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全国市長選挙:エルサレムは13日決選投票へ 2018.11.05

 2018-11-05
10月31日、イスラエル全国で市長選挙が行われた。エルサレムでは、バルカット前市長が、2期10年間の任期を終え、国政へ移行することになったため、新しい市長を選ぶ選挙となった。

結果、ネタニヤフ首相が後押ししたゼエブ・エルキン氏の票が伸び悩み、トップは、モシェ・リヨン氏(57)が8万票(33%)、次にオフィル・バルコビッチ氏(35)が、7万票(29%)となった。

単独で投票率40%を獲得した候補者がいなかったため、エルサレムでは、11月13日、上位二者、リヨン氏とバルコビッチ氏で決選投票が行われる。

リヨン氏は、前回2013年の決選投票で、バルカット氏に敗北した経験を持つ。リヨン氏が敗北したのは、バルカット氏(世俗派)が、超正統派の宗派のひとつ、グルの指導者を説き伏せ、本来なら正統派のリヨン氏に投票するよう指示するべきところ、信者たちに好きなように投票させたことが原因だったとみられている。

https://www.timesofisrael.com/in-lion-berkovitch-runoff-rogue-hasidic-voters-could-hold-key-to-the-capital/

リヨン氏と決選投票にのぞむバルコビッチ氏は、バルカット市長と同じ世俗派ビジネス畑の人物で、バルカット前市長の元で、4年間(2013−2017)、副市長として働いてきた。自分は、厳しい財政にあえぐエルサレム市の現状を、より把握していると主張している。

エルサレムでは、超正統派の票がどちらへ動くかで勝敗が決まると言われる。現時点では、自身も正統派のリヨン氏の方が、超正統派の支持を得ているとみられるが、どうころぶかはまだ全く不明。ネタニヤフ首相がどちらに味方するかも注目されるとことろである。

テルアビブでは、ロン・フルダイ市長が5期目の当選を果たした。

<新に女性市長2人>

今回は史上最も女性市長が増えた選挙となった。特に話題となったのは、空気汚染が問題となっているハイファで、初の女性市長にエイナット・カリシュ・ロッテム氏が当選。超正統派と世俗派が対立しているベイト・シェメシュ市でも女性市長にアリーザ・ブロシュ氏が当選した。

ブロシュ氏は、正統派だが、教育者で同市の高校校長でもある。超正統派と世俗派の間をと持つことが期待されている。

https://www.timesofisrael.com/women-cheered-for-victories-in-election-though-over-95-of-new-mayors-are-men/

また、全国で汚職事件で警察のお世話になった市長が3人再選していた。イスラエルでは、汚職事件で刑務所に入っていた人物が、出所すると同時に財務大臣になったりしている。日本ではありえないことだが、イスラエルではおそらく、皆忘れてしまうのかもしれない。。
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1週間の間に交通事故死14人:90号線 2018.11.05

 2018-11-05
<ユダヤ人一家8人全滅:エン・ボケック周辺>

10月30日(火)、死海に沿った90号線で、子供達6人と両親の一家8人全員が死亡するという悲惨な交通事故が発生した。

調べによると、対向車のジープが車線を超えてきたことによる正面衝突だったもようである。正統派ユダヤ教徒のアタルさん一家の乗ったミニバスは、衝突直後に炎上したため、全員が死亡する事故になった。

事故を起こしたジープの運転手(52)は軽傷だが、同乗していた2人で、娘は呼吸器を要するほどの重症で、もう一人も中等度の負傷となっている。警察がかけつけた際、運転手は、「見ての通りだ。俺が殺した。もう車は運転しない。」と混乱状態だったという。

調べによると、運転手は、交通違反の記録が20回以上あり、事故のあった日は、麻薬の影響下にあった。重篤な過失致死にあたるとみられ、今もベエルシェバの留置所に入れられている。

裁判所は、運転手のあまりの過失の大きさと、おそらくは本人の精神状態をかんがみて、名前は公表しないよう指示したという。

今回死亡したのは、西岸地区入植地サゴットに住む正統派のアタルさん一家で、父親のヤリブさん(45)、母親のショシさん(47)、こどもたち、ヤアコブ・イスラエルさん(12)、アテレトさん(11)、アエレットさん(9)、モリア君(7)、イェディッドちゃん(5)、アビガイルちゃん(3)

