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世界がスルー:イラン・イスラエル危機 2019.8.31

 2019-08-31
先週、イスラエルが、イラクのイラン拠点、レバノン・ベイルートのヒズボラ拠点への攻撃を実施したとみられる件を受けて、イスラエルはヒズボラが実際に、イスラエルへの反撃してくる可能性があるとして、北部防衛体制を強化している。

イスラエル内部のニュースによると、兵士らの週末休暇をキャンセルして現地に待機させている。

https://www.timesofisrael.com/idf-chief-tours-tense-northern-border-as-army-braces-for-hezbollah-strike/

こうした中、イスラエル軍は、イラン革命軍とヒズボラの幹部で、イスラエルへの攻撃を担っているとする司令官ら3人の名前を公開。また、イランがヒズボラを使って、これまでどのようにイスラエル攻撃を発展させてきたかを動画にして公表した。

https://www.timesofisrael.com/in-tacit-threat-idf-reveals-details-of-iran-hezbollah-precision-missile-project/

しかし、世界は、ホルムズ海峡危機には、自国のタンカーや燃料が関係するため、神経を逆立てているが、同時進行で進んでいるイランとイスラエルの間にある敵意や、イスラエルの危機的状況については、ほとんどスルーの状態である。

先週、イランのザリフ外相をG7に招いた議長のマクロン大統領(フランス)は、EUとともに、イランとの対話を進めようと努力している。

それは、イスラエルの友人であるはずのトランプ大統領も同じ。トランプ大統領は、先のG7にイランのザリフ外相が出席し、フランスが対話をすることを認めた上、トランプ大統領自身も、イランのロウハニ大統領との対話に前向きな姿勢を示している。

また、日本の安倍首相は、以前、イランのロウハニ大統領と会談中に、ホルムズ海峡で日本系のタンカーが攻撃を受けて、今のホルムズ海峡危機の口火になったわけだが、8月28日、横浜でザリフ外相を会談。9月に再びロウハニ大統領と会談する方向で調整することがが決まっている。

https://www.sankei.com/politics/news/190828/plt1908280016-n1.html

イランとアメリカ、世界との対立は、今や八方塞がりになっており、イラン国民自体も、最終的には、トランプ大統領との交渉に臨むしかないだろうとの考えが広がりつつあるという見方もある。

しかし、このまま、イランと世界が再び不徹底な形での核合意に至ることをイスラエルは恐れている。イランへの経済制裁が解除されて、再び核や弾道ミサイルを開発するようになれば、一番先に攻撃されるのはイスラエルだからである。

ネタニヤフ首相は、マクロン大統領に、「今は、まさにイランと対話する時ではない。」と申し入れたが、逆にEUから、「我々は常に対話を望むのだ。」とカツを返された。

https://www.timesofisrael.com/netanyahu-tells-macron-now-precisely-not-the-time-to-talk-to-iran/

このように、世界はほとんどスルーしているが、イスラエルが、警鐘を鳴らす中東でのイランの現状は以下のとおりである。

<イラン・ヒズボラとイスラエル:ドローンによる攻防>

前回もお伝えしたが、イスラエルの発表によると、8月24日(土)、イスラエルが攻撃したシリアのイラン拠点からは、イスラエル市民を狙った、”神風・ドローン”が発射されるところであった。イスラエルは、大きなテロを未然に防いだと見ている。

続いて、レバノンのヒズボラ拠点付近で、イスラエルのものとみられるドローンが2基爆発し、建物に大きな損害を与えた。イスラエルは、これにより、既存のミサイルを精密な誘導ミサイルに変える作業を遅らせることができたと見ている。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5576535,00.html

この後、ネタニヤフ首相は、ヒズボラのナスララ党首と、イラン革命軍のスレイマン将軍に、「(イスラエルはすべてお見通しなので)行動に気をつけたほうがよい。」と伝えたとのこと。

しかし、今回こそは、イランの堪忍袋が切れて、ヒズボラが反撃してくるのではないかとの懸念があり、北部への警戒を強化したということである。

<今がたたき時?イラン・レバノンの弱み>

イスラエルがなぜ、ここまで強気かといえば、シリアの内戦が終焉を迎え、イランとヒズビラがいよいよイスラエル攻撃の準備を始めたとみられるからである。

ヒズボラは、10万発以上のミサイルとイスラエルに向けているといわれるが、それらは今の所、誘導式ではないとみられ、今、誘導ミサイルへの変換を行っている途中だという。今のうちにこれを抑えることは、イスラエルの防衛上、重要なことである。

また今は、シリアでの戦争直後であり、アメリカの強力な経済制裁再開により、イランが経済的にも戦略的に疲弊している。ヒズボラへの支援も滞っており、ヒズボラも経済危機にある。このため、今なら、イスラエルへ反撃して、その後の戦争に耐えるだけの体力がないとみられている。

