アロー迎撃ミサイル初始動:対シリア 2017.3.18

 2017-03-18
木曜深夜、ヒズボラへの武器移送の情報に基づき、イスラエルの空軍機がシリア領内(北部)のヒズボラ武器関連とみられる施設への空爆を行った。その後、帰還体制に入った空軍機に対し、シリア軍が、地対空ミサイル(S200)を複数発発射。

空軍機を追って、シリアのミサイルが、イスラエル領内に向けて発射されたため、イスラエルのアロー迎撃ミサイル・システムが反応し、一発を空中で撃墜。残骸はヨルダン領内に落下した。

イスラエルではヨルダン渓谷住民に対し警報がなったが、幸い、ヨルダンにもイスラエルにも市民に被害はなかった。

シリア政府は、当初イスラエルの戦闘機を撃墜したと主張した。イスラエル軍はこれを否定。戦闘機は無事イスラエルに帰還したと発表した。

今回、シリアが高度な地対空ミサイルS200を使用するのは初めてだったが、イスラエルのアロー迎撃ミサイルが実戦で発動するのもはじめてであった。シリアはこの上にS300、S400とさらに高度な迎撃ミサイルを持っている。

この一連の事件を受けて、ネタニヤフ首相は、「イスラエルは、これまでからもこうした防衛のための作戦を行ってきたが、これからも方針は変わらない。」とのコメントを発表した。イスラエルが、シリア領内での攻撃を公式に認めるのは極めて異例である。

イスラエルのコメントを受けて、シリア政府は、国連に対し、「イスラエルが領空に入って国際法に違反した。イスラエルは1967年6月4日以前の国境線にまで撤退するべきだ(ゴラン高原から撤退せよという意味)。このISISを支援するシオニストのテロ支援国家をとりしまってほしい。」と訴えた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/226872

*アロー迎撃ミサイルシステム

アロー迎撃ミサイルは、イスラエルが開発した高度な迎撃ミサイルで、音速以上のスピードで飛ぶ弾道ミサイルがまだ大気圏外にあるうちに撃退する能力を持つ。

エルサレムポストによると、今回、アローシステムが、シリアの地対空ミサイルを撃墜した時の音がモディーンや、エルサレムで聞こえたと伝えている。

http://www.jpost.com/Breaking-News/Report-Red-alert-siren-heard-in-Jordan-Valley-484452

http://www.jewishvirtuallibrary.org/arrow-missile-program

<シリアの背後にいるロシアの反応>

今回の事件を受け、シリア内戦に介入し、シリア政府を支援するロシアは、在ロシア・イスラエル大使を召喚し、事情聴取を行っている。

これに先立つ3月9日、ネタニヤフ首相は、日帰りで、モスクワのプーチン大統領を訪問。地中海に海軍の拠点を建築しようとしているなど、イランがシリア領内で存在感を拡大していることについて警告していた。

この時に、今回のようなイランからヒズボラへの武器供与移送をイスラエルが見逃すわけにはいかないといったことなども話し合われたと見られる。

イランは最近、アメリカとの関係が緊張する中、弾道ミサイルの発射実験を行うなど、イスラエルにとって、脅威となる動きが続く。

イスラエルは、ロシアに対し、「イスラエルを崩壊させると公言し続けるイランが、イスラエルと直接国境を接するシリアに進出してくることは受け入れられることではない。」と訴えている。

http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Netanyahu-in-Moscow-leverages-Putin-Purim-greeting-to-slam-Iran-483736

なお、今回の事件について、ロシアはシリアがS200を使用することを知らなかったのではないか。両国の関係がそれほど密ではないのではないかという見方がある。

一方で、ロシアの支援で、シリアの気が大きくなり、今回、一段階上の武器S200を使うに至ったのではないかと、両極端の分析がある。

いずれにしても北部情勢の悪化は非常に危険なので、油断せずとりなしが必要。
タグ :

恒例エルサレム・マラソン:今年も無事終了 2017.3.18

 2017-03-18
昨日金曜、エルサレムでは、毎年恒例のエルサレム市内マラソンが行われた。海外65カ国からの参加者3500人を含む3万人が参加した。

今回は、リトアニア系超正統派たちが、先にイシバ(ユダヤ教神学校)学生が、従軍を拒否して逮捕されたことに抗議して、大規模デモを行ってマラソン大会を妨害すると脅迫していた。

