ホロコースト生存者18万5000人 2017.4.26

 2017-04-26
4月23日はホロコースト記念日だった。エルサレムのヤド・バシェム(ホロコースト記念館)では、ホロコースト生存者とその家族、リブリン大統領、ネタニヤフ首相が出席して、毎年恒例の記念式典が行われた。

ネタニヤフ首相は、「75年前、ユダヤ人が虐殺にあっていた時、大国は知っていたのに何もしなかった。あの時、世界が動けば400万人は救えただろう。そういう世界(UN)の反ユダヤ的な体質は今も変わっていない。」と語った。

またホロコーストが現実になった理由として、①ユダヤ人への憎しみ、②世界の無関心、③国を持たない人々の恐ろしいばかりの無力さ、の3つを挙げた。

ネタニヤフ首相は、「弱いものは生き残れない。自分のことは自分で自衛するしかない。これがユダヤ人がホロコーストから学んだ事だ。」と語り、「ユダヤ人を殺そうとする者は、自らを炎に投げ込むことになる。」と警告した。

ネタニヤフ首相は、具体的な敵として、イランとイスラム国をあげた。

http://www.timesofisrael.com/netanyahu-allies-could-have-saved-4-million-jews-if-theyd-bombed-death-camps-in-1942/

(式典ビデオ) https://www.youtube.com/watch?v=oryOtmkMiY8

<生存者:毎月1000人死去>

統計によると、今年イスラエルに生存するホロコースト経験者は18万5000人。この他、強制収容所には入らなかったが、ホロコーストの被害者と数えられている人が56000人。平均年齢は85歳で、毎月約1000人が亡くなっている。

葬儀を執り行ってくれる家族もない天涯孤独の生存者も多く、まったくの他人が、葬儀に参列するケースも少なくないという。

毎年のことだが、今年もイスラエル政府が生存者たちに対して十分なケアを行っていないということが問題になった。政府の姿勢は、「多くのチャリティ団体が十分なケアをしている。」というもので、政府からのケアがどうしてもおろそかになりがちなのだという。

指摘を受けて昨年、ホロコースト生存者の福祉のために、6000万シェケル(約18億円)の予算が計上された。しかし、どういうわけか、きちんとしたシステムを立ち上げることができず、2016年に割り当てられた2730万シェケルのうち、実際に使われたのは430万シェケル(約1300万円)だった。

これを受けて、ネタニヤフ首相は、自らが生存者支援委員会の代表を務めると閣僚に伝えた。

http://www.timesofisrael.com/state-comptroller-slams-government-over-holocaust-survivors/

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4950976,00.html

<ジカロン・バ・サロン:自宅で聴く生存者の証>

数年前から始まった草の根運動で、家庭にホロコースト生存者を招き、知人友人とともに体験談を聴くというイベントが、今年もイスラエル各地13000箇所で行われた。

単純計算でも、10年後には、生存者がいなくなるといった時代を迎える中、貴重な試みである。

http://www.jpost.com/Israel-News/Israeli-Holocaust-survivor-tells-his-story-to-the-next-generation-488815

<マーチ・オブ・ザ・リビング:ポーランド>

マーチ・オブ・ザリビングとは、ポーランドの元強制収容所アウシュビッツからビルケナウまでの約3キロを歩くもので、虐殺された600万人のユダヤ人を覚え、またユダヤ人は今は生きていると訴えるマーチである。今年29回目。こちらも23日に行われた。

マーチには、イスラエルのユダヤ人だけでなく、50カ国から来たユダヤ人や異邦人、約10000人が参加した。

イスラエルからは、エイセンコット・イスラエル軍参謀総長と、チーフラビのメイール・ラウ氏(ホロコースト経験者)に加えて、 ナフタリ・ベネット教育相が参加した。今年はヨーロッパ諸国の教育相12人が、ベネット教育相の招きで参加したという。

ベネット氏は、生存者が年々減っていく中、ホロコースト否定論が根強く存在していることへの対策だと語った。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/228462
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フランス大統領選挙で緊張するユダヤ人 2017.4.26

 2017-04-26
フランスの大統領選挙が行われ、無所属・中道派マフロン氏と、極右の国民戦線党のルペン氏が上位2位となり、5月7日の決選投票に臨むこととなった。

ルペン氏は、その後、国民戦線党の党首を一時降りると発表した。右派でけでなく、フランス市民すべてを代表するとのジェスチャーである。しかし、ルペン氏自身が移民排斥とEU離脱を支持する極右であることに変わりはない。

フランスでは、すでに反ユダヤ主義事件が増加しているが、国粋主義者のルペン氏が大統領になると、その傾向はさらに悪化する可能性が高い。

ルペン氏は、大統領になった際には、公共の場でユダヤ人がキッパをつける事を禁じることや、フランス在住のユダヤ人は、イスラエルとの二重国籍を認めない、つまり、イスラエル人であることを放棄しなければならない、などの方針を語っているという。

http://www.jpost.com/Diaspora/Le-Pen-If-elected-French-Jews-will-have-to-renounce-Israeli-citizenship-481140

また、ルペン氏は、ホロコーストに関して、フランスに責任はないと主張する。しかし、フランスは、ナチにユダヤ人を引き渡しているので、責任はないとは決して言えないはずである。

イスラエルのリブリン大統領は、ホロコースト記念式典のスピーチにおいて、公にルペン氏を非難した。

http://www.timesofisrael.com/blasting-le-pen-rivlin-calls-for-war-on-new-kind-of-holocaust-denial/

現在のヨーロッパは、ヒトラーが登場した30年代に似てきたと言われる。ホロコーストの初期、一部のユダヤ人はヨーロッパから脱出した。しかし、多くのユダヤ人たちは、だんだん迫害が悪化する中でも、まさか事態がそこまで悪化するとは思わず、「この嵐はもうすぐすぎる。」と考えて脱出しなかった。それで虐殺されてしまったのである。

ロシアのチーフラビは、「万が一、ルペン氏が大統領になったら、フランスのユダヤ人はすぐに脱出すべきだ。」と警告した。

http://www.jpost.com/Diaspora/Russian-chief-rabbi-Frances-Jews-should-leave-if-Le-Pen-wins-election-488687
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イスラエル軍:親シリア戦力を空爆か 2017.4.26

 2017-04-26
23日、イスラエル空軍は、ゴラン高原シリア側のクネイトラ付近にある親シリア政府軍の基地を空爆した。シリア側からの情報によると、戦闘員3人が死亡したもよう。アル・ジャジーラによると、イスラエルはこれを否定している。詳細は不明。

これに先立つ21日にも、ゴラン高原のイスラエル側に、迫撃砲が着弾したことを受けて、イスラエル軍は、この地域への攻撃を行った。これについては、双方から負傷者等、報告されていない。

現在、ゴラン高原のシリア側を支配しているのは、大部分が反政府勢力で、南部国境付近に、イスラム国が小さく存在している。これまでのところ、流れ弾が着弾する程度で、なんとか平穏が続いているといったところ。

今回、シリア領内の親シリア政府関係要所を空爆したわけだが、今の所、ロシアはノーコメント。

http://www.timesofisrael.com/israel-said-to-strike-pro-assad-forces-in-syria-killing-3/

<シリア情勢その後>

アメリカ軍がトマホークを打ち込み、赤線をあえて示さない形で、攻撃態勢を崩していないことで、今の所、シリアが新たに化学兵器を使うこともなく、大きな爆撃もない。ロシアも無言で、いわば、ニュースがない、といった状況である。

<F35ステルス戦闘機3機到着>

現時点で最もすぐれている戦闘機F35ステルス戦闘機がアメリカからあらたに3機到着した。最終的には50機を購入し、2飛行隊を立ち上げる予定。F35があれば、敵のレーダーに発見されることなく領空に侵入が可能。

余談になるが、日本の自衛隊もこの戦闘機を一機受領ずみである。自衛専門で、先制攻撃をしないはずの自衛隊が、なぜステルス戦闘機が必要なのかとの声もあるもよう。なおF35は、一機1億ドル程度(100億円以上)とも言われる。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4953297,00.html
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パレスチナ人ハンスト脱落186人

 2017-04-26
今月17日、イスラエルの刑務所にいるパレスチナ人の囚人ら1200人近くが、マルワン・バルグーティの指導で、ハンストに入ったとお伝えしたが、これまでにすでに数人が病院に搬送された他、186人が脱落している。

Yネットによると、ハンスト開始から24時間ですでに100人が脱落。4日後の21日にあらたに86人が脱落したもよう。4日後に脱落した86人のうち、84人はハマス所属の囚人たちだった。

