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ハヌカにラビ宅で刃テロ5人負傷:ニューヨーク 2019.12.30

 2019-12-30
28日、ハヌカ7日目の夜午後10時ごろ、アメリカのニューヨーク市北部、モンゼイの超正統派ラビ・ロッテンバーグが、自宅で、家族や友人とともに、ハヌカのろうそく7本目をともしていたところ、大きな”なた”を持った男が入ってきて、次々に5人を刺した。

ハヌカの祝い中だったので、現場には数十人がおり、血まみれの人や叫び声などで大パニックになったという。現場にいた人が犯人に、テーブルや椅子を投げつけ、その瞬間に人々は、近くのシナゴーグへ逃げ込み、扉を閉めた。

犯人は追ってきたが、シナゴーグの扉を開けることができなかったので、そのまま車に走って逃げていったという。

負傷者5人のうち、3人は、まもなく搬送先の病院から帰宅できたが、ラビの子供たち2人、ヨセフ・ベン・ペレルさん、シュロモー・ベン・ヴィッテルさんが重症となっている。状態は落ち着いているとのことだが、家族は回復のための祈りを要請している。

証言によると、犯人はマスクを着用していたアフリカ系アメリカ人だった。容疑者はマンハッタン・ハーレムで身柄を拘束されている。詳細はまだ発表されていない。

ニューヨークのユダヤ人(Jewish Virtual libraryより)

ニューヨーク州には、17世紀前半からヨーロッパからユダヤ人が来て、住み始めた。1880年には6-8万人、その30年後の1910年には90万人と急増し、その約20年後の1928年には、183万5000人となった。

ホロコーストの時代に逃れてきた人も多い。超正統派の主流はの一つ、ハバッド派のラビ・ルバビッチも、1941年にヨーロッパからニューヨークに移住。ニューヨークで教え、死去した。本部がニューヨークにあることから、ハバッド派超正統派が、今もニューヨークに多数在住している。

貧しいイスラエルの超正統派と違い、ニューヨークの超正統派たちの中には、ビジネスでも成功している人も多い。

現在、ニューヨークに在住するユダヤ人の総数は176万人で、ニューヨーク州総人口の約9%を占める。ニューヨーク・マンハッタンでは、黒人かアジア人でないなら、ユダヤ人だといわれるほど、白人がユダヤ人である確率は高い。

https://www.jewishvirtuallibrary.org/new-york-state-jewish-history

<ニューヨーク周辺で急増する反ユダヤ主義暴力>

今回の事件が発生したモンゼイでは、11月に、シナゴーグへ向かっていた男性が刺され、目をくりぬかれた。この2ヶ月の間の反ユダヤ主義暴力は、モンゼイだけで、9件にものぼっているとのこと。

ニューヨーク州のデータによると、2019年にニューヨーク市で発生した反ユダヤ主義暴力は152件で、昨年度の93件から63%も急増している。

警察は、ユダヤ人たちが、特に集中してすんでいるニューヨークのボローパーク、クラウンハイツ、ブルックリンでの警戒態勢を強化すると発表した。29日からは、ボランティアによる警備隊も巡回を始めるとのこと。

https://www.jpost.com/Breaking-News/Multiple-victims-reported-after-stabbing-reported-in-synagogue-in-Monsey-NY-612415

ニューヨークのユダヤ人は、いよいよユダヤ人とわかる外見をすることの恐怖を実感せざるをえなくなっているという。

*最近の重大な反ユダヤ主義テロ

2018年10月 ペンシルバニア州ピッツバーグで、保守派シナゴーグで銃の乱射テロがあり、11人死亡。

2019年5月、カリフォルニア州サンディエゴで、過越の最終日、ハバッド派シナゴーグで銃撃テロが発生。1人死亡。

2019年10月、ドイツでネオナチの男が、ケバブ店と隣接するヨム・キプール礼拝中のシナゴーグを襲撃。シナゴーグは強固な戸に守られたが、1人が死亡した。

2019年12月 ジャージーシティのコシェルのスーパーで銃撃、4人死亡。

<イスラエルの反応>

事件を受けて、リブリン大統領は、「悲しみに打ちひしがれている。反ユダヤ主義の再燃は、ユダヤ人やイスラエルだけの問題ではない。何度も首をもたげてくるこの悪は、世界全体の危機を意味している。皆で戦っていかなければならない。」と語った。

ネタニヤフ首相は、「イスラエルはこの反ユダヤ主義暴力、ましてハヌカを祝うラビの家でのテロを強く非難する。」と述べた。

イスラエル我が家党のリーバーマン党首は、「唯一の解決は、(ユダヤ人は)イスラエルへ移住することだ。」と述べた。

青白党のラピード氏は、「このようなテロで私たちの魂がひるむことはない。モンゼイのユダヤ人共同体は、(この事件のあとも)ハヌカ8日目のろうそくに火をともすのだ。」と語った。

https://www.timesofisrael.com/israeli-leaders-shocked-and-devastated-demand-action-after-monsey-attack/

<石のひとりごと>

世界の反ユダヤ主義は、確実に、また急速に悪化している。リーバーマン氏が言うように、一番よいのは、イスラエルへ移住することであろう。

しかし、アメリカのような先進国で快適に住んでいると、イスラエルへの移住は大きな決断になる。筆者の友人は、イスラエルへ移住したが、冷暖房完備のアメリカと違い、冬には寒く、夏には暑く、仕事もキツイ。結局アメリカへ帰ってしまった。

また、メシアニック(イエスを信じるユダヤ人)の友人は、移住を申請したが、キリストを信じている場合は、ユダヤ人とは認められないと判断され、移住を拒否されて、アメリカへ戻された。

アメリカのユダヤ人(ディアスポラ)の多くは、イスラエルが定めるユダヤ人の定義にあるような超正統派ではなく、改革派や保守派である。このため、イスラエルに反感を持つ人も増えている。イスラエルに行きたくないユダヤ人も少なくない。

ホロコーストの時代も、滞在する社会に深く根ざしていたユダヤ人たちは、ヒトラーが政権についたのちも、なかなか逃げようとはせず、多くが時を逸して殺されていった。

今はイスラエルという国がある。特に反ユダヤ主義が悪化している欧米諸国のユダヤ人が時を逃さず、イスラエルへ移住する決断ができるようにと思う。
カテゴリ :反ユダヤ主義 トラックバック(-) コメント(-)
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