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ガザ情勢:ハマスとの合意進行中? 2018.11.05

 2018-11-05
緊張が高まっていたガザ情勢だが、地元メディアが伝えているところによると、エジプトと国連の仲介で、ハマスとイスラエルの間に、長期停戦への動きが本格化しているもようである。

毎週金曜恒例になっているガザ国境での「帰還への行進」デモ(暴動)は、先週の金曜、4箇所数百人にとどまり、これまでで最も静かな金曜であった。

<エジプトのシシ大統領とアッバス議長会談>

エジプトと国連の仲介でハマスとイスラエルの間でなんらかの合意に至ることを快く思わないのが、アッバス議長であった。アッバス議長は、国際社会では”パレスチナ人代表”であるのに、この交渉については、蚊帳の外だったからである。

アッバス議長は、ガザ地区への送金を全て差し止めると脅迫することでハマスを追い詰め、イスラエルへの暴動を激化させて、エジプトの仲介への試みを妨害しようとしていた。これを鑑みてかどうか、3日(土)、エジプトのシシ大統領は、シナイ半島でアッバス議長と会談を行った。

その後、ハマスとの関連で知られるレバノンの新聞が伝えたところによると、ガザについて、今後3年の間に達成する目標が決められ、それが達成した場合に次の段階にいくということで、ハマスとイスラエルの間に合意が進んだもようである。その項目はまとめると以下の通りとなる。

①ハマスは、「帰還への行進」暴動を沈静化させる。平和的なデモは今年末まで継続する。

②イスラエルは、2検問所からの物資搬入を70%まで回復させる。

③国連がガザでインフラ整備を企画し、3万人の就業を実現する

④エジプトがラファの国境を開放する

⑤ガザの漁業海域を14マイルまで拡大する

⑥パレスチナ自治政府は、公職者の給与への支払いを80%にまで戻す(出資はカタール)

ロシアと国連がこれらを監視し、3年間これらが継続するなら、ハマスとイスラエルの間で、捕虜交換を行う。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Abbas-Sisi-meet-as-Gaza-deal-in-the-works-571013

実施されるかどうかは別として、とりあえず、ハマスとイスラム聖戦は、先週金曜の暴動を沈静化させている。

<ガザへのアメ作戦は効果的か>

WHOの報告によると、ガザの電力は1日3−4時間、水道の95%はもはや食用に不向きで、下水は未処理のまま、ガザの通りや海に垂れ流し。病院は機能しておらず、学校もほぼ機能していない。若者の失業率は60%にのぼる。

こうした中で、イスラエルが軍事力を使ってガザを攻撃することが逆効果になることは目に見えている。

しかし、ミサイルを撃ち込まれ、火炎風船で田畑を焼かれ、地下トンネルを掘り続けて、イスラエル南部住民が継続して被害を受け続ける中で、その相手の生活改善をし続けることは、決して容易いことではない。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5387104,00.html

実際、イスラエル南部のティーンエイジャーたちが、ガザへの反撃を行わない政府に抗議するため、日曜、エルサレムまでの90キロを歩くマーチを始めた。デモ隊は木曜にエルサレムに到着するみこみ。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5388587,00.html
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エスカレートするガザ情勢:背後にイランの影響か 2018.10.30

 2018-10-30
ガザ情勢は、戦争と紙一重ではあるが、イスラエルにはガザを一掃する予定は今の所ない。ガザの一掃は難しいことではないが、それにより、最終的には、ガザを占領した形になり、イスラエル軍が駐留しなければならなくなるからである。

それを逆手にとり、ガザからは、イスラエルを挑発する攻撃行為が続いている。さらにはレバノンのヒズボラまでが、挑発するような行為に出始めている。その背後には、どうもイランの動きがあるようである。週末から今に至るまでの経過は以下の通り。

1)11/26(金)イスラエル南部へロケット弾40発:イスラム聖戦がイランの命令で実施:イスラエル軍発表

エジプトの仲介により、先週木曜、ついにハマスとイスラエルが停戦の合意にいたったようだなどとの情報もでていた。しかし、その翌日の金曜には、先週より多い1万6000人が暴動に参加(イスラエル軍発表)。この時の衝突でパレスチナ人4人(いずれも20歳代)が死亡した。

