泥沼化するガザ国境情勢 2018.6.12

 2018-06-12
ガザとイスラエルとの国境では、3月末以来、ハマスによる「帰還への行進」とするデモが毎週金曜に行われ、今も金曜になると、イスラエル軍との衝突が続いている。

これまでで最大の衝突はアメリカ大使館がエルサレムに移動した5月14日で、4万人が参加し、この日だけで60人以上が死亡し、これまでの死者は計100人を超えた。しかし、その後、デモへの参加者は減少している。

<下火?に終わったクッズ・デー(6/8)とその背景>

6月8日(金)は、5日火曜から延期されたクッズ・デーとも言われるナクサの日(六日戦争でパレスチナ人がエルサレムを失った日)で、ラマダン最終金曜であったことから、これまで以上の衝突が懸念された。

イスラエル軍は、ガザ市民に対し、ハマスに協力しないよう警告するビラをまき、ガザ突入を想定した軍事訓練を実施。当日は、ミサイル攻撃も想定して準備し、国境では、20メートルおきに射撃種を配置して、ガザの群衆が、イスラエル領内になだれこんでくるにに備えた。

ところが8日、デモに集結したのは、予想をはるかに下回る1万人程度だった。また、子供や女性の姿はなかったという。数人が国境を超えてこようとしたため、イスラエル軍の射撃手が足を狙ったが、タイヤを燃やすなどして発生した煙で視界が悪く、最終的に4人が死亡したと報じられている。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5281945,00.html

このデモでは、ホロコーストを連想させるしま模様の囚人服を着て、デモに参加するとの前情報があった。しかし、さすがにそれは行われなかったのか、その報道はない。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Report-Gazans-to-dress-like-concentration-camp-prisoners-in-protest-559441

イスラエル軍によると、今回は、参加者に士気が感じられず、義務でやっている感じもあったという。しかし、それが、ハマスの弱体化を意味するわけではないと専門家らは語る。

先週、イスラエル領内へ続く海底トンネルが発見され、空爆で破壊された。いったいどこにそんなエネルギーと資金があるのやら・・・とその執念に驚かされる。

https://www.timesofisrael.com/idf-says-it-destroyed-hamas-undersea-tunnel-in-last-weeks-airstrikes/

ハマスの背後には、トルコ、カタールが資金源となっている。新しい情報によると、ヒズボラが、南レバノンにハマスとともにミサイル工場や訓練キャンプを設立させる動きもある。

https://www.timesofisrael.com/israel-says-hamas-working-with-hezbollah-to-train-thousands-in-lebanon/

なお、6/8(金)はラマダン最後の金曜であったが、エルサレムの神殿の丘での祈りも平和に終わった。

https://www.timesofisrael.com/ramadan-prayers-in-jerusalem-end-peacefully-amid-gaza-violence/

<凧による攻撃> https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5283556,00.html

以後、デモへの参加者は減っているが、先週からは、火や火炎瓶を装着した凧が600は飛来し、少なくとも200は落下して、イスラエル南部の畑4500エーカー(18キロ平方キロ)が消失。

一時はスデロットの町やその近郊のシャピーロ大学にも火災にみまわれる被害が出た。

凧は当初、足に火がついていたり、火炎瓶が付いていたりしていたが、最近のものは、落下した後、人が近づいてきた時に爆発する仕掛けがしてあるものもあるという。

イスラエルは、これに対し、凧専用のドローンを使って畑に落下前に上空で確保する作戦で対処している。

また、焼かれた畑の被害について、イスラエル政府は、パレスチナ自治政府に変わって徴収している貿易上の税金から差し引くと発表した。(被害額140万ドル(1億5000万円程度)

https://www.timesofisrael.com/17-fires-extinguished-near-gaza-after-incendiary-kite-attacks/

一方、イスラエル南部の市民たちは、「彼らは焼く。私たちは植える。」と称して、焼かれてもまた畑に植える作戦を打ち上げた。

また11日、スデロットでは、子供達に平和のメッセージをつけた凧あげ大会を行った。凧という本来、平和な子供たちの遊びの道具が、暴力の道具として使われたことへの対処という目的もあるという。

一方、ガザでは、毎年子供達が東日本大震災の被害者たちを励ますために凧あげ大会が行われてきた。ガザの子供たちは、今回、大人たちが、その凧によってイスラエルを攻撃したのを見てどう思っているのだろうかと思わされる。

