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激動の中東:2大勢力の対立 2017.11.26

 2017-11-26
エジプトで、ISISとみられる大きなテロが発生したが、シリアでは、ISISの勢力が小さくなってきた後へ、予想通り、イランが定着し始めている。これにともない、中東では、サウジアラビア率いるスンニ派と、イラン率いるシーア派の対立が徐々に明確になってきている。

<スンニ派勢力:カイロで緊急アラブ同盟会議:反イラン声明>

11月初頭、中東では、内戦中のイエメンから発射された、イランのものと思われるミサイルがサウジアラビアで迎撃され、続いて、レバノンのハリリ首相が、突然、サウジアラビアに来て、レバノンがヒズボラとイランに支配されていると証言し、辞任表明するなど、国際的な事件が相次いだ。

こうした状況を受け、19日日曜、サウジアラビアの呼びかけで、緊急アラブ同盟(21カ国)が、エジプトのカイロで開かれた。会議には、レバノン代表も含まれたが、シリアは加盟資格停止中、イランは初めから加入していない。アラブ同盟は、スンニ派の集まりである。

加盟国中、バハレーンは、少数派のスンニ派が多数派のシーア派を治めているため、シーア派イランの進出はとりわけ深刻な問題である。会議では、サウジアラビア以上にイランを非難する発言をしたもようである。

一方、開催国エジプトは、急進的な対策には同調しない傾向にある。

最終的に、アラブ同盟は、「イランは、ヒズボラやフーシ派(イエメン)などテロ組織を支援して、地域を不安定にしている。」と厳しく非難する声明を出した。しかし、同時にイランと戦争をするつもりはないとし、まずは国連に報告するところから始めるとして、実質的な対策はなにも発表されなかった。

https://www.timesofisrael.com/arab-league-delivers-harsh-criticism-of-iran-and-hezbollah-but-little-action/

<シーア派勢力:イラン・レバノンの反応>

アラブ連盟の声明に対し、イランは、サウジアラビアの虚偽、プロパガンダだとして、拒絶すると表明した。レバノンのアウン大統領は、レバノンの政党であり、最大の防衛になっているヒズボラをテロ組織と非難されたことに反発を表明した。

アウン大統領は、レバノンは長年、イスラエルの”挑発”に直面しているが、そのイスラエルを2000年に南レバノンから撤退させたのはヒズボラだとして、レバノンにとってヒズボラは国の防衛力だと語った。アウン大統領は、シーア派ではなく、クリスチャンだが、ヒズボラ・イランよりの立場をとっている。

https://www.washingtonpost.com/world/middle_east/iran-says-arab-league-condemnation-full-of-lies/2017/11/20/7341a218-cded-11e7-a87b-47f14b73162a_story.html?utm_term=.d61cb2531b7c

ところで、サウジアラビアで、辞任表明をしたハリリ首相(スンニ派)だが、22日、レバノンに帰国し、辞職は延期と発表した。しかし、レバノンがヒズボラとイランに支配されていることに変わりはなく、ハリリ首相の立場は非常に難しい。

もしハリリ首相の身に何かあった場合は、サウジアラビアとの衝突になりかねないと思われる。*ハリリ首相の父ラフィーク・ハリリ首相は、2005年、親シリア派(ヒズボラの可能性大)に暗殺されている。
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サウジアラビアとイスラエルの接近はありうるか 2017.11.26

 2017-11-26
サウジアラビアが敵視するイランは、イスラエルの最大の敵である。かつて敵対していたサウジアラビアとイスラエルは、今や同じ敵を持つものとして、接近する傾向にある。現実にはまだ国交もないが、両国の動きは以下の通り。

1)イランのハメネイ師は中東のヒトラー:サウジアラビア皇太子発言

サウジアラビアのモハンマド・ビン・サルマン皇太子は、ニューヨークタイムスのインタビューに応じ、その中で、イランのイスラム最高指導者ハメネイ師について、「中東のヒトラーだ。」と語った。

ハメネイ師は、イランの最高指導者で、ロウハニ大統領やザリフ外相の上で指令を出す人物。実質的にイランをうごかhしているのはハメネイ師である。サルマン皇太子は、イランが中東で拡大政策をとっていると懸念する。

