イスラエルとディアスポラの対立 2017.6.29

 2017-06-29
ユダヤ人といえば、一つの民族で一枚岩だと思われているが、そうではない。まずは、イスラエルに住むユダヤ人か、イスラエル以外の国々に住むユダヤ人かという2つの大きなグループに分かれる。後者が”ディアスポラ”と呼ばれている。

ディアスポラは、ユダヤ機関(Jewish Agency)の運営を通して、建国前からイスラエルを支え続けており、イスラエルにとっても非常に重要なパートナーである。

ところが、今週25日、イスラエル政府が出した2つの決定が、イスラエルのユダヤ人と、このディアスポラのユダヤ人社会の間に大きな亀裂を生み出した。

その決定とは、①嘆きの壁に男性セクション、女性セクションに加えて、混合セクションを増設する案は保留とする、②改宗法案を法案として認める、という2つである。

亀裂となったのは、この2つの決定により、ディアスポラのユダヤ人がイスラエルに拒否されたと感じたからである。

アメリカでは、すでにイスラエル大使館や領事館に、ディアスポラたちからの苦情が殺到しており、イスラエル外務省は、苦情は丁寧に扱うよう指示し、対処に追われているもようである。

*ディアスポラ

現在全ユダヤ人のうち、イスラエルに住むユダヤ人は、648万4000人(43%で最大)、ディアスポラは、792万6700人となっている。

ディアスポラで最大の国はダントツ、アメリカで570万人、続いてフランス46万人、カナダ38万8000人、ロシアは7位で17万9500人である。日本は1000人と記録されている。

http://www.jewishvirtuallibrary.org/jewish-population-of-the-world
http://www.timesofisrael.com/israel-at-69-has-8680000-citizens-43-of-world-jewry/

<嘆きの壁問題>

ユダヤ人は、イスラエル在住か、ディアスポラか、さらには、超正統派かそれ以外の宗派かでもグループが別れる。

イスラエルは世俗派が、43%を占め、国も世俗派が運営する国でが、正式な国教は、建国以来、超正統派と定められている。このため、ユダヤ教の聖地とされる嘆きの壁は、国からの任命を受けた超正統派のラビによって管理されている。

超正統派のしきたりによれば、男女が共に同じ場所で祈ることが許されないため、現在、嘆きの壁は男性セクションと女性セクションに分かれている。

ところがディアスポラ、特に最大のアメリカのユダヤ人社会はほとんどが、リベラルな改革派、または保守派である。特に改革派は、昔からの律法に忠実な超正統派とは違い、変わりゆく社会にあわせて改革していくべきだと考えている。

そのため、改革派には女性ラビも存在し、男女共に祈り、シナゴーグの様子もまるで教会のようでもある。このため、今の嘆きの壁に、同性セクションを設けて欲しいと要請ており、3年にわたる長い論議の末、2016年1月、ネタニヤフ首相はこれを約束していたのであった。

その約束を反故にしたということは、ディアスポラ、またユダヤ機関をもないがしろにしたということになる。

間が悪いことに、この決定が、ちょうどユダヤ機関(Jewish Agency)が、エルサレムに世界中の支部代表を集めて数百人規模の理事会を行っていた最中であったということである。ユダヤ機関は、主にディアスポラによって運営されている。

ユダヤ機関代表ナタン・シャランスキー氏は、「ネタニヤフ首相は約束を破った。」として強い抗議を訴え、国会で予定されていたネタニヤフ首相ら閣僚と、理事会の夕食会を、キャンセルするに至った。

さらに、イスラエル政府のディアスポラ担当相ナフタリ・ベネット氏ともマラソン交渉を行うなど、理事会のプログラムは混乱を極めた。しかし、今の所、目立った結論は出ておらず、論議は次回10月に予定されている理事会に持ちこされることになっている。

http://www.timesofisrael.com/jewish-agency-takes-out-ad-slamming-western-wall-decision/

アルーツ7によると、アメリカの最強ユダヤ人ロビー団体AIPAC代表が、近くイスラエルを訪問し、この件についてネタニヤフ首相と話し意をする流れになっている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4982064,00.html

こうした流れになることは目にみえていたため、リーバーマン防衛相と、ステイニッツ・エネルギー相だけはこの決定に反対していたという。

しかし、現在のネタニヤフ連立政権では、超正統派が運営するユダヤ教政党シャスの存在が欠かせないため、政権存続のためには、シャス党の要求がどうしても通ってしまうのである。

*同性セクションはすでにある!?

嘆きの壁では、改革派の男女共用のセクションを設けてほしいという要望のほか、女性ラビたち(Women of the wall)が、女性もトーラーの巻物をもって嘆きの壁に入りたいとする要望を出し、これを受け入れない超正統派と、何度ももめる事態になっていた。

ところで、嘆きの壁と呼ばれている場所は、神殿の丘をとりかこむ壁の西側部分488mのうちの一部、わずか57mほどの部分である。その外側にあたる部分も結局は同じ壁である。

そこで、政府は数年前から、嘆きの壁広場からさらに南側に、超正統派以外のユダヤ教宗派が、好きなように礼拝できる場所を設けた。

しかし、ここでは、いわゆる、かつての至聖所からは遠くなる上、考古学公園の上にバルコニー風に設置されていて、壁に近寄れる場所はさほど広くない。このため、女性ラビグループや、改革派の満足は得られなかった。

<改宗法案:だれがユダヤ人かという問題>

嘆きの壁に関する決定がなされた同じ日、もう一つの決定、「改宗法案」が法案として承認されることとなった。

改宗法案によれば、イスラエルで生まれたユダヤ人、または超正統派のユダヤ人以外の場合、たとえ、ユダヤ人であっても、国が定めた超正統派ラビによる認定(改宗)で、ユダヤ人と認められない限り、ユダヤ人とは認められないということになる。

ディアスポラのほとんどは、保守派、改革派であることから、もしこの法案が、実際に法律になれば、ディアスポラのほとんどはユダヤ人ではないと判断され、イスラエルへの移住もできないということになる。

無論、この法案が、実際に法律になるかどうかは疑わしいところだが、ディアスポラにとっては、これが法案として承認された時点ですでに、イスラエルに拒絶されたと感じたわけである。

*なぜイスラエルは超正統派ラビだけを認めるのか?

イスラエルは、建国以来、超正統派ユダヤ教を正式な国教として定めた。当時から、現在に至るまで、基本的に超正統派ラビによってユダヤ教徒と認められたユダヤ人だけが、ユダヤ人として認められ、イスラエルの国籍を取得できることになっている。

ユダヤ人は長い離散の歴史から世界各地で同化しながら生き延びてきた。そのため、イスラエルが建国したのちに機関する権利を持つ”ユダヤ人”をどう定義づけるのかが問題となった。

ひとつは母親がユダヤ人であるという生物学的な点。そして、超正統派からみてユダヤ教を守ってきた家系であると認められた人をユダヤ人として認めるということになった。

ベン・グリオン自身は、超正統派ではなかったが、簡単にいえば、「超正統派」は最も”ユダヤ人らしい”外見としきたりがあるので、他の宗教や民族とはっきり区別できるということであったかもしれない。

しかし、これまでは、後者に関する条件については、超正統派ラビであれば、私立のラビによる認定でも認められてきたため、世俗派や、超正統派以外の宗派のユダヤ人たちは、私立の超正統派のラビに頼んで、短期間の訓練だけで書類を整えてもらい、イスラエルへ移住するということも可能であった。

これが、新しい改宗法案になると、国が認めたラビでなければ、ユダヤ人としての証明としては認められないということになる。

この問題は、ディアスポラの多くは、ユダヤ人であるということを否定されることになり、イスラエルへも移住する権利を持たない、ということにもなるため、急に大さわぎになったというわけである。

<今後の懸念>

昨日28日、ユダヤ機関理事会の最終日を取材したが、代表たちは、「これからそれぞれの国に戻って、地域のユダヤ人社会に、この出来事を説明しなければならない。」と、頭を抱えている様子であった。

最近、欧米ディアスポラの新世代ユダヤ人たちのイスラエル離れが問題視されている。

Brand Israel Group のファーン・オッペンハイム氏が、ヘリツェリア・カンファレンス*で発表したところによると、アメリカのユダヤ人大学生世代で、イスラエルに好意的な思いを持つ人の割合が、2010年から2016年までの間に27%も下がったという・

このままいけば、イスラエルへ移住するどころか、BDS(反イスラエル運動)にユダヤ人自身が傾いてしまうと警鐘を鳴らしたところだった。

http://www.timesofisrael.com/devastating-survey-shows-huge-loss-of-israel-support-among-jewish-college-students/

今回の、イスラエル政府からの拒絶ともとれる動きで、ディアスポラ社会の中で、さらにイスラエル離れがすすむのではないかと懸念されている。
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南北国境でのいざこざ 2017.6.29

 2017-06-29
1)シリア:ゴラン高原

北部情勢がにわかに緊張し始めた。今週に入ってからだけで、ゴラン高原のイスラエル領内に、シリアから流れ弾が5回以上着弾している。だいたいの詳細は以下の通り。

24日土曜、シリアからゴラン高原のイスラエル側に向けて、迫撃砲10発が撃ち込まれた。被害はなかったが、イスラエル軍は、シリア軍拠点を空爆。シリア兵2人が死亡したと伝えられた。

翌25日日曜には、シリア軍と反政府勢力の戦闘からの流れ弾とみられるものがイスラエル領内に着弾。被害はなかったが、イスラエル軍はきっちり反撃。シリア軍車両が空爆をうけ、5人が負傷したとアラブ側メディアが伝えた。

26日月曜には、UNDOF(国連引き離し監視軍)の建物にはげしいマシンガンの跡が発見されている。

http://www.timesofisrael.com/idf-reopens-restive-border-area-on-golan-heights-to-civilians/

さらに今日28日夜、さきほど、再びシリアからの着弾があり、イスラエルは、発射したとみられる地点を空爆したとのこと。

こうした状況が続いているため、イスラエル軍は、シリアとの国境周辺を、軍事地域として、一時、農家の作業以外は閉鎖した。しかし、再び解放されると、クネイトラを見下ろすベンタル山の展望台には、戦争を見ようとするイスラエル人や外国からの観光客が押し寄せているという。

http://www.haaretz.com/israel-news/1.797997

<ヒズボラとの戦争突入の危険性も>

シリアとのいざこざが続く中、ひょんなことからヒズボラとの全面戦争になってしまう可能性も懸念されている。タイミングよく?ヒズボラのナスララ党首は、「次回イスラエルと戦争になれば、多数の戦士たちが集まってくるだろう。」と豪語したところであった。

南レバノンを本拠地にしているヒズボラは、イスラエルとのレバノン国境付近の一般家屋の下に、ミサイルを10万基以上、準備していることは周知の事実である。これらはイスラエル全土を標的に入れており、ナスララ党首は、ネゲブ地方ディモナの原子力施設を破壊するとも言っている。

しかし、ミサイルのほとんどは、飛距離28マイル程度の近距離であるとみられるため、万が一の場合は、最北端の町で、レバノンに最も近いメトゥラの町は全員避難することになる。

そのメトゥラから100メートルほどのレバノン領に、パレスチナの旗、ヒズボラの旗、イランのハメネイ最高指導者と黄金のドームの写真があしらわれた看板も立っているのが見えている。こうしたイランの旗等は、ここだけではない。最近、あちこちにこうした側が増えてきているという。

まるで「我々はもうすぐ来る」と言っているようだとY ネットは紹介している。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Irans-flag-on-Israels-border-We-are-coming-498122

2)ガザからもミサイル

26日月曜夜、ガザからイスラエル南部にむけてミサイルが発射された。空き地に落ちて被害はなかったが、イスラエル軍は、ハマスの拠点2カ所を空爆した。

しかし、のちにISIS関連組織が犯行声明をだした。シリアと同様、イスラエルは、いかなる攻撃もシリアはアサド政権、ガザはハマスをそれぞれの支配者とみなして、それらへの反撃を行っている。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/IS-affiliated-group-claim-rocket-attack-on-Israel-498006

なお、イスラム教では、23日(土)にラマダンを終え、27日まで4日間、断食明けの例祭、エイド・アル・フィトラを祝ったところである。

<ガザの電気不足:エジプトが緊急支援>

イスラエルがガザ地区への電力を削減し始めて3日目、エジプトが発電所を稼働するための燃料100万リットルをガザ地区に搬入しはじめた。

これにより、4月末以降、停止していたガザ地区内唯一の発電所の再稼働が始まり、住民は1日8時間程度の電力を受け取れるようになった。この100万リットルで、2−3日はしのげるという。その2−3日はすでにすぎているが、その後のニュースはない。

エジプトは、ガザにハマスに対し、燃料供給の条件を出していた。まず、①ガザ地区にいるエジプトの指名手配犯17人をひきわたすこと。②シナイ半島( ISIS他過激派組織)への武器密輸の停止、③地下トンネルでガザ入りする戦闘員に関する情報を提供する、となっている。

この交渉については、以前からすすめられていたもので、イスラエルも十分承知の動きと思われる。イランが入り込むよりエジプトが支援する方がイスラエルにとっては好都合である。

サウジアラビアとスンニ派諸国(エジプト含む)が、対イランという同じ目的で関係を深め、イスラエルにも接近していることから、背後でなんらかの合意があった可能性も考えられる。

http://www.timesofisrael.com/amid-mounting-power-crisis-emergency-egyptian-fuel-enters-gaza/

http://www.haaretz.com/israel-news/1.795567

*ガザ地区では電力の制限が始まって久しい。このため、様々な工夫をした電池が発明され、活用されているとBBCの取材。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-40369801
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カタール情勢とイスラエル 2017.6.29

 2017-06-29
カタールが、サウジアラビアなど湾岸諸国から、イランと過激派グループを支援しているとして村八分になっていることはお伝えした通り。23日、サウジアラビア、UAE、バハレーン、エジプトの4カ国は、カタールに対し、全面的な断交を回避するための条件として、13か条を提示した。

その13か条には、アルジャジーラ放送局の閉鎖、イランとの外交関係の削減、トルコ軍基地の閉鎖、ムスリム同胞団との関係遮断などが含まれている。

これを受諾するかどうかの期限は7月3日となっているが、カタールはこれを拒否するみこみとなっている。

サウジアラビアとの断交で食料調達にも危機的となったカタールには、地理的に向かいのイランが食料を搬入し、トルコもカタール側に立って、食料を搬入するほか、以前からの約束で、カタールに駐屯するトルコ軍を増強しているもようである。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-40262713

もしカタールが、13か条を拒否した場合、断交がさらに徹底することになり、GCC(湾岸協力会議)からの追放もありうるとサウジアラビアの外相は語っている。アメリカのティラーソン国務長官が、仲介を試みているが、4カ国のカタールへの態度は固そうである。

今後、カタールが、イランとの結びつきを強化すると思われるが、サウジアラビア外相は、「イランとカタールの結びつきは今に始まったことではない。もし両者がさらに関係を深めるとしたら、だれが敵味方かがはっきりするだけだ。」と語っている。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-40428947

現在、仲介にあたっているアメリカだが、先月サウジアラビアに武器を12兆円分売却したのち、カタールにも6月戦闘機F15を120億ドル(1兆5000億円程度)を売却することが決まった。

敵対するサウジにもカタールにも武器を売るとトランプ政権。ウラでどんな話になっているのかは全く不明だが、将来もし戦争になった場合にはどちらもがアメリカの武器を使うことになるわけである。