その夜、22−23時半にかけて、スデロットを含むガザ周辺広範囲の多数のキブツでサイレンがひっきりなしに発動。ガザから、ロケット弾約40発がイスラエル南部地域へ向けて断続的に発射された。アイアンドームが17発を撃墜。2発はガザ領内に着弾。それ以外は、空き地に着弾し、被害はなかった。

サイレンを聞いてあわててシェルターへ駆け込むときに怪我をした人や、ショックで病院へ搬送された人もいたが、いずれもごく軽傷だったとのこと。これに対し、イスラエル空軍は、土曜早朝にかけてガザ内部87箇所へ空爆を行った。

今回のイスラエルへのロケット弾攻撃は、時期的にハマスとイスラエルが合意に至ったと発表された直後であったことから、ハマスには不本意なものであったとみられた。案の定、イスラム聖戦が、ロケット弾を発射したとの声明を出し、その後、独自でイスラエルとの合意に至ったと発表した。
(合意に至ったということへの信憑性はない)

この流れからわかることは、イスラム先生は、もはやハマスには従わないということ。さらに、イスラム聖戦がイランからの軍事支援を受けているだけでなく、イランの命令に忠実な犬になっているということである。

イスラエル軍スポークスマンは、27日(土)朝の記者会見にて、「攻撃はシリアと、ダマスカスにいるイラン革命軍からの指令であった。」との見解を発表。必要なら、イスラエル軍は、ガザに限らず、どこでも攻撃すると、シリアにいるイラン革命軍への攻撃も辞さないと釘をさす声明を出した。

https://www.jpost.com/Israel-News/IDF-Islamic-Jihad-Rockets-were-directed-from-Iran-Syria-570422

2)11/28(日)ガザ国境で14歳2人、13歳1人死亡:イスラム聖戦が復讐を警告

その2日後の28日日曜、若いパレスチナ人3人が、防護柵付近に爆弾らしきものを仕掛けようとしているのをイスラエル軍が発見。上空からこの3人への攻撃を行い、3人は死亡した。

パレスチナ側の情報によると、死亡した3人は、2人が13歳、1人が14歳であった。3人の遺体の写真がソーシャル・メディアに出回った。この後、ガザの群衆数百人が、29日(月)、イスラム聖戦幹部の家周辺で、イスラエルへの復讐を叫び、テルアビブを攻撃するよう要求した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/253932

これを受けて、イスラム聖戦は、3人の死に対する復讐を行うと警告している。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5382932,00.html

<イランがイスラエルへの挑発を行う理由:Yネットの中東専門家ロン・ベン・イシャイ氏の分析より>

なぜ、この時期にイランがイスラエルへの挑発を行っているのかについては、以下の理由が考えられる。

①エジプトの仲介によるハマスとイスラエルの合意を妨害するため

エジプトの仲介でハマスとイスラエルが本当になんらかの平穏に戻った場合、エジプト、ならびにアメリカの中東でのリーダーシップが明らかになるため、これを妨害しようとした可能性が考えられる。

アメリカのトランプ大統領は、エジプトの仲介により、ハマスとイスラエルの間に平穏が戻ったのを見届けた後に、皆が待ち望んでいるトランプ式中東和平案を発表するとみられている。

②イスラエルと湾岸スンニ派アラブ諸国の接近を妨害するため

以下に述べるが、26日(金)、イスラエルのネタニヤフ首相が、オマーンからの招きで公式訪問を行っていた。

この直前には、パレスチナ自治政府のアッバス議長がオマーンを訪問しており、オマーンのスルタンカブースは、中東和平の仲介に意欲を示している。 エジプトに加えて湾岸アラブ諸国が、イスラエルとアメリカとの関係を回復した場合、イランが問題児になってしまう構図になるためである。

③アメリカのイランへの経済制裁(11/6)を阻止、または軽減させるため

イスラエルが挑発に乗って大きな戦争へと発展させることでもあれば、アメリカの中東での正当性が失われ、イランへの経済制裁も正当性をなくす可能性が出てくる。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5381560,00.html