サルマン皇太子は、「ヨーロッパから融和政策は無駄だと学んだ。中東に現れた新たなヒトラーには、ヨーロッパで起こったようなことはさせない。」と語った。

20世紀、ヒトラーは、近隣ヨーロッパ諸国からポーランド、ソ連に至るまで次々に侵略し、膨大な犠牲者を出した。サルマン皇太子は、イランが今それと同様のことを、中東で行おうとしている。止めなければならない。」と指摘した。

https://www.timesofisrael.com/saudi-heir-to-the-throne-khamenei-is-the-middle-easts-new-hitler/

2)イスラエルと同様の立場:サウジアラビアの外相がイエメンについて発言

サウジアラビアは、イエメンからイラン製とみられるミサイルを空港付近で迎撃して以来、イエメン国内のフーシ派にイランのミサイルが持ち込まれないよう、海上封鎖を行っている。

これにより、人道支援物資がイエメンに届かなくなり、イエメンの人々が飢えに苦しんでいるとして、サウジアラビアに国際非難が高まっている。

BBCのインタビューを受けたサウジアラビアの外相は、「ロンドンのヒースロー空港に弾道ミサイルが打ち込まれたら、どうするのか。」と反論した。こび反論は、ガザの海上封鎖をしているイスラエルに向けられるのと似た非難である。ただし、イスラエルは、ガザへの人道支援物資は搬入させている。

http://www.bbc.com/news/av/world-middle-east-42020737/yemen-blockade-saudi-foreign-affairs-minister-defends-sanctions

3)機密情報交換の用意ある:イスラエル軍参謀総長インタビュー

先週、イスラエル軍のエイセンコット参謀総長は、サウジアラビア紙のインタビューに応じ、「イランとその枢軸を考える時、穏健派アラブ諸国とイスラエルの国益は一致する。

協力して、イランがイラクからシリア、レバノンへ影響力を拡大することを防がなければならない。」と語った。その上で、穏健派アラブ諸国との機密情報の交換に応じる用意があると述べ、注目された。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5043869,00.html

サウジアラビアは、”パレスチナ問題が解決するまで”イスラエルとの接触はないと、イスラエルとの協力関係は否定している。

しかし、サウジアラビアの駐フランス大使が、パリのグランド・シナゴーグのラビの招待に応じてシナゴーグを訪問するなど、これまでならありえなかったような事も報じられている。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5047289,00.html
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ロシア主導のシリア和平会議開催へ:ロシア、イラン、トルコ3首脳会談 2017.11.26

 2017-11-26
サウジアラビアのスンニ派勢力と、イランのシーア派勢力の対立が深まる中、ロシアが登場してきた。ロシアは、破滅の危機にあったシリアのアサド大統領を、軍事介入によって存続させ、地域での影響力を独占している。

オバマ大統領は、反政府勢力を支援したが十分ではなく、地上介入はほとんどしなかったため、中東でのアメリカの影響力は著しく落ちた。現時点では、ロシアこそが、アサド大統領を支援するイランとその配下のヒズボラを動かす立場にあるということである。

プーチン大統領は、22日、黒海沿岸の町ソチで、イランのロウハニ大統領、トルコのエルドアン大統領と3人で会談し、来月、シリア内戦後の和平会議を開催すると発表した。

この3者会談の前日には、ソチにて、シリアのアサド大統領にも会談している。ということは、ロシア、イラン、トルコ主導のシリア和平会議にアサド大統領は協力するということである。

アサド大統領は、多くの人々に憎まれいつ殺されてもおかしくない人物。この会談は、20日に数時間で極秘に行われ、発表は21日になってからであった。映像では、アサド大統領は、プーチン大統領に助けられたとばかりに、笑顔で感謝でいっぱいといった様子である。

https://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-putin-assad/russias-putin-hosts-assad-in-fresh-drive-for-syria-peace-deal-idUSKBN1DL0D5

