FC2ブログ

イランとアメリカ戦争か否か:イスラエルの反応と分析 2019.6.26

 2019-06-26
 
p065f119.jpg
写真出展:BBC

<急速に悪化するイランとアメリカ:対立の構図>

イランとアメリカが戦争直前にまで迫っていることは連日報じられている通り。13日、安倍首相がイランの首脳と会談し、アメリカとの対談をすすめたところ、それに合わせたかのように、日本企業含む2隻のタンカーが攻撃された。

アメリカがイランによるものと断定する声明を出すと、イランはこれを正面から否定。17日には、ウランの濃縮スピードを4倍にすると発表した。これにより、核兵器に必要な高濃度ウランにも届く可能性が出てくる。

イランは、もしこのまま経済制裁が緩和されない場合、6月27日までには、2015年の超大国との核合意で定められた核保有の限界を超える、つまり合意から離脱する見通しと警告する声明を出した。イギリス、フランス、ドイツは、イランに合意にとどまるよう警告したが、ロシアと中国は無言のままである。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-48661843

これを受けてアメリカは、ペルシャ湾に配備した戦闘機、空母などに加え、兵力1000人を増強すると発表した。アメリカもイランも戦争はしたくないとは言っているが、まさに一触即発の事態となっている。

https://www.nytimes.com/2019/06/17/world/middleeast/iran-nuclear-deal-compliance.html

こうした中、20日、ホルムズ海峡の非常に微妙な海上で、アメリカのドローンが撃墜された。ドローンといっても、推定1億3000万ドル(約150億円)の大きなUAV(無人監視航空機)である。ドローンは、ペルシャ湾に近いイランの弾道ミサイル発射地を偵察していたとみられている。

アメリカは、ドローンは、国際空域でイランに撃墜されたと発表。トランプ大統領は、「イランのだれかが、愚かなミスで撃墜した。馬鹿者だ。」と辛辣に非難した。

https://www.france24.com/en/20190620-iran-usa-drone-shot-down-air-space-growing-tensions

これに対し、イランは、ドローンの撃墜は認めたが、国際空域ではなく、イラン領空で撃墜したのであり、防衛であったと主張。イラン革命軍(トランプ大統領がテロ組織に指定)は、回収したUAVのアメリカの残骸を前に、数十人で勝利の祝いをする様子を世界に流した。

https://www.nytimes.com/2019/06/22/world/middleeast/iran-drone-revolutionary-guards.html

_107486611_strait_of_hormuz_v4_640-nc.png
アメリカのドローン撃墜地点:両者の食い違い 地図:BBC

いよいよ戦争になると懸念され、ホルムズ海峡上空を飛ぶ民間機は、航路を変える処置をとりはじめた。

翌21日、トランプ大統領は、アメリカ軍に報復の軍事作戦を命じたが、10分前にこれを停止する命令をだしたことを明らかにした。

トランプ大統領によると、イランの軍事拠点3箇所を口撃する計画で準備も整っていたが、犠牲者が150人に上る見通しと聞いて、ドローン一機を破壊されたことへの報復としては、犠牲が大きすぎると判断したと言っている。

しかし、そこまでの計算が、それ以前になされていなかったはずはなく、おそらく、イランに対し、「アメリカは本気であるが、イランへのあわれみももっている。」と改めて強圧的な姿勢を強調した可能性もある。

またその後の報道によると、アメリカは、軍事行動は控えたが、イラン革命軍関係施設へのサイバー攻撃が行ったとの情報もある。ただしイランはこれを否定。

トランプ大統領は、「イランとの戦争は望まない。前条件なしでイランと話したい。」とコメントしたが、イラン側は、「だいたいアメリカが合意から離脱して経済制裁を行っていることが問題で、その上、地域に軍備を展開している状態では、”前条件なし”と言っていることに信ぴょう性がない。」とこれを拒否した。

https://www.apnews.com/f01492c3dbd14856bce41d776248921f

<イラン:新たな経済制裁発動で国連安保理警告も拒否>

イランが、話し合いに応じなかったことから、25日、トランプ大統領は、イランへの新たな経済制裁を発動した。この制裁は、イランのイスラム最高指導者ハメネイ師と、イラン革命軍幹部8人をターゲトにしたものだという。ホワイトハウスによると、今週末までには、イランのザリフ外相も制裁の対象になる。

この数時間後、国連安保理が、イランとアメリカは、双方とも軍事衝突するべきでないとの声明を出した。これに対しイランは、アメリカが、新たな経済制裁を発動して脅迫している状態では、まだ話し合う準備ができているとはいえないと返答した。

また、今回の制裁が、ハメネイ最高指導者(数十億ドルの資産凍結)やザリフ外相をターゲットにしていることから、もはや外交の道が永遠に閉ざされたようなものだとイランの外務省スポークスマンはツイートした。

https://www.jpost.com/Breaking-News/Iran-says-US-sanctions-on-Khamenei-mean-end-of-diplomacy-Tweet-593604

その後、イランのロウハニ大統領は、ハメネイ師には、モスクと自宅しかないのに経済制裁とは、アメリカは、頭がおかしいと語った。トランプ大統領は、これに激怒したという。

こうした状況について、国連安保理は、26日、イランとの核合意についての対処を話し合うことになっている。イランと核合意を結んでいるイギリス、フランス、ドイツは、「両国は、国際法を尊重し、とりあえず、エスカレートを止めるための話し合いをするべきだ。」と言っている。

https://www.timesofisrael.com/iran-shuns-talks-with-us-as-security-council-urges-calm/

<イランはどうなっているのか>

アメリカが、厳しい経済制裁をこれでもかというほどに厳しくしているのは、イラン市民の指導部への不満をあおることも目的の一つである。

イラン最大の輸出原油の禁輸措置を始めたので、イラン経済は、相当な打撃を受けている。

イランの通貨リアルは、かつて1ドル=3万2000リアルであったが、今は13万リアルである。インフレ率は37%。つまり1年間で、物価が3.7倍、1個100円だったキャベツが370円になったということである。牛乳は倍だという。

野菜や果物といった食物の物価までが上がっているので、それ以外のもの、たとえば携帯電話を買おうとすると、2ヶ月分の給料が必要になるという。この物価上昇にもかかわらず、イラン人労働人口の12%にあたる300万人が失業している。

イランが現在のようなイスラム主義政権になったのは、1979年のイスラム革命以来である。イラン市民たちは、イランは資源も豊かな国であるはずなのに、今、これまでにない苦難を経験していることについて、政権を批判する声は少なくないようである。

https://www.timesofisrael.com/iranians-say-their-bones-breaking-under-us-sanctions/

イラン政府が、相当な圧力の下にいることは間違いない。

<イスラエルの対応:ボルトン大統領補佐官を迎えて>

ネタニヤフ首相は、先週、タンカーが攻撃された際、すぐにアメリカがイランによるものと指摘したのに同意するコメントをだした。また、20日にアメリカのドローンが撃墜された際にも、国際社会は、アメリカに賛同し、イスラエルは、アメリカの側に立つとの立場を明確にした。

また24日、この緊張高まる最中、タカ派で知られるアメリカのボルトン大統領補佐官が、シリア問題について話し合うために開催されたアメリカ、ロシア、イスラエルの3国サミット(次の記事)を前に、イスラエルを訪問。イスラエル側からヨルダン渓谷などを視察した。

ボルトン補佐官は、エルサレムでの記者会見で、イランの避難すべき点として次のように述べた。

①イランは、中東で過激派を支援している。(レバノンのヒズボラ、シリアのアサド政権、イラクのシーア派組織、イエメンフーシ派反政府勢力、アフガニスタンに駐留するアメリカ軍への攻撃) 
*イエメン内戦は、イランとサウジアラビア(アメリカ側)の戦争が繰り広げられているが、最近イエメン(フーシ派)からサウジアラビアの空港への攻撃が相次ぎ、死者も多数出る事態となっている。

