トルコ”反乱”制圧へ:強大エルドアン政権 2016.7.16

 2016-07-17
日本でも詳しく報じられている通りだが、ここでは、16日午後6時時点(現地時間)までの流れをまとめるとともに、今後どうなるのかを含め、イスラエルの専門家の解説を紹介する。

<トルコの反乱制圧か> http://www.bbc.com/news/live/world-europe-36811357

15日午後10時半(日本時間16日午後4時半)ごろに始まった一部のトルコ軍兵士らによる反政府クーデターの試みは、12時間もたたない16日朝には、トルコのユルドゥルム首相から”制圧した”との発表がなされるにいたった。

しかし、まだ事件の全貌が明らかになったわけではなく、トルコ情勢は今後も不安定になると懸念されている。

*反乱の流れ

1)15日午後10時半、反乱軍が、アンカラの大統領府、国会を戦車や軍用ヘリで砲撃・爆破した。また一時、国営放送局、CNNトルコを占拠。軍、諜報機関HQも占拠。イスタンブールでは市内に続く大橋を閉鎖して市内への出入りを閉鎖。

反乱軍は、(エルドアン大統領のイスラム化ならびに独裁化に対し)、民主主義を回復するものであると主張した。

2)(反乱軍でない)トルコ軍、警察が、反乱軍ヘリを撃ち落とすなどして反撃。

3)エルドアン大統領が、ソーシャルメディアを通じて市民らに、通りに出て、軍を止めるよう、呼びかけ。エルドアン大統領支持派の市民らが、群衆となって、戦車の回りで「兵士らは帰れ」などととりまいた。兵士らが市民を攻撃できるはずもなく、16日午前3時すぎ、反乱軍兵士らが投降するに至った。

<一夜明けて。。> http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4828993,00.html

1)161人が死亡。うち90人が反乱トルコ軍兵士。(他は警察官、市民)負傷者は1440人。(数値はメディア、報道時間によって変動中)
2)トルコ政府が、反乱軍兵士約2800人逮捕(大将、中佐級司令官含む)

3)一部反乱軍兵士8人が、ヘリで隣国ギリシャへ逃亡後、亡命申請。トルコはギリシャに対し、8人をトルコへ送還するよう要請している。
4)トルコ政府、最高裁含む裁判官2745人を反政府勢力に関連した疑いで解雇

<イスタンブール空港・大混乱>

イスタンブールのアタチュルク空港は、世界中からの飛行機が発着するかなり忙しい国際空港だが、現在、すべての便の発着が停止している。

各国もイスタンブール行きの便を次々にキャンセルと発表。空港内には、トランジットの乗客らが、大勢足止めになっている。

足止めになっている乗客によると、昨夜は、空港上空を軍用機や、ヘリが飛び交う中、トルコ航空関係者はほとんどが空港から避難してみあらたらず、16日午後になっても、なんのアナウンスもないという。

*BBCによると、16日午後4時半をまわって、トルコ航空が運行を再開したもよう。

<世界各国から制圧祝い表明>

トルコは、アメリカ有志軍がISIS攻撃において戦闘機の発着に使っている他、難民問題でヨーロッパにとっても重要な国である。トルコが不安定になることは、この時期、世界にとっても、あまり好ましいことではない。

トルコからクーデター制圧の発表がなされると、アメリカ、イギリスなど世界各国から、祝いの表明が出された。

制圧賛辞は、トルコの支援を受けているガザのハマスや、シリアのダマスカスに至る不安定な中東諸国からも祝いの表明が次々に出された。

<笑うのはエルドアン大統領?:今後の動きは?>

イスラエルのメディアの解説によると、おおむね、このクーデターは、最初から成功しそうもなかったと評している。まず、反乱を起こしたトルコ軍兵士は、一部であり、大部分のトルコ軍は、政府支持であったことがあげられている。

エルドアン大統領は、イスラム主義をじわじわとすすめ、2014年には、自分で大統領にになって、合法的に自らに権力を集中させ、独裁化をすすめているといわれる。

世俗派の若者たちがこれを懸念し、大規模なデモになったことみある。しかし、エルドアン大統領には、強力不動の支持基盤があるため、デモはまもなく鎮圧された。今回のクーデターでも,クーデター側に隠れ支持者はいたと思われるが、エルドアン大統領の強大な力の前にはやはり屈した形である。

なお、トルコでは、こうした軍事クーデターが1960年から3回発生しているが、どれも成功していない。

今回のクーデターが失敗した背景には、まず最初にエルドアン大統領をおさえなかったことがあげられている。大統領が、初期段階で、直接支持者に訴えることができ、支持者がすぐに動いたことが失敗の大きな要因になった。

今回のクーデターで、今後エルドアン大統領が、大手をふって反政府思想の人々への押さえ込みをするとみられる。今後、トルコがますますイスラム化、独裁化へとすすむ可能性が高い。

すでに、トルコ政府は、エルドアン大統領とは対立し、現在は、アメリカに滞在しているフェトフッラー・ギュレン氏が今回のクーデターに関与していたと非難。ギュレン氏に関係していたとして、最高裁など全国の裁判官2750人を解雇した。なお、ギュレン氏は関与を否定している。

http://www.jpost.com/International/Analysis-Why-the-Turkey-coup-failed-and-whats-likely-to-come-next-460561

*フェトフッラー・ギュレン https://ja.wikipedia.org/wiki/フェトフッラー・ギュレン

イスラム(スンニ派)学者だが、寛容主義を掲げ、世俗主義とイスラムが矛盾しないという立場。バチカンやユダヤ教とも対話を支持する。

ガザへ人道支援物資を運ぼうとしてイスラエル軍と衝突したマビ・マルマラ号事件については、「きちんとイスラエル政府との合意をとらなかったことが、支援団体の落ち度だ。」との立場である。

<イスラエルの立場>

イスラエルも、各国と足並みをそろえ、クーデターの制圧について、トルコ政府を支持する立場を表明した。

しかし、実際のところは、先月成立したトルコとの国交回復が維持されるならば、エルドアン大統領が失脚していても別に気にしなかっただろうとの分析があった。つまり、ハマス支持者で、イスラム主義者のエルドアン大統領を歓迎していないという本音があるということ。

なお、クーデター軍は、世俗派志向で、早くから、「各国との条約は不変」と表明していた。

<エルサレム神殿の丘とユダヤ人の関連否定:UNESCO会議中断>

現在、イスタンブールでは、UNESCOが会議が開催中で、パレスチナ自治政府とヨルダンの要請により、エルサレムの神殿の丘とユダヤ人の歴史的関連を否定し、純粋にイスラムの聖地であるとの決議をとろうとして、イスラエルが激しく反発していたところだった。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/214792

クーデターの混乱で、UNESCO会議は中断され、再開の見通しは今の所立っていない。

http://www.timesofisrael.com/unesco-world-heritage-committee-to-vote-on-jerusalem-resolution/
タグ :
コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:

http://mtolive.blog.fc2.com/tb.php/1443-644d616c

≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