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テルアビブ40度:異常気象で大規模火災発生 2019.5.27

 2019-05-27

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写真出展:Jerusalem Post

日本では北海道で39.5度と、季節外れの暑さが続いているが、イスラエルでも、23日木曜から週末にかけて、テルアビブで最高40度を記録する猛暑となった。海抜以下のガリラヤ湖、ヨルダン渓谷や死海では、46-48度(通常なら32-33度)と、まさに真夏日であった。

また、熱波の到来にともない、22日(水)夜は焚き火をするユダヤ教の例祭ラック・バオメルであった。火災が心配されていたが、23日(木)、イスラエル中央森林地域、アフラなど北部、アシュドドなど南部、ヨルダン渓谷など全国1023箇所で、火災が発生し、土曜夜に鎮火が宣言されるまで、41時間燃え続けた。

この間の火事で、全国計1962エーカー(東京ドーム170個以上)が焼失。全国で3500人が避難を余儀なくされた。ツファットでは、5階建アパートにいたエラッド・プリザットちゃん(3)が死亡。15人が煙を吸って治療を受けた。

https://www.timesofisrael.com/over-1000-fires-ravage-israel-over-3-days-forcing-evacuation-of-thousands/

建物については、特にエルサレムとテルアビブの間、ベン・シェメンの森林地帯に位置するメボ・モディーンでの被害が大きく、50軒からなる町の家屋のうち、40軒が被害を受けた。その近くにあるキブツ・ハレルでも16軒が消失した。この地域で、被害が拡大した原因は、山火事によって電柱が倒れ、スパークしたこととみられている。

この2つの町の住民は、各地の火災がほぼ鎮火した今もまだ帰宅できないままでいる。

メボ・モディーンの被害の様子:https://www.youtube.com/watch?v=jyaSLOSJiLk

ネタニヤフ首相は、今回、ギリシャ、クロアチア、イタリア、エジプト、キプロスに消火活動の支援を要請。キプロスは、地上の消防隊を、エジプトは、ヘリコプター2機を派遣。その国々は、上空から消火する航空機を派遣した。

ロシアとパレスチナ自治政府も支援を申し出て、消火隊4人を派遣した。ネタニヤフ首相は特にエジプトを指して、各国に謝辞を述べている。なお、前回の大規模火災の時はトルコにも支援を要請していたが、今回、トルコは招かれていなかった。

こうした火災の際には、便乗放火を試みる者が出てくるが、今回も東エルサレム住民で、エルサレム市内外で放火しようとした3人が逮捕された。

https://www.timesofisrael.com/wildfire-near-beit-shean-spreads-across-border-into-jordan/

異常な暑さは、金曜夜から軽減し始め、現在はもう通常なみの気候となっている。イスラエル当局は、自然発火以外にも、ラッグ・バオメルの焚き火、ガザからの火炎物飛来、放火などあらゆる原因を調査するとのこと。

<チャリティ開始>

被災者に対するチャリティが始まっている。ユダヤ機関と北米のユダヤ連盟は、メボ・モディンとキブツ・ハレルの住民60家族に対し、緊急支援を行うと発表。とりあえず、一家族1000ドルの見舞金が配布される。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/263641
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ネタニヤフ首相連立政権樹立危し:総選挙やり直しもありうる? 2019.5.27

 2019-05-27

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リーバーマン党首 ネタニヤフ首相 写真出展:Jerusalem Post

4月9日の総選挙の結果、リブリン大統領から、連立政権樹立の任命を受けたネタニヤフ首相。連立に加わる他党との交渉を続けているが、国会で過半数を占める政権樹立に苦戦している。

政権樹立期限は、1回延長されて、最終期限は今週29日(水)。もし、それまでに国会120議席中、過半数を占める連立政権が樹立できなければ、総選挙のやり直しになる可能性が出てきた。

先週23日(木)、ネタニヤフ首相は、連立に加わると目されている右派政党の党首たちを集めた。しかし、連立に加わると目されていた右派イスラエル我が家党(5 議席)のリーバーマン党首がこれを欠席。リーバーマン氏の政党なしでは、計60議席となり、国会120議席の過半数ではなくなってしまう。

ネタニヤフ首相は、60議席でのマイノリティ政権の立ち上げも示唆しているが、前例がなく、当然、安定した政権とは言えない。また、この60議席を確保するために、閣僚の椅子を多くの党に約束しているため、閣僚は18人で十分と考えられるところ、30人にもなる見通しだ。

また、この60議席のうち、超正統派の占める率が高いため、政府に生活依存する人々の声が政治に反映してしまい、一般市民の反発も予想され、安定した政権とはいえないだろう。

<右派政権か、超正統派政権か:リーバーマン党首>

リーバーマン氏は、連立に加わると目される右派ではあるが、前ネタニヤフ政権では、ネタニヤフ首相のハマスへの対応に同意できず、国防相を辞任するという経過があった。また、徴兵義務を回避しようとする超正統派の要求を、政権維持のために優遇するネタニヤフ首相の方針にもまっこうから反対している。

リーバーマン氏は、この超正統派の徴兵制について、同氏の提案を受け入れない限り、連立には加わらないと断言している。ネタニヤフ首相としては、リーバーマン氏を取り込みたいが、かといって超正統派の要求を無視すれば、今度は彼らが連立から離脱してしまうだろう。

リーバーマン氏は、これは、右派政権か、超正統派政権かの選択だと言っている。

<まるでチェス:政治の世界:ヤアロン・デケル政治評論家電話会見>

もしこのままネタニヤフ首相が連立を樹立できなかった場合、リブリン大統領は、連立指名第二候補で、リクード(ネタニヤフ首相政党)と同じ35議席を獲得しているブルーアンドホワイト党(ベニー・ガンツ氏とラピード氏)か、他に可能性があると見る人物に連立樹立を命じることになる。

しかし、新生のように現れた新党ブルーアンドホワイト党は、中道左派と目されており、右派が優勢の現時点では、連立を立ち上げるほどの仲間を持っていない。連立樹立は無理である。遅かれ早かれ、総選挙になるだろう。このため、もうすでにこの時点で、総選挙のやり直しが論議されているわけである。

ここで興味深い点は、リーバーマン氏が、ネタニヤフ首相を首相の座から追放しようとしているのではないという点である。

リーバーマン氏は、ネタニヤフ首相が首相になることはこのままにするとして、各党の議席数を決定する選挙をやり直すべきだと言っている。まず、ブルーアンドホワイトに取られてしまった票を右派が取り戻してから連立を立てた方が良いというわけである。

https://www.timesofisrael.com/overnight-coalition-talks-fail-to-yield-breakthrough-as-deadline-looms/

しかし、はたしてそうなるだろうか。イスラエルのベテランジャーナリストで、過去7回の総選挙を見てきた、イスラエルのトップ政治評論家ヤアロン・デケル氏は、総選挙になる可能性は低いと見ている。

なぜなら、総選挙をやり直した場合、リーバーマン氏の党(5)も、シャス党(6)、超正統派の統一トーラー党(6)も、逆に票を失う可能性が高いからである。

イスラエルでは、得票数が少なく4議席分に達成しない場合は、国会から姿を消すことになる。現在、5議席しかないリーバーマン氏が、今より得票数を減らした場合、次の総選挙で国会から姿を消すことも十分ありうる。

今、ネタニヤフ首相も、総選挙のやり直しを示唆しはじめているが、これは逆にリーバーマン氏と、超正統派政党に圧力をかけて、双方に妥協させ、なんとしても期限までに連立政権を立ち上げようとするネタニヤフ首相の作戦なのかもしれない。

しかし、もし再総選挙になった場合、ネタニヤフ首相自身も不利に陥ることになる。”連立を立ち上げられなかった首相”というレッテルが貼られての選挙戦になるからである。このため、デケル氏は、ぎりぎりのせめぎ合いをしながらも、ネタニヤフ首相は、総選挙をできるだけ避けると予想する。

しかし、そうすると、リーバーマン氏もネタニヤフ首相も、今、自らのリスクを覚悟の上で、総選挙のやりなおしを示唆しているということである。デケル氏は、イスラエルの政治は実に不可思議なところがあるので、だれも望まないのに、再総選挙に突入してしまう可能性も否定できないと言っている。

長年、ネタニヤフ首相を見てきたデケル氏は、「今イスラエルで最も経験のある有能な政治家はネタニヤフ首相をおいて他にない。しかし、ネタニヤフ首相の足元は、予想以上に弱い。」と語っている。

<ネタニヤフ首相汚職疑惑:テルアビブでデモ1万人>

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写真出展:Jerusalem Post

連立樹立困難に輪をかけるのが、ネタニヤフ首相の汚職・背任疑惑である。ネタニヤフ首相は、現職首相としては初めて、刑事尋問を受けようとする立場にある。その開始時期を決める権威を持つマンデルビット司法長官は、首相尋問開始を7月10日から10月23日まで約3ヶ月延期すると発表した。

ネタニヤフ首相側は、1年の延期を要求していたとのことである。ネタニヤフ首相としては、できるだけ早く国会過半数となる連立政権を立ち上げ、国会で現職首相を起訴することはできないとする法律を立ち上げるとみられている。

https://www.timesofisrael.com/netanyahus-pre-indictment-hearing-postponed-until-october/

こうした動きに、特に左派勢や、世俗派テルアビブ系住民は反発を強めており、安息日開けの25日(土)、テルアビブで、1万人が集まる大規模な市民デモが行われた。

デモ隊は、首相の免責を保証するような法律が通れば、首相が司法の上を行くことになる、民主主義でなくなると訴えた。

デモ集会において、筆頭野党ブルーアンドホワイトのヤエル・ラピード協力党首は、ネタニヤフ首相が、短期間に法的に政権を独占したトルコのエルドアン大統領と同じだと訴えた。ガンツ党首、労働党ガバイ党首、アラブ政党オデ党首もこのデモで、意見を述べた。

ネタニヤフ首相のリクードは、このデモを、「ジョークだ」と一蹴。テロ支援(パレスチナ支援のアラブ政党)オデ氏と、(元イスラエル軍総長)ガンツ氏が、同じところに立って意見を述べ、(汚職で逮捕された)オルマート元首相が、”汚職に反対する”デモに参加していると、たっぷりの嫌味を返している。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5515082,00.html