②イランが核兵器開発を放棄する決断をしたという確たる裏付けがない。
③テロ組織を支援する中で、大陸間弾道ミサイルを開発している。

ボルトン大統領補佐官は、イランが、これらを公にせず、国際社会の目をかいくぐるように行っていると非難した。

https://www.jpost.com/Middle-East/Trump-calls-US-National-Security-Advisor-Bolton-an-absolute-hawk-593598

これらは、ネタニヤフ首相が以前から指摘してきたことであるが、アメリカのボルトン大統領補佐官が、エルサレムにおいて、正式に指摘したということは、アメリカとイスラエルが、同じところに立っているということの確たる証明と言える。

こうなると、イランが、イランいわく遠い大サタン(アメリカ)より先に、近い小サタン(イスラエル)を攻撃する口実になるかもしれない。イスラエル国内では、イスラエルは、この問題にあまり表立って介入するべきではないとの声もある。一方で、アメリカとの強力な同盟を誇示する方がイスラエルの防衛になるとの考え方もある。

いずれにしても、イスラエルでは、イラン、またはイランの支配下にあるヒズボラなどからの攻撃の可能性にそなえている。しかし、これは今に始まったことではない。

<トランプ政権:国防長官不在での決断>

トランプ政権では、人事の入れ替わりが激しいが、今回、イランへの攻撃を決めて、直前の撤回という事態は、正式な国防長官が不在という中での決断であった。

昨年、トランプ大統領が、シリアとアフガニスタンの米軍を撤退させると宣言した際、これに同意できないとするマティス国防長官が辞任。以来、まだ正式な国防長官はおらず、パトリック・シャナハン氏が国防長官代行であった。

そのシャナハン氏も、家族の件で、辞任を表明したため、トランプ大統領は、マーク・エスパー陸軍長官を新しく国防長官代行に指名した。ちょうどイランへの攻撃、また直前の撤回というごたごたは、この交代がまだ完了していない最中であった。

つまり、国防長官なしに、トランプ政権がイランへの攻撃をいったん決定したということである。これほどまでに重大な決断を国防長官(日本でいえば防衛相)なしに決定していたことに、懸念がひろがっている。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019061900124&g=int

トランプ政権には、タカ派と目されるジョン・ボルトン大統領補佐官がいる。トランプ大統領は米テレビ番組のインタビューで、ボルトン大統領補佐官が、確かにタカ派であると述べ、彼がしきったら、世界が戦争になると評した。

しかし、トランプ大統領は余裕で、トランプ政権にはタカ派もハト派もいる、政権には両方必要と述べた。なんとも気軽に言ってくれるが、トランプ政権の決断しだいでは、世界を巻き込む戦争にもなりうるわけである。

https://www.jpost.com/Middle-East/Trump-calls-US-National-Security-Advisor-Bolton-an-absolute-hawk-593598

ニューヨークタイムスのコラムニスト、トーマス・フリードマン氏は、今、イランと中国に、同時に大きな痛みを与えているトランプ大統領を評価しながらも、どこに向かうのか、明確な目標がみえないことや、単独で動いており、協力する同盟国がない点に危機感を述べる。

今のイラン問題、また中国問題がどう向かうかによって、世界の経済、核開発の行方が決まってくる。フリードマン氏は、2019年が世界の歴史における大きな分岐点になりうると警鐘をならしている。

https://www.nytimes.com/2019/06/25/opinion/trump-china-iran.html

<石のひとりごと>

アメリカの強硬な姿勢をみれば、イランが、「先に合意から勝手に降りたのはアメリカの方だ。さらに今、脅しをかけながら、話し合いをしようとは、ありえないことだ。」というのも一理あるように見えている人も少なくないだろう。

しかし、ボルトン大統領が指摘するように、イランが、今に至るまで、上記のようなことを隠れて行ってきたことは事実のようである。

また、イランの現政権は、核開発に関して国際社会と平和な話し合いを続けたが。10年以上ものらりくらりとかわすのみであった。一方で、経済制裁など実質の圧力が耐えられなくなると、逆にイランから話し合いを申し入れたのであった。これが2015年の核合意である。

2015年の核合意は、アメとムチという視点でいうなら、アメであったといえる。そのアメで、イランが武力や影響力を増強してしまい、いまや危険は、中東のみならず、国際社会にも広がり始めている。このため、ネタニヤフ首相と、トランプ大統領は、イランには強硬姿勢でなかればならないと言っているのである。

こちらが引けば、相手も引いて平和な結論になるというのが日本の常識だが、中東では、こちらが引けば、相手はその分つけあがる。このネイチャーは、日常生活でも経験するところである。引いたり、押したりをバランス良く、狡猾にすすめることが求められるのが中東である。

しかし、ここまでアメリカが強圧的に出ている現状では、イスラム革命の発信地としての誇りを持つ現イラン政権が、十字軍と見ているアメリカの前に頭を下げるという選択肢はないだろう。戦争になるか、もしくは、トランプ大統領、ネタニヤフ首相が望んでいるような、イラン市民自身による現政権打倒しかない。

イラン市民の中では、アメリカに好意はなくとも、現政権への不満は高まっているとの報告もある。

ここからどうなるのか、戦争になり、多くの死者が出て、世界の石油に大きな影響を及ぼす大混乱をもたらすのか。ニューヨークタイムスの評論家フリードマン氏が言っているように、危険度の高さの割に、どうにも先が見通せない状況である。
カテゴリ :中東情勢 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

アメリカ、ロシア、イスラエルの治安顧問:エルサレムで3者会談 2019.6.26

 2019-06-26

F190625NRF01-640x400 のコピー
左からイスラエルのシャバット治安顧問、ボルトン米大統領補佐官、ネタニヤフ首相、パトルーシェブ露治安顧問 
写真出展:times of Israel

25日、アメリカとロシアの治安顧問のトップが、イスラエルの治安顧問とともに、3国サミットを行った。主な目的はシリアのイランをどうするかであったが、今のイラン危機を踏まえて大きな視野でもイランに関する話し合いが行われたとみられる。

出席者は、アメリカからは、ボルトン大統領補佐官、ロシアからは、ニコライ・パトルーシェブ治安顧問、イスラエルからは、メイール・ベンーシャバット治安顧問。議題は、主にシリアの再建であるが、イスラエルからは、もちろん、新しいシリアからイランを完全に排斥することが目標である。

しかし、アメリカとロシアの代表が、エルサレムで会うなどということは前例がなく、サミットが実現しただけでも歴史的であったと指摘されている。ネタニヤフ首相は、外交に力を入れてきたが、その結果だとばかりに、この会談を歓迎する意向を表明した。

会談後、各国補佐官とネタニヤフ首相が共同記者会見を開いた。

ボルトン米大統領補佐官は、上記のように、イランが、中東でテロ組織を支援し、核兵器や弾道ミサイルの開発を続けていることなどを挙げたが、ロシアのパトルーシェブ治安顧問は、イランを(ロシアの)同盟の国と呼び、次のように述べた。アメリカとは立場を異にしていることは明らかである。

①イランが中東の脅威なのではなく、シリアのイラン拠点を攻撃しているイスラエルが危険をもたらしている。シリアにいるイラン軍は、反政府政府のテロ勢力と戦い、国の平穏を取り戻すために貢献している軍である。

②モスクワは、イスラエルの(シリアのイランに対する)懸念は理解している。イスラエルには、100万人近いロシア系ユダヤ人がいることも承知している。

③ホルムズ海峡付近で撃墜されたアメリカのドローンは、イラン領空に入っていたためにイランが撃墜したのであり、国際法違反ではない。国際空域で撃墜されたというアメリカの主張には、確証がない。

パトルーシェブ治安顧問の発表を受けて、ボルトン補佐官は、プーチン大統領が、ロシアは、最終的にはイランがシリアから撤退することを望むと述べたと強調。ロシアはまだそれを実施しきれていないと述べた。

また、アメリカは、イランに強硬な圧力をかけてはいいるが、話し合いの扉は大きく開けている。イランがそのドアから入ってくることを望むと述べた。

https://www.timesofisrael.com/in-trilateral-summit-russia-sides-with-iran-against-israel-and-us/

