世界の要人ずらり:シモン・ペレス前大統領葬儀 2016.9.30

 2016-09-30
シモン・ペレス前大統領葬儀のプログラムが29日朝よりはじまっている。

29日は朝8時、ペレス氏の遺体がクネセト(国会)前広場に搬入され、リブリン大統領夫妻、ネタニヤフ首相、エデルステイン国会議長、ヘルツォグ労働党首(ペレス氏は労働党)がそれぞれ花輪を捧げた。

その後、国会前広場に安置されたペレス氏の棺は、夜9時までの予定で一般市民が最後の別れをするために公開された。アラブ系住民も含め、約5万人が訪れ、夜21時までの予定だったが、23時まで延長された。

ペレス氏は、30日朝8:30(日本時間午後2時半)に、エルサレム市内、ヘルツェルの丘へ移動し、9時から葬儀と埋葬が行われる。

ヘルツェルの丘には、建国の父テオドール・ヘルツェルはじめ、イスラエルに貢献した歴代の指導者たちが葬られている。ペレス氏は、故イツハク・ラビン首相の隣に葬られることになっている。

葬儀は13時に終わる予定だが、安息日入りの直前、かなりぎりぎりになるみこみ。

<列席する世界の首脳たちと、治安部隊>

ペレス氏の葬儀はフタをあけてみれば、列席者は、超がつくほどの首脳たちが名を連ねた。葬儀の規模はイスラエルでは、ラビン首相以来、世界的には、数年前にネルソン・マンデラ氏の葬儀に匹敵するという。列席首脳は、以下の通り。

オバマ大統領、クリントン前大統領、ケリー米国務長官、バイデン米副大統領、バン・キ・ムン国連事務総長。

イギリスからは、テリーサ・メイ首相とボリス外務相、トニー・ブレア前首相、キャメロン前首相、チャールズ皇太子夫妻

フランスのオーランド大統領、サルコジ前大統領、ドイツのガウク大統領、ウクライナのポロシェンコ大統領、他、オーストリア、スイス、リトアニア、ラトビア、ブルガリア、ポーランド、ルーマニア、トーゴ、メキシコ、ギリシャなどの大統領。

カナダからはトルドー首相、オランダのルッテ首相ほか、マケドニア、エストニア、スロバキアの首相。スペインからは王であるヘフェリペ6世、などとなっている。NATO議長も列席する。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4861579,00.html

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4860957,00.html

この他、アメリカのニューヨーク、ニュージャージー州の知事、アメリカの上院、下院議員19人も列席する予定だが、29日にニューヨークとニュージャージーを結ぶ列車の大きな事故が発生したため、知事らが出席するかどうかは今の所不明。

葬儀では、長年の友人で、ペレス氏の90歳の誕生日でも祝いを述べたクリントン氏や、同じく友人であった著名な作家アモス・オズ氏がメッセージを述べる。最後は晩年、親交を深めていたオバマ大統領がメッセージを述べる。

なお、ロシアのプーチン大統領は、悔やみのメッセージを送ったが、葬儀に代表の列席者はなし。

<アッバス議長も参列へ:近隣イスラム諸国の反応>

ペレス氏は、熱心に近隣アラブ諸国との対話、和平を追求していた政治家だ。イスラム諸国の反応が注目されていた。

パレスチナ自治政府のアッバス議長は、ペレス氏の家族に悔やみの手紙を出していたが、29日夕方、葬儀列席を希望すると申し入れ、イスラエル政府もこれを正式に受諾。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4861448,00.html

葬儀には、イスラエルとの交渉担当のサエブ・エレカット氏など、複数のパレスチナ自治政府官僚とともに列席する予定となっている。*ハマスは、ペレス氏死去を、占領を始めた最後の人物がいなくなったとして”歓迎”を早々と表明した。

アッバス議長は、ネタニヤフ首相から国会に来るよう呼びかけられているが、それには応じていない。これについては、サウジアラビア紙が、「アッバス議長はイスラエルの招待を受けるべきだ。」と評したため、若干、微妙な立場となっているところ。

エジプトからは、シシ大統領からの悔やみの手紙が届いた他、サメ・シュクリ外務相が列席する。ヨルダンも、アブダラ国王が悔やみの手紙を出した上、アル・アナニ副首相が列席する。

このような中だが、イスラエル国内の統一アラブ政党のアイマン・オデー党首は、30日、アラブ政党は、葬儀には列席しないと表明した。理由は「歴史的にも複雑」であると語っている。

*イラク北部クルド自治区

ペレス氏は、54年前から、イラク北部のクルド人とも親交を深めた。クルド人は、イスラエルに友好的であることで知られる。戦闘地帯であるこの地域でもペレス氏をしのぶイベントが行われ、100人が参加したとエルサレムポストは伝えている。

「もうすぐクルド自治区が独立する。その時はイスラエルとも関係を深める。」とクルド人たちは語っている。

http://www.jpost.com/Middle-East/In-northern-Iraqi-Kurdistan-hundreds-pay-respects-to-Peres-469108