しかし、首相尋問開始の延期がわずか3ヶ月で、もしそれまでにもし総選挙ということになれば、首相の免責法案どころか、首相に返り咲くことも不可能ではないのか・・・なかなか苦しいところに立っているようにみえるが、そこは、常に不思議になんとかするのが、ネタニヤフ首相である。今回もどうなっていくのか、注目される。
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トランプ政権の”世紀の取引”中東和平案始動へ:バハレーン経済ワークショップ 2019.5.27

 2019-05-27
92369910991599640360no.jpg  写真出展:Ynet ロイター

19日、トランプ大統領とクシュナー大統領補佐官は、約2年、先延ばしになっていた、”世紀の取引”と銘打った中東和平案を、6月25-26日、バハレーンのマナマで経済ワークショップで明らかにすると発表した。

しかし、この段階で明らかにされるのは、取引の第一段階であり、政治的な事情を取り扱う第二段階の公表はまだその先とのことである。

マナマでのワークショップは、パレスチナ人とその周辺にいる他の必要なアラブ諸国に、有益な経済的な投資をしようとするもので、アラブ首長国連邦やサウジアラビアなど、裕福なアラブ諸国、ヨーロッパやアジアから、この地域に投資できる裕福な国々やビジネスが参加する。

平たくいえば、このワークショップの目的は、資金を集めである。多くの戦争が、結局経済にからんで発生しているので、まずは経済発展のわくぐみをつくった上で、政治的な交渉に入ろうというわけである。

ホワイトハウスによると、この経済ワークショップでは、政府レベルだけでなく、民間のビジネスリーダーも加わってアイデアを出し合い、和平合意によって可能になる地域のプロジェクトに投資して、中東和平を実現・安定化させることを目標とする。

ホワイトハウスからの情報ではないが、ワークショップでの投資目標額は、680億ドル(約7兆円)。投資先は、パレスチナ自治政府、エジプト、ヨルダン、レバノンなどとなっている。

これらの国々は、投資を受ける見返りとして、イスラエルは、1967年以前の国境線まで撤退すべきとする訴えを撤回させる、つまりイスラエルの存在を認めさせる計画とみられる。

しかし、もしそうなると、西岸地区にイスラエル人がとどまることとなり、パレスチナ人の国を作ることは不可能になるようにみえる。しかし、この経済ワークショップのホストであるバハレーンは、パレスチナ人の国家設立を支持していることに変わりはないと強調している。

https://www.timesofisrael.com/uae-saudi-arabia-to-attend-us-peace-confab-in-bahrain/

こうした動きについて、「平和を金で買おうとしている」との批判もあるが、無論、トランプ大統領がそんな批判を気にするはずもない。要するに平和になれば、それでよいのである。

https://www.nytimes.com/2019/02/26/us/politics/kushner-middle-east-peace.html?module=inline

イスラエルはこの動きについて、今のところ、静観を決めている。

<パレスチナ自治政府不参加表明:期待感うすい”世紀の取引”>

毎回のことではあるが、パレスチナ自治政府は、アメリカの「世紀の取引」は、イスラエルに有利に働く取引だとして、すでにこれを拒否。バハレーンでのワークショップにも出席しないと表明した。

トランプ政権は、米大使館をエルサレムに移動させるなど、数々の親イスラエル政策をすすめているのだから、今回も親イスラエルになると懸念するパレスチナ自治政府の不信感も理解できないわけではない。

一方で、イスラエル国内でも、これまでの和平案と同様、”世紀の取引”も失敗するとみて、あまり期待感はない。

それを裏付ける要因として、まず、イスラエル内政の混乱があげられる。連立政権がはまだ確立していないが、現時点で、連立に加わっている党の中に、強行右派と目される統一右派党(5)がふくまれている。

この党は、西岸地区における妥協は一切認めないと思われるだけでなく、神殿の丘に第3神殿を立てようとしている党である。パレスチナ人とのいかなる妥協も受け入れることはないだろう。

またパレスチナ側でも、アッバス議長(85)は、議長について14年になる。これまでの動きからして、トランプ政権が、いかにパレスチナ市民に有益な条件を出したところで、市民生活の改善を優先する人物でないことは明らかである。

実際、アメリカは、歴史的にも何度となくパレスチナ人に有利な条件を提案してきたが、アッバス議長はそのどれをも受け入れてこなかった。要するに、イスラエルの存在自体を受け入れられないということと、アメリカとの信頼関係がないということが原因である。

また、世紀の取引が相手にするのは、西岸地区のPLOとガザのハマスの両方をさしているのか、そうでないないのかも、まだ明確でない。もし、西岸地区だけであれば、その取引は意味がないということになる。

もしハマスも視野に入れるとすれば、トランプ政権は、自ら”テロ組織”と指定したハマスとの交渉を行わなければならなくなる。これはありえないことである。

3つめに、この動きが、現地当人たち不在のまま、外国勢だけで進められている点。現地イスラエル人、パレスチナ人たちの草の根レベルでは、この件に関して、ほとんど興味も反応もないということも指摘されている。

これでは現地のニーズから外れる可能性が高い。そのよい例が、イスラエルボイコット運動(BDS)である。現地を見たことのない欧米在住の人々が、反イスラエルの主義主張でもって、西岸地区にあるというだけで、イスラエル人による工場ソーダ・ストリームを転居へと追い込んだ。これにより、現地パレスチナ人500人が職を失ったのであった。

また、これまでの中東和平交渉を振り返ると、いざ、何かが決まり始めると、現地では、テロが激化するという繰り返しであった。外国で何を決めてもらっても良いが、現地でテロが激化することのないようにと願うばかりである。

https://www.jpost.com/Opinion/Why-Trumps-peace-plan-is-certain-to-fail-590651
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ユーロビジョン開始:超厳しい治安状況 2019.5.16

 2019-05-16
12日夜、テルアビブでは、ユーロビジョン(国際歌謡コンテスト)が、オープニングセレモニーとビーチパーティで始まった。14,16日に準決勝、18日に決勝が行われる。

https://www.israel21c.org/eurovision-2019-kicks-off-in-plenty-of-style-in-israel/

今年、ユーロビジョンが、テルアビブで行われるのは、2018年の大会で、イスラエル人アーティスト、ネタ・バルジライさんが優勝したからである。それから1年、今日に至るまで、ユーロビジョンが、”紛争国”イスラエルで行われることが論議され、アーティストの中には、参加ボイコットを呼びかける者もいた。

しかし、最終的に不参加となったのは、ウクライナ(ボイコットが原因ではない)とブルガリアだけで、ヨーロッパからロシア方面の41カ国41国のアーティストがコンテストのためにイスラエル入りを果たしている。今回は、特別にアメリカからマドンナも参加している。

メイン会場は、テルアビブ中心のハビマ・スクエア。加えてビーチにはユーロビジョン・ビレッジが設けられ、食べ物に重点を置いたイベントなど、様々なイベントが行われる。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5507866,00.html

日本ではあまりなじみがないが、ユーロビジョンは、かなり大きな国際歌謡コンテストである。観光省は、4月に案内クリップをネットで流したが、再生は2億回。観光省は、この間、40万人がイスラエルに来ると予想している。

ちなみに、決勝戦の入場料は、1350~1700シェケル(約4-5万円)1000席。リハーサルもチケット制で、アーティストたちを見ることができる。

https://eurovisionworld.com/eurovision/tickets

また、コンテストは、テレビやネットで配信され1億人以上が見ることになる。このため、海外から取材に来たジャーナリストたちには、死海へのツアーが提供されるなど、プレスオフィスと観光省がコラボして、最大限に、イスラエルの良さをPRする作戦が展開されている。

しかし、イスラエルを憎む者たちがテロを決行するとしたら、これほど華やかな舞台はないだろう。アメリカ政府はアメリカ市民に対し、特に警戒するようよびかけている。

イスラエルは、テルアビブには警察官2万人を配置。ハビマスクエア周辺に加え、必要に応じてテルアビブ市内の道路が閉鎖されるため、今週1週間は、かなりの渋滞が予想されている。ガザ国境では、治安部隊を増強、迎撃ミサイルを追加するなど、治安強化を図っている。

特にこのユーロビジョンが危険視される状況は以下の通りである。

<厳しい治安情勢>

1)ガザ紛争停戦からわずか7日目

しかし、イスラエルでは、先週、ガザからの700発以上ものロケット攻撃を受け、市民4人が死亡したばかり。テルアビブは、そのガザから20キロしか離れれいない。

ガザでは、200万人のパレスチナ人のうち半数が貧困で生活できない事態となり、イスラエルへのロケット攻撃後の停戦で、なんとか必要物資を受け取るといった悪循環が続いている。今回は、停戦後6日目にあたる12日に、カタールの担当者がガザ入りし、13日、貧しいガザの109000家族が、それぞれ100ドルづつ受け取った。

カタールは、先週4億8000万ドルをパレスチナ人支援に出資すると発表。このうち3億ドルはパレスチナ自治政府に、1億8000万ドルは、ガザのハマスを経由せず、「貧しい市民」に直接手渡されるもようである。

200万人の崩壊寸前のガザ地区と、世界トップクラスのアーティストが、豪華な衣装でコンテストを行い、数十人が地中海ビーチで夜を楽しんでいるテルアビブ。わずか20キロで、この格差を思うとめまいがしそうなぐらいである。

https://www.timesofisrael.com/banks-in-gaza-start-handing-out-qatari-grants-to-impoverished-palestinains/

かろうじてカタールの現金がガザへ搬入されたが、ガザにいるイラン配下のイスラム聖戦が、テルアビブへロケット弾を撃ち込んでくる可能性は否定できない。

別の記事で述べるが、イランは今、アメリカの激しい経済制裁の下で苦しんでいる。このため、”中東のアメリカ”であるイスラエルを攻撃して、問題をそらす可能性もあり、その際は、ガザのイスラム聖戦や、南レバノンのヒズボラを使うこともありうる。

2)米大使館エルサレム移動からちょうど1年

14日は、アメリカ大使館がエルサレムへ移動してからちょうど1年になる。エルサレムでは、ネタニヤフ首相も出席しての記念式典が行われた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/263142

2018年のこの日、ガザでは、パレスチナ人が「帰還への更新」を行い、イスラエル軍がこれに実弾で対応したため、14,15日で62人が死亡した。ハマスによると、このうち50人はハマス戦闘員で、3人はイスラム聖戦だったという。