ネタニヤフ首相は、同じ記者会見に立ち、イスラエルは、シリアにイランが進出することを、これからも決して容認しないと強調した。

<元イスラエル首相府で外交・防衛アドバイザー:エラン・リーマン氏の分析:電話記者会見>

米露の治安顧問トップが、エルサレムで、シリア情勢からイラン問題について話し合うということは、これまでになかったことで、歴史的だった。これはネタニヤフ首相の献身的な外交の結果と評価できる。

ロシアは、シリア内戦では、イランとともに立っていたが、内戦終了の今は、イランを排斥しようとする動きもみられる。しかし、この会議において、パトルーシェブ治安顧問は、ロシアがまだイランを見捨てたわけではないという明確なシグナルを発した。

しかし、同時に、今の危機的状況の只中で、ロシアが治安のトップを、イランが敵視するイスラエルに派遣し、敵対国アメリカの治安のトップであるボルトン大統領補佐官と会談させたということは、それだけで、イランにとっては痛手になったと思われる。

こうした現状から、ロシアがイスラエルの要請に応じて、シリアのアサド大統領に働きかけ、シリアからイランを完全に排斥するかどうかについて、リーマン氏は、今のところ、その可能性は低いとみている。
カテゴリ :イスラエル外交・防衛 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

バーレーンで米の中東和平:”世紀の取引”始動も不評 2019.6.26

 2019-06-26

93276132385467640360no のコピー
バーレーンのパレスチナ経済ワークショップ:クシュナー大統領補佐官 写真出展:ynet

24,25日と、バーレーンで、アメリカが主導による、パレスチナ人の経済に関する2日間のワークショップが行われている。アメリカは、むこう10年間で、ガザと西岸地区の経済を改善するとして、総額500億ドルやインフラプロジェクトを募る予定である。

このワークショップは、トランプ大統領がもったいぶらせて言い続けてきた世紀の中東和平案の第一段階にあたる。

経済が、政治外交に敵意に大きく関係することから、まずはパレスチナ人の経済を回復させてから、政治の話に入ろうという流れである。本命の和平案自体は、まだ公示しないことになっている。今回のワークショップを取り仕切るのは、トランプ大統領の婿でもあるジェレッド・クシュナー大統領補佐官。

バーレーンでの会議には、元中東特使のトニー・ブレア氏や、IMF(国際通貨基金)のクリスティーヌ・ラガルド氏が出席した。ビジネス上がりのトランプ大統領らしく、会議はワークショップとの位置付けで、政治家だけでなく、民間のビジネスマンなども参加している。

しかし、パレスチナ自治政府のアッバス議長は、いわばこのワークソップの主人公であるにもかかわらず、トランプ大統領が、親イスラエルであることは明白なので、後出しする肝心の和平案は、パレスチナに不利なものになるとして出席を拒否した。しかし、数人のパレスチナ人ビジネスマンは出席している。

イスラエルについては、ぎりぎりまで政府関係者が出席する、しないでもめていたが、政治的なタブーからか結局、政治家どころか、ビジネス関係者すら出席しないことになった。こうしたワークショップはイスラエルの得意とするところなので、イスラエル抜きというだけで、すでに残念なイメージではあった。

余談になるが、イスラエルのカッツ外務相(5月末に外相に就任)は、以前にもガザ沖にパレスチナ人のための空港を作って、ガザの出入り口を作るという案を提案していた。今の所それが実現するといった情報はない。

そのカッツ外相は、昨年から、湾岸諸国から地中海を結ぶ鉄道を提案している。これにより、湾岸諸国の石油は、ホルムズ海峡を通過せずに世界へ運搬できる。政治的にも実現は難しそうだが、案といえば案。トランプ大統領も賛成だという。

あらゆる状況にも絶望せず、突飛もないことを含め、なんらかの解決をさがそうとするのが、イスラエル・ユダヤ人根性である。

https://www.timesofisrael.com/rail-from-israel-to-gulf-makes-sense-says-transportation-minister-in-oman/

<蓋をあけてみれば・・・落胆するアラブ諸国>

先週、40ページにわたる世紀の取引の第一段階が公示されたが、パレスチナ人はもとより、アラブ諸国、イスラエルからも落胆の声があがった。予告されていた通り、政治をいっさい含めずに、経済にのみ焦点をあてていたのだが、それはやはり無理ということを皆が実感したようである。

たとえば、パレスチナ人は、今、西岸地区とガザ地区に分裂・敵対し、一つになる気配がまったくない。その中で、トランプ政権は、両者の間に通路を設けることを計画している。これは、パレスチナ人だけでなく、イスラエルにとっても、ありえないことである。

湾岸諸国にしても、いくらトランプ大統領との関係や、イランという共通の敵があるとしても、最終的には、パレスチナ国家設立という大義から離れることはない。結局のところ、経済を改善したとしても行き着くところがないということなのである。

政治的な解決というゴールを明示せずに、まずは経済支援をと言われても、当事者たちとしては、困惑するのみということである。結局のところ、トランプ大統領は、この問題がどれほど困難なのかということがわかっていないとも言われている。

2日間のバーレーンでのワークショップは、まもなく終わるが、何か結果が出るとはほとんど期待されていないようである。

https://www.timesofisrael.com/bahrain-confab-set-to-kick-off-with-loaded-schedule-but-meager-expectations/

<UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業期間)が同じ日に1億1000万ドル>

バーレーンでパレスチナ人の経済活性化に向けた投資が呼びかけられた同じ日、UNRWAが、ニューヨークで、全世界のパレスチナ人540万人を支える資金として、1億1000万ドルの献金の約束をとりつけることに成功した。主な出資者はEUである。

UNRWAによると、2019年に必要な額は12億ドルで、今回の献金を入れてもまだ1億ドル不足している。ガザへの食料配布だけでも年間8000万ドル必要なのだが、毎年不足しているという。

国連でのこうしたパレスチナ難民への献金は毎年行われているが、アメリカが、資金がテロ組織に流れているなどで、UNRWAから撤退して以来、資金不足で、組織の存続すら疑問視されるほどになっている。

こうした現状なのに、アメリカの500億ドル経済支援の申し出を断るというのも、誇り高く、必ずしも論理的ではない中東のアラブ人らしいといえばらしいといえるかもしれない。

https://www.jpost.com/Middle-East/UNRWA-raises-110-million-for-Palestinians-on-same-day-as-Bahrain-summit-593728

<イスラエルとパレスチナ人との現実>

バーレーンで当事者不在の状態で、パレスチナ人経済活性化ワークショップが行なわれているのだが、イスラエルとパレスチナ、両者の現状は以下の通りであった。

1)パレスチナ市民のバーレーン抗議デモ

24日、バーレーン会議開催の日、西岸地区では、ナブルスなど各地で、パレスチナ市民たちが、「パレスチナは売り物ではない。」と叫びながら抗議デモを行った。平和的なデモではなく、石や燃えるタイヤをイスラエル兵らに投げつけるなどの行為があり、イスラエル軍も催涙弾で対処した。

ガザでは、「我々は腹が空いているのではない。尊厳を求めているだけだ。」とのデモを行った。こちらもイスラエル軍と衝突し、パレスチナ人12人が負傷した。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5536133,00.html

2)ガザ;火炎蛸で火災:イスラエルは燃料搬入差し止め

また、ガザからの火炎蛸によりイスラエル南部13箇所で火災となり、200ディナムが焼失した。これを受けて、イスラエルは、ガザへの燃料搬入を停止した。

両者の関係は、バーレーンとはまったく無関係にいつもの通りの様相である。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Israel-stops-fuel-transfer-to-Gaza-following-13-fires-on-border-593606
カテゴリ :中東情勢 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

再総選挙に向けて:ネタニヤフ首相の挑戦は続く・・ 2019.6.26

 2019-06-26

93262655951591640360no.jpg
写真出展:ynet

4月の総選挙後、連立政権を立ち上げられなかったネタニヤフ首相。9月17日の再総選挙に向けて、様々な動きが伝えられている。その中には、再総選挙をキャンセルにする可能性まである。