<パレスチナ自治政府は国連総会へパレスチナ人の”保護”訴え>

ガザで100人以上が死亡したことを受けて、クウェートが国連安保理にイスラエル非難の採択を促したが、これはアメリカの拒否権発動で、実現しなかった。

続いてパレスチナ自治政府は、イスラエルが、悪意を持ってパレスチナ人を殺害しているとして、国連総会に、パレスチナ人の”保護”を訴えた。

https://www.timesofisrael.com/palestinians-turn-to-un-general-assembly-over-gaza-deaths/

しかし、今回の衝突は、ガザのハマスが、市民を駆り立て、暴力的に国境を越えてイスラエル領内へ入ろうとしたことが原因である。イスラエルは、市民にビラをまき、ハマスの指示に従って国境にこないようにと、十分に警告も行った。

このデモにおいて、死亡した1人、パレスチナ人看護師のラザン・アル・ナジャールさん(21)であった。国際社会はいっせいにイスラエルを非難したが、後にナザールさんが、発煙筒を投げていたこと、また人間の盾になることを覚悟していたことが明らかになった。

https://www.timesofisrael.com/idf-spokesperson-slain-gaza-medic-no-angel-of-mercy/

パレスチナ自治政府は、イスラエルからの”保護”を訴えているが、危険な敵対行為がなければ、攻撃されることもないのである。

*パレスチナ人によるテロで18歳少女重症

この記事を書いている最中に、イスラエル北部アフラ近郊のミグダル・ハエメックで、シュバ・マルカさん(18)がナイフで7回も刺されて重症となるテロが発生した。

テロリストは、西岸地区ジェニン在住のパレスチナ人ヌーラディン・シュナウィ。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/247294

<ガザの人道支援について>

現在、ガザの住民の電気は1日4時間。人々はろうそくで生活し、下水も崩壊している。人間が生活できない場所になると言われてからすでに久しい。

ガザの金曜デモが下火になりつつあることと、ガザの生活状況がまさに崩壊寸前になっていることから、イスラエル政府は、日曜、ガザへの人道支援についての議論を行なった。アメとムチのアメ効果を狙うというところである。

ネタニヤフ首相、イスラエル軍のエイセンコット参謀総長は、今、人道支援をすることが沈静化につながると期待しているが、リーバーマン国防相これに反対意見を出した。結局、話はまとまらなかった。

リーバーマン国防相は、ガザが今、以前より困窮を極めたのは、先週、パレスチナ自治政府が、ラマダン中にもかかわらず、4月分のガザへの給料支払いを差し止めたからであると指摘する。

またハマスが、人道支援するべき資金をすべてトンネルに費やしていることが原因であるとして、ガザに人道支援を行ったとて、ハマスの性質が変わるはずもなく、それがアメ効果になることはありえないと主張している。

https://www.haaretz.com/israel-news/.premium-lieberman-calls-gaza-aid-delusion-but-he-s-intentionally-misleading-1.6159231
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パレスチナ人のデモ活動とその影響:国連でのイスラエル非難への動き 2018.5.21

 2018-05-21
1)新米大使館周辺とエルサレム市内、西岸地区

新米大使館のあるエルサレム何部アルノナ周辺は、閑静な住宅地で、主にユダヤ人が住んでいる。周辺にはアラブ人居住区があるが、普段はお互い干渉せずで、穏やかに共存している。

大使館移動の日には、この地域でもアラブ人らによるデモがあった。これらは警察に許可を得たデモであったこともあり、他地域と合わせて14人が逮捕されたが、おおむね平和的なデモだけで終わった。

ラマラなど西岸地区各地でも米大使館移動に反対するデモが発生したが、その地域だけにとどまり、大きな問題にはならなかった。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/245952

2)ガザ国境:62人死亡2700人負傷:ロケット攻撃はなし

日本のニュースでも大きく報じられていたが、ガザ地区国境では、米大使館がエルサレムへ移動した日、イスラエルの警告にもかかわらず4万人がデモに参加。

国内への侵入を防ぐために待機していたイスラエル軍に向かって投石したり、燃えるタイヤを投げるなどしたため、暴力的な衝突となった。イスラエル側へ侵入を試みた者もいた。

この衝突で、ガザからの報告によれば、62人が死亡。負傷者は1700人以上と伝えられている。ハマスによると、死亡した62人のうち、50人はハマス戦闘員であった。

しかし、この衝突の中で、1歳に満たない子供が死亡する様子などが流され、イスラエルは、不均衡に強大な武力を使用したとして非難が集中した。実際のところ、そのような場所に乳幼児を連れてくることが問題ではないかと思われるが、そのような見方をするメディアはほとんどない。

https://www.timesofisrael.com/hamas-official-50-of-the-people-killed-in-gaza-riots-were-members/

