大量破壊兵器を許さない世界へ 2013.9.28

 2013-09-28
1.シリアの化学兵器:安保理が一致・対処へ

シリアの化学兵器問題について26日、国連安保理の常任理事国は、先にアメリカとロシアがジュネーブで一致していた「来年中旬までにシリアの化学兵器すべてを処分する」という案について採択を取り、全会一致で可決した。

*常任理事国-アメリカ、ロシア、フランス、イギリス、中国

一致した内容は、①2014年中旬までに、シリアの化学兵器を完全に破棄処分する、②もしシリアが約束を守らない場合は、国連憲章第7条に基づき、軍事介入を含む制裁を行う。

ただし、軍事介入の場合は、再度安保理の決議をとるということになっている。つまり、もし仮に軍事介入という事態になった場合、ロシアが拒否権を発動するのは間違いなく、そのときは再び行き詰まりになるということではある。

しかし、アメリカとロシアが、安保理で2年半ぶりにはじめて一致し、今後は国連という公の機関の枠組みの中でシリアの化学兵器を取り扱うことができるようになったことは、大きなブレークスルーだと評価されている。

国連安保理と平行して、オランダのハーグでは、OPCW(化学兵器禁止機構)がアメリカとロシアの合意事項を検討し、27日、正式に可決。これを受けて28日、安保理では非常任理事国の15カ国も採択を行い、全会一致で可決するに至った。

<今後の手順>

10月1日、OPCWの専門家がシリアに入り、化学兵器の破棄に関する調査を開始する。どのように化学兵器を破棄するかだが、方法は二つ。①焼却 ②中和 作業の進捗はOPCWが定期的アセスメント、報告する。

イギリスはこの作業のために300万ドルを拠出すると発表した。

なお、安保理は、シリアの問題を化学兵器だけに終わらせず、最終的に新しい政権への移行を促すため、11月中旬にもジュネーブで、シリアの和平会議を開催する方向で合意している。

<評価と課題>

今回、シリアの化学兵器を、戦争なしに、国連主導で破棄する流れとなった。国際社会は、無能ではないというメッセージを発信できたことは特筆に値する。核兵器で問題になっているイランや北朝鮮にも一定の示しになったと思われる。

しかし、ネタニヤフ首相が言うように、問題はこれからである。シリア国内の内戦はますます激しくなっている。反政府勢力の中で、勢力を伸ばしているイスラム超過激派でサラフィスト組織アル・ヌスラは、この6月から公にアルカイダを名乗って、活動を続けている。国連の作業を妨害する可能性が高い。

専門家の中には、シリアが、まもなくアフガニスタンのようにテロの輸出元になると懸念する者もいる。難民問題で苦しむトルコの外相は、「化学兵器の解決だけでは十分ではない。」と釘をさしている。

2.イランの核兵器問題:オバマ大統領とロハニ大統領が電話会談(35年ぶり)

化学兵器と並んで危険な大量破壊兵器が核兵器。その核兵器疑惑で世界から孤立しているのがイランである。今回国連デビューしたイランのロウハニ大統領は、3~6ヶ月以内にこの問題を終わらせたいとの穏健ムードを打ち出した。

ロウハニ大統領は国際社会からの経済制裁を受けて疲弊しきっているイラン経済を立て直したいのである。

<国際社会とイランの対話再会>

今回、大統領同士の会談はなかったが、外相レベルでの対話が再会された。国連総会の行われているニューヨークで、ケリー国務長官、イランのザリフ外相を含むP+1(安保理常任理事国+ドイツ)が直接会議を行った。

ザリフ外相は、アメリカで教育を受けており、流ちょうなアメリカ英語であるだけでなく、テレビで見るだけでも、にこにこととても愛想の良さそうな人物。

会議の中で、P+1は、①20%濃縮ウランの精製と貯蔵をやめること(核兵器直前の濃度)、②ファルドの地下核濃縮工場の閉鎖、などを要求したもよう。次回の会議は10月15日と決まった。

会議終了後、ケリー国務長官は、「まだまだイランは説明する義務があるが、会議は前向きだった。」と語った。

<ロウハニ大統領とオバマ大統領の電話会談>

今回、直接対談は実現しなかったが、ロウハニ大統領の帰国寸前に、オバマ大統領が電話をかけた。両国の大統領どうしが直接話をするのは、35年前ぶりだった。両国の関係改善のきざしかと注目されている。

<イスラエルの反応>

シリアの化学兵器、イランの核兵器、どちらもイスラエルにとっては生死に関わる大問題である。こうした国連での動きについてイスラエルはどう反応するのか、まだ明らかにはなっていない。

ネタニヤフ首相の国連演説は今回一番最後となっており、来週の予定。ネタニヤフ首相は、ニューヨークでオバマ大統領、ケリー国務長官と会談することになっている。
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