エジプトで急速に進む憲法策定 2012.12.1

 2012-12-01
先週、大統領の権威を最高レベルにあげると宣言したムルシ大統領。全国的な反ムルシデモが展開される中で、急ピッチで憲法の策定をすすめている。

現在、エジプトには憲法がなく、議会もない状態。ただ憲法策定のための特別委員会(100人)だけがあり、それを監視するのが最高裁という図式である。今回、ムルシ大統領は、自分の権限を最高裁よりも上にあげて内外から批判されているのだが、それは迅速な憲法制定が目的だと説明している。

つまり、ムバラク前大統領の息のかかった最高裁に文句を言わせず、さっさと憲法を制定し、それによって議会の選挙を行い、早くエジプトの政治を軌道に乗せたいというのがムルシ大統領のねらいである。

<エジプトでイスラム化がすすむ?>

問題は、その憲法策定をになっている委員会。ムルシ大統領が所属するムスリム同胞団(イスラム主義組織)が多数派となっている。そのためエジプトの新憲法がイスラム主義に傾くのではないかとエジプト市民と世界は懸念しているのである。

委員会は、11月29日からわずか19時間で、234箇条からなる新憲法の草稿をしあげたもよう。現時点での新憲法は、イスラム法シャリアを基盤にするということはこれまでと変わらないが、大統領の任期を4年、2期まで(計8年)とした点、また軍の上に民間の監視を置くなどが画期的である。

今後は新憲法の国民投票が行われる運びとなるが、こうした急激なイスラム化への動きに懸念・反発する群衆が、タハリル広場初め、全国で大規模デモを継続中である。

今週末、イスラム同胞団も、親ムルシ大統領の大規模デモを組織する予定だったが、そうなると暴力的な対立が懸念されるため、大統領は同胞団にデモの中止を指示したとのこと。(先週からすでに2人が死亡、数百人が負傷している)

民衆はイスラム化に反対しているのだが、しかし、憲法をたたきあげるだけの組織力は、現在のエジプト社会では、ムスリム同胞団にしかなく、実際には他の選択の余地がないのである。
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