<国連でのイスラエル非難への動き>

1)国連人権保護委員会がイスラエルの過剰対応で採択

今回、ハマスは、イスラエルとの衝突で、ガザ側に62人(デモが3月30日に始まって以来計100人以上)の死者が出たが、ハマスは、ロケット弾など本格的な武器による反撃はしてこなかった。あくまも”平和的デモ”の顔を強調した形である。

このため、イスラエルが過剰に武力を行使したとの見方が強まっている。

18日、UNHRC(国連人権保護委員会)は、ガザ国境での紛争で、イスラエルが過剰な武力を行使した疑いがあるとして、独自の調査団を派遣するかどうかの採択を行った。

結果、過剰と認め、調査することに賛成した国は、29カ国。棄権14。反対したのは、アメリカとイスラエルの2国だけであった。

これを受けて、UNHCRは、パレスチナ側には、平和的デモだけにするよう、呼びかける一方、に対し、西岸地区、ガザ地区での武力行使をただちに停止し、ガザの”包囲”を解いて、すべての国境を開放するよう呼びかけた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/246191

UNHCRでのこうした決議は今に始まったことではない。ネタニヤフ首相は、「昔からなにも変わってない。」とのコメントを出している。

一方、ハマス指導者イシュマエル・ハニエはこの日、国際社会の非難がイスラエルに集中し、パレスチナへの同情が復活したとして、「目標は達成した」との声明を出し、今後国境が完全に解放されるまで抵抗は続けると表明した。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5264506,00.html

2)クエートが国連安保理に国際監視団のガザ地区駐留を提案を準備中

17日、パレスチナとクエート代表(現在安保理での唯一のアラブ諸国代表)が、イスラエルの”過剰な武力行使”に対し、ガザに国際監視団を駐留させる案件を採択に持ち込むため、理事国の間で巡回させている。

アメリカとイスラエルは、これを阻止するべく、理事国に働きかけをしているという。アメリカのヘイリー国連代表は、最悪の場合でも、アメリカは「拒否権を発動することをすでに表明している。

その場合、パレスチナは、国連総会に案を持ち込むと言っているが、国連総会の決議には実行力はない。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5266145,00.html

https://www.timesofisrael.com/israeli-envoy-urges-security-council-to-reject-arab-backed-gaza-resolution/

3)トルコがあからさまなイスラエル非難

ハマスよりの政策を続けるトルコだが、エルドアン大統領は、先週、エイタン・ナエ在トルコ・イスラエル大使を送還した。

また18日、2回目となるイスラム諸国指導者の会議を、イスタンブールで開催。「第二次世界大戦中にナチの強制収容所であらゆる拷問を受けた子供たちが、今、パレスチナ人に対してナチス顔負けのことをしている。」と語った。

エルドアン大統領は、イスラエルの暴力を監視するために、国際監視団をガザに配置することをよびかけた。これは、今、クエートが国連安保理に働きかけていることと並行している。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5264751,00.html

一方、ネタニヤフ首相は、ツイッターで、「シリアに侵略しているトルコに説教される筋合いはない。」と言い返した。

4)イスラエルの反論:ハマスこそ戦争犯罪:イスラエル国連代表ダニー・ダノン氏

イスラエルの国連代表ダニー・ダノン氏は、UNHCRの動きについて、ハマス自身が、デモで死亡した62人のうちの大部分はハマスの戦闘員であったことを認めた後にこのような決議になったことへの不条理とともに、国連安保理は、逆にハマスの犯罪を裁くべきではないかと訴えた。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Danon-Haley-condemn-UNHRC-for-decision-to-probe-deadly-Gaza-events-557834

先に述べたように、エルサレムに関しては、ガザのハマスが要求しているパレスチナ人全体としての”帰還の権利”は、歴史的には論理的ではない。

また、エルサレムには多くのパレスチナ人が今も在住しており、テロさえなければ、パレスチナ人がエルサレムのハラム・アッシャリフで礼拝することも自由であり、イスラエルが、パレスチナ人を理由もなく締め出しているということでもない。

次に、いくらパレスチナ人が、死をもって戦ったとしても、もはやイスラエルという国がなくなることはまずない。それが正しいかどうかは別としても、これはもはや動かせない現実である。