これに対し、バルカット市長は、「もし本当に妨害したら、リトアニア系の副市長を解雇する。」と反撃。テロへの懸念も含めて、治安部隊3000人が配置されていた。当日は、エルサレム郊外などで計40人が拘束されたが、マラソン大会は無事終了した。

今年は、テロで家族を失った家族たち3550人が、平和への願いと、回復の象徴としてマラソンに参加していたことが話題となった。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4936797,00.html

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/226858
タグ :

全国的にプリムの祭り 2017.3.10

 2017-03-10
イスラエルでは、11日日没(日本時間12日朝)より、12,13日とプリムの祭りとなる。

プリムとは、聖書のエステル記を記念する例祭。イスラエルがまだ捕囚から戻る前のペルシャで、イスラエル民族をの絶滅させようとしたハマンの企みを阻止した、ユダヤ人の王妃エステルを記念する。

聖書のエステル記に「神」は、直接登場しないのだが、例祭では、エステルを用いてイスラエルを絶滅から救われた神を覚え、その神は今もイスラエルを守っておられることを覚える例祭である。

11日夜と12日朝(エルサレムでは12日夜と13日朝)、ユダヤ教シナゴーグでは、「メギラ」とよばれるエステル記の巻物がそのまま読み上げられる。人々は、イスラエルの敵ハマンの名が出るたびに騒音をたててブーイングを飛ばすという楽しい行事である。

イスラエルでは、メギラの読み上げは、シナゴーグだけでなく、世俗派でシナゴーグに行かない人も楽しみながらユダヤ教に立ち返ることができるよう、公の場でも行われる。アルーツ7によると、今年はシナゴーグ外でも、全国400箇所で、メギラの読み上げが行われる。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/226439

プリムにおける習慣は、聖書に指示されている通り、贈り物をしあうこと。甘いクッキーや甘いワインなどが多い。また、後の世にできた習慣だが、仮装して通りに出て楽しむのもプリムの風物詩。

エルサレムやテルアビブ、ベエルシェバなど大きな町では、町をあげてのイベントが行われる。各地域の公民館でもイベントが行われる。エルサレムでは、イスラエル博物館はじめ、様々な博物館も、3月いっぱい、イベントを企画する。

実際のプリムは、3月11日、12日だが、今年は週末と重なるため、プリムのパーティやイベントは、9日からすでに始まっている。主要都市での予定は以下の通り。(一部)

3月9日(木) テルアビブ:ストリート・パーティ

3月10日(金) テルアビブ:ストリート・パーティ、エルサレム市役所前広場仮装イベント 11:00-15:00
         
3月11日(土) テルアビブ:ゾンビウオーク(ゾンビに化けて町を練り歩く)パーティ 21:30~

3月12日(日) テルアビブ:ファット・ボーイコンサート

3月25日(土) エルサレム・ナハラオット・パレード

以前、テロが頻発した時に、皆が仮装している中では、テロリストが見分けられないとして、一度だけ、政府から仮装禁止の指示がでたことがあったが、今は、そのようなテロに屈するかのようなことはしなくなった。

しかし、テロの危険がなくなったわけではなく、都市でのイベントでは、人々が群衆となって、しかも仮装して出てくるため、治安部隊にはかなり頭の痛い例祭である。

<ユニークな超正統派社会のプリム> 

超正統派社会のプリムは、なかなかユニークで、映画にもなっている。

超正統派の男性たちは、プリムの日には、派手に”酔っ払わなければならない”といことになっている。派手に酔うほどすばらしいとされる。そのため、プリムにメア・シャリームに行くと、様々な仮装に身を包んだ老若男女の間で、千鳥足になってふらふらと歩く二人連れの超正統派男性などを多数みかける。

・・・が、大阪で、反昏睡状態、目がすわって本当にわけのわからなくなっている酔っ払いを見ている筆者にしてみれば、まだまだ彼らは、酔っ払ったフリをしているだけのようにもお見受けする。