イランからの声明は出ていない。アメリカは、もし本当にイスラエルがイランを攻撃した場合、これは本当に中東全体が戦争になるため、懸念を表明している。

<怒るイスラエル南部住民>

イスラエル軍は、土曜早朝のガザ内部への空爆の後、イスラエル南部の住民に対し、通常の生活にもどってよいとの指示を出した。しかし、南部周辺住民は、土曜夜に集まり、日曜に子供を登校させないと訴えた。

南部住民たちは、毎週のように、サイレンでシェルターに駆け込む日々を送っているのだが、イスラエル政府が、断固とした対策を取らないことに不満を訴えている。

29日(日)には、一部の南部住民がテルアビブにおいて、「兄弟たち。目を覚ましてほしい。南部は炎上している。」と訴え、政府に何か行動するよう訴えるデモを行っている。

スデロットに住むミリ・アスリンさんは、息子たちの登下校中、シェルターのない道が500mあると訴える。ある時、その道中でサイレンが鳴り、逃げる場所もないまま、頭の上で、アイアンドームがロケット弾を撃墜したこともあるという。

南部住民は、こうした中でも続けられているガザへの燃料や人道支援物資搬入を阻止しようとして、一時、ケレン・ショムロン検問所への道路を閉鎖する動きにも出ている。

住民たちは、こうした抗議行動に政治的な背景はなく、あくまでも住民みずからの訴えであると強調している。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5382381,00.html

しかしながら、イスラエル軍は、何手も先を読む中で、今は大きな戦いにしないほうがイスラエルの益になると考えているわけなので、すでに被害を受けている住民の声を聞くわけにもいかないだろうと思われる・・・
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ガザ情勢リンボー状態 2018.10.21

 2018-10-21
戦争と紙一重のガザ情勢。17日夜、グラッドミサイルがベエルシェバに着弾し、イスラエル空軍がガザへの空爆を行い、19日金曜に向けて緊張が高まったが、戦争に突入することはなかった。

イスラエルもハマスも大きな戦争にはしたくないためか、どっちつかずのリンボー状態が続いている。しかし、来週、パレスチナ自治政府が、ガザへの送金を完全に停止するかどうかを決めることになっており、今一度危機が来る可能性が懸念されている。

<ベエルシェバ家屋にミサイル着弾:奇跡の脱出で負傷者なし>

17日(水)早朝4時前、ガザからグラッドミサイルがベエルシェバに向けて発射された。サイレンが鳴ったため、家の1階で寝ていたミリ・タマルさん(39)は、2階のそれぞれの部屋にいた子供達3人(8歳、9歳、12歳)を連れて、防護室に駆け込んだ。

防護室に駆け込んだ直後、この家にミサイルが着弾。家は防護室のみをのこして全壊した。ミリさんと3人の子供達は、まさに間一髪で助かったことになる。4人は、のちに警察によって防護室から救出された。

大きなミサイルであったため、ミリさんの隣にも破片が飛び、ベランダを破壊した。道路にも破片が散乱していたという。

この攻撃で、ミリさんと3人の子供たちを含む7人が、一時病院でショックの経過観察を受けたが、負傷者もなかったのは奇跡であった。

この直後、イスラエル空軍が、ガザのハマスとイスラム聖戦拠点を攻撃したが、ガザでも負傷者の報告はない。もしこの時、ベエルシェバで負傷者や犠牲者が出ていたら、今頃戦争になっていたことは間違いない。

なお、大破したミリ・タマルさんの家は、国が全額、再建を保証するが、数ヶ月かかるみこみ。一家は現在、ホテルに滞在している。ホテル代やしばらくの生活費は、ユダヤ機関などからも献金されている。

3人の子供達を守りきったミリさんは「メスライオン」とも言われ、その行動が賞賛されているが、ショックは大きく、あとに心理的トラウマを残さないか懸念されるところだ。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5372931,00.html

<ガザ国境にイスラエル軍戦車部隊派遣>

ベエルシェバへのミサイル攻撃を受けて、イスラエル軍のエイセンコット参謀総長は、アメリカ訪問の予定を繰り上げて帰国した。

リーバーマン国防相は、ただちにガザへの通路ケレン・ショムロンとエレツ検問所を閉鎖。これにより、電気の配給を大幅改善するためのカタールからの出資による燃料が差し止められた。ガザの漁業海域を3海里縮小するよう命じた。