この日は、市長選挙で学校、職場などが国民の祝日となったことから、選挙を終えたイスラエル人たちの多くが死海方面などへレジャーに訪れていた。

水曜に行われた葬儀には近隣の人々数百人が列席したが、一家が全滅してしまったことをまだ把握できていないと語っている。

https://www.timesofisrael.com/hundreds-attend-funerals-of-family-of-8-killed-in-car-crash/

<パレスチナ人6人死亡>

上記の大事故からわずか数日ごの11月4日、ヨルダン渓谷西岸地区の90号線で、パレスチナ人らが乗ったバンと、大型トラックが正面衝突し、6人が死亡。5人が重症となっている。

映像をみると、トラックが対向車線に入りそうになり、それを避けようとしたバンと衝突している。トラックの運転手は警察に身柄を拘束された。

犠牲者はみなパレスチナ人で、ルフツィさん、ラアジャイさんは同じザフダ一家の兄弟。負傷したうちの4人はエルサレムのイスラエルの病院で治療を受けている。

https://www.jpost.com/Israel-News/Second-mass-casualty-car-accident-in-a-week-as-six-die-in-Jordan-Valley-571020

<石のひとりごと>

若いユダヤ人一家が、一瞬にして消えていなくなってしまった。イスラエルでは、以前にも一家全滅に近い交通事故があったと記憶している。ここまで悲惨な事故を目前にするとき、ユダヤ人を憎むサタンは、ホロコーストの時代から今もなお、健在なのかもしれない。。と思わされる。

過失致死で一家を全滅させてしまった運転手とその家族たちのこれからの苦悩もまた計り知れない。名前の公表を裁判官が差し止めるほどだから、その苦悩は、すでにあまりにも大きいのだろう。

そのわずか数日後に、パレスチナ人家族も2人の兄弟を失った。重症で、エルサレムの病院にいる人は、17歳、18歳、31歳、50歳だという。それぞれに家族があるはずである。まさに一瞬先すらわからないというのが、私たち人間である。関係者全員の上に、ただ主のあわれみがあるようにと祈る。
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嘆きの壁(女性セクション)にへび現る 2018.11.05

 2018-11-05
11月1日、エルサレムの嘆きの壁で祈っている人々の頭上に蛇が現れた。一瞬鳩が飛び立ったあとに蛇がにょろにょろと壁に沿ってはう様子が映されている。蛇は専門家によって捕獲されたが、毒性はないとのこと。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/254133

エルサレムの嘆きの壁では、7月にも保守派の祈りのセクションの壁の石(約100キロ)が突然落ちて、下で祈っていた女性がぎりぎり助かったという事件が発生している。

いずれも女性セクションであったことから、アダムとイブとの関連や、メシア到来が近いとか、イスラエルは今年建国70年、昨年エルサレム統一50年といういわば分岐点を迎えていることから、霊的に何か意味があるのではないかとの記事がネット上をとびかっていた。

https://www.timesofisrael.com/snake-emerges-from-western-wall-cracks-halting-prayers/
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仮庵の祭り2018 2018.9.30

 2018-09-30
エルサレムでは、先週月曜から、平和に仮庵の祭りを祝っている。26日には西壁での祭司の祈りに、全国から推定10万人のユダヤ人が押し寄せた。チーフラビらとともに、アメリカのフリードマン駐イスラエル大使も参加していた。

https://www.timesofisrael.com/tens-of-thousands-flock-to-western-wall-for-priestly-blessing-3/

27日には、エルサレム中を歩くコースが3本用意され、観光客だけでなく、地方に住むイスラエル人の家族連れや、高齢者グループなども参加して、旧市街城壁周辺を回るハイキングを楽しんだ。

23日からは、今年39回目になる国際クリスチャンエンバシーによるカンファレンスが行われ、100カ国から、6000人のクリスチャンが参加した。このイベントは、イスラエル最大の観光イベントで、1800万から2000万ドル(20億円以上)の経済効果があるとみこまれている。

圧巻は27日のエルサレム・マーチ。イスラエルの諸団体に続いて、このカンファレンスに来た各国のクリスチャンたちが、それぞれの国旗を掲げて、エルサレム市内を行進した。毎年のことながら、この国際的なマーチは、路上に集まる1万人以上のイスラエル市民によって歓迎され、大きなインパクトを残す。

イスラエルは世界で一般的に嫌われている中、100カ国以上のクリスチャンが、「We love Israel」と笑顔を振りまくのである。若干政治的な色合いがあることは否定できないが、それでも、多くのイスラエル人の心を温め、感動している人々も少なくない。

