神殿の丘:静かな金曜日 2017.7.30

 2017-07-30
木曜、イスラム教徒が神殿の丘(アル・アクサ)での祈りを再開したところ、中で治安部隊との衝突となり、パレスチナ人の負傷者が100人以上出た。このため、警察は、翌金曜日イスラムの祈りに、50歳以下の男性が神殿の丘へ入ることを禁止した。

このため、再び大きな衝突になることが懸念され、警察は、旧市街内外で警戒にあたる治安部隊の数を大幅に増強するとともに、祈りの時間前後は、周辺道路を閉鎖して警戒にあたった。

この日、昼の祈り時間にダマスカス門に行ってみた。ダマスカス門周辺は、柵が張り巡らされ、車両は通行止めとなっていた。

暴徒対処班と見えるフル装備の国境警備員が数十人ならんでいる前には柵があって、そこから先へは進めないようになっていた。柵の反対側には、国境警備隊とにらみ合う形で、パレスチナ人男性数百人集まっていた。が、その数は、予想以上に少ないように見えた。

チャンネル2はじめ、メディア関係者は、ほとんど、国境警備隊の側にいた。ヘルメットをや防弾チョッキ姿でばらばらとカメラを構えて立っている。その数十メートル背後には、暴徒を蹴散らすための大きな馬と、騎馬上でフル装備の警察官が5人、控えていた。。

やがて、イスラムの説教者が叫ぶように何かを語り、パレスチナ人たちは、にらみつけるような顔で、腕組みをしながら、それに聞き入り、時々、男性の幅のひろい合唱のような声で、いっせいに「我々の血と霊でアルアクサを解放する」と叫んでいたが、やがてばらばらと祈りの体制に入った。

すると、国境警備隊員たちが、重そうなヘルメットを着用し始めた。通常、祈りが終わったときに、衝突が始まるからである。治安部隊の中には、少なくとも3人は美しい女性隊員が男性隊員と同じ重装備で立っていた。

イスラムの祈りは5分ほどで終わる。パレスチナ人たちが、祈り終わって、ばらばらと立ち上がりはじめると、緊張が走った。しかし、見ていると、後ろの方から順に、ばらばらと、しかしさっさと男性達が背を向けて帰っていくのが見えた。

「ではみなさん、祈りましょう」とか、「今日の祈りは終わりです」とかいう合図もなにもなく、「終わり・・?」という感じである。10分もすれば、3分の2ぐらいのパレスチナ人はいなくなっていた。治安部隊も、重そうなヘルメットをはずし、振り向くと、騎馬隊もいなくなっていた。

そのうち、柵の端の方で、治安部隊が、パレスチナ人のIDをチェックし、男性達を通し始めた。もう終わった、危険は去ったので、神殿の丘へも入ってOKというわけである。

やはりすべては30分もかからなかった。1時20分ぐらいまでにはすべてが終わっていた。この日、ダマスカス門だけでなく、ライオン門でも衝突はなかったと伝えられていた。アルアクサ(神殿の丘)への入り口からは、パレスチナ人が何の障害もなく出入りしている様子が、テレビで報じられていた。

その翌日土曜日も、神殿の丘では、”イスラエルに勝利した”祝賀だったそうだが、衝突はなく、祈りが終わると、群衆はすんなり帰っていったという。平穏が2日続いたことから、こんどこそ、本当に一段落かと報じられている。

さらに、イスラエルとの治安協力を保留にしていたパレスチナ自治政府も、イスラエルとの治安協力を全面的に保留としていたが、徐々に元に戻すという。

http://www.timesofisrael.com/security-cooperation-with-israel-to-resume-gradually-pa-official-says/

今回、意外に速く、今の所、危機を回避したようであるが、背後でトランプ政権が何らかの介入をしていたようである。Yネットによると、ヨルダンのアブダラ国王が、アメリカに、早期の沈静化に向けた介入に感謝したと伝えている。何をしたかは不明。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4995745,00.html
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西岸地区・ガザ地区・ヤッフォでは衝突 2017.7.30

 2017-07-30
エルサレムでは、比較的静かな週末であったが、西岸地区、テルアビブのヤッフォ、ガザ地区では、パレスチナ人と治安部隊との衝突があった。

1)西岸地区

金曜、エルサレムから南へ約30分の入植地グッシュ・エチオンのテロが多発するジャンクションで、パレスチナ人(24)が、をナイフで刺そうとして、射殺された。

この他、ベツレヘム、ヘブロン、ナブルス、カルキリヤなど西岸地区各地で、投石や催涙弾を伴う衝突があり、暴徒に紛争して暴徒に紛れ込み、逮捕するイスラエルの特殊部隊が撮影されたりしている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4995798,00.html

パレスチナメディアによると、神殿の丘問題が始まってから、イスラエルとの衝突で死亡したパレスチナ人は13人に上る。(イスラエル人の犠牲者は5人) イスラエル軍によると、今週西岸地区各地で暴力的なデモに参加したのは1000人ぐらいだった。

http://www.maannews.com/Content.aspx?id=778404

この他、いちいち報告されていないが、イスラエルの治安部隊は、西岸地区では、様々な踏み込み捜査を継続して行っており、逮捕者が出たり、武器、未登録の車両などの没収が、定期的に行なわれている。

2)ガザ地区

ハマスがイスラエルとの国境へ集結せよとの指令を出していたが、フェンスをはさんで、イスラエル軍と衝突となり、投石したり、燃えるタイヤを投げつけたりしたため、イスラエル軍が実弾で反撃。

数十人が負傷した他、ガザの少年(16)が死亡した。イスラエル兵も1人は投石にあたって負傷。一連の衝突で、パレスチナ人4人が逮捕された。

*旧市街含むエルサレム市内の警備は国境警備隊(警察)だが、ガザや他国との国境の場合は、イスラエル軍が警備にあたる。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/One-killed-in-violent-clashes-in-Gaza-amid-Temple-Mount-tensions-501047

イスラエル各地では、様々なカイタナ(夏休みキャンプ)が行なわれているが、夏キャンプハマス流という記事があった。軍隊の軍事教練そのものである。ここで、イスラエルへの憎しみを身につけてしまうのである。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/In-Pictures-Summer-camp-Hamas-style-501026

3)ヤッフォでの衝突

テルアビブのヤッフォでは、土曜早朝4:30、犯罪グループが撃ち合いをしているとの通報があった。警察がかけつけ、犯人らを追いかけて、銃撃戦となり、1人(21)が死亡、1人が負傷した。

午後になり、早朝の上記事件現場にて、アラブ系市民らがデモを行った。ヤッフォは、住民の約3分の1がアラブ人である。最近は緊張が高まっていたという。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4995780,00.html
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テロがあっても観光客は増加中 2017.7.30

 2017-07-30
イスラエルでは、今年に入ってから、ナイフによる単独テロが頻発し、また神殿の丘問題も発生したりと相変わらず、危険なイメージがあるが、エルサレムポストによると。3月から5月までの3ヶ月でイスラエルを訪れた観光客は340万人で、昨年より5%増加した。

特に注目は中国人観光客。昨年に比べて69%も増えたという。ここイスラエルでもみやげものの爆買いをしている。観光省が、今後も注目するのは、中国人とロシア人観光客だという。

テロがあっても観光客が増えているのは、最近のテロが、自爆テロなどではなく、狙われるのは治安部隊と入植地ユダヤ人にほぼ限られていること。

また、イスラムのテロは、イスラエルだけでなく、欧米でもどこでも発生する時代になったこと。イスラエルの対テロ対策は世界一であるため、むしろ、他国より安全と言っても過言ではないかもしれない。

旧市街では、この2週間、神殿の丘関連でもめていたが、その間も、危険地域は治安部隊が必要に応じて閉鎖し、要所には多数の治安部隊が立っている。危険が去ったとなると、さっさと開放するので、観光客には影響がなかったのである。

イスラエルにとって観光業は、最大の収入源である。このままハマスやヒズボラとの戦争にならないでもらいたいものである。

http://www.jpost.com/In-Jerusalem/Tourists-vs-terrorists-499371

<平和なエルサレム?>

ニュースでは、どうしても紛争や衝突など、衝撃的な事件が、クローズアップされるので、常に街全体が戦闘状態にあるようにも思われがちだが、西エルサレムの街中は、ほぼ日常と変わりはない。

オープンマーケットのマハネイヤフダも、金曜は身動きがとれないほどの混雑で、誰も自爆テロのことなど考えていないだろう。

筆者宅のあるエルサレムの南部地域もアラブ人地区に囲まれているが、今の所、緊張感はない。特に安息日には、公共交通も止まるので、静かそのものである。さんさんとした太陽、雨はまったくなし。小鳥のさえずり、ほどよいそよ風。これがエルサレムの安息日である。

安息日、午前10時すぎになると、もよりのシナゴーグからは、きちんと正装したユダヤ人家族が、実に平和に、ゆったりと出てくる。小さな子供達も両親のまわりで、はしゃいでいたりする。

祈りのタリートをかけたおじさんたち2人が、話をしながら坂道をゆったりと上っていく。フィリピン人女性に手を引かれて出てくる高齢女性もいる。ユダヤ人がこれほど平安に、無防備に、安息日を守れるのはやはりエルサレム、イスラエルだけだろう。

とはいえ、ここではいつ何時、戦争や紛争になるかわからない。平和はいつでも崩れ得る。それは皆、知っているが、普段は考えてないだけである。いわば、テロや戦争は、この国の特徴の一つであり、社会の一面なのだと思う。

オリーブ山便りでは、できるだけ、総合的に現地の様子をお届けしたいと思う。
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神殿の丘:暴動で100人以上負傷 2017..7.28

 2017-07-28
27日、イスラエルが、新しく設置した金属探知ゲートとその付属設備、防犯カメラまですべて撤去したことを受けて、イスラム側は、アルアクサ(神殿の丘)に入って祈ってもよいと発表したことはお伝えした通り。

イスラエルの警察が、自国民に「パレスチナ人に降参した」「自国の警察官の安全はどうでもよいのか」と非難されつつも、ここまで譲歩したので、すんなり落ち着くかと思ったが、やはり甘かったようだ。

パレスチナ人たちは、「イスラエルに勝利した」として歓喜にわきたち、スイーツを配ったりして祝っていたが、午後には、数千人が、主にライオン門近くの部族ゲートから、神殿の丘になだれ込んだ。

祈りが先であったとは思われるが、そのあと、神殿の丘構内は、歓喜したパレスチナ人らが、イスラエルの治安部隊に石やびんを投げつけるなどして、暴動となった。

パレスチナの若者たちは、アルアクサモスクの上に登って、パレスチナの旗を翻した。治安部隊は、旗をとりおろし、暴徒には、催涙弾などを使って暴徒を鎮圧しようとした。暴徒らは、「これは戦争だ」「警察が我々を戦争にひきずりこむのだ」と叫んでいたという。

神殿の丘構内は、暴徒化したパレスチナ人、治安部隊が入れ混じり、その間を負傷者を探して収容する小さい車があちこちするなど、文字どおりバラガン、むちゃくちゃの大混乱となった。

混乱に使われた石は、下の嘆きの壁で祈っているユダヤ人の上にも落ちたが、幸い、けが人はなかった。

この暴動が、どのぐらいの間、続いていたかは不明だが、最終的には、神殿の丘構内とその周辺での暴動で、110人以上が負傷したと伝えらえている。その後、ニュースはないため、その後、事態は収まっているものと思われる。

多数のメディアが見守る中での暴動であったためか、多くのビデオや写真がネットでも流されている。明日は、金曜だが、イスラム教徒らが穏やかに礼拝してくれればと思う。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4995269,00.html
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エルサレム分割を防ぐ法案 2017.7.28

 2017-07-28
パレスチナ人らは、神殿の丘問題でイスラエルに勝利したと叫んでいるが、はたしてそうであろうか。パレスチナ人との衝突が発生するたびに、イスラエルの右派の意見が強くなり、なんらかの新しい右寄りの動きが出てくるものである。

神殿の丘問題で混乱していた27日、イスラエルの国会では、「エルサレムの分割に関しては、過半数で決めるのではなく、3分の2(120議席中80)以上の賛成を要する」という基本法(日本で言えば憲法)の改正法案ついての第一回目の採択が行われ、これを通過した。

実際の改正には、あと2回国会を通過しなければならないが、改正が実現すれば、エルサレムの分割が難しくなる。これは東エルサレムをパレスチナの首都にするというパレスチナの主張に反するものである。

http://www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Knesset-votes-on-paradoxical-Jerusalem-bill-500867

<エルサレム拡張案>

エルサレム市は、イスラエルが、主張するところの東西を合わせると、人口の35%以上がパレスチナ人で、全国でも最もアラブ人の人口比が高い街である。

これを解消し、エルサレムのユダヤ人の比率を上げる案が右派リクードから提案されており、ネタニヤフ首相もそれを支持することを示唆したという。

それによると、エルサレム郊外のユダヤ人入植地、マアレイ・アドミム、グッシュ・エチオン、ギブアット・ゼエブ、ベイタル・イリット。エフラタなどをエルサレムに編入する。

これらの地域は、入植地というレベルではなく、すでにユダヤ市民が定着して住む地区にようになっている地域である。これが実現すれば、ユダヤ人13万人が新たにエルサレム市の住民となる。実際には、エルサレム市議会選挙の投票権を与えるという形になるという。

これと並行して、今はエルサレムの中に数えられているものの、実際には、防護壁で囲まれて、エルサレム市から隔離されたようになっているパレスチナ人地区をエルサレム市の外に出す。これで、アラブ人10万人がエルサレムの外に出ることになる。

いうまでもなく、これは反発を呼びそうな計画で、実現するかどうかは不明だが、イスラエルが、じわじわと、エルサレム、またイスラエルをユダヤ人の国として定着させようとしているということもまた確かな動きである。

http://www.timesofisrael.com/netanyahu-backs-major-expansion-of-jerusalem-to-include-nearby-settlements/
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テロ被害家族サロモンさん一家の割礼式 2017.7.28

 2017-07-28
先週金曜、ハラミシュの入植地のサロモンさん宅が侵入テロに襲われ、3人が惨殺されたが、この時一家は、安息日とともに、その前日に生まれたばかりの新生児の誕生を祝っていた時だった。

ユダヤ教のしきたりにのっとり、家族は予定どおり、この子の割礼式を行った。市民数百人と、ネタニヤフ首相夫妻がこの祝いの席に参列している。割礼を受けた男の子は、犠牲となった祖父とおばの名をとってアリ・ヨセフと名付けられたという。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/233082
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神殿の丘での祈り再開へ 2017.7.27