<サウジアラビアの反政府勢力会議>

ロシア、イラン、トルコの3国が、集まったと同じ日、サウジアラビアのリヤドでは、シリアの反政府勢力の指導者たちが集まり、これからのシリアについての会議が行われた。こちらは、国連のシリア問題担当ミスチュラ氏が参加した。

反政府勢力を統一することが目的だが、やはり一致には至らなかったようである。会議の声明としては、アサド大統領は退陣することを要求しており、ロシア、イラン、トルコの意見とは相変わらず対立している。

シリア問題については、来月、ジュネーブで、国連主導の国際会議が開かれる予定で、ロシア、イラン、トルコのソチでの会議はその前ということになっているようである。

この問題にアメリカは不思議なほど沈黙である。シリアの和平に関しては、国連などより、地元で実際に戦ってきたロシア、イラン、トルコの方が影響力があることは明白なので、負け戦さには加わらないというところだろうか。アメリカ不在の現実が、今後の中東にどう影響してくるだろうか。

https://www.timesofisrael.com/russia-iran-turkey-agree-to-advance-syrian-peace/

https://www.nytimes.com/2017/11/22/world/europe/russia-turkey-iran-syria-war-peace-talks.html

<今後の注目点はトルコの動き:バル・イラン大学/エフライム・インバル博士> 

インバル博士は、中東は、いまやロシアの流れになっていると指摘する。シリアの内戦、ISISとの戦いなどをうまく利用して、ロシアは、イラン、シリア、レバノンを味方につけ、目標としていた地中海へのアクセスを手にいれたと指摘する。

また、ロシアとイランの目標は、中東からアメリカを追い出すことであり、オバマ大統領、トランプ大統領らが、中東への野望が低下したことで、その目標もいまや実現したと分析する。インバル博士は、アメリカはもう完全に不在だと語る。

シーア派勢力の背後にいるロシアの支援に比べ、反政府勢力を一応支援すると言っていたオバマ大統領のスンニ派勢力への支援はお粗末だった。そのため、現状において、スンニ派はシーア派より弱いという。サウジアラビアは大国だが、軍事レベルはまだまだ低いのである。

中東情勢において、今、アメリカはロシアとイランに遅れをとってしまったということである。加えて、今のトランプ大統領も中東介入への意欲はあまりないとわかる動きをしているとインバル博士。

そうなると、今後注目される点は、トルコとイランの関係である。トルコは、スンニ派で、大きな軍事力を持ち、シリア・イラクにも拠点がある。最初は、アメリカ主導のISIS空爆チームにいたが、アメリカが、トルコの宿敵クルド人勢力を支援しはじめたために、シーア派イランチームに寝返ったのである。

しかし、トルコはスンニ派で、エルドアン大統領は、シーア派とは徹底的に対立するムスリム同胞団。今はイランチームに寝返ってはいるものの、片足はまだ、欧米NATO軍に入っている状態である。トルコは最終的に、いったいどちらにつくのか。トルコに出かたによって、中東は大きく左右される。

少々専門的になるが、インバル博士は、トルコが今後、国として動くのか、ムスリム同胞団として動くのかで流れはまた変わってくると注目している。ムスリム同胞団は中東全域にメンバーをもつ非常に大きな組織なので、こちらの立場が全面に出てきた場合、中東全域に影響が出てくるのである。

聖書には終末時代にゴグ・マゴグの戦闘があり、イスラエルが攻撃されると預言されているが、それにかかわるのが、地理的な場所でいえば、トルコ、ロシア、そしてペルシャ(イラン)である。そこに北アフリカが加わる。

エジプトとサウジアラビア、ヨルダンもこの戦いには関わらないとみられる。なにやら、そういう図式にやはり近づいているようである。

https://www.m-central.org/video/#lg=1&slide=0
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不気味なレバノン情勢:サウジアラビアVSイラン 2017.11.15

 2017-11-15
レバノンのハリリ首相が、4日、サウジアラビアで突然、「レバノンはヒズボラとイランに乗っ取られた。自分はヒズボラに暗殺されそうだ。」として、辞任表明してから10日になる。