それでもイスラエルと建設的な交渉を拒否して、イスラエルを打倒してエルサレムに”帰還”するといった空をうつような目標のために、ハマスはガザ市民を駆り立てて、死に追いやっている。

また、2007年にハマスがガザを支配してから10年が経過した今、ガザ市民の生活は、破壊され崩壊寸前である。これはガザでの主権を握っていたハマスの責任に他ならない。

ハマスはこれをイスラエルの占領の責任だと言っているが、イスラエルは、ハマス支配が始まる2年も前の2005年にガザから完全撤退している。

国境を閉ざして、ガザ地区200万人が自由を奪う”包囲”していることが原因だというが、閉ざさなければ、テロリストがイスラエルに入ってきて市民がテロの犠牲になるからである。何もないのに閉じているのではない。

ハマスがガザを支配する以前は、それなりに、ガザとイスラエルの間には、人の流れも物流もあったのである。さらに国境を閉じているのはイスラエルだけでなく、エジプト側もである。

陸路からは人道支援物資はガザへ搬入されている。テロがあっても主にガザの電力を供給してきたのはイスラエルであった。現在、イスラエルがガザへの電力配給を大幅に削減してガザが厳しい電力不足に陥っているのは、ハマスがイスラエルへの敵対行為をやめないからである。

さらに、ガザ地区内部では、少しでもイスラエルとの関係があきらかになると、裏切り者としてハマスに殺されるといった、明らかな人権無視が横行している。

総合的にみれば、市民を犠牲にすることで、自らの主張を正当化しようとして、いつまでも武力闘争を続けるハマスの政治運営は、犯罪にあたるというのが、イスラエルの主張である。
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ガザ国境衝突4週目:パレスチナ人4人死亡 2018.4.21

 2018-04-21
ガザ国境で毎週金曜に暴力的な衝突になってから4週目になる。今回の死亡者は4人。このデモが始まってからの使者は38人となった。

デモへの参加人数は、毎週減ってきており、今週は3000人ほどだった。しかし、表現される敵意はだんだん凶悪になってきている。

金曜デモの前日木曜、イスラム聖戦は、イスラエル軍南方総司令官のヨアブ・モルデカイ大佐と数人の射撃手が、国境フェンスの近くにいるところを撮影したビデオを流し、その直後にパレスチナ人射撃手が、ライフルの照準を合わせる様子を付け加えて、あたかも彼らを殺すといわんばかりのクリップをネットに流した。

これを受けて、リーバーマン防衛相は、「もしこちらの上官を殺すことがあれば、ハマスの最高指導者が死ぬことになるのはハマスもよく知っているはずだ。」と脅迫しかえした。

その翌日の今日金曜朝、イスラエル軍は、国境付近にいるパレスチナ人の上に、次のように記したビラをまいた。ビラには次のように描かれていた。

”あなたがしようとしている行為は暴力だ。ハマスは、テロ行為をするようあなたを利用している。イスラエル軍はいかなるシナリオにも対処する。だから国境に近いたり、そのフェンスにダメージを与えるようなことはしないように。

イスラエルは、フェンスや軍用車両に傷つける行為に容赦はしない。だから、あなたを危険に陥れるようなハマスの命令に従わないように。」

これに対し、ガザのパレスチナ人は、ナチスの鉤十字をあしらった凧をあげ、イスラエル側へ飛来した。その凧には、火炎瓶がとりつかられていた。

ガザ側の情報によれば、この金曜に、イスラエル軍の銃撃によって死亡したパレスチナ人は4人。そのうち1人は15歳だった。

15歳の少年が死亡したことを受けて、国連の中東特使モラデノフ氏は、「憤慨だ。15歳の子供が殺された。徹底的な調査が必要だ。」との声明を出した。

これに対し、リーバーマン防衛相は、責任はハマスにあるとし、「ハマスは、女性や子供の背後に隠れている臆病者だ。ガザの人々に言う。フェンスには近づかないように。」と言った。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/4-Palestinians-killed-in-fourth-week-of-demonstrations-along-Gaza-border-551336

イスラエル軍の射撃手たちは、銃撃は、指導者的な動きをしている者に限るとともに、下肢を狙うよう指示されている。だれのどこを撃ったのかは、ライフルに記録、撮影されている。

前回、パレスチナ人を撃って大笑いしていたイスラエル兵のビデオがネットに流され、問題になったが、精査の結果、イスラエル兵は正確に判断し、下肢を撃っていたことがわかった。大笑いしていたのは、軍人ではないカメラマンであったことが判明。

