西岸地区前哨地アモナ:強制撤去完了へ 2017.2.3

 2017-02-03
イスラエル政府は、西岸地区入植地の合法化法案(Regulation Bill)を国会審議にかける条件として、切り捨てられることになった前哨地(Out post)アモナ*の強制撤去が1日、行われた。

*アモナとは?

アモナは、入植地ならぬ”前哨地”とよばれる西岸地区のユダヤ人居住区である。土地は書類上、パレスチナ個人の所有となっているため、イスラエルの法律によっても違法とみなされている。そのために入植地として認可されていない。

西岸地区にはこのような前哨地が60以上あるのだが、アモナは開拓されてから20年になり、大きさも最大で、政府の撤去命令にも従わず、長年、問題になってきたところである。それが今回、ついに撤去されたということである。

<延期されていた撤去期限>

最高裁が命じた撤去期限は、本来昨年12月25日だったが、期限を前にアモナ住民と政府間の交渉行われ、アモナ住民が撤去に応じたため、撤去期限が、この2月8日に延期されていたものである。

その条件とは、①アモナ住民(42家族)が撤退することで、他の同様の地域が合法化すること。②アモナの42家族のうち、24家族は今のアモナのすぐ近くの丘に、18家族は、シロにそれぞれ新しい住居を用意する。③政府は補償金を支払う、であった。

これを条件にアモナ住民は静かに撤去すると約束していた。ところが、アモナ住民によると、政府は約束を守らず、新しい家屋はまだ準備できていないという。

そのため、1日を前に、アモナ住民は、強制撤去に抵抗する準備をはじめていた。さらにアモナに同調するユダヤ教右派で、過激で知られるヒルトップ・ユースを含むティーンエイジャーたちが次々にアモナに終結し、ものものしい雰囲気となった。

<住民VS警察3000人>

1日朝、数千人におよぶ警察官らが、特別なブルーのトレーナー姿でアモナ入りを開始した。若者たちはタイヤを燃やしたり、投石したりして暴力的な衝突となった。家やシナゴーグの中ではバリケードを築くなどして、立てこもった。

日中、警察が来るは、座り込んで泣くティーンエイジャーの少女たちや、入植者1人を警察官4人が抱えて家屋やシナゴーグから出てくる姿など、ユダヤ人同士のなんとも悲しい争いが続いた。

最終的に、40家族は日中に撤去させられ、若者たちとシナゴーグにこもっていた2家族も翌朝にはほぼ撤去を完了したと伝えられている。

警察の報道官によると、今回、アモナに立てこもった住民200人(応援にかけつけた者を含めると800人)を撤去させるのに要した警察官は3000人だったという。

この24時間で、警察官に暴力を振るうなどして13人が逮捕され、警察官24人を含む多数が負傷した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/224284 (ビデオあり)

*入植者たちはなぜそこまでこだわるのか?

ヨルダン川西岸地区は、ユダの山脈があるところで、ユダヤ人によると、「ユダヤ・サマリヤ地区」「ベニヤミン地方」とよばれる地域である。

中でも特に、ジェニン(シェケム)、エルサレム、ヘブロンを直線につなぐ地域は、アブラハムも歩いた地であり、神がユダヤ人に与えた地であると信じられている。アモナもこのライン上にある。

右派宗教シオニストの正統派ユダヤ教徒たち(黒服の超正統派とは違うグループであることに注意)は、この地に住み、守ることは、神に従うことであり、イスラエル全体の祝福になると固く信じている。

今回も、たてこもった人々は、神への賛美を歌いながら警察に抵抗した。そうすることが神の意志であると信じているからである。

<西岸地区合法化への決意:ユダヤの家党ベネット党首>

合法化法案を国会審議に乗せるために、アモナをいわば”すて石”にしたベネット氏は、入植者たちから激しく非難された。

しかし、「この難から希望が生まれる。私たちはこの後、新しい入植地をつくる。ユダヤ・サマリヤに新しい法をもって、入植地すべてを合法化する。」と約束した。また、入植者たちに、立ち上がって開拓を続けるよう、呼びかけた。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4916203,00.html

*ベネット党首のビジョン

ベネット氏は、二国家二民族案は、非現実的だと考えている。

イスラエルがエルサレムを再分割してパレスチナと首都を分け合うことはないし、西岸地区がパレスチナになっても40万人を超える入植地のユダヤ人がパレスチナ国家の下へはいることはありえないからである。