またプリムといえば貧しい人々への献金である。

ユダヤ教では、貧しい人々への献金は、「ミツバ」と呼ばれるよい行いの一つで、義務であると同時に、健康長寿、家に繁栄と祝福をもたらす鍵であると教えられている。聖書の教えに基づき、互いに贈り物をするプリムでは、特に貧しい人々への献金が強調されることになる。

高名なラビ宅では、この時期になると、貧しい人々が殺到するようにして訪問し、順番まちしてラビに面会し、自分の苦境を切々と訴える。

すると、ラビは、財布を取り出し、その人々に支援金を差し出すのだが、少ないと、貧しい人々は「もうちょっと」という顔と、さらなる苦境の訴えをはじめる。するとラビはしぶしぶ・・・という顔はせず、財布からもう一枚・・・紙幣をだす・・・のである。

プリムの直前になると、派手な制服をまとった7-8人の若者たちのグループを街でみかけるようになる。若者たちは派手な制服と帽子という出で立ちで、ラビたちの家を訪問して回る、いわば、「献金あつめます軍」である。

ユダヤ教では、毎年プリムになると、特に緊急に支援が必要な家族が指定され、皆はその人々のために献金をすることになっている。今年は4000家族だという。この献金集め軍は、特にラビたちの家々を回って献金を集めるよう、選ばれた若者たちである。

当然、若者たちは、日本人のように、「献金していただけますか」といった低姿勢ではない。無愛想にやってきて、「出せ」という感じである。

かなり派手にやってくるため、誰の目にもどのラビの家に入ったかは明らかで、派手に献金を出さざるを得ないようになっている。額が少ないと若者たちは家を去らない。

ドキュメンタリー映画「ハッピー・プリム」によると、若者たちが集める額は、50万シェケル(約1500万円以上)にのぼるようである。

ラビの妻たちもまた、若者たちにふるまうクッキーなどスイーツのバスケットを用意している。弟子たちにもそれぞれ贈り物を出さなければならない。ラビたちにとっては、なかなかの出費の時期と言えるだろう。

ドキュメンタリー「ハッピー・プリム」トレイラー https://www.youtube.com/watch?v=hGxE-tbZlt4

では、そのラビたちはどこからお金を得るかだが、ユダヤ教では、エルサレムに住んでいるだけで特別なので、そのエルサレムの、ましてラビを助けることは、ディアスポラ(海外在住ユダヤ人)の「ミツバ」と考えられている。

エルサレムのラビたちは、献金を受けて、それをまた献金として押し流す、というしくみなのである。従って、ラビから受け取る人も、感謝・・・というよりは、まあもらうことがあたりまえ・・・ということである。

関心したのは、貧しい家族への献金の届け方である。エルサレムでは、献金は、プリム当日に届けられることになっている。

集める時は相当派手に集めるのだが、献金を届ける時は、一人がこっそり、なるべくわからないようにその家に行く。受け取る方は、扉を10センチぐらい開いて、手だけを出して、封筒を受け取る。貧しい人の顔は一切見えない形になっている。渡す方もさっさと渡して、そのまま帰るだけだ。

欧米などキリスト教系のチャリティの場合、受け取った人の写真をとって、献金者に”結果”として送る必要のある場合が少なくないが、ユダヤ教のやり方はまったく逆であることを理解しておく必要があるだろう。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/226423

いずれにしても、ハッピー・プリム。エルサレム、また世界中のユダヤ人の上に主の守りと祝福があるように祈ろう!
タグ :

現在のペルシャ:イランが弾道ミサイル実験再び 2017.3.10

 2017-03-10
プリムには、イスラエルの滅亡を企むハマンが話題になるが、現在のハマンは、イランであるという見方が一般的である。イランは、現在のペルシャであるだけでなく、常に、特に理由もなく、イスラエルを滅亡させると公言しているからである。

そのイランだが、トランプ大統領が、オバマ前政権がイランと交わした核開発合意を破棄する可能性を公言するなどして、アメリカとの関係で、緊張が高まっている。

<弾道ミサイル実験>

アメリカ高官すじの情報、またイラン軍司令官アミール・ハジジャダによると、イランは、2月中旬、射程300キロの弾道ミサイルホルムズ2の戦艦からの発射実験を行い成功した。

さらに昨日木曜、射程250キロの弾道ミサイルファタハ110の発射実験を行い、成功したと発表した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/226475