ヒズボラ(イラン)とレバノン政府は、「サウジアラビアが、ハリリ首相を拉致して、無理やり辞任表明させたのだ。」とサウジアラビアを非難した。レバノンのアウン大統領は、「サウジアラビアはハリリ首相をすぐにも帰国させるべきだ。」と述べた。

一方、サウジアラビアは、ハリリ首相は自分の意思で、辞任宣言したのだと反論。レバノンにいるサウジアラビア市民は、すぐにもレバノンから退去するよう通達した。

するとヒズボラは、「サウジアラビアは、イスラエルにレバノンを攻撃させようとしている。」と言った。無論、イスラエルは、こんなコメントが出ても、完全無視状態だった。

https://www.timesofisrael.com/nasrallah-says-saudi-arabia-imposed-lebanon-pms-resignation/

ハリリ首相本人は、上記のようなやり取りがある中、沈黙を保っていたが、1週間ほどして、「サウジアラビアに拉致されたのではない。辞任表明は自分の意思であった。」とのコメントを出した。

https://www.timesofisrael.com/lebanon-saudi-arabia-must-clarify-why-hariri-hasnt-returned/

アメリカのティラーソン国務長官は、ハリリ首相がサウジアラビアに拉致されたのではなく、自分の意思で辞任宣言をしたと認識しているが、ハリリ首相は、いったん帰国し、きちんと辞任すべきだとも語った。この後の動きはまだ伝えられていない。

<代理戦争のイエメンが悲惨>

イエメンでは、イエメン政府を支援するサウジアラビアと、シーア派反政府勢力フーシ派を支援するイランとが、代理戦争を繰り広げている。

10日ほど前、イランがイエメンからサウジアラビアへ弾道ミサイルを発射し、サウジアラビアの迎撃ミサイルが撃墜するという事件があったが、それ以来、サウジアラビアは、イエメン包囲網を強化している。これにより、国連などの支援物資(食料や薬)が、難民たちに届かなくなってしまった。

イエメンでは、内戦勃発から2年、これらが発生し、すでに2000人が死亡。子供達27000人が深刻な栄養失調だという。サウジアラビアとイランの戦争でツケを払っているにはイエメンの子供達である。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-41932807
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米福音派クリスチャンがエジプト・ヨルダンの首脳と会談 2017.11.15

 2017-11-15
お伝えしているように、中東は、パキスタンなど例外はあるが、おおむねサウジアラビア率いるスンニ派とそれにつく国々、イラン率いるシーア派とそれにつく国々、団体という2派に分かれつつある。

スンニ派チームについているのはアメリカなので、このチームはこれまでになくイスラエルに近づく傾向にある。一方、シーア派チームについているのはロシアである。

この背景の中、10月から11月にかけて、トランプ政権は、アメリカの福音派クリスチャン牧師12人からなる代表団をエジプトとヨルダンへ派遣した。代表団は、トランプ大統領付きの福音派牧師らからなるアドバイザーチームである。

チームを率いるのは、ニューヨークタイムスに執筆した聖書予言の視点での中東世界情勢関連の小説で人気の高いヨエル・ローゼンバーグ氏。このほか、保守派家族調査評議会のトニー・パーキンス氏、スカイライン・チャーチ(サンディエゴ)のジム・ガーロー牧師など。

https://www.washingtonpost.com/news/acts-of-faith/wp/2017/11/03/president-trumps-evangelical-advisors-meet-with-egyptian-leader-al-sissi-in-cairo/?utm_term=.a36b062e9875

FOX newsによると、ビリー・グラハム氏(99歳)も加わっていたもようだが、他のメディアは同氏の名前は出していない。

http://www.foxnews.com/opinion/2017/11/07/billy-graham-has-many-spiritual-descendants-as-turns-99.html

トランプ大統領がこの代表団を派遣した目的は、派遣先のアラブ諸国とより関係を深めるということらしいが、派遣された牧師たち自身も、イスラムが多数派で、まだクリスチャン迫害の声も聞く国の首脳との会談で、最初はとまどったようである。

http://www.christianitytoday.com/news/2017/november/what-trump-evangelical-advisers-took-out-of-egypt-sisi.html