ネタニヤフ首相はただちに治安委員会を開催。会議は5時間半にわたって行われたが、内容に関するメディアへの発表はない。しかし,反撃のレベルを上げたと漏れ伝えられている。

18日、十数代の戦車を含むイスラエル軍の攻撃部隊が、ガザ国境に配置された。日中堂々と戦車を配置することで、19日の国境でのデモをけん制するねらいがあったとみられる。

ベン・グリオン空港では、木曜、念のため、フライトがガザ上空を飛ばないようルート変更したとのこと。ベン・グリオン空港は、今、観光のピークを迎えており、チェックインが長蛇の列をなしている。フライトが停止するような戦争にならなかったのは幸いであった。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5374311,00.html

<ハマス:金曜デモで国境に近づかないよう指示>

ベエルシェバへのミサイル攻撃について、ハマスとイスラム聖戦は、「この攻撃はイスラエルの包囲網解放の益になるものではない。」として、攻撃の責任を否定する共同声明を出した。

またハマスは、19日金曜、毎週行われている「帰還」へのデモに先立ち、パレスチナ人らに国境に近づかないよう指示をだした。

これは、エジプトと国連が、必死にハマスとイスラエルとの交渉を続けている中で、エジプトが圧力をかけたとみられる。

しかし、実際には19日金曜には、先週の1万5000人からは減少したものの、1万人がデモに参加。タイヤを燃やしたり、イスラエル軍に投石するなどして、イスラエル軍が反撃、ガザの健康局によると、    人が負傷。2人が死亡した。

アルーツ7によると、ガザの暴徒は、イスラエルからガザへのガスのパイプを破壊したという。自らの首を絞めるような行為である。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/253509

さらに20日土曜朝、国境の有刺鉄線を破ってイスラエル側へ侵入し、イスラエル軍が放棄した監視拠点に、デモで死亡したパレスチナ人の写真を立てるという行為を撮影し、ネットに勇ましい音楽とともにアップしたりした。

また土曜午後には、多数の放火風船が飛来し、安息日であるのに、地元の消化チームが出動させられた。イスラエル軍は、風船を飛ばそうとしているパレスチナ人に攻撃を行った。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5375728,00.html

<イスラエル南部住民の声>

リーバーマン防衛相は、国境に戦車を派遣してはいるが、もしガザでの暴力が沈静化するようなら、21日日曜にも、カタールからの燃料のガザへの搬入を再開するとも示唆している。

ガザの市民生活が崩壊寸前であることから、人道支援というアメをムチとともに使うことがイスラエル政府の今の所の方針なのである。

しかし、これについて、イスラエル南部の市民たちは、満足していない。ミサイルは、17日夜中に着弾したが、南部地域では、16日にもサイレンが鳴り響いて、住民は防護室シェルターに駆け込んでいる。

可愛らしい風船の塊に取り付けられた発火物や爆弾は、前にもましてイスラエル南部に飛来し、いくつかはエルサレムにまで飛んできている。これらによる火災で焼き尽くされた畑地は広大である。

スデロット住民のバス運転手ボリスさんは、「アラブ人はアラブ人どうしでも平和に暮らすことができてない。イスラエルと和平が成り立つわけがないということを政府はわかっていない。」と不満を述べていた。

とはいえ、イスラエルがガザを一掃しても、何の得もない。攻撃によってガザの多くの市民が犠牲となるのことは避けられず、国際社会からはイスラエルが非難されるだろう。さらに一掃したのちのガザの復興をイスラエルが背負わされることになる。

とはいえ、ガザ情勢はリンボー状態だが、「仏の顔も三度まで」ならぬ、イスラエルの堪忍袋がいつまでもつかは、もはや時間の問題かもしれない。

<ぎりぎりの仲介:エジプト>

ハマスとイスラエルの間を仲介しているのは、主にエジプトである。仲介にあたるのはエジプトのアッバス・カーメル諜報部長官。

カーメル長官は、17日水曜ハマスを訪問。金曜のデモを縮小するようハマスに圧力をかけ、国境から500メートル離れるよう要請したが、ハマスはエジプトのこの要請を拒否したとのこと。(エルサレムポスト)