この1年、アメリカに続いて大使館をエルサレムへ移動させると表明した国々はいくつかあったが、結局グアテマラ一国にとどまっている。そのグアテマラも、来月行われる選挙で、大統領が交代すれば、テルアビブへ大使館を戻す可能性が高い。

パラグアイも、アメリカに続いて大使館をエルサレムへ移動させたが、まもなく大統領が交代すると、パラグアイ大使館は、すぐにテルアビブへ戻された。

ホンデュラスも大使館をエルサレムへと言っていたが、最終的には、外交施設をエルサレムに開設し、大使館移動は次のステップというこおtになった。

ブラジルは、福音派クリスチャンで、大使館をエルサレムに移動させることを公約していたボルソナロ大統領が誕生し、期待が高まったが、結局、大使館ではなく、貿易事務所をエルサレムに設立するにとどまった。

このほか、ルーマニア、ハンガリー、チェコなども可能性を匂わせてはいるが、大使館移動にまでは至らないとみられている。

https://www.timesofisrael.com/year-after-us-embassy-move-jerusalem-diplomatic-influx-fails-to-materialize/

3)ラマダン中のナクバの日

14日は、パレスチナ人の「ナクバの日」である。 この日、パレスチナ人たちは、イスラエルが建国し、”災難”(ナクバ)が降りかかったことを覚え、各地で、パレスチナ人によるデモ活動が行われる。

16日深夜すぎ、ガザでは1万人がデモを開始して、イスラエル軍と衝突しているとのニュースが入り始めた。

パレスチナ人たちは、まもなく公表される予定の、トランプ大統領の和平案にも反発している。13日、ガザでは、国連事務所前でも、デモが行われた。

https://www.jpost.com/Israel-News/Palestinians-to-mark-Nakba-Day-with-protests-strikes-589685

なお、イスラム教徒は、5月6日からラマダン月に入っている。イスラム過激思想に火がつく可能性もあるが、逆に断食で、抑止される可能性もあり、予想は難しい・・・

*5月9日:ラマダン最初の金曜:神殿の丘に18万人

イスラム教のラマダンは5月6日に始まり、6月4日までとなっている。この間、イスラム教徒は、日中断食してアラーの前に出る。特に金曜の礼拝日には、多くのイスラム教徒がエルサレムの神殿の丘(ハラム・アッシャリフ)のアル・アクサモスクで祈りを捧げることになっている。

イスラエルは、治安維持を強化しながらも、ラマダンに敬意を表し、西岸地区などからパレスチナ人がエルサレムに入る制限を緩めている。このため、今年は、昨年より50%増えて、18万人とみられる。(Times of Israelによる:数字はメディアによって格差あり)

幸い、なんの衝突もなくこの日を終えることができた。

エルサレムの治安維持様子、神殿の丘の礼拝の様子のクリップ含むサイト
:https://www.timesofisrael.com/180000-muslims-pray-peacefully-at-al-aqsa-mosque-on-first-friday-of-ramadan/

<石のひとりごと>

超華やかなユーロビジョン、アメリカ大使館移動1周年、一方で、貧困と暴力にあえぐガザ、ロケット弾、ラマダンで神殿の丘に集結するイスラム教徒・・・これらすべてが一斉に同時進行している。

イスラエルは、ユダヤ人という単一民族の国と一言で言える国ではなく、非常に多様なものを含む国である。にもかかわらず、民主国家として繁栄しているという点は、まさに世界に類をみない超ユニークな国であるということをわかっていただければと思う。

聖書は、そのイスラエルを中心に描かれているわけで、結局聖書は、神と人類の壮絶なやりとりが描かれている書物であり、それは過去にとどまらず、今に続き、かつ将来にも続いていくものであるということである。

まさに、イスラエルという国の存在そのものが、聖書の神が実在することを証している。
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第71イスラエル独立記念:現代イスラエルの素顔 2019.5.16

 2019-05-16
5月9日、イスラエルは71回目の独立記念日を祝った。上記のような治安情勢だったが、直前にガザとの停戦に至り、市民たちは、例年のように独立記念日を祝うことができた。

ヘルツェルの丘では、リブリン大統領、ネタニヤフ首相などを迎えての式典。翌日は、戦闘機を含むイスラエル軍機が、バーベキューを楽しむ市民たちの頭上を飛んで、平和を謳歌した。

協力な治安体制のもと、国内では大きな問題もなく、無事この日を終えることができたことは今年も幸いであった。

1)繁栄するイスラエル

イスラエルの総人口は、昨年から2%増えて、902万1000人。71年前、80万6000人で始まったイスラエルは今や10倍以上となった。このままいくと、30年後の建国100周年には1520万人になる見通しである。

総人口902万6000人のうち、ユダヤ人は、669万7000人(74.2%)、アラブ人は189万人(20.9%)その他は43万人(4.8%)となっている。

昨年の独立記念日からの1年で生まれたユダヤ人の新生児は18万8000人(1夫婦の平均の子供の数は3.11人)。新移民は3万1000人。

建国以来、320万人が移住してくる中、71年目の今、ユダヤ人の75%は、イスラエル生まれのイスラエルネイティブ、いわば近代ヘブル人ともいえる人々である。

全世界のユダヤ人のうち、現在イスラエルに在住するユダヤ人は45%である。ということは、現在の全ユダヤ人のうち、30%ぐらいは近代ヘブル人ということである。この人々は毎年増えている。やがて、この人々が、終末時代に大きな役割を果たすことになるのかもしれない。

経済も祝福されている。観光客数は、毎年記録を塗り替えており、昨年末までに440万人がイスラエルを訪問。IT,サイバーセキュリテーなどの部門では、世界中からの投資が相次いでいる。

市民の平均収入は、昨年より増えて、2900ドル(30万円強)。しかし、これについては、格差が相当あるため、あまり参考になる数字ではない。

https://www.timesofisrael.com/israels-population-tops-9-million-including-45-of-world-jewry/

イスラエルは、戦争が尽きないとはいえ、今、最もおちついた時代を迎えているといわれる。イスラエル人の88.9%が、「私は幸せです」と回答している。

世界経済フォーラムの調査では、世界の経済トップ156カ国の幸せ度を発表しているが、イスラエルは、昨年で11位である。世界経済トップ3カ国のうち、アメリカは18位、中国、日本は、いすれも50位までにすら入っていない。

https://www.weforum.org/agenda/2018/03/these-are-the-happiest-countries-in-the-world/

2)エルサレムVSテルアビブ

イスラエルのもう一つの顔が、エルサレムとテルアビブの違いである。エルサレムは、かつてイスラエルの神殿があったように、神の存在を認める、認めざるを得ない町である。

一方、テルアビブは、建国の基となった町で、人間の力を謳歌することを全面に出す。おおまかにいえば、聖書に準じてイスラエルはユダヤ人の国と主張する右派が多いエルサレムと、パレスチナ人との対話を重要視する技術、知識最先端の左派が多いテルアビブである。

この二つの都市は、同じ国の町とは思えないほど様々な点で異なっており、どちらかがどちらかに勝とうとする動きはないものの、様々な点でライバルの様相である。

今回のユーロビジョンでは、まさに祭りで人間謳歌。夜にはバーが開かれ、ゲイ・キャピタルとして、ゲイたちが、道を闊歩する。

https://vimeo.com/330429545

また、今年のユーロビジョンでは、世界的にかなり有名になっている心を読む超能力があるとされるユダヤ人メンタリスト(イスラエル国籍)、リオール・サッカード氏が、特別に出演することになっている。

https://eurovision.tv/story/mentalist-lior-suchard-to-make-special-appearance-at-eurovision-2019

しかし、人の考えていることや、将来を読み解くというサカード氏のパフォーマンスは、聖書の視点で言えば、まさに現代における預言者である。聖書の神と無関係であることから、さしずめ偽預言者だろうか。

ユダヤ教の国だからといって、聖書を強調するだけがイスラエルではないと、テルアビブは世界に発信しているようでもある。

これが良いことかどうかは別として、今回のユーロビジョンは、ネタニヤフ首相がガザと早急な停戦を行った点からみてもわかるように、政治的外交的にも重要なイベントである。
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米イラン対立激化:イスラエルも要警戒 2019.5.16

 2019-05-16

8dd2b286a4e54f7c807c1ba2f960b6a0_18.jpg 写真出展:aljazeera

アメリカが、イランの原油禁輸を開始し、緊張が高まっている。

イランの核兵器開発疑惑が始まったのは2002年。当時、通常利用には不要な20%の高濃度のウランの濃縮を行っていることが内部告発で明らかとなり、イランが核兵器を作ろうとしているのではないかという疑惑が持ち上がった。

以来、イランと国際社会とが交渉を続け、2015年、オバマ元大統領ひきいる6超大国(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、ロシア)とイランが、核合意に至った。これをJCPOA(包括的共同行動計画)という。

この合意により、イランが、ウランの濃縮を一時保留にすることで、世界は、その時点でイランに課されていた経済制裁を解除することになった。

しかし、この合意では、イランは、高濃度のウランを国外に出すことにはなったものの、核開発施設は温存された。このため、合意期間が終了すると同時に、イランが、合法的に自由に核開発を再開することが可能になるという落とし穴があった。

さらに合意とともに経済制裁を解除したことで、大量の現金がイランに流れ込み、イランは弾道ミサイルなど通常兵器の開発、実験を繰り返すようになった。また、イランが支援しているとみられる、シリアやその他の地域のテロ組織(ヒズボラやイスラム聖戦など)の活動も活発になってきた。

このため、トランプ大統領は、2018年5月、アメリカはJCPOAから離脱し、イランへの経済制裁を再開すると発表した。

アメリカは、制裁再開によってイランに圧力をかけ、あらたな合意内容に変更することを求めている。トランプ大統領は、これまでの流れから、イランが方針を変えるとすれば、アメではなくムチ、実質的な圧力しかないと考えている。これはイスラエルが訴えてきたことでもあった。

アメリカは徐々に経済制裁を強化してきたが、1年後の今年5月2日、ついに原油というイラン最大の収入源の完全禁輸を開始した。

イランの原油に頼っていた日本など5カ国は、すでにイラン以外の国から原油を調達したり、ドル建て以外での購入などの道を確立していたようで、この日以降も、今の所、国際社会に大きなパニックはない。

またこれに先立ち、イランの正規軍である革命軍をテロ組織と指定した。これによってもイランへの収入が阻止される結果になった。イランはいよいよ行き詰まり状態にあるとみられる。

