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ガザ情勢緊張:イスラエル国内に迎撃ミサイル配備 2017.11.15

 2017-11-15
10月末、ガザからのテロ・トンネルをイスラエルが破壊し、最終的にイスラム聖戦、ハマス指導者それぞれ2人づつを含む計12人が死亡した件。最初にガザ側入り口から発見された7人の遺体に続いて、5人の遺体は、イスラエル領内地下で発見され、今もイスラエルが保管している。

イスラエルでは、この5人の遺体と、2014年のガザとの戦争で戦死し、ハマスに囚われたままになっている2人のイスラエル兵の遺体との交換に期待が高まった。しかし、予想通り、そのような流れにはなっていない。パレスチナのテロ組織にとって、仲間の遺体はそれほど価値のあるものではないからである。

イスラエルは、イスラム聖戦(イランの支援組織)が宣言しているように、近く報復に出る可能性が高まったとして、テルアビブ近郊などイスラエル中央地域にアイアン・ドーム(迎撃ミサイルシステム)を配置した。*ただし、これについては、一応の対応で特別なことではないとの見方もある。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5042389,00.html

また西岸地区では、ジェニン近郊で、イスラム聖戦指導者の一人タレック・カダンを逮捕した。

一方、アラビア語紙アル・ハヤットが伝えたところによると、ガザのイスラム聖戦の方でも、イスラエルが先制攻撃をしてくる可能性があるとみて、最大限の警戒態勢に入っているという。双方とも最大の警戒態勢で、いわば、一触即発の状態といえる。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/238046

1)ハマスとファタハの和解にイランの影

ガザ情勢は、上記のように緊迫しているが、エジプトの仲介ではじまった、ハマスとファタハ(パレスチナ自治政府)の和解は、予定通りすすめられている。

先週、ガザ地区の検問所を管理する権威がハマスからパレスチナ自治政府アッバス議長へ移行したが、このままガザの行政に関しては、12月1日までにすべてアッバス議長のパレスチナ自治政府が担うことになる予定である。

これが何を意味するのかといえば、これからは、ハマスが、ガザの行政から解放されて、イスラエルとの闘争に集中できるということである。このためか、今、ハマスが、イスラエル打倒という同じ目標を持つイスラム聖戦に近づいていると思われる動きが伝えられている。

その一つが、破壊されたトンネルの中に、イスラム聖戦戦闘員に混じって、ライバルで対立しているはずのハマス戦闘員もいたという点である。

イスラム聖戦は、イランの支援を受けていると知られているが、最近、ハマスもイランのシーア派勢力に近づいいているようである。

ハマスは、シリアの反政府勢力の側についたことから、イランにはいったん見捨てられていたのだが、ハマスの副長官サリ・アロウリが、10月末、テヘランでイランの高官と会談。継続した支援の約束をとりつけた。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Deputy-Hamas-Chief-Iran-to-continue-support-for-resistance-508187

続いて、11月1日、レバノンで、イランの傀儡、ヒズボラのナスララ党首とも会談したことが伝えられている。

https://www.timesofisrael.com/hamas-leader-talks-resistance-with-hezbollah-chief-in-beirut/

こうしたイランの影がガザで色濃くなる中で、パレスチナ自治政府(ファタハ)とハマスが和解・一致することは、イスラエルにとってはきわめて危険なことだが、イランと対立するサウジアラビアにとっても穏やかなことではない。

2)サウジアラビアがアッバス議長を召喚

サウジアラビアのサルマン国王と、モハンマド皇太子は、11月7日、アッバス議長をリヤドへ召喚した。

会談の内容は明らかではないが、ハマスとの和解にあたっては、イランとの関係を完全に排除することを改めて強調したとみられる。

加えて、サウジアラビアは、まもなく提示されるとみられるアメリカの中東和平案に同意するよう、圧力をかけたとイスラエルのメディアは報じた。しかし、これについては、後にパレスチナ自治政府は否定するコメントを出している。

中東では、今、サウジアラビア率いるスンニ派と、イラン率いるシーア派の対立が深刻になってきている。この中で、サウジアラビアは、同じイランを敵とする者であるイスラエル、またアメリカに近い動きになってきていると注目される点である。

https://www.timesofisrael.com/top-pa-official-says-no-us-peace-plan-yet-rebuffs-report-of-saudi-ultimatum/

<ハマス・ファタハ和解への動き:その後>

上記のような課題がある中、ガザ地区では、和解に向けたイベンドが行われた。深刻な課題がまだ残されているにしても、パレスチナ人の統一が成立すれば、国際社会からの支援なども期待でき、一般ガザ市民にとっては、喜ばしいできごとなのかもしれない。

1)ハマス・ファタハの和解イベント

今回、アッバス議長が、ガザの行政管理に乗り出している背景には、ライバルの政治家モハンマド・ダーラン氏のガザへの介入に乗り出してきたことへの対処であったともいわれる。アッバス議長は、今、行政を担うことで、ダーラン氏より先にガザの支配者になっておこうとしたのである。

そのダーラン氏が、豊かな経済力を利用し、11月9日、ハマス・ファタハの社会的和解のイベントを開催した。このイベントは、2007年、ハマスがガザの支配権をファタハから力で奪い取った際の戦闘で、愛する息子や兄弟を失った双方の家族が集まり、和解するというものである。

このイベントは、仲介者のエジプトが賛同し、ダーラン氏とハマスがアラブ首長国連邦の支援を受けて開催したもので、遺族が、イスラムの教えでは義務付けられている報復を放棄し、ハマスとの和解と表明するなら、慰謝料が支払われることになっている。このための準備された金額は5万ドル(約600万円)

Yネットによると、これに応じて9日、和解すると宣言した100家族は支払いを受け取った。この他にもすでに140家族が支払いを受け取っており、今後も報復しないと宣言する家族には支払いを続けるという。

ダーラン氏と主催側は、これが、ハマスとファタハの真の和解につながっていくと信じると語っている。・・・が、貧困で苦しむガザの住民が、支給金目的で、これに参加しただけという可能性もおおいに考えられるので、どのぐらい意味あるイベントかは疑わしい感じである。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Social-reconciliation-moves-forward-in-Gaza-513845

2)アラファト議長没後13周年イベント

アラファト議長は、現在のパレスチナ自治政府を立ち上げた人物で、ハマスとは敵対するファタハ所属であった。したがってハマスが支配権を奪って以来、ガザで、アラファト議長の没後を祝うことはなかった。

今年は命日の11月11日、ハマスとファタハの和解をアピールする意味でイベントが開催され、ガザ市民の群衆が参加した。会場では、パレスチナの旗や、アラファト議長の写真をふりかざすパレスチナ人でいっぱいとなった。

これに先立つ10日には、ガザ・マラソンも開催されたとのこと。

https://www.timesofisrael.com/tens-of-thousands-commemorate-arafat-in-hamas-run-gaza/

<イスラエルの反応>

イスラエルは、パレスチナ人たちがどういう動きになろうが、国民に危機が及ぶかどうかが焦点である。イスラエルに、ポリティカル・コレクトネスを論じる余裕はない。

9月、エルサレム近郊ハル・アダールのテロで、イスラエルの国境警備隊ら3人が殺害されたが、15日、イスラエル軍は、この事件を起こしたテロリストの家をはでに爆破した。アパートの最上階であったためである。(一軒家ならブルドーザーで破壊する)

アパートのその部屋の部分だけぽっかり穴のあいた爆破の跡形が、イスラエルの怒りを表しているようである。

https://www.timesofisrael.com/top-pa-official-says-no-us-peace-plan-yet-rebuffs-report-of-saudi-ultimatum/
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