これらのミサイルで、イスラエルを直接攻撃することは不可能だが、ヒズボラが、シリアやレバノンから使えば、イスラエルにも十分届く距離である。Times of Israelによると、イランの高官は、この技術をハマスにも伝授した可能性を示唆しているという。

http://www.timesofisrael.com/iranian-general-palestinians-have-longer-range-missiles/

また、昨日、イランの国営放送は、ロシア製最新式地対空迎撃ミサイルS300の発射実験に成功したこと、また、イラン製のさらに高度な迎撃ミサイルも完成すると伝えた。

S300については、イスラエルが、これまで必死にロシアに交渉するなどして、イランに配備されないよう、努力してきた武器だが、ついにイランが入手したことを意味する。

S300は、上空を高速で飛行する戦闘機を撃墜する能力を持つため、イランにこれが配備されたとなると、今後万が一、イスラエルがイランを攻撃しようとする際に、かなりの障害になると予想される。

http://www.timesofisrael.com/defiant-iran-successfully-tests-another-ballistic-missile/

<北朝鮮とイラン、イスラエルの関係>

今週、北朝鮮が4発の弾道ミサイル実験を行い、3発が日本の排他的経済水域に着弾。1発は、能登半島からわずか200キロの地点に着弾したことで、北朝鮮と日米韓の緊張が高まっている。

この件はイスラエルとまったく無関係ではない。北朝鮮はイランと核兵器開発など軍備において関係があることは知られているところである。イランがミサイルの実験を行う中で、北朝鮮も行っている。イランはアメリカの出方に注目しているとみられる。

INSS(イスラエル国家治安研究所)でイラン問題のエキスパート、エミリー・ランダウ博士は、今回、北朝鮮の問題が大きくなる中で、一応は国際社会との交渉を行ったイランのイメージがあがる可能性を指摘する。

イランのイメージがあがる一方で、アメリカが、北朝鮮に対する対策に失敗した場合、アメリカの権威が失墜することとなり、イランのイスラエルに対する脅威が大きくなることになる。

いずれにしても、北朝鮮問題は、トランプ大統領の大きなテストになりそうである。

http://www.jpost.com/Israel-News/Analysis-How-North-Korea-endangers-Israel-483771
タグ :

現代のエステル:イスラエル軍の女性兵士たち 2017.3.10

 2017-03-10
プリムといえば、王妃エステル。また、今年は国連の国際女性デーが3月8日に行われたこともあり、イスラエルでは、国防軍の女性兵士に焦点を当てた記事が多く出た。

それらによると、イスラエル軍での女性兵士たちの数、役割は重要性を増している。イスラエル軍では、85%の部署が女性にも門戸を開いているという。

アルーツ7が、イスラエル軍のバカール中尉の話として伝えたところによると、最前線で戦う戦闘部隊隊員の7%が女性。戦闘機パイロットはじめ、これまではタブーとされてきた戦車にも女性兵士が配備されるようになっている。

男女混合部隊は増える傾向にあり、司令官が女性で、その下に数十人の男性兵士がいる場合も珍しくない。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4932441,00.html

さらには、宗教的な女性の従軍も増えている。この10年ほどで、宗教的な女性で従軍した人の数は、900人から2135人と倍増している。

その背景にはサイバー部隊、諜報活動などの分野での重要性の拡大や、一応は平和と目されるエジプト、ヨルダンとの国境警備など、女性が求められる働きが拡大していることも理由に挙げられている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4932964,00.html

しかし、こうした流れは、男女の役割の違いを重要視し、男女同席すら認めないユダヤ教にとっては問題である。

今週、西岸地区入植地エリで、従軍前アカデミーを導くラビ・イーガル・レビンステインは、「イスラエル軍が我々の女性たちに悪影響を及ぼしている。ユダヤ人として従軍するが、兵役を終える時にはユダヤ人でなくなっている。(世俗的になってしまうという意味)」と発言し、論議と反発を呼んだ。