24日、国会議長のユリ・エデルステイン氏から、「かなり難しいが、いったん公示された総選挙を法的にキャンセルすることが可能かもしれない。」と聞いたネタニヤフ首相が、「考えてみる」といった。これにより、ひょっとして選挙はキャンセルか?とのうわさが広がった。

またチャンネル12は24日、ネタニヤフ首相が、左派でライバルのブルーアンドホワイトのベニー・ガンツ氏に、主義主張の違いを超えた統一政権を立ち上げ、首相をローテーションする案を申し入れたと報じた。ネタニヤフ首相所属のリクードの支持率が下がっているための選挙対策とみられた。

しかし、リクードもブルーアンドホワイトも、すぐにこれを否定した。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5536746,00.html

しかし、これに先立ち、今回、ネタニヤフ首相の連立樹立を妨げたイスラエル我が家党リーバーマン氏は、リクードとブルーアンドホワイトがともに統一政権を立ち上げてでも、超正統派政党の政治への進出を食い止めるべきだと発言していた。

https://www.timesofisrael.com/liberman-well-force-govt-with-likud-blue-and-white-to-block-ultra-orthodox/

イラン問題に加え、政界への生き残りや、汚職に関連する問題など、ネタニヤフ首相が抱える問題は文字通り山積みである。
カテゴリ :イスラエル国内ニュース トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

イシバ危機一髪:スデロットにロケット弾 2019.6.15

 2019-06-15


9305954010001009801313no.jpg
スデロットのイシバ 写真出展:Ynet

イスラエルでは、先週8-10日の週末、シャブオット(7週の祭り)が行われた。この例祭では、収穫を祝うと同時に、出エジプトから50日目にシナイ山で、イスラエル人たちが、律法を授かった日として、夜を徹して聖書を読むなど、各地で様々なイベントや祭りが行われた。幸い、各地での例祭は、平和に終わっている。

しかし、イスラエル南部では、ガザから凧などによって飛来する火炎物が続き、12日だけで12個は飛来して、麦畑畑が焼失するテロ事件が相次いだ。これを受けて、イスラエル政府は、12日(水)、いったん拡大していたガザの漁業海域を再び閉鎖する報復措置をとった。

すると、その翌13日(木)朝、ガザからイスラエル南部へ向けてロケット弾が発射された。住民はサイレンで避難。ミサイルは迎撃ミサイルが撃墜した。イスラエル軍は、ガザへ、報復の空爆を行った。

その同じ13日(木)夜9時、ガザから再びロケット弾が飛来。イシバ(ユダヤ教神学校)2階の外壁にあたり、窓が割れたり、外壁の瓦礫が階下に散乱するなどの被害が発生した。部屋にいた学生らは、サイレンで避難したが、数秒で着弾したため、わずか数メートルの地点に破片が散乱したという。まさに危機一髪の軌跡だったと語っている。

軌跡はそれだけではない。着弾したロケット弾は、不発だったのか、弾頭が破裂していなかった。また、学生の多くは、週末ですでに帰宅しており、残っていたのは数人であったという。破片でとなりのシナゴーグも被害を受けたが、こちらも人的被害はなかった。

これを受けて、イスラエル軍は再度、ガザ内部への空爆を行っている。

https://www.timesofisrael.com/israeli-planes-reportedly-hit-gaza-after-sderot-rocket-attack/

<金曜ガザ国境デモ再開へ>

イスラエルとガザは、今年5月の大きな軍事衝突(イスラエル南部へミサイル700発)で、イスラエル人4人が死亡。ガザでは29人が死亡した。この後、公式ではない形で、6ヶ月の停戦合意が交わされたと伝えられている。しかし、現場においては、停戦とは言い難い状況になりはじめている

こうした中、アメリカのデービッド・ フリードマン在イスラエル大使が、先週金曜、ニューヨークタイムスのインタビューで、「イスラエルには、西岸地区を合併する権利がある。しかしおそらく全部ではないが。」と語ったことから、アメリカの中東和平案に、西岸地区のイスラエルへの合併が含まれるのではないかと、大きな論争となった。

ガザでは、先週、ラマダンが終了したこともあり、国境での金曜デモを再開するが、これからは、フリードマン大使の発言に焦点をしぼったデモにすると言っている。*これまでは、トランプ大統領が米大使館を、エルサレムに移動させると言ったことへの反発が焦点であった。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5522995,00.html

<ハマスの真意は?>

今回、イスラエル南部へ火炎物を飛ばしたのは、一般のガザ市民ではなく、ハマスの組織的な攻撃であったとみられている。ハマスは、イスラエルを攻撃するにあたり、停戦で合意したことをイスラエルがなかなか履行しようとしないことへの抗議行動だと言っている。

Times of Israel の評論家、アビ・イサカロフ氏は、ハマスの挑発の背景には、以下のような点があると指摘する。

1)カタールからの現金到着遅延に反発

ハマスが暴力的なデモを抑制する背景には、カタールがその担当官が直接ガザに持ち込んで、貧しい市民たちに配給する現金という要素があった。イスラエルはこれを容認する方針をとっている。

しかし今回、イスラエルが漁業海域を再閉鎖した際、カタールからの現金(3000万ドル予定)も届かなくなるといううわさがガザに流れた。この直後に、イスラエルへのロケット弾が発射されている。

14日、イスラエルは、来週末までには、カタールの現金がガザへ入るようにすると言っているという情報がある。ガザでは、イスラエルを困らせて、カタールからの現金をもらうという、妙なサイクルができあがっているようである。

2)バハレーンでの国際会議への反発

トランプ大統領は、中東和平案を公開するに先立ち、まずは、パレスチナ人の経済を活性化するとして、6月25-26日、バーレーンで、湾岸諸国を中心とした国々によるワークショップを開催することになっている。

これについて、パレスチナ自治政府は、占領を金で解決しようとしている、(和平交渉への障害で開示できないでいることへの)単なる時間稼ぎだなどと反発している。しかし11日、ホワイトハウスは、アッバス議長の繰り返しの欠席要請をよそに、エジプトとヨルダンの首脳もこの会議に出席すると発表した。

なお、この会議に招かれた、パレスチナ自治政府、ロシアと中国は欠席を表明している。

3)ネタニヤフ首相の指導力低下を狙う

イスラエルでは、ネタニヤフ首相が連立政権を樹立できず、10月ぐらいまで暫定政権となる。大きな決断ができないばかりか、ネタニヤフ首相自身も、汚職で起訴される可能性が高まるという不安定な状況である。ハマスはこれをチャンスと見た可能性もある。

https://www.timesofisrael.com/with-netanyahu-vulnerable-ahead-of-elections-hamas-ups-the-pressure/

しかし、以下に述べるが、今、イランとアメリカが一触即発状態で、緊張が高まっていることから、イランが、ハマスを使ってイスラエルと衝突させ、注目をそらそうとしている可能性もあるだろう。ハマスは経済的にイランに依存しており、今やイランのいうことには逆らえない状況にあると思われる。

<石のひとりごと:金の威力>

F190519ARK07-640x400.jpg

ガザでカタールの現金を受け取ったガザ市民 写真出展:Times of Israel

カタールからの現金配布の記事にあった写真が印象的だった。ガザ地区の一人の男性が、カタールからもらった100ドル紙幣を手に満面の笑顔になっている写真である。この男性がハマスなのかどうかは不明だが、まったく普通の人が、まったく無心にただただうれしいといった表情である。

お金・・その支配力の大きさに、改めて恐ろしいものを感じた。ガザのパレスチナ人であろうが、日本人であろうが、お金をもらえば、みな等しくただただ嬉しいのだ。また、ハマスもヒズボラも皆、イランからのお金でサバイバルしている以上、なんであれ、イランのいうことを聞かなければならない。