トランプ大統領が、これまでのどの米大統領よりも、イスラエルに好意的であることもまた、後押しになる。来年の米選挙までが、チャンスである。

さらに、来月、イスラエルとレバノンは、地中海上の国境線について協議することになっているという。どこが国境になるかで、海中の天然ガスの資金が、レバノンへ流れる可能性も否定できない。

この交渉で、よりよい条件を勝ち取るためにも、レバノンは今、おとなしくしていなければならない時期にある。

この点を知ってか、イスラエルは、「ヒズボラが、イスラエルを攻撃したとしたら、それはすべて、その領土から攻撃しているレバノン政府の責任とみなす。」と明言している。

一方、世界のメディアが、今のイランとイスラエルの対立にさほど危機感を感じていないのは、その他のことで手一杯であることと、おそらく、イランもヒズボラも、今はイスラエルに対して大きな動きには出ないだろうと感じているからかもしれない。

このように、あらゆる条件から、イランと、ヒズボラをたたくなら今、ということであろう。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5576535,00.html

あと一点。これは左派メディアのハアレツからの言い分でもあるが、防衛態勢が危機に陥ると、ネタニヤフ首相の右派勢が、力を得る傾向にある。総選挙直前のこの危機的状況は、ネタニヤフ首相と右派勢にとって追い風になると言われている。

https://www.jpost.com/Middle-East/The-international-community-ignored-Israel-Iran-tensions-this-week-why-600085
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イスラエルと韓国が自由貿易協定(FTA)締結 2019.8.31

 2019-08-31
日本との対立が急速に悪化している韓国。その韓国が、8月21日、アジア諸国としては初めて、イスラエルとの自由貿易協定(FTA)を締結した。発効は2020年との見通し。

対象となるのは、自動車(ヒュンダイが人気)、医療機器から化粧品やビデオゲームと多岐にわたる。イスラエルと韓国の貿易は、昨年度25億ドルだったが、ネタニヤフ首相は、今回の合意で倍になると予測し、これを歓迎すると言っている。

イスラエルと韓国の自由貿易交渉は、数年前から続いていた。しかし、西岸地区入植地や、ゴラン高原といったいわゆる”占領地”からの製品に関してなど、政治的な問題な課題から、今に至るまで、合意できていなかった。

今回の合意で、この点がどうなったのかは、明確ではないが、イスラエル側は、妥協はしていないと言っている。しかし同時に、韓国が、西岸地区やゴランの製品をボイコットできるとの流れにもなっているもようである。

エリ・コーヘン経産相は、「イスラエルと韓国の新しい関係の始まりになる。」と述べた。

https://www.jpost.com/Israel-News/Israel-South-Korea-conclude-talks-on-Free-Trade-Agreement-599270

この他、イスラエルがFTAを締結しているのは、アメリカ、カナダ、トルコ、メキシコ、コロンビア、パナマとなっている。

https://www.jetro.go.jp/world/middle_east/il/trade_01.html

イスラエルと日本の貿易は、昨年度イスラエルから日本への輸出が、8億7000ドル、日本からイスラエルへは、15億ドルとなっており、韓国よりかなり少ない。

https://www.timesofisrael.com/israel-sets-target-of-1-billion-in-exports-to-japan-in-coming-year/

日本は、イスラエルとの貿易については、韓国や中国など他のアジア諸国が同国の技術力に殺到してきたのに対し、一歩遅れて出発している。今、イスラエルの技術を求めて投資する会社が、急速に増え始めているところである。

<ネタニヤフ首相の韓国・日本訪問ドタキャン騒動>

上記の出来事とは直接関係はないのだが、興味ふかい記事があったので紹介する。

この7月、ネタニヤフ首相は、韓国と日本を訪問すると打診してきた。明らかに総選挙での外交功績における点数稼ぎであった。

これについて、韓国では、そのわずか1週間前にイスラエルのリブリン大統領の公式訪問に対処したばかりであったこともあり、ネタニヤフ首相の訪問については、断った。

ハアレツ紙(左派で反ネタニヤフ的)は意地悪く、韓国が、ネタニヤフ首相の訪問が、単なる総選挙対策であると察知して、この時に、(今回サインした)自由貿易協定にサインするつもりはないとして、これを断ったと伝えた。

ところが日本は、ネタニヤフ首相の訪問が、点数稼ぎでることを知りつつも、これを歓迎する意向を表明。7月29日に訪問を決定し、安倍首相は、予定を調整。市内のホテルも、ハイシーズンにもかかわらず、約85室を開けた。(ホテル代は、日本政府持ちらしいが、日本はノーコメント)