最終的に、イスラエル軍は、女性兵士の拡大を支持すると発表。

ネタニヤフ首相も「女性兵士たちは、ヤエル(聖書時代)から、近代には、ハナ・セネッシュ、エツェル、パルマッハ、レヒ、そしょてイスラエル軍、国境警備員など、時には高い地位にもついている。国家防衛の重要な存在である。」と女性兵士の活躍を支持する発言を行った。

http://www.timesofisrael.com/after-rabbi-chides-crazy-female-soldiers-idf-says-army-is-for-everyone/

*ちょっと余談:イスラエル軍に従軍するということ

イスラエルでは、国を守る祖国の軍に入隊することをあこがれる若者たちがいる。ロイ・フィッシュマンさんは、脳性麻痺を患っているが、両親は、できるだけ健常者と同じ待遇を維持してロイさんを育てた。

そのロイさんにとっては、イスラエル軍に従軍しユニフォームを着ることが夢だった。イスラエル軍には、「スペシャル・インユニフォーム」という部署があり、様々なニーズをかかえる若者がイスラエル軍に従軍し、それぞれの能力を用いる門戸を開いている。

ロイさんも、イスラエル空軍基地で働く。こうした経験が、本人にも家族にも大きな励ましとなっている。

ビデオあり:http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/226443
タグ :

ネタニヤフ首相:トランプ大統領との初会談 2017.3.3

 2017-03-03
* 諸事情により、配信が遅れましたこと、心よりお詫び申し上げます。最後の配信から今日に至るまで、2月中のイスラエルの様子をまとめました。幸い、大きなテロで負傷者が出たりすることもなく、イスラエルは、アーモンドの花が咲き乱れる平穏な春を迎えています。

ネタニヤフ首相は2月15日、ワシントンにてトランプ大統領との初会談を行い、その後、両首脳は、共同記者会見を行った。会談後、帰国したネタニヤフ首相は、トランプ大統領とは1980年代からの知り合いであり、両者の会談が非常に良好な始まりになったと述べている。

記者会見全文:http://www.haaretz.com/israel-news/1.771992

1)治安問題について

トランプ大統領は、ユダヤ人が通ってきた数々の苦難を覚え、イスラエルは「回復の象徴だ。」と述べた。また、イスラエルが直面する治安問題の深刻さを認識しており、アメリカは、友好国として、また命を尊重するという同じ価値観を持つ国同士として、イスラエルの治安維持に協力すると語った。

また、トランプ大統領は、国連において、イスラエルの扱いがアンバランスに不利に動いているという認識も語った。

ネタニヤフ首相が最も重要視しているイラン問題については、イランが、1月末に、弾道ミサイルの発射実験を行った事は、世界諸国との合意に違反するという認識していること、またイランの核兵器保有を阻止する必要があることの認識もネタニヤフ首相と同じであることを確認した。

これについて、ネタニヤフ首相は、イランが実験に使った弾道ミサイルには、ヘブライ語で「イスラエルは撃滅すべき」と書かれていたと述べ、イスラエルにとっては、イランが最大の脅威であることを、改めて強調した。

2)入植地問題について

イスラエルが、西岸地区のユダヤ人入植地の拡大を急激に進めていることについて、トランプ大統領は、「平和への助けになるとは思えない。」と述べ、今しばらく、拡大を抑えるようにとネタニヤフ首相に要請した。

一方で、トランプ大統領は、イスラエル、パレスチナ双方が合意する案なら、二国家共存案(国を2つに分ける案)でも、一国家案(どちらか一国が支配する案)でも、どちらでもよいと語った。

これは、もし(実際にはありえないことではあるが。。。)パレスチナ側が同意するなら、イスラエルが西岸地区もすべてを支配する形であっても、平和さえ保てるなら、アメリカはこれに反しないということをである。これは二国家共存案に固執していたオバマ前大統領とは違う姿勢である。

また、国際社会の圧力による解決をすすめたオバマ前大統領と違い、トランプ大統領は、解決のためには、両者が直接話し合う必要があるとし、今後、両者が、お互い納得出来る”Deal(取引)”を探すための交渉を再開させる意欲を語った。

これについて、ネタニヤフ首相は、平和への障害は、入植地ではなく、パレスチナ人たちが、どうしてもイスラエルがユダヤ人の国であると認めない、受け入れないことであると訴えた。