きちんとした人数は把握できていないようだが、今もなおハンストを続けているのは1000人あまりとみられる。

背後の政治的な目的は別として、ハンストの表向きの要求は、

①房に公衆電話をつけること、
②家族の面会を月2回に戻す事*
③面会時間を45分から90分にすること。テロ等逮捕歴など前科のある家族が面会に来る事を制限しないこと
④3ヶ月に一回は、家族で写真をとることを許可してほしい

*赤十字が西岸地区やガザ地区からイスラエルへの家族の送迎を担当していたが、9ヶ月前に赤十字がこれを月一回にしたことが原因。イスラエルが制限したわけではない。

ネタニヤフ首相は、「イスラエルの刑務所は、国際法による基準を満たしているので、交渉の余地はない。」として、引き続き、ハンスト囚人との交渉はしない方針である。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4952505,00.html
http://www.timesofisrael.com/number-of-palestinian-prisoners-quitting-hunger-strike-rises-to-186/
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相変わらずテロ事件あり 2016.4.26

 2017-04-26
23日日曜、テルアビブのビーチ沿い、観光客でにぎわうホテルのロビーで、ナイフによるテロ事件が発生。男性3人と女性1人が負傷した。幸い、全員軽症だった。パレスチナ人(18)が容疑者として逮捕された。容疑は認めているという。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/228454

23日、カランディアの検問所で、女性兵士が刺された。テロリストはその場で撃たれている。

24日には、西岸地区のイスラエル軍基地付近で、兵士の群れにナイフを振りかざしてきりかかってきた者があった。
テロリストは、兵士らに撃たれて動けなくなり、病院に搬送された。

パレスチナ人の中には、こうしたテロでイスラエルの治安部隊に撃たれて死ぬことを、一つの自殺手段と考える者もいる。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4953665,00.html
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パレスチナ囚人のハンスト再び 2017.4.21

 2017-04-22
4月17日、テロ行為などでイスラエルの刑務所に収監されているパレスチナ囚人6500人のうち、少なくとも1187人が、ハンガーストライキに入った。4月17日は、パレスチナ人たちの間で、”囚人の日”と呼ばれる日である。

ハンストとは、死に至るまで断食を行い、囚人の健康を守る責任を持つ刑務所とその政府を困らせ、抗議行動を行うというものである。

Yネットによると、1967年以来、テロなどで逮捕されたパレスチナ人は、60万人。その中でパレスチナ囚人たちは、こうしたハンストを20回も行い、政治犯として通常の犯罪者とは違う取り扱いになるなどの利益を勝ち取ってきたという経過がある。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4949903,00.html

また、ハンストが始まると、ベツレヘムやヘブロンなど、パレスチナ自治政府領内各地で、囚人らを支持するデモが発生。イスラエルの治安部隊と衝突した。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4949978,00.html

<終身刑囚人マルワン・バルグーティの呼びかけ>

今回、ハンストでパレスチナ囚人らが要求するのは、イスラエルの刑務所は非人道的だという非難と、パレスチナの(イスラエルからの)解放と自由を国際社会に訴えることである。

しかし、今回は、それだけではなく、その背後に濃厚な政治的な目的があると指摘されている。

このハンストを呼びかけたのは、第二次インティファーダの際に、多数の自爆テロを指導し、自らもテロでイスラエル人5人を殺害した凶悪なテロリストとして、終身刑を5回言い渡され、すでに15年もイスラエルの刑務所にいるマルワン・バルグーティである。

バルグーティは、ハンストに先駆け、いかにイスラエルが、パレスチナ人を非人道的に逮捕し、拷問を行って取り調べをしているかなどを赤裸々に書き連ね、”イスラエルに虐げられているパレスチナ人の解放”を訴える記事をニューヨークタイムスに投稿していた。

記事:https://www.nytimes.com/2017/04/16/opinion/palestinian-hunger-strike-prisoners-call-for-justice.html?_r=0

それを、ニューヨークタイムスは、ハンスト開始の日に合わせて発表している。バルグーティとニューヨークタイムスの間になんらかの協力があったとして、イスラエルはこれを非難している。

*世界一甘い?イスラエルの刑務所

バルグーティの記事を読むと、イスラエルは非常に非人道的な扱いをしていることになっている。しかし、実際はそうではない。

数年前に、イスラエルのオフィル刑務所を取材したが、パレスチナ囚人たちは、刑務所の食事の他に、差し入れ等独自の食物を管理する倉庫を持っていた。

管理するのはパレスチナ囚人自身で、刑務所の食事は断食しても、その倉庫からの食物を摂ることも可能といえば可能であった。もちろん、完全な断食を行って、実際に死亡寸前まで行き、刑務所から出た囚人も過去にはいるのだが、選択として、食べる道はあるということである。

また現在は、停止したが、かつてパレスチナ囚人は、イスラエルの刑務所にいる間に、無料で、ヘブライ語学べる他、これも無料で、ヘブライ大学で学士を取ることも可能であった。*後者はその後、廃止になっている。

また、アラビア語の本の差し入れも可能であった他、アラビア語による集会なども可能であった。そのため、イスラエルの刑務所で、新たにテロを学ぶ若者もいたほどである。かなり閉鎖的な日本の刑務所とは比べものにならないほどの自由であるといわざるとえない。

また、イスラエルの刑務所が、バルグーティが訴えるような非人道的な環境ではないということは、パレスチナ囚人全員が、このハンストに参加しなかったことでも明らかである。

だいたい、イスラエルで終身刑のバルグーティが、イスラエルの知らないところで、ニューヨークタイムスに投稿できたこと事態、それを証明しているかのようである。

<政治的背景とは?:ポスト・アッバス>

では、今回、バルグーティが、ハンストを始めたのはどういう目的なのだろうか。

パレスチナ社会は、現在、西岸地区のPLOファタハと、ガザ地区のハマスに分裂している。今の所、ファタハにもハマスにもそれを解決する力はまったくないため、パレスチナ人の間には絶望感が広がっている。それがナイフなどによる、自殺行為的な単独テロを増長させているとも考えられる。

そうした中、バルグーティ(58)は、アッバス議長と同じPLOファタハの指導者の一人で、唯一、カリスマ性を持つ有力な指導者であると目される人物である。イスラエルの刑務所に長期間いることで、パレスチナ人からの尊敬もある。

しかし、いかんせん、バルグーティは、刑務所にいる囚人であるので、当然、指導者にはなれないのではあるが、アッバス議長の求心力が落ちる昨今、もしバルグーティが指導者になれば、ファタハは盛り返すと目されている。

イスラエルですら、もし将来、アッバス議長が倒れた場合、ハマスに西岸地区を奪われるよりは、バルグーティを時期ファタハの指導者に据えたほうがましだとして、刑務所からあえて出すことも可能性としては全くありえないことでもないとまで言われている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4950793,00.html

バルグーティに関する動きを、ファタハ、ハマスがどうみているかがだ、Yネットの分析によると、自分より人気のあるバルグーティの頭角をアッバス議長は快く思わず、またハマスにしても、強いファタハの登場は歓迎するものではない。

しかし、どちらも、一般のパレスチナ人の間でカリスマ的人気を持つバルグーティを、容易に非難することもできないといったところのようである。

<イスラエル政府の対応>

イスラエルは、バルグーティの身柄を北部の刑務所の独房へ移した。ハンスト参加者を今以上に煽ることを予防するためである。

また、国内治安担当のギラッド・エルダン氏は、ハンストをしている囚人で医療的ケアが必要になった者を受け入れる準備をすすめるよう指示した。イスラエルとしては、強制的な食事摂取も行う。これについては法整備もすでに完了している。

バルグーティの訴えは、実際とは違う点が数多くある。もとより、ハンストの本当の目的は、刑務所での処遇改善ではなく、政治的(バルグーティの立場を強調する)目的と考えられている。

このため、エルダン氏は、ハンストの囚人たちとは交渉はしないと、当初から発表している。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4950460,00.html

<刑務所前でバーベキュー>

パレスチナ囚人のハンストが始まった2日後、エルサレムとテルアビブの間にあるオフィル刑務所前では、右派のユースらが、バーベキューを行い、その匂いを刑務所内に送り込み、ハンストを中断させようというイベントが行われた。

なんともイスラエル人らしい発想だが、イベントが始まって、よい匂いが漂い始めて45分後、警察がこれを停止させた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/228349

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アメリカの脅し効果!?シリア空軍が戦闘機を移動 2017.4.21