<イスラエル史上最大級の治安維持オペレーション>

これほどの首脳が一箇所に集まると、世界的なニュースにもなるため、テロリストに狙われる可能性も高い。しかも、この日は、イスラムの礼拝日にあたる金曜日である。

エルサレムでは、2日前にも、治安機関シンベトからの警告で、町中が警戒態勢に入ったとう経過があった。(幸い夕方までには解除になった)西岸地区では、ここしばらく、武器保管箇所が次々に摘発され、多数の武器が押収されている。

こうした状況から、この2日間は、シンベト(治安機関)史上最大規模の治安維持オペレーションとなり、配備される治安部隊は7000人に上る。また課題は、各国首脳が、それぞれの護衛チームを連れてくることである。これらとの連携も重要だ。

まずは、ベン・グリオン空港。通常の発着に加えて、29日から、臨時の一般機30機と、首脳たちのプライベート機60以上が発着する。特に、オバマ大統領は、30日朝、特別機エアフォースワン(ジャンボジェット一機)で来るため、空港西側を広く占領してしまう。

この両日でのベン・グリオン空港での人の出入りは、世界中からくる報道陣も含め、95000人以上と推測されている。

当然、この両日に空港を使用する市民たちにも影響がある。チャンネル2は、4時間前には空港に来たという人を紹介していた。

次に空港からエルサレムへ向かう1号線は、首脳たちが移動する間、また葬儀が終わるまで閉鎖される。クネセト周辺道路は29日朝から閉鎖。ヘルツェルの丘周辺は、本日金曜早朝から葬儀が終わるまで閉鎖される。

また、対処に追われているのはホテルである。キング・デービッドホテルなどの高級ホテルでは、緊急に宿泊客に別のホテルへ移動してもらい、治安要員でかためてホテル全体が要塞のようになっているという。

移動させられた客も、ペレス氏の葬儀が理由なので文句は出ていないとのこと。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4861526,00.html

報道陣を扱う政府プレスオフィスも、対応に追われている。イスラエル国内で活動する記者の場合は、記者証を持っていても直接現場での取材はできない。一部の大手メディアのみが会場で取材できる。海外からこのためだけに来た記者たちは、イスラエル政府が用意したシャトルで葬儀会場に向かう他、1団体カメラ一個に限られる。

こうした事情から、プレスオフィスでは特別なプレスルームが用意され、そこから写真や映像など、ライブで得られる仕組みとなっている。

今日30日は、安息日入りの日。しかも、週明け日曜日没からは、新年である。市民にとっても最も忙しい金曜日である。13時に葬儀が終わって、日没までに全部落ち着くのかどうか・・・といったところである。

<ネタニヤフ首相:マラソン外交>

各国首脳が来るのに合わせて、ネタニヤフ首相も挨拶などで忙しい。ケリー米国務長官は、葬儀の後にもエルサレムに残留し、ネタニヤフ首相と会談予定。

今日1日、エルサレムを覚えてとりなしを!

<石のひとりごと>

葬儀には、その人の一生があらわれるというが、これほどまで大掛かりな葬儀になり、イスラエルも世界も驚いているといったところだろうか。ペレス氏は予想上に愛され、尊敬されていたようである。

筆者にしても、記者証をもらってはじめて大統領官邸に行った時からペレス氏が大統領だった。オバマ大統領が来たときも、明るく冗談を言っていたペレス氏を思い出す。なんとなく寂しい感じがする。

ペレス氏が、政治家として、汚いこともしなければならなかったことや、女性問題もあったらしく、ネガティブな思いを持つイスラエル人(特に年配者)も少なくないことは否めない。

しかし、彼が、イスラエルのためになしたこと、残していったことは、あまりにも多い。アモス・オズ氏は、「彼はヤコブ(創世記)のように夢見る人だった。しかし、その多くが夢に終わらず、実現した。」と述べている。

90歳をすぎてなお、新しい技術を開発する若者を支援し、平和の実現を常に楽観的に信じ、笑顔でウイットの利いたコメントを述べていた。その姿に”もう年だから”というような疲れは一切見えなかった。

好奇心もまったく衰えていなかった。まだまだやりたいことがある、そんな人物である。いなくなった今、彼が残していったものは、常に前を向いていた姿かもしれない。

思えば、彼の中には自己実現や自分の評価、自分の働きだという自負なども見えなかったように思う。自分のためでなく、ただ、国のため、人々のため、敵対者とも対話をこばまず、晩年には次世代の若者たちのために思いを向けていた。

それが多くの功績をのこす鍵であっただろう。だからこそ、敵対する者も、葬儀に参列するほど、尊敬されていたのである。彼の葬儀が、まさに彼の生き方を証明している。

それにしても、新年祭(日曜日没から)の直前に死去したペレス氏。建国の父の最後の一人を見送ったイスラエルは、いよいよ新しい時代に向けて、歩みださなければならない。

隣のシリア情勢は、急速に悪化しており、シリアをめぐってアメリカとロシアが、いよいよ決裂するかもしれないといったニュースが入っている。

これまで以上に困難な時代を迎え、イスラエルを背負っていくネタニヤフ首相や、国の指導者たちを覚えてますますとりなしが必要になってきたようである。
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