 2017-07-27
神殿の丘問題、すなわち、テロリスト3人が神殿の丘から武器を持って出てきてイスラエルの警察官二人を殺害し、イスラエルがその入り口に金属探知ゲートを設置したことで、大きな暴動になり、ヨルダンも巻き込んでの危機的事態になっていた件について。

木曜正午前、ヨルダンのワクフの発表に続いて、エルサレムのグランドムフティ(イスラム最高指導者)モハンマド・フセイン師が、イスラム教徒たちに、アル・アクサに入って祈りをしてもよいと発表した。

火曜にイスラエルが、金属探査ゲートを撤去したことに続いて、さらなるイスラム側の要求を聞き入れ、水曜夜、その付属設備も全部、撤去し、おおむね以前の状態に戻ったからとしている。イスラム側としては、イスラエルに要求を飲ませることができたということで、面目も立ったということである。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4995108,00.html

この後まもなく、パレスチナ自治政府のアッバス議長も、イスラム教徒らに対し、祈りはアル・アクサ(神殿の丘)で行うよう、指示した。ハマスが先であったが、パレスチナ自治政府も、イスラエル軍に対する大きな勝利だったと言っている。

http://www.timesofisrael.com/jerusalem-mufti-announces-return-to-prayers-in-al-aqsa/

このニュースは、明日の金曜を控え、新たな暴動が呼びかけられていた中での発表で、イスラエルとしても大きな安堵というところである。

しかし、まだ緊張が完全にとけたわけではないので、どのような中で、このムフティの神殿の丘に戻る呼びかけがなされたか知っておいていただければと思う。以下の通りである。
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神殿の丘問題2回目の金曜:大規模衝突の懸念(2017.7.26) 2017.7.27

 2017-07-27
月曜夜、イスラエル政府とヨルダン政府が合意し、アンマンのイスラエル大使館でのテロでヨルダン人2人を殺害したイスラエル大使館警備員はイスラエルへ帰国。公式発表ではないが、その見返りとして、イスラエルは、神殿の丘に設置した金属探査ゲートの撤去をその夜のうちに完了した。

ところが、翌日、ヨルダンのワクフは、この合意には賛同できないと発表。パレスチナ自治政府のアッバス議長も、7月14日以前の状況に戻すまで、イスラエルとの治安協力を始めとするあらゆる協力体制の保留を継続すると発表した。

パレスチナ人たちは、まだ神殿の丘へ入らず、外で祈りを捧げている。夜の祈りでは、火曜の夜も再び暴動となり治安部隊と衝突。30人が負傷し、うち1人は重症となった。水曜もライオン門外で祈るパレスチナ人は増えているようである。

アッバス議長は水曜、パレスチナ人の様々な派閥を集めて会議を行い、今週金曜から、継続して大規模なデモを行う準備をするよう、指示した。金曜だけでなく、それ以後も衝突が続いていく可能性もあり、第3インティファーダ(自爆テロを含むパレスチナ人の武装闘争)の再来かとの懸念もされていた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/233055

<明日金曜:2回目の”怒りの日”呼びかけ>

神殿の丘の現状維持については、イスラエルとヨルダン、それから現場の当事者のパレスチナ自治政府の3者が同意するということになっている。にもかかわらず、今回のイスラエルとヨルダンの合意において、パレスチナ人は完全に蚊帳の外であった。

このため、イスラエルとヨルダンは金属探査ゲート撤去で暴動は静まると考えたかもしれないが、パレスチナ自治政府としては、この合意に敬意を払って、暴動を鎮圧させる義務はない、というわけである。

ヨルダン王室は、パレスチナ人らに、落ち着くよう呼びかけているが、その声に聞き従う様子はない。前回お伝えしたように、ヨルダンは大多数がパレスチナ人であるため、国王も彼らにはあまり強くものを言うことができないのである。

実際、ヨルダンでは、正当防衛であったとはいえ、ヨルダン人2人を射殺したイスラエル大使館の警備員が、イスラエルで、ネタニヤフ首相らに暖かく迎えられたことに立腹。25日、殺害されたジャワウデ(17)の葬儀に数千人が参列し、「イスラエルに死を!」と叫んでいる様子が伝えられている。

ヨルダン政府も、イスラエルが、警備員をヒーローのように迎え入れたとして不快を表明し、捜査が明らかになるまでは、アンマンのイスラエル大使館は閉鎖したままになるみこみ。     

イスラエルは、今後、この警備員の行為について、捜査を進めるるとともに、流れ弾に当たって死亡した、物件のオーナーの家族には、補償金を支払うことになっている。

https://www.i24news.tv/en/news/international/middle-east/151315-170725-jordan-mourners-chant-death-to-israel-after-deadly-embassy-shooting

<水曜朝のエルサレム旧市街>*アルアクサでの祈り再開決定の前日

水曜朝、ダマスカス門から、ライオン門に行ってみた。

ニュースによると、現在、イスラム教徒がアルアクサ(神殿の丘)への入るゲートで開いているのは、9つあるゲートのうちうち、ライオン門付近の”部族ゲート”と、イスラム地区に面する西側の2つのゲートの計3つだけである。

*ユダヤ人、異邦人が入るムグラビ・ゲートは、以前から金属探知ゲートを設置した状態であったため、ゲートは撤去されず、前と同じ状態で入場できる。

ダマスカス門から城壁内に入っていくと、イスラエルの旗印をつけた国境警備隊は、要所要所に5~6人づつ固まって立っていた。その前を、イスラムのおじさんたちのグループが過ぎ去り、また逆方向からは黒服の超正統派男性が歩いてくる。

ところどころに、緑のハーブを売るおばさんたちが座っていたが、いつもの元気はないし、数も少ない。買う人もいない。路上やごみ捨て場に散乱するごみを回収しているのは、エルサレム市の黄色いハッピを着たパレスチナ青年たちである。

国境警備員たちは、みな20歳前後の若い青年たちである。みな厳しい顔をしているが、こっちにむかって、「ニーハオ」とか声をかけてくる者もいる。そこで、「ボーケル・トーブ」とヘブル語で返すと、「わはは~」と一斉に笑ったりして、やはり普通の若者たちである。

しかし、ライオン門付近に来ると、さすがに、空気は緊張でパンパンだった。

部族ゲートの前は、確かに金属探査ゲートは撤去されていたが、順番待ち用の柵は、そのまま残されていた。そこを通らなければならないとなると、探知ゲートはなくても屈辱感は同じだろうと感じた。

国境警備員たちは、部族ゲート直近に7-8人。さらに、ライオン門から部族ゲートに向かう角にも6-7人立っていた。

ライオン門のすぐ外、毎夜暴動が起こる現場には、10人以上の警官が立っていた。国境警備隊といっても、皆ライフルを担ぎ、重装備の機動隊のような様相である。筆者が取材したのは朝の時間帯なので、問題の祈りの時間帯にはもっと警官の数は増やされるものと思われる。

ライオン門の道幅は3メートルほどだが、出る車と入る車がどちらも譲らず、頭を突き合わせたままになり、クラクションを鳴らす一方になっていた。どういうわけか、こんなところに1台だけ、ユダヤ人の車両も混じっていた。

その車の間を、いかにもアフガニスタンといったいでたちの、大柄で恰幅のよいイスラム男性が、城壁内にすり抜けて入っていくのが見えた。手には、配布用のペーパー伝道用コーランか、トラクトを持っている。

この男性は以前にも見たことがあるが、パレスチナの若者たちをつかまえては、何かを説いていた。神殿の丘では、旅行者に説教していたこともある。イスラムへの帰依を説いているようだった。

ライオン門から、神殿の丘に沿ってビアドロローサをハガイ通りまで戻って行くと、その道中にある2つのゲートは閉じられており、その数十メートル前にはやはり治安部隊が5-6人で立っていた。

ハガイ通りに面するゲートの一つは、コットンマーケット・ゲートと呼ばれる。市場の突き当たりにあるゲートなのだが、ゲートも店も全部閉鎖しているので、真っ暗である。その手前には警備隊が立っている。マーケットはこの2週間ほど、閉まったままである。

歩きながら、これでは、イスラム側は、まだ神殿の丘がイスラエルに支配されていると感じるのも無理はないだろうと感じたが、案の定、水曜午後、ワクフは、部族ゲート前の柵を全部撤去すること、監視カメラも新しく増やしたものは撤去し、警備員の数も減らせと要求を出してきた。

これを受けて、イスラエルは、水曜夜、部族ゲート前の柵を全部撤去した。ライオン門から柵が撤去されていく様子を、大群衆のパレスチナ人が見て歓喜の叫びをあげていた。さらにはキャンディーを配り回って”勝利”を祝ったと伝えられている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4995043,00.html

<ハマス:軍事パレードでイスラエルとの闘争呼びかけ>

ハマスは、水曜、ガザ市内で、大きな黄金のドームの模型を筆頭に、大規模な軍事パレードを行った。パレードは、アルアクサにおける抵抗運動を支持することが目的であった。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4994757,00.html

ハマス指導者のイシュマエル・ハニエは、明日金曜には、イスラエルとの国境付近に行き、イスラエルとの闘争に備えるよう、指示していた。これを受けて、アッバス議長もまた西岸地区で、大規模なイスラエルとの闘争を呼びかけていた。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4994897,00.html

アル・アクサでの祈り再開に、ハマスは、イスラエル軍に対する大きな勝利だと言っている。

ヒズボラの、ナスララ党首もまた、イスラエルの大勝利だとコメントを出した。

<警察官2人殺害のテロリスト葬儀:1万人参列で反イスラエルスローガン>

神殿の丘問題のきっかけとなる事件は、イスラエル北部、ウム・エル・ファハン在住のアラブ人3人だった。3人の遺体は、イスラエルが保管していたが、水曜朝、家族に返還されたことを受けて、夕方には葬儀が行われた。

葬儀には1万人が参列し、「我々の血と魂でハラム・アッシャリフ(神殿の丘)を取り戻す」などと叫んでいた。

http://www.timesofisrael.com/thousands-attend-funerals-of-terrorists-who-killed-two-cops-at-temple-mount/

<トルコのエルドアン大統領がアラブ世界にアルアクサ防衛を呼びかけ>

火曜、トルコのエルドアン大統領は、「イスラエルは、(金属探知器設置)間違いを犯した。今、中東のイスラム教徒は、パレスチナのアルアクサを防御するため、エルサレムに向かえ。メディナやメッカを防衛するのと同様に、アルアクサを守るのだ。」と公に発言した。

この呼びかけに対し、イスラエル外務省は、「オスマントルコの時代はすでに終わっている。」とこれを一蹴するコメントを出していた。

神殿の丘(アルアクサ)問題が、一応ながら、早期にあっさりと一段落した今、エルドアン大統領のこの発言もこっけいなものに聞こえるほどである。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Israel-to-Erdogan-after-Jerusalem-tirade-Days-of-Ottoman-Empire-are-over-500740

<イスラエル世論>

パレスチナ側、またアラブ世界も巻き込んで、暴力の気配がエスカレートする中、イスラエルでは、金属探知ゲートを撤去するとの発表が報じられると、警察官の妻たたちが、夫を神殿の丘での任務につかせないとの声をあげていた。

圧倒的な大群衆の非常なる憎しみの中に、警察官たちは、十分に保護する設備もない中、少人数で立たなけれなならないからである。神殿の丘での任務は、これまで以上に危険になったと思われた。

また、チャンネル2の調査によると、イスラエル市民の77%は、いったん設置した金属探知ゲートを撤去することは、イスラムに敗北することになると考え、撤去には反対するとの結果が出ていた。

同時に、だいたい最初に金属探知ゲートを設置したことが軽率で、思慮が不足だったとネタニヤフ首相と閣僚たち、警察への批判も出るようになっていた。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/77-percent-say-Netanyahu-gave-in-on-Temple-Mount-metal-detectors-500760

木曜朝に、イスラム教徒らがアルアクサへ戻ることになると発表されると、イスラエルでは、しばらく、この関係の記事が消えていた。夕方になるにつれ、徐々に背後関係の記事や、コメント、政府、警察への批判などが出てきているところである。

<石のひとりごと>

いやはや、この10日間、メディアは相当振り回された。海外から急遽イスラエル入りした記者たちも決して少なくない。実際、昨夜、いや今朝までは、明日金曜は、どうなることかと思わされるほど非常に危機的な状況にあった。

今回、イスラエルが、面目にこだわらず、また今後、警察官を危険な任務に就かせるのかという国民の不安にほだされることもなく、イスラム側に勝利宣言をさせてでも、金属探査ゲート、さらにまた付属設備もすべて撤去する道を選んだことは、特記すべきことと考える。

イスラエルでは、この「アルアクサを取り戻せ」に端を発する危機は何度も訪れている。昔から、暴力の正当化にはいつも使われてきたスローガンで、実際、これでユダヤ人たちは虐殺されてきた。今回の方策もよく考えられた末の方策であったことと思われる。

今回の一連のことを通して、イスラエル政府は、神殿の丘の取り扱いは、考える以上に、慎重でなければならないということを改めて学んだと言われている。

また、今回、イスラム教徒が入らず、空きになった神殿の丘へ上がって、祈りをささげたユダヤ教徒が少なからずいた。いつもは近づくことさえできない神殿の丘への入り口が閉鎖され、イスラム教徒が出入りしなくなったゲート前では、この時とばかりに、ユダヤ教徒が祈りを捧げたりしていた。

アルーツ7によると、神殿の丘への通路にイシバができて、そこで学びや祈りを始めたグループもいるとのこと。27日朝の段階ではまだ、宗教シオニスト系のユダヤ人たちが、神殿の丘へ行こうというポスターを作って、呼びかけを行っているとテレビのニュースが伝えていた。

まだ時ではなかったようだが、今回の出来事で、神殿の丘こそがユダヤ人の聖地であり、そこに第3神殿を再建したいと願うユダヤ教右派たちの願いと目標が、以前よりも明確になったと思われる。

とにもかくにも、明日金曜日、何事もなく過ぎて、この問題も本当に終了となれば幸いである。
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ヨルダンからイスラエル大使館員無事帰還 2017.7.25

 2017-07-25
ヨルダンとの外交危機が発生してから28時間。アンマンのイスラエル大使館内でのテロで負傷した大使館警備員が、エイナット・シュレイン在ヨルダンイスラエル大使と大使館職員らとともに、、ヨルダン川を越え、イスラエルへ帰還した。

同時に、イスラエルは、神殿の丘に設置された金属探査ゲートを除去することが発表された。

ゲートの代わりに、通過する人間にはまったく気がつかないような、たとえば人間の体温から武器の有無を判断するようなハイテク技術を導入するという。これに予算1億シェケル(約34億円)を計上したことまで報じられた。