これまでのところ、イランは、JCPOAのアメリカ以外の参加国であるヨーロッパ諸国に、イランが合意から離脱して、合意が崩壊しないことを望むなら、合意内容をイランに好意的にするよう要求。同時に、中国、インドとの新たな原油販売で、埋め合わせをして、アメリカ抜きでも生き残れる道を確立しようとしてきた。

しかし、60日たっても欧州は、イランの思うようには動かなかった。また、やはり超大国アメリカ抜きでは、どうにも埋め合わせができないことが明らかとなってきた。イランは今、アメリカと交渉し、アメリカが納得するような核合意に至るしか道はないというところに立たされている。

https://jp.reuters.com/article/iran-deal-idJPKCN1SG0K2

しかし、イランがそう簡単にアメリカに降参するはずがない。イランは、アメリカには屈服しないとする態度を変えていない。

<どうする!?イラン:アメリカと武力衝突の可能性は?>

行き場がなくなったイランが、アメリカとの交渉に進まなかった場合、今後とると考えられる道は3つあるとINSS(イスラエル国家治安研究所)のアモス・やディン氏は分析する。その3つとは以下の通り。

https://www.inss.org.il/publication/rising-crisis-united-states-iran/?utm_source=activetrail&utm_medium=email&utm_campaign=INSS%20Insight%20No.%201166

1)JCPOA核合意から離脱する

イランがアメリカに続いてJCPOAから離脱することで、この条約が崩壊し、世界は核戦争を止められないという道をたどる。

イランは、15日、正式に、合意の履行の一部を停止するとして、ウランの濃縮再開と、イラン西部アラクの重水炉の開発を再開すると発表した。

https://jp.reuters.com/article/usa-iran-nuclear-idJPKCN1SL0N4

2)軍事行動に出る

アメリカを屈服させるため、イランが、シリアやイラクにいるアメリカ兵らを攻撃する可能性がたかまっている。トランプ大統領は、15日、イラクにいる兵士以外のアメリカ人に、安全のため、国外へ退去するよう指示を出した。

またイランは、宿敵サウジアラビアやイスラエルを攻撃するとの警告も行っている。実際、12日、UAE(アラブ首長国連邦)沖で、サウジアラビアなどのタンカー4隻が攻撃を受け、船に損害を受けた。イランの可能性が示唆されたが、イランはこれを否定。

15日には、サウジアラビアのパイプラインが、ドローンによって攻撃された。イラン配下でイエメンで内戦を率いているフーシ派が、これを行ったことを発表した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190515-00000099-mai-int

アメリカは現在、イランの攻撃を阻止するため、ペルシャ湾に空母と爆撃機などを配置し、イランが少しでも軍事行動を起こせば、厳しい報復をするとの強力なメッセージを発している。

また、イランの出方によっては、12万人のアメリカ軍部隊を中東に派遣する可能性も伝えらえた。トランプ大統領はこれを否定したが、必要になれば、12万以上の軍を派遣すると言っている。

しかし、今のところ、トランプ大統領は、あくまでも直接の交渉を求めるとの路線を変えていないようである。INSSのアモス・ヤディン氏によると、トランプ大統領は、イラン首脳に対し、スイス経由で直接アメリカに電話できるラインを提供しているという。

アメリカとイランは、両国とも、軍事衝突は望んでいないとみられている。しかし、お互いの首脳が発する言葉は、非常に強気で、ちょっとしたきっかけて戦争に発展してしまう可能性は十分ある。

3)世界の石油輸出入を妨害する(ホスムズ海峡閉鎖)

サウジアラビアなどから原油を購入するためには、ペルシャ湾からホスムズ海峡を通過してアラビア湾に出なければならない。イランは、この狭いホルムズ海峡を閉鎖することを匂わせている。

もしそうなれば、原油を積んだタンカーが、ペルシャ湾から出られなくなり、世界はまたたくまに原油不足に陥る。そうなれば、戦争になる可能性は一気に高まる。

https://www.inss.org.il/publication/rising-crisis-united-states-iran/?utm_source=activetrail&utm_medium=email&utm_campaign=INSS%20Insight%20No.%201166

<ロシア:アメリカのイラン制裁を非難>

アメリカとイランの関係悪化がエスカレートする中、ポンペイオ米国務長官が、ロシアのソチを訪問。ロシアのラブロフ外相と会談した。

ロシアとアメリカは、大統領選挙にロシアが介入したのではないかという疑惑をめぐって、関係がぎくしゃくしたままである。ロシアはアメリカがイランに最大限の圧力を加えることは、イランを追い詰めるだけだとして、まっこうから反対している。

今回のポンペイオ国務長官のロシア訪問では、イラン問題の他、シリア内戦後や、ウクライナ問題に加え、2016年のアメリカ大統領選でのロシアが関与疑惑についても話し合われたもようだが、結果は、「意見の違いを確認した」という事であった。

しかし、トランプ大統領は、来月、日本で開催されるG20で、プーチン大統領との直接会談に期待していると言っている。

https://www.timesofisrael.com/kremlin-slams-us-maximum-pressure-campaign-on-iran-as-pompeo-arrives-in-russia/

ロシアに限らず、アメリカは、中国とも貿易関税問題で激しく対立しているが、来月のG20では中国の首脳とも会うことになる。ビジネスあがりのトランプ大統領。ビジネスマンらしく、直接会って交渉することを好むようである。

トランプ大統領の言っていることには、一理も二理もあるようだが、これまでの国際社会の流れを変えることになるので、どうしても反対を受けてしまう。外交の世界では、正しいからといって、それがいつも通る世界ではない。厳しい世界である。

<イスラエルへの影響と対策>

アモス・ヤディン氏は、イランとアメリカが軍事衝突になった場合、湾岸地域だけでは収まらず、イスラエルにまで影響が及ぶことはさけられないとして、政府は、直近、中期的視点、長期的視点、すべての視点で備えをしなければならないと警告する。

直近に必要なことは、諜報活動につとめ、イラン、またはその配下にいるヒズボラやイスラム聖戦の軍事攻撃をできるだけ未然に防ぎ、戦争に拡大しないよう努めることである。

イスラエルは、これまでからもシリア国内にその存在を確立しようとするイラン軍関係施設を先制攻撃して妨害する作戦を続けている。これをさらにパワーアップし、シリア内部のイランの動きを抑止する。

中期的視点では、万が一、アメリカとイランが交渉を再開した場合、合意が期限切れを迎えた時点で、確実にイランが核開発を再開できないような合意になっていることを確認する必要がある。このためのアメリカとの連絡を確立しておく。

また、核兵器プログラムだけでなく、弾道ミサイルなどの通常兵器の開発や、中東を支配しようとするイランのあらゆる動きを抑止する。こうした動きは、サウジなど湾岸諸国からの支持も得られるだろうとヤディン氏は語る。

長期的視点でのポイントは、ともかくもイランが核兵器開発に着手しないようにすること。イランがNPT(核拡散防止条約)から離脱する可能性や、これにアメリカが効果的に対応できない場合に備えるということである。

言い換えれば、たとえ単独であっても、イランの核兵器開発を、確実に阻止するだけの軍事能力を整えておくということである。実際、イスラエルは、ガビ・エイセンコット参謀総長の時代から、10年計画で、イランの核兵器を阻止する作戦に備えているという。

https://www.inss.org.il/publication/rising-crisis-united-states-iran/?utm_source=activetrail&utm_medium=email&utm_campaign=INSS%20Insight%20No.%201166

<石のひとりごと>

アメリカとイランが衝突すれば、ロシアが関わってくるだろう。そうなると、ロシア、イラン、トルコ、イランの支援を受けている北アフリカのシーア派諸国などが、結束して中東のアメリカ、イスラエルに攻め込んでくる可能性が出てくる。

一方で、エジプトとヨルダンはイスラエルと和平条約を結んでいることや、現在、サウジアラビアなどの湾岸諸国がアメリカとイスラエルに近づいていることから、これらの国々は、上記の国々の攻撃には加わらないと考えられる。これは、将来勃発すると聖書が予言するゴグ・マゴグの戦いの構図に近づいていると考えざるをえない。(聖書:エゼキエル書38-39)

日本では、聖書に親しむクリスチャンは、たったの105万人(0.83%)らしいが、聖書は単なる宗教書ではない。ぜひ多くの人にも読んでいただきたいと思う。
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戦没者記念日2019 2019.5.8

 2019-05-08
イスラエルでは、6日早朝にガザと停戦となり、平穏をとりもどした。その翌日7日午後、戦没者記念日が始まった。

今年、建国以来の戦没者と数えられたのは2万3741人。このうち、テロ被害者を含む市民は3150人。

今年は、7日午後8時(日本8日夜中2時)に全国で鳴らされる黙祷のサイレンと、嘆きの壁広場での式典で始まる。この式典には、リブリン大統領とコハビ参謀総長が出席する。8日午前中には、戦没者が埋葬されているヘルツエルの丘で、ネタニヤフ首相、リブリン大統領も出席しての記念式典が行われる。

8日には11時に2分間の黙祷のサイレンが鳴らされる。この時、ヘルツェルの丘には、自分に直接関係する戦没者がいなかったとしても、人々は子供連れで、敬意を表するためにやってくる。

日中、テレビでは、1日中、戦没者たちの名前が読み上げられる。イスラエルは、様々な地域から移住したユダヤ人が多い多様な国であるが、国のために命を失った人々への敬意は、子供にもしっかり伝わっている。

戦没者記念日が明けると、独立記念日の祝祭が始まる予定。ガザとの停戦が成立してなによりであった。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5505781,00.html
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ガザとの停戦:流れは変わったのか?2019.5.8

 2019-05-08
3日夜から始まったガザからのロケット弾の雨。ラマダン入りの6日、深夜すぎから、停戦のニュースが出始め、4:30以降、平穏が戻った。

仲介は、エジプトとカタール、国連。ハマスは、停戦の条件をイスラエルが実行するのを1週間待つと言っている。その条件とは、物資の搬入制限を解くなどで、カタールの資金搬入を許可したとの情報もある。*カタールの資金は西岸地区へ搬入される予定

https://www.timesofisrael.com/gaza-official-israel-agreed-to-implement-ceasefire-concessions-within-a-week/

イスラエル政府は、停戦が成立したとして、6日、南部住民に通常の生活へ戻るよう指示した。

https://www.haaretz.com/opinion/.premium-when-will-death-stop-falling-from-our-skies-1.7209255

