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パレスチナ人のデモ活動とその影響:国連でのイスラエル非難への動き 2018.5.21

 2018-05-21
1)新米大使館周辺とエルサレム市内、西岸地区

新米大使館のあるエルサレム何部アルノナ周辺は、閑静な住宅地で、主にユダヤ人が住んでいる。周辺にはアラブ人居住区があるが、普段はお互い干渉せずで、穏やかに共存している。

大使館移動の日には、この地域でもアラブ人らによるデモがあった。これらは警察に許可を得たデモであったこともあり、他地域と合わせて14人が逮捕されたが、おおむね平和的なデモだけで終わった。

ラマラなど西岸地区各地でも米大使館移動に反対するデモが発生したが、その地域だけにとどまり、大きな問題にはならなかった。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/245952

2)ガザ国境:62人死亡2700人負傷:ロケット攻撃はなし

日本のニュースでも大きく報じられていたが、ガザ地区国境では、米大使館がエルサレムへ移動した日、イスラエルの警告にもかかわらず4万人がデモに参加。

国内への侵入を防ぐために待機していたイスラエル軍に向かって投石したり、燃えるタイヤを投げるなどしたため、暴力的な衝突となった。イスラエル側へ侵入を試みた者もいた。

この衝突で、ガザからの報告によれば、62人が死亡。負傷者は1700人以上と伝えられている。ハマスによると、死亡した62人のうち、50人はハマス戦闘員であった。

しかし、この衝突の中で、1歳に満たない子供が死亡する様子などが流され、イスラエルは、不均衡に強大な武力を使用したとして非難が集中した。実際のところ、そのような場所に乳幼児を連れてくることが問題ではないかと思われるが、そのような見方をするメディアはほとんどない。

https://www.timesofisrael.com/hamas-official-50-of-the-people-killed-in-gaza-riots-were-members/

<国連でのイスラエル非難への動き>

1)国連人権保護委員会がイスラエルの過剰対応で採択

今回、ハマスは、イスラエルとの衝突で、ガザ側に62人(デモが3月30日に始まって以来計100人以上)の死者が出たが、ハマスは、ロケット弾など本格的な武器による反撃はしてこなかった。あくまも”平和的デモ”の顔を強調した形である。

このため、イスラエルが過剰に武力を行使したとの見方が強まっている。

18日、UNHRC(国連人権保護委員会)は、ガザ国境での紛争で、イスラエルが過剰な武力を行使した疑いがあるとして、独自の調査団を派遣するかどうかの採択を行った。

結果、過剰と認め、調査することに賛成した国は、29カ国。棄権14。反対したのは、アメリカとイスラエルの2国だけであった。

これを受けて、UNHCRは、パレスチナ側には、平和的デモだけにするよう、呼びかける一方、に対し、西岸地区、ガザ地区での武力行使をただちに停止し、ガザの”包囲”を解いて、すべての国境を開放するよう呼びかけた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/246191

UNHCRでのこうした決議は今に始まったことではない。ネタニヤフ首相は、「昔からなにも変わってない。」とのコメントを出している。

一方、ハマス指導者イシュマエル・ハニエはこの日、国際社会の非難がイスラエルに集中し、パレスチナへの同情が復活したとして、「目標は達成した」との声明を出し、今後国境が完全に解放されるまで抵抗は続けると表明した。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5264506,00.html

2)クエートが国連安保理に国際監視団のガザ地区駐留を提案を準備中

17日、パレスチナとクエート代表(現在安保理での唯一のアラブ諸国代表)が、イスラエルの”過剰な武力行使”に対し、ガザに国際監視団を駐留させる案件を採択に持ち込むため、理事国の間で巡回させている。

アメリカとイスラエルは、これを阻止するべく、理事国に働きかけをしているという。アメリカのヘイリー国連代表は、最悪の場合でも、アメリカは「拒否権を発動することをすでに表明している。