<サウジアラビアに対イラン強硬派の新皇太子誕生>

サウジアラビアのサルマン国王(81)は、王位継承1位のモハンマド・ビン・ナエフ皇太子を解任し、継承2位であった息子のモハンマド・ビン・サルマン氏(31)を交代させた。次のサウジアラビア王は、モハンマド・ビン・サルマン氏ということになる。

モハンマド・ビン・サルマン氏はこれまでからもサウジアラビアの内外の政策を取り仕切ってきたが、今回の昇格で、その権力がさらに集中することになるという。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM21H6P_R20C17A6EA2000/

モハンマド・サルマン氏は、これまでサウジアラビアの防衛相を務め、イエメンでの戦争を導いてきた人物である。アメリカとの関係が深く、イエメンでの戦争において、イランに強硬的であることで知られる。

しかし、ワシントンポストは、この若いモハンマド・サルマン氏の力量に影もあると評する。

イエメンでの戦争は長引いており、終わる気配がない。このため、イエメン市民は深刻な人道危機に陥っている。最近では、イエメンでコレラが流行し、すでに20万人が罹患して死者も多数出ている。サウジアラビアの経済もまだ赤字が続き、改善の見通しはたっていない。

https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/theres-reason-to-doubt-saudi-arabias-charming-new-crown-prince/2017/06/25/f17ff988-582f-11e7-ba90-f5875b7d1876_story.html?utm_term=.5fce93ffc456

<イスラエルにはチャンス!?>

サウジアラビアがカタールに圧力をかけて、ガザへの支援をやめさせたことに加えて、親米対イラン姿勢を示していることは、イスラエルにとってはチャンスと考えられている。

イスラエルを総合的、客観的に評価し、今後に生かそうとする毎年恒例のヘルツェリア・カンファレンスで、イスラエル軍諜報機関のヘルツィ・ハレビー大佐は、「今、サウジアラビアなど穏健派スンニ派諸国と、共通の敵、共通の目標がある。今は関係回復のチャンスの時であると語った。

https://www.youtube.com/watch?v=cGffl4hx3gw

リーバーマン防衛相は、パレスチナ人たちは、防衛面でも経済面でもまったく自立できていないことを指摘。仮にイスラエルとパレスチナで国を分割する和平交渉が成立したとしても、平和になるどころか、問題は増えると警告した。

一つには、仮に将来、パレスチナという国が成立した場合、シリアやイラクで悲惨な状況の中、教育も受けられなかったような人々が70万人が、イスラエルのすぐ隣に入ってくることになる。パレスチナが防衛も経済も自立できていないため、難民は結局イスラエルへ入ろうとするだろう。これは巨大な問題だと語った。

そういうわけで、イスラエルはパレスチナとの2国家交渉をする前にまず、サウジなど穏健派スンニ派諸国と、正式な国交を回復し、地域ぐるみで、パレスチナへの適切な支援と圧力の中で交渉することが唯一の解決への道だと語った。

さらに、リーバーマン防衛相は、サウジアラビアなど穏健派と国交を回復し、経済関係も成立した場合、両国にとっても有益だと語った。具体的に、イスラエルには450億ドルに上るとの研究結果があると語った。

https://www.youtube.com/watch?v=GA8zpP-dqwE 
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諜報機関モサドがテクノロジー投資プログラム:Libertad 設立を発表 2017.6.29

 2017-06-29
27日、イスラエルの諜報機関モサドが、R&D(研究開発)を目標とする投資プログラム”Libertad”の設立を発表した。スタートアップ企業から、モサドの活動に役立つ新しいテクノロジーを吸い上げ、200万シェケル(6000万円程度)の投資を行う。

専用サイトでは、SFアクション映画のようなシーンが紹介されている。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/231649
http://www.libertad.gov.il/eng/index.html

<イスラエルのサイバー技術が世界を救う?>

イスラエルのサイバーセキュリティの技術は世界最強とも言われる。最近、世界では、サイバーテロが相次いでいる。イギリスの病院が一時マヒしたのに続いて、ウクライナが狙われた。こうしたサイバーテロは、一国にとどまらず、世界中の多数の国が影響を受けている。

しかし、イスラエルはほとんど影響を受けていない。イスラエルはこの分野では先端を行く国なのである。その背景には、スタートアップを推進する中で次々に新しいアイディアが生みだすという国の文化・体質がある。

イスラエルでは、今回のモサドのように、スタートアップ企業が、その研究を発表し、投資者を募るといったサイバー見本市や、軍事見本市がしょっちゅう行われており、日本を含む多くの国々が技術を求めてイスラエルに来るようになっている。

<石のひとりごと>

聖書には、終わりの時が来る前に、イスラエルが多くの国々と契約を結ぶと預言されている。

今、サウジアラビアなどの穏健派アラブ諸国とイスラエルに接近し、イスラエルのサイバー技術を求めて国々がやってくるようになっている。

イスラエルが、多くの国々と契約を結び、もしかしたら、その見返りとして、神殿の丘に第三神殿を建てることが可能になるというような、これまでは夢物語でしかなかったシナリオもまったく不可能ではなくなってきているのかもしれない・・・と想像してしまう世界情勢である。
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ダマスカス門周辺テロ:その後 2017.6.21

 2017-06-21
先週金曜、ダマスカス門付近で、3人のパレスチナ人が銃撃とナイフによる同時テロを起こし、女性国境警備隊員ハダス・マルカさん(23)が死亡。5人が負傷したテロ事件のその後について。

<48時間以内の治安部隊の動き>

このテロについては、ハマスとISISが、それぞれ犯行声明を出していた。しかし、調べによると、テロリスト3人のうち、1人は、ハマスと関わっていた可能性があるが、基本的にどこの組織ともかかわっていない単独犯であることがわかった。

イスラエル軍は、ただちにテロリスト3人の出身地、ラマラ近郊の村を48時間包囲した。同じ村の家族親族・友人らが、3人の”殉教”に感化され、続いてテロに出てくることがないようにするためである。

この包囲の間に、イスラエル軍はテロリスト3人の実家に踏み込み捜査に入り、テロに使われた武器を没収するとともに、家族らのイスラエルへの入国許可証を剥奪。テロを助成したとみられる1人を逮捕した。この後、近いうちにテロリスト3人の実家は破壊されることになる。

また、イスラエル軍は、村全体の家々にも踏み込んで、武器などがないかを捜査し、違法にとりこんでいた車両22台を押収した。

イスラエル軍は、こうした包囲作戦をする前に、「包囲はさらなるテロを防ぐため」と説明し、安全のために指示に従ってほしいと記したビラを配布していた。無用な衝突を避けるためである。

しかし、パレスチナ人200人ほどが、イスラエル軍に火炎瓶を投げるなどして衝突となり、パレスチナ人の若者3人が銃撃による負傷を受けた他、多数が催涙弾やゴム弾などで負傷した。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4976962,00.html

これと並行し、エルサレムでは、治安部隊を増強して警戒態勢が強化され、今回のテロリスト3人と同様、許可なしに西岸地区からエルサレムに入り込んでいたパレスチナ人350人を逮捕した。

旧市街内部では、パトロールが強化され、周辺では、一部道路が閉鎖されるなど、かなり警戒態勢が強化された。旧市街に限らず、西エルサレムでも、シオン広場には、警察官6人ほどが、真ん中に固まって立ち、警戒にあたっていた。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4976962,00.html

<ラマダン最終週:警戒態勢続行>

ラマダンは今週金曜(23日)に終了し、以後断食明けの祭りが3日間続く。特にこの金曜は、ラマダン最後の礼拝日。加えてこの日は、アル・クッズ・デーとも言われ、特にイスラエルへの憎しみを煮えたぎらせる日と定められている。これから先、テロが発生する可能性は高まる。

金曜のテロ事件以降、西岸地区各地で強制捜査に入るなどして、テロを未然に防ぐよう努めているほか、エルサレム旧市街では、警戒態勢を強化して、警備にあたっている。

こうした中火曜、西岸地区アダム周辺で、治安部隊に向かってパレスチナ人がナイフを取り出したため、治安部隊に射殺される事件が発生した。

西岸地区、東エルサレムでは緊張が続いているが、こうした治安部隊の活躍により、西エルサレム市内はいつもと変わらない平和な様子である。

<ハダス・マルカさん葬儀・埋葬と指導者らの訪問>

犠牲となったマルカさんは、安息日開けの土曜夜、自宅のあるアシュドドで、葬儀、埋葬された。

マルカさんは、海軍に配置されていたが、自ら志願し、3ヶ月の予定で国境警備隊で任務にあたっていた。ダマスカス門周辺で、女性の国境警備隊員がテロリストに殺害されるのはこれで2人目である。マルカさんの遺族は両親と、3人の姉妹、2人の兄弟。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4976942,00.html

埋葬される前の金曜夕方、ネタニヤフ首相とサラ夫人がともに、マルカさんに敬意を表するため、遺族を訪問した。続いて、月曜には、アメリカの特使グリーンバット氏、火曜にはリブリン大統領も遺族を訪ねている。

http://www.jerusalemonline.com/news/in-israel/local/watch-netanyahu-visits-family-of-hadas-malka-29182
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ガザ電力削減開始:アッバス議長がハマスに解散要求 2017.6.21

 2017-06-21
ガザ地区のエネルギー相によると、19日、イスラエルは、アッバス議長の要請に基づき、ガザ地区への電力供給の削減を開始した。一度に削減するのではなく、段階を追って少しづつ削減している。

人口200万人のガザ地区が1日に必要とするのは400メガワットだが、最近の供給はその半分の200メガワットになっていた。そのうちの120メガワットがイスラエルからであった。

このうちイスラエルは42メガワットまでを削減する予定で、昨日まず8メガワット、本日火曜、さらに8メガワット削減した。これにより、ガザ市民に供給される電力は1日2-3時間になっているとみられる。

ガザ地区も、今はラマダンで、日没後に家族が集まって祝いするため、特に電気が必要な時期。市民は、懐中電灯やろうそく、余裕のある人は発電機を購入するなどしてなんとかしのいでいるもようである。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Israel-reduces-electricity-to-Gaza-strips-Energy-Authority-says-497298

問題はやはり下水。すでに4月末から処理されていない下水が海水に垂れ流されていたが、電気の削減で、その量はさらに増えている。いずれはガザの下水がイスラエルのビーチに到達したり、下水道を汚染すると懸念されている。

<イスラエルでは論議>

右派リーバーマン防衛相は、「ハマスはガザ市民から集めた税金を地下トンネルなどに費やしてしまった。ガザ市民は、今、ハマスに搾取されていたことをその身で知ったのだ。」と言った。

すると、中道・未来がある党ラピード党主は、「電力不足でもしガザから伝染病でも発生したら、結局イスラエルに被害が及ぶ。市民生活を犠牲にしないで、ハマスに圧力をかける方法があるはずだ」と反論。

「ただ単に電力削減をするのではなく、イスラエルにとって有利な取引をハマスとかわすことも可能だったのではないか。」という意見もある。左派、人権保護派は、当然、これ以上の削減は実施しないよう、求めている。

<パレスチナ自治政府:ハマスに解散を要求>

イスラエルでの論議をよそに、電力削減が始まった月曜、パレスチナ自治政府は、ハマスに対し、団体を解散して、ガザ地区の主権をパレスチナ自治政府に戻すよう、要求する声明を出した。

自治政府は、「ハマスは、違法な税金を市民から徴収し、パレスチナ自治政府が送った薬品を横領、治療に際し、さらに税金を上乗せしている。また、海水無塩化工場設立のプロジェクトを断り、地方選挙を妨害するなど、ガザ市民に苦難を与えている。」と非難した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/231288

<ガザとまた戦争になるか?>

イスラエルが懸念することは、電力削減で、ガザでの生活が苦しくなり、戦争に発展していくことである。国境付近ではすでにガザの若者とイスラエル軍の衝突が散発している。

これについて、リーバーマン防衛相は、「イスラエルはガザとの戦争は望まないし、もし戦争になっても、ガザ地区を征服するつもりもない。ただ次回戦争になったとしらら、イスラエルは、ガザへ入り、テロ拠点を全て破壊したのち、出てくることになる。」と語った。

http://www.timesofisrael.com/liberman-israel-has-no-interest-in-conquering-gaza-in-next-war/

一方、ハマスも、「こちらから戦争をしかけることはない。」と戦争は望まない姿勢を表明した。しかし、数日前には、「電力の削減は、”爆発”になる可能性がある。」と警告しており、ハマス主導でない暴力行為については、責任は持てぬ、というようにも聞こえる。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Hamas-War-with-Israel-unlikely-and-relations-with-Egypt-improving-497201
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今週:クシュナー上級大統領顧問エルサレム来訪へ 2017.6.21

 2017-06-21
イスラエルとパレスチナの関係は上記のように、相変わらず和平のかけらもみえない状況だが、今週水曜、大統領上級顧問で、中東担当のジェレッド・クシュナー氏が、和平交渉再開をめざして、エルサレムに来ることとなった。

クシュナー氏に先立ち、ホワイトハウスの交渉特使グリーンブラット氏が、エルサレムに日曜に到着した。グリーンブラット氏は、ネタニヤフ首相と会談した他、嘆きの壁を訪問。また、金曜テロで犠牲となったハダス・マルカさん家族を訪問した。水曜には、アッバス議長に会うことになっている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4978310,00.html

クシュナー上級顧問は水曜に到着して1日だけ滞在する予定。その1日で、ネタニヤフ首相とアッバス議長それぞれ別に会談することになっている。この2人が何を持ってくるのかはまだ明らかでない。

<トランプ大統領へのジェスチャー?:エルサレム6000戸建築を保留>

アメリカからクシュナー氏ら中東和平使節団が来るのに先立ち、エルサレムの家屋建設に様々な動きがみられている。

エルサレムポストが、軍のラジオによるとして伝えたところによると、イスラエル政府は、2ヶ月前に、エルサレムに建築すると発表していたユダヤ人家屋25000軒のうち、6000軒を、事実上保留にすると発表した。

保留になったのは、ギロ、ハルホマ、ピスガット・ゼエブなど、いわゆるグリーンライン(1967年ライン)よりパレスチナ側にある地域である。

今年1月、ネタニヤフ首相は、イスラエル寄りとされるトランプ大統領が就任するやいなや、調子にのったかのように次々に東エルサレムや西岸地区入植地の建築許可を出したのだが、当のトランプ大統領は、これを抑えるようにと、イスラエルに釘を刺したのである。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Report-Jerusalem-building-freeze-to-halt-plans-for-6000-housing-units-497270

一方で、エルサレムのカルマノビッツ副市長によると、同じエルサレムでも、東エルサレムのパレスチナ人地区で、テロリストも多数輩出しているジャベル・ムカバに隣接するエリアに、7000軒のアラブ人家屋を建設する案は、凍結されず、建築が始まるという。

副市長によると、この案は以前からすでに市議会でも許可されていたことであって、市にとっても特に問題はないという。しかし、アラブ人の家屋は建設され、同時にユダヤ人の家族は保留というのはどうだろうかとももらす。

リーバーマン国防相によると、今回、イスラエルは、まずはサウジアラビアなどのスンニ派穏健諸国(ヨルダン、エジプト含む)との関係改善が先で、それからパレスチナとの交渉に入る順番だと考えている。

東エルサレムや西岸地区の入植地拡大の停止は、ヨルダン、エジプト、サウジアラビアなどが条件として提示している点である。

トランプ政権は、これらのスンニ派諸国との結びつきを重要視していることから、イスラエルとしても今後をより有利に運ぶためのジェスチャーであるとも考えられる。当然、右派はこれに強く反発している。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/231292