この3日間の衝突で、ガザが発射したロケット弾は、700発以上。市街地へ着弾するとみられたものは迎撃ミサイルシステムが撃墜したが、その防護率は86%であった。一方、イスラエル軍のガザへの空爆は、350箇所以上であった。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/262734

この衝突で、イスラエル人4人、パレスチナ人は23人が死亡した(ガザ側発表)。

イスラエル人で死亡した4人は、以下の通り。(報道の混乱で一時死者は5人に見えたが、最終的には以下の4人)被害地域は、ガザ周辺にとどまらず、アシュケロン、アシュドド、スデロット、ベエルシェバにまで拡大した。

①モシェ・アガディさん(60)/アシュケロン
②ジアド・アルハメムダさん(47)ベドウイン/アシュケロン

③ハス・メナヘム・プレズアズマンさん(21)/アシュドド
④モシェ・フェデルさん(68)/クファル・サバ

リブリン大統領は、すべての犠牲者家族を慰問した。ガザでは、カイロに集まっていたハマスの指導者ヤヒヤ・シンワル、イスラム聖戦のジアド・アル・ナクハラが、ガザへ戻った。

<カタール資金:西岸地区へ搬入へ>

ガザは、現在、崩壊ギリギリの限界にきている。(失業率51%)。これを助けていたのが、カタールからの援助金であった。これまで、イスラエルは、ガザとイスラエルの衝突が発生するたびに、カタールの資金がガザへ入ることを承諾してきた。

資金がなくなって、ガザが崩壊すると、イスラエルが、ガザを再占領することをせまられるか、そうでなければ、ハマスよりやっかいなものが入ってくる可能性があるからである。このため、ハマスは、資金を得る手段として、イスラエルへのロケット攻撃を使うというサイクルになりつつあるとみられた。

これを「弱さ」と見たリーバーマン当時防衛相は、昨年11月、これ以上、ネタニヤフ政権とともに歩めないとして、辞任を表明し、以後、ネタニヤフ首相が防衛相も兼任するようになった。

今回もカタールは6日、ラマダン前に、4億8000万ドルを、パレスチナ人支援に送金すると発表した。その直後に、ハマスは攻撃を停止した。

しかし今回の搬入先は、ガザではなく、西岸地区のパレスチナ自治政府である。ガザにどのぐらい入るのかは、はなはだ疑わしい。ガザに資金が入らなければ、またイスラエルへの攻撃が再開されるだろう。

https://www.timesofisrael.com/qatar-pledges-to-send-480-million-in-aid-to-west-bank-and-gaza/

一方で、パレスチナ自治政府が、この資金を使って、ハマスを手なづけて、パレスチナ地区を統一する可能性を指摘する分析家もいる。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5505730,00.html

7日、エルサレムポストによると、ガザでは、イスラエルの攻撃で家を破壊された家族には一件につき、ハマスから1000ドルが支給されることになっているとのこと。西岸地区経由の資金かどうかは不明。

https://www.jpost.com/Middle-East/Hamas-offers-1000-to-Gaza-families-whose-homes-were-destroyed-by-Israel-589068

<南部住民の怒り>

同様のガザとの衝突は、昨年11月、3月に続いて3回目になるが、イスラエル市民に4人もの死者が出たのは今回が初めてである。

イスラエル南部住民は、夜中に何度もサイレンで起こされ、シェルターに駆け込む。子供達は学校が休校になるし、仕事にも行けない。これが日常になるのは受け入れられないと語る。

自国民が、深刻な被害にあっているのに、政府が、いつまでたってもガザに対して決定的な政策をとらず、いつまでもこうしたイタチゴッコを続けていることに、南部住民は当然ながら怒りをぶつける。

今回も、死者を出しながらも、ガザを一掃しようとしないネタニヤフ首相とその周囲にいる右派たちを「弱い」と批判する声も決して小さくない。また、政府は、ユーロビジョンを開催したいばかりに、早期に妥協したとの見方が優勢で、南部住民らは、またもやその犠牲になったと怒っている。

https://www.timesofisrael.com/in-rocket-scarred-south-quiet-sets-in-and-anger-at-government-simmers/

しかし、4月の総選挙では、南部住民の90%が、ネタニヤフ首相に投票していたのである。

また、このような状況にありながらも、イスラエル南部に移住していくユダヤ人は増加傾向にあることは特記すべきであろう。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/The-next-round-of-rockets-is-coming-soon-analysis-589009

<ガザ情勢にゲームチェンジ?:ネタニヤフ首相>

イスラエル政府への不満がある一方で、ネタニヤフ首相は、今回、ガザとの関係において、流れを変えることができたと主張する。すなわち、ガザとイスラエルの衝突のペースを決めるのはイスラエルになったということである。確かに、今回は、いつものように、ハマスが「勝利宣言」を出していないのも興味深い点である。

これについて、Yネットの著名な中東評論家ロン・ベン・イシャイ氏は、次のように解説している。

1)”停戦”を要請したのはハマスであって、イスラエルではなかった。

今回は、ガザの方から停戦を要請し、イスラエルがまだ応じていないうちに、ハマスとイスラム聖戦は自分からロケット攻撃を停止していた。ハマスは、ラマダン入りなので、戦いをスローダウンしなければならなかった。

また、イシャイ氏によると、今回、イスラエルが、ガザに向かって証明したかったことは、「いくらやってもイスラエルは動かない。抵抗は無駄。」という現状である。確かに4人もの犠牲者を出しながら、イスラエルはあわてることなく、停戦を持ち出すことはなかった。

イシャイ氏は、ユーロビジョン(国際歌謡コンテスト)開催のために、ガザへの総攻撃を避けたという説は否定する。

2)イスラエルは反撃の正当性を維持した。

イスラエルは、ハマスやイスラム聖戦指導者らをピンポイント攻撃するなどして、ガザ市民への被害を最小限に抑えた。一方で、イスラエルは、市民4人が自宅などで死亡している。トランプ大統領が言ったように、イスラエルは、防衛の権利を持つという立場を維持することができた。

3)政府と軍が一致し、イスラエルの脅威を示した

イスラエル軍参謀総長は、今年1月に就任したばかりのアビ・コハビ氏である。今回、政府と軍は一致して動いており、その作戦の内容の詳細が、メディアに漏れることはなかった。

また今回、イスラエル軍は、どういうわけか、ハマス指導者らの自宅や居場所を知っていて、正確にピンポイント攻撃に及んだ点も、ハマスやイスラム聖戦には改めて、脅威になったのではないかという点。

しかも、イスラエルは、地下に潜んでいるテロ組織の司令官らに、自宅を攻撃するので、家族を避難させるよう予告してから、攻撃していたという。この点もまた、ハマスやイスラム聖戦にイスラエルの大きさと余裕を示す結果になったはずである。

3)イスラム聖戦を攻撃した

イスラエルはこれまで、ガザの管理者はハマスだと断定し、ハマスの拠点ばかりを攻撃してきた。ところが、今回は、イスラム聖戦(イラン配下)の拠点も攻撃している。イスラエルが、イランを恐れていないということを示した。

とはいえ、これらは、ガザからの攻撃を抑止する助けにはなっても、解決ではない。ハマスが、その存在基盤をイスラエルの破壊においているテロ組織である以上、戦いは、またすぐ発生するだろう。

結局のところ、ハマスには、ガザから出て行ってもらい、もっとガザ市民のことを考える指導者に入ってもらうしかない。今の所、そういう人物がいないというのが、問題である。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5505129,00.html

イシャイ氏は、今回のガザへの対応を評価している形ではあるが、市民に4人の犠牲者が出たことについて、迎撃ミサイルの配備をもう少し増やしておくべきだったと述べている。

<石のひとりごと>

ネタニヤフ首相については、課題も多く、賛否両論ではあるが、実質を見れば、今回もできるだけ兵士に犠牲を出さず、比較的短期間で平穏を取り戻したことは、確かである。

イスラエルでは、8日から戦没者記念日、独立記念日と大事な日がつづく。また、ユーロビジョンを成功させることは、ヨーロッパからBDS(ボイコット)運動に苦しめられてきたイスラエルにとって、政治的にも非常に重要である。ガザと戦争をしている場合ではない。

そういう意味では、南部住民は、国全体のための犠牲になっているといえる。ネタニヤフ首相はこれをどう捉えているのかはわからないが、国の指導者としての決断とそれに伴う責任の重さは、想像を絶するほど重い。

特にイスラエルという国の運営は、世界一難しい仕事である。それを13年以上もやっているネタニヤフ首相の知力、体力、精神力は、驚異的である。イスラエルの繁栄を守るという信念が、ネタニヤフ首相の中にはあるのだろう。自分の地位や権力を守るためだけに動いている政治家には、決してできない仕事である。

日本の国を運営している阿部さんはどうなのだろう。命がけで、日本の繁栄を守ろうとしてくれているのだろうか。それならば、私たちは、日本国民として、特にクリスチャンとしては、批判ではなく、彼のために祈るということが非常に重要である。
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アメリカがペルシャ湾に空母配備へ 2019.5.8

 2019-05-08
5日、アメリカのボルトン国家安全保障担当大統領補佐官が、イランに関して、懸念される動きがあるとして、万が一に備え、ペルシャ湾に、空母アブラハム・リンカーンを配備すると発表した。

8日は、トランプ大統領が、イランと超大国とが結んだ核開発合意から離脱してから1年を記念する日である。これに加えて、2日、アメリカは、イランと原油の取引をしている国々に対し、発動していていた原油の全面禁輸への猶予期間を延長しなかった。

禁輸の猶予を受けていた国々は、日本、中国、韓国、トルコ、インドの5カ国である。産経新聞によると、日本は原油全面禁輸に備え、すでにイランとの取引は停止している。この5カ国では、トルコと中国がアメリカの制裁に反発している。

原油輸出は、イランの国家収入の3割を占めるため、この全面禁輸政策は、イランにとって非常に大きな経済的打撃。イランは、禁輸になっても輸出を継続する方法はあると言っている他、ペルシャ湾への狭い唯一の通路であるホルムズ海峡の閉鎖もありうると脅迫している。