イスラエル兵の対処は、適切とされ、罰はカメラマンが受けたと伝えられている。

<ナタリー・ポートマンがイスラエルをボイコット?>

オスカー女優ナタリー・ポートマンさんは、イスラエル人である。彼女の功績をたたえて、今年ジェネシス賞の受賞者に選ばれた。ジェネシス賞とは、ユダヤ人としてユダヤ人社会に貢献した人に送られる賞である。賞金は通常100万ドル。

ところが、先週、ナタリーさんが、エルサレムでの授賞式をキャンセルする意向を表明し、論議を呼んだ。時期的にも、イスラエルのガザでの対策に反対しているとか、BDS(イスラエルボイコット運動)にほだされたとかメディアは騒ぎ立てた。イスラエルからも驚きの声が殺到した。

このため、ナタリーさんは、「ネタニヤフ首相に同意できないので、ネタニヤフ首相がスピーチする授賞式には出ないことにした。」と自ら明らかにした。

ナタリーさんは、自分はイスラエルを愛しているのでBDSに同調していないことを強調。ディアスポラの多くのユダヤ人と同様、ネタニヤフ首相を指示しないという権利もあるはずだと語った。

なお、ジェネシス賞では、ナタリーさんが、女性の地位向上のために賞金を使うと表明していたため、同額の献金を募り、結果、倍の200万ドル(2億円以上)になっていた。

今回、ナタリーさんは、受賞しないが、賞金は、いずれにしても女性の地位向上のために使われるという。

決して一枚岩ではないというのがユダヤ人なのだが、その多様性がまたユダヤ人でもあるということである。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5236430,00.html
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ガザ国境デモ3回目金曜日:パレスチナ人1人死亡 2018.4.15

 2018-04-15
昨日は、ガザ国境での「機関へのマーチ」デモ3週目。早朝の衝突でパレスチナ人1人が死亡。この件に関するパレスチナ人の死者は33人となった。ガザからの情報によると、今回の負傷者は、少なくとも30人。

その後、一時、群衆がパレスチナの旗を掲げて、国境フェンスまで近づいてきて、緊張が広がったが、イスラエル領内に入ることはなかった。

今回の参加者は、これまでで最低の1万人。イスラエルの旗にトランプ大統領やサウジアラビアのサルマン王子をあしらった旗を燃やしたり、イスラエルの旗を踏みつけるなどが行われた。

デモの規模が縮小している理由として、世界がシリア問題で忙しく、ハマスが予想したような世界からの注目を得られないことがあげられている。西岸地区でもガザに同調するデモは発生しなかった。

https://www.i24news.tv/en/news/israel/172195-180413-idf-braces-for-gaza-flag-burning-protest-as-great-march-enters-third-week

<事故でパレスチナ人4人、イスラエル兵一人死亡>

ところがである。翌日の土曜、ガザ南部で爆発があり、パレスチナ人4人が死亡した。ガザの救急隊は、イスラエルの戦車砲だと言っているが、イスラエルは否定している。地元住人によると、死亡した4人は、イスラム聖戦の戦闘員であったとのこと。

http://www.jpost.com/Breaking-News/Palestinian-Health-Ministry-two-Palestinians-dead-in-Gaza-explosion-549786

イスラエル側でも、土曜深夜、イスラエル南部、シナイ半島との国境ニツァナで、ルチーンの地下トンネルに対処していた戦車が、数メートルのスロープを転がり落ち、戦車内部で火事が発生。戦車を運転していたイスラエル兵1人が死亡。2人が重傷となった。

戦車はメルカバ型で、本来ならこのぐらいのスロープでは横転しないはずだという。なぜ火災が発生したかも合わせて調査するとのこと。重傷の2人を覚えて祈られたし。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5229887,00.html
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イスラエル兵の冷酷射撃摘発か 2018.4.11

 2018-04-11
ガザ国境での紛争が2週続き、これまでに30人が死亡しているが、9日、ワッツアップ(ラインのようなもの)で、イスラエル軍兵士と思われる声で、ガザ国境にいるパレスチナ人を射殺しておもしろがるビデオが出回り、物議を呼んでいる。

ビデオによると、ガザ国境の有刺鉄線付近に近づいた非武装のパレスチナ人が撃たれて倒れたところ、「やった!」と叫び、「撮影したか」と笑いながら興奮して叫ぶヘブライ語の声が収録されている。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5225469,00.html