ところが、この時期、イスラエル外務省が、ちょうどストに入り、東京のイスラエル大使館が動かなくなった。そのため、日本政府が、代わりに最終の準備を完了した。ところが、わずか10日前になり、ネタニヤフ首相の訪問は、突然、キャンセルされた。

キャンセルの理由は、どうも国会関係の事情のようであるが不明。ハアレツ紙は、ネタニヤフ首相が、日本政府に恥をかかせたと報じた。ハアレツによると、ネタニヤフ首相は、以前の選挙の時にも、ロシアのプーチン大統領に対して、同様のドタキャンをしたとのこと。

https://www.haaretz.com/world-news/.premium-tokyo-in-shock-netanyahu-calls-off-japan-visit-he-asked-for-days-ahead-of-trip-1.7658503

なんとも・・韓国と日本の文化、そしてイスラエルの文化の違いを表しているできごとではないだろうか。。。

それにしても、韓国が、長年締結できなかったイスラエルとの自由貿易協定を締結したのは、8月21日で、日本が、韓国を貿易管理条の優遇措置を受けるホワイト国から除外すると発表し、実施に至る直前であった。

何か関係があるだろうか。。なお、イスラエルでは、日本と韓国の外交的問題についての報道はほとんどない。
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イスラエルボイコットの米イスラム教徒女性議員の来訪をめぐって 2019.8.18

 2019-08-18
昨年、アメリカで初の女性イスラム教徒議員2人、パレスチナ人でラシダ・タリーブ氏(ミシガン州)と、ソマリア難民出身のイルハン・オマル氏(ミネソタ州)が誕生した。2人は民主党で、共和党で、イスラム移民に厳しい政策を取っているトランプ大統領には対立する立場である。

2人はまた、反イスラエルで、イスラエル製品をボイコット運動をすすめていることで知られる。その両氏が、イスラエルへの訪問を表明し、論議を巻き起こした。

イスラエルでは、これに先立つ8月5日、民主党新人議員41人(235人中の17.5%)がイスラエルを訪問。イスラエルを支持する立場を表明していた。スポンサーは、AIPAC(ユダヤ系ロビー団体)であった。

https://www.jpost.com/American-Politics/Massive-delegation-of-Democrats-arrive-in-Israel-despite-efforts-by-far-Left-597695

これについて、同じ民主党でも左派系議員は、これを批判。タリーブ氏とオマル氏も、当然これには参加せず、41人のイスラエル訪問のわずか2週間後の18日に、パレスチナを訪問すると表明した。

トランプ大統領は、「これを受け入れたらイスラエルは弱腰であるということだ」とツイート。ネタニヤフ首相は、最終的に、この2人が、BDSムーブメントに関係しており、イスラエルに害を与えようとしているとして、入国を拒否すると表明した。

すると、タリーブ氏は、パレスチナにいる祖母に会うためとしてイスラエルへの入国を再申請。イスラエルは、これについては、人道的観点から受け入れると表明した。ところがタリーブ氏は気を変えて、これを拒否。祖母訪問はしないと表明した。

するとトランプ大統領が、これを嘲笑い、一番得をしたのは、タリーブ氏に会わずにすんだ祖母だとツイートした。すると、90歳になる祖母ムフティア・タリーブさんは、ロイターのインタビューで、「神がトランプ大統領を滅ぼされるように」と反発した。

https://www.timesofisrael.com/tlaibs-grandmother-wishes-ruin-on-trump-after-he-mocks-her-on-twitter/

いろいろややこしいが、この問題が浮き彫りにしたのは、イスラエルとアメリカ在住のディアスポラ・ユダヤ人社会との不仲であった。

タリーブ氏とオマル氏の訪問をイスラエルが拒否した際、アメリカのユダヤ人組織は、これを批判。民主国家としてふさわしくないと表明していた。
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リブリン大統領:韓国訪問 2019.7.16

 2019-07-16
リブリン大統領が、14日、韓国を公式訪問した。イスラエルの大統領が韓国を訪問するのは、2010年の故ペレス大統領以来である。今回は、ビジネス関係者を同行しており、目的は両国の貿易促進である。

韓国が独立したのは、イスラエルと同じ1948年。イスラエルとの国交は、1962年からである。現在、両国の間で自由貿易の協定締結交渉が最終段階にある。

韓国は、アジアで最初に直航便を実現し、サムソンは、アジアで最初に、イスラエルにR&D(研究開発)センターを置いた会社である。韓国はまた、宇宙科学においても、早くからイスラエルとの共同研究を行っている。

*イスラエルのR&D

スタートアップとよばれるイノベーションの国イスラエルでは、先端技術が多く開発され、毎年1000社近くが起業している。ここに世界の投資が集まるのだが、2016年には、それまでの最高投資額48億ドルを記録している。