この後、カーメル長官は、木曜、ラマラでファタハ幹部と会談する予定であったが、ベエルシェバへのミサイルでキャンセルとなった。来週、ラマラを訪問する可能性がある。

ファタハは、パレスチナ自治政府を主要な立場で運営している組織だが、自治政府そのもではない。エジプトは今回、あえて、ファタハにアプローチしようとしている。

ファタハは、ハマスが、ファタハとの和解よりも、イスラエルとの合意を目指していることについて、トランプ大統領のまだ明らかにされていない中東和平案の片棒を担ごうとしていると非難している。

来週、ファタハでありパレスチナ自治政府のアッバス議長が、ガザへの送金を差し止めるかどうかが今、焦点となっている。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Hamas-rejects-Egyptian-demand-to-stop-Gaza-border-protests-569846

<これからどういう道が考えられるのか:元イスラエル軍作戦部門長官・国家治安委員ギオラ・エイランド氏電話会見より>

実際のところ、イスラエルもハマスも大きな衝突を望んでいないのは確かである。今後どういう道があり得るのか、元イスラエル軍作戦部門長官で、国家治安委員でもあるギオラ・エイランド氏によると次の3つが考えられるという。

①何もしないで、ハマスからの時々の小さな攻撃に耐え、大きな衝突にはしない。

②積極的にハマスを攻撃する。

③ハマスを一つの国と考え、その指導者をハマスとは別に、一つの独立国の指導者と考えて、ガザの復興に向けて協力する。

エイランド氏の考えでは、ガザの市民生活が崩壊することは、ハマスにとっても好ましいことではない。イスラエルにとっても、ガザ市民が人間らしく生活することで、テロへの意欲も削がれると考えている。したがって、市民生活の復興は、両者の共通の目標であるから、ハマスとイスラエルが、その点にむかってなんらかの(合意ではなく)”アレンジメント”にいたる可能性はある。

この場合、資金が武器等に使われないよう、復興プロジェクトに応じて送金するシステムにすれば、支援金の不正使用は防ぐことは容易であるとエイランド氏。

しかし、パレスチナ自治政府とファタハであるアッバス議長が、ガザへの送金を完全に停止して、ガザの復興を妨害するとしたら、①か②の悪い道しか残らない。エイランド氏は、アッバス議長のみが交渉の相手とみなす野党の考えには同意できないと語る。

つまり・・・今ハマスとガザがなんらかのアレンジメントに到達し、両者の間の平穏が長期間続くことが最善の道であるということである。

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西岸地区も混乱:過激入植者がパレスチナ人女性殺害か 2018.10.21

 2018-10-21
西岸地区でもパレスチナ人とイスラエル人の衝突が続いている。9月には、グッシュ・エチオンで、男性が1人、10月に入って、アリエル近郊のバルカンの産業パークで、2人のユダヤ人が、パレスチナ人テロリストに殺害された。

バルカンでのテロ容疑者アシュラフ・ナロワ(23)は武器を持って逃走していたが、西岸地区のパレスチナ地区シュウェイカの建設中の学校に立てこもっていたところ、イスラエル軍に包囲され、逮捕されたと伝えられている。(まだイスラエル軍の正式発表ではない)

なお、この捜査には、パレスチナ自治警察も協力していた。

https://www.timesofisrael.com/idf-troops-operate-in-village-of-barkan-terrorist-as-manhunt-continues/

<過激入植者がパレスチナ人女性を殺害か>

先週12日、西岸地区ナブルス近郊の悪名高いタプアハ交差点付近で、パレスチナ人夫妻とその娘(9)の乗った車が、投石に会い、車内にいたアイーシャ・アル・ラビさん(45)が負傷。後に死亡した。車内で9歳の娘が号泣していたという。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Police-probing-charge-Palestinian-woman-killed-by-Jewish-stone-thrower-569312

パレスチナ自治政府は、アイーシャさんとともに車内にいた夫の証言とともに、このテロ行為は、過激なユダヤ人入植者によるものであるとして、国際社会に訴える構えである。

イスラエルの警察は、パレスチナ人テロリストが、ユダヤ人の車と間違って投石した可能性もまだ完全には捨ててはいないが、ユダヤ人入植者たちが、パレスチナ人テロリストにユダヤ人を殺されたことへの逆襲である可能性が高いとみて捜査を進めている。