ベネット氏は、最終的には、西岸地区の中で、入植地を中心とする地域で、イスラエルがすべてを管理しているC地区*のみを合併する案を主張する。その一歩が、C地区にイスラエルの法律を適応するという、「合法化法案」なのである。

その上で、A地区(パレスチナ自治区)とB地区(イスラエルとパレスチナ双方で管理)にパレスチナという”国”を作る。ただし、その際のパレスチナは、通常でいう完全な”国”ではないという。2つの条件がつくからである。

*C地区ーオスロ合意(1993)で定められた分類

イスラエル外務省地図
A地区(茶色): パレスチナ自治区 
B地区(黄色):パレスチナ行政だがイスラエルが治安維持
C地区(白色):イスラエルの完全管理

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その条件とは、①1948年以前からのパレスチナ難民とその家族がイスラエルに帰還する要求を放棄すること。また、②パレスチナは非武装ということである。それ以外の主権は有するので、”国”ではあるが、いわば”国マイナス”ということである。

これが成立すれば、イスラエルは西岸地区をさらに発展させ、パレスチナ人にもさらに労働許可を出して、双方、豊かに暮らせるようになるというのがベネット氏のビジョンである。

https://www.youtube.com/watch?v=dgjMTdbvLr8

しかし、これに、パレスチナ側が応じるとは、どうにも考え難い。エルサレムをあきらめる上に、非武装になるという屈辱に応じるはずがないからである。

また地図をみれば明らかだが、A、B地区をとりかこむ道路がすべてC地区に分類されている。

もし、C地区が全部イスラエル領になるということは、結局のところ、AとBの出入りをイスラエルが支配することになる。つまりは、実質的には、イスラエルが、パレスチナの行政責任を首尾よく避けた形で、西岸地区全体を合併している形になるのである。

ベネット氏は、今回、アモナを犠牲にしても、この道を突き進む考えだったのである。

今のネタニヤフ政権は、右派で固まる連立政権である。ネタニヤフ首相は、このベネット氏とうまく付き合いつつ、国際社会の機嫌もとらねばならない。。。という難しい舵取りをしいられている。

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トランプ新大統領10日目:火花が中東へ 2017.1.30

 2017-01-30
トランプ大統領が就任して10日になる。以来、メキシコの壁、TPP離脱など世界中がトランプ新大統領の一挙一動に振り回されている。

特に今は、中東・アフリカ7国からの、イスラム系移民者を締め出す政策を打ち出し、アメリカのみならず、世界中に混乱が広がり始めた。特にアメリカには多数のイラン人が住んでいるため、アメリカとイランの関係に大きなひびが入り始めている。

加えてトランプ大統領は、ISISを30日以内に撲滅すると宣言。イスラム過激派を撃滅するとして、すでにイエメンでのアルカイダ系武装組織の攻撃に乗り出し、市民を含む死者は57人に上っているという。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-38787239

こうした中、イスラエルは、親イスラエルと目されるトランプ大統領の就任とともに、西岸地区入植地でユダヤ人家屋の建設を促進し、エルサレム、西岸地区の合併に近づく動きを見せて、イスラム社会からの反発を買うようになっている。

今後、イスラエルは、”強い”トランプ政権に守られるのか、逆にアメリカとともにこれまで以上に憎まれる存在になるのか・・・。

かなり早いペースでトランプ大統領が動いているので、配信が間に合っていない状況だが、まずは、イスラエルに関係するニュースから、全体像をまとめてみる。

<イスラエル入植地関連>

1)東エルサレム・西岸地区入植地での建設拡大へ

トランプ大統領が就任後、イスラエルで真っ先に動いたのは、西岸地区入植地の合法化案(Regulation Bill)を国会ですすめている右派ユダヤの家党のベネット党首だった。

ベネット党首は、エルサレム郊外にあり、1967年ラインよりパレスチナ側にあるユダヤ人入植地マアレイ・アドミムのエルサレム市への合併、続いて西岸地区のC地区(ユダヤ人入植地)をイスラエル領として合併する案を早急に進めると主張した。