<早急な交渉開始に警鐘:アッバス議長>

アッバス議長は、トランプ政権が、使節団を送り出し、和平交渉再開に乗り出しているのを見て、直接交渉、間接交渉、さらには両者を近付けるだけの場合でも、明確なビジョンと計画がないうちに、あわてて事を進めることに懸念を持っていると伝えられている。

今はまだ、交渉のフレームワーク(2国家解決なのか、1国家なのかなど)すらできていないからである。目標がなければ、どこにも行き着かず、そのうち、トランプ大統領が飽きてしまうのではないかとも言われる。

また、フレームワークもできていない早期から、クシュナー氏やグリーンブラット氏といった閣僚級を送り込むことに、アメリカ国内からも懸念する声があがっている。

http://www.jpost.com/Diaspora/Palestinians-express-reservations-on-peace-talks-before-Kushner-Greenblatt-visit-497297

トランプ大統領が、いったい何を考えているのか、失敗するのか、もしや思わぬ方法で、和平を成功させてしまうのか、まだまだ不透明であるため、やはり、皆がふりまわされているようである。
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シリア情勢緊張:イランが中距離ミサイル発射など 2017.6.21

 2017-06-21
シリアの内戦は6年目となる。もともとシリア人とシリア政府の内戦のはずであったが、まずは様々なテロ組織が入り込み、ISISが登場してきた。これにより、アメリカと有志国、ロシア、イラン、トルコなどがからむ代理戦争に発展し、さらにはその構図が変化し、複雑化がすすむ一方である。

1)イランがISISへ地対地中距離ミサイル

19日、イランがイラン領内からシリアのISISをターゲットに地対地中距離ミサイル(射程700キロ)7発を発射した。イラン革命軍は、これは、6月7日にテヘランの市議会などが主撃され、17人が殺害された(ISIS犯行声明)ことへの報復だと発表した。

http://www.timesofisrael.com/iran-launches-missile-strike-into-syria-for-tehran-attacks/

イスラエルの報道によると、実際には、ミサイル7発のうち目的地に達したのは2発で、2発は目標をかなりはずし、3発はイラクに着弾していたもようである。

しかし、攻撃自体がどこまで成功していたかとは別に、イランが、中距離ミサイルを使用するのは30年ぶりであったことが注目されている。「イランは報復する」というメッセージをISISだけでなく、敵対するアメリカとその友好国にも誇示した形である。

また、イランは、これまでシリアで、アサド政権とロシアに協力して大きな犠牲をはらってきたにもかかわらず、最終的に中東で支配力を発揮するのは、イランではなくロシアになる様相になってきた中、イランの存在感を主張したとの見方もある。

http://www.presstv.ir/Detail/2017/06/19/525815/Iran-Syria-missile-strike-Daesh-Dayr-alZawr-terrorism

2)アメリカがシリアの戦闘機、イラン製ドローンを撃墜

イランがシリアへ中距離ミサイルを撃ち込んだ数時間後、シリアのISIS支配域上空で、アメリカの戦闘機がシリアの戦闘機を撃墜した。初めてのことである。

これを受けて、シリアとロシアは、互いに戦闘機の衝突を避けるためにアメリカとかわしている合意を破棄した。さらにシリア上空に入ってくるアメリカとその有志軍の戦闘機を撃墜する脅迫もしている。

https://www.nytimes.com/2017/06/19/world/middleeast/russia-syria.html 

95e87428-54ca-11e7-9e18-968f6ad1e1d3_story.html

これに続いて火曜、アメリカはシリア上空で、イラン製のドローンを撃墜した。同様のイラン製ドローンは、8日にも、アメリカが支援する反政府勢力に爆弾を投下したため、アメリカに撃墜されている。

https://www.nytimes.com/2017/06/20/world/middleeast/american-warplane-shoots-down-iranian-made-drone-over-syria.html

アメリカがシリアの内戦に徐々に深みに入りこみはじめているとみられている。

こうした中、ニューヨークタイムスは、イスラエルがゴラン高原で、軍事的にも反政府勢力を支援してアサド政府軍やイランが近づかないようにしていると伝えた。イスラエルは、今も極秘にシリア難民を救出する働きは継続している。

イスラエルとしてはできるだけ関わりたくないが、大きな戦いがすぐそばで繰り広げられているため、まったく関わらないというわけにもいかなくなりはじめている。
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エルサレム旧市街テロで6人死傷・テロリスト3人射殺 2017.6.17

 2017-06-17
金曜夜、ラマダン中のエルサレム旧市街のダマスカス門、ゼデキヤの洞窟付近の2箇所で同時に、パレスチナ人3によるテロが発生。6人の死傷者が出た。

Yネットによると、金曜午後7:30(断食終了直前)、ゼデキヤの洞窟付近で、パレスチナ人2人(1人は自動小銃、1人はナイフ)が国境警備隊員を襲撃。警備隊員3人が負傷、付近にいた22歳男性が胴体に、40歳男性が四肢に銃撃を受け、計5人が市内の病院へ搬送された。このうち3人は中等度の負傷。

同時に、数メートル先のダマスカス門付近でも、警備にあたっていた女性国境警備員のハダス・マルカさん(23)が、パレスチナ人1人に刺され、病院へ搬送されたが、まもなく死亡した。

テロリスト3人(18歳1人、19歳2人)はいずれもその場で射殺された。3人には、過去にテロ行為の記録があった。

事件発生の数時間後、ハマスが、フェイスブックを通じ、「3人が自己犠牲の作戦を行い、パレスチナ自治政府の”占領者”(イスラエル)との協調路線が失敗であることを証明した。

パレスチナの若者は、敵(イスラエル)との闘争を継続する。」と、犯行を賞賛するとともに、ハマス切り捨て政策を行っているアッバス議長を非難する声明を出した。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Report-Suspected-terrorist-shot-wounded-following-attack-in-Jerusalem-497070

http://www.i24news.tv/en/tv/replay/news/x5qvuye (ニュース映像)

<ISISが犯行声明:ハマスが否定>

上記のように、ハマスが先に犯行を賞賛するコメントを出していたが、この後、ISISのメディアが、このテロに関する犯行声明を出した。相変わらず、「これが最後ではない。」と脅迫している。

もし 本当にISISの犯行であった場合、今回が、ISISのイスラエル内部での初めてのテロとなる。
*シナイ半島からイスラエル領内へのロケット攻撃については犯行声明を出したことはある。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/ISIS-claims-responsibility-for-Jerusalem-attack-497078 

しかし、ISISの犯行声明については、ハマスが、ただちにこれを否定した。テロリストは1人がハマスメンバーで、2人はPFLP(パレスチナ解放人民戦線)だったと反発している。

ISISは、現在、シリア、イラクで陥落寸前となっている上、金曜、ロシアが、ISISの自称”カリフ”がロシアの攻撃で死亡した可能性に言及している。勢力巻き返しのために、イスラエルでのテロを自らのテロにしようとした可能性もある。

一方、ハマスもまた、危機的状況にあるので、ハマスの方が手柄を取り込もうとした可能性もある。いずれにしても、イスラエルにとっては迷惑きわまりない話である。

<イスラエルの対応>

エルサレム・ポストによると、イスラエル軍は、テロリストの出身地とみられるラマラ近郊の村を、人道支援以外の出入りを禁止して封鎖している。またテロに関係していると見られる者たちのイスラエルへの入場許可を剥奪した。

http://www.jpost.com/Breaking-News/IDF-seals-off-West-Bank-village-following-deadly-Jerusalem-attack-497076

また、ネタニヤフ首相は、ラマダン中、西岸地区から、イスラエルにいる親族を訪問するための特別入国許可を停止した。ただし、祈りでモスクなどを訪問する場合の許可は停止しなかった。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/231153

現在、まだラマダン中で、繊細な時期である。また今、追い詰められているガザのハマスとは、いつ戦争に発展するかもわからない一発触発でもあるため、イスラエルもどう反応するのが最善か見極めが難しいところである。

<ラマダン第3金曜:神殿の丘で30万人礼拝>

上記テロ事件があったのは、ラマダン開始後3回目の金曜日だった。金曜はイスラムの礼拝日で、旧市街の神殿の丘が最も混み合う日である。マアン(パレスチナメディア)によると、テロのあった金曜も、計30万人のイスラム教徒が、神殿の丘で祈りを捧げた。

http://www.maannews.com/Content.aspx?id=777675

来週金曜は、ラマダン最終金曜で、アル・クッズデーにあたる。特にイスラエルへの敵意を確認する日になるため、とりなしに覚えられたし。

*アル・クッズ・デー

ラマダンの最終金曜は、特にイスラエルの”悪”を覚えるためにアル・クッズ(神殿の丘のイスラム名)・デーと定められている。1979年にイランの呼びかけで始まった。
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困窮深まるガザ地区 2017.6.16

 2017-06-16
パレスチナ自治政府のアッバス議長が、ハマス切り捨て政策をはじめたことで、ガザ地区の市民生活への締め付けがさらに厳しくなってきた。

アッバス議長はこれまでに、ガザ地区のファタハ、ハマスへの給与の支払いを停止。肩代わりしてきたガザ地区の電気代支払いの一部も停止した。

さらにYネットによると、ここ3ヶ月に間、医療物資の供給も止めていたらしく、ガザの病院では深刻な医療物資不足に陥っている。

http://www.jpost.com/Middle-East/PA-has-not-sent-medical-shipments-to-Gaza-for-over-three-months-496999

また先週、ガザの主要支援国家であるカタールが、サウジアラビアなど中東4国から断交され、ガザへの支援停止を求められていることから、今後、カタールからの支援も途絶えるみこみとなった。

こうなると、ガザ地区を支援するのは、単発で時々支援するトルコだけということになり、ガザ地区は危機的状況に直面する事態に陥っている。

なぜ今、アッバス議長が、ここまで厳しく、ハマス切り捨て政策に転じたかについては、憶測でしかないが、ハマスを追放してガザ地区の支配権をとりもどすとともに、サウジアラビア陣営に加わり、アメリカや、湾岸諸国の間での立場を向上させるねらいがあるとみられる。

<イスラエルも電力供給の削減を決定>

アッバス議長は、イスラエルに対し、ガザ地区電気代の支払いのうち、40%の支払いを停止するからその分のガザへの電力供給を止めるよう要請してきた。

イスラエルは、人道上の問題もあり、今後、支払いがない分も電力の供給を続けるかどうか検討していたが、11日、国会で、アッバス議長の要請通り、電力をカットすることが決まった。

カットが実施された場合、ガザ地区の電気供給は、1日2-3時間(現在4時間)になるという。こうなると水道やガスの供給にも影響が出てくるとみられ、ガザ地区はいよいよ住みにくい場所になってくる。

ただし、ハマス幹部たちは24時間の電力を得ているとのことで、ツケは結局ガザ市民だけが払うことになる。

ネタニヤフ首相は、「これはパレスチナ人内部の問題であり、イスラエルの問題ではない。」と強調した。しかしながら、そうも言いきれない点もある。

電力をさらにカットすることで、ガザ地区では、下水をますます処理できなくなり、海水に垂れ流しとなる。すでにアシュケロン、アシュドドへと汚水が広がり、このままでは、テルアビブにまで達する可能性も出てきている。

国連は、もしイスラエルが電力の供給をカットすれば、ガザ地区は大惨事にな可能性があると指摘した。これを受けて、一時ヨーロッパ諸国が、ガザへの支援を申し出たとのニュースもあったが、その後は音沙汰がない。

今のヨーロッパは、イギリスのEU離脱や、相次ぐテロ問題で、手一杯なのである。

<ハマスがイランへ支援要請>

ハマスは、エジプトに加えて、イランにも支援要請の代表団を派遣した。エジプトについては大きな結果は伝えられていない。

イランはかつてハマスを支援していたが、シリア内戦において、ハマスが反政府勢力側に立ったことで、以後支援は停止していた。もとより、ハマスはスンニ派で、イランはシーア派である。イスラム教としては決して協力できない関係にある。

それを乗り越えて、共通の敵、イスラエルをはさんで、ハマスとイランが協力し合うようになるのかどうかはまだ不透明である。

http://www.jpost.com/Israel-News/Analysis-Gazas-problems-in-the-greater-scheme-of-things-496674

なお、イランは先週、サウジアラビア陣営に村八分になったカタールへの支援を開始すると発表している。イランは、カタールとは海を挟んで向かい合っているため、海路、物資を搬入することが可能である。

<ガザ地区内部の様子>

マアヤン(西岸地区パレスチナメディア)によると、自治政府が、ガザ地区にいるファタハならびにハマスへの給料支払いを停止したことで、現金が不足し、市場には十分な食料があるにもかかわらず、人々はそれを購入できなくなっているという。

そのため、結局、ガザ市民は、国際支援に頼らざるをえない。しかし、国連の世界食糧機構によると、基金が不足しており、新たに支援金が入らなければ、来月、ガザ市民15万人の食糧支援がカットされることになると懸念されている。

https://www.maannews.com/Content.aspx?id=777634

イスラエルがガザ地区から完全撤退をしたのは2005年だった。それからわずか2年後の2007年、ハマスが、ガザ地区からファタハ(アッバス議長勢力)を追放し、武力でガザを支配するようになった。

それから10年。国際社会は、イスラエルが国境を封鎖し、ガザ地区が実質、監獄状態になっていると非難する。しかし、ハマスのイスラエルへの敵対行為はおさまることがないため、イスラエルは国境封鎖を緩和できないのである。

さらに近年では、エジプトも国境封鎖を行っており、ガザが監獄状態になっているのはイスラエルだけの責任ではない。

いずれにしても、ガザ地区住民の生活は、明らかにハマスの支配が始まる前、もっというなら、イスラエルがガザ地区にいたころのほうが明らかに豊かであった。

こうした状況から、困窮を増していくガザ地区で、ガザ市民自身が、ハマスを転覆する動きも考えられる。しかし、今のところ、まだハマスの恐怖政治は効果をあげていることと、ハマス以外の過激派もガザ地区に入り混んでいることから、ガザの内部事情ははるかに複雑になっていると考えられる。

しかし、内部ではやはり不満が高まっているとみられる。マアヤン(西岸地区パレスチナメディア)によると、11日、ガザ市内で、パレスチナ人同士の争いがあり4人が撃たれて負傷した。1人は重症となっている。

https://www.maannews.com/Content.aspx?id=777588
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パレスチナ自治政府との和平交渉:水面下で進む? 2017.6.16

 2017-06-16
トランプ大統領は、イスラエルとパレスチナの和平交渉再開に意欲を示しており、イスラエル来訪時には、ネタニヤフ首相とアッバス議長双方に会い、双方に何らかの圧力をかけたもようである。

その内容については、明確には報道されておらず、じわじわとその動きが現れてきているが、全貌はまだ明らかではない。これまでに表面化してきていることは以下の通り。

1)パレスチナ自治政府は、テロリスと家族への給与支払いをやめること

トランプ大統領は、アッバス議長に対し、”殺人や暴力”でイスラエルに逮捕されたテロリスト家族への給与支払いをアメリカは受け入れられないとして、停止を求めていた。

これに対し、アッバス議長は、給与は”正当な戦闘員”に対するものであると反論していた。

ティラーソン国務長官は、アッバス議長は、この政策をを変更すると約束したと主張したが、結局支払いはなされるとみられる。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Tillerson-suggests-Palestinian-Authority-will-change-policy-on-terror-funding-496773 

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Israel-Tillerson-wrong-PA-still-paying-jailed-terrorists-496806

2)イスラエル政府は、一部C地区をB地区へ移行せよ

C地区とは、西岸地区の入植地、ならびに道路で、イスラエルが完全支配している地域。B地区は治安はイスラエルが守るが管理はパレスチナ自治政府という地域である。

トランプ大統領は、イスラエルに対し、一部のC地区をパレスチナ側へ移行するよう求めたと伝えられていた。

http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Trumps-envoy-returns-amid-push-to-renew-direct-talks-493972