イスラエルのニュースでは、あまり取り上げられないが、パレスチナ人たちによると、過激なユダヤ人ユースの入植者による暴力が、日常茶飯事であり、非常に恐れられているという。

こうしたパレスチナ人をユダヤ人の人権保護弁護士グループ「イエシュ・ディン」が弁護する働きを行っている。
https://www.yesh-din.org/en/

「イエシュ・ディン」が撮影し、ネットに公表したクリップをみると、15人ほどの白いシャツで揃えた過激なユダヤ人ユースが、パレスチナ人農夫に向かって投石し、パレスチナ人たちが逃げる様子や、入植者らが、投石したあと、車に乗り込んで逃げる様子が、ネットに上げられている。(今回の事件とは関係はない)

なお、イエシュ・ディンは、ヨーロッパ諸国諸団体からの支援で成り立っている。(つまり、反イスラエル関連)

<石のひとりごと:大人のけんか>

ガザ国境での衝突はまさに大人の喧嘩にみえる。ガザのパレスチナ人が、イスラエルの”陣地”に忍び込んで、紛争で死亡したパレスチナ人の写真を立てて戻ってきて喜ぶなど、まさに命のかかった鬼ごっこである。イスラエルとしては、まったく迷惑な話としかいいようがない。

世界は、喧嘩の原因は、イスラエルのガザ包囲が原因だと非難するが、だいたい、ガザからの攻撃がなければ、合理的なイスラエルが、ガザの包囲のようなお金のかかる無駄を続けるはずはないのである。ハマスが先に攻撃をやめないかぎり、イスラエルが先に包囲を解くことはない。

一方、ハマスはガザの支配権を握ってから12年。すべてを犠牲にしてイスラエルと戦ってきたのであるから、今更それをやめるわけにはいかない。ガザの住民は、今更イスラエルと戦っても「帰還」などありえないことを知っているが、彼らには、今はそれ以外にすることすらない。要するにハマスの方でも、戦っている目標がはっきりしない戦いなのかもしれないが、今更やめられないのだろう。

西岸地区では、テロに対してテロでやり返すという憎しみと暴力の応酬が続いている。

大部分のユダヤ人入植者は、隣にいるパレスチナ人との平和な交流を願っている。パレスチナ人もユダヤ人の工場で働いて安定した暮らしをすることを喜んでいた人も少なからずいた。しかし、双方に過激な者たちがいて、殺し合いをするので、大多数の人々は、互いに仲良くしようとしても引き裂かれてしまうのである。

要するに、一握りの過激派が大部分の人々をふりまわしているということだが、この問題は、年月が経って、いまや卵が先か、鶏が先かというレベルになってしまった。もはやだれにも解決できない問題である。

人の命がかかっているだけに、大人の喧嘩は、実にやっかいである。
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アメリカが大使館と領事館を合併へ 2018.10.21

 2018-10-21
アメリカのポンペイオ国務長官は18日、東エルサレムの米領事館と、今年5月にエルサレムに移動した米大使館を合併すると発表した。これからは、フリードマン米大使が、領事も統括することになる。

エルサレムのアメリカの大使館は、同じくエルサレムにあった領事館の建物に入ったのであるから、合併することで仕事の効率化を図るというポンペイオ国務長官の発表は、道理にあっているわけである。

しかし、アメリカをはじめパレスチナを国と認めていない国々は、領事館をパレスチナとの直接の連絡路にしている。東エルサレムにあった米領事館も、これまでパレスチナ自治政府との連絡窓口になっていた。

ポンペイオ国務長官は、この政策が、アメリカはどちらの側にも立たないとする方針に変わりはなく、領事館が大使館と合併した後にもパレスチナ部署は継続するので、今までとなにも変わらないと今日c上している。

しかし、このアメリカの動きは、イスラエルとパレスチナという2国家に分割する案からイスラエルという1国家支配にアメリカが向かい始めたともとれる動きである。

パレスチナ自治政府のエレカット交渉担当は、「これは効率化ではない。アメリカはイスラエルの犯罪を助けるために、アメリカの外交方針と国際社会の外交の基礎を壊そうとしているのだ。」と非難した。

https://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/US-merges-Jerusalem-embassy-and-consulate-breaking-another-tradition-569740

https://www.timesofisrael.com/in-blow-to-palestinians-us-places-jerusalem-consulate-under-embassy/
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西岸地区産業パークでテロ:2人死亡 2018.10.8

