トランプ政権とイスラム社会の対立 2017.1.30

 2017-01-30
日本でも報じられているところだが、トランプ大統領は、アメリカに敵対する意思がみられるとする中東、アフリカのイスラム教徒の国7カ国イラク、イラン、シリア、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンからの入国をむこう90日間停止すると発表した。

難民の場合は120日間停止する。シリア難民については、基本的に受け入れを停止するという厳しい内容だ。

この方針は、議会での審議を通さない大統領として発令されたものであり、ただちに実行に移されることとなった。

これにより、アメリカの永住権や正式なビザを持っているにもかかわらず、アメリカに戻れない人が続出している。中には仕事で出国していたり、ちょっとした里帰りで上記の国々に行っていて帰れなくなった人もあり、家族が離れ離れになる人も出ている。

BBCによると、イラク出身にある夫婦は、何年もかけてようやくアメリカの永住権を取り、家を売り、仕事も辞めて、アメリカ行きの飛行機に乗ったところで、この事態になったという。いまさらイラクに戻っても行くところがない。

空港で途方にくれたり、「どうしたらいいかわからない。」と涙する人もいる。中には航空会社の客室乗務員がアメリカに到着後、入国できないといったケースもある。

こうした事柄は、人々の人生を大きく変えることになるため、通常なら、長い準備期間をかけて行うものなのだが、トランプ大統領はこれをなんの準備もなく、速攻で実施に移したため、非常な混乱となったのである。

BBCによると、アメリカの空港や出発地、中継地で足止めになっている人の数は100−200人に上っているという。身柄を拘束された人もいる。アメリカ各地の空港の外では、数千人が、「これはアメリカではない。」として方針に反対するデモを行っている。

こうした事態を受けてアメリカの連邦裁判所は、異例ながら大統領令に反して、空港で身柄を拘束されいる人々の国外追放処置は保留にするようにとの命令を出した。これにより、アメリカ各地で裁判所が、拘束されている人々に同様の措置を行っているが、まだまだごく一部にしか到達できていないという。

この問題は国際問題にも発展し始めている。たとえば中東系のイギリス市民は、れっきとしてイギリス人だが、今回の処置に該当する国の出身者であった場合、アメリカに入国できないことになる。これはイギリス市民を入国させないということにもなるのである。

すでにイギリスとドイツがこの方策に反対すると公式表明している。

今後は、アメリカ国内にいる移住者にも強制送還の可能性が出てくるが、特にアップルやグーグルなどIT企業には、該当7カ国からの技術者も少なくないという。社員が強制送還されると会社の業務にも関わるとして、この方針に懸念を表明している。

アメリカの混乱はしばらくは続くとみられる。

http://www.bbc.com/news/world-us-canada-38781302

<トランプ政権の言い分>

混乱について、ホワイトハウス側は、「1日に32万5000人が通過するアメリカの空港で、今回身柄を拘束されたのは、109人にすぎず、その大部分も解放されている。

まだ拘束されている人々は、本当にアメリカにとって安全であるかどうかを精査する必要のある人々であり、アメリカの理念に違反することは何もない。」と言っている。

トランプ大統領は、「アメリカは何年も前から、こうした徹底した入国審査を行ってくるべきであった。」と語っている。

http://www.bbc.com/news/world-us-canada-38790629

*イスラエルはシリア難民のこども100人を受け入れへ

アメリカが難民を締め出す中、25日、イスラエル内務省はシリア人難民の子供100人に難民のステータスを与えて受け入れると発表した。当面は仮永住だが、4年後には永住権を得て、生涯、イスラエルで生きて行く権利が与えられることになる。

子供達とその家族も同様の権利を得る可能性を持つという。シリア難民たちはイスラエルのアラブ人社会に吸収される形をとっていくみこみ。

イスラエルでは、隣国でシリア人たちが苦しんでいることに対し、救済しようとする声が高まっていた。難民を迎えることで、アラブ人社会にも広がる反イスラエル感情を抑えるねらいがあるのかもしれない。

http://www.timesofisrael.com/israel-to-take-in-100-orphaned-syrian-children-as-refugees/

<中東諸国の反応>

アルジャジーラによると、トランプ大統領に入国制限される7カ国の出身者でアメリカに住むビザを保有する人々のうち、45%はイラン出身者である。現在、100万人を超えるイラン人がアメリカに在住している。

このため、今回名指しされた7カ国のうち、イランが最も影響を受けるとみられる。

イランは、報復措置として、アメリカ人の入国を制限すると発表した。ザリフ外相は、「トランプ大統領の政策は”過激派へ贈り物だ」と今後、テロや暴力が増えてくる可能性を示唆した。

http://www.aljazeera.com/news/2017/01/iran-trump-muslim-ban-170129070556489.html

イラクでは、現在、ISISに支配されている都市モスルを解放するため、イラク軍と5000人以上に上るアメリカ軍がともに戦っている。そこへ、アメリカ政府がイラクも入国制限を適応する国に含めたことで、その協力関係に波風がたっている。

イラクも報復措置を講じているところである。

http://www.jpost.com/Middle-East/ISIS-Threat/Iraq-to-oppose-US-travel-curbs-to-preserve-alliance-against-ISIS-479912
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