 2017-04-22
4月6日、アメリカが不意にアサド政権の空軍をトマホークで攻撃し、大打撃(シリア戦闘機20%を破壊)を与えたことはお伝えしている通り。

その後、イスラエルのメディアが、アメリカ政府筋の情報として伝えたところによると、シリア軍は、残っている戦闘機すべてをラタキアのロシア軍拠点付近に避難させていたことがわかった。

この基地には、最新の対空ミサイルが設置されており、アメリカに再び攻撃され、戦闘機をさらに失うこととを予防できるとみられる。

米ロの関係が緊張する中、ロシアは、来週水曜、モスクワで、「国際治安会議」と称する国際会議を開催する予定になっている。議題はシリア問題だけでなく、北朝鮮などアジアの問題も話し合われるみこみ。

Yネットによると現時点での参加国は、ヨルダン、インドネシア、キューバ、マレーシア、ミャンマー、ニカラグア、ベネズエラ、ブラジル。

アメリカとNATOも招かれているが、まだ返答していない。特にアメリカは、ロシア主導のこの会議には出席しないのではないかと見られている。

イスラエルからは、カンファレンスとは別筋で、リーバーマン防衛相が、モスクワにてロシアのラブロフ外相らと会談することになっている。焦点は、シリア領空でのイスラエル戦闘機の活動とロシアとの協力関係になるみこみ。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4951642,00.html

*ヒズボラがメディアツアー

シリア情勢が緊迫し、アメリカへの攻撃をイスラエルへの攻撃にすり替える可能性も視野に、イスラエルは、これまで以上に、ヒズボラの動きに注目している。

レバノン南部には今も15000発とみられるミサイルが、イスラエルに標準を合わせていることをイスラエル軍は把握している。

イスラエル最北端のキブツからは、レバノン南部、ヒズボラがミサイルを隠している地域を見ることが可能だが、20日、ちょうどその逆から国境にあるイスラエルの拠点を見るメディアツアーをヒズボラが実施した。

ヒズボラ戦闘員の案内で、ジャーナリストたちが、レバノン南部から、国境のむこうにイスラエルの車両が動いている様子が撮影している。

これについて、怒ったのはレバノンだった。まるで政府の公式プレスオフィスであるかのように、ヒズボラが、世界のメディアを案内したからである。これではレバノン政府は不在であり、2006年の第二次レバノン戦争後の国連決議1701による合意も、すでにないも同然のようなプレゼンであったからである。

ヒズボラがこのようなメディアツアーを行うのは異例。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Lebanese-leader-calls-Hezbollah-media-tour-a-strategic-mistake-488547
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アメリカの脅しは効果的か?北朝鮮問題 2017.4.21

 2017-04-22
アメリカと北朝鮮の関係もまだ緊張が続いているが、17日からは、ペンス副大統領が、韓国、日本、中国とアジアを歴訪中し、「もはや戦略的忍耐の時代は終わった。」というメッセージを発し続けている。

トランプ大統領は、あえて、北朝鮮に対する赤線を明確にしない方策をとっており、いつ何時アメリカが北挑戦を攻撃してもおかしくないというメッセージを伝えている。赤線がない分、北朝鮮にとっては、対策のしようがない形だ。

一方で、中国に対し、貿易不均衡への制裁というカードを使い、それを思いとどまる代わりに、北朝鮮の挑発行為をやめるよう中国から圧力をかけるようにとの取引が行われたもようである。トランプ政権が、まずは、外交的解決を重視した形だ。

その後、トランプ大統領は、中国の北挑戦に対する対策を高く評価する声明を出していることから、中国が北朝鮮に対し、様々な圧力をかけているとみられている。

アメリカの原子力空母カール・ビンソンは、現在、報じられていたより遅い速度で、まだインドネシア周辺から日本海方面に向けて、航行中である。途中、日本の海上自衛隊と共同の訓練も検討されている。

なお、アメリカが目指すのは、北朝鮮の非核化である。国連安保理は、ロシアが拒否権を発動するなどのゴタゴタがある中、21日にようやく、北朝鮮に対する非難決議を出した。

トランプ大統領は、就任時とは一変、世界の警察アメリカの復帰といわれるような動きに出ている。大きな権力をあたえられたトランプ大統領とその側近たちを覚えてのとりなしが必要である。

*日本政府:都道府県にミサイル着弾時の避難準備を指示

こうした事態を受けて、北朝鮮のミサイルが日本国内に着弾する可能性もありうるとして、政府は21日、全国都道府県に対し、ミサイル着弾時の避難経路などの準備や、市民の訓練を行うよう指示を出した。

イスラエルでもこうした訓練は日々行っているため、ミサイルが来ても市民らは冷静に動いている。日本政府の避難指示は以下の通り。有事の対処法などが具体的に描かれている。 http://www.kokuminhogo.go.jp 
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EUは存続できるか!?選挙メジロ押しの欧州 2017.4.21

 2017-04-22
ニュースでも報じられているが、少々まとめとして。。。

1)イギリス

イギリスは、メイ首相が、3月29日に、正式にEUからの離脱を通告。これからその手続きに入る。それに先立ち、19日、2020年に予定されていた総選挙を前倒しで、今年6月8日に行うと発表した。

メイ首相率いる与党・保守党が、野党労働党との格差(現在20%)を広げ、より安定した政治基盤の中で、EU離脱交渉を進めやすくすることがねらいである。

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20170419-00000782-fnn-int

2)フランス

フランスでは、大統領選挙の第一回投票がいよいよ今週末23日となった。これまで残っている4候補のうち二人が、EU離脱に進む可能性があり、結果が注目されている。

特に極右のルペン氏が支持率2位の予想となっており、もしフランスまでがEU離脱となると、世界を変える大きな動きになる可能性がある。

その選挙を3日後に控えた今日、パリのシャンゼリゼで発生。犯行声明が、ISISから出たことから、大統領選挙にどう影響してくるのか注目されている。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20170421/k10010956201000.html

3)ドイツ

ドイツでは、9月に連邦議会選挙が行われ、メルケル首相が続投するかどうかが問われることになる。

なお、3月に行われたオランダでの総選挙では、極右系候補がやぶれ、リベラル派の自由民主党ルッテ氏が首相となっている。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/03/post-7225.php

<エルドアン大統領の権限拡大へ:トルコ>

ヨーロッパではないが、大統領の権限拡大になるか注目されていたトルコだが、それに関する条項を含む憲法改正に関する国民投票が行われた結果、賛成51.4%というかなりきわどい状態での賛成多数で、憲法の改正が可決された。

これにより、大統領職などに関する憲法が2019年付けで変更になる。たとえば、エルドアン大統領は、任期5年を2期、つまり2029年まで大統領にとどまることが可能になる。

この他、首相職がなくなり、大臣などの重要ポジションを大統領が直接指名できる。このように、大統領の権力は、大幅に拡大されることになる。エルドアン大統領は、こうすることで強いトルコを実現できると主張している。

http://www.bbc.com/news/world-europe-39626116

しかし、国民投票の結果が、ほぼ50/50と、あまりにもぎりぎりであったため、野党からは開票やり直しの要求も出た。しかし、その声は握り潰されたようである。

国際社会は、懸念を表明しているが、トランプ大統領は、エルドアン大統領に祝辞を送っている。

なお、アメリカとトルコは、シリア問題において、重大な不一致を抱えている。アメリカは、シリア問題で、アサド政権の打倒をめざし、クルド人勢力を支援しているが、トルコは、クルド人勢力をテロ組織として弾圧しようとしているのである。

トランプ大統領は、5月のNATO会議の前に、エルドアン大統領に会うことになっている。

余談になるが、トランプ大統領はNATOの運営方法は、時代遅れだと痛烈に批判し、一時ニュースになっていた。
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世界をとりなす:リック・ライディング牧師インタビュー 2017.4.16

 2017-04-16
シリアで、アメリカとロシアが睨みあう一方、トランプ大統領は、北朝鮮への単独軍事行動もありうると表明しつつ、高い攻撃能力のある空母を朝鮮半島周辺へ派遣。

対する北朝鮮は、アメリカへの対抗意識をむき出しに、核兵器の使用もにおわせながら、15日、平壌で、最新兵器をオンパレードした。中東と北朝鮮、同時進行で、世界大戦になるかのような危機的状況になっている。

http://www.bbc.com/news/world-asia-39607343

この状況について、エルサレムで、24/7国際的な祈りの家スカット・ハレルを導き、地中海、中東諸国に祈りのネットワークを持つリック・ライディング牧師に聖書的な理解についてお聞きした。

ライディング師によると、ライディング師自身だけでなく、世界のとりなしのリーダーたちが主から示されていることは、「まだ時ではない。」ということだった。

現在、シリア情勢も北朝鮮情勢も、世界をまきこむ大戦争になるかのように緊迫しているが、おそらくここ数ヶ月の間に、落ち着くだろうということである。だから、主が今、とりなし手に望まれていることは、「あわれみの窓」が上がるように祈ることだと語る。