ロウハニ大統領は8日、なんらかの発表を行う予定。

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO44394960R00C19A5EA4000?s=0

<アメリカと中国の関係も緊張>

アメリカは、空母を新たにペルシャ湾に派遣すると同時に、北極圏での軍事訓練を行っている。これは、経済圏拡大とともに、軍事力を拡大する中国を牽制するためである。

中国は、イランの最大原油輸出国である。中国は、アメリカの原油禁輸政策に従わず、引き続きイランからの輸入を継続することを匂わせている。

しかし、これと並行して、アメリカは、中国製品への関税25%を上乗せすると発表。このため、中国はアメリカに譲歩せざるをえないのではないかとみられている。

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO44394960R00C19A5EA4000?s=3

<イスラエルとの関係>

イラン経済が危機的な状況になると、その配下で存在しているガザのイスラム聖戦や、南レバノンのヒズボラへの資金が低下するので、うまくいけば、治安の改善になる。

しかし、追い詰められたイランが、世界の目をそらす目的で、逆にイスラエルを攻撃してくる可能性もある。

トランプ大統領が、親イスラエルであることは、イスラエルにとっても感謝なことではあるが、あまりにも風雲児で国際社会に敵を多く作っていることから、アメリカのユダヤ人は、”親イスラエルすぎる”と考えている人が、42%にのぼっていることがわかった。(ピュー・リサーチセンター調査)

一方、福音派クリスチャンでは、72%が、親イスラエル政策を進めるトランプ大統領を支持すると回答した。アメリカでは、ユダヤ人の多くは民主党を支持し、福音派は、共和党を支持する傾向にあるようである。

https://www.timesofisrael.com/us-jews-more-likely-than-christians-to-think-trump-favors-israel-too-much/

<石のひとりごと;なぜ福音派クリスチャンはイスラエルとトランプ大統領を支持する傾向にあるのか>

トランプ大統領は、実に興味深い人物である。ロシアに屈せず、イランに対抗し、中国の進出にも正面から牽制している。表面をとりつくろうことに興味がなく、実質のみを見て動いている様子は、まさに、「裸の王様」で本当のことを指摘する子供のようでもある。

また、トランプ大統領本人が意識していないことは間違いないが、どうにも聖書に書かれている終末の世界の様相に、近づける役割を果たしているようでもある。キリスト教の中でも特に福音派が、トランプ大統領を支持、もしくは注目するのは、福音派が聖書を重んじているためである。

聖書は単なる宗教の書物ではない。実際に世界で起こってきたこと、今、起こっていること、また起こるであろうことが書かれている書物である。
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ガザのロケット攻撃終わらず:イスラエル市民4人死亡 (5日午後9時(日本6日午前3時)) 2019.5.6

 2019-05-06

F190505NRF04-640x400.jpg 写真出展:Times of Israel

ガザからのロケット弾攻撃は、日曜朝になり、再び激化。朝だけで40発がふりそそぎ、アシュケロンでは、工場が直撃を受けて3人が負傷した。このうち、男性1人(22)、ベドウィン男性(50)が、後に死亡した。

スデロットでは、走行中の車が攻撃を受け、乗っていた男性(60)が、重症を負い、意識を失っているのを、アシュケロンへ向かっていた救急隊が発見した。この男性も、搬送先の病院で死亡した。これで、ガザからの攻撃が始まってから死亡したイスラエル市民は、4人になった。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5504165,00.html

ロケット弾攻撃は、日曜午後からも再び激化しており、警報は、今現在も、ガザ周辺の町や、ヤド・モルデハイなどキブツで、断続して鳴り続けている。ロケット弾の到達地点が徐々に内陸へとひろがってきている。南部では、学校は休校。人々はシェルターにいる。

イスラエル軍は、ガザへの空爆を継続するとともに、国境に駐留する戦車隊を増強している。そこへドローンが飛来しているという。

ガザから飛来するロケット弾は、日曜5時までの段階で600発。このうち70%は空き地に着弾。迎撃ミサイルが撃墜したのは、150発以上で、市街地に着弾すると予測されたロケット弾の大部分は防いでいるといえる。

しかし、ロケット弾は着弾すると、するどい金属片が数百メートルにわたって、広範囲に飛び散るため、たとえ一発でも市街地に着弾すると非常に危険である。

イスラエル軍スポークスマンのロネン・マネリス少佐は、今のこの状態が数日は続くとの見通しを語っている。

https://www.timesofisrael.com/liveblog-may-5-2019/

*これまでのイスラエル・ガザ双方の犠牲者数

金曜夕刻に攻撃が始まってから、イスラエルでは,アシュケロン在住で4人の子供の父親であるモシェ・アガディさん(58)が、死亡。日曜に死亡した3人とあわせて4人。負傷者17人の中には、重傷者もいる。イスラエル南部農場では、出稼ぎに来ていたタイ人男性(30)も中等度の負傷。被害に遭っているのは、すべて一般市民である。

https://www.timesofisrael.com/ashdod-man-killed-by-rocket-raising-death-toll-to-4-amid-massive-bombardment/

ガザでは、IDFによると、戦闘員8人が死亡。ガザ側情報によると、死者は20人。*数字はメディアによって相違あり

ガザ側が、イスラエルの攻撃で1歳の幼児とその母親が死亡したと言っていることについて、イスラエルは、これはガザ内部に落下したロケット弾によるものであって、イスラエルの責任ではないと発表した。

https://www.timesofisrael.com/gearing-up-for-days-of-fighting-idf-sends-tank-reinforcements-to-gaza-border/

<ハマス指揮官でイラン関係者を暗殺:IDF戦略の変化>

イスラエルは、ガザへの空爆を継続しており、これまでの攻撃対象ラインを超えて、攻撃の規模や範囲を広げているもようである。これまでに、ハマス省庁のビルなどを破壊している。

また、ハマス指揮官の一人で、イランからの資金をハマスやイスラム聖戦に届けていたハメッド・ハマダン・アル・コダリ(34)をピンポイントで暗殺したと発表した。

今回のガザからの攻撃については、背後にイランがいると指摘されていた。ハマスも、指揮官であるアル・コダリが死亡したことを認めた。

イスラエル軍は、この他にも、ハマスやイスラム聖戦の指揮官らのピンポイント攻撃を行っている他、彼らの自宅を破壊する作戦に出ているもようである。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5504389,00.html

現在、イスラエル軍は、ガザとの国境に戦車隊を増強し、地上軍投入の気配もあるが、これについては、閣議決定がないと実行には移せない作戦である。

ネタニヤフ首相は、新政権がまだ発足していないため、前の閣僚による治安閣議を行っている。ネタニヤフ首相については、明確なビジョンがなく、その場その場でしか動いていないとの指摘があるが、確かに今回もいったいどう対処するのかどうにも見えてこない感じは否めないと、これは記者の印象・・・

<イランのねらい:戦略専門家ヤアコブ:アミドロール大佐(退役):電話会見>

1)イスラム聖戦の背後にイラン


前回の記事で紹介した元イスラエル軍大佐で、治安問題専門家のクパワッサー氏と同様、戦略専門家のアミドロール氏も、今回のエスカレートの原因(イスラエル兵2人をガザ国境で攻撃)を作ったのがイスラム聖戦であったことに注目する。

イランは、イスラム聖戦を使って、ガザ情勢をエスカレートさせることで、内戦後のシリアに進出するイラン軍関係施設を、容赦なく攻撃し続けるイスラエルの目を引き離そうとしているとアミドロール氏は分析する。

また、イランは、エジプトが仲介となってすすめているハマスとイスラエルの合意を妨害したいとも考えている。

今回、イランは、イスラム聖戦を使ってガザ情勢をエスカレートさせ、ハマスをイスラエル攻撃に加わらせることで、イスラエルとの合意に向けたプロセスを妨害することに成功したといえる。

アミドロール氏によると、イスラム聖戦は、イランが発足させたテロ組織で、実質イランであり、ガザのパレスチナ人にはまったく興味がない。一方、ハマスは、イスラム聖戦より組織としては大きく、一応、ガザのパレスチナ人を管理する立場にある。

ハマスは、イスラム聖戦に振り回されず、逆にこれを制する立場にたってもらいたいとアミドロール氏は語る。

2)カイロでの動き

カイロでは、エジプトが、ハマスとイスラム聖戦の指導者とともに、沈静化の落とし所、つまり、イスラエルに、”停戦”する見返りの条件として、何を提示するのかをさぐっているとみられる。

これまで何度か、ガザから攻撃をしかけておきながら、”停戦”をする代わりとして、イスラエルは多数の譲歩をのんできた。その一つが、カタールの現金搬入である。

イスラエルはガザを再支配したくないので、総攻撃はしそうでも、実際にはしない計算が高い。ここに目をつけたハマスが、時々イスラエルを攻撃しては、イスラエルに譲歩させてきたのである。しかし、今回については、イスラエルがこれに応じようとする様子は、今のところない。

3)ほくそ笑むパレスチナ自治政府のアッバス議長?

イスラエルが、ガザを攻撃することで利益を得るのは、イランと、もう一人、パレスチナ自治政府のアッバス議長である。ガザとライバルであるとしても、同じパレスチナ人である。パレスチナ人が、イスラエル軍によって殺されたら、それは、国連で武器として使える。

また、ガザが崩壊すれば、アッバス議長がその支配に入る可能性もなきにしもあらず。経済危機で破綻しそうな今、ガザ地区でのエスカレートは、アッバス議長には歓迎といったところである。

4)今後の見通し

今後どうなるかについて質問されたアミドロール氏は、それは、ハマスの方針、また地上での各組織の動きによるとして、現時点では、予測できる点はないと語った。
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ガザからロケット弾250発以上:イスラエル人1人死亡(5日朝6時30(日本12:30) 20195.5

 2019-05-05

439771.jpg 写真:イスラエル警察

ガザ情勢がまたエスカレートしている。経過は以下の通り。なお、現在も進行中であるため、記事は時間を追ってお伝えする。

3日(金)、ガザ国境をパトロールしていたイスラエル兵2人が、ガザからの銃撃を受け、負傷した。これを受けてイスラエル軍が、ハマス関連への空爆を行ったが、これにより、ハマスとみられる2人が死亡した。

また、3日には、毎週金曜のデモによる衝突で、パレスチナ人1人(19)が死亡。のちに負傷していた1人も死亡した。金曜だけで、パレスチナ人4人が死亡したことになる。ハマスは、「イスラエルの”犯罪”には屈しない。」とし、また金曜の「機関へに行進」も継続すると発表した。