この法案は、将来的にイスラエルが、東エルサレムと西岸地区を合併してしまう可能性を含んでおり、二国家二民族(国を2つに分ける案)を事実上、不可能にしてしまうとして、問題視されている案である。

ネタニヤフ首相は正式には、二国家二民族を支持する立場をとっているため、治安閣議(ベネット党首含む)は、この法案に関する審議は、トランプ大統領との直接会談が終わるまでは延期するとの決断を出した。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Bennett-We-will-annex-Maaleh-Adumim-first-and-then-the-rest-of-Area-C-477236

この後の22日、トランプ大統領とネタニヤフ首相は、電話会談(30分以内)を行った。トランプ大統領は、2月中にもネタニヤフ首相を、ワシントンへ招くとのことだが、日程はまだ未定。両者は、軍事諜報を含む関係を強化することで一致したと伝えられている。

http://www.jpost.com/Israel-News/Benjamin-Netanyahu/Netanyahu-Trump-have-first-phone-call-479287

この直後からイスラエル政府は、東エルサレムにユダヤ人家屋566軒、続いいて西岸地区に2500軒の建築承認を次々に発表した。

詳細は、東エルサレムのギブアット・ゼエブに652軒、マアレイ・アドミムに102軒、ハル・ギロに4軒。西岸地区最大の入植地ですでに「市」となっているアリエルに899軒。その他、西岸地区の入植地6つ、となっている。

また、エルサレムとベツレヘムの中間にあり、テロが頻発するエチオン・ブロックと呼ばれる入植地についても、ネタニヤフ首相とリーバーマン防衛相が合意して、エフラタに21軒、ベイタル・イリットに87軒、承認が出された。

さらには、ラマラ近郊にあるベテルにも20軒の承認が出された。

これらは、オバマ政権時代に建設にブレーキがかけられていた地域で、いわばそれが解禁になったような形である。ただし、これらはほとんどが既存の入植地内部での建築許可であり、入植地を拡大したというわけではない。

http://www.timesofisrael.com/after-pm-talks-to-trump-israel-okays-2500-new-settlement-homes/

2)大エルサレム構想!?

トランプ大統領就任後、交通相と情報相を兼ねるイスラエル・カッツ氏は、”イスラエル主導案”として、アメリカに打ち出していく案を治安閣議に提出した。親イスラエルと目される大統領の誕生で、チャンスを最大限利用しようというものである。

内容は、エルサレム市拡大、新西壁鉄道駅、ヨルダンに続く鉄道、ガザ沖人口島建設などとなっている。

①エルサレム市メトロポリタン化案

エルサレム近郊で、1967年ラインによるとパレスチナ側になる入植地(マアレイ・アドミム、ギブアット・ゼエブ、グッシュ・エチオンなど)が、現在、中途半端な位置に置かれているとして、これらをエルサレム市に含めて、正式にイスラエルの法律を適応し、エルサレム市のサービスが届くようにするという計画である。

これらの地域は、ロンドンやパリも有しているような郊外区としてある程度の自治をもちながら、エルサレム市の一部とみなされる形である。現在、東エルサレムのアラブ人地区がすでにその形をとっている。

これにより、エルサレム市は実質拡大することになり、今は30%以上がアラブ人というエルサレムの人口比が変わり、エルサレムがユダヤ人の町という色彩が強くなる。

②西壁鉄道駅案

イスラエルは現在、テルアビブとエルサレムをつなぐ高速鉄道を建設中だが、その経路をエルサレム旧市街まで引き延ばして、西壁駅を作る案。旧市街自体が、1967年ラインよりパレスチナ側にあることから、問題になりうる。

http://www.timesofisrael.com/israel-advances-western-wall-train-plan/

③ヨルダンと鉄道で直結案

地中海のハイファ港と、内陸ヨルダンをつなぐ鉄道を建設し、貿易を促進する。

④ガザ沖人口島建設案

ガザ沖に人口島を建設し、淡水化工場、発電所を建設する他、ガザと世界を結ぶ接点とする。これにより、イスラエルの治安が守りやすくなる。

以上は単に案で、実施されるかどうかは不明だが、親イスラエルと目されるトランプ大統領がいるうちに、一気に、地域の主導権をかためてしまおうというイスラエルの思惑がうかがえる。

