シリア人からみたイスラム国 / 穏健派シリア人反政府勢力・記者会見報告 2014.9.17

 2014-09-17
シリアの反政府勢力としてアサド政権と戦い、何度もシリア政府に逮捕されたというシリア人で、反政府勢力有力者、元医師、人権保護活動家のモハンマド・カマル・アルラブワニ氏が、イスラエル国籍アメリカ系ユダヤ人らの支援を受けて、イスラエル入りし、エルサレムで記者会見を行った。

シリア現地人としての率直な意見で、イスラム国の実態と、現状、また国際社会との関連は以下の通りである。

1)イスラム国はシリアとは無関係の外国テロ組織

アルラブワニ氏は「『イスラム国』はシリア人の組織ではなく外国のテロ組織。シリア人の敵だ。」と強調する。イスラム国は、アサド政権とシリア人反政府勢力が戦っているところ、その背後から勝手に出て来た外国勢力だ。

今アメリカや世界はイスラム国で大騒ぎをしているが、内戦にあるシリア内部からみれば、イスラム国は小さな外国過激派勢力の一つにすぎない。イスラム国メンバーは、現在2万人とも3万人とも言われるが、その半分は資金力でつられただけの外国人である。

シリア人からみれば、仮にイスラム国が倒れたところで、中東の本当の問題の解決にはならない。アサド政権が生き残り、別の危険なテロ組織もいるからである。逆に、空爆することによって、イスラム国テロロスとは、地下にもぐってそのまま海外に逃亡し、世界各地に問題を広げるだけだろうと語る。

*アルカイダ系アルヌスラ:ゴラン高原のUNDOF(国連引き離し監視団)を追放へ

イスラエルとシリアが国境を接するゴラン高原。そのシリア側を、イスラム国とは敵対するアルカイダ系アルヌスラが支配するようになっている。

アルヌスラは、UNDOF拠点のクネイトラを占領し、火曜、とうとう国連軍をイスラエル側へ追放するに至った。結果的に、国連の車両やユニフォームなどを奪い取っている。

アルヌスラは、先週解放されたフィジー軍兵士を拉致したアルカイダ系のグループで、アルラブワニ氏らのシリア人反政府組織ではない。

2)シリア人がいることを忘れないでほしい

シリアでは、内戦で14万人が死亡し、300万人が国外難民となった。現在、シリアの40%はイスラム国を含む過激な組織、40%をアサド政権が支配している。残りの20%が2000万人の一般人なのだが、この人々は、苦しみながら、なんの声も出せないでいる。

この20%が声を出せないのは、アサド政権が、党の存在を禁止したため、いっさい政治的活動ができなくなったためだ。また、アサド政権はイランの支援を受け、アルカイダなど外国テロ組織勢力はそれぞれの資金源を持っている。しかしシリア人たちは経済的なバックアップもないため、活動ができない状態だという。

つまり、現地のシリア人勢力が、新しいシリアを立ち上げるために、まずはシリア人が安心して生きることができるフリーゾーン(飛行禁止区域を含む)を作ってほしいと訴える。そういう地域ができれば、そこでシリア人による政治的な土台を立ち上げることができると訴える。

しかしながら・・・アメリカと国際社会は、シリアの内戦が始まった当初、こうした地元シリア人勢力を支援しようとしていたのである。その試みがことごとく失敗して今に至るというのが現状だ。これ以上、いまさら、どうしたらいいのかといえば、明快な答えはなさそうである。

しかし、別のアナリストからも同様の批判がある。かつてイラクのフセイン政権を倒したアメリカは、フセイン政権をつぶしたあとの空白をどう埋めるのかに失敗した。今そのフセイン政権の残党がイスラム国に加わって、問題を大きくしているという情報もある。

今回も、仮にイスラム国を倒しても、今、国際社会と核問題でもめているイランの問題を解決しない限り、中東の脅威は結経はなくならないと言われている。

<悲惨な難民問題> http://www.theguardian.com/world/2014/sep/15/migrant-boat-capsizes-egypt-malta-traffickers

シリアから300万人にも及ぶ難民があふれるなどして、今年に入ってからエジプトなどアフリカ大陸から、地中海をわたってヨーロッパをめざす難民が急増している。

そうした難民船は定員オーバーであることが多いので、途中で難破して沈んでしまうことが多い。今週、難破した船は、生き残った数人の証言によると、500人近くが乗っており、ほぼ全員が死亡したとみられる。今回乗っていた難民は、シリア人、パレスチナ人、エリトリア人など。

IOM(国際移民組織)によると、今年に入ってからこれまでに地中海で死亡した難民ははすでに2900人(今回の500人を含む)。2013年は700人だった。

これらの難民は、高い渡航費を払わされ、だまされ、たとえ渡航に成功しても、そうとう悲惨な道を歩んでいる。今回難破した船も、渡航斡旋業者が故意に沈没させた可能性があるという。
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