土曜朝10時(日本時間土曜午後4時)、ガザからロケット弾が、イスラエル南部、アシュケロン、アシュドドに向けて撃ち込まれ、夜まで続いて、250発に及んだ。

迎撃ミサイル、アイアンドームが、一部は撃墜したが、すべてはカバーできず、ガザ周囲エシュコル地方では、民家に直撃。住民は、幸いサイレンで避難した直後であった。国道4号線も被害を受けた。

これを受けて、イスラエル軍が、ハマスとイスラム聖戦拠点など10数箇所へ空爆を行った。ガザからの情報によると、この攻撃により、パレスチナ人1人(22)が死亡。4人が負傷した。(ガザ情報)

この後もガザからのロケット弾攻撃は続き、サイレンは、レホボト(テルアビブ近郊)や、ベイトシェメシュ(エルサレムから20キロ)にまで拡大した。ナハル・オズ、ホフ・アシュケロンでは、民家が直撃の被害を受けた。いずれも住民は避難して無事だった。

しかし、夕方になり、キリアト・ガットで、屋外にいた80歳の女性が、ミサイルの破片に当たって重傷。アシュケロンでは、49歳男性が中等度の負傷を負った。
情勢のエスカレートを受けて、国連とエジプトが仲介を続けているが、今のところ、進展はまだ伝えられていない。

この記事を書いている最中の5日に入った深夜すぎ、ベエルシェバに2発着弾したとの報道が入っている。1発は高校に着弾。後者が炎上した。もう1発は民家に着弾した。負傷者もでているもようで、計6人が病院で手当てを受けている。

さらに午前2時半、ロケット弾がアシュケロンのビルに着弾し、イスラエル人男性(60)が死亡した。2014年のガザとの戦争以来、最初のイスラエル人犠牲者となる。ロケット弾はスデロットにも着弾しているもよう。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/1-killed-as-300-rockets-slam-southern-Israel-588751

現在、ベエルシェバ、アシュケロン、キリアットマラキ、ヤブネなどガザ周辺広範囲地域の住民はシェルターで待機。イスラエル軍は、ガザとの国境はすべて閉鎖。危険地域の道路を封鎖したり、ベエルシェバを含む複数の市は、公共のシェルターも開放して、警戒を続けている。

また、テルアビブなど中央部への攻撃にも備え、アイアンドーム(迎撃ミサイルシステム)をさらに配備した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/262678

イスラエル軍は、120箇所(おそらくそれ以上)への攻撃を実施。エルサレムポストによると、一連の攻撃で、ガザからイスラエルへ続く、イスラム聖戦の地下トンネルも破壊したとのこと。

Times of Israel によると、ハマスは、イスラエルの空爆によって、幼児(1歳2ヶ月)とその母親が死亡したと伝えられている。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5503459,00.html

<ユーロビジョン脅迫>

ガザからの攻撃が始まった土曜、5月から14日から18日に予定されているユーロビジョン関係者が、開催地テルアビブ集まり始めた日で、テルアビブ市は、関係者のためのシャバットディナーを開催していた。

ユーロビジョンは、ヨーロッパのミュージック・アーティストたちによる毎年恒例の国際的なコンテストで、昨年、はじめてイスラエル人アーティストのネタ・バルジライさんが優勝。これにより、今年はイスラエル(テルアビブ)でコンテストが行われる。

イスラエルの観光省は、1万人がこのためにイスラエルに来ると予測している。

しかし、イスラエルについては、紛争地帯であるとして、コンテストの開催の是非については物議を呼び開催が危ぶまれたという経過があった。またBDSムーブメント(イスラエルボイコット運動)がアーティストにボイコットを呼びかけた他、元ピンクフロイドのロジャー・ウォーター氏もアーティストたちにボイコットを呼びかけている。

イスラム聖戦は、この世界的なコンテストが、イスラエルで行われることによって、パレスチナ問題が軽視されることになると訴えている。

ガザからのロケット弾、ミサイルは、余裕でテルアビブにも到達する。情勢のエスカレートが続けば、ベンングリオン空港の使用も含め、コンテストの開催にも影響が出ることはさけられない。

<イスラム聖戦台頭にみる懸念:元イスラエル軍大佐治安問題専門家ヨシ・クパワッサー氏>

1)ガザ崩壊への可能性?


現在、イスラエルは、エジプトの仲介で、ハマスをガザの管理者として、平穏回復への交渉を行っている。

イスラエルが本気になれば、ハマスを打倒することは難しいことではない。しかし、イスラエルは、その後にガザに入って管理することはさけたい。そのため、ハマスをぎりぎりで維持し、平穏を継続するよう働いている。

しかし、問題は、アメリカがパレスチナ人への支援金(UNRWAへの拠出金完全停止)したこともあり、パレスチナ自治政府が、これまで送金してきたガザへの資金を差し止めてしまった。

これは、アッバス議長無視で、ハマスとイスラエルが、交渉をしていることへの反発であるとも考えらえる。

このため、ハマスはまったくの資金不足に陥った。これを救出したのが、カタールからの現金であった。イスラエルはこの現金の搬入を認めた。ところが、今、カタールからの資金が届かなくなった。

ガザが崩壊することは、イスラエルのみならず、エジプトにとっても非常に危険である。ISなどハマスよりはるかに悪いものが来る可能性があるからである。

今、エジプトのカイロでは、ハマスとイスラム聖戦の指導者が集まって、エジプトと今後のことが協議されているが、クパワッサー氏によると、この協議に来るはずのカタールが来ていないという。このままではガザはいよいよ崩壊する。

2)ハマス求心力低下:イスラム聖戦の台頭

今回の衝突は、ハマスではなく、イスラム聖戦が中心になっていることも大きな懸念。もはやハマスがガザを統括できていないとも考えられる。

イスラエルはこれまで平穏をとりもどすため、ハマスを維持しようと、相当な譲歩を行ってきた。しかし、もしそれが意味のないことであるならば、方針の方向転換を行う必要が出てくる。

イスラム聖戦は、イランの配下にあることがわかっているので、イスラエルはこれがガザの支配者としてイスラム聖戦を受け入れることはできない。そうなるといよいよイスラエルがガザを総攻撃しなければならなくなる。

しかし、イスラエルは、200万人のパレスチナ人を抱えるガザを再支配することは絶対にさけたい。大きなジレンマであると同時に、方向転換の決断の影響は非常に大きい。今、イスラエルは注意深く、動きを見守っているところである。

3)イランが関係するか

イスラム聖戦が台頭していることからも、このことにイランが関わっている可能性は高い。ちょうどアメリカが原油の完全禁輸制裁を始めたところで、イランが、そのツケとして、この紛争を覆ったとも考えられる。

イランは、ホルムズ海峡の閉鎖も脅迫しているところである。

また、イスラエルは、これから戦没者記念日(7日夕刻から)、独立記念日(8日夕刻から)に続いて、ユーロビジョン(14-18日)と、国としても大事な行事を控えている。この時期、ちょうどラマダン入りでもあり、イスラエルとの対立を煽るに、これ以上にタイミングはないともいえる。

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エルサレムでホロコースト記念日:世界で急増する反ユダヤ主義 2019.5.2

 2019-05-02
5月1日、午後8時(日本時間深夜2時)エルサレムのヤド・バシェムでは、今年もホロコースト記念式典が行われている。リブリン大統領、ネタニヤフ首相、アビ・コハビ参謀総長など、国の指導者たちが見守る中、6人の生存者たちが、子供や孫たちに付き添われて点火する。

https://www.youtube.com/watch?v=X2gLek_nQyc (ユーチューブで生中継)

生存者は年々減っているが、現時点で、イスラエルで正式にホロコースト生存者と認められ、特別な手当を受け取っている人は1、約15万2000人。しかし、強制収容所に入らず、逃げかくれて生き延びた人など、正式な生存者と認められない場合もあるので、実際には20万人ぐらいはいると思われる。

皆高齢なので、1日に40人は死亡しており、15年先には10万人ほどのなっていると予測されている。

生存者の多くは、子供がおらず、孤独である。イスラエルで受け取れる年金が少ないことが問題であった。しかし、Times of Israel によると、2018年には,10%程度増額されていたとのこと。

https://www.timesofisrael.com/2018-saw-10-boost-to-holocaust-survivor-benefits-finance-ministry-reports/

*ユダヤ人パルチザン:ビエルスキー一家:ベラルーシ

ユダヤ人は、ガス室に送られていただけではない。今年のヤドバシェムでのホロコースト記念日のテーマは、”戦争の中の戦争”。サバイバルをかけて、極限の中で戦ったユダヤ人を覚えるとなっている。

終盤にかけては、特に旧ソ連地域で、虐殺を逃れて森に逃げこみ、ロシア人のパルチザンとともに戦った人も少なくなかった。

特筆に値するのが、ベラルーシの森に潜んで女性や子供などもつれて数百人にもなっていたビエルスキー一家がいる。多くのビザルスキー人に助けられ、ビエルスキー一家とその仲間たちは、森に潜んで、ゲリラ戦を展開した。グループは、”森のエルサレム”と呼ばれた。

1944年にソ連軍によって、この地域が解放されると、1230人が森から出てきたという。ビエルスキー・グループの子孫たちは、今や2万5000人に上る。ビエルスキー一家を助けたベラルーシ人は多くが義なる異邦人として記憶されている。

https://www.timesofisrael.com/we-are-here-because-the-bielski-partisans-fought-back/

<急増する反ユダヤ主義暴力>

テルアビブ大学の調査によると、2018年、反ユダヤ主義暴力の数が、400件以上と、13%増加し、ここ数年で最大となった。大規模な暴力の4分の1以上はアメリカで発生していた。

しかし、急増が激しいのは、西ヨーロッパだという。特にドイツでは、反ユダヤ主義暴力が70%も増えていた。

ヨーロッパユダヤ議会のモシェ・カンター氏によると、もはや、極右や極左、過激イスラム主義者だけが恐ろしいのではなく、一般社会でも受け容れられるレベルになりつつあるという。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5502155,00.html

<ユダヤ人はヨーロッパは1930年代の再来懸念:スペインでも極右政党が躍進>

ヨーロッパでは、難民流入以来、各国で右派・国粋思想が高まり、フランス、オーストリアなどで極右政党の台頭が注目されている。スペインでも、4月28日の総選挙で、極右政党VOXが、支持率を伸ばした。