<エジプトにて>

代表団は3日、エジプトにて、エジプトのプロテスタント代表ら40人も交えて、シシ大統領と3時間にわたって会談。クリスチャニティ・トゥデイの記事によると、シシ大統領は、うちとけていた様子だったという。

代表団は、大統領がテロ撲滅に真剣であることなどを確認している。

続いて代表団は、故アンワル・サダト・エジプト大統領の自宅を訪問し、夫人に面会した。サダト大統領は、アラブ諸国では初めてイスラエルを訪問し、和平条約を締結。その後、暗殺された大統領である。

代表団は、エジプトのムフティ(イスラムのトップ)と面会した後、エジプトのプロテスタントの代表など60人とのミーティングを行った。

クリスチャニティ・トゥデイがエジプトの情報として伝えたところによると、エジプトのクリスチャンは1500万人で、このうちプロテスタントは200万人。

エジプトのプロテスタントの総代表であるアンドレア・ザキ氏は、「このミーティングを企画した中心人物(ローゼンバーグ氏)がイスラエルに住んでいると聞いて落ち着かなかった。」と語っている。エジプトでは、ザキ氏を含め、多くが置換神学のようである。

しかし、ローゼンバーグ氏が、「アメリカの福音派の多くが、親イスラエルか親アラブで、どちからを排斥する傾向にあるのは残念だと思う。私たちは、信じるところ(神学)は維持しながらも、双方を愛せるということを忘れている。」と語ったことで、今回のミーティングを決めたという。

http://www.christianitytoday.com/news/2017/november/what-trump-evangelical-advisers-took-out-of-egypt-sisi.html

<ヨルダンにて>

エジプトに続いて8日、代表団はヨルダンでアブダラ国王とその家族に面会した。アブダラ国王は、ローゼンバーグ氏の書籍を読んでいるとのことで、同氏との面会は、これで2回目になる。

代表団は、この後、シリア難民のキャンプの一つを訪問した。ヨルダンは、2011年のシリア内戦勃発以来、難民200万人を受け入れた。今やヨルダン国民の25%はシリア難民だという。

http://www.jordantimes.com/news/local/king-receives-us-evangelical-leaders

<石のひとりごと>

こうしたアラブの指導者が福音派クリスチャン指導者たちに面会する背景には、当然、政治的な計算があると思われる。

世界のクリスチャン人口は22億人(世界人口の31.2%)で、このうち13%にあたる約3億人が福音派とみられる。その最大はアメリカである。(米ピュー研究所2015データ)

アメリカのトランプ大統領は、大統領自身の信仰は不明だが、ペンス副大統領が福音派で、そばに福音派牧師たちからなるアドバイザーチームを置いている。それが、今回派遣された代表団だった。アメリカと仲良くするには、この代表団を丁重に受け入れる必要はあったと思われる。

こうした流れは、イスラエルにもある。10月中旬、イスラエル政府が、世界のクリスチャン・メディアのリーダーたちを集めて、サミットを行った。福音派クリスチャン代表たちを迎えたのはネタニヤフ首相、リブリン大統領をはじめ、閣僚たちだった。こんなことは今までありえなかったことである。

理由はなんであれ、イスラエルが、首相、大統領をあげて福音派クリスチャン指導者を迎え、エジプトとヨルダンの首脳が、アメリカに近づき、福音派牧師たちと、直接会談したことは、特記すべきことだろう。

やはり、アメリカの影響力は、まだまだ予想以上に大きい。ヨエル・ローゼンバーグ氏は、アメリカのトランプ大統領を覚えて祈る必要を強調する。

http://nrb.org/news-room/articles/nrbt/delegation-american-evangelical-leaders-travels-egypt-jordan/

聖書(エゼキエル書38章)には、世の終わりに、”イスラエルが安心しているときに”、ロシアと中東諸国、アフリカ諸国からイスラエルを攻めてくることが描かれている。その攻めてくる国々を地図でみると、エジプトとヨルダンは含まれていない。

エジプトとヨルダンは、今すでに、イスラエルと平和条約を維持している国である。しかし、今回、クリスチャンシオニストである福音派代表団がこの2国の首脳を訪問したこともまた、この終わりの時の一コマにつながるものを思わせる出来事であった。
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レバノンのハリリ首相辞任表明:サウジでイランの危険性を証言 2017.11.7

