テロ:投石から銃撃へ 2016.7.10

 2016-07-10
先週、悲惨なテロが2件あったことはお伝えした通り。その後、国道60号線ぞい、西岸地区入植地ネエベエ・ダニエル(グッシュ・エチオン近郊)では、パレスチナ人の車が、イスラエルの軍用車に突っ込んで兵士3人が負傷。突っ込んだパレスチナ人が重傷となった。

また、西岸地区アリエル近郊国道5号線で、パレスチナ人女性が大きなナイフを振りかざして兵士2人に襲いかかり、撃たれた。

9日夜、ヘブロン南部テコアで、走行中の車が銃撃を受け、30歳代の男性が負傷した。テコアはヘブロン近郊の入植地の近くで、グッシュ・エチオンにも近い。エルサレム南部からなら車で30分もかからない地域である。テロは特にこの地域、ヘブロン周辺で多発している。

懸念されることは、これまでは投石や火炎瓶であったものが、銃撃へと変化している。グッシュ・エチオン地域長のダビディ・ペリ氏は、政府にもこれまでとは違った対処が必要だと訴えている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4826169,00.html

*ユダヤ人を助けたパレスチナ人医師

子供が自宅の子供部屋で寝ているところを殺され、尊敬されていたイシバ校長が殺され、慢性的なテロの危険が続く中、右派ユダヤ人らによる報復も懸念されるところでである。

しかし、先週、南ヘブロンで、銃撃を受けて殺害されたイシバ校長のマイケル・マークさんの家族を救出したのは、パレスチナ人医師夫妻だった。

このパレスチナ人夫妻は、事件発生後まもなく現場を通りかかり、ひっくり返っていた車から、すでに死亡していたマークさん以外の家族を救出。自分の車に乗せて保護し、銃撃を受けて意識がなかったマークさんの妻ハバさんにCPR(救急蘇生)を施行していた。

http://www.timesofisrael.com/palestinian-recalls-aiding-settler-family-hit-by-shooting-attack/

ハバさんはまだ重症だが、容態は落ち着いているという。もしこの時、このパレスチナ人の医師が通りかからなかったら、ハバさんもまた死亡していたかもしれない。

マークさんの家族は、「パレスチナ人だからといって、皆がテロリストではない。」として、報復をしないよう呼びかけた。

<イスラエル政府の対処>

ここしばらく発生しているテロは、ハマスなどの組織がらみではなく、単独テロである。軍隊が出て、軍事的に報復することが、抑止につながるというものではない。イスラエルは、まずは、犯人逮捕に全力をあげ、その後、犯人とその家族の家を破壊するなどの他、以下のように対処している。

1)政治的報復 ー 労働許可剥奪と、入植地拡大

パレスチナ人がテロを行う大きな理由の一つが、ユダヤ人が恐怖で西岸地区を去ることである。しかし、筋金入りの右派ユダヤ人たちは、テロがあっても、恐れて出て行くどころか、ますます、そこにとどまる決意を固めている。

イスラエル政府も、テロが発生するたびに、入植地にさらに家を建てる許可を出して拡大し、予算もつぎ込んで、その存在をさらに強靭にしている。

同時に、犯行にかかわった家族や、事の重大さによっては、地域全体のパレスチナ人のイスラエルでの労働ビザを剥奪している。

6月30日、ヘブロン郊外キリアット・アルバの自宅寝室で寝ているところ殺害された少女ハレル・ヤッファ・アリエルさんの事件では、イスラエル政府は、ハレル・ヤッファさん宅付近に、ユダヤ人家屋42戸を建設する許可を出した。あらたに建設する地域は、パレスチナ人や国際社会の反対を受け、建築を凍結していた場所だった。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/214378#.V3goCqUWnA8

また、イシバ校長マイケル・マークさんの事件の後は、入植地強化のための予算は新たに1200万ドルを計上した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/214681

つまり、パレスチナ人が、テロを行うたびに、イスラエルは、入植地を拡大し、パレスチナ人労働者を国内から追放しているということである。ますますイスラエルという国が、ユダヤ人の国として拡大するというわけである。

国際社会は、イスラエルが入植地を拡大するたびに、非難の声をあげるのだが、実際には、時間がたつにつれ、徐々に、入植地は拡大しているといえる。

2)経済的しめつけ

ヘブロン近郊での2件のテロ事件を受けて、イスラエルは、パレスチナ自治政府がテロリストとその家族に支給するとみられる犯行後”手当”の分を、イスラエルが代理で徴収して、送金している税金から差し引くと発表した。

なんとなくセコイ感じがしないでもないが、自治政府は、この税金にかなり頼っている。経済的なしめつけで、自治政府が、自らテロリストをとりしまってくれることを期待しているということである。しかし税金返金の保留という措置は、たいがいはすぐに解除になる傾向にある。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/214383#.V3govqUWnA8

*代理徴収の税金

イスラエルは、パレスチナへの輸入品が、イスラエルの港から入る際、代理で関税を集め、それを自治政府に送金する形をとっている。その資金は、アルーツ7によると、毎月1億2700万ドルに上るという。

ここから、未払いの水道・電気代他、パレスチナ人がイスラエルで医療を受けて未払いになっている分などをさしひいたり、テロの後の報復として、送金を停止するなど、便利に使われている金である。
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