3)国連安保理は沈黙

上記のように、”調子に乗っている”ようなイスラエルの動きに対し、パレスチナ自治政府は、トランプ政権に対処を期待するとの声明を出したが、トランプ政権は当然、無反応だった。*トランプ氏自身親入植地派と目されている。

トランプ大統領就任後で、新しい米国連大使ニキ・ハーレイ氏が就任後に開かれた国連安保理では、先月、厳しい反イスラエル入植地決議を出したばかりであるのに、今回は、何の対応も打ち出さないまま、閉会となった。

パレスチナの国連代表リヤド・マンソール氏は、「イスラエルの動きは、国連安保理の決議2334をまったく無視したものであり、それを止めるのが安保理の責任だ。」と主張した。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4913116,00.html

パレスチナ自治政府のアッバス議長は来月2月7日、パリのオーランド大統領を訪問し、今月15日に、フランス主導で、70カ国以上が集まって安保理決議2334に合意確認したことについて、話し合うことになっている。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Abbas-Hollande-to-meet-to-continue-work-of-Paris-peace-conference-479714

<エルサレムへの米大使館移動関連>

トランプ大統領は、就任後すぐにでも米大使館をエルサレムへ移動することを公約にあげていた。しかしながら、これについてトランプ大統領は就任後、「それについて語るのは、今は時期早尚だ。」と言い、公約とは違い、すぐには実現しそうにない流れとなっている。

http://www.jpost.com/American-Politics/Trump-Too-early-to-discuss-moving-US-embassy-to-Jerusalem-479764

米大使館ついては、西側指導者らも、「実施すると爆弾を踏むことになる。」と警告を発している。

パレスチナ自治政府のアッバス議長は、もしアメリカが大使館を移動するなら「イスラエルを認める」とする基本合意を撤回すると言っている。つまり、オスロ合意の破棄であり、戦争への一歩になるということである。ヨルダンのアブダラ国王も、「赤線を超えることになる。」と言っている。

<パレスチナ人テロ頻発>

トランプ大統領就任に関係があるかどうかは不明だが、ここしばらく、ガザ地区からの銃撃や、西岸地区内では、走行車両への銃撃や車で突っ込むといったテロが頻発している。幸い、市民に死者や負傷者はない。

イスラエル軍は、情報が入るたびに西岸地区で、テログループの摘発を行っている。先週木曜には、西岸地区ジェニンの難民キャンプで、ハマス関係者8人が逮捕され、ここで武器製造機器が押収された。この時イスラエル軍兵士1人が負傷した。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4913178,00.html

土曜夜には、その同じジェニンへ、テロリストの摘発に突入したイスラエル軍に対し、パレスチナ人らが、爆発物を投げつけて抵抗した。イスラエル軍の反撃で、パレスチナ人1人(19)が死亡した。死亡したパレスチナ人は上記逮捕者8人と親戚関係にあったという。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4914285,00.html

しかしながら、一般のパレスチナ人たちがそこまでの戦闘意識を持っているかどうかは不明というのが、イスラエル軍に調べからする見方でもある。

ガザでは電力不足で反ハマス・デモが発生した。(前回オリーブ山便り参照)普通の市民たちは、とにもかくにも日々の生活が安定していれば、それが最善なのかもしれない。

http://www.timesofisrael.com/trump-too-early-to-talk-of-moving-embassy-to-jerusalem/

*バス横転事故でユダヤ人を助けたパレスチナ人家族

パレスチナ人といえば、テロのイメージがあるが、全員がテロリストではない。

イスラエルでは、先週木曜夜、西岸地区の入植地近郊で、ユダヤ人のバス会社エゲッド(公共交通機関)のバスが谷間へ落下横転し、2人が死亡、多数が負傷という大事故が発生した。

この時、事故を最初に発見し、警察に通報したのはパレスチナ人家族だった。最初に現場に到着した救助隊によると、このパレスチナ人家族は、大雨で寒い中、パジャマのまま、事故現場にかけつけ、犠牲者の救出をしていたという。

パレスチナ人でもユダヤ人の命を助けるために必死になれる人もいるということを忘れてはならない。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4913959,00.html
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テルアビブで国際サイバーテック見本市 2017.1.30

 2017-01-30
世界が大きく変わり、イスラエルがますます嫌われるような流れになっているが、今年も明日から3日間、世界最大といわれるサイバー技術の国際見本市がテルアビブで開かれる。