 2018-10-08
7日早朝、西岸地区のアリエル市近郊にあるバルカン・産業パーク内で銃撃テロが発生。ユダヤ人2人が死亡。1人が中等度の負傷を負った。

テロリストは、軽機関銃を持ったまま逃走中で、現在、イスラエル軍が、2部隊と特殊部隊も動員して捜索を続けている。

https://www.mako.co.il/mako-vod-channel2-news/main-newscast-2e371988a43b0610/8aca01c89ff26610/VOD-1a4c864648f4661006.htm?sCh=ee06c13070733210&pId=1859923711

死亡したのは、アロン・グループCEOの秘書キム・リーベングランド・イェヘジケルさん(28)と、同会社の会計士ジブ・ハジビさん(35)。防犯カメラの映像などから、テロリストは犠牲者2人と同じ会社で電気技師として働いていたパレスチナ人、アシュラフ・ワリード・スレイマン・ナロワ(23)と断定された。

調べによると、ナロワは、まずキムさんを後ろでに縛り上げた後、近距離から銃殺。もう一人の女性(50代)の腹部を撃って重傷を負わせ、続いてジブさんを銃殺した。

ナロワは、犯行に及ぶ朝、フェイスブックに「(アラー)を待ち望む」と書き込んでいた他、友人たちに遺書を託していたとチャンネル2は伝えた。これまでにナロワの家族と友人知人らが拘束され、犯行に関わったかどうか、取り調べを受けている。

なお、犯人の自宅はすでに破壊することが決まり、その準備が進められている。イスラエルの怒りがいかに大きいかが察せられる。

現時点では、犯行は単独犯とみられているが、ガザのハマスとイスラム聖戦は、このテロ行為を賞賛する声明を出した。

https://www.timesofisrael.com/idf-names-palestinian-suspect-in-deadly-terror-attack-as-manhunt-persists/

<破壊された2つの家族>

このテロで犠牲になった2人は、まだ若い母親、また父親であった。キムさんには夫と1歳4ヶ月の息子。ジブ・ハジビさん(35)には妻と幼い3人の子供がいた。あまりにも突然に、2つの若い家族が破壊されてしまった。

キムさんの母親は、号泣し、「犯人はみな死ぬべきだ。彼らの家族は苦しむべきだ。」と訴えている。キムさんの葬儀は、自宅のあるローシュ・ハアインで7日の夜行われ、数百人が参列した。ジブさんの葬儀は8日午後に行われることになっている。

今朝まで元気でいたお母さん、お父さんが、もう二度と戻らない。家族たちのもとにこの人々が帰ってくることは二度とない。いつも思うが、あまりにも唐突すぎる別れである。残された子供達や親族がこれをどう整理していくのか、想像に絶する苦しみがこれから始まっていく。。。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5365612,00.html

<バルカン産業パーク:消えゆく共存の夢>

バルカン産業パークは、テルアビブから内陸へ30キロ、いわゆる”グリーンライン”を超えて、西岸地区に深く入り込んだ場所にある。近くには、1978年からユダヤ人たちが開拓して、今や市になったアリエル(人口約2万人)がある。

バルカン産業パークは、アリエル市に続いて1982年に設立された。産業パークとして企業に参入を呼びかけた。家賃がイスラエル領内の半分近いこともあり、今はフムスなどの食品、繊維、プラスチックなど164社が工場を置いている。バルカン・ワイナリーもあり、良質のワインを製造している。

労働者は約7200人で、50%は近隣に住むパレスチナ人である。パレスチナ人でも、ユダヤ人より給料が安いということはなく、休暇や、労働時間はもちろん、福利厚生もユダヤ人とまったく同等だという。

西岸地区には、こうしたユダヤ人による産業パークが20箇所あり、労働者28000人のうち18000人がパレスチナ人である。

数年前にバルカンセンターを取材したが、パレスチナ人労働者も、「パレスチナの会社の場合、給料をはらってもらえないこともあるが、ここでは、確実に払ってもらえるし、労働時間や休暇、福利厚生もあるので感謝している。」と安定した暮らしを楽しんでいるようだった。アラブの村から産業パークまでの送迎まであるということだった。