イスラエル軍はこれについて調査を開始。撮影されたのは、最近の紛争中ではなく、昨年12月だとみて、すでに関係した兵士らを尋問中だとの情報もある。昨年12月のケースであった場合、この撃たれたパレスチナ人は死亡していない。

https://www.timesofisrael.com/idf-said-to-question-soldiers-filmed-celebrating-shooting-of-palestinian/

これは全くの筆者の個人的印象なのだが、この倒れたパレスチナ人が、このような場所に来るのに、どういうわけか赤い服を着て、周囲にはそそくさとしゃがんで動き回る仲間たちがいる中、のっぺりと立っている姿がどうにも不自然・・・イスラエルの極左組織にしくまれた可能性はないのかとも思うが、考え過ぎか。。

いずれにしても、問題の本質は、ヘブライ語で叫んでいる声が、人に危害を加えて楽しんでいるという残虐性である。

以前、ヘブロンで、すでに治安部隊に撃たれて重症になっているテロリストを不要に撃ったアザリヤ軍曹のケースでも、軍曹が、なんの躊躇もなく殺害していたことが最終的な問題とされた。

今回のビデオも人間を殺したかもしれない場面で、喜んでいたということが、最終的には問題になると思われる。

http://www.jpost.com/Israel-News/Has-the-next-Hebron-shooter-arrived-549317

これについて、ベネット教育相は、あくまでもイスラエル兵たちを擁護する立場である。「戦場とテルアビブの机上とは違う。(生死をかけた戦場で敵を倒したという)人間の自然な反応だと反論している。

https://www.timesofisrael.com/bennett-defends-soldiers-filmed-cheering-gazans-shooting/

<撃たれたパレスチナ人ジャーナリストはハマス戦闘員?>

先週金曜、パレスチナ人ジャーナリストのヤセル・ムタヤ(30)が、イスラエルの射撃で死亡したことで、イスラエルへの非難が高まっている。しかし、Yネットが、イスラエルのニュースエージェンシー・ワラに語ったところによると、ムタヤは、ハマスの戦闘員でもあったという。

2015年には、ドローンをハマスに届けたともみられている。リーバーマン外相は、今回、ムタヤは、現場でドローンを操作していたとして射撃されたもようである。しかし、昨今、フォトジャーナリストならドローンを使うことは十分ありうる。   

現場にハマス戦闘員として立っていたのか、ハマスのジャーナリストであったのか、そのどちらでもあったのだろうが、いずれにしても、死んでしまったことで、非難はイスラエルに集中するのである。言い訳はすべて、イスラエルに不利に働いている。

ハマスは、イスラエルへの国際非難を最大限に利用して、ハマスはイスラエルへの”帰還”運動を6週間、あくまでも継続する意思を表明している。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/244201

<ガザのハマス軍事拠点を空爆>

ハマスは、平和的な市民デモだと主張するが、イスラエル領内への侵入を試みたり、国境に爆発物をしかけるなどの武力行為は続いている。

イスラエルは、国境にプラスチックボトルの爆弾2つを発見したことから、「国境を戦場にさせない。」として、9日、ガザ北部のハマス拠点を空爆した。被害についての報道はない。

https://www.timesofisrael.com/israeli-jets-strike-gaza-after-palestinians-plant-bombs-on-fence/
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ガザ国境紛争再開:10人死亡 2018.4.8

 2018-04-08
先週金曜に引き続き、7日(金)にもガザ国境での衝突が発生。ガザ側の情報によれば、10人が死亡。500人以上が負傷した。*死者負傷者数は、情報がガザからのものであるため、メディアによって差がある。

先週の衝突では、17人が死亡。その後重傷者3人が死亡して20人となり、今週と合わせて30人が死亡したとみられている。

今回の死者の中には、パレスチナ人記者ヤセル・ムルタヤさんが含まれていた。土曜に行われた葬儀には、数百人とハマスのハニエ最高指導者も参列した。ハマスは、イスラエルが、記者を狙い撃ちしたと大きく訴えているが、イスラエルはこれを否定している。

https://www.timesofisrael.com/hundreds-at-funeral-for-journalist-killed-covering-mass-gaza-protests/

<7日(金)の様子>

ガザのパレスチナ人らは、先週金曜以降、国境防護壁から数百メートル周辺にテント村を形成し、踏みとどまっていた。

2回目の金曜が近づくにつれ、国境付近で燃やすためのタイヤを1万個ほども集め始め、イスラエル軍の射撃手を混乱させるための大きな鏡を持ちこんだり、野営病院の設営などをしている様子が報じられた。