また、イスラエルが治安を維持するためには、ヨルダン渓谷とヨルダン川西岸地区における支配権を維持する必要性を訴えた。

ネタニヤフ首相は、入植地問題においては、「すべてにおいて両国が合意しているわけではない。」と語り、西岸地区の一部を合併するなど、他にも案があることを示唆し、今後話し合いを続けていくと語った。

*入植地の合法化法案について

イスラエルではトランプ大統領が、イスラエルに支持的であることを受けて、右派ユダヤの家党ベネット党首が、西岸地区のユダヤ人地区(C地区)の合法化、つまり合併を可能にする法案を提出し、国会を3回通過。あとは最高裁の司法長官の支持を待つばかりとなっている。

これまでのところ、司法長官は、この法案に合意していないとの意向を表明しており、この案が法律になることは阻止されている。その後、この件に関するニュースがないところを見ると、そのまま保留になっていると思われる。

ネタニヤフ首相は、「アメリカがイスラエルに好意的であるとはいえ、何をしてもよいということではない。」と述べている。

こうした中、西岸地区では、最高裁からの指令で、パレスチナ個人の土地に建てられている違法な入植地とされるアモナからのユダヤ人居住者の強制撤退が、2月初頭に行われた。これに続いて、先週、予定通り、同じく違法とされていた入植地オフラの一部から42家族の強制撤退が行われた。

これらは、合法化法案を国会で審議することと引き換えに、法案発案者のベネット党首が合意した、言い換えれば見捨てた地域である。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/224443

3)アメリカ大使館エルサレム移動問題

大統領選で大きく公約に掲げていたアメリカ大使館のエルサレムへの移動について。トランプ大統領は、すぐにでも実行したいが、慎重になる必要があると述べた。

この件を進める目的とみられたデービッド・フリードマン氏の在イスラエル米大使就任は、同氏が、明白な入植地拡大支持派であることから、延期になったままになっている。

*トランプ大統領の中東政策:イスラエル国家治安研究所ウディ・デケル氏の分析

INSS(イスラエル国家治安件研究所)のウディ・デケル氏は、今回のネタニヤフ首相とオバマ大統領の会談を以下のように分析している。

トランプ大統領の中東政策において明らかになりつつある優先順位は、①ISIS撃滅、②イランへの厳しい態度、③中東諸国の中で、アメリカの益となる国々との関係強化、④イスラエルとの関係改善、である。つまり、イスラエルに関することの優先順位は4番目ということ。

デケル氏によると、1990年代までは、中東における米露対立の最前線は、中東で唯一の民主国家イスラエルだった。このため、アメリカの中東政策において、イスラエル支援は常に最優先事項であった。

しかし、今は、シリア問題はじめ、中東問題のいかなる対策にもイスラエルが関与しないことが求められる時代になっている。イスラエルが介入することで、問題がよりややこしくなるからである。

デケル氏は、イスラエルがすすめる西岸地区の入植地合法化政策や、イスラエルとアメリカのイランに対する攻撃的な姿勢などから、今後、パレスチナ人との対立激化、および、ヒズボラ(イランの傀儡)からの攻撃など北部情勢の悪化も懸念されると指摘する。

デケル氏は、アメリカの国益を最優先するトランプ大統領が、今後、どこまでイスラエルを支持し続けるか、保証はないと指摘する。

こうした状況を踏まえ、ネタニヤフ首相は、トランプ政権への入植地政策容認要請への右派勢力からの圧力をうまくかわしながら、イラン問題など治安維持の緊迫性を強調したのが今回のネタニヤフ首相の作戦であったようだと分析する。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4925479,00.html

<石のひとりごと:ジャイアン効果なるか!?>

トランプ大統領は、2月28日、初の議会での演説を行なった。これまでの過激発言は控え、大統領らしい演説だったと評価され、予想外にも国民に好意的に受け入れられたとのニュースが入っている。

演説の骨子、トランプ政権の目標は、軍事力強化、経済力強化(1兆ドル:約113兆円規模のインフラ投資を含む雇用の拡大)で、力によるアメリカの影響力の回復を目指すというものだった。

もしこれが本当に実現し、”強い”アメリカの一睨みで、世界が振り回されるようになれば、イスラエルは、ジャイアンを味方にしているということになり、たとえイランといえども容易にイスラエルには手出しできないことになる。