これを受けてかどうか、ネタニヤフ首相は、水曜、ネタニヤフ首相は、パレスチナ人の村カルキリヤの範囲を拡大する形で、C地区に、パレスチナ人の家屋14000戸を建設する許可を出した。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Israel-advancing-14000-Palestinian-homes-in-Area-C-right-wing-warns-496875

さらに、イスラエル政府はパレスチナ自治政府に、ラマラ、ヘブロン、ツルカレム、ジェニン、カルキリアの5つのエリアA地区から周辺C地区に向けて拡大することを許可するとの通達を行った。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Five-Palestinians-cities-to-expand-into-Area-C-497032

これを受けて、右派系議員、西岸地区入植地を管轄するユダヤ・サマリア地区の代表達は、「政府は、入植地拡大には及び腰なのに、パレスチナ人地域を拡大するのはどうしたわけか」と怒りをぶつけた。

C地区にパレスチナ家屋を建設するということは、将来、2国家分離案に向けて、パレスチナの地域をきめようとしているのではないかとも考えられ、1国家解決をめざす右派たちには、政府の裏切りともとれる動きである。

<イスラエルのとるべき道:リーバーマン防衛相>

リーバーマン防衛相は、今週はじめ、イスラエルのチャンネル2のインタビューに応じ、パレスチナとの合意は近いと語った。

その翌日、それが実現するにあたっては、「まずは、穏健派スンニ派勢(サウジアラビア勢力)との関係改善ありきで、それからパレスチナとの交渉という順番になる」と語った。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Liberman-Israel-Arab-normalization-first-then-Israel-Palestinian-peace-496634

今回のC地区にパレスチナ人家屋を建てるという策は、サウジアラビア勢力の好意を得る一手であるとも考えられる。

アッバス議長もまた、ハマスへの締め上げを行って、サウジアラビア勢力の好意を得る一手をすすめていると考えれば、リーバーマン防衛相が言うように、パレスチナとの交渉・合意は、本当に近いのかもしれない。

これに先立ち、スカットハレルのリック・ライディング師は、イスラエルが悪いたくらみに陥らないよう、とりなしが必要との警告も発していた。ネタニヤフ首相や、トランプ大統領を覚えるとりなしに使うみことばとして、以下の聖書箇所が提示されている。

(詩篇9:13-15、35:4-9, 57:6、119:110、124:1-8、140:4-11、142:2-7)

<右派と左派:それぞれのビジョン>

イスラエルには右派も左派もいる。同じイスラエルのユダヤ人でも、皆が同じ方向を向いているとは限らない。

右派は、パレスチナ人との共存はもはや無理と考え、1国家解決、つまり、イスラエルがエルサレムも西岸地区も全部を支配するべきと考えている。今のネタニヤフ政権は、史上最も右派と考えられている。

数年前、右派シオニストの投資家が発起人となり、一部の右派閣僚も加わって、5800/2050と名付けられた大エルサレム構想が発表された。

それによると、エルサレム市は、今より拡大し、旧市街(神殿の丘)を中心に、ちょうど玉ねぎのように、5つの層に囲まれる形で市境界線が定められている。

エルサレム市に入る主要道路にはゲート(門)が6か所あり、町は、道路のほか、地下鉄と、エルサレム空港もある。

この計画の主要な推進メンバーで、エルサレム市議会議員のアリエ・キング氏は、こうしたエルサレム市の開発の最終目的は、神殿の丘に、ユダヤ人の神殿が再建されることであると明言した。

キング氏は、エルサレムの魅力は、神であり、聖書である。世俗的なフェスティバルを数多く催してエルサレムへの来客を増やそうとする今のバルカット市長の方針には賛成できないと語る。

では最終目標が第3神殿であるとして、今の黄金のドームはどうなるのかとキング氏に聞くと、「それはどこかへ移動させる。」とあっさりと答えていた。

いうまでもなく、エルサレム5800は、パレスチナ人の存在をほぼ無視する形で成り立っており、少なくとも現段階では、とてもなしうることのできない夢物語である。

当然、イスラエル政府、エルサレム市が公式に認めるものではないが、エルサレム遺産相、観光相の閣僚2人は推奨している。

一方、左派は、西岸地区を”占領”していることこそが、パレスチナ人のみならず、イスラエル人をも苦しみに追い込んでいるとして、イスラエルを救うためには、”占領”をやめなければならないと考えている。

具体的には、右派と違って2国家解決を支持。つまり、東エルサレムを含む西岸地区は、全部がパレスチナとなり、入植地は全部、西岸地区から撤退するべきと考えている。

左派たちは、ベツァルエルや、ブレーキング・ザ・サイレンス、SISOといった組織を立ち上げ、イスラエル政府や、西岸地区におけるイスラエル軍兵士の”悪いしわざ”を摘発することにいそしんでいる。

その活動を通して、一人でも多くのイスラエル人に、今の右派政権は間違っているということを分からせたいのだという。

では、その行為を通じて、本当に西岸地区からイスラエルを撤退させるという明確なビジョンがあるのかといえば、実際には無理だろうということもわかっているのか、「私たちが訴えているのは、”占領”が悪いということであって、解決策を論じているのではない」と言っていた。

つまり、右派も左派も、現実的な解決策を提示してるとはいえないということである。
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ネタニヤフ首相:ギリシャ訪問 2017.6.16

 2017-06-16
ネタニヤフ首相は、昨日より、ギリシャのテサロニキを訪問。ギリシャのチブラス首相と、2国間で、外交、エネルギー、ビジネスなど様々な分野で、協力活動を行っていくことで合意した。

その後、キプロスのアナスタシアディス大統領も加わって、天然ガスの海底パイプライン(2200キロ)建設に関しても話し合いが持たれた。

ギリシャとキプロスは、かつてはイスラエルとの関係はよいものではなかった。しかし、ここ数年、ギリシャとキプロスの経済が非常に悪化するのと同時に、イスラエル沖では天然ガスが発見され、3国はこの天然ガスの供給をめぐって、昨年、急接近したのである。

今では、3国で共同で軍事訓練をするほど、関係は深まっている。


http://www.timesofisrael.com/netanyahu-in-greece-med-pipeline-would-be-revolution/
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大地震に備えるイスラエル 2017.6.16

 2017-06-16
イスラエルは、ヨルダン渓谷を挟んで地下のプレートが反対方向に移動する場所にある。このため、ほぼ100年に一度大きな地震がきて、大きな被害を残している。現在、その100年目はすでに過ぎており、いつ大地震がきてもおかしくない時期にあるという。

しかし、イスラエルの多くの建物は1930年代のもので、一階部分は細い足だけというアパートが多い。実際に大地震がきた時には、それらが倒壊し、大災害になることは避けられない。

政府は、大地震発生時には、死者は少なくとも7000人。9500人ががれきに閉じ込められ、17000世帯が家を失うと見て、最悪のシナリオで準備をすすめている。

今年も、先週、数日をかけて、イスラエル軍、警察、病院などが救出訓練を行う他、教育機関などでは避難訓練が行われた。

イスラエルでは、地震の余地機能システムも発達している。Yネットによると、ヨルダン渓谷にそって10キロごとに地震波を吸収するフェンスが地下に埋められており、地震を吸収するとともに、通常は、地下プレートの動きを計測している。

もし地震発生の予兆があった場合、ただちにシステムが、人間の声で逃げるようにと警報が鳴り響くよう設定されている。人間の判断をはさまないので、地震の数十秒前には警告するテストも完了しており、多くの命を救うと期待されている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4974857,00.html
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イスラエル日本学会:日本イスラエル国交65周年 2017.6.16

 2017-06-16
イスラエルにはイスラエル日本学会(IAIS)があり、2-3年ごとに、日本を研究する学者たちが、日本の文化、ビジネス、政治、アートなど様々な角度から日本に関する研究発表を行っている。

出資は、国際交流基金と日本大使館、つまりは日本外務省で、今年6月11-13日の3日間、ハイファ大学、エルサレムのベツァレル・芸術大学が中心となり、カンファレンスが行われた。ハイファ大学だけでなく、ヘブライ大学、テルアビブ大学からも教授や学者たちが招かれていた。

日本からは、在イスラエル日本大使の富田浩司大使はじめ、慶応大学教授、阪大教授、また今回は特にベツァレルアカデミーと提携を始める東京芸大の教授や学生さんたちが参加していた。また福島原発の今を発信しつづけている日本人活動家らも発表した。

今年は、特に平成時代がテーマになり、戦後昭和から、日本がどう変わってきているのか、どこへ向かっているのかなどが、多角的に論じられた。

政治経済では、バブル後の日本は、グローバルゼーションの波に乗り遅れたために、ビジネスが悪化の一途をたどっていると指摘された。

具体的には、日本の大企業が、市場を国内にのみ求める傾向にあり、海外への進出を真剣に求めていないこと。また、海外に進出した際に、現地の会社を買収せず、また、現地の人材を徴用することもしないため、失敗するケースが多いという。

こうしたグルーバリゼーションへの乗り遅れと、製造業の減少、また高齢化で労働力の低下などから、日本の将来は明るいとはいえない、と警鐘を鳴らした。日本を愛するイスラエル人学者たちが頭を揃えて、どうしたらよいのかと、懸念してくれていた。

しかし、国力は低下しているものの、日本の文化への注目度はむしろ上がっているということだった。私たち日本人はあまり気にもしていないが、イスラエル人の目からみると、日本文化は独特で、奇妙な点もあり、だからこそおもしろいようである。

特に日本には「かわいい」という感覚があるが、これを正確に表現する英語、ヘブル語表現はない。カンファレンスでは、心理学的視点なども含め、「かわいい」とは何か、詳しく、かつ細かく研究されていた。

「かわいい」は、日本では、警察などのイメージを変えたり、購買意欲を伸ばすなど経済効果もあげている。このため、日本の文化外交でもさかんに使われているようである。(イスラエル人の方がよく知っている。。。)

しかし、稲田防衛大臣が、文化外交だとして、「かわいい」コスチュームに身をつつんでいる写真に、イスラエル人たちは、驚愕していた。イスラエル人にとって、防衛大臣は、ハードボイルドでしかありえないからである。

それにしても、ハマスやヒズボラ、イランばかりを論じているのがイスラエルでない。日本の「かわいい」まで細かく研究しているという、この余裕がなんとも面白かった。

<国交65周年:リブリン大統領との交流会>

カンファレンス後、日本大使館が、キングデービッドホテルに主要な教授たちと、リブリン大統領を招いて、両国の国交65周年を記念するレセプションを行った。

リブリン大統領は、日本の「金継ぎ」をあげ、壊れたところに金で継ぎをすることで、以前より美しいものになる。そういう経験は両国が共有するものだと述べた。(GPO報告)

国交65周年ということは、日本は、建国後5年しかたっていない時期のイスラエルと正式な国交を結んだことになる。
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イスラエル国内ニュース 2017.6.11

 2017-06-11
イスラエルは初夏だが、日中は本格的に暑くなってきた。エルサレムでも昼間は28−31度。テルアビブは27−31度(湿度は日本並み)。土地が低いガリラヤ湖は35−41度。最南端のエイラットでは42度にまで上がることがある。無論、雨はまったくなし。

観光客もかなり押し寄せており、西壁トンネルは連日、超満員。エルサレムアッセンブリーでは、ここしばらく、大型観光バスでやってくる海外からの異邦人クリスチャンが加わって、超満員礼拝が続く。今日も礼拝堂に入りきれず、別の部屋で同時ビデオ礼拝が準備された。

* アンソニー・シモンさんの遺体戻る

5月末、イラクで聖書配付中に、交通事故で死亡したアンソニー・シモンさんの遺体がイラクからイスラエルへ無事戻ってきた。12日(月)、エルサレムのジャーマンコロニーにあるプロテスタントの墓地に埋葬されることになった。

<市民生活はおおむね平和>

中東情勢はきわめて緊張しているが、イスラエル国内はおおむね平和にやっている。6月は各地でフェスティバルも予定されている。

1)ゲイ・プライド・パレード(テルアビブ)6/9

9日金曜は、さんさんと照りつける地中海の太陽の元、テルアビブでゲイ・プライド・パレード、ならびにビーチ・パーティが行われた。Yネットによると、20万人以上が参加した。

http://www.jpost.com/Israel-News/LIVE-Tens-of-thousands-march-in-Tel-Aviv-LGBT-Pride-parade-496376

20万人がゲイというわけではない。ゲイを支持する人も多数参加する。統計によるとイスラエルのユダヤ人79%は、同性結婚に賛成しているとのこと。テルアビブでのゲイ・パレードは、多様性容認、民主主義を謳歌するフェスティバルでもある。

毎回、お伝えしているが、テルアビブのゲイは、日本のように、可愛らしい系のおねえキャラではない。大半は、美男子が男性美を強調するゲイである。女装しているゲイは、大柄で凄味があり、迫力満点で、厚化粧の魔女みたいである。

パレードでは、いろいろなLGBT団体が山車を出すのだが、山車の上では上半身はだか、もしくはほぼ全裸状態の男性たちが踊りまくっている。今年はなんと、イギリス大使館が、この催しに賛同するとして独自の山車を出している。

イスラエル人は子供好きなので、ゲイカップルが、子供たちを養子に迎え、育てるということが行われている。その点も今年はテーマになっていた。

それにしても、パレードの後のビーチ・パーティでは、文字通り人・人・人の大混雑。治安部隊の優秀さを思わされた。

2)エルサレムでブック・フェスティバル 6/11-15

ユダヤ人たちは相変わらず本が大好きである。一般家庭でも図書館のように壁いっぱいが本棚担っている家も少なくない。毎年恒例で、今年も明日から1週間、エルサレムの旧鉄道駅広場で、ブック・フェスティバルが行われる。

比較的安価に本が購入できるため、毎年大勢の人で賑わっている。

http://www.jbookfair.com/en/

少し先になるが、エルサレムでは、6月28日(ラマダン終了後)からは旧市街全域を光の芸術で飾る毎年恒例のライト・フェスティバルも予定されている。http://www.lightinjerusalem.org.il/index.php?langpage=eng

3)ハイファ大学で”平成・日本”カンファレンス 6/11-13

ハイファ大学では、明日から3日間、”平成・日本”に関するカンファレンスが行われる。このカンファレンスでは、イスラエル人たちが、近代日本の政治、外交、ビジネス、文化、市民生活に至るまで様々な角度から”日本”を考え、研究成果を発表する。

主催はIAJS(イスラエル日本学会)で、ハイファ大学アジア学科が中心となって行われる。テルアビブ大学やヘブライ大学からもスピーカーが来る。日本からは、駐イスラエル日本大使の富田浩司氏もスピーカーとして招かれている。筆者も取材予定。

http://www.japan-studies.org

<アラブ系市民は警察と衝突>

先週月曜夜11:30pm、テルアビブからさほど遠くないアラブ人地区クファル・カシムで、警察が住民の一人を職務質問し、身柄を拘束しようとしたところ抵抗。村人約50人がこれを助けようとして警察と衝突となった。

この時、現場にいたモハンマド・タハさん(27)が、市民警察隊に頭を撃たれて死亡した。家族はなぜ殺すに至ったかについて、納得いかないと訴えている。

クファル・カシムでは、犯罪による殺人が相次いでおり、過去2ヶ月の間に6人が死亡したという。警察は、これまでのところ、犯人の逮捕も捜査も行っておらず、住民の間で警察への不満が高まっていた。