 2017-11-07
中東情勢が大きく動く可能性が出てきた。4日土曜、レバノンのサード・ハリリ首相(スンニ派)が、サウジアラビアの首都リヤドにて、首相職を辞任すると発表した。理由は、レバノンでシーア派が急速に増強しており、暗殺の危険性を察知したからだと述べている。

サード・ハリリ首相は、辞任表明において、レバノンでのイランとヒズボラの台頭がいかに危険であるかを述べていた。これは、イスラエルが日頃から発している警告と同調するものである。

イランは中東を掌握しようとしているー。ハリリ氏の辞任演説から、イランを警戒するのがイスラエルだけでなく、サウジアラビアなどスンニ派アラブ諸国も同じであるということが明らかになった。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5038232,00.html

*最近のレバノン情勢

レバノンは、1975年以来、スンニ派、シーア派、クリスチャンが泥沼状態の内戦を続けた。この間、PLOがレバノンから攻撃してきたことで、イスラエルもレバノン戦争にまきこまれている。これを終結させたのはシリアだった。シリアは1990年に軍をレバノンに送り込み、力で、内戦を終結させた。

この時、反シリア派でマロン派クリスチャンのミシェル・アウン氏はフランスに亡命。以後、レバノンでは、イランと関係の深いシリアが、事実上の支配者となり、一応の平和を維持した。この間に、シーア派の過激派組織ヒズボラが生まれ力をつけるようになっていった。

シリアが事実上の支配を続ける中、レバノンを指導したのが、ラフィーク・ハリリ首相(今のサイード・ハリリ首相の父)である。ハリリ父首相は、サウジアラビア国籍も持つ大富豪であったことから、自らの財産を投資して基金を作り、内戦で破壊されたレバノン復興に勤めた。

しかし、スンニ派であったために、シーア派を支援するシリア軍に反対する立場をとっていたことから、2004年に暗殺された。暗殺はシリア軍によるものとみられた。これを受けて、レバノン市民が激怒。反シリア運動を展開(杉の革命)し、シリア軍を撤退させたのであった。

この時以来、父の意志を継ぎ、政治家になったのが、今のサード・ハリリ氏(47)である。ハリリ氏は、2009年に選挙で首相に就任したが、強くなったヒズボラの政界への進出を受け、政権は崩壊させられてしまった。その後は、ヒズボラ系のミカーティ政権が政権を担った。

2014年、前スレイマン大統領が任期満了となると、レバノンでは、だれを大統領にするかでもめるようになった。この時、サード・ハリリ氏は、フランスへ亡命していたアウン氏を呼び戻して大統領にすることを認め、その代わりに首相の座を求めた。これが実現し、サード・ハリリ氏は、2016年にレバノン首相に返り咲く。

ところがである。このアウン大統領(マロン派クリスチャン・81歳)は、かつてレバノンを支配していたシリア軍とシーア派に反対したからこそ、国外へ亡命させられていたにもかかわらず、今はイラン、シーア派を支持する立場に変わっていたのである。

レバノンでは、アウン大統領により、急速にイランの影、ヒズボラの力が強くなり、サード・ハリリ氏はまたもや暗殺を危惧する立場におかれるようになったといいうわけである。

<中東情勢:スンニ派諸国、シーア派諸国の対立>

現在、中東では、スンニ派諸国とシーア派諸国に分かれて、争う形になりつつある。おおざっぱではあるが、サウジアラビアを代表とするスンニ派諸国にはアメリカがつき、イランを代表とするシーア派諸国にはロシアがつくという図式である。

この二者の直接の対立地点はイエメン。サウジアラビアは、イエメン政権を支援し、イランはそれと戦うシーア派のフーシ派を支援して、激しい戦闘が続く。イエメンでは、コレラも蔓延しており、今も悲惨な内戦状態にある。この戦いは、イエメン人どうしではなく、サウジとイランの戦いである。