ヨルダンのメディアによると、大使館職員返還の条件として、イスラエルは神殿の丘問題への”速攻”の解決策を直ちに講ずることを挙げたという。これはつまり、金属探査ゲートの除去ということになる。

なお、イスラエル政府は、ヨルダンと交渉があったことは認めていない。

<事件詳細>

調べによると、日曜、大使館内の住宅に、大使館警備員と、ヨルダンの家具屋の息子と、家のオーナーが立ち会う中、ベッドが搬入されていたところ、家具屋の息子と警備員の間で、「時間内に仕事が終わっていない。」ということで口論になり、家具屋息子が警備員を持っていたスクリュードライバーで刺したということである。

これに反撃した警備員の銃撃で、家具屋息子は死亡。そこにいた家のオーナーも流れ弾に当たって死亡したということで、神殿の丘問題とは直接の関係はないようである。

<解決までの流れ>

事件発生から、イスラエルとヨルダンは、事件解決に向けて、ただちに交渉を開始した。イスラエルは、ヨルダンが、単独で、負傷した大使館警備員の尋問を行うことを拒否。しかし、ヨルダンも、警備員をイスラエルへ戻すことは拒否した。

このため、イスラエルは、夕方、シンベト(国内治安組織)のナダブ・アルガマン長官がアンマンへ派遣し、ヨルダン政府関係者が同席する中で、ヨルダン人2人を殺害するに及んだ職員の尋問を行った。

アルガマン長官はイスラエルへ戻って、ネタニヤフ首相と協議。ネタニヤフ首相は、ヨルダンのアブダラ国王と電話協議し、解決へと急速に進んだということである。

http://www.timesofisrael.com/amman-embassy-security-guard-returns-to-israel/
http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/232934
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4993906,00.html

<一石二鳥になりうるか?>

今回の大使館内でのテロ事件は、非常に早い解決となった。同時に金属探査ゲートの除去が決まったというところからして、この事件が、イスラエル、ヨルダンにとって、いわば、”わたりに船”であった可能性がある。

イスラエル政府としては、いったん出した金属探査ゲートをテロがエスカレートするからというだけで、ひっこめた場合、過激派に負けを意味することになり、国民に対しても、入植地で3人も殺害されてからの決断かと問い詰められる可能性もある。ひっこみがつかない状態にあった。

一方、ヨルダンにとっても、神殿の丘問題は、イスラエル以上に大きな問題だった。ヨルダンは国民の70%以上がパレスチナ人なので、ヨルダン王室のイスラエルへの対処が気に入らないとなると、王室が転覆させられる危険もあるからである。

イスラエル政府、ヨルダンは、神殿の丘問題の早期解決という共通の、さしせまった目標があったのである。

そこで、今の神殿の丘暴動のシンボルのようになっている金属探査ゲートの排除をイスラエルに認めさせるということで、大使館警備員を返すというとりひきが成立したとみられる。

中東は、今、シリア、イラクでのISISの問題で非常に危険な状態が続いている。スラエル政府にとってもヨルダン王室にとっても、お互い治安協力関係を維持することは非常に重要であるということである。
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ヨルダンのイスラエル大使館内でテロ:神殿の丘関連か 2017.7.24

 2017-07-24
23日夜、ヨルダンの首都アンマンにあるイスラエル大使館内でイスラエル人警備員がヨルダン人(17)に襲われ、警備員の反撃でヨルダン人2人が死亡するという事件が発生した。

詳細はまだ明らかになっていないが、イスラエル外務省は、エルサレムの神殿の丘問題に関連するテロ事件とみている。しかし、何が原因であれ、結果的にイスラエル人が、ヨルダンのイスラエル大使館で、ヨルダン人を殺害しているため、非常に複雑で深刻な外交問題である。

ヨルダンは、負傷した警備員を尋問のため引き渡すよう、イスラエルに要求しているが、イスラエルは、ウイーン条約(大使館内はイスラエルの管轄)により、これを拒否。

これに対し、ヨルダンは、すべてのイスラエル人大使館員らがヨルダンを出ることを禁止。現在、大使館職員、大使館警備員は全員、イスラエル大使館内で待機させられている。

<何が起こったのか>

これまでに明らかになったところによると、23日、ヨルダン人のモハンマド・ザカリヤ・アル・ジャワウデ(17)は、大使館内にあるイスラエル人警備員の自宅の家具の模様替えか何かで、この物件の大家とともに中に入ったもようである。

そこで、家具を動かしている時と思われるが、アル・ジャワウデが、警備員を背後からスクリュードライバーで刺した。これに警備員が反撃し、アル・ジャワウデを射殺。その後意識を失って倒れた。この時の流れ弾で、ヨルダン人大家も負傷。搬送先の病院で大家も死亡した。

<神殿の丘問題と他人事でないヨルダン>*神殿の丘問題詳細については、以下の記事、また前回記事を参照

現在、イスラエル政府、ヨルダン政府は、事件を鎮めるため、水面下で、協議が行われているが、ヨルダンの70%はパレスチナ人で、イスラエルへの反発を抑えきれていないのが、ヨルダンの最近の現状で、見通しは決して明るくない。

これに先立つ23日も、ヨルダンのアンマンでは、神殿の丘にイスラエルが設置し、実質入り口を管理していることについて、「アル・アクサを救出せよ。」と叫ぶ数千人のデモが発生している。

神殿の丘は、現在、ヨルダンのワクフ(イスラム財団)が管理するものであるため、イスラエルが、金属探知器を置いて、その出入り口を管理している状態について、エルサレムのイスラム教徒以上に、イスラエルに対して怒り狂っているのである。

今回、イスラエル人警備員に射殺された、アル・ジャワウデの家族は、「息子は殉教者だ」といい、ヨルダン政府は、イスラエルと断行することを要求している。

これは非常に難しい状況である。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4993529,00.html

アンマンのイスラエル大使館周辺とヨルダンでのデモの様子:http://www.jpost.com/Middle-East/Israeli-security-guard-stabbed-in-attack-at-Israels-Jordan-embassy-500536
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テルアビブ近郊でテロ:イスラエル人重症 2017.7.24

 2017-07-24
月曜昼前11:30、テルアビブ郊外ペタフ・ティクバの中央バスステーションの、シュワルマ(中東サンドイッチ店)に立っていたイスラエル人男性(32)が、パレスチナ人(21)に上半身を刺され、中等から重症を負った。

犯人は逃げようとしたが、現場にいた市民が、車で妨害し、そのまま逮捕された。

発生したばかりの事件で、まだニュースが錯綜しているが、Yネットが警察からの情報として伝えたところによると、テロリストは、西岸地区アララの住民(別のメディアはカランディアと報道)で、イスラエル国内に違法滞在していた人物だという。

「アル・アクサのためにやった。」と警察に言ったとの情報もある。負傷者は、イスラエル在住アラブ人の可能性もあるが、まだ詳細は不明。神殿の丘問題が急速にエスカレートしいている気配もあり、早く根本問題が解決するように祈り必要。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4993651,00.html

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/232899
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神殿の丘問題:解決見えず 2017.7.24

 2017-07-24
*神殿の丘問題

14日、神殿の丘から出てきたパレスチナ人2人が、持込めるはずのない銃で、イスラエル人警察官2人をを殺害。イスラエルは、今後、武器が神殿の丘へ持ち込まれるのを防ぐため、神殿の丘への入り口に金属探知ゲートを設置した。

ところが、これを侮辱とだとして、多くのパレスチナ人イスラム教徒が、神殿の丘に入らず、外で、イスラエルの治安部隊との暴力的な衝突が始まった。金曜には、旧市街周辺、オリーブ山とその麓などで激しい衝突となり、パレスチナ人計3人が死亡した。

さらに21日金曜の夜、西岸地区ハラミシュで、ユダヤ人一家が侵入テロに襲われ、3人がナイフで刺されて死亡。テロリストが残したフェイスブックへの書き込みで、犯行が、神殿の丘問題に由来していることが明らかになった。

<問題への解決見えず>

1)強気のパレスチナ自治政府


ライオン門でのパレスチナ人とイスラエル治安部隊との衝突は、その後も毎晩発生している。西岸地区各地でも衝突が発生しており、新たにパレスチナ人1人が死亡。治安部隊2人が負傷した。

金属探知ゲートだけでそこまで深刻な状況に発展するとは思っていなかったイスラエルは、日曜、治安委員会を開き、金属探知ゲートの除去も含めて話し合いが行われた。

一つの手段として、ゲートの代わりに、ハイテクのCCTVカメラを設置する案も検討された。(*別の報道ではすでに設置している。)しかし、パレスチナ側は、これを拒否。いかなる機器の設置もなかった以前とまったく同じ”現状維持”体制に戻すよう、主張している。

このため、金属探知ゲートは今もそのまま残されている。昼間は、ゲートを通って神殿の丘へ入るわずかな女性たちの姿がテレビでも伝えられている。

しかし、パレスチナ自治政府のアッバス議長は日曜、以前の状態に戻すまではとして、これまで続けてきたイスラエルとの治安協力体制を保留にすると申し入れてきた。治安の協力とは、テロを防ぐために、自治政府が、イスラエルに一定の情報を提供し、イスラエルが事前にテロリストらを逮捕するなどである。

アッバス議長は、「イスラエルが一番困ることだ。」と言ったが、リーバーマン防衛相は「イスラエルは、パレスチナ側の協力は不要だった。この協力は自治政府のためにやっていただけだ。」と反論している。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4993311,00.html

2)怒るイスラエル:テロへの厳しい対処

パレスチナ側が強気となり、イスラエルも引っ込みがつかなくなっているというような状況にある中、安息日を祝っている真っ最中のユダヤ人一家が襲われ、3人が惨殺された。

ここで、厳しい対処に出ることで、また暴力がエスカレートするかもしれないが、このような残虐事件に、イスラエルとしても、何もしないというわけにはいかない。

イスラエルはただちにテロリストが在住していた村や、西岸地区全体を捜索。関連していたとみられるパレスチナ人25人を逮捕した。また、ネタニヤフ首相は、必ずテロリストの家を破壊するといっている。また、事件の関係者、一家、親族まで全員、イスラエルへの入国労働許可はすでに剥奪した。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Israel-cracks-down-on-Hamas-in-West-Bank-after-deadly-attack-500507 

テロリストは、イスラエルの病院で手当てを受けているが、イスラエルの右派政治家たちからは、「テロリストは死刑にすべきだ」などの発言が出ている。

また、残虐なテロが、ティーンエイジャーによるもので、明らかに扇動と、ユダヤ人を殺したテロリストには、高額な支給金が家族に与えられることが、大きな引き金になっているとして、これらを停止するように強く訴えている。

しかし、イスラエル国内では、左派系のハアレツなどでは、右派政権が、神殿の丘関連問題は、地雷を踏むようなものと知っていながら、なぜ軽率にも金属探知ゲートをなどを設置したのか。大量に血が流されてから、あわてて対処を検討していると、からくちの批判も出てきている。

3)一般市民の反応

市民たちが懸念するのは、かつて自爆テロが相次いだインティファーダの再来である。しかし、今の所、西エルサレムのユダヤ人居住区には、影響が出ていないため、エルサレム市内の様子には全く変わりはない。

パレスチナ市民は、夜が明けて、通りに治安部隊と衝突した後の散乱した石を履いている老人の様子が伝えられてた。暴動を起こすのは一部の若者で、一般大衆、特に世俗に近いイスラムの場合は、平和の方を望んでいるのではないかと思われる。

そういうわけで、一般イスラエル社会は、今の所、ただ見守るしかなく、市内は安全であるために、一般民衆が恐れおののくまでは行っていないようである。観光客も今の所は、まだ普通に来ているようである。

4)国際社会の反イスラエル運動

この問題については、ヨルダンだけでなく、トルコ、またイギリスのロンドンでも、イスラエルは神殿の丘から手をひくべきとの数千人から1万人規模の大きな反イスラエルデモが発生している。

http://www.timesofisrael.com/over-10000-march-against-israel-in-london-paris/

国連安保理もこの問題を審議しているようだが、まだ情報はない。

時間がたつにつれて、「イスラエルが、現状維持の合意を破って、アル・アクサ(神殿の丘)を支配しようとしている。」「アル・アクサを救い出せ。」といった誤った考えが大義になり、イスラエルには不利な状況になっていくようである。

イスラエルの同盟国アメリカからは、トランプ政権の中東担当のクシュナー大統領上級顧問と中東特使グリーンブラット氏が、月曜、イスラエル入りの予定。 なお、この2人と、在イスラエルアメリカ大使のフリードマン氏は、事態を鎮めるべく、すでにイスラエル政府と緊密に協議していたとのこと。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4993559,00.html
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ハラミシュでのテロの犠牲者埋葬 2017.7.24

 2017-07-24
安息日、西岸地区ハラミシュの自宅で、テロの犠牲となったヨセフ・サロモンさん(70)、ハヤ・サロモンさん(46)、エラッド・サロモンさん(35)の葬儀が、モディンにおいて、日曜夕方、数千人が見守る中で行われた。

幸せそうななサロモンさん家族の写真を見ると、遺された家族のこれからの道が悲惨でならない。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/232843

この日、サロモンさん宅では、自立した子供達一家もあつまり、安息日とともに、新しく生まれたばかりの孫の祝いが行われていたところだった。犠牲者の一人、エラッドさんも、この日のために、妻と子供たちをつれて実家に来ていたのであった。

テロリストのパレスチナ人、オマル(19)は、食事が終わり、家族の多くがキッチンにいたところに侵入し、犯行に及んだのである。

殺害されたエラッドさんの妻は、この時キッチンにいなかったが、異変を察し、急いで3人の子供達を、2階で寝ていた双子の赤ちゃんの部屋へ避難させ、そこから警察へ連絡。叫んで助けを求めたという。

異変を察した隣家のイスラエル軍救急医療班兵士とその父がかけつけ、兵士が小さなキッチンの窓からテロリストに向けて発砲。一発で、オマルを倒した。。オマルは病院に搬送され、その後、警察に引き渡されている。

死亡したヨセフさんは、多くの孫たちの一家の祖父。エラッドさんは、妻と5人の父。ハヤさんは、小学校一年生(7歳児)の担任教師だった。

自らも重症を負ったトゥバさん(68)は、夫と2息子娘を失った。エラッドさんの妻ミハルさんは、最愛の夫を亡くし、5人の子供とともに遺された。ハヤさんの小学校では、担任の先生を失った子供達になんと伝えるのかと、心の痛む状況になっている。

この一家は、今週、生まれたばかりの孫のブリット・ミラ(割礼)の祝いが予定されているという。いったいとうやって祝うのか。。。全く幸せに暮らしていた一家に突然降りかかった大惨事であった。