本日土曜、クファル・カシムではアラブ人とユダヤ人も加わって1700人が、モハンマドさんの家族を支持し、警察に対する不満を訴えるデモを行った。これについては平和に終わっている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4973862,00.html

*ユダヤ人優位?のイスラエル

イスラエルは確かにすぐれた民主主義の国である。しかしながら、どうしてもユダヤ人が優先になりがちで、ユダヤ人以外はなにかと差別を感じているようである。*注・同じユダヤ人でも白人でないユダヤ人(エチオピア系など)も同様の経験を訴えている。

治安維持についても、ユダヤ人保護が優先されるためか、アラブ人保護に十分な努力がなされていないという現状は否めないようである。クファル・カシムのように犯罪が野放しになり、殺人事件が闇に葬られているというアラブの村はここだけではない。

イスラエルで生まれ育ったアラブ人(総人口の20%)にとっては、祖国から2級市民扱いされていると感じ、かといって、イスラエルが祖国であることには違いなく、葛藤をもちつつ生きているといった感じである。
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激動の中東:まとめ 2017.6.11

 2017-06-11
中東が非常にややこしいことになっている。この真っ只中で、イスラエル市民がおおむね平和にやっているというのも不思議なほどである。中東情勢について、また、それとイスラエルの関連については以下の通り。

<アメリカとイランとの対立:スンニ派VSシーア派鮮明に>

先週、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、バハレーン、エジプトの中東4国が、カタールとの国交断絶を宣言。イエメン、リビア、モルディブがこれに続き、ヨルダンまで、国交のレベルを下げるに至ったことは前回お伝えした通り。

サウジアラビアなどが、国交断交によりカタールに要求しているのは、ムスリム同胞団をはじめとする過激派への支援とイランとの協力関係を断つことである。

アメリカのトランプ大統領はこの動きを賞賛し、「中東諸国が過激派撃滅への動きだした。」として、先月の自らの訪問の影響であると自負するコメントも出した。

http://www.reuters.com/article/us-gulf-qatar-idUSKBN18X0KF

サウジアラビアやエジプトなどはこのトランプ大統領のコメントを歓迎している。これで、アメリカは、スンニ派諸国の側についたことが明らかになった。

一方、シーア派のイランは、これに反発し、「サウジアラビアこそテロ組織を支援している国だ。アメリカこそテロ支援国家だ。」と訴えた。

この後になって、ティラーソン国務長官が、「湾岸諸国は、(カタールも含め)一致に向けて話し合うことを望む。」と、カタール断交に反対するかのようなコメントを出したが、先にトランプ大統領が、すでにカタールとの断交を賞賛していたこともあり、中東諸国はこのよびかけには反応しなかった。

http://edition.cnn.com/2017/06/05/middleeast/qatar-us-largest-base-in-mideast/index.html

1)カタールはどうなる?

カタールは小さい国だが、世界への影響力は大きい。液状ガスの輸出で世界で最も裕福な国の一つ。液状ガスの最大輸入国は日本である。今回のことで、カタールの株は下がったが、幸い、今のところ、市場に大きな影響はでていない。

しかし、カタール自体への影響は大きい。カタールは食料の90%を輸入に頼る国で、そのうち30%は、今回断交されたサウジアラビアに頼ってる。サウジアラビアとの国交断交により、交通路が遮断され、さらにはサウジアラビアの上空を空路として使えなくなった今、カタールは、人道的危機に陥る可能性もでてきた。

また、カタールには、エジプト人18万人、フィリピン人20万人ほか、パレスチナ人も多数出稼ぎに来ている。フィリピンは、カタールへの労働者の派遣を停止した。

2022年には、W杯も開催予定であるが、どうなるかは不明。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-40173757

<アメリカの矛盾?>

トランプ大統領はカタール村八分を賞賛しているが、カタールには、イラク・シリアのISIS空爆に向かう最大の空軍基地がある。カタールに駐屯するアメリカ軍は11000人規模である。これについて、世界はトランプ大統領がまたわけのわからないことをしていると批判した。

しかし、ティラーソン米国務長官は、これがISIS攻撃に影響することはないと構えおり、あわてた様子はない。実際、それに関することの問題は今の所伝えられていない。

http://edition.cnn.com/2017/06/05/middleeast/qatar-us-largest-base-in-mideast/index.html

*そもそもなぜカタールは村八分?

カタールは以前より、湾岸諸国で昔から混乱をもたらしてきたムスリム同胞団を支援しているとされ、その傘下にあるハマスなど過激派の事務所を首都ドーハにも受け入れていた。この点においては、同じくテロ組織支援を疑われているイラン(シーア派)と、カタールは協力関係にあると指摘されていた。

さらにカタールは、アラブ系メディアのアル・ジャジーラを創設し、カタールの意向を反映する形でニュースを配信し、中東の混乱を拡大させていると言われていた。

そういうわけで、サウジアラビアとUAE、バハレーンなどの湾岸諸国は、すでに数年前からカタール反発を感じており、数年前から軽い制裁を行い、カタールに派遣していた大使も召還していた。

しかし、先月末、カタール国営放送のアルジャジーラが、イランを賞賛するニュースを発表したことをきっかけに、これまでの制裁では効果がなかったとして、今回、一気に制裁レベルをあげ、湾岸諸国から村八分に処したというわけである。

アルジャジーラの報道について、カタールは、サウジアラビアにハッキングされたと反論している。

この他、湾岸諸国を怒らせることがいくつか挙げられている。ファイネンシャル・タイムスによると、カタールの王家の一員が誘拐され、10億ドルもの身代金をイラクの過激派に支払った。過激派支援につながったとみられた。

アメリカのトランプ大統領が多額の武器売却を湾岸諸国全体に申し入れていた時、カタールがぎりぎりになって受注をキャンセルした。このため、サウジアラビアが一気に多額な金額を支払わなければならなくなった、(これについての真否は未確認)など、嫌われる要素はいくつもあったようである。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-40173757

2)カタール外交努力:米ロ双方を訪問

カタールは今の所、サウジアラビアなどの要求に応じる気配はない。9日、カタールのアル・タニ外相は、ワシントンを訪問。ティラーソン米国務長官に面会し、「支援している言われるハマスについては、テロリストではなく、民族運動であるとの認識だ。」と語った。

この後、ティラーソン国務長官は、人道危機を招きかねないので、サウジアラビア等は、カタール包囲(交通の遮断)を解かなければならないとの公式発表を行った。無論、この要請が聞かれた様子はない。

https://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2017/05/270732.htm

続いて10日、アル・タニ外相は、モスクワでロシアのラブロフ外相と会談した。ロシアのラブロフ外相は、湾岸諸国は話し合ってこの問題を和解するべきだと語り、ロシアはそのために必要な支援はすると語った。

http://edition.cnn.com/2017/06/10/middleeast/qatar-crisis/index.html

この他、クウェートや、ドイツが、仲介を試みていると伝えられていたが、今の所、進展は伝えられていない。

3)イスラエルへの影響:ハマスに要注意

アメリカが、スンニ派諸国を支援して、イランとの対立姿勢を明確にし、最終的には、昨年オバマ前大統領がイランとかわした核兵器に関する合意を破棄しようとしていることは、イスラエルの立場と同調するものである。

さらに、サウジアラビアがアメリカと協力関係になれば、イスラエルはいざという時に、サウジアラビアから戦闘機を飛ばしてイランの核施設を攻撃することも、もしかしたら可能になるかもしれない。

また今回、サウジアラビアは、カタールにムスリム同胞団への支援停止を求めたが、その際、”ハマス”のようなとハマスを名指しで指摘した。おそらくトランプ大統領の要請であったと思われるが、これはイスラエルに協力するかのような流れである。

これについては、カタールは、すでに国内のハマスメンバーを国外に追放している。

しかし、ハマスへの締め付けが厳しくなりすぎると、ハマスがイスラエルへの攻撃をしかけてくる可能性も出てくる。それが中東諸国の支持を得る最終手段だからである。

カタールがハマスを支援できなくなると、代わりにイランをガザ地区へ呼び込むことになる。実際、ハマスは、2人の主要指導者をエジプトとイランへ派遣している。

なお、エジプトへ行っているのは、新政治部門代表アヒヤ・シンワル。イランへは、イシュマエル・ハニエが向かっている。

http://www.timesofisrael.com/amid-pressure-for-qatar-to-cut-ties-hamas-delegation-to-visit-iran/

イスラエルは、昨今、ナイフでテロをしかけてくるパレスチナ人への対処で、厳しい処罰ではなく、パレスチナ支援というアメを使って、第三インティファーダに発展するところをうまく阻止したと言われている。これは、パレスチナ自治政府のハムダラ首相も認めた点である。

今度、ハマスに対してどういう対処をとるのか、アメとムチをどう使っていくのか、今まで以上に知恵が必要になっている。

*UNRWAが、学校地下にハマスの地下トンネルを発見

UNRWA(国連パレスチナ難民救済機構)が、1日、UNRWAがガザ地区で運営する男子小学校の地下からハマスの地下トンネル2本を発見したと伝えた。

ハマスのトンネルが、学校の下にあるのは今に始まったことではない。しかし、通常ハマスをかくまうといわれているUNRWAが、自らハマスのトンネルを摘発するのはめずらしい。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/UNRWA-discovers-Hamas-tunnel-under-Gaza-schools-496394

これを受けて、イスラエルのダノン国連代表は、安保理に「テロ組織ハマス、ガザの市民を巻き込んでいるということを調査すべきである。」と訴えた。

http://www.timesofisrael.com/israel-protests-hamas-tunnel-under-gaza-un-schools/

*ニッキー・ヘイリー米国連代表:ハマスのトンネルを視察

ニッキー・ヘイリー米国連代表は先週、ジュネーブでのUNHCR(人権保護委員会)での会議に出席し、この委員会でのイスラエルにのみ非難決議が極端に多いことを指摘。その後イスラエルを訪問した。

ヘイリー代表は、ネタニヤフ首相、リブリン大統領を公式訪問したほか、嘆きの壁、ヤドバシェムでは涙するところもみられた。またイスラエル南部のキブツ周辺で発見されたハマスのイスラエル侵入用の地下トンネルを視察。ガザ周辺住民にも会った。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4973377,00.html 

<追い詰められるISISとその反撃:モスル(イラク)、ラッカ(シリア)>

イラクとシリアでISIS掃討作戦が続けられ、いよいよその本拠地とされるモスル(イラク)、ラッカ(シリア)が陥落に近づき始めている。これにより、ISISの攻撃はヨーロッパや国外に広がりをみせている。

1)ラッカ(シリア)

アメリカが支持するシリア反政府勢力のSDF(シリア民主主義軍ーシリア人とクルド人勢力)が、ISISの首都と目されるラッカへの攻撃を開始した。ラッカには4000人のISIS戦闘員がいるとみられる。市民は20万人で、激しい戦闘で多数の犠牲者が出ると懸念されいる。

 http://www.bbc.com/news/world-middle-east-40234251

2)モスル(イラク)

イラクでISISに支配されていた最大の町モスルへ、アメリカの支援を受けたイラク軍と有志軍が進軍を開始してから8ヶ月。いまやモスルは孤立し、イラク軍も町の制覇へと近づいている。

今も1000人はいるとみられるISIS戦闘員は、住民を盾として使い、逃げようとする人々を銃殺するなど悲惨なことが続いている。

BBC6月8日の報道では、シファ地域から逃げようとしたイラク市民が少なくとも231人は殺害された。

その前の5月31日には50−80人、5月26日には27人、また同じシファ地域のペプシ工場付近では163人が殺害されたもようである。

3)ISISの反撃

ISISは海外にいるメンバーにテロを呼びかけている。イギリスではマンチェスターで22人が死亡、その後ロンドンでのテロでは8人が死亡した。

①テヘラン:政府議会堂とホメイニ霊廟でテロ:17人死亡

イランは、イラク・シリアに革命軍を派遣して、ISISはじめ反政府勢力と戦っている。これを受けてISISがなんとイランの首都テヘランのしかも政府議会堂とホメイニ霊廟でテロを実行した。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4973984,00.html

これにより17人が死亡。まもなくISISが犯行声明を出した。イランのザリフ外相は、このテロの背後にサウジアラビアとアメリカがいると非難したが、イランのハメネイ・イスラム最高指導者は、これを受け流す姿勢を示した。その後、イランからの目立った動きは伝えられていない。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-40198578

この動きについて、イランの中東を制覇しようとしていたもくろみが崩れ始めているのではないかとの分析もある。

イランは、今、予想に反してシリア内戦が継続していることで兵士を予想以上に失っている。さらにはロシアがシリアにシリアに居座るみこみで、ISIS打倒の後、イランが、この地域で、どの程度、影響力を維持できるかは不明。

また、アメリカのトランプ大統領が強力にサウジアラビアを支援し、中東に乗り込んできたことから、中東での主導権をイランが握る可能性はますます薄らいでいるとの見方もある。

②フィリピン:マラウィを奪回へ

ISISはアジアにもいる。フィリピン軍は、ISIS関連組織に支配されていた南部の町マラウィを奪回するべく、激しい戦闘を続けている。町の解放は今週月曜を目標としている。BBCによると、これまでに少なくとも戦闘員138人、市民20人が死亡した。

フィリピンとアメリカの関係はオバマ大統領の時は、冷え切っていたが、トランプ大統領になってからは、関係が回復に向かっているもようで、このマラウィでの ISISとの戦いには、アメリカの特殊部隊が支援しているという。

http://www.bbc.com/news/world-asia-40231605

トランプ大統領になってから、確かに世界の流れは変わってきているようである。しかし、それが世界を安定に向かわせるものなのか、逆に大戦争に向かわせるものなのか、まだそのどちらにもなりうる気配である。

しかし、各メディアが共通して言っていることは、「かつてアメリカが中東で権力を持っていた時代とよく似た形になりつつある」ということである。

いずれにしても、ISISが全世界でテロを扇動しているので、どこでテロが発生するかわからない。今、テロをどこかで計画しているものたちの目が開かれるようにとりなしを。
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今日:六日戦争から50年 2017.6.5

 2017-06-05
今日6月5日は、ちょうど50年前の1967年に六日戦争が勃発した日である。*5/24の統一記念日はユダヤ歴による記念日

神殿の丘を征服し、エルサレムが統一されたのは、3日後にあたる6月7日。戦争が終わった6月10日、イスラエルは、シナイ半島、エルサレム、ヨルダン川西岸地区、ゴラン高原を征服し、中東の地図は大きく塗り変わった。

しかし、この地域は、実際のところ、638年から今にいたるまで、十字軍とイギリス統治時代をのぞいては、基本的にイスラムの支配下にあった地域である。

日本史でいえば、大化の改新、飛鳥・奈良時代以降、つまり日本史のほぼすべての時代、ずっと基本イスラムであったということである。それをたった六日で覆した六日戦争というのは、歴史的をはるかに超えて、奇跡そのもであったといえる。

したがって政治的には、いくらこの地域を征服したとはいえ、全世界のイスラムを敵に回す恐れがあり、大々的な勝利宣言を出すことに慎重になったというのが、当時のイスラエル政府の判断であった。

しかし、このときのあいまいが、今に続くパレスチナ問題の元凶になったといわれている。

あいまいな形で征服した地をとりあつかったことで、後に国際社会からは、イスラエルは「占領」していると非難され、エルサレムを統一したことも国際法上、違法と言われる。

そういうわけで、50年たった今、イスラエルでは、「イスラエルは戦争に勝ったのかどうか」とか、「六日戦争はまだ終わっていない。」などと議論されるようになっている。

*六日戦争について

5日、BBCは、この戦争に関するビデオを出したが、6月5日にイスラエルが、エジプト空軍基地を先制攻撃した、というところから始まっていた。なぜ先制攻撃したかというところは完全にカットされている。

http://www.bbc.com/news/av/world-middle-east-40136166/six-day-war-what-happened-in-60-seconds