私たちは「今が時ではない」と聞けば、安心して祈らなくなってしまうが、そうではないとライディング師。祈らなければ、時ではないときに、戦争になってしまう可能性もある。

サタンは、時に神の計画が時期尚早に起こってしまい、失敗させるといった手口も使う。ダニエルのように、私たちも、先が示されたからこそ、それが実現するように祈る。これがとりなしである。

ライディング師らは、2014年、ISISが頭角してきた時に、神殿の丘の上に黒い龍がいるのを見たという。その足が地につけば、世界は大戦争になると思われた。同時に「(主の)あわれみの窓(Windows of mercy)」が、下がりつつあるのが見えた。

しかし、この時、はっきりと「まだ時ではない」と示された。下がりつつあった憐れみの窓が上がるように祈るよう導かれたという。

ライディング師は、「黙示録10:6に、「もはや時が伸ばされることはない」とあるように、確かに最終的には大戦争が来ることは避けられない。その時には、憐れみの窓が上がるようにと祈ることはない。

しかし、”もはや”という言葉から、その時までに、何度か危機的なことがある中で、時が伸ばされたという出来事があるということを示していると語る。

今回もかなり緊迫はしているが、主ははっきりと「時ではない」と語られた。だから今は、慌てずに、「あわれみの窓」が上がり続けるようとりなす時だと教える。

また、現在、ロシアとイラン、トルコが接近している。確かにエゼキエル書38,39章の舞台設定が整いつつあるようだが、これもまだ時ではない。今は、これらの国々の結びつきが、妨害されるように祈ることも重要だと教える。

<子供、若者たちへのあわれみ>

ではなぜ「憐れみの窓」が開かれて、時が伸ばされるのか。ライディング師は、数年前に、シリアの瓦礫の下から、小さな若い芽がいっぱいでているビジョンを見たという。

これは、シリアなど中東で艱難にあっている子供達、若者たちが育つためだと受け取っている。将来、本当に戦争の時が来た時の備えである。主の時が伸ばされるのは、このためだとライディング師。

サタンは、その若枝をつみとってしまうために、戦争を起こそうとしているが、それをまだ今は伸ばされるよう祈ることがとりなしのポイントである。

地中海や中東諸国に祈りの家のネットワークを持つライディング師によると、中東諸国から、イスラム教徒たちが直接夢で主に出会うといったレポートを受け取っている。子供達も国のための祈りに参加しているという。

最後に今この時のイスラエルのためのとりなしはどうするのか聞いた。ライディング師は、北、南、そして地中海のすべての国境が守られるように祈ること。

またエジプト、ヨルダンが守られることはイスラエルにとっても重要であると語る。それらの国々が守られるよう、とりなしが必要である。
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中東情勢・その後 2017.4.16

 2017-04-16
<シリア情勢>

1)アサド大統領はまだ化学兵器を持っている:亡命元シリア軍司令官


化学兵器の使用も保有も完全に否定しているアサド大統領だが、Yネットやアル・アラビアが伝えるところによると、2014年に、完全に国際社会に提出したと申告したはずの化学兵器は、全体の半分に過ぎなかったという。

残りは今もホムス近郊の山岳地帯に、厳重に隠してあると、亡命した元シリア軍司令官(化学兵器担当)が明らかにした。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4949399,00.html

2)反政府勢力?避難民のバス車列を攻撃:39人死亡

シリアでは、シリア政府軍の包囲、逆に反政府勢力に包囲されたまま、市民が拷問されたり餓死者が出るなど悲惨な町が多数ある。

このため、詳細は不明だが、4つの町(政府支配域の2つと反政府勢力支配域の2つの町)の市民約3万人をそれぞれ脱出させることになったようである。

AFP通信によると、14日、政府支配域から5000人、反政府勢力支配域から2200人が、数十台のバスにのって脱出をはじめた。

ところが道中、政府支配域から脱出してきた市民らのバスが、反政府勢力の車両爆弾にあい、これまでに39人が死亡した。この数はまだ増える可能性がある。この攻撃の後、バスの車列は、ロシア軍が警護しているという。

BBCが伝えるところによると、政府軍、反政府軍、いずれかに包囲され、餓死者もでるような悲惨な状況に置かれているシリア市民が、64000人はいるとみられている。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-39609288

現在のシリア情勢は、おおまかにいうと、ロシア、イランの後ろ盾で、シリア政府の勢力が盛り返し、ISISを含む反政府勢力が劣勢になってきた、という状況だった。

そうなったのは、つい先月まで、トランプ大統領が、シリア不介入を表明していたことも要因となっている。少ないながらもアメリカの支援を受けていた反政府勢力が劣勢になったことで、シリア政府側が優勢になったのである。

ところが今、トランプ大統領は、シリアに対する方針を180度転換し、アサド政権の排除にとりかかっている。これが解決に向かうのか、さらなる混乱に向かうのか。。。今はまだ不透明のままである。

いずれにしても、シリア市民にとっては地獄の沙汰である。ライディング師に示されているように、シリアの次世代の子供たち、若者たちを主があわれみ、救いに導かれることが、将来のシリアにとっての唯一の希望である。。。

<アフガニスタン・イラク:ISIS撃滅にむけての動き>

1)アフガニスタン:米・巨大爆弾の結果


アメリカが、巨大な爆弾モアブをアフガニスタンに投下したが、BBCが、投下された地域総督の情報として伝えたところによると、この爆撃で、ISIS戦闘員少なくとも90人が死亡した。

市民の犠牲者は、今の所、報告されていないが、アフガニスタンのカルザイ大統領は、「アメリカの行為は非人道的」と非難している。

http://www.bbc.com/news/world-asia-39607213

2)イラクのモスル戦闘の状況

イラクのモスルでは、イラク軍がISISを徐々に追いつめている。BBCによると、イラク軍は、モスルの主要なモスクへの攻撃に入っていたが、14日、アメリカ主導の有志軍による空爆で、最高宗教指導者とみられるムフティのアブダラ・アル・バダラニが死亡したという。

このムフティは、独裁で、拷問や性的奴隷などの許可を出した人物とみられており、ISISにとっては大きな打撃になったとみられる。http://www.bbc.com/news/world-middle-east-39603491

しかし、首謀者であるアル・バグダディは、声明一つだしておらず、まったくどこにいるかわからない状況である。また、BBCによると、ISISはモスルの子供たちを人間の盾として使っており、状況は変わらず悲惨。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-39475591

<トルコ:エルドアン大統領の権力増大なるか>

トルコでは、16日、大統領の権限増大を含む憲法改正に関する国民投票が行われる。これにより、首相職が廃止され、大統領と副大統領になる。大統領の権限が強大化するとみられ、懸念されている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170414-00000060-jij-m_est

なお、トルコはISISに敵対する立場である。日本の外務省は、明日トルコの投票所が、ISISによるテロの標的になる可能性があるとして、近づかないよう、警告を発している。
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エルサレムでテロ:イギリス人留学生死亡 2017.4.17

 2017-04-16
平和な過越と書いたばかりだが、14日午後、エルサレム路面電車内で、パレスチナ人がナイフで女性を刺して殺害する事件が発生した。現場は、市中心に近い、市役所前付近で、一時、交通は遮断されたが、約1時間後には通常に戻された。

犠牲になったのは、イギリス人女性(ユダヤ人ではない)のハナ・ブレイドンさん(21)。ヘブライ大学との交換留学生として、聖書、考古学、神学、ヘブライ語などを学んでいたという。この1月から、1セメスター在学し、夏には帰国する予定だった。

犯人は、乗り合わせた休暇中の警察官が取り押さえて逮捕された。東エルサレム、オリーブ山ふもとラッセル・アル・アムード出身のジャミル・タミミ(57)だった。

ISA(イスラエル治安組織)によると、タミミは、2011年、自分の娘に性的な虐待をしていたことで逮捕された経過があり、最近では自殺未遂もおこしていた。精神的問題を抱えていた人物だった。

ISAは、「個人的な問題をテロに置き換えようとするパレスチナ人によるテロ事件は、これがはじめてではない。」と怒りのこもった声明を出している。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4949293,00.html

なお、この日はグッド・フライデーで、旧市街では、十字架を担いで聖墳墓教会に向かうキリスト教徒の大群と、神殿の丘でのイスラム教徒の礼拝が、同時になったが、こちらは、平和に終わっている。
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平和な過越:2017 2017.4.14