こうした事件の場合、ザカと呼ばれるユダヤ教組織が後始末を担当するのだが、文字どおり血まみれになった床と、安息日を祝っていたとみられるパンやろうそくもまだそのままになっている現場を紹介していた。

https://www.youtube.com/watch?v=GozjxUrls34

いつもながら、床の血を手でふき取っているザカのユダヤ人たちの様子には、胸を引き裂かれる思いがする。安息日に、しかも新しく生まれた孫のための特別な祝いに親族が集まっていたところである。

反イスラエルを叫ぶ世界は、「もともと占領していることの結果だ」というが、この一家の様子を知るべきであろう。こんな殺戮に、どんな大義があるというのか。
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ガザからロケット弾 2017.7.24

 2017-07-24
神殿の丘問題で緊張が続いている中、ガザからロケット弾が2回発射された。一回目は昨日で、空中で爆発したため被害はなし。

2回目は、24日深夜すぎで、イスラエル南部エシュコル地方の空き地に着弾した。幸い被害はなかったが、イスラエル軍はただちにハマス関連施設を空爆した。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4993540,00.html

イスラエル軍は、ハマスが、神殿の丘問題で激しくイスラエルに対する闘争を訴えていることから、ガザとの国境にも駐屯し、暴力のエスカレートが発生した場合に備えているところである。

北部もヒズボラが、次のイスラエルとの戦闘に備えているとみられ、付近を調査している様子が伝えられていた。神殿の丘問題で、国際的にも反イスラエルの空気が高まる中、南北両国境で戦闘にならないよう祈りたい。
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速報:家宅侵入テロ:イスラエル人3人死亡 2017.7.22

 2017-07-22
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写真出展:haaretz


先週金曜、神殿の丘から出てきたパレスチナ人3人によってイスラエル人警察官2人が犠牲となって1週間、以後、小規模ながら、毎日、パレスチナ人とイスラエルの治安部隊の衝突が続き、イスラムの礼拝日の金曜には、複数の旧市街城門外で実弾を使う衝突があった。

これにより、少なくともパレスチナ人3人が死亡。多数が負傷した。(詳細は以下の記事にて)

その夜21:50(日本時間土曜朝4時ごろ)、西岸地区、ラマラ近郊のユダヤ人入植地ハラミシュ(ネエベ・ツフ)の個人宅にパレスチナ人1人が侵入。

安息日の食卓にいた家族10人のうち、4人をナイフで刺した。これにより、3人(祖父70歳男性とその30歳代の息子と娘)が即死。祖母(68)が重症となっている。

Yネットによると家族の中の女性が子供を隠し、そこから警察に通報。大声で「テロリストがいる」と叫んだところ、イスラエル軍兵士の隣人が駆けつけ、銃で撃って、テロリストに重症を負わせた。

事件発生直後、同様のテロが発生する可能性もあるため、治安部隊が周辺を捜索するとともに、住民には、外出しないよう伝えられている。

テロリストは、パレスチナ側の病院に搬送されたようが、病院によると、近くの村コバルに住むオマル・アル・アベッド(19)。

オマルは、犯行に及ぶ前にフェイスブックに、「多くの夢があるし、実現すると思う。命を愛し、他者をハッピーにすることが好きだ。でも彼ら(イスラエル)が、女性や子供を殺し、アルアクサを侮辱しているというのに、放ってはおけない。」と書き込んでいた。

いうまでもないが、これは悲しすぎる誤解である。イスラエルは好き好んでパレスチナ人を殺しているのではなく、そうさせられてしまうのである。

また、アルアクサをイスラエルは支配しようとはしていない。むしろ、イスラム教徒の礼拝を保証し、逆にユダヤ人を入れないようにしている。だれが、こんな逆さまのことをパレスチナの若者に教えるのか、そこに怒りを覚える。

以下に詳細を述べるが、金曜の暴動で、計3人のパレスチナ人が死亡したが、年齢は17歳、19歳、20歳代。死してヒーロー扱いされるのだから、オマルのように、後へ続く者が出てきてもおかしくはない。

この事件について、ハマスは、当然の反応(神殿の丘(アル・アクサ)問題への)とコメントしているが、おそらく、組織絡みではなく、個人で動いたものとみられている。

神殿の丘問題で、パレスチナ人との暴力の応報がエスカレートすることが懸念されるため、治安部隊は、西岸地区入植地の警備を強化する。

神殿の丘(アル・アクサ)で、ユダヤ人を殺すことが大義であるかのように考える流れがある一方で、入植地在住のイスラエル人が殺されたことで、過激右派ユダヤ人グループ(こちらもティーンエイジャー)が恐ろしい犯行に出てこないか、非常に懸念されるところである。

西岸地区をカバーする治安部隊は両方に目を光らせなければならないだろう。おそろしいことを考えている、またそうした考えに支配されている若者を覚えてとりなしを!

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4992609,00.html 
http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Report-Stabbing-attack-in-Halamish-near-Ramallah-500382
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神殿の丘危機:東エルサレム各地で暴動:パレスチナ人3人死亡 2017.7.22

 2017-07-22
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写真出展:Ynet Alex Kolomoisky

<旧市街周辺で3人死亡:まるでインティファーダ>

先週金曜に、神殿の丘から出てきたパレスチナ人3人にイスラエルの警察官2人が殺害されてから1週間。イスラエルは、直後の週末は神殿の丘を閉鎖したが、日曜から水曜までには、3つの入り口を解放し、イスラム教徒が中で祈れるようにした。

しかし、問題は、警察が神殿の丘への入り口に設置した武器探査用の金属探査機だった。多くのイスラム教徒たちは、「自分のモスクに入るのに、異教徒に検査される」ことを侮辱と感じたようである。

また、アルアクサ(神殿の丘)の出入り口をイスラエルの治安部隊が、管理していることから、「ユダヤ人が、アルアクサ(神殿の丘)を支配しようとしてい」るという流れになり、「アル・アクサを取り戻せ!」というスローガンになり始めている。

金属探査機が設置された日曜以降、主にライオン門周辺で、小規模なパレスチナ人とイスラエルの治安部隊の衝突が発生していたが、ムフティ(イスラム指導者)が、金曜は、地域のモスクを閉鎖し、できるだけアル・アクサ(神殿の丘)周辺に集まるようにと呼びかけたため、緊張が高まった。

このままでは暴動になるとして、イスラエル政府治安委員会は、この金属探査機を除去するかどうかも検討したが、木曜夜、そのまま残すと発表され、緊張は一気に高まった。

金曜、正午の祈りには、ムフティの呼びかけに応じ、エルサレムやイスラエル北部からかけつけたパレスチナ人イスラム教徒ら数千人が旧市街周辺に集まった。

イスラエル治安部隊は、治安維持のため、50歳以下の男性は旧市街への立ち入りを禁止した。また、警備体制を数千人と大幅に増強し、周辺道路や旧市街への入場を部分的に閉鎖するなどして治安の確保に努めた。

しかし、祈りが終わると同時に、ダマスカス門、ライオン門、周辺、東エルサレムのオリーブ山頂上付近のアルトゥールと、麓のラッセル・アル・アムード、アブ・ディスで暴動となった。

パレスチナ人は石や、火炎瓶を投げ、治安部隊は、スタングラネード(閃光発音筒:大きな音と一瞬火をふく暴徒対処用の殺傷性のない武器)で対処しながら、場合によっては実弾も使って対処を試みていたが、アトゥールと、ラッセル・アムード、シルワンでの暴動で、パレスチナ人3人が死亡。負傷者は数百人と伝えられている。

死亡したパレスチナ人は、モハンマド・マフムード・シャラフ(18)、マフムード・アブ・ガナム(20代)、モハンマド・ラフィ(18)で、暴動の中で、実弾に撃たれたもようである。

シャラフさんの葬儀はすでに行われたが、参列者たちは、「アル・アクサを取り戻せ」というスローガンを叫んでいたという。

インティファーダのような市街戦の様子 
http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/In-Pictures-Israeli-security-confronts-Palestinians-over-Temple-Mount-500340

遺体を運び出すパレスチナ人らの写真 http://www.maannews.com/Content.aspx?id=778251

<意外に短い衝突の時間:30程度で終了>

筆者は、金曜、旧市街内部、イスラム地区の神殿の丘への出入り口、チェーンゲート付近で正午の祈り時間、取材した。今日はさすがにイスラム地区に観光客はいなかった。

イスラムの祈りは1日5回で、一回の祈りは5分もかからないぐらいである。チェーンゲート周辺では、大声でメッセージを叫んでいる男性がいたが、10分ぐらいで終わると、男性たちは、きれに並んで、小さな絨毯をひろげ、いっせいに立ったり座ったり、ひれ伏したりと祈りに入った。

5分ぐらいで祈りが終わると、「アラー・アクバル」とか「血と魂でアルアクサを解放する。」とか一斉に叫んでいたが、高齢者も多く、若者も、旧市街内に住んでいる若者たちで、殺気立った様子はなかった。

祈りは12:45pmに始まり、13:15にはすべて終了。群衆もさっさと引き上げて行った。すると警察も、そこからさらにダマスカス門方面へ入っていくことを許可してくれた。

印象的だったのが、暴動が終了して、笑顔が戻った治安部隊の若者たちだった。緊張がとけたせいか、互いに大声で話し合ったり、水を飲んだり。。。大きなヘルメットを外すとロングヘアーの女性であったり。。

緊張がほどけたのか、重装備の国境警備隊が、写真を撮ってくれとカメラの前でポースしてきた。自ら筆者と写真まで一緒に撮ってくれた。その様子を見ていたパレスチナ人の老人が、「あんたは彼らが好きなのか?言っておくが、彼らは毎日パレスチナ人を殺している。」と訴えてきた。

しかし、さすがに、ハガイ通りに入ると、ものすごい装備の暴徒対処班かと思われる一団と、その周辺にたむろするパレスチナの若者たちが大勢が集まっており、途中で銃声が聞こえるなど、若干緊張した。

周りはほとんど皆男性である。刺繍のバッグを販売していたイスラム女性が、ばたばたと店を閉じているのが見えた。

その混乱を通り抜け、ビアドロローサから、問題のライオン門についたのは、14:00ごろだった。しかし、そのころには、もうすべてが終わっており、通行止めもあいまって、付近は、がらがらになっていた。

しかし、のちにニュースをみると、そこで暴動と衝突があったもようである。しかし、わずか30分から45分後には、すでに落ち着いていたということである。

パレスチナ人の若者たちが、大きな水の10本入りパッケージを持って、警察の脇をとおり抜け、次々に近くの駐車場に向かって歩いてきた。皆笑顔である。

みると、付近は、警察とパレスチナ人たちが飲んだペットボトルが散乱している。若者たちが運んでいたのは、あまった水のボトルである。

ライオン門の外に出て、坂を下っていくと、5-6人のいかにも石を投げてきそうなパレスチナ人の若者たちが、日陰でリラックスした姿で、アイスキャンデーを食べていた。カメラを向けると、キャンデーを振りかざして笑顔で写真に収まってくれた。

日陰に座って休憩中のアラブのおばちゃんたち2人も、カメラをむけると、ものすごくいい笑顔で手を振ってくれた。つい15分ほど前は、暴動であった現場とは思えない静けさで、現場は一気に夏の最も暑い昼寝時間モードになっていた。

坂の下には、報道陣やテレビ中継の車がずらりと並んでいた。暴動を撮影していたのだろうが、それらも昼寝モードである。

そのままダマスカス門まで、城壁の外を歩いたが、ダマスカス門周辺もがらがらだった。あとでニュースを見ると、ここでは、数千人が、道路上で祈りをささげ、その後、まるでインティファーダになった現場だが、それももうとっくに終了し、人々も家に帰ったという感じである。

大きなカメラや、三脚を抱えて引き上げる、プレスの防弾チョッキのジャーナリストたちの顔にも笑顔があった。

ここでも、ひとなつこい警察官が、水のボトルをくれて、「イスラエルはいいやつ。最強だろ。」と言ってきた。写真をとらせてほしいというと、イェイという感じだったが、ボスにダメと言われていた。「なんで?」と言い返しているところはイスラエル人である。

こうした暴動は、今のはじまったことではない。イスラエル人、パレスチナ人双方の切り替えは早い。暴動で死者も出て、悲しいことだが、イスラエル人にとってもパレスチナ人にとっても、もしかしたら、こういうことは生活の一部になっているような気もした。これかでも、これから先も同じことの繰り返しなのかもしれない。

それにしても、どこへ行っても治安部隊や警察官がいて、彼らに、つい感謝とともに、「シャバット・シャローム!」と心から言わずにはいられなかった。

<イスラエルに感謝するパレスチナ・イスラム教徒もいる>

パレスチナ人で、敬虔なイスラム教徒の友人、モハンマドさんに電話で話を聞いた。モハンマドさんは、意外や意外、金属探査機に感謝していると言っていた。

探査機が設置されたのは、先週金曜、イスラエルの警察官が殺害されたからで、同様のことが発生しないようにするためである。また同じことが起こったら、次は大変なことになる。治安のためにやってくれているのだとモハンマドさんが言った。

また、モハンマドさんからすれば、暴動に参加しているのは、ほとんどが東エルサレム在住のパレスチナ人で、普段はイスラエル人の会社や、ユダヤ人の元で働かせてもらって生活している人々だという。それなのにこんなことをするのは馬鹿げているとモハンマドさん。

イスラエルの警察は、ラマダンのとき、西岸地区やガザ地区のパレスチナ人がエルサレムへ来ることができるように計らってくれた。これは注目すべきことで、イスラエルがイスラム教徒の礼拝を妨害していないということを証明していると言った。

また、モハンマドさんのモスクは、今日は閉まっていなかったという。シュアファットや、ベイト・ハニーナなど、東エルサレムのモスクも閉まっていなかったらしい。しかし、暴動で死者が出たラッセル・アル・アムードのモスクは閉まっていたとのこと。

こういうコメントをパレスチナ人から聞くとは思わなかったが、モハンマドさんによると、彼と同様の考えのパレスチナ人は少なくないとのことだった。モハンマドさんはこの秋、結婚が決まっており、とにかく平和がほしいと言っていた。

モハンマドさんも、早くおちついかないと、パレスチナ人自身がますます自分で自分の首を絞めることになると懸念しているが、モハンマドさん自身も、今回は、落ち着くまでちょっと長引くと思うと言っていた。