4日、イエメンから、サウジアラビアに向けて弾道ミサイルが発射され、サウジアラビアの迎撃ミサイルがこれを打ち落とした。幸い被害はなかったが、フーシ派が、このようなミサイルを保持しているわけはなく、明らかにイランがサウジアラビアを攻撃したものであった。

http://english.alarabiya.net/en/News/gulf/2017/11/04/Saudi-Arabia-intercepts-missile-from-Yemen-northeast-of-Riyadh.html

このように、イランとサウジアラビアの対立が激化する中で、ハリリ首相のイランを非難しながら辞任表明となったため、サウジアラビアが、イランとの対決姿勢を明らかするために計算して行ったことではないかとも言われている。

これを裏付けるかのように、ヒズボラは、「暗殺の計画などない。サウジアラビアがハリリ首相を強制的に辞任させたのだ。」と反論している。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-41878364

*サウジアラビアの権力集中と近代化?

シーア派との対立が深まっていく中、スンニ派のサウジアラビアは、これまでになくアメリカに接近している。トランプ大統領が就任早々にサウジアラビアを訪問し、スンニ派諸国の首脳たちを集めて、一致してシーア派に対抗するよう、たきつけたことは記憶に新しいところである。

この後、サウジアラビアは、アラブ首長国連邦など、スンニ派諸国と組んで、イランにつくカタールへの厳しい経済制裁を開始した。

また、サウジアラビアの副皇太子からの昇格で、次期国王に指名されているモハメッド・ビン・サルマン皇太子(32)は、ライバルとなりうる王子たちを失脚させながら権力の集中をはかりながら、サウジアラビアでは厳禁であった女性の車の運転を認めるなど、近代化、欧米よりの路線に舵を切っている。

また、石油にのみ頼らない国づくりを目指して経済改革を模索し、厳格なイスラム教国サウジアラビアの近代化をすすめているようである。

サルマン皇太子は5日、サウジアラビアではあたりまえになっている汚職を一掃するとして、有名なアルワリード・ビン・タラール王子を含む王族と大富豪ら11人を拘束し、世界を驚かせた。

目的は、欧米との貿易を活性化させるため、国のクリーンアップを図ったということらしいが、当然、権力集中という目的もあると思われる。

ハリリ首相の辞任演説は、この11人拘束の直前であった。さらにその少し前には、アメリカのクシュナー中東関係補佐官が、突然、サウジアラビアを訪問していたことから、これら様々なことの背後で、アメリカがなんらかの糸を引いている可能性も考えられると分析する記事もある。

http://www.jpost.com/Opinion/Skeptical-of-Saudi-Arabia-508219

サウジアラビアなどスンニ派諸国がアメリカに接近し、イスラエルにも接近していることは、イスラエルには有利な展開と言えるが、どこまで信頼できるかはわからず、イスラエルとしては、あらゆる想定を予測しながら、注意深く状況を見守っているというところである。

<ハリリ首相辞任:イスラエルにはどう関係する?>

レバノンからハリリ首相がいなくなれば、今後、レバノン内部で、シーア派のヒズボラとイランの台頭を防御する力がなくなる。アウン大統領がイラン支持派である以上、レバノンは急速にイラン傀儡になっていくと考えられる。当然、イスラエルには非常に危険な状態である。

11月1日、シリアのホムス近郊、レバノンのヒズボラへ搬送されるとみられた武器庫が空爆され、一時シリア軍と応戦状態になったことはお伝えした通りである。

イランからとみられる武器は、レバノンに入る前にシリアで排除しておかなければ、レバノンに入ってからでは、ヒズボラとの対決になってしまう。イスラエル軍とみられるこうした攻撃は頻度をましており、この数週間で、これが3度目である。今後、こうした武器搬入への警戒はますます必要になっていくだろう。

ヒズボラとイスラエルの対戦は、いつかは発生するものとは誰もが考えているが、この流れからすると、次回の戦争は、イスラエル対ヒズボラではなく、イスラエル対レバノン、背後のイランとの戦争という構図になっていくとみられる。北部情勢の緊張は高まったといえる。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Report-Israel-attacks-Syrian-weapons-depot-Arab-media-claims-512102
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