その場合、パレスチナは、国連総会に案を持ち込むと言っているが、国連総会の決議には実行力はない。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5266145,00.html

https://www.timesofisrael.com/israeli-envoy-urges-security-council-to-reject-arab-backed-gaza-resolution/

3)トルコがあからさまなイスラエル非難

ハマスよりの政策を続けるトルコだが、エルドアン大統領は、先週、エイタン・ナエ在トルコ・イスラエル大使を送還した。

また18日、2回目となるイスラム諸国指導者の会議を、イスタンブールで開催。「第二次世界大戦中にナチの強制収容所であらゆる拷問を受けた子供たちが、今、パレスチナ人に対してナチス顔負けのことをしている。」と語った。

エルドアン大統領は、イスラエルの暴力を監視するために、国際監視団をガザに配置することをよびかけた。これは、今、クエートが国連安保理に働きかけていることと並行している。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5264751,00.html

一方、ネタニヤフ首相は、ツイッターで、「シリアに侵略しているトルコに説教される筋合いはない。」と言い返した。

4)イスラエルの反論:ハマスこそ戦争犯罪:イスラエル国連代表ダニー・ダノン氏

イスラエルの国連代表ダニー・ダノン氏は、UNHCRの動きについて、ハマス自身が、デモで死亡した62人のうちの大部分はハマスの戦闘員であったことを認めた後にこのような決議になったことへの不条理とともに、国連安保理は、逆にハマスの犯罪を裁くべきではないかと訴えた。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Danon-Haley-condemn-UNHRC-for-decision-to-probe-deadly-Gaza-events-557834

先に述べたように、エルサレムに関しては、ガザのハマスが要求しているパレスチナ人全体としての”帰還の権利”は、歴史的には論理的ではない。

また、エルサレムには多くのパレスチナ人が今も在住しており、テロさえなければ、パレスチナ人がエルサレムのハラム・アッシャリフで礼拝することも自由であり、イスラエルが、パレスチナ人を理由もなく締め出しているということでもない。

次に、いくらパレスチナ人が、死をもって戦ったとしても、もはやイスラエルという国がなくなることはまずない。それが正しいかどうかは別としても、これはもはや動かせない現実である。

それでもイスラエルと建設的な交渉を拒否して、イスラエルを打倒してエルサレムに”帰還”するといった空をうつような目標のために、ハマスはガザ市民を駆り立てて、死に追いやっている。

また、2007年にハマスがガザを支配してから10年が経過した今、ガザ市民の生活は、破壊され崩壊寸前である。これはガザでの主権を握っていたハマスの責任に他ならない。

ハマスはこれをイスラエルの占領の責任だと言っているが、イスラエルは、ハマス支配が始まる2年も前の2005年にガザから完全撤退している。

国境を閉ざして、ガザ地区200万人が自由を奪う”包囲”していることが原因だというが、閉ざさなければ、テロリストがイスラエルに入ってきて市民がテロの犠牲になるからである。何もないのに閉じているのではない。

ハマスがガザを支配する以前は、それなりに、ガザとイスラエルの間には、人の流れも物流もあったのである。さらに国境を閉じているのはイスラエルだけでなく、エジプト側もである。

陸路からは人道支援物資はガザへ搬入されている。テロがあっても主にガザの電力を供給してきたのはイスラエルであった。現在、イスラエルがガザへの電力配給を大幅に削減してガザが厳しい電力不足に陥っているのは、ハマスがイスラエルへの敵対行為をやめないからである。

さらに、ガザ地区内部では、少しでもイスラエルとの関係があきらかになると、裏切り者としてハマスに殺されるといった、明らかな人権無視が横行している。

総合的にみれば、市民を犠牲にすることで、自らの主張を正当化しようとして、いつまでも武力闘争を続けるハマスの政治運営は、犯罪にあたるというのが、イスラエルの主張である。
カテゴリ :パレスチナ関係 トラックバック(-) コメント(-)
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