あたりまえだが、今の人間社会、ガザであろうが、東京であろうが、結局、同じお金ですべてがまわっている。人類はみな同じなのである。

しかし、聖書の黙示録には、この経済という支配者が、やがて崩壊する様子が描かれている。そのあと、そのお金さえも、支配下に収めている創造主なる神が明らかにされ、その支配下にある新しい世界がやってくる。(黙示録18章)

信じるか信じないかはそれぞれだが、まだ聖書を読んでない人は検証の価値ありと筆者は思う。
カテゴリ :パレスチナ関係 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

テルアビブ:今年もゲイ・パレード25万人 2019.6.15

 2019-06-15

930704201001196640360no.jpg
写真出展:Ynet

ガザから約2キロ地点のスデロットでは、ロケット弾がイシバを直撃し、ガザとの戦争も懸念されているが、そこからわずか70キロほど北上した同じ地中海に面する町テルアビブでは、今年もゲイ・ウィークが行われており、14日(金)、そのハイライトであるゲイ・パレードが盛大に行なわれている。

様々な女装、または男装のゲイたちと、その支持者ら25万人が、「ゲイ・プライド・パレード」をマーチする。中東で最大のゲイ・イベントである。その様子は、ネットでも生中継されている。

半裸状態でビールを片手にセクシーなことをテーマにして、ステージに向かって飛び跳ねる様子は、どうにもシナイ山の麓で、モーセを待てずに堕落したイスラエル人を連想させられてしまうところである。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5524740,00.html

<エルサレムでもゲイ・パレード>

テルアビブに先立つ6月6日、エルサレムでもゲイ・パレードが行われた。

左派でリベラルを好むテルアビブと違い、エルサレムは、ゲイを認めないユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地である。参加者は、3万人が予想されていたところ、1−1.5万人だった。

エルサレムでは、ゲイに反発する人々がおり、2016年には、シーラ・バンキさん(16)が、パレード中、出所したばかりの超正統派に刺されて死亡した。このため、イスラエル警察は、警備員を2500人配置して警戒態勢をとった。この日だけで、ナイフを持っていたなどで49人が逮捕されたが、全員翌朝には釈放されたとのこと。

パレードには、シーラさんの両親が、イスラエルは、多様性に寛容な社会であるべきと訴えて、参加していた。

https://www.timesofisrael.com/ten-thousand-march-in-jerusalem-pride-parade-under-heavy-security/

<法務相に初のゲイ/アミール・オハナ氏>

先週、ネタニヤフ首相は、今回の総選挙で国会入りできなかった新右派党のベネット教育相、シャキード法務相を解雇した。その後任がどうなるのか、注目されていたが、ネタニヤフ首相は、公にゲイと表明しているアミール・オハナ氏(43)を法務相に指名した。

同性愛者が堂々と閣僚入りするのは、イスラエル史上初である。しかし、オハナ氏はゲイとはいえ、日本でよく見る女装するタイプのゲイではない。イスラエルのゲイは、男性としての美しさをアピールするゲイが多く、オハナ氏も一見、普通の男性であり、ゲイにはみえない。れっきとした弁護士で、2015年から国会入りしていた。

オハナ氏は、先週開催されたエルサレムでのゲイパーレード(約1万人参加)に参加した。

左派でリベラルを好むテルアビブと違い、エルサレムは、ゲイを認めないユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地である。エルサレムでのゲイ・パレードでは、「恥を知れ!」と言ったやじも飛んだ。オハナ氏は、自分が法務相になったことで、ゲイ社会への反発にならなければよいがと語っている。

オハナ氏は、汚職疑惑のネタニヤフ首相について、公にネタニヤ首相支持を表明している人物。言い換えれば、ネタニヤフ首相が味方を増やしたということである。

https://www.timesofisrael.com/netanyahu-appoints-loyalist-amir-ohana-as-justice-minister/
カテゴリ :イスラエル国内ニュース トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

安倍首相の訪問とイラン危機:イスラエルの報道より 2019.6.15

 2019-06-15

441872.jpg
国華産業(パナマ船籍)のタンカー 写真出展:Jerusalem Post

安倍首相のイラン訪問、日本企業に関連するタンカーが軍事攻撃を受けてイランとアメリカが、非難しあい、これまで以上に緊張がたかまっている。

12日、日本の安倍首相が、ロウハニ大統領に面会。続いて13日には、イランのイスラム最高指導者ハメネイ師と直接会談を行った。ハメネイ師にまで直接対談できたのは、日本のこれまでからにイランとの良い関係によるものである。

アメリカとイランの緊張が高まっている中での訪問で、アメリカとイランとの交渉再開の橋渡しになる可能性も日本では期待されていた。

安倍首相は、アメリカ、イスラエル、ロシアの首脳とも電話で連絡を取り、イラン首脳との会談に臨んだが、結局ハメネイ師は、アメリカとの交渉については明確に拒否した。これまでのイランとアメリカの長い確執の経過を見れば、日本が要請したぐらいで、両国がすんなり交渉の場につくはずもなかっただろう。

逆に、安倍首相のイラン訪問に合わせて13日、ホルムズ海峡に近いオマーン湾で、ノルウェーの船と、日本企業関連のタンカー(サウジのメタノールをシンガポールへ運搬中)が、2回にわたって軍事攻撃され、緊張緩和どころか、緊張を悪化させる結果になった。

被害を受けた国華産業の堅田社長によると、船はパナマ船籍で、旗じるしも日本ではなくパナマであったとして、特に日本をねらったわけではないとの見解を述べているが、イランが、船の情報を持っていなかったという確証はない。

被害を受けたタンカーの乗組員らはいったん船から避難したが、沈没の危険はないとして、現在は船に戻り、アメリカ軍の保護の中、アラブ首長国連邦へ曳行の途上にある。

この一連の出来事から、ホルムズ海峡閉鎖への恐れから、原油先物価格が4%上昇した。

*ホルムズ海峡とは

ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾の間にある幅33キロ、深さ75-100メートルの狭い海峡である。サウジアラビアなど中東から輸出される原油を乗せたタンカーの8割は、この海峡を通過している。BBCによると、この海峡のタンカーの通路は、2レーンしかなく、その間は2マイル(約3200メートル)しかない。

1980年代、イランとイラクの戦争中、それぞれが相手の原油運搬を阻止するために、ホルムズ海峡を通過するタンカーを攻撃。BBCによると、タンカー240隻が攻撃を受け、55隻が撃沈された。

現在、イランは、アメリカとの危機に及び、ホルムズ海峡の閉鎖を示唆している。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-48633016

<ポンペイオ米国務長官:イランによる攻撃>

問題は、だれが、タンカーへの攻撃をしたのかだが、アメリカのポンペイオ国務長官は、この攻撃は、5月にアラブ首長国連邦で、サウジアラビアのタンカーが、妨害攻撃された時と同様、イランによるとの見解を公式に発表した。

イランはこれを毅然として拒否。逆に、タンカーの乗組員は安全に避難させたとして、タンカーの乗組員らが、イランによくしてもらったとコメントする映像まで出した。

https://www.timesofisrael.com/iranian-tv-shows-crew-of-attacked-tanker-in-full-health/

14日に、アメリカ軍が、日本のタンカーから(証拠隠滅のために)不発のリペットマインと呼ばれる密着型機雷らしきものを撤去するイラン革命軍の映像を公開すると、イランは、「ホルムズ海峡の安全を守るのはイランの使命だ。できるだけ早くその危機を取り除いたのだ。」と返答した。

イランは、アメリカは早急にイランによるものと発表したが、お互いが同意できる証拠はいっさいないと主張している。

<イランのザリフ外相:攻撃はアメリカとイスラエルの陰謀>

一方で、イランのザリフ外相は、「Bチームが、外交を妨害して、イランに対する経済テロを隠蔽しようとしているのだ。」とツイッターに書き込んだ。

ザリフ外相が時々使うBチームとは、アメリカの治安顧問ジョン・Bボルトン補佐官、イスラエルのBベンジャミン・ネタニヤフ首相、サウジアラビアのモハンマド・Bビン・サルマン皇太子、アブダビのモハンマド・Bビン・ザイード・アル・ナヒャン皇太子をさしている。

https://www.timesofisrael.com/after-tanker-attacks-iran-claims-us-israel-plotting-to-sabotage-diplomacy/

