回復するのではないかとの期待もあるようだ。

しかしながら、黙示録17:16−19のようなこともあるので、まだまだ懐疑的な思いはとり去れないところである。

ところで、トランプ氏は70歳ながら、身長190センチ、体重100キロ以上あるという。奥様のメラニアさんも180センチだとか。大きな態度や言葉遣いで、世界をふりまわす姿をみていると、ドラえもんの「ジャイアン」みたいではないかと思わされている。
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