 2017-04-14
イスラエルでは10日夜、今年も過越がはじまった。聖書に記されたユダヤ人の出エジプトを記念する例祭で、最初の夜は、セデルと呼ばれる特別な食事を家族や友人たちを招いて囲む。

聖書の神を信じる人はもちろん、信じない無神論者もこの日はセデルを祝う。

無神論者がいったいどのように出エジプトを祝うのかは謎だが、日本でいうならお正月のようなもので、いわば文化、習慣でやっている人もいるということである。

宗教的なエルサレムに対し、世俗を自慢するテルアビブ市も、公のセデルを行った。テルアビブでは、例祭期間中、様々な楽しいイベントが計画されており、4月27日のビーチ開きの日まで続く。

http://www.timesofisrael.com/no-plagues-here-10-ways-to-celebrate-passover-all-week-long/

イスラエル周辺諸国では、恐ろしい事件が起こっているが、イスラエル国内では、ユダヤ人がユダヤ人の服装で、実に平和に、静かに、シナゴーグへ行き、家族でセデルを祝い、子供達の笑い声、大人たちの歌う声が、家々から響いている。

まさに、10の災いの一つ、暗闇の中でイスラエル人のところだけは光があったという聖書の記載に近いものがある。

なお、イスラエルでは、過越の初日と最後の日が、国の祝日となり、店も交通機関もシャットアウトする。その間の中日5日は、安息日以外でも多くの店が閉まっており、スローペースで街が動く。学校、官公庁や、大手の会社では、丸1週間の休みになっている。

中日にあたる今日、13日は、嘆きの壁を埋め尽くして、「祭司の祈り」が行われた。Yネットによると、参加者は8万人。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4948952,00.html

また、13日には、ユダヤ教ラビなど15000人がエルサレムのアリーナに大集合し、大きなカンファレンスも行われた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/228117

<今年も海外旅行>

過越は、イスラエル人が一斉に海外旅行に出かける時期である。

過越は、ユダヤ人がエジプトから約束の地へむかったことを記念するのだが、現代イスラエル人は、長期休暇を利用して、逆に約束の地を出ていくのである。最大人気の渡航先は、近場のトルコ。

Yネットによると、今年はシェケルが強いこともあり、昨年よりも18%多い7万7000人が、9日1日だけで、ベングリオン空港から海外旅行に出かけた。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4947219,00.html

毎年のことだが、よりにもよって、シナイ半島(エジプト)へ行楽に、出エジプトと逆行するイスラエル人が今年もいる。Times of Israelによると、1万人とみられている。

http://www.timesofisrael.com/citing-concrete-information-of-threat-minister-urges-israelis-to-bolt-sinai/

今年は、過越直前の9日、エジプトのタンタとアレキサンドリアで、パームサンデーの礼拝を祝うコプト教会が自爆テロの被害に遭い、45人以上が死亡した。

これを受けてイスラエル政府は、シナイ半島にいるイスラエル人の急遽、帰国するよう命じ、まもなく、国境の出入りを閉鎖した。

この直後、イスラエル南部の畑地にロケット弾が着弾。負傷者等、人間への被害はなかったが、犯行声明はシナイ半島にいるともられるISISが出した。このように、シナイ半島は、現在、エジプトがISIS撃滅に追われている危険きわまりない地域でる。

にもかかわらず、また政府の帰国目入れにもかかわらず、シナイ半島に行っていたイスラエル人たちは、子供連れであっても、多くは帰国していない。それどころか、国境が閉鎖された後は、ヨルダン経由でシナイ半島に向かった家族連れもいるという。

*エジプトのコプト教会は復活祭の祝いを断念

パームサンデーで多くの信者を殺害されたコプト教会は、さすがに今週の復活祭は祝いをしないことになっているという。エジプトが現在、3ヶ月の国家非常事態宣言が出されたばかり。しかし、実際には、政府は何もしないということの裏返しでもある。

<家族連れは行楽へ>

海外旅行に行かない家族連れは、いっせいにマサダやエンゲディなど、国立公園や自然保護区へ行楽に出ている。天気は若干どんよりだが、非常に過ごしやすい春の気候となっている。野には花も咲き乱れ、緑豊かな最も美しい季節である。

エルサレムでは、旧市街やダビデの町で、無料のツアーを出したり、子供向けのイベントを開催するなどして、賑わっている。

エルサレム旧市街では、数十メートルおきに治安部隊がいる他、要所にはパトカーが駐屯。パトロールする警察官や国境警備隊が、怪しいとみられる車両を止めて、トランク内部を検査したり、アラブ人男性を取り調べる様子も目にした。こうした警戒には、男性だけでなく、女性兵士も多くみられる。

こうした警戒態勢の強化もあいまって、多くのイスラエル人がヘブロンのマクペラの洞窟はじめ、ゲリジム山など西岸地区へも出かけている。

しかし、残念ながら今年も事故も相次いでいる。南部ネゲブ38号線では、30歳の女性と、26歳の男性の運転する車が衝突。二人とも死亡した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/228062

また死海近郊のユダ荒野では、40歳代の男性がハイキング中に死亡。ガリラヤ湖では、早朝にビーチマットに乗って浮かんでいた3人(19歳、21歳、17歳)が、突然の強風にあおられて行方不明になっている。捜索が続けられているがまだみつかっていない。

ガリラヤ湖ではこうした事故が発生するため、早朝ライフガードのいない時間に泳がないよう、指示がだされていた。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4948706,00.html

なお、過越の例祭は、4月17日日没までだが、12日夜より雨が降っており、南部では13日、鉄砲水になった。

<西エルサレム市内より(エッセイ風)>

エルサレムでは旧市街は、観光客で混み合っているのだが、西エルサレム市内や道路、特に昼間は、明らかにいつもより空いている。若い家族連れは、海外や行楽に行っているのか、バスには、お年寄りが目立つ。

今年の過越は、どんよりした空模様に、どんよりした気温で、いわゆる「ゆるい」空気が町中にひろがっている。

例祭で、バスはいつもより少ないダイヤで走っている。今日、買い物に行ったら、帰りのバスは40分も待たされた。こういう場合、たいてい同じ番号のバスが2つ一緒に来たりする。

バス停には、10人ほどの小柄なお年寄りたちが、それぞれ大きなショッピング用のローラーバッグや荷物を持ってバスをまっていたが、しびれを切らしている人もすくなくなかった。タクシーに乗ろうとしたお婆さんは運転手と交渉していたが、高かったのか、あきらめて戻って来た。

だいぶ待って、ようやくバスが来ると、お年寄りたちは、わらわらとバスに殺到した。われ先に乗るのだが、前がもたもたしていると、「はよ乗らんかい。」と大声でどなっている90歳くらいのおじいさんがいた。

このおじいさんは運転手にもぼやいていた。運転手も負けてはいない。バス停で止まらないという逆襲に出た。いっせいに「おーおー。止まらんか」と客が声を上げると、運転手は、「だれも停止ベルを押さなかっただろー」と怒鳴り返す。

これも過越期間中、エルサレムの一コマである。こんなやりとりがあっても誰も気にしない。空気も悪くならない。こんな素のイスラエル社会が、なんともここちよいと思う今日このごろである。。。。

ともあれ、イスラエルは今年も平和な過越を楽しんでいる。

<貧困とチャリティ>

お正月同様、この時期は貧しい人やひとりぼっちの人、独居の高齢者は、いつもにまして寂しい時期になる。施しがミツバ(善行)に数えられているイスラエルでは、この時期、各種団体が競うようにしてフードバスケットやクーポンを貧しい家庭に配布する。

少し前に、プリムで献金を募ったばかりなのだが、またまた献金の時期である。先日、郵便局に、光熱費の支払いに行ったら、郵便局までが、献金を募っていた。

窓口に、過越用のおもちゃの箱がおいてあって、用事をすませたあと職員が、「病気の子供たちにこのペサハのおもちゃを配布しています。協力した人には特別切手シートさしあげます。」と言う。その額、約1500円。

この時期、なんとも断りきれず、郵便局のチャリティに参加してしまったが、もらった切手シートはなかなかかわいいものだった。

なお、国家統計局によると、今年、イスラエル人の170万人(人口の20%)が貧困と数えられている。具体的には、46万800家庭、子供は76万4200人が貧困である。ただし・・・だが、この数字には、若干、課題もあるようでもある。

筆者の友人夫妻は、「僕たちは収入からすると貧困の枠にはいっているけど、子供がないので、生活に困ったことはない。」と、このニュースに登場する”貧困”の数字には課題もあるのではと指摘していた。