実際には、当時エジプトは、イスラエルに対する挑発をし続けており、アラブ4カ国軍が国境に迫っていて、総攻撃されることはもはや時間の問題となっていた。そのため、イスラエルは、攻撃されるのを待たずに先制攻撃することにより、圧倒的不利を有利に変えたのであった。

https://www.youtube.com/watch?v=H1-ZZObkSI8 六日戦争をアニメーションで説明

http://www.sixdaywarproject.org 六日戦争を時間を追ってビデオで紹介するサイト

<国連のイスラエル偏見を指摘:ヘイリー米国連代表>

六日戦争以来、50年もくすぶっているパレスチナ問題において、イスラエルは常に悪玉となった。国連では、イスラエルを非難する決議が圧倒的に多いという、非常に不自然なことがずっとまかり通っている。

ところが、今年、それをはっきりと指摘した人がいた。トランプ政権が、国連のアメリカ代表として指名したヘイリー代表である。

ヘイリー米国連代表は、国連の人権保護委員会についての記事の中で、「この委員会では、”人権は守られている”と記録されているイスラエルを非難する決議を70以上出している。

一方で、”人権は守られていない”と記録されているイランへの非難決議は7回しか出されていない。何かがおかしいのは明らかである。」と主張した。

ヘイリー代表は6日、ジュネーブでの人権保護委員会でこの件について発言するみこみ。その翌日7日には、就任後初のイスラエル訪問が予定されている。

http://www.jpost.com/Israel-News/Nikki-Haley-UN-must-stop-wrongly-singling-out-Israel-for-criticism-494670

<ネタニヤフ首相・西アフリカを訪問>

国連は、多数決が原理の組織である。その国連ではどうしてもイスラム国が多数派なので、理屈はどうあれ、常にイスラエルに勝ち目がないのである。

パレスチナ自治政府が、国へのアップグレードを目的に、イスラエルとの直接交渉をスキップして、国連へ嘆願書をもちこんでいるのもこのためである。

そこでネタニヤフ首相は昨年からアフリカ諸国に目をつけている。多数の国からなるアフリカ諸国(54カ国)の中から、イスラエルに友好的な国をできるだけ増やすことができれば、国連で有利になるとみこんでいるのである。

そのためイスラエルは、貧しいアフリカ諸国の技術支援などに投資しはじめている。結果、すでにトーゴ、ギニア、ガーナなど西アフリカ諸国が国連においてイスラエルに有利な票を投じるようになっている。

http://www.jpost.com/Israel-News/Netanyahu-Africa-key-to-UN-support-for-Israel-480999

ネタニヤフ首相は、4日、ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)からの招致を受け、この会議で演説するため、ステイニッツ・エネルギー相や、ウリ・アリエル農業相を伴って、1日だけの予定でリベリアを訪問した。

ECOWASが、アフリカ諸国以外の首脳を招致するのはイスラエルが初めてである。

ただし、ネタニヤフ首相招致に同意しなかったモロッコは、大統領が欠席し、他の複数の国も出席代表のレベルを下げるなどしたもようである。

しかし、開催国のリベリアでは、ネタニヤフ首相は暖かく迎えられた。イスラエルは、リベリアに2000万ドルの太陽エネルギー施設への投資を約束し、ECOWASにもこの先4年で、加盟諸国のための、エコエネルギープロジェクトに10億ドル以上を投資すると約束した。

ネタニヤフ首相はWCOWASにおいて、こうした支援をする代わりに、国連ではイスラエルに好意的な票を投じてほしいということをはっきりと述べている。

なお、西アフリカは、昨今、猛威をふるったエボラ熱の収束が、昨年宣言されたばかり。今回イスラエルが多額の支援を決めたリベリアは、貧困率80%ともいわれ、世界で5番目に貧しい国。シエラレオネも、貧困から世界で最も寿命が短い国である。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/To-avoid-bumping-into-Netanyahu-Moroccan-king-cancels-participation-in-Africa-meeting-494642

余談になるが、こうしたエコエネルギー支援は、地球の温暖化を防ぐだけでなく、政治的な利点を生み出す可能性もあるということのようである。

パリ協定を蹴ったアメリカはそれを放棄したわけで、今後、アメリカに変わってこの分野で進出するとみられる中国のアジアでの動きが注目される。
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トランプ効果?:中東5カ国がカタールと断交 2017.6.5

 2017-06-05
トランプ大統領の外交手腕は、全体像が隠されているだけに、どこまでどう計算し、実際に何を動かそうとしているのが不明瞭なまま世界が振り回されているようである。

トランプ大統領がサウジアラビアでイスラム諸国50カ国の首脳代表をに向かって、「アメリカに頼らず、それぞれがテロと戦う必要がある。アメリカはそれを支援する用意がある。」と訴えてから約2週間。中東諸国が異例の動きをみせた。

4日、中東4諸国(サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、バハレーン)に続いて、イエメンが加わり、中東5国が、カタールとの国交を遮断すると発表したのである。

カタールは湾岸諸国の一つで、サウジアラビアにくっつくようにして存在する半島の国。サウジアラビア、バハレーン、UAEからの国交遮断は、まさに湾岸諸国からの村八分といえる。

これら5国がカタールと外交を遮断するの理由は、カタールが、ムスリム同胞団はじめ、ISISやアルカイダなどのテロ組織を支援し、イランとも関係して、中東の治安を脅かしているというものである。

なお、トランプ大統領は、これらのテロ組織に加え、ハマスとヒズボラも撃滅すべきテロ組織にあげていた。

Yネットによると、今回の国交遮断の発表に先立ち、カタールは、ハマスメンバーに、国外へ退去するよう、通告していた。すでに2人がカタールから出たもようである。しかし、いずれにしてもこの国交遮断が発表されてしまった形である。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4971577,00.html

なお、今のところ、カタールからの声明はまだ出されていない。

<ハマスとイスラエルへの影響>

カタールは、ハマスの主な経済的支援国である。カタールは、この4月にも、燃料不足で電気の供給が極端に少なくなったガザ地区のために、トルコとともに燃料を緊急支援してた。

そのカタールが、ガザと隣接するエジプトを含む中東5国と国交を遮断されたとなると、これはガザのハマスにとっても締め付けとなりうる。カタールの支援なしにハマスは生き残れないという見方もある。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Past-Israeli-emissary-to-Qatar-Hamas-wouldnt-survive-without-Doha-494889

加えて、ハマスは今、パレスチナ自治政府のアッバス議長からの締め付けも経験している。前々回お伝えした電気代の肩代わりを停止されたことで、ハマスは、深刻な電気不足にみまわれている。

また、Yネットによると、アッバス議長は、イスラエルで囚人となっていて、人質となっていたイスラエル兵のシャリート軍曹との交換で、釈放され、ガザへ送られたハマスメンバー277人への給与を差し止めたもようである。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4971474,00.html

単にハマスとファタハの内部闘争の一面と思われるが、イスラエルに関連したハマスメンバーが、対象となっていることから、アッバス議長が、トランプ大統領とイスラエルの圧力で、この給料差し止めを実施させられたのではないかとの見方もある。

しかしながら、こうしたハマスへの締め付けが、全部イスラエルにとって益になるかどうかはわからない。

たとえば、電力不足で、下水処理ができないため、ガザからは地中海に下水がどんどん垂れ流しになっている。エレツ検問所では、悪臭がただようほどだという。

最悪なことに、ガザ地区とイスラエルの境目に海水の無塩化工場があるが、採取する付近の海水が下水で汚染しているため、工場は今も操業できないままである。

また、ハマスがカタールの支援から遮断された場合、不満が爆発して再びイスラエルとの戦争になっていく可能性もあるし、
その反動でイランがハマスを支援しはじめる可能性もある。

今回の中東5国のカタール村八分政策が、ハマスにどう影響してくるのか、イスラエルにどう影響してくるかは、まだ先行き不透明である。

<保安官・中東に戻る!?>

イスラエルやアメリカのメディアでは、トランプ大統領が、前のオバマ大統領が積み上げたものを全部ひっくり返しながら、中東で影響力を取り戻そうとしている様について、「Sherif in Middle East returned.(中東に保安官戻る)」といった言い方がなされている。

保安官かどうかは不明だが、中東諸国は、イスラエルも含め、ハマスに至るまで、皆が振り回されているのは確かである。ただトランプ大統領が、どこまで計算しているのかはわからず、非常に危険なゲームをしているようでもあり、はらはらさせられているところである。

http://www.jpost.com/Middle-East/Analysis-Whats-the-new-US-sheriff-in-the-Middle-East-up-to-494767
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ゲイ・プライド・ウィーク開始:テルアビブ 2017.6.5

 2017-06-05
今年も6月4日、毎年恒例、今年17回目となるテルアビブでのゲイ・プライド・ウィークが始まった。イベントは11日まで開催される。

テルアビブは2012年には、世界ベスト・ゲイ・シティに選ばれている。以後、中東に限らず、世界中からゲイがやってくる街になった。
9日に予定されているパレードでは、20万人の参加が予想されている。

エルサレムポストの記事では、ある統計によると、イスラエルのユダヤ人で同性結婚に同意する人は2015年には64%であったが、今は76%になっているという。パレードでは、ゲイの人もゲイでない人も賛同するとして、ビールを片手にパレードを楽しむことになる。

テルアビブ地域は、かつてビールを好んだペリシテ人が住んでいたところだが、なんと今もその風景は変わっていないようである。

http://www.jpost.com/Israel-News/Culture/Pride-2017-Tel-Avivs-last-gay-bar-is-BACK-and-hotter-than-ever-494803

<トランプ大統領:ゲイ月間を無視?>

とにもかくにもオバマ大統領のしたことを全部ひっくりかえしているのが、トランプ大統領である。そのオバマ大統領がこだわったのが、ポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)であった。

ポリコレとは、政治的に正しいということで、人種差別などの偏見を防ごうとするものである。これにこだわりすぎると、実質がみえなくなり、バランスを崩してしまうことになる。

たとえば、アメリカではゲイの人々に対する差別偏見にこだわるあまり、その信教によれば同性結婚を認めないキリスト教会が、ゲイカップルの結婚式を拒めば、ペナルティが課されるようになっていた。

トランプ大統領は、こうした流れに終止符をうつと言っている大統領である。その一環か、トランプ大統領は、オバマ大統領以来、6月をゲイ月間とするということに無視を決めているもよう。

6月、オバマ大統領は、ホワイトハウスを虹色にライトアップしていたが、トランプ大統領はこれをしないとみられる。ゲイ組織などからはブーイングが出ている。

http://www.nydailynews.com/news/politics/lgbt-leader-calls-trump-snub-pride-month-shameful-article-1.3221324
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イラクで福音に死す:アンソニー・シモンさん 2017.6.4

 2017-06-04
イスラエル人のアンソニー・シモンさん、”トニーさん”は、イギリスの正統派家族に生まれ、35年前に、18歳でイスラエルに帰還。その後救われて、メシアニック・ジューとなった。

2年ほど前から、イラクに聖書を届ける働きをしていたが、5月29日、イラク(イルビル)で車にはねられて死亡した。常に福音宣教に邁進するパウロのような兄弟であったという。享年53歳。

トニーさんを取材していた韓国人のHさんによると、遺体はまだイラクにあるとのこと。

トニーさんがイギリスのパスポートでイラク入りしていたことから、遺体をイラクから運び出す責任は、イスラエル政府ではなく、イギリス政府になる。その場合、遺体はいったんイギリスへ運ばれ、そこからイスラエルへ運ばれることになるが、イスラエルに戻すのは非常に困難だという。

トニーさんの遺族が、「はねた人を赦すので、逮捕しないでほしい。」という趣旨の手紙をイラク当局に送付したとのことで、遺体は、現在、トニーさんをはねた人の家族が丁寧に管理してくれているとのこと。

遺族は妻と成人している2人の息子と娘。もうすぐ初孫が生まれる予定であった。

遺体はないが、6月1日、エルサレムの所属教会(バプテスト・ハウス)で葬儀が行われた。

<福音宣教にかけた人生>

イスラエルでは、信教の自由が認められている。しかし、ユダヤ人にキリスト教の福音宣教することだけは禁止で、場合によっては刑事問題になる。

路傍伝道などを繰り返すと、外国人の場合は国外追放になり、トニーさんのように市民権を持っている人でも、市民権を剥奪され、国外追放になる可能性がある。

しかし、トニーさんは救われて以来、そういうことはいっさい恐れず、どこにいても常に大胆に福音を語りつづけた。近年は、毎週金曜に、テルアビブの路上で、仲間とともに、聖書を配布。話ができた人には福音を語った。

エルサレムでも大胆に聖書を配布し、常に人々に声をかけて福音を語り続けたという。当然、市民権剥奪の危機にもあったが、これまで市民権を維持して、エルサレムの路上でも大胆に福音を語り続けた。

2年前からは、イラク(クルド人地区)の教会に呼ばれるようになり、トルコを経由してイラク入りするようになった。トニーさんのことである。アラビア語の聖書を大量に持ち込み、イラクの武装兵にまで聖書を渡して福音を語り続けた。

以来トニーさんは、40日ごとにイラクへ出向き、主にシリア難民などに福音を伝えた。働きはイラクがほとんどだったが、通過するトルコ、シリアでも聖書を配り、福音を伝え続けたという。

ISISがうようよする地域で、イスラエル国籍を持つユダヤ人がすることとは思えないほど大胆である。

なお、イラクで車にはねられた時も、路上で聖書を配布していたときだったとのこと。

若いころ、トニーさんを救いに導いた友人のリチャードさんによると、トニーさんは、「ユダヤ人をはじめ」ということを大事にしながらも、それ以外の諸国の民にも等しく熱心に福音宣教する人だった。文字どおりパウロのような人であったという。

<最後の聖書>

エルサレムで最後にトニーさんにイラクでの配布用の聖書を調達したのが、エルサレムの筆者宅に来て、彼に聖書を届けた友人のエレナだった。2週間前のことである。

昨日朝、エレナとともにトニーさんの話をしたその朝、教会で、彼が死亡したことを聞いた。エレナも大きなショックを受けていた。教会でも、福音に生きた現代版パウロ、トニーさんの生き方が紹介され、感動してしばらく涙が止まらなかった。

Kings Room Media のHさんが作成したトニーさんに関するビデオがある。韓国語ではあるが、以下のサイトで、トニーさんが熱心に聖書を配布する様子や、イラクでの写真、「コーヒーを飲みながら、無駄な話はせずに聖書の話をする。」と話しているのも見る事ができる。(約3分)

http://kingsroommedia.com/?p=2809 

兄弟の遺体はまだイラクにあるが、魂は、間違いなく主のもとにある。自分の走るべき行程を走りつくしたアンソニー・シモンさんに続いて、私自身も自分に与えられた使命を果たしていくこと、福音のために、みこころを一つもたがえることなく、やるべきことをすべて成し遂げていきたいと思わされた。

*訂正のお願い:聖書年間通読が始まるのはシムハット・トーラー

6月2日付のオリーブ山便り記事「シャブオットとラマダン」の中で、ユダヤ教ではこの日に年間聖書通読が始まると記載しました。年間通読が始まるのは、秋の仮庵の祭りの最終日シムハット・トーラーの時でした。訂正をお願いいたします。重大な間違いでした。心よりお詫び申し上げます。*ブログ内では訂正ずみです 
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米・パリ協定離脱を考える 2017.6.3