ただ、今回の大統領演説には、やはりまだ具体性が欠けていると分析されており、やはり今後、これらの公約をどこまで実行できるかで、アメリカが、本当に世界最強の国になるのか、その逆になるのかが決まってくる。

今後、ますますネタニヤフ首相に状況を正確に判断し、先を予測する知恵が必要になってくるだろう。

しかし、安倍首相と同様、ネタニヤフ首相も、首相個人付きの弁護士が、イスラエル軍の潜水艦をドイツの会社から購入するにあたり便宜を図った疑いで、刑事訴訟の可能性もとりざたされるほどになっている。

民主国家のリーダーはなかなか大変である。

http://www.timesofisrael.com/prosecutors-open-criminal-investigation-over-submarines-affair/
タグ :

相変わらず緊張:北部・南部情勢 2017.3.3

 2017-03-03
トランプ大統領が就任して以来、確かに北部情勢、ガザ情勢でも衝突が続く。また、イスラエル以外の国々での反ユダヤ主義暴力が増加しているという。詳細は以下の通り。

1)シリア内戦にイランの進出懸念

シリア情勢は、トランプ大統領が、”他国政権の打倒はアメリカのすることではない”として、自由シリア軍(反政府勢力)への支援を打ち切ったため、現在は、ロシアに支えられたアサド政府軍とヒズボラ勢力が優勢となっている。シリア内戦におけるアメリカの影響力はほとんどない。

先週火曜、国連安全保障理事会は、シリア内戦で、アサド政権が化学兵器を使っている疑いがあることについて非難する決議が行われたが、ロシアと中国が拒否権を発動したため、却下されるに至っている。

これはイスラエルにとっては、穏やかなことではない。やがてアサド政権とヒズボラの背後にいるイランが、ゴラン高原にまで進出してくる可能性があるからである。

2月21日、シリア領内のヒズボラの武器関連施設とみられる地点で、爆撃が確認された。イスラエルはノーコメントだが、おそらくはイスラエルによるものとみられている。こうした攻撃は、危険が迫る前に行われる防衛の一環で、これまでにもなんども行われてきたものである。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Initial-report-Israel-Air-Forces-strikes-Damascus-overnight-482263

また。現在、ゴラン高原のシリア側は、反政府勢力のアル・ヌスラ(アル・シャム)と、南部に小さくISISが支配する形となっている。これらとシリア政府軍が戦う中、流れ弾がイスラエル内にも着弾し、そのたびにイスラエルは、シリア軍の施設を報復攻撃するという繰り返しとなっている。

これまでのところ、すべては流れ弾であるとみられ、大きな対立には発展していない。また、イスラエルは、ゴラン高原を介して、スンニ派反政府勢力から負傷者を受け入れるなどして、反政府勢力となんらかの合意が成り立っているのか、平穏が続いている。

しかし、シリア人患者を受け入れてきた北部の病院に政府からの支援金が一部しか届いていないことから、病院側は、今年3月5日から、かなりの重症でない限り受け入れを止めると発表している。これが今後の北部情勢にどう関わってくるか注目されるところである。

*イラク・シリアのISIS

トランプ大統領が、ロシアと協調路線をとってでもISIS妥当に乗り出しているが、ISISはイラク、シリア双方で、勢力を失いつつある。

昨年10月、ISISの拠点で、イラクの大都市モスルに対するイラク軍、クルド人勢力などの総攻撃は始まったが、これまでに、東モスルをISISから奪回。西モスルにせまっているところである。

BBCによると、西モスルからは約17万人が難民となって避難したが、まだ65万人の市民がいる推測されている。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-37702442

シリアでは、世界遺産のパルミラがISISに支配されていたものの、昨年10月にシリア軍がいったん奪回していたのだが、昨年末、アレッポでの戦いが激化しているすきに、ISISが再びパルミラを支配するに至っていた。

それを再びシリア軍が、3月1日、奪回したと伝えられている。シリア領内のISISの領域はかなり縮小している。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-27838034