イスラエル軍は、タイヤ燃焼で生じる黒煙を吹き払うため、大きな扇風機を用意するなどして衝突に備えた。

7日(金)は午前中から、パレスチナ人らが、タイヤを燃やして黒煙を上げ始めた。パレスチナの旗の間にナチスドイツの鉤十字の旗もあった。イスラエルは催涙弾も使い対処。時間が経つにつれて死亡の報せが入り始めたが、夕刻までに沈静化した。

デモの参加者は、平日よりは多い2万人と推測され、3万人が参加した先週より減っていたとイスラエル軍はみている。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/LIVE-COVERAGE-Standoff-resumes-Gazans-set-thousands-of-tires-ablaze-548997

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/In-pictures-20000-Palestinians-protest-in-Gaza-549055

<デモはフェイスブックからはじまった?>

このデモについては、ガザの政治活動家アブ・アイティマ氏(34)が、フェイスブックで数ヶ月前に、「もし何千人ものパレスチナ人が、国境破りをしたらどうなるだろうか。」と書き込んだことにヒントを得た結果ではないかと言われている。

アイティマ氏は、Yネットのインタビューで、あくまでも平和的デモを支持するものであり、実際に群衆が国境破りをするとは思えないと語る。

「イスラエルへの暴力に効果がないことは明らかだ。私は、イスラエル人を排斥しようとは思わない。ただ南アフリカのように人種差別の今の政府がなくなって、イスラエル人とパレスチナ人が、民主国家の元で、ひとつになって住むことだ。」と語ったている。

イスラエルは、アパルトヘイト国ではない。今もすでに民主国家である。人種差別がまったくないとはいえないが、ユダヤ人とアラブ人は今もすでに同居している。しかし、イスラエルは、ユダヤ人の国という性質を維持しなければならないため、今以上にパレスチナ人全部の帰還をイスラエルが受け入れることはないと表明している。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5221944,00.html

デモは、もしかしたら、フェイスブックから始まったかもしれないが、ハマスはこれを十分活用している。紛争の最中に、シンワル指導者が現場に来て応援して奨励している。

また、ハマス報道官によると、ハマスは、死亡した者の家族には3000ドル(約35万円)、負傷者には200-500ドルを支払っているとのこと。

https://www.timesofisrael.com/hamas-will-reportedly-pay-families-of-gazans-killed-in-israel-clashes/

<ガザ沖でイスラム聖戦の攻撃計画を摘発>

イスラエル諜報機関シン・ベトとイスラエル軍は、ガザ国境での紛争が始まる以前の3月12日、ガザ沖でイスラエルを攻撃しようとしたイスラム聖戦の計画を未然に防いでいたことを明らかにした。

それによると、漁船に見せかけた船が、イスラエル領海へ入りこみ、それを停止しに来たイスラエル海軍の船を2隻目が攻撃し、さらに3隻目が近づいて、イスラエル兵を誘拐する計画を遂行しようとした。

イスラエル軍は、これを未然に察知し、関係者とともに、首謀者マフムード・ジュマを逮捕した。ジュマは、この攻撃で5000ドルを約束されていたという。

ジャマは、2012年ごろ、漁船を使って、エジプトからハマスに300キロの爆発物を運搬している。2014年ごろには、武器製造のためのファイバー150パックをハマスに届けていた。また地下トンネルからライフルもハマスに届けていた。

ネタニヤフ首相は、これらはガザ国境でのデモが、ハマスの真の目的(イスラエル打倒)をカモフラージュするものだということだと語った。

https://www.timesofisrael.com/shin-bet-idf-thwart-islamic-jihad-attack-on-navy-boats-off-gaza-coast/

なお、イスラエル海軍は、近年、ハマスが、陸上では地下トンネルを使うように、海底からもイスラエルを攻撃しようとしているとの情報があり、警戒していたという。

<国際非難とイスラエルの反論>

先週17人が死亡したことを受けて、翌4月1日、まずはトルコのエルドアン大統領が、「イスラエルの非人間的な行為、ネタニヤフ首相はテロリストだ。」と非難した。

これを受けてネタニヤフ首相は、「世界で最も道徳的な軍隊は、市民(クルド人)を空爆する国から道徳を教えてもらう必要はない。」とやり返した。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-43611859

ヨルダンとエジプトは、イスラエルが過剰な武力を行使していると非難した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/243881

国連は、先週金曜以降、イスラエル軍に実弾を使わないよう警告したが、イスラエル軍は、銃撃しているのは、国境から侵入してくる者たちで、多くはハマス戦闘員であると反発。侵入者のCCTV映像を流している。