<あおるハマス>

ガザ地区では、先週、ガザ市民が、パレスチナ自治政府に対し、「電気は1時間しかない。なんとかしてくれ。」と電話で叫んでいる様子が伝えられている。

そんな状態にもかかわらず、この神殿の丘問題について、ハマスは、かなり積極的にイスラエル攻撃を扇動している。

金曜のメッセージで、ハマス指導者のハニエは、アラブ世界に向けて次のように語った。「アルアクサでの祈りが妨害されているのに、何をしているのか。

エルサレムでの抵抗はパレスチナ人のものだが、アラブ、イスラム世界に対する戦いだ。パレスチナ市民の怒りは、パレスチナ問題への反応だ。金属探知機は、パレスチナ人を傷つけるものだ。許すわけにいかない。」と語った。(モハンマドさんのコメントと正反対)

ハニエは、イスラエルが、検問所を設け、探査機や防犯カメラを設置するのは、イスラエルが神殿の丘を支配し、分割しようとしていると考えている。

イスラエル軍は、ハマスが、アルアクサを大義に掲げ、ガザとの国境からイスラエルへの攻撃や、ロケット弾やミサイルがイスラエルに飛んでくることも想定して、不足の事態に備えている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4992578,00.html

<神殿の丘問題:ヨルダン、トルコ、マレーシアで大規模反イスラエルデモ>

金曜、ヨルダンの首都アンマンと、トルコのイスタンブールで数千人が、集結し、反イスラエルスローガンを叫んだ。

そのスローガンには、「エルサレムの兵士(イスラエル兵)を殺すことは素晴らしい」とか、「アルアクサは赤線(越え)」とかのプラカードを掲げていたとのこと。

トルコでは、イルディン首相が、「アルアクサに入ろうとするイスラム教徒を妨害することは解決にならない。」と言っている。エルサレムポストがアルジャジーラからの情報として伝えたところによると、マレーシアでは、北部で、反イスラエルデモが発生。ハミディ副首相が参加したとのこと。

http://www.jpost.com/Middle-East/Protests-across-Muslim-world-condemn-Israel-over-al-Aksa-measures-500339

<石のひとりごと:一人歩きするイスラエル誤解・思わぬ展開もありうるか!?>

この問題は、神殿の丘がからんでいるだけに、うまく下火になっていけばよいが、下手をすると、双方殺し合いの泥沼になり、イスラエルとイスラム世界全体の争いにまで発展する可能性もある。

現時点では、まだどちらにころぶかはまだまだ予測ができない。ことが急速に変化していく中東の様子が少しおわかりいただけるだろうか。

現在、かなりの危機をはらんでいる状況だが、その根拠となるのが、「イスラエルが、神殿の丘を支配しようとして、イスラム教徒を祈りから遠ざけている。」という考えである。

イスラエルは、イスラム教徒をアル・アクサでの祈りを妨害しているのではない。イスラエルは、入るように門戸を開けているのに、イスラム教徒の方で入らないのである。

イスラエルが設置した金属探査機が問題になっているが、実際の現地では、それをくぐって、中で祈っているイスラム教徒もいるし、モハンマドさんのように、イスラエルは治安を守ろうとしているだけだと考え、むしろ感謝するイスラム教徒もいる。現地だけなら、誤解が一人歩きしすぎることもないかもしれない。

しかし、外にいるムスリムたちが、間違った概念をパレスチナの若者たちに植え付け、センセーショナルな報道ばかりを封じるメディアに助けられながら、アラブ世界や国際社会を巻き込み、一人歩きした”大義”を掲げて、イスラエルを攻撃してくるかもしれない。

しかし、そこは、危機をチャンスに変える、ころんでもタダ起きないのがユダヤ人である。すでに右派ユダヤ教徒たちは、イスラム教徒が神殿の丘には入らないことをチャンスととらえ、中に入って、ひそかにではあるが、祈りを捧げている。その様子を自らスマホで撮影し、ネットにあげるものもいる。

神殿の丘でひそかに結婚式(指輪交換)までしたユダヤ人カップルもいる。

また、この問題がこじれるにつれ、六日戦争のときのことが話題になりはじめている。この時、神殿の丘は実はイスラエルの手にあったのに、イスラエル(当時のダヤン将軍)が自らが、ワクフ(ヨルダン)に返したのである。この時に返していなければいまごろ、神殿の丘はイスラエルの管理下にあったはずだという気持ちは、イスラエル人の中に少なからずある。

したがって、この問題が長引いてくれば、「神殿の丘は、確かに700年以上アルアクサモスクであったが、イスラエル軍兵士が命がけで、これをいったん取り戻した以上、イスラエルになんの管理権もないとは言い切れないのではないか。」という考えが広がってくるかもしれない。

ハマスのハニエが、イスラエルは神殿の丘の分割をもくろんでいると言ったが、それは興味ふかい発言だと思った。実はそれはヘブロンのマクペラの洞窟ですでに起こっていることなのである。

マクペラの洞窟では、1994年にユダヤ人入植者が祈りを捧げていたパレスチナ人に発砲し、29人を殺害するというテロ事件が発生した。これをきっかけに、イスラエルは、金属探査機を建物周辺に設置。イスラエル人とパレスチナ人がかちあわないような仕組みで両者は合意した。

マクペラの洞窟は、2つに分割され、一方はモスク、一方はシナゴーグになったのである。年10日づつの祝祭日には、お互い譲り合って、建物全体を使用するという合意が成り立っている。

もしや、神殿の丘を2つに分けるというような話になっていくことは・・・・ないと思うが、予想外のことが起こるのが中東である。とはいえ、これはたんに石のひとりごとであというることを強調させていただく。

この危機、イスラエルはどう切り抜けていくのか、主の計画は何か。ともにとりなしつつ、見守っていただければ幸いである。
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神殿の丘:開門へ 2017.7.17

 2017-07-17
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金曜朝、ライオン門付近の神殿の丘への入り口で、警察官2人が射殺され、犯人3人は神殿の丘内部へ逃亡をはかり、そこで射殺された事件。

ネタニヤフ首相は、神殿の丘の閉鎖を命じ、中に隠された武器がないか捜索するとともに、新しいセキュリティのシステム(金属探知機つきの検問所)の設置をはかった。その上で、48時たった日曜正午、神殿の丘への入場を段階をおって少しづつ、開放していくと発表した。

神殿の丘への入り口は複数あるが、まず日曜には、ライオン門近くの入り口のみを開ける。月曜からは、ムグラビ・ゲートを含む4つのゲートを開き、イスラム教徒だけでなく、ユダヤ人、観光客も神殿の丘へ入れるようにする予定だという。

*さきほど入ったニュースによると、月曜朝、イスラム教徒もワクフもいない中、さっそくユダヤ人が、神殿の丘へ上がったもよう。

*ワクフ:イスラムの財産管理組織のことで、神殿の丘は、ヨルダンのワクフが管理している。

旧市街への門については、金曜午後には、ダマスカス門、ライオン門以外は、解放されていた。ただし、ヤッフォ門は入り口が広く2箇所あるため、L字の門からの入り口については今も閉じられている。車両が入る方の出入り口が空いているが、柵が張り巡らされ、一度に一定人数だけが通れるようになっている。

旧市街内部は、クリスチャン地区やユダヤ地区では、店も普通に開いている。時折、ガイドに連れられた20人ぐらいのグループを見かけた。しかし、夏の最も暑い時期ともあいまってか、個人客は少なく、どこへ行ってもすいていた。

嘆きの壁から、イスラム地区に入ると、人影はさらに極端に減り、店のほとんども閉まり、10代ぐらいの男の子たちが、時折たまっているのが目に付いた。治安部隊が、要所要所に数名づつ立っている前を、時折、ばらばらと観光客が通る感じである。

<ライオン門付近の神殿の丘入り口>

日曜正午すぎに、最初に解放されたライオン門に近い入場口を取材した。先週金曜のテロ現場である。

神殿の丘への入り口から十数メートルはなれたところに、空港のセキュリティチェックのような金属探知機の門が5機備えられていた。その周囲には、かなりの数の警官、国境警備隊が、うようよと集結していた。

この神殿の丘への入り口に最も近いライオン門では、門からさらび10メートル近く手前に、柵がはりめぐらされ、数人ずつしか入れないようになっていた。そこから通された者がようやく門から中へ入り、さらに金属探知機の下をくぐるという形である。

神殿の丘入り口近くでは、まず、ムフティ(イスラム指導者)3人が、むらがる報道陣に囲まれながら、探知機に近づいてきた。しかし、背後では、「アラー・アクバル」と合唱する男性たち、「探知機を通るな」と金切り声で叫ぶ女性の声もあった。

ムフティらは、しばらく警備隊と話していたが、「イスラムの聖地にあるモスクに行くのに、イスラエルの金属探査機の下とくぐることは受け入れられない。元にもそすべきだ。」として、いったん引いたものの、探知機のない柵のところから入ろうとして、一瞬もみくちゃになった。

しかし、中で警察長官と少し話したのち、まもなく出てきた。この時、ムフティは、アラビア語で何か言っていたが、アル・ジャジーラによると、「アル・アクサ・モスクエリアを閉鎖することと、占領、祈りの妨害は正しいことではない。国連と国際社会との合意に反するものである。」と叫んでいたようである。

http://www.aljazeera.com/news/2017/07/israel-reopens-al-aqsa-mosque-compound-170716101448094.html

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ムフティらは、イスラエルへの抵抗として、神殿の丘には入らず、探知機の前で多くの男性らと並んで、そこで祈りを捧げるに至った。

きれいに並んで地べたにひれ伏して祈るイスラム男性たち、その数と同じか、もっと多い報道陣(ほとんどがアラブ系メディア)とそのカメラ。前に立っている国境警備隊、警察官たち。

並んでいる若い国境警備隊員たちの表情の中に、怯えはなかったが、「硬い表情」というのはこういうものかというような、皆一様に同じ表情で立っていた。気温はゆうに36度を超えている。日陰もない。カメラが熱くなりすぎて、一時機能しなくなるほどの暑さだった。

幸い、数分で祈りが終ると、群衆が、拳をふりあげながら、「アラーアクバル」などと叫びながら警官隊に押し迫ることも何度かあった。しかし、暑いせいか、長続きせず、どこか「一応」の感じもあり、怒り狂ったとことろまでは感じなかった。とはいえ、いつ何時、大きな暴動になるかはわからない・・・という緊張感はあった。

しかし、報道陣の数があまりにも多く、叫び声がするたびに、わーっともみくちゃになりながら、いっしょに走っている自分に、深刻な場面なののに、映画でもとっているのだろうか、本質はいったいなんなのだ・・・・という感じもなきにしもあらずであった。

なお、このごたごたの中、のちにニュースによると、今日だけで200人ぐらいが神殿の丘に入ったもようである。イスラムの祈りは日に5回。夕方にもこうしたもみくちゃがあり、一時乱闘になったようだが、幸い、特に大きな問題にはならなかった。

このような中であるが、イスラム教徒が神殿の丘に入っていないことをよいことに、閉まっている神殿の丘への扉の前で、正統派とみられるユダヤ人男性らが、はでに祈っている様子が報じられていた。いつもなら、イスラム教徒以外は近寄れないところに近寄れたからである。

明日からムグラビゲードが開いて、ユダヤ人が入れるとなると、また過激なユダヤ人が入って問題を起こすかもしれず、まだまだ油断はできないエルサレム旧市街である。

<神殿の丘から武器は発見できず>

今回、ネタニヤフ首相が、イスラム世界からの避難を覚悟で、神殿の丘を閉鎖したのは、なぜ3人のテロリストが、実弾の武器を持って神殿の丘から出てきたのかということが、大きな問題となったからである。

閉鎖してから48時間、治安部隊はくまなく神殿の丘を捜索したが、ナイフや棍棒、スタンガンといった武器はいくつか出てきたものの、今回テロの使われたような実弾の武器庫は発見できなかった。

http://www.timesofisrael.com/police-uncover-weapons-but-no-guns-in-temple-mount-searches/

しかし、テロリスト3人がライフルと小銃を持っていたということは、神殿の丘を管理するワクフが関係している可能性があるとして、警察はこれまでに、神殿の丘での説教を担当しているエルサレムのムフティと、ワクフメンバー3人を一時連行して事情聴取した。(すでに釈放すみ)

また、これまでに、ムスリム同胞団(ハマス関連)と関係があるとみられ、解散させられている北部イスラム組織関係者や、犯人の在住地などから8人が逮捕されたもよう。

http://www.timesofisrael.com/police-uncover-weapons-but-no-guns-in-temple-mount-searches/

昨年、ヨルダンは、”イスラエルの暴力”をキャッチするためとして、神殿の丘にくまなく隠しカメラを設置することを提案したが、パレスチナ人が拒否したため、この計画はキャンセルとなった。

イスラエルが、パレスチナ人らが、神殿の丘に武器を隠しているのではないかと怪しむのも無理はないだろう。

<イスラエル国籍アラブ人社会からの反応>

今回のテロリスト3人は、イスラエル北部ウム・エル・ファハン在住、イスラエル国籍を持つアラブ人だった。皮肉にもテロの犠牲になったのは、ユダヤ人ではなく、同じ北部在住、少数民族のドルーズの警察官だった。

ネタニヤフ首相は、怒りをこめて、この3人の葬儀のために設置されたテントを排除するよう指示。金曜、大勢の治安部隊が、ウム・エル・ファハンに出向き、この指示を実行した。

イスラエルの治安維持相エルダン氏は、今後、同じようなテロが後に続かないようにするためにと、テロリストの実家を破壊することを検討していることを明らかにしている。

http://www.timesofisrael.com/minister-mulls-home-demolitions-for-arab-israelis-after-temple-mount-attack/

今の所、3人と大きな組織との関連は出てきておらず、過激イスラムに洗脳された単独犯である可能性が高いが、3人のうちの1人は、まもなく結婚することが決まっていたという。

テロリストの家族たちは、「こんなことをすると知っていたら止めていた。」「家族を破壊する行為だ。」と、まったく予想もしていなかったことだったと語っている。

ウム・アル・ファハンの市長は、「これは3人の単独行動であり、街全体の意思ではない。我々はショックを受けている。」と語っている。葬儀のテントの排除するよう指示されると、家族もすぐに従ったという。市民の多くも、暴力には反対するとの意見を述べている。

しかしながら、ウム・エル・ファハンには、昔から、「アル・アクサが危機にある。」という言葉をスローガンに、イスラエルに反抗する伝統がある。数年前にイスラエルが、北部イスラム組織を解体して以来、この動きはなくなったが、今後、この3人に影響され、再びこの運動が蘇ってくる可能性もある。

今回のテロ事件について、イスラエル・アラブ少数民族を代表する統一アラブ正統派は、なかなか意見がまとまらず、明確にテロを非難する声明をすぐに出さなかった。2日目になってから、アイマンン・オデー氏が、暴力を批判すると同時に、神殿の丘を閉鎖した政府を批判すると述べたが、リブリン大統領はこの対応を厳しく批判した。

