ハマスが新憲章を発表:アッバス・トランプ会談を前に 2017.5.2

 2017-05-02
ハマスが支配するガザ地区(人口200万人)は、常に「人間が住みえない地になりつつある」と言われながらも、いまだにそのまま続いているという悲惨が続く。

特に問題は電力。ガザ地区への電力の最大供給国はイスラエルで、その支払いは、ハマスのライバルであるパレスチナ自治政府が担っていた。これで1日8時間の電力供給をなんとか保っていたところである。

ところが、2日、パレスチナ自治政府のアッバス議長が、ガザ地区への電気代を差し止めると言ってきた。もしガザ地区の電気代が支払われず、イスラエルが電気を止めた場合、ガザ地区には1日1時間程度の電気しかなくなるという。

これに限らず、アッバス議長は最近、ガザ地区に対して、ハマスつぶしとも思えるような経済的圧力を行っている。

このままガザのハマスが崩壊することはイスラエルにとっても益になる部分はある。しかし、同時にガザ住民の人間生活を崩壊させることを意味しており、イスラエルにとっては人道上からも放置することは難しい。

また、もはや今以上に落ちるところのなくなったハマスが、逆ギレしてイスラエルに大規模な攻撃を仕掛けてくる可能性も大いにありうる。アッバス議長から決断のボールを投げられたイスラエルは困った事態になった。

今のところ、以後のニュースがないところをみると、イスラエルはとりあえずはまだガザ地区に電力を供給していると思われる。エルサレムポストによると、カタールが、1200万ドルを緊急支援したとの情報もあるが、今後が注目されるところである。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Palestinian-Authority-says-stopping-Gaza-electricity-payments-to-Israel-489106

<ハマス新憲章>

こんな情けない事態に陥っているハマスだが、2日、団体の新憲章、つまりはハマスの存在理由の基本姿勢なるものを、世界にむけて発表した。発表は、カタールのドーハで、海外流浪中のハマス政治部門指導者カリッド・マシャアルによって行われた。

それによると、広くアラブ世界を視野に入れているムスリム同胞団の一部としてのこれまでの立場を削除し、イスラム国家主義運動 (Islamic National Movement) としての立場を重視する形になっている。

その中で、団体の存在目的を「イスラエルを滅亡させること」ではなく、「歴史的パレスチナ人の土地を解放する」という言葉遣いに変えている。多少言葉遣いは緩和したかのようではあるが、イスラエルを滅亡させるという最終目標に変わりはない。

ハマスが今、この時点でこうした憲章文の変更を打ち出してきた背景には、アッバス議長のハマス潰しともいえる最近の厳しい対ハマス政策の中で、国際社会のハマスへの印象を変えようという点が考えられる。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4956334,00.html

<3日:アッバス・トランプ会談予定>

トランプ大統領は、就任当時から、パレスチナ問題への解決に意欲を語っている。その一環で、明日3日、アッバス議長が、ホワイトハウスでトランプ大統領と会談することになっている。

これに先立ち、アッバス議長は、自分こそパレスチナ市民の代表であることを強調付けるためか、ハマスに対する経済的困窮を誘発させるなどハマスに非常に厳しい政策をとり続けていたのである。

またアッバス議長は、ヨルダンのアブドラ国王、エジプトのシシ大統領とも会談を済ませており、イスラエルが1967年のラインまで撤退するしか解決はないとの合意をもってトランプ大統領に会うものとみられる。

対するトランプ大統領は、「両者(イスラエルとパレスチナ)が合意するなら、アメリカとしては二国家分割案でも1国家案でもどちらでもよい。」との立場を表明している。これは二国家案に固執したオバマ前政権とは違う立場である。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Abbas-Jordanian-king-affirm-support-for-serious-talks-on-Mideast-peace-489381

トランプ大統領は、エルサレム統一50周年記念日の5月24日の直前、22、23日とエルサレムを訪問する予定との情報がある。

その際に、トランプ大統領が、独自の中東和平案を明らかにするか、公約のアメリカ大使館のエルサレムへの移行を発表するのではないかとの憶測も飛び交っている。

http://www.timesofisrael.com/israel-us-eyeing-trump-visit-on-may-22-23/
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パレスチナ囚人ハンスト:300人断念 2017.5.2

 2017-05-02
イスラエルの刑務所にいるパレスチナ囚人約1200人が、17日にいっせいにハンガーストライキを始めてから2週間目にあたる日曜、先にハンストを断念した186人に続いて、さらに300人が断食を断念した。