今年も最大はブラジルの900人、アフリカからも900人が参加していたという。毎年ながら、日本からの参加は、非常に少ない。今年は、浴衣を着た数人のグループが日本代表として歩いていたとのこと。どの団体かは不明だが、浴衣で、日本の国旗となると、イスラエルでは幕屋のイメージになるので、なかなか難しいところ。。。

https://www.jpost.com/Israel-News/7000-Christian-Evangelicals-parade-through-capital-in-annual-Jerusalem-March-event-568185

27日には、こちらも毎年恒例、大統領官邸に備えらえた大きな仮庵とともに、市民イベントが開かれ、市民や子供達とリブリン大統領との交流が行われた。

https://www.jpost.com/Israel-News/Presidents-open-sukkah-teaches-kids-about-healthy-eating-568226

<秋の例祭:ユダヤ教でも終末論>

仮庵の祭りの最終日の7日目は9月30日で、ホサナ・ラバと呼ばれる。

この日、嘆きの壁前や各シナゴグでは、仮庵の時の4種の植物とともにやなぎを持って祈る。かつて神殿があったころ、祭壇にやなぎを立てたことを記念する。神殿では、仮庵の祭りの間、祭司たちが、毎日やなぎが建てられた祭壇の周りを1回、ホサナ・ラバの時は7回回っていたことから、今も、ホサナ・ラバでは、シナゴーグでは、講壇の周りを7回回る。

その後、仮庵の祭りで使用した4種の植物とやなぎを地面に5回叩きつける。この日は、新年、ヨム・キプールに続く最終的な贖いの日とされていることから、植物を地面に叩きつける習慣は、まだ残っている最終的な罪、古い時代からの完全な解放を意味しているという。

興味ふかいことに、この日、ユダヤ人たちは、「いける水をください」と、新年に雨が十分降ることを祈り叫ぶ。イエスが、”祭りの終わりの大いなる日に、「生ける水の川」について宣言したのがこの日である。(ヨハネ7:37-38)

こうして仮庵の祭りが終わり、10月1日、シェミニ・アツエレートであり、シムハット・トーラーが来て、新年が本格的に始まり、聖書通読が新しく始まっていく。

https://www.chabad.org/library/article_cdo/aid/757453/jewish/Hoshana-Rabbah.htm

ユダヤ教ラビによると、ユダヤ教でも秋の祭りは地球の終末を表しているとみられており、ホサナ・ラバで最終的な裁きが来て、全てが新しくなると考えられている。

聖書は、終末には大患難時代があり、その最終日にサタンが再び解き放たれて最後の裁きが行われると書かれている。その日が来るまで、ユダヤ人たちはこの習慣を継続しながら、世に聖書の確かさを証するのである。

https://www.youtube.com/watch?time_continue=140&v=x7m0rS-2-0s
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ヨム・キプール:ユダヤ人の底力 2018.9.20

 2018-09-22
イスラエルでは、9月9日、角笛(ショーファー・らっぱ)を吹き鳴らして新年を迎えた。新年とはいえ、日本の新年とは趣がかなり異なる。

ユダヤ教では、この日、らっぱの響きとともに、神の前でいのちの書が開かれると考えられている。そこに名が記されているのは、義なる者たちだけで、そこに名があれば、来年も生きる。しかし、ほとんどの者は、そこに名がない可能性が高いと考えられている。
このいのちの書は、10日後のヨム・キプール(贖罪の日)まで開かれており、この間なら、そこに名が書き加えられる可能性があると考えられている。

http://www.aish.com/h/hh/yom-kippur/guide/ABCs-of-Yom-Kippur.html?s=mm

このため、ユダヤ人たちは、新年からの10日間、昨年中の自分自身を振り返り、神の前に悔い改め、赦しを請う。

この悔い改めの期間は、「スリホット」と呼ばれる。アシュケナジー(欧米系)は、ローシュ・ハシャナ以降だが、スファラディは、エルルの月がはじまってからひと月近くを、スリホットの期間と定めている。

この間、エルサレムのかつての神殿の至聖所に最も近いと言われる嘆きの壁とその広場は、毎夜、端から端まで人で埋め尽くされ、いっせいに悔い改めの祈りを捧げる。一斉に神に祈るその大合唱は、まさに終末の様相である。この祈りはヨム・キプールまで続けられる。