<アラブ世界からの反応>

今回のテロは、神殿の丘という非常に難しい場所で発生したため、対応によっては第三インティファーダや、アラブ世界からの攻撃の的になる可能性があった。

ネタニヤフ首相は、テロ事件発生後、すぐにパレスチナ自治政府のアッバス議長、ヨルダンのアブダラ国王、エジプトのシシ大統領に電話をかけ、イスラエルは、「現状維持」の合意を変えるつもりはないと強調した。

アッバス議長は、テロ事件は非難したが、ファタハはその後もテロを扇動する活動を続けている。

ヨルダンのアブダラ国王は、特に聖地でのテロを厳しく批判。神殿の丘は直ちに解放すべきだと抗議したが、同時に治安を乱す者は入れないようにしなければならないとも語った。

しかし、国王の声明に反し、ヨルダンでは土曜、アンマンで、数百人が集まって、神殿の丘閉鎖への激しい抗議デモを行った。さらに日曜には、ヨルダン議会が、テロリスト3人を殉教者と呼び、議会全体で祈る時を持ったとのこと。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4990054,00.html

アラブ連合は、イスラエルが神殿の丘を占領し、現状維持を破ったとして厳しく批判すると表明したが、各国から個別の声明はないが、サウジラビアなどのメディアでは、ダビデの星にみたてた悪魔が、神殿の丘にかぶりつく風刺画をのせるなどの動きがみられた。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4989931,00.html

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写真出展:Ynet news

<今後の懸念>

イスラエルはまだ神殿の丘を閉鎖、その管理を手中に収めたままとなっている。1969年以来の光景だという。今回のできごとは、確かに、イスラエルは、神殿の丘を制覇しようとおもえば、いつでもできるということを証明したようなものである。

もし、この状態が長引けば、アラブ人の間に、だんだん、「イスラエルがアル・アクサ(神殿の丘)を支配する。」という意識が高まり、テロから国際批判にまで高まる可能性がある。

神殿の丘に入るのに金属探知機を通る形は、イスラエル国内からも批判がある。たとえていうなら、教会への入り口に仏教徒の治安部隊が金属探知機を並べ、日曜礼拝にくる人々全員をボディチェックするようなものである。暑い中、馴染みの自分の教会に入るのに長い列をつくって待たなければならない。

日本人は従順なので、治安のためといえば、文句はいわないかもしれないが、アラブ人はそうはいかない。これは異教徒による、侮辱でしかない。実際、この新しい治安策に反発して、神殿の丘が開いたにもかかわらず、イスラム教徒は祈りに来なくなっている。来なくてもすんでいるのではなく、怒りをためこんでいるということである。

もっと別の方法をとることも考え、早期に以前の形に戻さなければならないだろう。

一方で、今後ユダヤ教右派たちが、さっそくに神殿の丘周辺に祈りに来たことも驚きだった。今後、彼らがどう出てくるのかも気になるところである。
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ユダヤ人大量移送の罪を認めるフランス:ネタニヤフ首相パリ訪問 2017.7.17

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写真出展:Reuters: Stephane Mahe

神殿の丘でのごたごたがある中だが、ネタニヤフ首相は予定どおり金曜、フランス、ハンガリーを訪問する5日間の外遊に旅だった。

パリでは、マクロン新大統領と初の直接会談し、ホロコーストの時代に、パリからユダヤ人13000人がナチスの死の収容所へ連行されてから、75年を記念する式典に参加した。珍しく、BBCもトップでこれを報じた。

それによると、1942年7月16-17日、パリの警察が、子供4000人を含むユダヤ人13000人を逮捕し、エッフェル塔近くのサイクリング場に集めた。その後、そのほとんどを列車に乗せてアウシュビッツへと送り込んだのであった。13000人のうち、戦後まで生き残ったのは100人以下だった。

このサイクリング場ではこの出来事を記念する式典が毎年行われているが、イスラエルの首相が出席するには、今回が始めてだという。マクロン大統領は、式典において、「ユダヤ人を逮捕したのはフランスの警察であり、ナチスは一人もいなかった。」と国家としての罪を認めた。

http://www.bbc.com/news/world-europe-40622845

この他、実務レベルの会談で、マクロン大統領は、神殿の丘でのテロを非難したが、ネタニヤフ首相には、2国家解決にむけて、パレスチナと対話するよう要請したという。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4989977,00.html

ネタニヤフ首相は、次にハンガリーを訪問し、水曜にイスラエルへ戻る予定。

http://www.timesofisrael.com/pm-to-depart-for-4-day-trip-to-france-and-hungary/ 
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ネゲブの産業汚水漏出でアイバックスに被害 2017.7.17

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写真出展:Mark Katz/Nature and Parks Authority

6月30日、死海地方ユダの荒野にある肥料工場のリン酸のプールが事故で決壊し、大量のリン酸が、国立公園のワジ・アシャリムに流出した。

汚水が大量に国道90号線に流れこみ、一時通行止になったほどである。同地域は人気のハイキングコースであったが、今は立ち入り禁止になっている。

自然への影響が心配されている中、この2週間で、すでにアイバックス8頭、多くのキツネやワシの遺骸が発見され、重大な自然破壊になっていることが明らかになってきた。イスラエル国立公園のシンボルであるアイバックスが8頭も失われたことは、かなり大きな損失である。

現在、流出したリン酸を吸引する作業が続けられているが、流出した酸は、リン酸が原油より排斥しにくい上に、ワジにそって流れていくため、人間が到達できないところにまで広がってしまう。

まずは、強い酸で、これを飲む動物を殺してしまう他、長期的には、土壌にしみこんで、植物や土壌にまで影響を残すことになる。回復には何年もかかるという。

イスラエルでは、2014年にも、アラバ地方に500万リットルもの原油が流出した。今回のリン酸流出は、前回のように、地下水にまで達することはないと考えられているが、自然破壊という点では、被害は深刻だという。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4984542,00.html

動物が死亡している悲しい写真:http://www.timesofisrael.com/dead-sea-acid-spill-has-turned-popular-hike-route-into-long-term-disaster-zone/ 
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ガザからの汚水流出被害その後 2017.7.17

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写真出展:ynet news

ガザ地区の発電が危機的状況にある中、先週水曜、ガザで唯一の発電所が機能を停止した。ガザでの送電は1日3-4時間である。この暑さの中、しかも海岸沿いのガザ住民はどんな暑さに耐えているのだろうか。

ガザの電力不足で、イスラエルが直接被害を受けているのが、下水問題である。ガザ地区の下水処理場が電力不足で未処理のまま下水をハヌン川に垂れ流すようになってから、その汚水が、イスラエル領内アシュケロンのビーチを汚染し始めた。

このため、これをバキュームカー数台がひっきりなしに吸引し、イスラエルで処理していたが、もはやそれでは追いつけないほどの量になり、川からあふれ始めているという。

イスラエル軍が、ハヌン川に堰をつくって、汚水が入ってこないようにしたが、パレスチナ人らは、それを破壊して、汚水が再度イスラエルへ流れるようにしたという。アシュケロン海岸地方長官は、「これはエコロジカルなテロだ。地方だけでは対処できない。」と国に訴えている。

このまま放置すると、地下水に汚水が入り込み、被害が大きくなると警告している。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4989063,00.html
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続報:負傷の警察官2人死亡 2017.7.14

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写真出展:Ynet news

14日朝発生したライオン門、神殿の丘でのテロで、3人のテロリストに撃たれて負傷し、病院に搬送されていた国境警備隊員(警察)2人が死亡した。

1人は、カミール・シャナンさん(22)写真左と、ハアイル・サタウィさん(30)。サタウィさんには、妻と生まれて3週間の息子がいた。2人とも、イスラエル北部在住のドルーズだった。2人の葬儀はそれぞれの出身地で、早くも今日の午後に行われる。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4989180,00.html

*ドルース(ゴラン高原以外に在住):イスラム教からの分派として始まった独自の宗教。イスラムからは異端として嫌われているが、イスラエルには忠実で、兵役も務める。ただし、ゴラン高原在住のドルーズは、一般的にシリアに忠実であることから、イスラエルには反抗的。

なお、ナイフで刺された一人(39)は、軽症で今も治療中。

<神殿の丘、旧市街も閉鎖>

イスラエルは、現在も、神殿の丘への入り口を全部閉鎖。旧市街全体への入り口も全て閉鎖して、治安維持を強化している。

イスラム礼拝日の金曜に神殿の丘へ入場できないということで、暴動も懸念されたが、閉鎖開始が早朝であったことや、正午の祈りでは、暑すぎることもあってか、幸い、小競り合いぐらいで、今の所、大きな暴動にはなっていない。

今回金曜のイスラムの礼拝日にもかかわらず、ネタニヤフ首相が、あえて神殿の丘の閉鎖を決めたのは、まだ中に武器があると懸念されたからである。現在もまだ、大勢の治安部隊が神殿の丘の中をくまなく捜索している。

事件の後、ネタニヤフ首相は、リーバーマン防衛相や、エルダン国内治安維持相、警察長官らと治安ミーティングを行い、テロ行為を強く非難する声明を出した。

エルダン国内治安維持相は、(イスラエルの警察は、事件発生時、神殿の丘の外におり)”現状維持”を破っていなかった。今後も現状維持を変えるつもりはないないと強調。こういう事態になったのは、(イスラエルのせいではなく)、パレスチナ自治政府がテロを扇動するからだと訴えた。

*現状維持とは、イスラエル、ヨルダン、パレスチナ自治政府で合意している神殿の丘に関する様々な取り決めのこと

<犯人はイスラエル国籍のアラブ人>

今回、テロをおこし、治安部隊に神殿の丘で射殺された犯人ら3人は、イスラエル北部ウム・アル・ファハン出身のイスラエル国籍アラブ人(29歳、19歳、19歳)と発表された。

射殺されたいきさつだが、映像によると、いったん警察に取り押さえられたところ、再び立って逃げようとした時に射殺されたようである。

3人にテロの前科はなかったが、このうち2人は、犯行に及ぶ前日、神殿の丘の黄金のドームを背景に、「明日のいまごろ、我々はもっといい笑顔になっている。神(アラー)に感謝する。それで十分。」と言っている映像をアップしていた。

3人が、西岸地区や東エルサレムのパレスチナ人ではなく、イスラエル国籍のアラブ人であること、また武器があるはずのない神殿の丘から、本格的な銃火器を持ち出していたという事実から、もしかしたら国内に、大きなテロ組織を抱えている可能性も懸念されている。

警察のスポークスマンによると、治安部隊は3人の出身地ウム・アル・ファハンも捜索している。

<ネタニヤフ首相とアッバス議長が会話>

ファタハ(アッバス議長所属)は、イスラエルが神殿の丘を閉鎖すると発表した後に、イスラム教徒に対し、フェイスブックにて、「神殿の丘に行って祈れ。聖なる地をユダヤに変えようとするイスラエルの包囲を砕け。」と書き込んだ。

ハマスの指導者の一人は、犯行を賞賛し、「アル・アクサでの衝突はイスラム諸国とパレスチナ人にとっての勲章だ。これは、占領に対する自然な反応であって、テロではなく、抵抗運動だ。」と同じくフェイスブックに書き込んだ。

こうした状況の中、ネタニヤフ首相とアッバス議長が、午後、異例にも(電話で?)話し合いを行った。ネタニヤフ首相はアッバス議長に、扇動をやめるよう要請。アッバス議長は、テロ行為を非難するとともに、神殿の丘を開放するよう、要請したもようである。

http://www.jpost.com/Israel-News/Fatah-calls-on-Palestinians-to-break-Israeli-siege-at-Temple-Mount-499702

<ベツレヘムでも衝突:パレスチナ人1人死亡>

パレスチナメディア・マアンによると、エルサレムでの事件が発生していた同じころ、ベツレヘムでもイスラエル軍とパレスチナ人らの衝突があった。

それによると、ベツレヘムの難民キャンプで、イスラエル軍の捜索が入り、パレスチナ人らが手榴弾のようなものかとも思われる爆発物を投げてきたため、実弾による紛争になった。この時のイスラエル軍の発砲で、バラア・ハマムダさん(18)が死亡した。

しかし、こういう紛争は珍しいことではなく、エルサレムの事件と、直接の関連は指摘されていない。

http://www.maannews.com/Content.aspx?id=778073

今後、この問題がどうおちついていくかはまだ不明で、大きな暴動にひろがっていく可能性はまだ十分残されている。

<石のひとりごと>

エルサレムの神殿の丘で人間同士が、銃で殺し合いをする。その後、重装備の治安部隊が大勢入って、神殿の丘の内部に武器が残されていないかくまなく捜査している。

この場所は、今は神殿こそないが、かつて主が「わたしの目とわたしの心は、いつもそこにある。(第一列王記9:3)」と宣言した場所である。主はどのように、今日のこの出来事をみておられたのだろうか・・・。まもなく、安息日がはじまるが、大勢の治安部隊は、今週末休むこともない。
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緊急速報!神殿の丘周辺・内部でテロ 2017.7.14

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写真出展:Ynet news

14日、金曜朝7時ごろ(日本時間14日13時ごろ)、エルサレム旧市街ライオン門付近の神殿の丘への出入り口(イスラム教徒のみ)で、テロがあり、イスラエル人3人(警察官?)が負傷。その後、神殿の丘へ逃げ戻ったテロリスト3人を追って警察が神殿の丘へ入り、神殿の丘内部で3人を射殺した。

これを受けて、警察は神殿の丘を完全閉鎖。今日は金曜日でイスラムの礼拝日であるが、神殿の丘での礼拝は禁止の措置が発せられた。

ことが神殿の丘内部、しかも殺されたのがパレスチナ人で、イスラムの金曜礼拝も禁止となったことから、影響はパレスチナにとどまらず、広くイスラム世界に広がっていく可能性がある。ニュースが流れ次第報告するが、緊急にとりなしを要請するものである。

なお、これまでに報じられたところによると、テロリスト3人は神殿の丘からライオン門方面へ出てきたところ、警察官らがいたため、ライフルと小銃を乱射して2人を負傷させ、さらにもう一人をナイフで負傷させたもよう。銃で撃たれた2人は病院に救急搬送されたが、重症と伝えられている。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/232468

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4989180,00.html
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ゴラン高原周辺で停戦開始:米ロヨルダン合意 2017.7.11

 2017-07-11
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赤い部分が停戦エリア 地図出展:VOANews

アメリカ(トランプ大統領)とロシア(プーチン大統領)が、ドイツでのG20にて個別会談を行い、シリア南西部、ヨルダンとシリア国境周辺(ダルアとスウェイダ)と、クネイトラ(ゴラン高原シリア側)での停戦開始で合意したと発表。日曜正午から停戦が発動された。