イランとアメリカが、お互いに正面から非難しあっている状況だが、この問題については、国連安保理で議論が行われる予定である。しかし、安保理では、ロシアと中国が、アメリカのイランへの制裁に反対しており、拒否権を発動すると思われるので、結局何の手立てもできないだろう。

ここからどう発展していくかは不明だが、突発的な衝突から大きな戦争に発展する可能性は続いている。その際、イスラエルでは、イラン配下のヒズボラやハマスにより、南北国境から1日に1000発以上のミサイルが、連日降り注ぐ可能性があると懸念する声もある。

かつてイスラエル人がバビロンで捕囚になっていた時代に、イスラエル人をエルサレムへ帰らせ、神殿と国の再建を実現させたのは、ペルシャ、つまり今のイランであった。今は、イスラエルの宿敵となっているイランだが、イスラエルの祝福になる可能性も秘めている。神の前に、本来のイランの姿を取り戻せるようにと願う。
カテゴリ :イラン情勢 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

リブリン大統領夫人死去 2019.6.5

 2019-06-05
nechamarivlin2017_hdv.jpg
リブリン大統領夫妻 写真出展;CBN

リブリン大統領夫人ネハマさんが、持病の肺線維症で、3月に受けた肺移植から回復しきれないまま、4日、テルアビブ近郊の病院で死去した。74歳の誕生日の前日だった。遺族は、夫であるリブリン大統領(79)と3人の子供とその配偶者、7人の孫たち。

ネハマさんの遺体は、5日、エルサレムシアターに3時間安置され、市民たちが別れに訪れる時が設けられる。その後6時から、ヘルツェルの丘で葬儀が行われる。悲しみをともにしている市民に感謝して、葬儀は一般公開されるという。その後、大統領と家族は、様々な国の代表者らの慰問に対応する。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/264192

ネハマさんは、大統領と同じく、イスラエル生まれ。ヘブライ大学の研究所で働いていたが、1971年に結婚した。2007年より、肺線維症をわずらい、近年では、どこへ行くにも酸素を吸入しながらの日常となっていた。それでも大統領とともに、インドなどへの公式訪問にも同行していた。

ネハマさんは、暖かい人柄で知られ、トランプ大統領のメラニア夫人とも手をつなぐなど、難しい立場にあるメラニアさんを励ましたといわれている。また、リブリン大統領が、大統領になるかどうかの瀬戸際に、大統領のフェイスブックに次のように書き込んで話題となった。

「ルビー。あなたは私の恋人で親友。私は大統領と結婚したのではありません。結果がどうなってもあなたは私の恋人で親友。」

今年3月に、肺を提供したのは、エイラットでダイビング中に死亡したヤイール・イエヘジケル・ハレビさん(19)。ネハマさんが死去した今、ヤイールさんの母親は、「あなた(息子)のもう一つの部分がいってしまった」と語っている。リブリン一家は、ハレビさんに深い感謝を述べた。

肺線維症は、徐々に呼吸ができなくなる苦しい病気である。特に肺移植後は、呼吸がうまくできず、ネハマ夫人はかなり苦しんだようである。リブリン大統領は、「もう苦しまなくなってよかった。」と語ったという。

表に出すぎず、しっかりとリブリン大統領に伴い、大統領を支えたネハマ夫人。リブリン大統領も人情味あふれる人柄とみえるが、夫人亡き後、大統領の心が支えられるようにと祈る。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5520025,00.html
カテゴリ :未分類 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

総選挙やりなおし決定:混乱するイスラエルの政治 2019.6.5

 2019-06-05
F190304TNFF18-1024x640.jpg
写真出展:Times of Israel

4月9日に行われた総選挙の後、リブリン大統領に組閣を指名されたネタニヤフ首相だが、期限を2週間延長後の最終期限になっても過半数を超える連立政権を樹立することができなかった。原因は、イスラエル我が家等のリーバーマン氏が、超正統派の従軍に関して妥協をいっさいせず、連立に加わらなかったためである。

最終的に、ネタニヤフ首相は、国会を解散、総選挙を再度行うことを決めた。再総選挙は、9月17日。つまり、正式な政府が立ち上がるのは、早くても10月ということになる。それまでの間、国としての大きな決断はできない。

これは、外交、防衛においてかなり厳しい状況にあるイスラエルにとっては、非常に大きなチャレンジといえる。特に、今から新しくバーレーンでの経済ワークショップを皮切りに、いよいよアメリカの「世紀の中東和平案」が公表されると予測されていたが、またもや先延ばしになる可能性が高まった。

トランプ大統領は、ネタニヤフ首相がイスラエルの指導者であれば、この和平案が成功する可能性は高いとの認識を持っていたことから、イスラエルで再選挙になることについて、「ひどい。イスラエルの政治は混乱している。」と述べている。

ネタニヤフ首相は、再総選挙が無駄であると述べ、連立立ち上げを不可能にしたリーバーマン氏を、非難した。一方、リーバーマン氏は、ネタニヤフ首相を、「政治を個人のものにしている。」と非難した。

この政府たちあげの遅れが、逆にイスラエルを守ることになったかどうかは、後の時代が判断することになるだろう。

https://www.timesofisrael.com/why-israel-will-hold-a-second-national-election-in-2019/

<どうなる!?ネタニヤフ首相>

選挙による新しい連立政権が立ち上がらなかったことから、今までの政府が、暫定政権のような形で国を導いていくことになる。しかし、前政権で司法相、教育相を担っていたナフタリ・ベネット党首率いる新右派党は、今回の選挙では、最低議席数に必要な得票を得られず、国会から去るという事態になっていた。

ネタニヤフ首相は、シャキード法務相と、ベネット教育相を解雇すると発表した。

しかし、これは、ネタニヤフ首相にとってはリスクになりうる。ベネット氏は、9月の総選挙には出馬することを表明している。もし、次回の総選挙でリクードが、再度最多数議席を取って組閣を命じられたとして、もしベネット氏の党が国会入りを果たしていた場合、ネタニヤフ首相の政府に加わることはないだろう。

ネタニヤフ首相は今、リーバーマン氏のユダヤの家党に続いて、右派政党仲間をもう一つ失ったことになる。

9月の再総選挙では、結局ネタニヤフ首相のリクードが、ぎりぎりの議席数をとり、再び連立交渉に失敗するという可能性は残されている。しかし、そうなれば、それこそ、この総選挙は無駄だったということになる。

次の選挙では、ネタニヤフ首相が首相となって続投するかどうかについては、疑問視する声もある。

1)リクード内ライバル:ギドン・サル氏

ネタニヤフ首相自身のリクードは、今もネタニヤフ首相を支持してはいるが、首相自身の汚職問題が今後、どう動くかによっては、ネタニヤフ首相を切り離す可能性もでてくる。

ネタニヤフ首相は、まさか連立を立ち上げられないとは思っていなかったのだろう。すぐに国会に、首相は刑事責任を負わないとする法案を出したことで、自分を無罪にするために、首相になったのではないかとの疑いがリクード内部にもひろがる結果になった。

リクード内部では、時期党首と目される人物、ギドン・サル氏の人気が高まりつつあり、ネタニヤフ首相に変わる人物がいないともいえない状況にある。

2)野党ブルーアンドホワイト

今回の選挙では、中道左派と目される新党ブルーアンドホワイト(ベニー・ガンツ党首)が、リクードと同じ35議席を取っていた。ブルーアンドホワイトでガンツ氏と合流した元未来がある党のヤイル・ラピード氏は、「2回目のチャンスが来た」として次の選挙に臨むとしている。