<スリホットが意味するもの>

ユダヤ教では、神の前に赦しを請う前に、自分が傷つけた人を思い出したなら、まずその人に謝罪し、人間どおしの関係が回復してからに限ると教えている。

これはまた、人に傷つけられ、不条理な目にあわされた人々にとっては、大きなチャレンジの時となる。しかし、自分を傷つけた人を赦すことを選び取り、うらみを捨て去って、新しく前を向くことを決意する。赦すことで解放され、自分自身がクリーンになり、神に近づけるとユダヤ教は教える。

http://www.aish.com/h/hh/video/Yom-Kippur-The-Three-Levels-of-Forgiveness.html?s=rab

また、昨年中の失敗を認め、二度と繰り返さないように、どう改善できるのかを考える時でもある。イスラエルでは、常に何かが変わり、改善しているが、それは、失敗はマイナスではなく、次に活かすためのものと考える習慣ができているのである。

<ヨム・キプール:贖いの完成>

こうして10日後に来るのがヨム・キプールで、この日、いのちの書が閉じられる。すなわち、悔い改めの終わった罪に対する贖いが実施されるのがこの日である。

イスラエルでは、普段は安息日にも店を開ける世俗派のファラフェル屋さんも、コシェルを守らないレストランも、この日だけは閉店。断食して神の前に出るべき日と考えている。普段は安息日にもニュースはあるが、この日はニュースも止まる。テレビも日没が開ける午後8時まで放送停止である。

国全体が、聖書が命じる通りに、実際にこのような日を設けている国は、イスラエル以外にはない。イスラエルはこのように、聖書の神に敬意を示し、その存在を世界に証している。

こうしてヨム・キプールが、日没で終わるやいなや、さっさと最高の喜び、仮庵の祭りの準備に入る。町の広場には次々にスッカがお目見えし、スーパーには、ルラブなどが売りにだされている。イスラエル人の切り替えのよさにはいまだに関心させられる。

今年の仮庵の祭りは、23日の日没から30日の日没までで、その後シムハット・トーラーと続くことになる。今年も様々なクリスチャンの国際カンファレンスが目白押しである。
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国家民族法で課題噴出:ドルーズ10万人デモ 2018.8.6

 2018-08-06
7月19日に国会審議3回目を通過して基本法にとりいれられた国家民族法(Nation State Law)。

イスラエルはユダヤ人の国と定義する法律だが、安息日やユダヤの例祭を国の祭日とし、アラビア語は公用語からはずして格下げになる他、国の自決権はユダヤ人に帰属するとされていることから、差別的だとして、少数民族から不満が噴出している。

特にイスラエルに忠誠を誓い、イスラエル軍や、国境警備隊にも従事し、多数の戦死者を出してきたドルーズ族からの反発が大きい。国家民族法が確定以来、ドルーズのイスラエル軍将校2人が、「この国に命をかける気が無くなった。」として、辞任を表明した。

アラブ系市民からも、この法律で、運転免許証の記載がヘブル語だけになるとか、これまで以上に、ユダヤ人地区とアラブ人地区へのインフラ整備や教育への差が拡大するんではないかなど、本来の論点ではない論議にまでひろがっている。

<ネタニヤフ首相の方針とドルーズ指導者の反応>

ネタニヤフ首相は、ドルーズとの交渉を行うチームを立ち上げ、1日、長老たちとの交渉を始めた。基本的に、すでに法律となった国家民族法に変更を加えるつもりはなく、新たな妥協案をもって話をまとめようとしているのである。

ネタニヤフ首相は、国家民族法受け入れの見返りとして、①ドルーズの治安部隊の貢献を認める、②ドルーズの宗教、教育、文化を支援する,③ドルーズの居住を推進し、必要なら新しい居住区を認める、加えて、ドルーズの文化遺産保護にも言及した。

一部のドルーズ指導者は、これを「歴史的譲歩」として受け入れたが、信用できないとはねつけたものもあり、交渉はまとまらなかった。

https://www.haaretz.com/israel-news/.premium-nation-state-law-backlash-netanyahu-offers-druze-new-legislation-1.6338137

結果、4日(土)、予定通りテルアビブで大きなデモが行われた。10万人とみられるドルーズ族とその支援者が、ドルーズの旗やイスラエルの旗を振りかざして、「我々はこの国の建設に大いに貢献してきた」と主張。平等な扱いを訴えた。