しかし、貧しい人々が多いことには変わりはない。Yネットによると、イスラエル政府は、今年の過越から、年間を通じて食物を支援する家庭の枠を50%広げると発表した。

http://www.jpost.com/Israel-News/Welfare-organizations-pick-up-mantle-to-help-needy-on-Passover-486615

具体的には、支援家庭を5000家庭増やすということだが、すでにある政府の福祉や、ユダヤ教関係の福祉団体と合わせて、支援額は、年間合計6000万シェケル(18億円程度)になるという。

新案では、毎月500シェケル分の食物を購入するためのプリペイドカードが配布されるとのことだが、これについては、賛否両論もある。

現在の食物支援では、ニーズにあっていなかったり、好みでないものが来たりするので、プリペイドカードの方が受給者としてはありがたいのだが、プリペイドにすると、健康的でないものやワインなどを買ってしまうかもしれない。なかなか難しい問題だ。
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トランプ大統領が巨大爆弾投下:アフガニスタン 2017.4.14

 2017-04-14
13日、アメリカが、アフガニスタンの ISIS地下拠点とみられる洞穴地域に、非核爆弾では最大最強で、通称”モアブ(Mother of All Bombs”ともよばれるGBU-43(9800キロ)を投下した。アメリカ軍が実戦でこの爆弾を使用するのは初めて。

今の所、現地の被害状況は明らかになっていないが、爆弾の威力からして、相当数の武装勢力が死亡した可能性がある。

http://www.bbc.com/news/world-asia-39595989

アメリカは現在、アフガニスタンに、地上軍を駐留させているが、状況は改善せず、すでに15年になっている。これに終止符を打ちにとりかかったものとみられる。が、北朝鮮などに「アメリカはやる」というメッセージでもあるともみられている。

この爆弾は、地下トンネルや地下壕にも到達する威力があるため、アフガニスタンの山中のゲリラ拠点を撃破するには適切だったとアメリカ駐留軍のニコルソン司令官は語っている。

しかし、あまりに唐突にこんな爆弾を使うトランプ大統領。なかなかのジャイアンぶりである。

こうなると、現在、北朝鮮近海に向けて、原子力空母カールビンソンを移動させているトランプ大統領が、北朝鮮や、東シナ海で軍用とみられる人口島を作っている中国に対しても、いつ実際の攻撃にでるかもわからない。

なお、空母カールビンソンは、日本の海上自衛隊と、東シナ海で、共同訓練も検討中だという。日本ももはや他人事ではなくなりつつある。

http://www.news24.jp/articles/2017/04/12/04358790.html
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米ロ関係緊張・その後 2017.4.14

 2017-04-14
シリアでサリンによる虐殺が行われ、アメリカがトマホーク59発で、シリア空軍基地を攻撃してから10日が経過した。

この間、トランプ大統領は、「アサド大統領は動物のように卑劣だ。それを支援するのはロシアの得策ではない。」と発言。対するプーチン大統領も、「米ロ関係は、トランプ大統領になってから悪化した。」と言うなど、米ロの関係が緊張している。

この12日、以前からの予定でティラーソン米国務長官がモスクワを訪問し、アメリカで新政権が発足してから初めてとなる米ロの直接会談が行われた。

これに先立ち、G7首脳会談が行われたが、ロシアに対する考えを一致させることができず、結局アメリカは国際社会代表ではなく、アメリカ単独の立ち場でロシアに対面した。

ティラーソン国務長官は、モスクワでラブロフ外相と5時間、その後、プーチン大統領と2時間、会談した。両国はまずは、誤解になっているところを話し合うとして会談を開始し、以下の点で確認がなされた。

1)アメリカとロシアの間には、非常に深刻な不信がある。

シリア問題について、アメリカは、今回、化学兵器を使用したのはシリア政府であり、アサド大統領は、もはや、今後の新しい国づくりから外すべきであると主張している。

一方ロシアは、相変わらず、化学兵器を使用したのがシリア政府軍だという証拠はないとし、アメリカのの攻撃は国際法違反であり、結果的に過激派を支援することになった。シリア問題をなお困難にしたと主張している。

*アサド大統領、あらためて化学兵器使用を否定

13日、アサド大統領は、フランスメディアのインタビューに答え、「先週のサリンによる被害映像は、アメリカのでっち上げだ。」と主張した。

アサド大統領は、「シリアは、化学兵器を持っていないし、たとえ持っていたとしても使うことはない。だいたい使う動機がない。」と訴えている。

化学兵器を所有して、使ったのはだれか。だれかが嘘をついているということになる。ティラーソン米国務長官は、アメリカとロシアは、とも核兵器をもつ大国であり、このような不信関係はあってはならないことであると語っている。

2)アメリカとロシアは、一致している分野、対テロで協力しながら、信頼関係を改善するよう努力する

米ロは、一致している点、つまり、ISISを始めとするテロ組織の撃滅を目標に、信頼関係の改善をめざす。

プーチン大統領は、先にシリア上空での米ロ戦闘機の協調関係維持を破棄するといったが、それを戻す用意があると匂わせている。

しかし今、アフガニスタンに巨大爆弾を落としたトランプ大統領にロシアがどう出てくるのか・・・先行きは不明である。

また、両者の関係は、シリア問題以外でも課題満載だ。中東に関しては次の通り。

①イラン問題

トランプ大統領は、その大統領選挙中、核兵器開発に関するイランとの合意を破棄する勢いだった。しかし、イランはロシアとは協力関係にある。

イランについては、来月、大統領選挙が行われる。最高指導者ハメネイ師の意向に反して、アフマディネジャド前大統領が出馬を申請した。アフマディネジャド大統領は、イスラエルに対する過激発言で知られる。

ややこしい時にややこしい人物の登場といえる。

②エルサレム問題

先週、ロシアは突然、アメリカより先に、世界に先駆けて、西エルサレムはイスラエルの首都と認めると発表した。ロシアは西エルサレムにすでにロシア”領地”(ロシアン・コンパウンド)を持っている。アメリカより先に大使館を、エルサレムに移動させる可能性を持つ。

しかし、イスラエルとしては、西だけで首都と言われるのは困る。東エルサレムにある神殿の丘を抜きにした首都はありえないからである。いずれにしてもアメリカかロシア、どちらが先に大使館をエルサレムに移動させるのか、微妙な競争になってきた感がある。

*ホワイトハウス報道官の失態

緊張した状況が続く中、ホワイトハウスのスパイサー報道官が、シリアの化学兵器使用を非難するにあたり、「あのナチスすら化学兵器を使わなかった。」と発言。イスラエルはじめ、世界中の注目と、避難をあびた。

いうまでもなく、ナチスは600万人のユダヤ人を、主にガス室に送って殺害したのである。イスラエルからはカッツ交通相が、スパイサー氏に謝罪と辞任を求める激しい批判を出したのに加え、ヤド・バシェムも、スパイサー氏を、自らのホームページに招き、ホロコーストを学んでもらいたいと言った。

スパイサー氏は正式に謝罪している。

http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Yad-Vashem-recommends-Spicer-visit-website-following-controversial-comment-486796

2)朝鮮半島情勢でも米ロ関係緊張

シリア情勢と並行して、緊張しているのが北朝鮮問題である。北朝鮮が国際社会をあざ笑うかのようにミサイルの実験を続けているため、アメリカは、上記に記した通り、空母カールビンソンを含む艦隊を朝鮮半島に向けて移動させている。

トランプ大統領は、シリアに影響力の強いロシアと同様、北朝鮮に影響力のある中国に対し、「北朝鮮牽制に協力することは経済的にも中国に有利になるが、もし協力しない場合は、アメリカだけで対処するだけだ。」とツイッターしている。

これに対し、中国は、「平和的解決が重要だ。」とトランプ大統領に電話をかけている。ロシアは、アメリカの強硬姿勢に合意していない。モスクワでの会談ではこの問題についても話し合われたもようである。

http://edition.cnn.com/2017/04/10/politics/us-aircraft-carrier-carl-vinson-north-korea-strike-capabilities/index.html

<石のひとりごと>

トランプ大統領が、いとも簡単にものすごいことを言ったり、したりしている。ひやひやものである。

しかし、アメリカもロシアも、世界の大国であることを自覚しているので、そう簡単には戦争にはならないとは思う。ただ、戦争というものは、非常にささいなことで、一気に勃発してしまうものである。

黙示録のような世界になる下準備は進んでいるということである。

そうなると、1日も早く聖書の言う「救い」を受け取っておくことが得策。「救い」とは、神の前に自分が罪人であることを認め、それに対する罰を、神の子イエス・キリストが代わりに負ってすでに死んでくれたこと、しかしその後、イエスはよみがえって、赦しが実現したことを証明していること、これを信じ、神の完全な赦しを、感謝して、ただ受け取ることを指す。