合意によると、アメリカは、支援している反政府勢力へ圧力、ロシアはシリア軍、イラン、ヒズボラに停戦への圧力をかけたということである。発動から約48時間、限局的な紛争はあったが、今の所、空爆等の戦闘はなく、停戦は守られているとされる。

この停戦は、米ロにシリア難民の流入に困っているヨルダンも加わり、ここ数週間話し合いが行われていた結果だという。

表には出ていないが、この停戦にはゴラン高原のクネイトラも含まれているため、実際にはイスラエルも関係国である。停戦監視にはイスラエルが大きな役割を果たすことになると伝えられている。(地図参照)

http://www.jpost.com/Opinion/How-long-will-the-Southern-Syrian-ceasefire-last-499248

なお、シリア内部の部分的停戦への試みはこれが初めてではない。昨年に引き続き、今年5月にも、ロシア、イラン、トルコが別の地域での停戦を試みた。この時はアメリカは抜きであった。いずれの場合も失敗に終わっている。

http://edition.cnn.com/2017/05/04/middleeast/syria-ceasefire-talks-deescalation-zones/index.html

今回の米ロとヨルダンの停戦合意も、いつまで続くやらと、期待薄のようであるが、国連もとりあえず、今はまだ停戦は守られているとの認識を発表している。

<イスラエルへの影響は?>

イスラエルでは、先週、この地域からの流れ弾が相次ぎ、毎回、クネイトラ周辺のシリア軍関係施設への空爆という報復を繰り返さなければならなかった。これについては、この停戦は、イスラエルにとってもありがたいことである。

しかし、問題は、米ロとも、この停戦を監視し、責任をもつということにはなっていないという点が問題である。停戦の空白を利用し、イランが、イスラエルとの国境に展開し、居座ってしまう可能性もある。

イスラエルとしては、たとえ停戦であっても、この地域で、イランやヒズボラの武器搬入などの動きがある場合は、これまでと同様、先手攻撃は辞さないつもりである。

また一方で、反政府勢力が、同じスンニ派のよしみでもあり、経済力のあるISISの袖の下に協力してしまうという例もあり、停戦の空白に、ISISが入り込んでくる可能性もある。

この停戦については、雲の上の大国の政治的ねらいと地上の詳細には違いがあること、しかしそれでも大国ぬきでは平和の実現の可能性もないということを物語っていると言われている。

http://www.jpost.com/Middle-East/Analysis-Who-wins-and-loses-from-Syria-ceasefire-deal-499178
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エジプトとハマス接近:あわてるアッバス議長 2017.7.11

 2017-07-11
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写真出展:アルジャジーラ

アッバス議長がハマス切り捨て政策を開始し、議員としてのハマスへの給与を差し止め、ガザ地区の電気代をイスラエルに払わなくなったことで、さらに電気の供給が減るなど悲惨を極めるガザ地区。アッバス議長は、ハマスを追放し、一つのパレスチナにしたいのである。

ところが、ガザ地区ハマスとエジプトが、互いの利益のために近づきはじめた。またそのエジプトの下で、ガザ地区の悲惨を救うかもしれないパレスチナ人の政治家が現れ、アッバス議長のハマス切り捨て政策が失敗しそうな動きになり始めている。

あわてたアッバス議長は8日から、急ぎ、カイロのシシ大統領を訪問している。

<エジプトとハマス接近:シナイ半島のISISに苦戦により>

1)ハマスがエジプトとの間に緩衝地帯設置へ

イラクでISISに占領されていたモスルが昨日、包囲攻撃から9ヶ月たってようやく解放されたことは、日本のニュースでも報じられていることと思う。しかし、 ISISはイラクだけではない。

イスラエル周辺では、ゴラン高原南部と、シナイ半島にISISがいる。シナイ半島はエジプト領なので、エジプト軍が、その撃滅に奔走しているが、苦戦をしいられている。先週もシナイ半島北部で、自爆テロがあり、エジプト軍兵士23人が死亡した。

こうした中、エジプトはハマスと接近しはじめている。ハマスや、その他のイスラム組織が、ガザとエジプト(シナイ半島)の国境ラファから、シナイ半島のISISや過激派組織へ、武器等の搬入や、ISIS戦闘員をガザ内部にかくまうなどして稼いでいるとみられ、その取り締まりのためにガザの責任者ハマスとの協力が必要になってきたのである。

ハマスは現在、パレスチナ自治政府(ファタハ)との抗争から電気代を止められ、イスラエルからもエジプトからも電気をとめられ、1日2-3時間の電力という悲惨な状態になっている。このため、ハマスとしてもエジプトとの和解は、望むところである。

利益が一致したハマスとエジプトは、先月から交渉を続けており、ハマスは先月、エジプトから発電所の燃料を都合してもらうかわりに、問題のガザとエジプト(シナイ半島)との国境に緩衝地帯(長さ12キロ、地下10マートル)を設けることで合意した。基本的に、正式な場合以外にこの中へ人が入ることは禁じられることになり、テロ組織への物資の搬入や移動は難しくなる。

これはすなわち、エジプトとハマスは、防衛において協力関係になったということを意味する。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/232182

2)ハマスへの助け舟:マフムード・ダーラン氏をエジプトが容認か?

エジプトとハマスが接近しはじめたと時を同じくして、ガザに働きかけを再開したのが、元ガザ出身だが、アッバス議長と同じファタハ所属の政治家モハンマド・ダーラン氏である。ダーラン氏は、2007年に、ハマスがガザの主導権をファタハから奪った際に、ガザから追放された。

ダーラン氏は、アッバス議長の最大のライバルであり、時期議長とも目される一人だが、ただ残念なほどにカリスマがなく、パレスチナ市民の間で人気もないため、最近はあまりダーラン氏の名前を聞く事もなくなっていた。

しかし、もとから経済力があり、ガザから追放された後、海外で生活する中で、さらに経済力をつけ、湾岸アラブ諸国との太いパイプも持つようになっていた。

そのダーラン氏が、今回、エジプト政府高官の監視の元で、ハマスと会談し、新しい政治体系を提案したという。それによると、ガザ内部の政治、治安については、ハマスがこれまで通り責任をもつが、エジプトはじめ、外交、貿易に関してはダーラン氏が請け負うという形である。

この申し出とともに、ダーラン氏は、ガザ地区に発電所を設立する他、ガザの産業に1500万ドルを投資すると申し出た。この発電所が完成すれば、ガザは発電に関して自立も可能になる。なお、この発電所はUAE(アラブ首長国連邦)が、出資し、エジプトが運営するという形をとることになる。

ダーラン氏は、ガザ活性化のビジョンとして、ガザとエジプトとの国境を解放し、物資の移動を可能にすることをあげている。そうすることで、ガザ内部の物資の価格は下がり、ガザ住民もエジプトに自由に移動が可能となる。ガザの生活は著しく改善されると期待できるというものである。

これはガザの市民生活がいよいよ危機的状況となり、反ハマス運動にまで発展しかねない状況の中、ハマスには大きな助け舟といえる。

この案は、ガザが、カタールからの支援を必要としなくなるということになり、エジプト、また現在カタール村八分をしている湾岸諸国にとっても、都合がよいい。エジプトが、ダーラン氏とハマスの会談をサポートしたのはそのためである。

しかし、これは、ハマを排斥し、ガザをパレスチナ自治政府の下に統括しようとしているパレスチナ自治政府のアッバス議長からすると、まったくおもしろくない動きである。味方だと思っていたエジプトが、ハマスに生き残りの道を提供したようなものだからである。

また、ダーラン氏の案に助けられたガザ市民をエジプトがたきつけるなどして、ハマスを転覆させ、ダーラン氏をガザの管理者にしてしまう可能性もある。

ダーラン氏がアッバス議長の後継有力候補であることから、そのままダーラン氏がガザも西岸地区も統一させるというシナリオも全く不可能ではない。

ただし、ハマスはかつてダーラン氏を追放したほどの敵同士である。そのダーラン氏の案をハマスが受け入れるかどうかは、まだ不明である。

http://www.timesofisrael.com/dahlans-grand-plans-for-gazas-revival-threaten-to-sideline-abbas/

こうした状況を受けて、アッバス議長は、8日、急遽、カイロのシシ大統領を訪問した。

しかし、ハマス潰し、またはハマス吸収をもくろむパレスチナ自治政府のアッバス議長が8日、エジプト入りし、シシ大統領と会談を行った。会談の内容は伏せられているため不明だが、ダーラン氏を迎え入れたエジプトに説明を求めたとみられる。

3)イスラエルとハマスの人質交渉

ここ数日、エジプトにて、イスラエルとハマスが、3年前のガザとの戦争で戦死した兵士2人の遺体と、ガザに自ら迷い込んだイスラエル人3人(ベドウィン2人、エチオピア系ユダヤ人1人)と交換に、イスラエルの刑務所にいるパレスチナ人テロリスト数百人を返還するという交渉が行われているもようである。(イギリス紙の情報)

もちろん、交渉はエジプト高官をはさんだ間接的交渉である。この交渉は、アッバス議長がカイロを訪問中にあえて行なわれたようだが、今の所、実際の動きはない。

イスラエル国内では、右派ユダヤの家党ベネット氏が、「遺体とひきかえに生きたテロリストを返還することはない。」と言うなど、兵士誘拐の結果、交渉でテロリストを返還するというパターンは、誘拐を促進する結果になるとして、反対する意見が相次いだ。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4987172,00.html

2014年以来、遺体をハマスにとられたままになっている兵士ハダール・ゴールディンさんの家族が、遺体と高官にハマスにご褒美を与えるようなことはせず、また戦争で叩き潰すこともせず、国際社会も協力してハマスに支援物資を供給するのではなく、しめあげて降参させるパターンに変えるべきだとの意見を、アニメクリップで訴えた。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Goldin-family-releases-video-calling-for-change-in-approach-to-Hamas-499219

4)イスラエルがジェニンに変電所開設

アッバス議長がイスラエルへのガザ地区電気代支払いを差し止めたことから、ガザ地区の電気は1日4時間以下になっていることはお伝えしている通りである。

それを横目に10日、イスラエルとパレスチナ自治政府が合意の上で、西岸地区のパレスチナ人地区ジェニンに建設した変電所が開設された。イスラエルから供給される電気がここからパレスチナ人家屋へ流される。

これにより、今後、パレスチナ人家庭への電気の供給や支払いについて、イスラエルの電力会社が直接パレスチナ民間の電力会社と交渉する必要がなくなるという。つまり、双方にとって益となるということである。

この変電所を建設したのはイスラエルだが、出資はアメリカ、EU投資銀行、イタリア、スペインとなっている。この後、2018年末までに、ナブルス、ヘブロン、ラマラにも変電所を建設する計画になっている。

開設式典では、イスラエルのユバル・ステイニッツ・エネルギー相と、パレスチナ自治政府のハムダラ首相が、テープカットを行った。

こうした市民レベルでの協力が、将来、イスラエルとパレスチナの和平につながればとは、双方が考えているようである。現実は難しいが・・・。

<石のひとりごと>

エジプト、ハマス、パレスチナ自治政府、そしてイスラエル。結局のところ、皆、同じ地域に住むので、互いに関わらずには生きていけないということのようである。しかし、そこは中東。それぞれが、関わる動機は、絶対に愛や友情ではない。

常に、自国にとって有益になるかどうか、ということが動機である。敵が同じになれば、味方にもなるが、その翌日にまた敵になる可能性も十分ある。そういう意味では、今のトランプ大統領はもしかしたら中東の原則を、オバマ大統領より理解しているのかもしれない。

イスラエルでニュースを追いかけていてひとつわかってきたことは、イスラエルを含め、中東では「約束は守るものである。」という意識がないということである。むしろ、「約束などは、大方は守られない。」というのが常套である。

ネタニヤフ首相を含め、政治家の口から出てくる公約を、ほとんどのジャーナリストは信用していない。それが実現するまでは、あまり意味があるとは考えていないのである。また、実際には約束が守られなかったとしても、だれも気にもとめない。そういうことは、常だからである。

政治家の口約束に踊らされず、実際におこっていること、それを伝えていくことが大切と、あらためて思わされている。。。
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最大野党労働党に新ガバイ党首誕生 2017.7.11

 2017-07-11
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写真出展:Haaretz

現在のネタニヤフ政権は、史上最も右寄りと言われている。その反対の野党を代表するのが左派労働党である。その労働党で、党首選挙が行われ、これまで、党首を務めてきたアイザック・ヘルツォグ氏が転落。

以前、副首相を務めたこともあるベテラン、アミール・ペレツ氏と、6ヶ月前にクラヌ党(中道右派)から労働党(左派)に移籍したばかりのアビ・ガバイ氏(50)の最終投票が、昨夜行われ、ガバイ氏が新しく労働党党首として選出された。

ガバイ氏は、政治家でありビジネスマンで、1999年から通信会社ベゼックのCEOとなり、会社を立て直したという経歴を持つ。

2015年に、同じくビジネス出身のカフロン氏と中道右派のクラヌ党を立ち上げ、現ネタニヤフ政権では環境保全大臣に抜擢され、昨年までその役職を務めていたが、昨年12月、辞職して労働党に加わった。

辞職した理由は、ヘブロンですでに瀕死のテロリストを不要に射殺した兵士に関する取り扱いで、政権の対応に同意できなかったというものである。しかし、共にクラヌ党を立ち上げたカフロン氏は、これを「大うらぎり」と言っている。

エルサレムのバルカット市長と同様、生きるための資産は十分にあるため、仕事として政治にしがみつく必要のない人物である。ガバイ氏は、最初から、政権交代を視野に入れているという。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4987733,00.html
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マクペラの洞窟をパレスチナの世界遺産に指定:ユネスコ 2017.7.8

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ヘブロン・マクペラの洞窟 2017.7.6

ユネスコの世界遺産委員会(21カ国の代表)が、ポーランドのクラカウで、7月2日から12日まで、世界遺産の検証や指定を行っている。

この中で、エルサレム旧市街と城壁の「危機にある世界遺産」としての現状、続いて、パレスチナ自治政府の申請に基づき、ヘブロンのマクペラの洞窟をパレスチナの世界遺産に指定するかどうかの審議が行われた。

結果、4日、エルサレムの旧市街は、「イスラエルの”占領”によって危機的状況にある。イスラエルは、不条理な圧迫をやめるべきである。」という報告が、賛成10、反対3で可決された。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4984802,00.html

http://www.jpost.com/Israel-News/UNESCO-votes-Israel-occupying-power-in-Jerusalem-498755