展示ブースは250、100以上のスタートアップ企業が、そのサイバー技術を競う。ネタニヤフ首相はじめ、業界トップがスピーカーに招かれているカンファレンスも行われる。

この分野ではイスラエルはトップレベルであるため、日本を含む多数の国々から代表団が、新しいサイバー技術を求めてやってくる。政治的にはイスラエルは嫌われる傾向にあるが、実際にはその技術力を求めて多くの国々が集まってくるのである。

https://www.cybertechisrael.com
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パリ中東和平会議からトランプ新大統領就任へ 2017.1.20

 2017-01-20
いよいよトランプ大統領が就任する。これに先立つ1ヶ月の間、イスラエルでは、西岸地区入植地とエルサレムについて、様々な動きがあった。

<パリ中東和平会議>

昨年12月、国連安保理で、オバマ政権が拒否権を発動しなかったことでイスラエルに対する反入植地決議案2334が可決されたのに続いて、1月15日、パリで、フランス主導のイスラエル・パレスチナ問題に関する国際会議が開催された。

参加国は、退任直前のアメリカのケリー国務長官と72カ国の代表たち。当事国のイスラエルは欠席。パレスチナも招かれていないという当事者抜きの国際会議であった。

イスラエルは、この問題は、当事者であるイスラエルとパレスチナが直接話し合いを行い、エジプト、ヨルダン、サウジアラビアなど近隣中東諸国が関わるべきであり、欧米が当事者抜きで行う国際会議など無意味だと訴えた。

一方、パレスチナは、イスラエルといくら直接交渉しても、ラチがあかないので、国連はじめ、幅広い国際社会からプッシュしてもらうしかないと考えており、こうした国際社会の動きは歓迎する立場をとっていた。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4907050,00.html

<何が決まったのか>

基本的には、昨年安保理で可決された反入植地決議案2334を、72カ国が確認、賛同したということである。

つまり、1967年(六日戦争)以後、イスラエルの主権下に入ったとイスラエルが主張する東エルサレムを含む西岸地区でのイスラエルの入植活動は、国際法上違法であるという認識で一致したということである。

また、72カ国は、今や風前のともしびと言われる二国家二民族案*こそが、あくまでも平和への道筋と再確認し、イスラエルとパレスチナ双方に話し合いへの圧力をかけた。国際社会は、今年中に再度、同様の会議を行うとしている。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4907695,00.html

最大の問題はエルサレムである。安保理の決議、並びにパリでの会議によると、現在のエルサレムは、”違法な”東エルサレムを含んでいるため、そこをイスラエルの首都とすることは国際法上の違法とされる。

パリでの会議後の声明では、トランプ次期大統領が、米大使館をテルアビブからエルサレムに移動させると公約していることについて、実施するべきでないと表明した。この会議自体が、オバマ大統領のトランプ封じだとも言われている点である。

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Analysis-If-the-US-Embassy-moves-to-Jerusalem-are-we-looking-at-a-new-intifada-478535

しかし、この会議は、国際社会の共通の認識をイスラエルにつきつけただけで、実際的な動きにつながることはない。

イスラエルにとっては、さらに孤立を深めた感はあるが、イスラエル紙によると、安保理では、イスラエルは国際法違反という犯罪的なイメージの言葉が使われていたのに対し、このカンファレンスでの声明では、一部表現が和らいでいたことから、イスラエルとしても、そのまま静観するという流れになっている。

<イスラエルはどうするのか?>

国連安保理ならびに、パリでの会議以後、さすがに国会でのRegulation Bill(西岸地区入植地を合法化する法案)の審議は行われていない。

しかし、Yネットによると、右派ユダヤの家党ベネット党首は、トランプ新大統領が就任すると同時に、エルサレム郊外の入植地マアレイ・アドミムを合併する審議を推し進める考えを表明している。

マアレイ・アドミムは、安保理がいう国際法上違法な、1967年以降にイスラエルが開拓した入植地である。エルサレムからわずか10分のところにある大きな入植地で、これを合併すると、エルサレムのアラブ人:ユダヤ人の人口比が圧倒的にユダヤ人に有利になる。

これまでからも合併が論じられてきたが、これをエルサレムに合併すると、地理的に西岸地区が2つに分断されることになるため、パレスチナ人たちは、「パレスチナ国家設立」への実質的な妨害だとして、激しく反発していたのであった。