2)南レバノンからイスラエルを脅迫するヒズボラと背後のイラン

南レバノンはヒズボラが支配している。その背後にいるのはイランである。イスラエルとレバノン国境に行くと、ヒズボラの旗とともにイランの旗も見ることができる。

その国境にあるキブツ・マナラ付近で、レバノン市民数十人が、イスラエルに対するデモを行い、一時、国際的に定められたイスラエル領内にまで入ろうとした。(イスラエルの防護壁は超えず)

そのため、イスラエル軍は、手榴弾による脅しや、催涙弾を使ってデモ隊をレバノン領内へ追い返した。デモは、ヒズボラが、イスラエル軍が南レバノンにスパイ機器を仕掛けたと主張していることに関するものとみられている。

ヒズボラのナスララ党首が、今週、イラン国営放送のテレビインタビューにて、ヒズボラはイスラエルがヒズボラとの戦闘に入った場合は、”非常に繊細”な施設への攻撃も辞さないと豪語している。

イスラエル軍によると、現在、ヒズボラが南レバノンに設置したミサイルは15万発。イスラエル全土が標的に入る。その中には、ディモナの原子力施設も含まれる。

また南レバノンに近い北部都市ハイファには、非常に危険で施設も老朽化が進む化学工場がある。ハイファ市によると、特にアンモニアが貯蔵されているタンクが崩壊した場合、16000人が死亡すると推測されるという。

さらに、このタンクがあるために毎月アンモニアを運搬してくる船舶が攻撃されるなどした場合、最大60万人が死亡する恐れもあるという。会社側からは反対もあったが、ハイファ地区裁判所は、4月1日を期日に、アンモニアタンクを空にするよう指示した。

http://www.timesofisrael.com/haifa-court-upholds-ruling-ordering-ammonia-tank-emptied/

なお、ヒズボラの脅威だが、レバノンという国と無関係ではない。ホズボラは正式にレバノンの政党の一つであり、レバノンのミハエル・アウン現大統領は明白にヒズボラ支持である。

今後ヒスボラとイスラエルが戦争になれば、イスラエルとレバノンとの戦争という形になると懸念されている。

http://www.timesofisrael.com/dozens-of-lebanese-cross-israeli-border-during-protest/

3)ガザからのロケット弾とイスラエル軍の攻撃

ガザからのロケット弾がイスラエル領内に着弾する事件が相次いでいるが、今週、水曜夜、アシュケロンのビーチに着弾した。被害はなし。また木曜には、ガザの国境を警備するイスラエル軍兵士らに対する発泡もあった。

イスラエル空軍は、こうした攻撃が発生するたびにガザ地区のハマス関連施設を空爆している。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/225994

Yネットによると、水曜、ハマス関連組織は、こうしたイスラエルの反撃に対し、「今後、新しい攻撃のメカニズムを準備している。それは、一気に暴力のエスカレート、紛争へとつながるものだ。」との警告を発表した。

一方、イスラエル軍でガザへの物資搬入などの出入りを担当するCOGATのヨアブ・モルデハイ少佐は、木曜、「ハマスが市内半島のISISに協力していることを、イスラエル軍はよく把握している」と、ハマスへのメッセージとしてフェイスブックに書き込んでいる。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Israeli-official-to-Hamas-We-know-of-your-cooperation-with-ISIS-In-Sinai-483071

イスラエルは北部も南部も火薬庫である。ヒズボラとの戦闘の方が危険性は高いが、先に火をふくのは、南部ガザのハマスとの戦いになるとみられている。
タグ :

欧米諸国で反ユダヤ主義事件倍増 2017.3.3

 2017-03-03
ニューヨーク州警察によると、ニューヨークでの反ユダヤ主義暴力は昨年1月から2月末までの間に18件と記録されているのに対し、今年は35件とほぼ倍増している。

これを受けて、警察はユダヤ人地区の警備を強化しているが、特に4月の過越の期間中は警戒するという。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/226018

この他、ニューヨーク州ロチェスターでは、ユダヤ人墓地の墓石が倒されるなどの行為が、2週間の間に3回も行われた。ユダヤ人墓地への冒涜はフィラデルフィアでも報告されている。

ドイツのベルリンでは、2016年で報告された反ユダヤ主義行為は470件に及ぶ。言葉による脅迫や、ユダヤ人所有物やホロコースト関連施設への損傷の他、ユダヤ人を傷つける行為が382件となっている。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/225880
タグ :
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