これは今年5月の神殿の丘に関する採択に引き続き、イスラエルとエルサレムとの歴史的関係をも無視するものである。しかし、理事国21カ国のうち、賛成したのが半数以下の10カ国であったのは初めてのことで、悪い中にもよい兆しはあったとの見方もあった。

続いて、7日、ヘブロンのマクペラの洞窟に関する採択では、賛成12、反対3で、パレスチナの世界遺産として登録することで可決した。

パレスチナの世界遺産として登録されるのは、洞窟そのものと、その上にヘロデ大王が建てたとされる建造物である。投票は公開されなかったため、どの国が賛成、反対したかは不明。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-40530396

今回可決された内容は、エルサレムの神殿の丘と同様、マクペラの洞窟とユダヤ人の歴史的関連を無視する形となっており、理屈からすれば、ユダヤ人がヘブロンに住む正当な理由はないということになる。

*マクペラの洞窟

マクペラの洞窟は、アブラハムとサラ、イサクとリベカ、ヤコブとレアが葬られていると言われる洞窟で、聖書によると、アブラハムがその土地を購入したと記録されている。ユダヤ人にとっては父祖の墓として非常に重要な場所である。

この洞窟の上には、1世紀前後にヘロデ大王が建てた建造物が今も残されている。

ヘロデ大王の後、エルサレム、ヘブロンを含むユダヤ人の国、ユダ王国は、エルサレムと同様、ローマ帝国によって滅ぼされ、その後638年からは、十字軍とイギリス時代を除いて、1700年近く、イスラム教国が治めた。この間、マクペラの洞窟は、モスクとして使用された。

ユダヤ人がヘブロンへのアクセスを回復したのは、1967年になってからである。しかし、その後もヘブロンでは双方ともテロを行って殺しあったため、今は、「現状維持」という枠組みで、両者がこの建物を半分づつに分け合い、使用法を譲り合ってなんとか、双方が使えるように回している状況である。

しかし、今回、パレスチナ自治政府は、「マクペラの洞窟はイスラムのモスクである。」として、パレスチナの世界遺産であるという報告書をまとめた。エルサレムの神殿の丘の時と同様、ヘブロンとユダヤ人の歴史的は無視された形での報告書になっている。

実際のところ、今のヘブロンは、パレスチナ自治政府が管理するパレスチナ人20万人の町である。その中に、ヘブロンはユダヤと主張する右派入植者たちとその家族約300人が、ヘブロン全市のわずか3%の地域(マクペラの洞窟ユダヤ側を含む)に、大勢のイスラエル軍兵士に守られながら、生活しているという状態である。

入植地周辺は、土産物屋が多数あるが、治安維持のため、現在は1800店舗が閉鎖している。イスラエル軍に閉鎖を要請された店が多いが、自ら出て行った店主も少なくないという。

パレスチナ側としては、このややこしいユダヤ人たちに、早く出て行ってもらいたいのである。このように政治的意図で、マクペラの洞窟をパレスチナの世界遺産に指定するよう、ユネスコに申請し、ユネスコもこれを受け入れたわけである。

この申請に対する採択については、アメリカとイスラエルが、採択そのものを行わないよう訴えていた。

また、会議がポーランドで開催されていることから、ホロコースト生存者12人が、ポーランドの外相に対し、ポーランド政府に、ヘブロンに関する採択を行わないよう、ユネスコに働きかけてほしいと嘆願書を提出していた。

しかし、それも受け入れられなかったということになる。

https://www.haaretz.com/israel-news/1.800138

<イスラエル政府の反応>

この結果に対し、イスラエル政府からはネタニヤフ首相はじめ、閣僚たちがいっせいに非難する声明を出した。

ネタニヤフ首相は、ただちに、ユネスコへの拠出金から100万ドルを差し押さえ、その分を、ヘブロンとキリアット・アルバ(ヘブロンに隣接するユダヤ人入植地)に、ユダヤ人の遺産に関する博物館を建てるのに使うと発表した。

イスラエルがユネスコへの年間拠出金を差し押さえるのは、今年1月に600万ドル、3月に200万ドル、さらに100万ドルと、今回の100万ドルと4回目になる。結果的にイスラエルからユネスコへの拠出金は、170万ドルとなった。

これだけ少ないと、イスラエルがユネスコで投票する権利を失う可能性もあるとハアレツ紙は伝えている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4986097,00.html
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インドと国交25周年:モディ首相来訪 2017.7.8

 2017-07-08
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インドのモディ首相 ベン・グリオン空港 2017.7.4 出典:Haim Zach GPO

ユネスコでは、予想通り、イスラエルにとってアンフレンドリーな結果が出たが、これに先立ち、7月4日、インドのナレンドラ・モディ首相が、ドイツでのG20出席を前に、ビジネス代表団とともにイスラエルに到着、7日まで3日間滞在した。

インドの首相がイスラエルを訪問するのは、1992年に国交が正常化して以来、初めてのことである。

あまり知られていなかったが、インドとイスラエルの関係はここ10数年の間にかなり強化された。インドはイスラエルの技術に助けられ、イスラエルにとっては、インドは貿易上の重要な得意先となったのである。

今やインドは親イスラエルの国と言っても過言ではない。今回の3日間の間に、パレスチナへの訪問はなかったばかりか、「パレスチナ」という言葉さえ出なかった。

国際社会では、結局のところ、最終的にはお金が大きくものを言うということのようである。

<最高国賓の歓迎>

モディ首相は、ネタニヤフ首相が自ら出迎え、空港で閣僚が勢ぞろいする中、歓迎式典まで行われた。規模は小さいとはいえ、これは先のトランプ大統領や、バチカンのフランシス法王が来訪したときと同レベルに近い歓迎である。

また、イスラエル滞在中は、ネタニヤフ首相みずからがモディ首相をつきっきりで案内し、空港からはまず空港近くの農業研究所へ直行し、その後でヤド・バシェムに向かった。

リブリン大統領官邸での会見や、首相官邸での歓迎夕食会などのほか、テルアビブの国際会議場にインド系ユダヤ人数千人が集まり、モディ首相を歓迎した。

http://www.jpost.com/Israel-News/Modis-Visit/LIVE-Indian-PM-Modi-arrives-in-Israel-for-historic-visit-498728

モディ首相は、2008年にインドのムンバイで、ユダヤ教ハバッド派の施設がテロにみまわれ、4人が死亡したテロ事件で、ベビーシッターに救出され、両親を失いながらも一人生き残ったモシェ君(当時2歳、今11歳)とも面会した。

http://www.timesofisrael.com/mumbai-terror-attack-orphan-tells-modi-he-wants-to-return-to-india/

また、ネタニヤフ首相とともにハイファのイギリス軍用墓地で、イギリス軍とともに戦い戦死したインド人兵士らのメモリアルを訪問した。

最終日は、ハデラの海水淡水化工場を見学。海岸を走行しながら海水を淡水化する車両に試乗し、ネタニヤフ首相とビーチを歩くなどした後、7日、ベングリオン空港で、送迎式典の後、ドイツのG20へと旅立っていった。

<インド:イスラエルの得意先>

インドとイスラエルは1992年まで国交がなかった。アラブ諸国からの圧力で、インドがイスラエルの独立を認めなかったからである。

ところが、1992年、オスロ合意で、イスラエルとパレスチナが、正式に合意に達すると、いわば”大義”が成り立ったと考えたのか、イスラエルとの国交を開始した。今年はそれからちょうど25年である。

インドを愛し、イスラエルとのビジネスの促進に努めるイスラエル・ネパール商工会議所所長のラビブ・バイロン氏(イスラエル人)によると、国交を開始した1992年のインドとイスラエルとの貿易は2億ドルだったが、2017年末までには、50億ドルを超えると見込まれているという。

インドは農業技術やの開発をするイスラエルの企業に投資し、その技術で、農業は著しく発展した。水不足解消のためにもイスラエルの技術がインドを助けている。モディ首相は、農業用水技術とともに、汚染が進むガンジス川をきれいにするパイロット・プログラムをイスラエルに要請したという。

この他、インドは、イスラエルから、ダイヤモンド、カリウムなどの化学物質、肥料などを、大量に輸入している。観光業を伸ばすため、イスラエルへの直行便も検討されている。

特記すべきは、この50億ドルに防衛関係の取引は含まれていないということ。オフィシャルな数字ではないが、インドはイスラエルから年間25億ドル以上とも言われる武器を購入している。

インドは、人口13億の大国。しかも若い世代が今も増えつつある。高齢化がすすみ、経済に陰りが見え始めた中国にかわって、今や注目の国になりつつある。イスラエルにとっても重要な得意先である。

http://jppi.org.il/new/wp-content/uploads/2017/India%20Israel%20and%20the%20Jewish%20People%20JPPI%202017.pdf

<今回の取引>

モディ首相来訪で、さらに大きな取引があるとも予想されていたが、詳しい発表はなかった。しかし、ハアレツによると、両国は今後、さらに防衛関係と幅広い分野における、7項目で協力していくことで合意したもよう。

7項目の中身としては、水不足になりやすいインドにさらに水関係の技術協力をすること。イスラエルには現在、海水を淡水にするだけでなく、空気中の湿気を取り込んで、空気を乾燥させるとともに、その水分から飲み水を作り出す技術があるという。

この他、宇宙開発技術や、農業技術での共同R&D(調査開発)協力に4000万ドル(両国が半々で折半)が投資されることになった。ネタニヤフ首相は今後4年の間に対インド輸出を25%増やしたい考えである。

http://www.haaretz.com/israel-news/business/1.799788
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ユダヤ人のオリンピック:マカベア大会 2017.7.8

 2017-07-08
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 http://www.maccabiah.com/2017/

嘆きの壁問題や、改宗法案で溝ができたと今も論議が続いているイスラエルだが、7日、イスラエルとディアスポラのユダヤ人が共にスポーツを競うユダヤ人のオリンピック、第20回マカベア大会が、エルサレムのテディ・スタディアムで始まった。

マカベア大会とは、世界中に散在するユダヤ人が、4年に一度、各国から代表選手を送り出し、基本的にユダヤ人だけで開催する国際オリンピック大会である。マカベアとは、ハヌカでおなじみ、紀元前2世紀にシリア軍を一家5人で撃退したマカベア一家からとられたもの。

聖火は、ユダ・マカベアゆかりの地、モディンから出発し、エルサレムに入る。大会は、18日まで。競う競技は、オリンピックと同じで、43競技。イスラエル全国8都市に競技場が準備されている。もちろん、パラリンピックもある。

ユダヤ人だけのオリンピックなのだが、本家オリンピック、サッカーのワールドカップに続く世界で3番目に大きな国際スポーツ大会だという。

マカベア大会は、1932年、イギリス委任統治下で始まり、今年20回目を迎えた。今年はエルサレム統一50周年ということもあり、集まった選手は、イスラエルを含む74カ国から1万人。これまでで最大だという。

テディ・スタディアムで開催された7日の開会式には、リブリン大統領、ネタニヤフ首相夫妻と、ミリ・レゲブ文化・スポーツ相、バルカット・エルサレム市長も参加した。会場は満員で2万10000人以上、花火も上がり、特に盛大な開会式だった。

開会式ビデオ:http://www.jpost.com/Israel-News/Sports/20th-Maccabiah-Games-Opens-With-Spectacular-Ceremony-at-Teddy-Stadium-498976

エルサレムポストによると、この大会で海外からイスラエルに来る人数は、ホテル23件分、食事は60万食、水は120万本で、イスラエルの観光業に落ちる金額は3億5000万シェケル(約10億円)に上るという。

http://www.jpost.com/Israel-News/Sports/Maccabiah-countdown-to-culminate-with-Jerusalem-opening-ceremony-498901

<サプライズ・結婚式>

開会式では、サプライズ趣向として、カナダ代表で、アイスホッケー選手のアビ・ステインバーグさんが、この大観衆の前でフィアンセのレイチェルさんに。「イエス!」と言ったレイチェルさんに、目を閉じてと言って、目を開けたらウエディングドレスが準備されており、その直後にフッパもラビも準備されていて、そのまま結婚式となった。

レイチェルさんは本当に何も知らなかったという。なお、レイチェルさんは、1年半前に改宗したユダヤ人だった。

ビデオ:http://www.timesofisrael.com/maccabiah-2017-opens-with-a-high-energy-ceremony-and-a-surprise-wedding/
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欧米からの新移民続々 2017.7.8

 2017-07-08
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イスラエルには相変わらず新移民が着々と到着している。7月4日、北米(アメリカ、カナダ)からの新移民201人を満載したチャター機が到着した。支援はユダヤ人組織ネフェシュ・ベ・ネフェシュである。

この日、到着したのうち、最年少は1歳5ヶ月、最年長は82歳。34家族が一家をあげて移住し、このうち5家族が双子の赤ちゃんや子供たちを連れてきた。201人のうち、78人が子供である。

独身は51人で、すぐにイスラエル軍に従軍する人は14人。47人が地方の町で活躍することになっている。

ネフェシュ・ベ・ネフェシュによると、同団体が、北米からの移住支援をはじめてから15年。これまでに飛ばしたチャーター機は55機。5万人目を数えた。このうち90%がイスラエルに定着した。この5万人の中に医師、心理学者は530人もいた。

5万にのうち7000人は、地方都市を開拓し、新しく187のコミュニティを立ち上げた。

これまでに、イスラエル軍に従軍した人は6300人。3000組の夫婦が誕生し、15000人以上の新生児がこの移民者たちから誕生した。移民者がイスラエルにもたらす祝福は大きい。

北米からのチャーター機は8月にも予定されているが、来週、ユダヤ機関のチャーター機がフランスからくることになっている。


<石のひとりごと>

今年5月、エルサレムの神殿の丘が、ユダヤ人との歴史的関連を無視した形でユネスコに認識されたのに続いて、今度はヘブロンである。

いちいちの影響はすぐには現れないのだが、こうした採択が積み重なれば、将来的に、国際社会で、パレスチナを有利にする可能性が出てくると懸念されている。

しかし、実際には、イスラエルは強い。イスラエルとパレスチナでは、圧倒的、比べ物にならないほど国力に差があり、イスラエルが、エルサレムから消えてパレスチナが残るということはありえない。背後に主がおられることは否定できないだろう。

世界もそれはわかっているはずで、にもかかわらず、ユネスコが、このような結果を出してくる背景には、*多数決の論理もあるが、イスラエルに対する恐れか、いじめ的な要素もあるのか、いずれにしても、霊的戦いの一つのあらわれであろう。

*多数決の論理

国連は多数決の組織なので、実際には明らかにおかしいとおもわれることも、通ってしまうことがある。真実よりも、それぞれの利害関や立場からの判断、十分な知識や情報がないまま投票する場合が少なくないからである。最近、「多数決の限界」ということが論議されるようになっている。
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