しかし、世界はバルカン産業パークに冷たかった。バルカンの土地は、西岸地区であり、まだ国際的にイスラエルの土地と認められていないにもかかわらず、ユダヤ人が工場をたてて収益をあげていると訴え、退去を求めてきた。

産業パークによって安定した暮らしを得たのはパレスチナ人でもあるのだが、これを主張すると、国際法を反故にしようとして既成事実を作ろうとしていると言われた。さらには、イスラエルが産業パークのせいで、西岸地区のパレスチナ人ビジネスが育たないとも訴えられた。

実際のところ、アリエル市もバルカン産業パークも、西岸地区の高台で、テルアビブを見下ろす位置にある。イスラエルの防衛戦略上、非常に重要な土地であることは確かである。イスラエルがこの地を戦略上奪ったのだというパレスチナ人の言い分には一理ある。

しかし、取材をする中、産業パークに参入した企業主たちは、たんにビジネスマンであり、そうした国家的な戦略とは関係なく、ただシンプルに、自分の収益とともに、パレスチナ人の生活も潤せていること、彼らと共存できていることを心から喜んでいたと感じた。

イスラエルのユダヤ人は、基本的に人好きで、多様性を排斥するのではなく、楽しむ人々である。それは、ユダヤ人自身が多様だからでもあろう。このイスラエルのユダヤ人の性質は、世界ではあまり理解されていないように思う。

現地のパレスチナ人も、内心、微妙であるかもしれないが、それよりも家族を平安に養えるほうを喜んでいたように見えた。

パレスチナ人労働者をどのようにしてみつけるのか、ユダヤ人経営者に聞くと、先に雇用したパレスチナ人労働者の紹介だと言っていた。互いに、ある程度の信頼関係もあったということである。

チャンネル2のニュースでは、事件後、襲撃んされたアロン・グループのCEOラファエル・アロン氏がインタビューされていたが、「パレスチナ人労働者には、ユダヤ人と同等かそれ以上のことをしてきたつもりだ。これからどうしたらいいのかわからない。まだ頭で理解できてない。混乱している。」と涙声で語っていた。

事件後、西岸地区の入植地では、「共存など夢物語にすぎない。結局のところ、占領する者とされる者。上にたつか下にたつかしかない。」という右派勢力の声が高まっている。今後、産業パークではパレスチナ人の雇用を減らしていくか、ユダヤ人労働者との働き場を分離するかなどの声もあがってきている。

https://www.timesofisrael.com/settler-leaders-insist-industrial-zone-shooting-wont-sink-isle-of-coexistence/

パレスチナ人たちは、このテロをどうとらえているのだろうか。イスラムのイデオロギーをとれば家族も親族も滅ぶ。現実をふまえて、イデオロギーを棚に上げ、家族の平安をとるか。両方とることはできない。どちらを選択するかはパレスチナ人それぞれに委ねられている。

<石のひとりごと>

今回のテロで、ユダヤ人がパレスチナ人社会にさしだしていた手が、切り落とされたような痛みを感じる。

故アリエル初代市長のロン・ナフマン氏は、真剣にパレスチナ人とのよき隣人関係を求め続け、対話を続け、その死の直前まで、その夢を追い続けていた人だった。

世界は彼をどうとらえようが、彼は必死に近隣のパレスチナ社会の指導者たちのところに行き、話し合いをし、友人として手をさしのばしていた。取材でナフマン氏に会ったことがあるが、それは表向きの戦略だけではなかったと筆者は思っている。

世界は、西岸地区の産業パークを非難し、撤去を要求するが、では世界は何をしているのか。UNRWAで支援だけを続けて依存させているだけではないか。それならば、雇用を生み出し、働いて、誇りを持って生活の糧を得る場所を提供しているイスラエルの方がはるかにパレスチナ人にとって有益な支援を提供していたのではないか。

イスラエル、またユダヤ人は神の選民と言われる。それにあこがれ、みずからもユダヤ人になろうとするクリスチャンもいる。しかし、選民であることの厳しさは半端ではない。今回のようなテロ事件が発生するたびに実感させられる。
カテゴリ :パレスチナ関係 トラックバック(-) コメント(-)
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