まだ920人が断食を継続しているが、イスラエルは交渉にはいっさい応じていない。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/228860

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パレスチナ人ハンスト脱落186人

 2017-04-26
今月17日、イスラエルの刑務所にいるパレスチナ人の囚人ら1200人近くが、マルワン・バルグーティの指導で、ハンストに入ったとお伝えしたが、これまでにすでに数人が病院に搬送された他、186人が脱落している。

Yネットによると、ハンスト開始から24時間ですでに100人が脱落。4日後の21日にあらたに86人が脱落したもよう。4日後に脱落した86人のうち、84人はハマス所属の囚人たちだった。

きちんとした人数は把握できていないようだが、今もなおハンストを続けているのは1000人あまりとみられる。

背後の政治的な目的は別として、ハンストの表向きの要求は、

①房に公衆電話をつけること、
②家族の面会を月2回に戻す事*
③面会時間を45分から90分にすること。テロ等逮捕歴など前科のある家族が面会に来る事を制限しないこと
④3ヶ月に一回は、家族で写真をとることを許可してほしい

*赤十字が西岸地区やガザ地区からイスラエルへの家族の送迎を担当していたが、9ヶ月前に赤十字がこれを月一回にしたことが原因。イスラエルが制限したわけではない。

ネタニヤフ首相は、「イスラエルの刑務所は、国際法による基準を満たしているので、交渉の余地はない。」として、引き続き、ハンスト囚人との交渉はしない方針である。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4952505,00.html
http://www.timesofisrael.com/number-of-palestinian-prisoners-quitting-hunger-strike-rises-to-186/
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相変わらずテロ事件あり 2016.4.26

 2017-04-26
23日日曜、テルアビブのビーチ沿い、観光客でにぎわうホテルのロビーで、ナイフによるテロ事件が発生。男性3人と女性1人が負傷した。幸い、全員軽症だった。パレスチナ人(18)が容疑者として逮捕された。容疑は認めているという。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/228454

23日、カランディアの検問所で、女性兵士が刺された。テロリストはその場で撃たれている。

24日には、西岸地区のイスラエル軍基地付近で、兵士の群れにナイフを振りかざしてきりかかってきた者があった。
テロリストは、兵士らに撃たれて動けなくなり、病院に搬送された。

パレスチナ人の中には、こうしたテロでイスラエルの治安部隊に撃たれて死ぬことを、一つの自殺手段と考える者もいる。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4953665,00.html
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パレスチナ囚人のハンスト再び 2017.4.21

 2017-04-22
4月17日、テロ行為などでイスラエルの刑務所に収監されているパレスチナ囚人6500人のうち、少なくとも1187人が、ハンガーストライキに入った。4月17日は、パレスチナ人たちの間で、”囚人の日”と呼ばれる日である。

ハンストとは、死に至るまで断食を行い、囚人の健康を守る責任を持つ刑務所とその政府を困らせ、抗議行動を行うというものである。

Yネットによると、1967年以来、テロなどで逮捕されたパレスチナ人は、60万人。その中でパレスチナ囚人たちは、こうしたハンストを20回も行い、政治犯として通常の犯罪者とは違う取り扱いになるなどの利益を勝ち取ってきたという経過がある。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4949903,00.html

また、ハンストが始まると、ベツレヘムやヘブロンなど、パレスチナ自治政府領内各地で、囚人らを支持するデモが発生。イスラエルの治安部隊と衝突した。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4949978,00.html

<終身刑囚人マルワン・バルグーティの呼びかけ>

今回、ハンストでパレスチナ囚人らが要求するのは、イスラエルの刑務所は非人道的だという非難と、パレスチナの(イスラエルからの)解放と自由を国際社会に訴えることである。

しかし、今回は、それだけではなく、その背後に濃厚な政治的な目的があると指摘されている。

このハンストを呼びかけたのは、第二次インティファーダの際に、多数の自爆テロを指導し、自らもテロでイスラエル人5人を殺害した凶悪なテロリストとして、終身刑を5回言い渡され、すでに15年もイスラエルの刑務所にいるマルワン・バルグーティである。

バルグーティは、ハンストに先駆け、いかにイスラエルが、パレスチナ人を非人道的に逮捕し、拷問を行って取り調べをしているかなどを赤裸々に書き連ね、”イスラエルに虐げられているパレスチナ人の解放”を訴える記事をニューヨークタイムスに投稿していた。

記事:https://www.nytimes.com/2017/04/16/opinion/palestinian-hunger-strike-prisoners-call-for-justice.html?_r=0