ドルーズたちは、ハティクバを歌い、「イスラエルはユダヤ人の国で民主国家」であってほしいと訴えた。イスラエルがユダヤ人の国であることに、異論はないわけである。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5322434,00.html

<なぜ今、このような法ができたのか>

イスラエルがユダヤ人の国であるということは、独立宣言に明記されている通りで、あえて法律で明言しなくても、明らかなことである。またこの点が動かされることはない。

また、イスラエル人の20%は、アラブ人であり、厳密にいえば、ユダヤ人が誰かという点も明確な定義が難しい。このため、イスラエルでは、これまで、基本法の中で、ユダヤ人の国と定義せず、「イスラエルは、ユダヤ人の国で民主国家」と、この2点が等しく力点を持つという認識で、国が運営されてきたのであった。

しかし、ヘブライ大学のタウブ博士によると、7年ほど前から、イスラエルはユダヤ人の国であることを法律で定義する必要が論じられ始めたという。

左派議員らが、右派勢力主導の政治運営について、基本的人権をベースに、最高裁に訴える件数が増えてきたからである。左派議員らは、国のユダヤ性を重視する右派政権の方針は、ユダヤ人以外の国民の人権に反すると訴えていた。

これが強調されすぎると、ユダヤ人にのみ認められている帰還法が危うくなってくる可能性がある。帰還法とは、ユダヤ人ならだれでもイスラエルの国民としての権利を有するという法律である。

イスラエルは民主国家であるが、その前に、ユダヤ人が世界で唯一主権を持つ国として立ち上がった国である。ユダヤ人だけにこの権利があると言ってもなんら問題はないはずだが、民主主義の視点からみると、イスラエル在住のアラブ人に対して100%正しいとは言い切れないだろう。

実際のところ、ユダヤ人の国で民主国家は、両立しきれないものなのである。

また、パレスチナ問題においても近年、二国家二民族(国を2つに分ける)案はもはや不可能だとの認識がひろがっている。では、一国家案を推進した場合、イスラエルが、西岸地区やガザ地区を併合することになり、たちまちユダヤ人が多数派でなくなる時代が来てしまう。

右派が恐れたのは、最近、最高裁が左寄りになりつつあることである。もし、最高裁が左派らの訴えを支持し、右派政府に改善を求めることでもあれば、今のままの、「ユダヤ人の国で民主国家」という定義だけであれば、人権保護の点から、本来のアイデンティティが揺るがされる可能性も否定できない。

このため、右派がパニックとなり、急遽、イスラエルは、ユダヤ人の国であり、国の自決権はユダヤ人に帰依するると定義する国家民族法が、出してきたということである。

今回、国家民族法が基本法に書き記されたことで、たとえ、将来、アラブ人が多数派になったとしても、国の自決権、つまり国の運営は、ユダヤ人が行うということが法律で保障される。実際のところ、イスラエルとしては、いずれは必要になった法律であろう。

しかし、タウブ博士だけでなく、INSS(国家治安研究所)も、政府は、国家民族法によって、少数民族の権利や平等が守られることを確信させる文言を加えるなど、国の分裂を防ぐよう、対処を講するべきであると提言している。

http://www.inss.org.il/publication/ramifications-nation-state-law-israeli-democracy-risk/

<ユダヤ人だけは国を持つことが赦されない:ガディ・タウブ博士/ヘブライ大学>

タウブ博士は、イスラエルにいるアラブ人もドルーズも、どの中東諸国にいる同胞よりも恵まれているということを忘れてはならないと指摘する。同じパレスチナ人、同じドルーズでも、シリアにいる場合は、デモどころか、なにもしなくても、ただただ殺されている。

また、現在、ネタニヤフ政権下では、「Resolution922」という、アラブ系市民の経済活性化のためのプロジェクトが2016年からすすめられている。5年間の予算は3億3000万シェケル(約100億円)である。

http://iataskforce.org/sites/default/files/resource/resource-1462.pdf

タウブ博士によると、現ネタニヤフ政権は、これまでのどの政権よりも、アラブ系市民に投資しているという。にもかかわらず、今、彼らの権利や平等が求められるとは、なんとも皮肉だと語る。

また、タウブ博士は、「どの国にも少数民族はいるが、多数派が自決権を持つことに異論が出る国はない。たとえば、イタリアにも少数民族がいるが、多数派のイタリア人が自決権を持っている。それに疑問を挟む人はいない。

要するに、ユダヤ人だけは、自分の国を持つことを赦されないということだ。」と語った。
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