アレッポでロシアが一時爆撃停止 2016.10.19

 2016-10-19
シリア政府軍とロシア軍からの激しい空爆を受けているシリアのアレッポ。こちらはISISがではなく、シリアの反政府勢力がターゲットになっている。ISISとは別問題である。

この攻撃では、市民も無差別に殺戮されていることから、アメリカ、イギリスを中心とする欧米陣営は、ロシアの行為は、戦犯にあたる可能性があるとして、激しく非難している。深い人道的な懸念から、アメリカはロシアとのシリアでの協力を一旦、保留にし、両者は決裂するに至った。

しかし、それでは何の解決にもならないため、ケリー米国務長官とラブロフ外相が、土曜にはスイスで、翌日にはロンドンで、会談を行った。言うまでもないが、なんの成果もあがらなかった。

ロンドンでの会談の後、アメリカとイギリスは、ロシアに対するあらたな経済封鎖を行う方針を発表した。しかし、この後に及んでは、経済制裁を強化したぐらいでは、なんの効果も期待できないといわざるをえない。

http://www.bbc.com/news/uk-politics-37670528

一方、ロシアは、シリアに最新式の対空ミサイルを配備し、国民に戦いに備えるようにといったメッセージを発している。これは明らかに欧米に対する対立姿勢を示したものである。

もちろん、本気で欧米が軍事攻撃することがないこと、ロシアもまた欧米と戦う気はないのだが、中東で今最も力をもつのはロシアであるという事実をみせつけているということである。

<アレッポで前倒し一時爆撃停止>

こうした中、ロシアは、20日木曜日に、アレッポでの8時間の爆撃停止時間を設けると発表。この間に、負傷者や住民、また反政府勢力のうちのアル・シャム(元アル・ヌスラ)はアレッポから出るよう、訴えている。

ロシアのねらいは、穏健派と過激派が混じっているところ、穏健派だけにして、シリア政府との交渉、和解へともちこむことである。これにより、アレッポ、またシリアでの内戦を停戦へと導き、アサド政権を温存するということである。

http://www.nytimes.com/2016/10/19/world/middleeast/syria-russia-aleppo.html

アル・シャムは、最近、アルカイダと決別し、過激派から穏健派へと鞍替えしたと言われている。アル・シャムが加わった穏健派は、以前より強くなり、アサド政権打倒へと力を動き始めていた。ロシアとは反対にアサド政権は打倒するしかないと考えているアメリカは、アル・シャムの動きを黙認するようになっていた。

このため、先のアメリカとロシアのシリア停戦に向けた交渉において、アル・シャムを穏健派として数えるアメリカと、過激派と考えるロシアの間の不一致が浮上し、米ロの決裂につながったのであった。

今、この一時爆撃停止でロシアは、アメリカの同意なしに、アル・シャム勢力(900人程度)にアレッポを去るよう要求し、穏健派からこれを排除しようとしているのである。これについて、今のところ、アメリカからのコメントはない。

こうした中、ロシアは、突然、18日に前倒しで爆撃を停止した。8時間の爆撃停止では時間が足りないと国際社会が叫んだことに対する”好意”だと言っている。その上で、上記のように、住民とアル・シャムにアレッポからの脱出を要求している。

しかし、実際には先月、人道支援目的の爆撃停止期間に、ロシアが人道支援の輸送隊を空爆した経過もあり、アレッポにいる反政府勢力の間には、「ロシアを信用できない。」という空気が広がっているという。

https://www.rt.com/news/363108-aleppo-syria-un-churkin-nusra/

これについて、アメリカからのコメントはないが、もしロシアの思う壺になれば、アメリカは完全に中東での面目を失う形になる。こうしたことをアメリカ大統領総選挙の数週間前に実施するというのも、プーチン大統領の計算だろうか?

いずれにしても、アレッポでは、先週、激しい爆撃で、同じ家族の中で14人が死亡するなど、虐殺が続いた。イスラエルではチーフラビが「ミニ・ホロコースト」だと評するまでの状態になっていることは知っておかなければならない。

まさに地獄をはうようにして生き延び、終末時代の先を行くアレッポの人々の上に主のあわれみがあるよう、祈るほかない。
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