 2017-06-03
6月1日、トランプ大統領が正式にパリ協定からの離脱を表明した。ドイツ、フランスをはじめとするEU諸国、日本や、イスラエルもこの動きを「残念」とする声明を出し、アメリカが孤立する流れになっている。

日本でも多くの報道や分析がなされているが、これが何を意味するのか、これからどうなるのか、今後の注目点について、筆者の学びのためにも、ここでもまとめておくこととする。

<まずは・・・パリ協定とは何か>

パリ協定とは、2015年12月に、COP(Conference of Parties) 気候変動枠組条約締約国会議において、採択された国際的な協定(合意)で、地球温暖化を遅らせ、気候変動に伴う大型災害を防ぐために国際社会全体で取り組んでいこうとするグルーバルな試みである。

温室効果ガスの最大排出国であるアメリカ(オバマ前大統領)と中国が批准したことで、2016年11月にこの試みが発動している。

パリ協定では、今から3年後の2020年以降2100年まで(つまり80年先)の、地球の平均気温の上昇を2度以下(目標1.5度)に抑えることが目標とされている。今のまま無策であれば、平均気温は4.8度上昇し、大型災害は避けられないと予測されている。

その具体策として、温室効果があって、地球の温暖化の要因と考えられる二酸化炭素などの温室効果ガスの各国の排出抑制などが挙げられている。

現時点での主な温室効果ガス排出国は、①中国、②アメリカ、③インド ④ロシア ⑤日本で、これらの国々は5年ごとに削減目標を、自主的に提出することになっている。

この他、途上国は、対策にかける費用がなく、災害の被害も最も受けると考えられることから、これらの国々の温暖化対策の支援金として、緑気候基金が設立された。大国がそれに投資する形になっている。

こうした取り組みはパリ協定に始まったことではない。地球温暖化に対処しようとする最初の試み(COP)は、1992年、リオデジャネイロで始まった。この時、気候変動枠組条約というものができた。

以降、関係国は毎年集まっていたが、1997年には京都でCOP3が開かれ、国際条約としての「京都議定書」が、先進国の間で批准された。この時は2020年までの目標が定められた。

この時、アメリカ(ブッシュ前大統領)は不参加を決めて話題となった。また中国とインドは主な二酸化炭素排出国であるにもかかわらず、まだ後進国として認識されていたため、会議には不参加であった。このため、効果はあまりなかったとされる。

今回のパリ条約は、この京都議定書の次の段階として批准されたもので、2020年から2100年までのことが議題とされた。

今回は、すでに実際に温暖化が原因とみられる異常気象が始まっていることから、先進国だけでなく、全世界がこの試みに参加するべきとの流れになった。このため、パリ条約では、1992年に定められた気候変動枠組条約に参加している196カ国がすべて参加する枠組となった。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/256336.html

こうしてみると、国際社会が一丸となって地球温暖化をなんとかしようとしている流れの中で、トランプ大統領は、事なかばにて、椅子を蹴り、「やめます。」と言って水をかけたということである。

<トランプ大統領の言い分と実際>

トランプ大統領の言い分は、平たく言うと「地球温暖化を予防するなど、ほとんど不可能なのに、無駄な取り組みをして、アメリカは、無駄な金を払わされている。こんな無駄金を払うぐらいなら、自国の発展と雇用にまわす。」ということである。

トランプ大統領によると、パリ協定でアメリカ(オバマ前大統領)が緑の気候基金に約束した額は、全世界で100億ドル中、30億ドル(3300億円)。このほかのエコ設備投資なども入れるとアメリカの損失の総額は3兆ドルにもなりうるとトランプ大統領は主張する。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN01H1V_R00C17A6000000/

これについては、全く理解不能ではない。これほどの大金をかけ、80年かけて、気温の上昇を2度にまで抑えるという、なんとも気の長い話である。しかも、実際には、上昇を2度までに抑えられるかどうかもわからず、結局、人類がいくら努力しようが、温暖化を止めることは不可能だというデータもある。

最近では、地殻からくる地球の温暖化を海水が抑えられなくなり、予想以上に気温が上がる可能性があるという説もでている。そうなれば、確かにアメリカが、今これほどの大金を出資して、自国を犠牲にしても、まったく無駄ということにもなりうる。

もしかしたら、トランプ大統領は、いわば、「はだかの王様」に出てくる”本当の事”を叫んだ子供である可能性もある。この後、これに賛同する国々が出てきて、将棋倒し的に協定が崩れる可能性もなきにしもあらずである。

しかし、最終的に、全世界がこれを認め、パリ協定そのものが破棄にならない限り、トランプ大統領は、国際社会全体に逆らうもの、破壊者としか見えないだろう。

なお、アメリカ国内でも、ティラーソン国務長官はじめ、イバンカ補佐官等多数の閣僚も、離脱に反対する意見で、政権内部でも意見は大きく分かれていた。

ティラーソン国務長官は、アメリカが完全に孤立するのを防ぐため、パリ協定は離脱しても1992年の気候変動枠組条約の加盟はやめないと言っているもようである。

<各国の反応:嫌われるアメリカ>

2日、トランプ大統領が、パリ協定からの離脱を正式に表明すると、まずはドイツ、フランスなどEU諸国から、また中国、カナダなど世界諸国から次々にブーイングが飛んだ。

トランプ大統領は、離脱表明とともに、パリ協定の内容の再交渉をしたいと言ったが、当然ながら、フランスのマクロン大統領は、すかさずきっぱりと断った。

パリ協定に同意しないトランプ大統領が、加盟したまま残留し、皆の足をひっぱるよりは、すっぱりやめてくれてよかったという開き直ったような意見もある。

しかし、温暖効果排出第2位のアメリカがこの試みに参加しないとなると、世界がいくらがんばっても温暖化はますます遅らせることができないのではないかという懸念は否めず、アメリカのこの動きはまさに「水をさす」ものである。

先週、トランプ大統領は、NATO首脳会議に出席した際にも、「アメリカだけでなく、加盟国は、全員払うべきメンバーシップをきっちり払うべきだ。」とストレートに語り、首脳たちが眉をひそめる様子が報じられている。

アメリカと欧州との関係悪化は否めないようである。

なお、日本は、安倍首相らが「クールビズ」に身をかため、「トランプ大統領にはついていかない。」旨を表明した。イスラエルも同様である。アメリカ国内からも様々な形でこれに反対するデモも発生している。

<離脱の必要はなかった!?>

どうもこの離脱表明は、アメリカにとって不利に流れているようだが、実際には華々しく離脱表明をする必要はなかったとの意見がある。

アメリカを代表して、パリ条約に署名したケリー前国務長官は、「この条約は単に枠組、つまりボランティアであることが基本になっている。アメリカに課されている義務はない。条件が気に入らないなら、自ら変えることも可能だった。そこから離脱する必要は全くなかった。」と指摘した。

ケリー氏は、この離脱宣言により、「今後、アメリカは国際社会の尊敬と発言権を失うことになる。結局、アメリカ・ファーストがアメリカ・ラストになった。」と激怒している。

http://www.bbc.com/news/av/world-us-canada-40126807/paris-negotiator-john-kerry-grotesque-abdication-of-leadership

この点はロシアのプーチン大統領も同様で、「パリ条約は単なる枠組なのだから、トランプ大統領は離脱する必要はなかったと思う。”Don’t worry, Be Happy”だ。」と笑いとばした。

またプーチン大統領は、「ここ(ロシア)では寒いので温暖化は感じない。」と冗談めいて語り、パリ協定で本当に温暖化は防げるのかどうかも疑問視するような発言をして、「ロシアはロシアのやり方で行く。」との考えを語った。

http://tass.com/politics/949542

また、もう一点ナンセンスな点がある。離脱を大きく宣言したものの、加入国が離脱できるのは、3年以降と定められている。様々な手続きを考えると、実際の離脱は4年先になるという。その時点で、トランプ大統領がまだ大統領であるかどうかもわからないので、その時点で、また状態がひっくりかえっている可能性もあるという。

離脱表明をしてからの4年間は、いわば、辞職願を出してから実際に職場を去るまでのあの、しんどい期間ということである。その時までは、条約に批准したままの中途半端で、アメリカは、発言権を失うだけになる。

実際のところ、アメリカ国内でももすでに進んでいる温暖化ガス削減計画がストップすることもないので、実際は、何も変わらないのに、国際社会でのアメリカの権威がただただ失墜しただけに終わるとの見方もある。

<中国の台頭> http://www.bbc.com/news/world-us-canada-40127896

アメリカが、パリ協定から離脱を表明し、ほくそ笑んだのは中国だと言われている。中国は、すかさず、ドイツとともに、率先してパリ協定を進めていく考えを明らかにした。

中国にすれば、グリーンエネルギー(風力など)の開発や、それらの技術を後進国に販売する、もしくは投資することは大きなビジネスチャンスになりうる。ライバルのアメリカはもういないのである。

今後、この分野では、アメリカに代わって、中国が、国際社会で主導権を発揮していく可能性が出てきた。

中国は先月14日、ロシアやトルコを含む29カ国の首脳を北京に集めて、現代版シルクロード「一帯一路」構想を一歩推し進める会議を行った。これは、中国からヨーロッパに向かう広大な地域を、中国が率先して設備投資するなどして、大経済圏にしようというよびかけである。

トランプ大統領が、アメリカ・ファーストと言って、他国への支援を渋っているのとは逆に、中国は積極的に投資しようとしているのである。ただし、この投資は、曲者で、のちにそれを返金するしくみとなっている。もしできなかった場合は、中国がその主導権をとりあげる、つまりは没収することになる。

スリランカでは、中国の投資で広大な港を建設した。しかし予想よりはるかに利用率が少なく、出資金を返金するみこみがなくなった。するとスリランカは、その港を中国に売却せざるをえなくなった。地域住民は立ち退きの危機にもなっている。

このように、一帯一路構想には、中国が一帯を征服してしまう可能性も秘めていると懸念されているところである。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM09H88_Z01C16A2FF1000/

このほか、中国は、南シナ海に人口島を作り、今や戦闘機も発着できる空港を作ってしまったようである。軍事的にもその影響力は拡大している。トランプ大統領のパリ協定離脱宣言は、まさに中国にとっては渡りに船となったと思われる。

<今後の注目点>

これから注目すべき点は、アメリカに続いてパリ協定を離脱する国があるかどうか。嫌われ者となったアメリカの経済と指導力が、今後どうなっていくのか。そして、中国が本当にパワフルになってくるかどうかなどである。

<石のひとりごと>

今朝聖書を読んでいると次のようなことばが目に付いた。

すべての肉なるものの終わりが、わたしの前に来ている。地は、彼らのゆえに暴虐で満ちているからだ。それで今わたしは、彼らを地とともに滅ぼそうとしている。(創世記6:13)

地球温暖化について、よく考えると、確かにできるかぎりのことはすべきであろう。しかし、もうすでに異常気象は始まっている。

この後に及んでは、もはや人間のわずかな力で温暖化を遅らせることに資金を費やすよりも、それにどう対処していくのかに資金を使った方がいいのかもしれない。

イスラエルは来るべき世界規模の食料危機に備えて、最も早く、少ない水で育つ食料や、最も少ない飼料で最大の牛乳を得る方法、またその保存法などを研究している。大災害、大戦争時にどう市民を保護するのかもきわめて具体的に計画していると聞いている。

無論、聖書の視点で言わせてもらえば、大患難が来る前に、すべてを支配する天地創造の主と和解しておくことはもっと大切だ。

そういう意味では、トランプ大統領は、結果的には自らの孤立というリスクを負って、世界に警鐘を鳴らしたといえるかもしれない。

まあ、トランプ氏の場合、アメリカの雇用だけを考えているのであって、そこまで人類のことを考えていたというのは、こちらの考えすぎだとは思うが・・・。

地球温暖化を遅らせる努力などナンセンスと言ったトランプ大統領が正しかったのか、彼の行動は愚かであって、本当にアメリカが世界の指導者としての立場から落ちて、アメリカ・ラストになってしまうのか、それはこれからの時代が証明する事になる。

それは意外に早く、わかってくることではないかと思う。
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シャブオットとラマダン 2017.6.2

 2017-06-02
トランプ大統領来訪、エルサレム統一50周年記念、さらにその2日後の26日、イスラム教のラマダンが始まった。その3日後の30日から31日にかけては、ユダヤ教のシャブオット(7週の祭り)であった。エルサレムはなかなか忙しい町である。

1)シャブオット:5/30,31

シャブオットは、過越の祭りから数えて50日目(7週)を覚える例祭で、過越を終え、出エジプトを果たしたイスラエル人たちが、50日目にシナイ半島に到着し、十戒(律法)を授かったことを記念する。イスラエルでは国民の祝日となる。

多くのシナゴーグでは、30日、日没後の夜中から朝まで、聖書の勉強会が開かれた。

またシャブオットは、1年で最初の収穫(小麦)を祝う時期でもある。このため、上記ように律法を与えられたことを覚えるとともに、収穫にまつわる話であるルツ記を朗読する。

広い農場や、牧場を併設するキブツやモシャブでは、小麦の束を積み上げ、皆で集まってダンスをしたりして、建国時代を思わせるイスラエルらしい風景になる。この日は、特にチーズなど乳製品を食べる日としても知られている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4969502,00.html

http://www.jerusalemonline.com/news/in-israel/local/israel-celebrates-shavuot-28815

都会人たちは、国民の祝日で休みの中、友人知人を招くなどして家で楽しんだり、国立公園やビーチで楽しんた。イスラエルのメディアによると、今年も2万人がガリラヤ湖畔を訪れたという。イスラエル版、芋の子を洗うようなビーチである。

http://www.timesofisrael.com/israelis-crowd-beaches-parks-on-shavuot-holiday/

<シャブオットの意味:新しい国の誕生〜ラビ・フォールマンからのヒント>

シャブオットは、律法を授かったことを記念するが、これはまさにイスラエルが、ひとつの国として、この世界にデビューしたことを意味する。

律法(法律)というものは、その国を形作るもの、アイデンティティである。法律をみれば、その国がどんな国であり、何を重んじているのかがわかる。いいかえれば、国になるためには、皆が合意する法律がなければならないのである。

出エジプト直後のイスラエル人は、まだ奴隷の集まりにすぎなかった。しかし、シナイ山で、神ご自身から律法をもらったことにより、イスラエルという国になったということである。その法律を、人間が考え出したのではなく、神(主)から直にいただいた、つまりは主直属の国は、世界でもイスラエルだけであろう。

ここでなぜ、神は、出エジプト(過越)から、律法を与える(シャブオット)まで50日待ったのかを考えてみる。過越からシャブオットまでの50日の間に何があったのかというと、マナ(パン)が天から降ってきたということである。(出エジプト16章)

神、主は、このマナを通して、奴隷としての生き方しか知らない人々に、神直属の国の国民として生きるようになるための備えをしたとラビ・フォールマンは考えている。

かつての主人、エジプトのパロは、彼らの苦情にはいっさい耳をかさず、自分の利益のために働かせるためにのみパンを与えた。ところが、マナは、イスラエル人が空腹になり、リーダーであるモーセに苦情を言い始めたことを聞いて、神が与えたものであった。

前の主人と違い、新しい国の主は、彼らの苦しみに耳を傾け、自分の利益のためではなく、彼らのためにのみマナを与えたということである。これは、上に立つものから長年傷つけられてきた人々に癒しを与え、新しい国の新しい主人の概念を変えるためであった。

次にマナには、幾つかの決まり、つまりは初級の法律があった。①1日に一人1日分(オメル)だけ集める、②余った分を取りおいてはならない、③安息日前には2日分集め、安息日には集めてはならない。

ところが、聖書によると、この教えに反して欲張り、1日に1オメル以上集めた者、また1日分を集められなかった者がいたが、帰ったらどの人の袋にも1日分が入っていたという。また明日のためにと、取りおいた分は虫がわいて臭くなった。安息日前には、マナは2倍降り、安息日にはマナはふらなかった。

つまり、このマナに関する決まりは、破ろうにも破れないものであったということである。明日のための必要はおろか、結局のところ、律法を守れるようにしてくださるのも神ご自身であるということである。これらを経験させたのちに、厳しい十戒を与えられたのであった。

シャブオットは、このように、イスラエル人が、奴隷から神の国の民となり、神の支配の中に入ったことを記念する大事な祝いの日である。

そうしてこの後の時代に、イスラエルに来られたのがイエスである。イエスの弟子たちは、このシャブオットの日にエルサレムで、聖霊を受けるという経験をした。(新約聖書・使徒の働き2章)

イエスによって罪の奴隷というところから自由にされたが、その時点ではまだ奴隷生活しか知らなかった。しかし、この日聖霊を受けることにより、律法が心に書きしるされ、本当に新しい神の国の国民になった、ということである。これがペンテコストである。

次の日曜日、ペンテコストを祝うすべての教会の祝福を祈る!