それを、ニューヨークタイムスは、ハンスト開始の日に合わせて発表している。バルグーティとニューヨークタイムスの間になんらかの協力があったとして、イスラエルはこれを非難している。

*世界一甘い?イスラエルの刑務所

バルグーティの記事を読むと、イスラエルは非常に非人道的な扱いをしていることになっている。しかし、実際はそうではない。

数年前に、イスラエルのオフィル刑務所を取材したが、パレスチナ囚人たちは、刑務所の食事の他に、差し入れ等独自の食物を管理する倉庫を持っていた。

管理するのはパレスチナ囚人自身で、刑務所の食事は断食しても、その倉庫からの食物を摂ることも可能といえば可能であった。もちろん、完全な断食を行って、実際に死亡寸前まで行き、刑務所から出た囚人も過去にはいるのだが、選択として、食べる道はあるということである。

また現在は、停止したが、かつてパレスチナ囚人は、イスラエルの刑務所にいる間に、無料で、ヘブライ語学べる他、これも無料で、ヘブライ大学で学士を取ることも可能であった。*後者はその後、廃止になっている。

また、アラビア語の本の差し入れも可能であった他、アラビア語による集会なども可能であった。そのため、イスラエルの刑務所で、新たにテロを学ぶ若者もいたほどである。かなり閉鎖的な日本の刑務所とは比べものにならないほどの自由であるといわざるとえない。

また、イスラエルの刑務所が、バルグーティが訴えるような非人道的な環境ではないということは、パレスチナ囚人全員が、このハンストに参加しなかったことでも明らかである。

だいたい、イスラエルで終身刑のバルグーティが、イスラエルの知らないところで、ニューヨークタイムスに投稿できたこと事態、それを証明しているかのようである。

<政治的背景とは?:ポスト・アッバス>

では、今回、バルグーティが、ハンストを始めたのはどういう目的なのだろうか。

パレスチナ社会は、現在、西岸地区のPLOファタハと、ガザ地区のハマスに分裂している。今の所、ファタハにもハマスにもそれを解決する力はまったくないため、パレスチナ人の間には絶望感が広がっている。それがナイフなどによる、自殺行為的な単独テロを増長させているとも考えられる。

そうした中、バルグーティ(58)は、アッバス議長と同じPLOファタハの指導者の一人で、唯一、カリスマ性を持つ有力な指導者であると目される人物である。イスラエルの刑務所に長期間いることで、パレスチナ人からの尊敬もある。

しかし、いかんせん、バルグーティは、刑務所にいる囚人であるので、当然、指導者にはなれないのではあるが、アッバス議長の求心力が落ちる昨今、もしバルグーティが指導者になれば、ファタハは盛り返すと目されている。

イスラエルですら、もし将来、アッバス議長が倒れた場合、ハマスに西岸地区を奪われるよりは、バルグーティを時期ファタハの指導者に据えたほうがましだとして、刑務所からあえて出すことも可能性としては全くありえないことでもないとまで言われている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4950793,00.html

バルグーティに関する動きを、ファタハ、ハマスがどうみているかがだ、Yネットの分析によると、自分より人気のあるバルグーティの頭角をアッバス議長は快く思わず、またハマスにしても、強いファタハの登場は歓迎するものではない。

しかし、どちらも、一般のパレスチナ人の間でカリスマ的人気を持つバルグーティを、容易に非難することもできないといったところのようである。

<イスラエル政府の対応>

イスラエルは、バルグーティの身柄を北部の刑務所の独房へ移した。ハンスト参加者を今以上に煽ることを予防するためである。

また、国内治安担当のギラッド・エルダン氏は、ハンストをしている囚人で医療的ケアが必要になった者を受け入れる準備をすすめるよう指示した。イスラエルとしては、強制的な食事摂取も行う。これについては法整備もすでに完了している。

バルグーティの訴えは、実際とは違う点が数多くある。もとより、ハンストの本当の目的は、刑務所での処遇改善ではなく、政治的(バルグーティの立場を強調する)目的と考えられている。

このため、エルダン氏は、ハンストの囚人たちとは交渉はしないと、当初から発表している。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4950460,00.html

<刑務所前でバーベキュー>

パレスチナ囚人のハンストが始まった2日後、エルサレムとテルアビブの間にあるオフィル刑務所前では、右派のユースらが、バーベキューを行い、その匂いを刑務所内に送り込み、ハンストを中断させようというイベントが行われた。

なんともイスラエル人らしい発想だが、イベントが始まって、よい匂いが漂い始めて45分後、警察がこれを停止させた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/228349

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