ブルーアンドホワイトは、自称左派ではなく、めざすところは、左右統一政府だと言っている。

3)アラブ政党の躍進

リクードは、アラブ系政党を敵とみなしてきた。これまでのアラブ政党は、アラブ系市民の支持を得られず、選挙自体に来る人が少ないということで、議席数を伸ばすことはできていない。

しかし、もし、次回、住民の20%を占めるアラブ系市民の動員を確保できれば、リクードには大きな脅威となりうる。

とはいえ、総選挙までまだ4ヶ月もある。まだしばらくネタニヤフ首相が国を導いていく。夏にはハマスとの戦争があってもおかしくなく、イラン問題から中東で大戦争になっている能性もないわけではない。いかにエキスパートでも、予想外が連発するのが、イスラエルである。

やはり、主がすべてを支配している国、それがイスラエルという国だと思う。

https://www.timesofisrael.com/israels-do-over-election-brings-new-threats-to-netanyahu/
カテゴリ :イスラエル国内ニュース トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

内戦後シリアをめぐる攻防:ロシア・イラン・アメリカ・イスラエル 2019.6.5

 2019-06-05
403876.jpg
ハメネイ師 写真出展:エルサレムポスト

シリアでアサド大統領が内戦を生き延び、まだ北部では戦闘が続いているものの、国の復興に向けて次のステップへと進み始めている。シリアで、今最も影響力を持つ大国はロシアだが、そのロシアが、意外にも内戦中は協力していたイランをシリアから排斥する動きに出始めている。

これはシリアと隣接するトルコ、イスラエル、そしてイランと対立する湾岸アラブ諸国にとっても無関係ではない。シリアを舞台にうごめく米露と中東諸国、イスラエルの立場については以下の通りである。

<イスラエルのシリア攻撃>

6月1日(土)夕刻、シリアからヘルモン山に向かって、2発のロケット弾が発射され、一発は、ゴラン高原のイスラエル側空き地に、もう一発はシリア側に着弾した。イスラエル側に被害はなく、市民への警報も鳴らなかった。

しかし、シリア国営放送によると、この直後、イスラエルがシリア南部クネイトラ近くの軍事拠点を攻撃し、武器庫が破壊され、シリア軍人3人、ヒズボラとイラン兵7人の計10人が死亡した。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5518800,00.html

その翌日、イスラエルは、シリア中央のホムス近郊のシリア最大でイラン革命軍も駐屯するT4空軍基地を攻撃。シリア人3人、外国人2人の計5人が死亡した。

今回の2回の攻撃は、イランを離陸したボーイング747が、シリアのホムスへ着陸し、3時間後にイランへ戻っていった直後であった。イスラエル軍によると、この旅客機には、イラン革命軍から、ヒズボラなどの組織へ搬送する武器が載せられていたという。

イスラエル軍は、この日、複数の軍事基地を攻撃したことを認めている。ネタニヤフ首相は、これらの攻撃は、イスラエルに向けて発車されたミサイルへの報復であり、イスラエルがこのような攻撃を不問にすることはないと強調した。

シリア領内のイラン軍関連とみられる場所が、イスラエルによって(公式発表はない)攻撃されるのは、今に始まったことではない。イスラエルにとって、イランがシリアに進出してくること、またそこからヒズボラやハマスへの軍事支援が行われることは存続にも関わる緊急事態である。

シリアがイスラエルへミサイルを発射したのが先か、イスラエルがイラン軍関連地点へ攻撃が先か、もはやそうした単純な暴力の応酬ではない事情がシリアにはある。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5519384,00.html

<シリア内戦後:イラン排斥をすすめるロシア>

シリア内戦は、シリア北西部での戦闘を残してほぼ、アサド政権が主権を取り戻す形で終焉に向かいはじめている。アサド政権の復活を実現したのは、ロシア、イランとその配下にあるヒズボラなどのテロ組織であった。この中で、特にロシアの存在感が大きくなっている。

ロシアは、シリアを配下に入れることで、地中海へのアクセスを得ることと、同時に中東での覇権をねらっていたが、アメリカが、地理的に遠いことと、オバマ大統領が思い切った介入をしなかったことで、いまやシリアに最大の影響力を持つのはロシアになっている。

ロシアは今、シリア情勢の責任者として、平穏が続き、その影響下で経済的にも復興させ、国際社会でのロシアの存在をさらに大きくすることを望んでいるとみられる。こうなると、問題はイランの存在である。

イランは、今、内戦でできた足がかりを元に、シリアにその軍事的存在感を確立しようとしている。さらには、そこからレバノンなど隣国にいるテロ組織の武力強化も図っており、イスラエルが警戒を強めている。

イランが北部国境や、レバノン南部、海域にまで近づいてくることは、イスラエルには非常に大きな脅威である。イスラエルにとっては、国際世論などにかまっている余裕はなく、手遅れにならないうちにと、前もって脅威の根は排除するため、躊躇なく攻撃を行っているのである。

シリアで、イスラエルとイランが戦争になることを避けたいロシアは、イラン軍がイスラエル国境へ近づくことをけん制し、シリアの地中海第二の港タルトゥスからイランを追放したという。また、シリアのアサド政権に、イランの武力拡大と経済介入を抑止させたりしている。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5520317,00.html

加えてロシアは、イスラエルのイラン軍事拠点攻撃についても、ある程度は黙認することで、イスラエルに合意している。

ロシアが今目標とするのは、アサド政権と、反政府勢力が一同に会して新しいシリアの国づくりを、ロシア影響下ではじめることである。今のところ、アサド政権を憎む反政府勢力が、平和にアサド大統領との話し合いに応じるはずもなく、今のところ、実現にはいたっていない。

しかし、これについては、2015年の世界諸国とイランとの合意でも決められていたことだった。

アメリカは、この2015年のイランと大国との合意から離脱して、イランへの経済制裁を再開しているわけだが、ロシア主導でのシリア政府と反政府勢力の合意にむけた会議については、合意するとみられている。 このため、以下に述べるが、アメリカとロシアが、イランをめぐって接近する様相が指摘されている。

<シリア内戦後:イランとの緊張高まるアメリカ>

アメリカは今、中東の権威においては、ロシアに先を越されているような形になっているが、トランプ大統領はそれにはこだわりはないようである。一時、シリアなど中東から米軍を撤退させると言っていた。

しかし、アメリカが撤退することが、クルド人勢力やイスラエルにも大きな脅威になるということで、その話は今は、頓挫したかにみえる。

逆に、アメリカは、原油禁輸というイランにとっては最後通告のようなレベルの経済制裁を再開するという中東への介入ぶりに豹変し、イランとの対決姿勢をエスカレートさせた。これにより、イランはいよいよ困窮してきたようで、ヒズボラやハマスなど様々なテロ組織への支援ができなくなっているとも伝えられている。

さすがにイランも苦しくなってきたとようで、ウランの濃縮を再開すると発表したり、アラブ首長国連邦に停泊中のオマーンなどのタンカーを攻撃するなど、軍事行動にまで発展させる可能性も出てきた。

このため、アメリカは、ペルシャ湾に空母や爆撃部隊を派遣。トランプ大統領は、後で否定したが、必要なら12万の大軍を派遣することも辞さないといった発言も出していた。最終的に、24日、トランプ大統領は、イラン対策として中東に1500人を増強すると発表。緊張がたかまっている。

https://www.bbc.com/news/world-us-canada-48404141

<アメリカとロシアがイスラエルで会談!?>

アメリカがロシアのように、シリアや中東での覇権を狙っている様子はないが、シリアからのイラン排斥という点においては、今ロシアとアメリカが、同じ方向を向いているようでもある。

ホワイトハウスによると、ロシアとアメリカは、6月末に、イスラエルにおいて、治安のトップが会談を行う予定とのこと。ロシアからは、ニコライ・パトルーシェブ治安長官、アメリカからは強硬右派と目されるボルトン治安担当大統領補佐官、イスラエルからは、メイール・ベン・シャバット国家治安顧問が出席予定である。