そうなれば、いつ死んでも大丈夫。死んでも行き先は、罪人が行くとされる地獄ではなく、神のおられる天国ということになる。

聖書によると、人間は、死んで終わりではない。実は死んでからの方が長い。これこそ最も大事な終活ではないだろうか。
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米:シリアへ軍事攻撃:イスラエルは? 2017.4.8

 2017-04-08
日本でも報じられている通り、4日、シリア・イドリブ地方で、サリンとみられる化学兵器が使われた事件を受け、7日深夜、アメリカが、シリア軍の空軍基地(今回の化学兵器使用に関与したとみられる)への軍事攻撃に踏み切った。

BBCなどによると、地中海に駐屯する巡洋艦から計59発のトマホーク巡航ミサイルが発射され、シリア空軍機などが大きくダメージを受けた。アメリカは基地に対し、事前に警告をだしていたが、シリアによると、兵士6人が死亡した。

トランプ大統領は、攻撃後の記者会見で、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したと断定。これは、人類、”神の子供達”に対する冒涜であるとし、国際社会にシリアにおける暴力やテロ撲滅に向けて協力を求めた。

今後どうなるのかだが、今回の攻撃が、化学兵器使用に対する限局したものとの見方もあったが、緊急で開かれた安保理において、アメリカのヘイリー代表は、「アメリカはさらなる(軍事)行動の用意がある」と発言。予断を許さない状況になっている。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-39529264

<緊張する米ロ関係>

今回、アメリカは、化学兵器を使用したのはシリア政府軍であると断定している。被害にあった地域が、反政府勢力の支配域であり、事件発生時、シリア政府軍がこの地域に空爆を行っていたからである。反政府勢力は、空軍を持っていない。

アメリカは、シリア政府軍が、化学兵器を搭載した爆弾を使用したと考えている。

しかし、アサド政権とロシアは、これを否定。反政府勢力が違法に保管していた化学兵器に、シリア政府軍の空爆がたまたまあたったことによる暴発だと主張している。

今回のアメリカの攻撃に関して、ロシアは、事前通告を受けていたと伝えられている。しかし、プーチン大統領は、アメリカの行為は、国際法違反で、独立国に対する犯罪だとして、厳しく非難した。

プーチン大統領は、今後の米ロ関係に深刻な影響を及ぼすことになる語り、現在、シリア上空で、米ロの戦闘機が衝突しないように取り計らう協定を破棄すると宣言した。

これはかなり危険なことで、万が一、両国の戦闘機がシリア上空で衝突するようなことがあれば、まさに米ロ対決、大戦争の様相になる可能性も出てくる。

なお、以前からの予定で、ティラーソン米国務長官が、来週火曜、モスクワのプーチン大統領を訪問予定となっている。

*ロシアとシリアの関係について

アメリカがアサド政権に今回の化学兵器使用の責任を追及するということは、そのままロシアへの責任追及になる。

2013年、シリアが化学兵器を使用した時、ロシアのプーチン大統領が、責任をもってアサド政権に化学兵器を処分させると約束したからである。

当時、アメリカのオバマ大統領は軍事行動を準備し、発動命令を待つばかりとなった。しかし、その直前になってロシアが登場し、シリアに化学兵器を全部、差し出すと約束させ、ロシアがその経緯を責任を持つと主張した。

そのため、オバマ大統領は、軍事攻撃を踏みとどまった。大戦争は避けられたが、この後、アメリカにかわって、ロシアがシリアに対して強大な影響力を及ぼすようになり、ロシア軍がシリア領内にも展開するようになった。

同時にロシアと関係の深いイランがシリア領内で影響力をもつようになり、ヒズボラも強大になった。ISISのような危険極まりないグループが登場し、シリア情勢はますます混迷化した。中東を不安定にしたのはオバマ大統領の失策だと言われるようになっていた。

なお、ロシアがなぜシリアのアサド政権を支援するかだが、ロシアは、地中海にアクセスを確保するため、シリアを手中に収めておくことが必要であること。また、先日、ロシアのセントペテルグルグの地下鉄で大きな自爆テロがあったように、ロシアはチェチェンなどに多数のテログループを抱えている。

それらをシリア領内に抑えておくというのが、ロシアのアサド政権支援の狙いだと考えられている。しかし、シリアを手中に収められるなら、アサド大統領でなくても、だれでもいいわけで、とりあえず、今はアサド氏をささえているだけで、それも永遠の関係ではない。

<急転換するアメリカ>

今回のアメリカのシリアへの攻撃については、その急転換が注目されている。トランプ大統領はアメリカ第一主義であり、オバマ大統領のシリア問題への介入も激しく批判していたからである。

また、アメリカのティラーソン国務長官は、先週、「アサド政権を打倒するかどうかはシリア市民が決めることだ。」と、アサド大統領排斥に固執しない、つまり、アサド政権存続も容認するかのような方向転換を匂わせていた。

ところが、化学兵器を使用したとたん、わずか3日後にトランプ大統領は方針を急転換し、アサド大統領は、新しいシリアに関与するべきでないと断言。議会の承認もすっとばして、すみやかに軍事攻撃に踏み切ったわけである。

今回の予想外に早い方向転換と、実際の軍事攻撃は、ロシア、シリアのみならず、国際社会の問題児であるイランや、最近、ミサイルの実験を繰り返している北朝鮮に対し、実行力ある強いアメリカをアピールした形となった。

トランプ大統領がそこまで計算していたかどうかは不明だが、皮肉にもトランプ氏自身が退くといっていた「世界の警察:アメリカ」が復活した形である。

しかし、専門家たちは、果たしてトランプ大統領が将来も計算して行動したのか、ただ単純に感情で動いているのかわからないとして、相変わらずトランプ大統領は、”予想外”を続けているようである。

<中東への影響>

今回の攻撃を真っ先に歓迎したのが、サウジアラビアだった。サウジアラビアは、アメリカの協力がほとんどないまま、イエメン、シリアで、イランなどシーア派勢と戦っていた。そこへアメリカが、大きな楔をうちこんだ形である。

国際社会では、イスラエル、イギリス、フランス、ドイツなどのヨーロッパ諸国、カナダ、オーストラリア、日本がアメリカの行動を支持する立場を表明。現在トランプ大統領を訪問中の中国は、アメリカを支持するとは言わないが、化学兵器の使用は、許容できないと言っている。

一方、ロシアとともに、アメリカの軍事行動に反発すると表明しているのは、シリアとイラン、(ヒズボラ)である。

http://www.bbc.com/news/world-us-canada-39526089

まとめると、現在の中東の力関係はだいたい以下の通り。しかし、いうまでもなく、いつでも変化するあやういチーム分けである。

①ロシア:シリア、イラン、(ヒズボラ)、北アフリカ諸国・・・シーア派勢
②アメリカ:イスラエル、トルコ、エジプト、ヨルダン、湾岸アラブ諸国・・・スンニ派勢 *ISISはスンニ派であることが複雑

なお、中東各地には多数のアメリカ人がいる。イラクやイランなどにいるアメリカ人や欧米人たちの安全が懸念されている。

<イスラエルへの影響>

イスラエルでは、シリアで化学兵器が使用されたとみられる映像に衝撃があった。まるでホロコーストの写真であったからである。

イスラエルは原則として、シリア問題には不干渉の立場を取っているが、今回は、モラルの問題として、イスラエルはシリア人を助けるべきだとの意見もある。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4945533,00.html

お伝えしているように、イスラエルは、ゴラン高原でシリアと国境を接しており、わずか50キロ先で、地獄の沙汰となっている。イスラエルは、隣人としてのモラルからも、これまで極秘にシリア市民の負傷者(反政府勢力関係者含む)を治療してきた。

また、最近では、難民のシリア人孤児をイスラエルへ引き取る案も検討されていたところである。*これについては、当分保留となったもようである。

一方で、イスラエルは、武器がシリアからレバノンのヒズボラに引き渡されるのを阻止するため、先月にもシリア領内での空爆を行っている。これらのことから、シリアからすれば、イスラエルは反政府勢力を支援する立場にあるとの認識になっている。

シリアのモアレム外相は、今回のアメリカの攻撃は、反政府勢力を助けることになり、つまり、益を受けるのは最終的にはイスラエルだと語った。http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4946184,00.html

ヒズボラも同様の見解を明らかにしている。http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4946686,00.html

いずれにしても、中東で、何かがあると、何かとイスラエルが引き合いに出され、巻き込まれる危険性がでてくるものである。今後、国際社会の注目をそらすなどの目的で、イランやヒズボラが、何らかの形で、イスラエルを巻き込むような攻撃をしてくるかもしれない。