2)エルサレムのラマダン:5/26より6/23まで

シャブオットの3日前、26日から、イスラム教のラマダンが始まっている。エルサレム人口の36%、約32万人が、イスラム教徒であるから、ラマダンは、エルサレムにとっても大事な行事である。

ラマダンとは、モハンマドが、神からの啓示、コーランを受け取ったことを記念するイスラム教の行事である。30日間、日の出から日没までの間、飲食をまったくせずに過ごす。

ラマダンは、イスラムの5つの義務、①アラーへの信仰の告白 ②1日5回の祈り ③貧しい人への寄付 ④ラマダン ⑤メッカへの巡礼の一つで、断食のほか、喫煙や性交渉も控えるなどして祈りに専念し、アラーにより近づくことを目的としている。

イスラム教は月暦なので、毎年ラマダンの時期は変わるのだが、夏になると非常に苦しいラマダンとなる。ことしのラマダンも夏、しかも熱風(ハムシーン)の季節と重なった。エルサレムでは、夕方は15度前後になるものの、日中は、炎天下で25度以上になる。

夏なので、日が長く、断食時間は16時間に上る。水も飲まないとなると、屈強なイスラム男子たちにとっては非常に苦しい1ヶ月になる。*子供や妊婦、病人などには厳しい規制はない。

仕事は休む人もいるらしいが、通常は生活のために働かなければならない。旧市街では、観光客を相手にしているため、レストランも普通に経営している。断飲食しながらの給仕はなかなか難しい仕事である。

先日、グループとともに午後に旧市街であるレストランに入った。屈強そうなイスラム男性の店員がいたが、目が若干充血し、少々へろへろの感じだった。いつもはにこにこしている人である。

精算時、予想したより高かったので、つめよると、「ラマダンなんだよ。わかってくれよ。頭がまわってないんだよ。」と何度も言われた。・・・がそれは、ぼってもよいということにはならない。しっかり計算してもらったら20ドル以上安くなった。

のちに夕方、オリーブ山から乗ったタクシーのおじさんは、いらついてクラクションを鳴らしていたが、同時に「ラマダンだからね〜」と笑った。「でもラマダンの時は、飯がこれまたうまいんだ。あと1時間ぐらい。」と実感を込めて言っていた。

なお、エルサレムでは、ラマダンが始まってから、夕方以降、特に交通渋滞が激しくなっている。イスラム教徒のタクシー運転手によると、暑いので、みな日没後に神殿の丘へ来ているという。どうりで昼間の旧市街は、いつもより若干、空いているようであった。

<エルサレムへのアラブ人入場規制緩和>

毎年のことだが、イスラエルの治安部隊は、ラマダン期間中、神殿の丘へ祈りに来る西岸地区のイスラム教徒のために、神殿の丘への入場規制を緩和する。

西岸地区在住の男性で、30−40歳の場合は、ラマダン期間中でもエルサレムへ入るための許可が必要だが、40歳以上の男性と、女性、ならびに12歳以下の子供たちは許可なしでよいとされる。

*これについては賛否両論である。年配だから、女性だからといって安全ではないからである。

また、イスラエル領内と、西岸、ガザと離れ離れになっている家族が互いを訪問するための許可が20万人に発行されている。

ガザ地区住民については、ラマダン期間中、55歳以上に限って金曜に100人、その他の日は300人に許可が出る。ただし、ガザから神殿の丘まではシャトルバスで直行し、イスラエル領内へ入り込まないようになっている。

http://www.timesofisrael.com/israel-to-ease-access-for-palestinians-during-ramadan/
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トランプ効果!?:じわじわ出てくるアメリカの中東和平政策 2017.6.2

 2017-06-02
トランプ大統領が、ネタニヤフ首相やアッバス議長とどんな話をしたのかの詳細は、まだほとんど明らかにされていない。しかし、その実質はじわじわとメディアにもれ、新しい動きとなって出てきつつある。

1)パレスチナ囚人のハンスト終了

パレスチナ人が4月17日から続けていたハンストだが、トランプ大統領訪問の直後に、イスラエルが囚人と合意に至り、27日、開始から40日めにハンストは終了となった。しかし、その日からラマダンが始まっているので、再び断食になる・・・

ハアレツ紙によると、ハンストを始めたのは1578人で、最終まで続けたのは834人。医療的処置を受けた18人も、刑務所に戻ったという。

地元メディアが伝えているところによると、パレスチナ自治政府のアッバス議長はベツレヘムでトランプ大統領と会談した際に、囚人のハンストについて、介入するよう願い出たもようである。

イスラエル刑務所は、刑務所の環境は国際法上問題はないとして、囚人との交渉はしないと言っていた。しかし、最終的には、囚人の家族との面会回数を増やすなどで”合意”したと伝えられている。

http://www.haaretz.com/middle-east-news/palestinians/.premium-1.792174

しかし、今回のハンストを指導した大物ファタハ指導者マルワン・バルグーティ(イスラエル人5人殺害で終身刑5回)は、「ハンストは終わったのではなく、中断しただけだ。イスラエルが約束を守らないならいつでも再開する。」と言っている。

イスラエル公共治安相のギラッド・エルダン氏は、「イスラエルにはなんの義務もない。」としてこの訴えを一蹴している。なお、このバルグーティは、断食中のはずが、一人独房でスナックを食べているところを盗撮され、話題となった人物。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Imprisoned-Fatah-leader-vows-hunger-strike-will-resume-if-demands-not-met-494439

2)正式決定:米大使館はテルアビブに残留

トランプ大統領は、サウジアラビアでのイスラム教国指導者らとの会談、アッバス議長との会談などを通して、アメリカ大使館のエルサレムへの移動は、難しいことも理解したようである。

公約に反して、少なくとも6ヶ月、アメリカ大使館はテルアビブに残留するという大統領令にサインした。

アメリカでは、1995年以来、米大使館をエルサレムに移動させるということが議会で決定している。しかし、実際には不可能であるため、その後のすべての大統領が、これを延期するという署名をし続けてきた。

トランプ大統領もそれに続いたということである。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/230433 

3)カフロン財務相がラマラでハムダラ首相と面会

水曜、イスラエルのカフロン財務相(中道右派)が、ラマラで、パレスチナ自治政府のハムダラ首相と面会した。イスラエルの閣僚がラマラに入るのは異例。

この時の交渉で、カフロン財務相は、西岸地区とヨルダンを結ぶアレンビー橋の検問所を24時間開放すること、また西岸地区のC地区(イスラエル支配域)に住むパレスチナ人に家屋増設の許可を出すなどの条件を提示したもようである。

詳細はまだ明らかになっていないが、トランプ大統領の圧力とみられる。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4970049,00.html

これに先立ち、アメリカの調査団が、西岸地区サマリア地区北部を訪問したことから、その地域のC地区(イスラエル管轄)をB地区(治安のみイスラエル)にすることを交換条件に出してくるのではないかとも言われていた。当然、イスラエルからは反発がある。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/230237

トランプ大統領がアッバス議長にとなりつけたという話題もニュースになった。それによると、トランプ大統領は、ベツレヘムで、パレスチナ自治政府がテロを扇動しているとみられるビデオと、アッバス議長自身が、扇動しているとみられるビデオを見せて、「あなたは、ワシントンでの会談で、(平和教育をしている)と嘘を言った。」とどなりつけたという。

これはのちにパレスチナ自治政府もみとめている。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/230412

<石のひとりごと>

トランプ大統領がどこまでイスラエル支持派なのかどうか、イスラエルを発つ前の愛に溢れた言葉だけではどうもわからないところである。大きな体と大きな経済力で、ジャイアンぶりを発揮して、皆がふりまわされている感じである。。。
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ガザ地区電力供給4時間/日 2017.6.2

 2017-06-02
ガザ地区では、深刻な電力不足に陥っている。ガザの電気不足は今に始まったことではなく、ハマスが支配し始めて以来、すでに10年来のことである。

しかし、この4月より、さらに電力不足が悪化し、一般家庭では1日4時間程度にまで落ち込んでいる。この上、さらにイスラエルが電気代不払いであるとして電力の供給を停止すると、もはや危機的となり、再びガザとの紛争にまで発展しかねない状況になりつつある。

パレスチナ自治政府のアッバス議長は、ハマスとの和解を試みていたが、もう見切りをつけたのか、4月からは、ガザ地区への支払い代行や支援金を停止する動きになっている。

このため、4月の時点で、ガザ地区内部にある発電所では、発電のための燃料が買えなくなった。この時はトルコとカタールが燃料を供給してなんとか持ちこたえた。しかし、それも今、底をついたという。

現在残っている発電ラインはイスラエルの発電所からくる10本で、ガザ地区全体の電力の30%をカバーするものである。この分の支払いは、パレスチナ自治政府が担っていた。

支払いの方法は、現金で支払われるのではなく、イスラエルが、西岸地区の貿易(地理的に必然的にイスラエルを経由する)において代理徴集している税金から差し引かれる形である。

しかし、今、アッバス議長は、この支払いを大幅に削減するとイスラエルに通告してきた。Yネットによると、当初月4000万シェケル(約12億円)の電気代全額の支払いを停止すると言っていたが、今は、2500万から3000万シェケルは払うと言ってきている。

これにより、ガザへの供給額のほぼ半額しか支払われない形になる。これを受けて、イスラエルは支払いのない分、ガザ地区への送電を削減するかどうかでもめている。

政府としては削減するのが当たり前ではあるが、そうなると、ガザの一般市民の生活が成り立たず、イスラエルへの不満となって、紛争が再開する可能性も出てくる。実際、国連は、この点を指摘し、イスラエルに供給を止めないように警告している。

アネルギー相のステイニッツ氏も、パレスチナ人同士の争いに巻き込まれてはならないと、電力削減に反対する立場である。

http://www.timesofisrael.com/energy-minister-refuses-to-cut-further-electricity-to-gaza/

しかし、かといってイスラエルを滅亡させることだけが存在理由であるガザ地区(実際はハマス幹部ら)にイスラエルが無料で電気を送らなければならないというのもおかしな話である。

Times of Israel によると、ガザ地区の一般市民は1日平均4時間しか電力がないが、ハマス幹部らの家には24時間いつでも電気があるという。

ガザ地区では、電気不足について、市民が一度デモを起こしたことがあった。しかし、以後、デモは一回も発生いない。ハマスが恐ろしいからである。市民たちは、わずか4時間の電力でなんとか毎日の生活をまわす工夫をしているという。

http://www.jpost.com/Middle-East/Israel-reduces-Gaza-electricity-after-PA-refuses-to-pay-493927

<ハマスの恐怖政治>

3月、ハマスのトップ指導者の一人、マゼン・フカハが、ガザ地区で暗殺された。ハマスはイスラエルによるものと非難した。(イスラエルはコメントしていない。)

https://www.nytimes.com/2017/03/27/world/middleeast/mazen-fuqaha-hamas-killing-israel.html

ニューヨークタイムスなどによると、暗殺以来、ハマスは、イスラエルに協力したとして45人を逮捕。先週25日には、このうちの3人を公開処刑した。2人は絞首刑で、1人は銃殺刑。招かれた3000人程の前で、みせしめのようにして殺された。

https://www.nytimes.com/2017/05/25/world/middleeast/hamas-execution-gaza-mazen-fuqaha.html?_r=0

このような恐怖政治がいつまで続くのかは不明だが、そのとばっちりを受けるのは、ガザ住民と、イスラエルのようである。

なお、このハマスへの支援をイランが再開するという情報があり、そうなれば状況はさらにややこしくなる。この点からも、イスラエルは、ガザへの電力の供給は止めるべきでないのかもしれない。
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急増する!?イスラム過激派によるテロ 2017.6.2

 2017-06-02
先週、イギリスのマンチェスターで、子供達22人が死亡する残虐なテロが発生したが、それ以降、31日までだけでも46件のイスラムに関係するテロが発生し、408人が死亡している。

*以下のイスラム系のサイトによると、ここしばらく、死者の数が二桁になっている。(犠牲者が1人の事件は省略している。)
https://www.thereligionofpeace.com/attacks/attacks.aspx?Yr=Last30

5/31 アフガニスタン90人、イラク(2カ所)計77人、シリア17人、

5/29 ナイジェリア5人

5/28 イラク(モスル)2回で計52人、フィリピン8人、

5/27 アフガニスタン(3カ所)計50人、フィリピン19人

5/26  エジプト29人

5/25 アフガニスタン(3カ所)計22人、イラク(モスル)10人、ケニア5人、

5/24 アフガニスタン13人、ナイジェリア3人、インドネシア(ジャカルタ)3人、イラク(モスル)23人

多いのはやはりアフガニスタンとイラクだが、意外に多いのがフィリピンである。

エジプトでは4月、コプト教会が爆破されて計45人が死亡し、国家非常事態宣言が出されている最中だが、5月26日、再びコプト教クリスチャンの乗ったバスが銃撃され、29人が死亡した。

http://edition.cnn.com/2017/05/26/africa/egypt-shooting-coptic-christians/

これらのテロの犯行はISISが多いが、アフガニスタンではタリバンなども関わっている。いずれにしてもイスラム関連の過激派である。

こうした中にあるイスラム教国の指導者たちを前に、トランプ大統領は、「過激派をそれぞれで撃滅せよ。」と訴えたわけだが、昔からこの状況にあるイスラム教国の指導者たちからすれば、トランプ大統領の訴えは、非現実的と聞こえたのではないだろうか。

なお、イスラエルでは、今日1日にも西岸地区でイスラエル兵が刺され、犯人はその場で射殺される事件が発生したが、全体的には、テロによる死者数は減少傾向にある。
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ワンダーウーマン:レバノンで上映禁止 2017.6.2

 2017-06-02
アメリカ映画ワンダーウーマンは、スーパーマンの女性版だが、その主役を務めているのが、イスラエル人女優のガル・ガドットさんである。健康的で、かわいらしさもある非常に美しい魅力的な女性である。

ガドットさんは、この映画に抜擢されて以来、自分がイスラエル人であること、2人の子供をイスラエルで育てていることも隠していない。

そのため、レバノン政府は、この映画の上映禁止を決めた。主演女優が正式には交戦国であるイスラエル出身であるということが理由である。

しかし、前作はレバノンでも上映されている上、今回の作品もトレーラーはすでにレバノン内で広がっていたため、残念に思っている人もいるようである。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-40114370
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