いうまでもなく、イスラエルで米露の指導者が集まって話し合うなど、前代未聞であり、まずは、実現するかどうかが注目されるところである。

https://www.timesofisrael.com/us-to-press-russia-to-help-counter-iran-in-syria/

<イランはどう出てくるのか>

さすがに、アメリカからの全面的な経済制裁は、イラン経済に大きな打撃を与えているとみえ、イランを動かし始めている。イラン国内では、急進派と穏健派がそれぞれの声をあげている。

急進派は、アメリカが、ペルシャ湾に空母などを派遣していることについて、イランはそれらをすべてミサイルの射程に入れているとして、戦争になる危険性も警告している。

アメリカは、イランがアメリカと戦争をしようとしているはずがない(勝てるはずはないとわかっているはず)という考えのようである。 2日、ポンペオ米国務長官は、「前提条件なしにイランとの交渉を行う用意がある。」と発表した。

しかし、イランがそれに応じるとは思いにくいとも考えているのか、「あらゆる危険への対処(ペルシャ湾での軍備)」は継続するとも付け加えた。

イランからは、穏健派と目されるロウハニ大統領が、アメリカとの交渉に応じてもよいと示唆したが、「もしアメリカが核合意に戻るなら」としており、これもまた、ありえないことと言い換えることもできる内容であった。

イランのザリフ外相とポンペイオ国務長官の間には、現在、コミュニケーションの経路がない。イランのハメネイ・イスラム最高指導者は、アメリカとの対話はありえないとしている。

https://www.aljazeera.com/news/2019/06/supreme-leader-khamenei-iran-continue-resisting-pressure-190604185251563.html

ではここからどこへ行くのかだが・・・・このままトランプ政権が終焉を迎えるまでイランが持ちこたえるか、もしくは戦争しかないということである。

<安倍首相のイラン訪問>

アメリカとイランの関係が、四面楚歌となる中、日本の安倍首相が、イランを訪問し、緊張緩和を模索することになった。日本は、制裁前は、イランからの原油輸入   位と、イランにとってはお得意様なのである。

ザリフ外相が5月に来日したのに続いて、イランも安倍首相の訪問を歓迎すると表明。安倍首相は、今月12-14日をめどにイランを訪問し、ロウハニ大統領、ハメネイ最高指導者と会談する予定である。河野太郎外相も同行する。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019060300887&g=pol

ただし、先のトランプ大統領訪日の際に、相当に緊密な日米関係が世界に発信されているので、イランが日本をどこまで信頼するのかは不明である。

ところで、原油禁輸だが、中国は輸入を続けている疑いがある。香港でイランから中国に向かっていたとみられるタンカーが、アメリカによって止められた。中国は、アメリカと厳しい貿易戦争、もっといえば、覇権争いをしている最中であり、中東戦争が、世界戦争にまで発展する土壌はすでにあるということである。

<イスラエルの方針>

イスラエルは、米露の動きにもかかわらず、イランが相変わらず、強硬にシリアでの軍事力増強へのこころみを継続していることに注目している。イランは、シリアでの自らの戦力を増強するだけでなく、シリア南部では、フリーの戦士の雇用もすすめている。

また、イスラエルの調べによると、イラクのシーア派組織アル・シャビが、シリアとイラクの国境で勢力を伸ばしており、イランとこのシーア派との間を結ぶ道路ができ始めているという。いよいよイラン、イラク、シリア、レバノンから地中海への幹線ができあがりつつある。

ヒズボラとハマスへの支援も、イランの経済不振で今は滞りがちであるという情報が本当であったとしても、もうすでにこれらは、イスラエルを攻撃する従軍な武器を保持している。逆に先がないとみれば、いよいよ攻撃に出てくる可能性がある。

レバノン南部にいるヒズボラのナスララ党首は、「もしイスラエルがシリアでイラン拠点を攻撃するなら、イスラエルに反撃する」と脅迫する発言を行った。ヒズボラはすでに10万発以上のミサイルを保有しているが、イスラエル領内へ続く地下トンネルもつくっている。

*ヒズボラのテロ用トンネル深さ80m、全長1km:イスラエル領内へ77m

イスラエルは、5月末、イスラエルに続く地下トンネルを発見し、世界に向けて公表した。深さ80メートルで、全長1キロにも及び、イスラエル領内に77メートルも食い込んでいた。これで6本目になる。

https://www.timesofisrael.com/idf-reveals-longest-most-significant-hezbollah-tunnel-yet-on-northern-border/

一方、ハマスは、イスラエルに1日にロケット弾を1000発撃ちこむ用意があると豪語したが、指導者シンワルが、イランなしにパレスチナ人だけで、ここまでの武装はできなかっただろうと語っている。

https://www.timesofisrael.com/islamic-jihad-chief-says-gaza-groups-can-fire-1000-rockets-a-day-at-israel/

今後、ヒズボラとハマスが一気に攻撃してくる可能性もふまえ、イスラエルは、あらゆる手を尽くして情報収集を行い、これを未然に破壊して防ぐとともに、大きな戦争への備えを行っている。
カテゴリ :シリア情勢 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

エルサレム統一52年目:神殿の丘をめぐる騒動 2019.6.5

 2019-06-05
<ラマダン最後の金曜テロ:イスラエル人2人負傷>

AP_19153264504431-640x400.jpg
神殿の丘のユダヤ人 写真出展:Times of Israel

5月30日は、ラマダン最後の金曜で、エルサレム旧市街では、神殿の丘で祈るためにイスラム教徒らが集まり始めていた。

祈りの時間の数時間前、西岸地区出身のパレスチナ人(19)が、ダマスカス門周辺で正統派ユダヤ人1人(40代)を、その後ヤッフォ門周辺でもう一人(16)を刺して負傷させる事件が発生。テロリストは治安部隊に射殺された。

この事件の1時間後にイスラムの祈りが始まったが、神殿の丘では、26万人が無事ラマダンの祈りを終えることができた。被害にあった2人は回復に向かっている。

<第52回エルサレム統一記念日>

その3日後の6月2日は、第52回目のエルサレム統一記念日であった。この日は、4日のラマダン最終日に近く、繊細な時期でもあったが、イスラエル警察は、めずらしく、イスラム教徒意外の人々にも神殿の丘へ入場する許可を出した。

このため数百人のユダヤ人が、神殿の丘へ入った。すると、イスラム教徒らが、叫んだり、石や椅子を投げたりして、一時イスラエルの治安部隊と衝突もあったが、正午までには通常に戻ったとのこと。

エルサレムでは、この日、例年のように、シオニスト団体の若者がイスラエルの旗を持って、誇らしげにダマスカス門から嘆きの壁までを歩く「フラッグ・マーチ」が行われた。午後3時から9時まで、嘆きの壁広場は、こうした若者たちから普通の家族連れまでが、広場を埋め尽くして、祝いのイベントを行った。

https://www.timesofisrael.com/palestinians-and-police-clash-as-jews-allowed-into-temple-mount-on-jerusalem-day/

https://www.jpost.com/Israel-News/Tens-of-thousands-march-in-Jerusalem-Day-March-of-Flags-parade-591391

<統一52年目のエルサレム>

エルサレムの人口は、90万1300人。このうち、税金を納めるとみられる世俗派は、22%。

エルサレムでは、毎年、居住者が入るより出て行く方人数が8000人と減少しているのだが、昨年度は、6000人と、人口減少に歯止めがかかった。

エルサレムでは、IT産業の呼び込みが進められているが、昨年度で、33.8%増えた。エルサレムで開業したIT企業は、テルアビブのそれより長続きしているとの統計がでているとのこと。また、エルサレムに宿泊した旅行者は、2018年中、493万7600人で、2016年と比べると40万人近く増えていた。

超正統派の男性が仕事につくよう政策がすすめられているが、Times of Israelが、エルサレム市の報告として報じている統計によると、49%が仕事についているとのことであった。エルサレムに平和と繁栄が続くように!

https://www.timesofisrael.com/jerusalem-negative-migration-slowing-for-first-time-in-a-decade-report/
カテゴリ :イスラエル国内ニュース トラックバック(-) コメント(-)
タグ :
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