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イランが新たな核合意離脱:ファルドウ核施設稼働再開へ 2019.11.8

 2019-11-08
5日、イランのロウハニ大統領は、ファルドゥにある核濃縮施設に、ウランガスの注入を始めたことを明らかにした。これによりウランの濃縮が5%まで可能になる。これは、イランの2015年の核合意からの離脱措置4回目となる。

この措置は、アメリカが、あらたにイラン人9人の財産を凍結する制裁を行った後に行われたことから、イランがアメリカの経済制裁には屈しないと宣言をした形である。

また、ファルドウは、もともと極秘で建設されたもので、遠心分離機1044機の小さな施設である。しかし、極秘であったことと、急激なウランの濃縮が可能との疑いもあり、2015年の核合意においては、主要項目の一つであった。ファルドウの稼働再開は、核合意からの離脱をより鮮明にするものである。

ファルドウについては、2018年4月、ネタニヤフ首相が、イスラエルの諜報期間が押収したイラン核兵器開発に関する資料としてファイル10万冊を公表した際、イランが秘密裏にウランの濃縮を進めて核兵器を製造する計画アマッドの中心機関であると発表していた。

https://www.youtube.com/watch?v=qmSao-j7Xr4

このため、今後のファルドウの動きによっては、イスラエルが先制攻撃する可能性も否定できないとの懸念も出始めている。

また、ロウハニ大統領の発表の後、査察に入ろうとしたIAEA(国際原子力機関)スタッフの1人が検問を通過しようとしたところ、アラームがなったとして、そのスタッフの身柄が一時イランに拘束された。その後、このスタッフの入場が拒否されていたことがあきらかとなった。今後、IAEAの査察に影響が出る可能性も指摘されている。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5620483,00.html

なかなか強気のイランだが、ロウハニ大統領は、今回の措置も、まだ核の平和的利用の範疇であることを強調し、また、イランへの経済制裁が緩和されるなら、いつでも停止可能としており、国際社会に交渉の可能性を示唆した。

ただし、ハメネイ師によると、交渉は、あくまでもヨーロッパやその他の国々との交渉を指しているのであり、現アメリカのトランプ政権との交渉は拒否したままである。

イランとの交渉については、フランスのマクロン大統領が積極的に行っており、イランの核合意離脱第4弾を受けて、どのような動きに出るか注目されている。

<イランのねらいは?>

INSS(イスラエル国家治安研究所)のイラン核兵器問題の専門家シマ・シネイ氏は、イランの核兵器問題が明らかになってからすでに30年になるのに、まだ実際には核兵器製造にまで至っていないことについて、次のように説明する。

イランは、実際には核保有国になろうとしているのではなく、その気になればいつでも保有国になれるという状態を保ちながらも、核兵器の保有自体は避けるという、いわば、日本と同じような形で世界へのけん制を維持しようとしているのではないかということである。

また、シネイ氏は、イランの様子を見ると、アメリカの厳しい経済制裁で大きな打撃をうけてはいるものの、なんとか乗り切る方策をみつけているようだと見る。それを可能にしているのは、主に中国だと指摘する。

アメリカは、これまでに、イランの原油禁輸措置を発動し、イランとの交易をする国はアメリカとの交易も遮断するという脅迫に近い制裁を強行し、日本を含め各国もそれに従わざるを得ない状況に置かれている。しかし、中国はこの下にあるわけではない。

中国はイランから原油を密輸し、それを国内に運び込まず国外に維持することで、現在必要とする以上の原油をイランから購入している。また、国内に搬入せず、国外の原油保管施設に置くことで、表向きには、イランとの交易は行っていないとも言えるわけである。

来年には、アメリカ大統領選挙があり、11月に、トランプ大統領以外の大統領になっている可能性もある。イランは、核合意離脱を段階をおって実施しながら、経済制裁をなんとかやりすごし、トランプ政権の今後を見定めようとしているとも考えられる。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5620483,00.html

<イスラエルの反応>

ネタニヤフ首相は、ファルドウの再稼働はイスラエルの危険になりうるとの認識を語った。同時に、これはイスラエルだけではなく、世界の危機でもあると強調した。

https://www.jpost.com/Israel-News/Netanyahu-Irans-decision-to-enrich-uranium-at-Fordow-endangers-the-world-606969
カテゴリ :イラン情勢 トラックバック(-) コメント(-)
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