しかし、多数の死者が発生しているのは事実で、その中にはティーンエイジャーも含まれていることから、イスラエルへの国際非難は高まりつつある。先週に続いて2回目となるこの金曜の紛争を受けて、EUは、本日土曜の会合で、イスラエルが過剰に武器を使用していると指摘した。

https://www.timesofisrael.com/idf-uses-tear-gas-live-fire-as-thousands-protest-at-gaza-border/

イスラエルのリーバーマン防衛相は、イスラエルは、ガザからイスラエルへ侵入しようとする者への厳しい対処は続ける方針だと語り、「国境に近づくことは命とりになる。愚かなことはしないように。」と、ガザの人々に呼びかけている。

また、「ハマスは、ガザと市民の復興に使うべき2億6000万ドルもの資金をすべて(トンネルなど)テロ施設に費やしている。ガザ市民は、イスラエルと戦うよりも、指導者を変えた方がよい。」と語った。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/gaza-news/Ahead-of-fresh-standoff-Hamas-reveals-payouts-to-injured-protesters-548990

<サウジアラビアの以外な反応:イスラエルには存在の権利がある>

ガザ国境での紛争について、同盟国アメリカは、「ガザの人々は、緩衝地帯に近づかないようにせよ。」と警告し、今回もイスラエルの側に立った。また国連安保理でのイスラエルへの非難決議はアメリカが拒否権を発動し、可決されなかった。

最近、イスラエルに近づいていると言われるサウジアラビアだが、2日月曜、ビン・サルマン王子が、アメリカの雑誌へのインタビューで、パレスチナ人が国を持つ権利があると同時に、「ユダヤ人は、少なくともその祖先からの土地に国を持つ権利がある。」と重大な発言をした。

湾岸アラブ諸国がイスラエルの存在を認めるのは始めて。

https://www.timesofisrael.com/saudi-crown-prince-recognizes-israels-right-to-exist-talks-up-future-ties/

<石のひとりごと:紛争と平和>

ガザ周辺で紛争になってはいるが、イスラエル国内はそんなこととは正反対。今日までの過越の1週間で、地中海のビーチやガリラヤ湖、国立公園で、休暇を楽しんだ市民は150万人にのぼっていた。

いわゆるゴールデンウイークで、どこへ行っても超満員。カイザリヤは4万8000人、エンゲディは3万4000人で、ダビデの滝など、文字どおり芋の子を洗う状態。ガザと目と鼻の先のアシュケロンのビーチですら3万2000人だった。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5223084,00.html

エルサレムも非常に気持ちのよい気候で、木々は緑も美しく、花を咲かせている木も多い。野の花は乾き始めてはいるが、まだ蝶がひらついている。今日土曜は安息日なので、走る車もなく、静まりかえっている。何種類もの鳥が美しい声を聞かせてくれて、なんとも気持ちが良い。

過越休暇の最後で、家族たちが集まっているのだろう。アパート前無料駐車場は、車でひしめきあっている。今午後3時。皆おいしいものを食べた後で昼寝でもしているのか、陽だまりの中でおだやかな静けさである。

昨日金曜午後、プロムナード付近を散歩した。ゆっくり散歩する人々や、家族づれ。子供たちは走り回っていた。赤いアイスクリーム売りのトラックがいる。世俗派もいれば、正統派の夫妻も歩いている。

芝生の上でくつろいでいる家族づれの女性はイスラムのヒジャブ姿だ。付近に住むパレスチナ人の家族である。その向こうにはエルサレムの旧市街とオリーブ山の光景がひろがっている。まさに世界一祝福されている町だと実感するような日であった。

しかし、この平和そのものにみえるエルサレムから、車でわずか2時間のガザ国境では、この日だけで10人が命を落とした。なんとも考え難い現実だ。イスラエルは、紛争と平和が同居する国なのである。

このように、全国のイスラエル市民が平和にしていられるのは、今日も休日返上でガザ付近に駐留し、まったくもってやりたくもない射撃手になってくれている治安部隊兵士たちのおかげである。

ハマスは、10年間、ガザ地区の管理を任され、結果、ガザを破壊しつくした。さらにまだ市民を死に追いやっている。それが今、イスラエルに戻るという。世界はそれに同情する。

しかし、それはありえないだけでなく、もし仮にありえたとしても、それこそ土地と平和を破壊することである。ガザの若者たちも世界も、この現状を知る由もない・・・いや知ろうともしなていないのかもしれないと思う。
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