また、イスラエルは、イランがヒズボラに武器を引き渡す情報が入った場合、シリア領内で、輸送隊を空爆するが、それについては、ロシアの暗黙の了解をもらうことで、今の所、合意ができていると伝えられている。

しかし、シリア上空での米ロ戦闘機に強調関係がない中、イスラエルの戦闘機までが入っていくことに対して、ロシアが続けて暗黙してくれるのかどうか・・・先行きが見えない状況となっている。

<化学兵器の悲惨について:BBC現地報告より>

シリアのイドゥリブ地方で、サリンとみられる化学兵器が使用されたことは、日本でも報じられた。しかし、その本当の悲惨は、十分、伝わっていないかもしれない。

犠牲者は、86人に登ると報じられているが、実際の悲惨は数だけではない。一例だが、BBC現地からの報道によると、アルヨーセフさんは、9ヶ月の双子と妻を含む家族親族22人を失った。

4日、空爆があった時、アルヨセフさんは急いで双子と妻を避難させた。その時、家族親族の家が爆撃されたとの知らせが入り、アルヨセフさんは、救出に向かった。

現場では、両親、兄弟とその子供たちなど家族20人が全員、遺体となって死んでいた。化学兵器とみられる症状を呈していたという。4時間後、妻と子供達のところに戻ると、3人も死亡していた。   

アルヨセフさんは、「子供たちは大丈夫だと信じて、他の家族を助けに行っていた。子供たちは無事だと思っていたのに・・」と、泣き崩れていた。あまりの悲惨に、インタビューしていた記者もマイクをおいて、アルヨセフさんの頭を抱えていた。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-39519634

その後のニュースによると、アルヨセフさんは、数少ない生き残った親族に守られながら、廃人のようになっている様子が報じられていた。その親族の男性は、アラブ諸国に対し、「あなたがたは、私たちを見捨てた。」と静かに訴えていた。

シリアでは、市民たちの救出組織ホワイトヘルメッツが活躍していることが伝えられているが、今回は化学兵器であったため、救出しようとした隊員たちが次々に倒れたという。

シリア人たちは、国際社会に対し、「ガスマスクを」「次は私たち」などとプラカードを掲げて、アサド政権打倒への国際社会への強い介入を訴えている。

しかし、当然ながら、同じシリア人であっても、アサド政権側について、一応の平穏を維持できているダマスカス住民などからは、アメリカの攻撃に反発する声が出ている。これもまた悲惨な様相である・・・。
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来週から春の”巡礼”ウイーク 2017.4.8

 2017-04-08
中東・シリア情勢が緊迫する中、イスラエル、エルサレムでは、来週から春の巡礼ウイークが始まる。

すでにエルサレム市内は、過越の祭直前で、オープンマーケットのマハネイ・ヤフダも、市内スーパーマーケットも大混雑になっている。

ユダヤ教・過越の例祭は、10日日没から、17日日没まで。同時に、キリスト教徒のイースターウィークも9日から17日までで、エルサレム、特に旧市街も、すでにそうとう混み合っている

旧市街では、2日、ユダヤ人をねらったナイフによるテロが発生している。国際情勢が緊迫していることもあり、イスラエルは特にエルサレムの警戒体制を強化する。来週、配置される治安部隊は3500人。防犯カメラは旧市街だけで400箇所にのぼるという。

http://www.israeltoday.co.il/NewsItem/tabid/178/nid/31388/Default.aspx

特に人出の多い日は以下の通り。

①9日(日):オリーブ山(ベテパゲ)から旧市街への「しゅろの行進」:世界中のキリスト教徒が群衆となってやしの葉をもって歩く。

②13日(木):嘆きの壁:ユダヤ教の祭司の祝福の日:キリスト教徒(正教会)が聖墳墓教会で足洗の儀式:10万人予想

③14日(金):ビア・ドロローサ:キリスト教徒の群衆が、聖墳墓教会までビア・ドロローサを歩く

⑤15日(土):聖墳墓教会で、ホーリーファイヤー(正教会儀式):聖墳墓教会から聖なる火を受け取る儀式 5万人予想

⑥16日(日):園の墓(ダマスカス門近く):欧米系プロテスタントがサンライズ集会を行う

来週の治安に備え訓練するイスラエル軍の様子。日本では軍といえば敬遠される傾向にあるが、イスラエルにいると、彼らの存在は、非常にありがたく感じる。

http://www.jpost.com/Israel-News/IDF-holds-major-West-Bank-drill-ahead-of-Passover-holiday-485627 
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超迅速なイスラエルのテロ対策 2017.4.8

 2017-04-08
6日、西岸地区入植地オフラ近郊のバス停で、パレスチナ人が運転する車が突っ込むテロが発生し、イスラエル兵1人(20)が死亡、1人(19)が軽傷を負った。

車を運転していたのは、シルワドに住むパレスチナ人マラク・ハメッド(21)。マラクはその場で逮捕された。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4946009,00.html

イスラエル政府はただちにハメッドの家族のイスラエルへの入国許可を凍結。事件勃発のわずか2時間後には、治安部隊が、マラクの自宅に乗り込んで、マラクの兄を逮捕。盗難車6台と、テロに使われるとみられる4万シェケルを押収した。

ハメッド家は、以前からハマスとの連携で知られ、この家族から9人がテロ行為に及んでいたという。マラク自身も2015年、違法に西岸地区のユダヤ人入植地に侵入しようとして逮捕され、3ヶ月刑務所に収監された経歴を持っていた。

しかし、マラクの父親は、息子はテロを行ったのではなく、事故だったと主張している。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4946587,00.html

*ハマス近況:大物司令官暗殺をめぐって

イスラエルがこれほど迅速な対応をとった背景には、ハマスの動きが活発になっていることも考えられる。3月24日、ガザ地区で、ハマスの超大物司令官マゼン・ファカ(38)が、自宅前で頭部を撃たれて死亡した。

ハマスはイスラエルが暗殺したと公式にイスラエルを非難した。イスラエルはノーコメントで、実際に誰の犯行かは不明である。

ファカは、2002年、イスラエル北部ツファットでバスを爆破し、イスラエル人9人を殺害。イスラエルの刑務所にいたが、ハマスの捕虜になっていたシャリート軍曹との交換で釈放された1000人のうちの一人だった。

ハマスは、”神に誓って”、マゼン・ファカ暗殺に対するイスラエルへの報復を行うと宣言している。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Senior-Hamas-militant-assassinated-in-Gaza-Strip-485139

その後、ハマスは、イスラエルに通じていたとして、3人のパレスチナ人(32,42,55才)を絞首刑に処した。BBCによると、ハマスは、2006年にガザ地区の実権をにぎってから、同様の罪で22人を処刑しているという。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-39513190

なお、ガザ地区のハマスには、以前からの指導者イスマエル・ハニエに加えて、新しくアヒヤ・アル・シンワルという人物が指導者に就任している。

<犠牲兵士:その日のうちに葬儀・埋葬>

今回のテロで、死亡したのは、エルカイ・テハレブ軍曹(20)だった。その場で即死状態だったという。

いつも驚かされるが、ユダヤ人の埋葬は実に早い。エルカイさんは、早朝、テロで殺害され、その日のうちに葬儀が行われ、その日のうちにヘルツェルの丘に埋葬された。墓石が間に合わないので、最初は地面にそまつな木のしるしが立つだけである。

写真に見る明るいエルカイさんの笑顔から、朝、息子を元気に見送って、夜には墓に埋葬する両親の痛みは、実に想像を絶する。エルカイさんの母親は、「私たちは21年前に贈り物をもらった。今、それをお返ししなければならない。」と語っている。

過越直前の喪失である。それでも過越を迎えなければならないこの家族の痛みは、ただただ想像を絶する。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4946336,00.html

<石のひとりごと>

中東で生きるということは、なまやさしいことではない。中東では、やられたらできるだけ早いうちにやりかえす。しかも倍返しをする。そうでなければ、相手はつけあがり、さらに自分がやられる結果になる・・・・という欧米にはない常識がある。

それを最も経験しているのが、中東の真ん中で民主主義を維持するイスラエルである。確かに、裁判もなくこうした仕返し的なやり方は、違法と映っても仕方がないだろう。欧米には理解してもらえない点である。しかし、長々と裁判をしている余裕はないのである。

今回、トランプ大統領が迅速な反撃を行い、様々な批判もあびることになると思うが、中東では、こうした動きこそが普通である。そこまで計算していたかどうかは不明だが、トランプ大統領、いよいよ”ジャイアン”になってきたようである。
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