シリアの”ミッション・インポッシブル” 2013.9.13

 2013-09-13
ロシアがぎりぎりになって、シリアに化学兵器を返上させ、国際管理するという案をだしてから2日目。世界は徐々に、それがいかにインポッシブル(不可能)かということに気がつきはじめている。

<アメリカとロシアのとりくみ>

オバマ大統領が、ロシアの案を受け入れて攻撃を保留にした後、昨日から、ケリー国務長官と、ロシアのラブロフ外相が、具体的にどうやってシリアの化学兵器を国際管理下に置くのか、ジュネーブで具体的な計画作りに入っている。

双方ともエキスパートのチームを引き連れての真剣な取り組みだ。しかし、しょっぱなからすでにつまづきの石が置かれた。ロシアが、シリアに化学兵器を返上させる条件として、アメリカの臨戦態勢を解くよう、要求したのである。

無論、アメリカはこれを受け入れていない。この他、いろいろな話し合いがなされているが、結局、このつまづきの石が問題になる可能性も否定できないと懸念する専門家もいる。

<化学兵器の国際管理はミッション・インポッシブル?>

ロシアが化学兵器返上案を出した時は、世界は戦争回避ということで明るい希望だと受け取った。しかし、フタをあけてみると、これが実際には、いかに非現実的であるかということが明らかになりつつある。

そもそも、シリアのどこに化学兵器があるのか、確認のしようがない。アメリカのメディアによると、今回のシリア危機が始まってから、アサド政権が化学兵器を、全国50個所以上に動かしているという。

化学兵器の場所を最も把握しているのはイスラエルだといわれるが、そのイスラエルもよく完全に把握しているわけではないのだ。これでは、全部はき出したことをどうやって証明するというのか。

アサド大統領本人は、「化学兵器は国際管理下へ提出する。これはロシアがそういうからであって、アメリカの脅迫に屈したわけではない。」と言った。

イギリスのハーグ外相は、「これまで、うそをつき続けてきたアサド大統領を容易に信用してはならない。」と釘をさした。いずれにしても、1000トンもある化学兵器をすべて集めて破棄するには数ヶ月から何年もかかる作業と予想されている。

<結局、地上軍が必要>

さらに激しい内戦中のシリア国内で、どうやって全国に散らばっている化学兵器をまとめて管理するのか。オバマ大統領は地上軍は派遣しないと言ったが、化学兵器を管理、警護するためには、逆に地上軍が少なくとも75000人規模で必要になるという。

反政府勢力と戦闘になり、死者が出たり、化学兵器を反政府勢力のアルカイダなどに奪われる可能性もある。

結局、化学兵器の返上だけでは解決にならない。アサド大統領が、政権を返上して内戦が終わり、テロ組織の関わらない、きちんとしたシリア人からなる暫定政権が立ち上がってはじめて、化学兵器の処分が可能になるのである。

<ジュネーブでのシリア国際会議開催にむけて>

ケリー国務長官は、化学兵器の返上だけでなく、内戦の解決を目指した国際会議をジュネーブで開催しようという方向でロシアに提案。アメリカとロシアは、この点で一致したと報じられている。

両者は、次回、2週間後の28日、国連安保理でこの件についての話し合う。ケリー国務長官は、15日、イスラエルに来て、ネタニヤフ首相と会談。シリアと国際会議について、またパレスチナ問題の進捗確認を行う。

なお、今回のシリア攻撃が保留となったことについて、ネタニヤフ首相、ヤアロン国防相は「結局、だれもあてにしてはならない。イスラエルを守るのは我々自身だけだということだ。」と改めて自己防衛の決意を語っている。

<石のひとりごと>

ケリー国務長官について一言。彼を見ていると、使命のために生きるというお手本を見せられているような気がする。

オバマ大統領と完全に同じところにたち、休む間もなく、文字通り世界をまたにかけて、あちこち、あちこち、あちこち・・・。時差ぼけなどケリー国務長官にはゆるされない贅沢である。

アメリカ代表として、スピーチは説得力あふれてわかりやすく、ことばに無駄がない。国務長官としての働きは数年だから、今は休みなく働いてるのだろう。ケリー国務長官の姿に励まされる今日この頃である。

ところで、ケリー国務長官には病身の妻がいる。ほとんど一緒にいてあげられないのは明らかだ。ケリー国務長官夫妻を覚えてお祈りいただければ幸いである。
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