総選挙の結果は、与党・左派社会労働党のPSOEが、350議席中123議席で第1党となったが、「スペインを偉大な国に」とトランプ大統領のようなスローガンで極右政党VOXが24議席を獲得した。スペインが民主国家になった1975年以来である。

https://www.bbc.com/news/world-europe-48081540

BBCによると、ヨーロッパでは、スペインを入れて17カ国の国会に、国粋主義政党が議席を確保している。特に、スイス(29%)、オーストリア(26%)、ハンガリー(Fidesz49%, Jobbik19%)で、勢力が伸びている。

https://www.bbc.com/news/world-europe-36130006

かつてナチスは、極右・国粋主義政党として登場。当初の支持率はわずか3%しかなかったが、世界恐慌を機に、支持率を一気に30%以上に伸ばし、1933年には政治を独占するまでになった。民主主義が、もろいということはすでに歴史が証明している。

今、ユダヤ人たちは、ヨーロッパは、1930年代(ホロコースト時代)の様相になりつつあると指摘されている。

https://www.jpost.com/International/UN-Genocide-expert-says-European-far-right-is-similar-to-rise-of-Nazis-588429

<ウクライナにユダヤ人大統領誕生>

22日、ウクライナで行われた大統領選挙にて、ユダヤ人人気コメディアンのウラジミール・ゼレンスキー氏(41)が、73.2%もの票を得て、前ポロシェンコ大統領を破り、大統領に決まった。

東ウクライナでのロシアと睨み合いですでに1万3000人が死亡し、経済も下落が続いているのを受けて、市民たちが変化を求めたとみられる。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5497750,00.html

ネタニヤフ首相は、ゼレンスキー氏に祝辞を送り、イスラエルに来るよう招いた。

しかし、ゼレンスキー氏は、コメディアンであって、政治の経験は皆無だという。狡猾なロシアとにらみあい、不安定なEUやNATOとの関係、厳しい財政状況などを考えると、はたしてよい働きができるかどうか、若干不安ではある・・・

ウクライナには、ポナリーや、バビヤールなど、ホロコーストの時代に、ユダヤ人を大量に銃殺刑に処した穴がある。虐殺はナチスによるものだが、ウクライナ人が虐殺に関わっていなかったわけではない。

ユダヤ人であるゼレンスキー氏が、少しでも国を良好に導けなかった場合、反ユダヤ主義暴力に発展するかもしれない。ゼレンスキー氏の今後の働きに注目したい。

<石のひとりごと>

ホロコーストは歴史的事実であるが、あまりにも大きな犯罪であるため、人類はこれを消化しきれていないのではないだろうか。

先日アウシュビッツをたずねたが、殺人工場の現場アウシュビッツⅡビルケナウは、歩いて見て回るだけで3時間以上はかかってしまう。一つの町サイズである。そこで殺害された人数は、ユダヤ人(100万人)、ポーランド人、ロシア人など合わせて110万人。

これは日本の市3−4つを飲み込み、消滅させた規模である。これを認めない人や国もいる。あまりにも膨大だからかもしれない。把握しきれない規模であるために、逆に、ユダヤ人は殺害されてもよいものといった麻痺感覚があるのかもしれない。非常に恐ろしい傾向である。

今年のホロコースト記念日のテーマからして、ユダヤ人は、世界で反ユダヤ主義がたかまっていることに対し、戦う時が来ていると意識しているのではないか。。
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アメリカでシナゴーグ銃撃テロ:1人死亡 2019.5.2

 2019-05-02
アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ郊外ポーウェイで、27日(土)朝11:23、過越最終日の礼拝が行われていたユダヤ教ハバッド派のシナゴーグで銃撃テロが発生。ローリー・カヤさん(60)人が死亡。

このシナゴーグのラビ・イスロエル・ゴールドステインが、指を1本失う傷を負った他、数年前に、イスラエル(スデロット)からアメリカへ移住していたノヤ・ダーハンさん(8)と、そのおじのアルモグ・ペレツさん(31)が負傷した。

テロリストは、極右の白人主義者ジョン・アーネスト(19)。アーネストは、事件当時シナゴーグにいた100人ほどに向かって銃を8発は乱射し、逃亡したが、非番でシナゴーグに来ていたユダヤ人警察官が、犯人に発砲した。

アーネストは、自ら警察に電話し、居場所を連絡したため、まもなく逮捕された。

<19歳:優秀性の犯行>

アーネストによると、10ほど発銃を発射したところで、どういうわけか、それ以上、撃てなくなったという。50発もの未使用の弾を持ったまま逃げていた。銃の扱いを誤った可能性がある。もっと多くの犠牲者が出ることはまぬかれたようである。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5502073,00.html

まだ取り調べ中だが、アーネストは犯行に及ぶ前、極右に人気のサイトに、「老いも若きも、ユダヤ人すべてに責任がある。彼らは地獄へ行くべきだ。俺がそこへ送り届けてやる。」と、書き込んでいた。

さらに、自分のあとに続いて、同様の行為に及ぶ者が続くことを望むとも書いていたという。3月から、モスクへ放火した疑いで調べが進められていた。今の所、一匹狼犯で、組織との関連はないようである。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5500471,00.html

調べで憎しみ犯罪(ヘイト・クライム)による殺人と判断された場合、アーネストは、死刑になるか、終身刑も可能である。アーネストに反省や後悔の様子はなく、殺人も放火の罪でもなくしてほしいと言っている。

アーネストは、学業、スポーツ、音楽にも優れた学生であった。家族も友人も晴天の霹靂であるらしく、親は、「我が家は白人主義ではない。」とし、息子の弁護士費用は出さないとも言っている。

今回、犠牲となったカヤさんは、家族や友人たちにおいしいハラ(安息日のパン)を焼く、暖かい主婦だったという。葬儀には、600人が参列した。

https://www.haaretz.com

<トランプ大統領:電話でイスラエル支持を表明>

トランプ大統領は、事件後、ラビ・ゴールドステインに電話をかけていた。ラビが、反ユダヤ主義にどう対処するのかと問うたところ、トランプ大統領は、「私の婿と孫たちはユダヤ人だ。私はイスラエルを愛しているし、イスラエルを支持している。

大使館をエルサレムへ移動させたし、ゴラン高原の合併も認めた。」と答えたという。しかし、アメリカ国内での反ユダヤ主義に対しては無策であることも指摘されている。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/262396

アメリカでは、6ヶ月前に、ピッツバーグのシナゴーグで銃撃テロがあり、11人が死亡したばかり。ラビ・ゴールドステインは、セキュリティーを雇う経済的余裕がないとして、メンバーの警察官に、万が一に備え、常に武装しておくよう、要請していたという。

ヨーロッパだけでなく、アメリカでも反ユダヤ主義を、懸念しなければならない時代に入ったことは、もはや否定できないだろう
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パレスチナ自治政府崩壊の懸念 2019.5.2

 2019-05-02
パレスチナ自治政府のアッバス議長が、イスラエルが代理で徴収している貿易上の税金の受け取りを拒んでいる。このままであれば、パレスチナ自治政府の経済が崩壊し、そのまま自治政府が崩壊する懸念が高まっている。

時期的にはアメリカが、長く保留になっている中東和平案を6月に発表する前であり、今、自治政府が崩壊することは、イスラエルにとっても好ましい状況ではない。

パレスチナ自治政府は、トランプ政権が、テロに使われているとしてUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業期間)への支援を打ち切るなどで経済危機に陥っていた。このためガザへの送金も滞り、ガザ情勢の悪化を幇助した形である。

さらに2月、イスラエルは、自治政府が、イスラエルの刑務所にいるパレスチナ人テロリストの家族に補償金を払うのは不当だとして、その分、約半分にあたる税金1億3800万ドルの送金を差し止めた。

しかし、その後の自治政府の様子から、イスラエルは1億8200万ドルの税金を送金すると申し入れた。ところが、アッバス議長がこれを拒否しているのである。イスラエルからの税金は、パレスチナ自治政府の予算の半分以上を占めているため、その資金が滞ることは深刻な事態といえる。

アッバス議長によると、アラブ諸国に、借金扱いで、月1億ドルの支援を要請したという。日曜、アラブ同盟は、イスラエルが差し止めた分として1億ドルを約束したが、本当に送金されるかどうかは不明。

自治政府が崩壊した場合、暴力的なインティファーダに発展したり、ハマスが西岸地区を乗っ取る可能も懸念ある。結局、イスラエルが、パレスチナ人で溢れる西岸地区の面倒を見なければならなくなるだろう。

西岸地区のパレスチナ人をイスラエルにとりこめば、アラブ人人口が上回る日もそう遠くなくなり、民主国家イスラエルがユダヤ人の国として維持できなくなる。

パレスチナ自治政府の崩壊は、イスラエルだけでなく、ヨルダン、エジプトにとっても好ましい状況ではない。アッバス議長が、アメリカとの関係を断絶しているので、アメリカが介入することはできないとして、今、ヨルダンとエジプトが仲介に乗り出している。

https://www.timesofisrael.com/jordan-egypt-said-to-mediate-between-israel-and-pa-over-tax-transfer-standoff/

<西岸地区パレスチナ人は白けている?>

アルーツ7が伝えたところによると、西岸地区のパレスチナ人たちからは、この問題に関して白けているとのこと。パレスチナ人たちの中には、汚職にまみれたアッバス議長が失脚する事を望む人も少なくないのである。

パレスチナ人の多くは、ひそかに、いっそのこと、イスラエルが支配するほうがましと考えているとこの記事は伝えている。しかし、それがイスラエルにとってよいことなのかどうかは不明。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/262545

今回は国会入りできなかったナフタリ・ベネット氏だが、西岸地区を効果的にイスラエルの参加に入れ、パレスチナ人には、民政だけの自治を認めるといった方策が思い出されるところである。

<石のひとりごと>

非常に難しい状況である。ネタニヤフ首相は、よほどの知恵をもってタイミングを逃すことなく決断し、動かなければならないだろう。しかし、ネタニヤフ首相を週3回は見ているというベテランの記者によると、ネタニヤフ首相は、その場その場で動いているだけで、ビジョンがないと言っていた。

新ネタニヤフ政権はまだ発足していないが、第21代国会は、30日に就任した。国会は、リクード(右派系)とブルーアンドホワイト(中道左派系)は議席半々である。今後、ネタニヤフ首相と政府国会の決断が導かれるように祈りが必要である。
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