ベネット投手は、トランプ新大統領がエルサレムをイスラエルの首都と宣言し、西岸地区の入植地にも理解を示していることを受けて、逆にいまこそ西岸地区を合併に導くチャンスだと考えている。

トランプ氏の就任に先立ち、エルサレムのバルカット市長は、トランプ大統領の就任を歓迎するメッセージを発表した。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/223522

一方、パレスチナ自治政府は、トランプ氏に、大使館をエルサレムに移動することは、”我々の赤線を超えることになる”と、明確な反発を表明している。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/223518

<トランプ新大統領はどう出る?>

明日就任するトランプ次期大統領は、次期駐イスラエル大使に、ユダヤ人入植地支援を行ってきたフリードマン氏を指名している。フリードマン氏を通して、トランプ氏自身も、過去に入植地ベテルに多額の支援を行っている。

エルサレムへの大使館移動については、今の所、具体的な手順は示していないが、トランプ氏は、「約束は忘れていない。」と言っている。しかし、歴代大統領でこの件を約束し、実現した大統領はいない。

オバマ大統領は、退任最後のメッセージで、エルサレムへの大使館移転問題を意識したと思われることにおいて、「一方的な行動をとれば、爆発する可能性がある。」と警告した。

国連安保理や国際社会の上記のような動きの中、就任後、トランプ氏が、エルサレムへの大使館移動の公約など、どのようにイスラエル問題に取り組むのか、就任演説からして、注目されるところである。

http://www.timesofisrael.com/trump-i-did-not-forget-jerusalem-embassy-move-pledge/
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南部未認可ベドウイン村での衝突:警察官1人死亡 2017.1.20

 2017-01-20
水曜、ネゲブ地方にある違法とされるベドウインの村ウム・アル・ヒランを強制撤去しようとしていた警察と、ベドウインたちの間に暴力的な衝突が発生。

アル・ヒラン住民のムサ・アブ・アルキヤンが運転するトラックが、警察官たちにつっこみ、警察官のエレズ・レビさん(34)が死亡した。トラックを運転していたアルキヤンも射殺されて死亡した。

警察は、アルキヤンは、イスラエル南部のイスラム運動のメンバーで、ISISとの関わりもあったと主張している。

しかし、ベドウイン側は、アルヤキンに、警察官を殺害する動機はなかったと主張。逆に運転中に射殺されたことで、そのまま警察官らにつっこんだと主張している。

なお、Yネットによると、警察官らは、まだ撤去作業に入る前だった。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4909111,00.html

死亡したエレズさんには妻のクララさんと5歳、2歳の子供たちがいた。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4909313,00.html

<無認可ベドウイン村撤去について>

上記事件の後、ウム・アル・ヒランは、予定通り、強制撤去された。撤去作業が行なわれている間、警察官たちが人間の輪を作ってだれも近づかないようにして、さらなる衝突を避ける方策をとった。

ところが、そこへ統一アラブ政党の議員らが来て、村の撤去を行う警察官たち抗議して、アイマン・オデー議員が負傷した(軽傷)。アラブ議員らは、ベドウイン村の撤去は、イスラエルの少数派アラブ人に対する暴力だと訴えている。

ベドウインは、かつては遊牧していたが、今は定着しているアラブ人たちである。非常に貧しく、イスラエルの中でも最も貧しい人々である。

イスラエル政府は、貧しいベドウインたちの生活を改善しようとしているのだが、部族間の問題もあり、村は散在している。学校や設備をそれぞれの村すべてに整えることは不可能である。

そこで、いくつかの大きな村を認可し、その町に学校や様々な施設のほか、住宅をほぼ無料で提供するなど、ベドウインたちをある程度集約する計画を進めている。

しかし、これは、もともと遊牧をしていたベドウインのライフスタイルには、合わず、貧しいベドウインの生活を改善しようとするイスラエル政府のよい思いが逆に批判される結果にもなっているのである。

とはいえ、貧しいベドウインの村では、犯罪も増える一方であるため、イスラエル政府としてもなんらかの対策はとらなくてはならない。そうした中で、今回の無認可村の撤去という運びになったわけである。

イスラエルが少数派アラブ人に、わけもなく暴力を振るっているというのは誤りである。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4909187,00.html
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