企業とその技術を買収した会社は、そのままイスラエルにR&Dを設置する会社が多く、現在イスラエルには、グーグル、IBM,マイクロソフト、ソニーなど300社以上のR&Dが存在している。イスラエル、特にテルアビブは、まさにイノベーションのハブである。

イスラエルは、厳しい外交、防衛、ボイコット運動など、常に困難に直面しているが、ビジネスの世界では、そういうこととは無関係に、イスラエルへの投資が続けられている。

https://blogs.timesofisrael.com/israel-and-korea-are-having-a-moment/
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アメリカ、ロシア、イスラエルの治安顧問:エルサレムで3者会談 2019.6.26

 2019-06-26

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左からイスラエルのシャバット治安顧問、ボルトン米大統領補佐官、ネタニヤフ首相、パトルーシェブ露治安顧問 
写真出展:times of Israel

25日、アメリカとロシアの治安顧問のトップが、イスラエルの治安顧問とともに、3国サミットを行った。主な目的はシリアのイランをどうするかであったが、今のイラン危機を踏まえて大きな視野でもイランに関する話し合いが行われたとみられる。

出席者は、アメリカからは、ボルトン大統領補佐官、ロシアからは、ニコライ・パトルーシェブ治安顧問、イスラエルからは、メイール・ベンーシャバット治安顧問。議題は、主にシリアの再建であるが、イスラエルからは、もちろん、新しいシリアからイランを完全に排斥することが目標である。

しかし、アメリカとロシアの代表が、エルサレムで会うなどということは前例がなく、サミットが実現しただけでも歴史的であったと指摘されている。ネタニヤフ首相は、外交に力を入れてきたが、その結果だとばかりに、この会談を歓迎する意向を表明した。

会談後、各国補佐官とネタニヤフ首相が共同記者会見を開いた。

ボルトン米大統領補佐官は、上記のように、イランが、中東でテロ組織を支援し、核兵器や弾道ミサイルの開発を続けていることなどを挙げたが、ロシアのパトルーシェブ治安顧問は、イランを(ロシアの)同盟の国と呼び、次のように述べた。アメリカとは立場を異にしていることは明らかである。

①イランが中東の脅威なのではなく、シリアのイラン拠点を攻撃しているイスラエルが危険をもたらしている。シリアにいるイラン軍は、反政府政府のテロ勢力と戦い、国の平穏を取り戻すために貢献している軍である。

②モスクワは、イスラエルの(シリアのイランに対する)懸念は理解している。イスラエルには、100万人近いロシア系ユダヤ人がいることも承知している。

③ホルムズ海峡付近で撃墜されたアメリカのドローンは、イラン領空に入っていたためにイランが撃墜したのであり、国際法違反ではない。国際空域で撃墜されたというアメリカの主張には、確証がない。

パトルーシェブ治安顧問の発表を受けて、ボルトン補佐官は、プーチン大統領が、ロシアは、最終的にはイランがシリアから撤退することを望むと述べたと強調。ロシアはまだそれを実施しきれていないと述べた。

また、アメリカは、イランに強硬な圧力をかけてはいいるが、話し合いの扉は大きく開けている。イランがそのドアから入ってくることを望むと述べた。

https://www.timesofisrael.com/in-trilateral-summit-russia-sides-with-iran-against-israel-and-us/

ネタニヤフ首相は、同じ記者会見に立ち、イスラエルは、シリアにイランが進出することを、これからも決して容認しないと強調した。

<元イスラエル首相府で外交・防衛アドバイザー:エラン・リーマン氏の分析:電話記者会見>

米露の治安顧問トップが、エルサレムで、シリア情勢からイラン問題について話し合うということは、これまでになかったことで、歴史的だった。これはネタニヤフ首相の献身的な外交の結果と評価できる。

ロシアは、シリア内戦では、イランとともに立っていたが、内戦終了の今は、イランを排斥しようとする動きもみられる。しかし、この会議において、パトルーシェブ治安顧問は、ロシアがまだイランを見捨てたわけではないという明確なシグナルを発した。

しかし、同時に、今の危機的状況の只中で、ロシアが治安のトップを、イランが敵視するイスラエルに派遣し、敵対国アメリカの治安のトップであるボルトン大統領補佐官と会談させたということは、それだけで、イランにとっては痛手になったと思われる。

こうした現状から、ロシアがイスラエルの要請に応じて、シリアのアサド大統領に働きかけ、シリアからイランを完全に排斥するかどうかについて、リーマン氏は、今のところ、その可能性は低いとみている。
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ユーロビジョン開始:超厳しい治安状況 2019.5.16

 2019-05-16
12日夜、テルアビブでは、ユーロビジョン(国際歌謡コンテスト)が、オープニングセレモニーとビーチパーティで始まった。14,16日に準決勝、18日に決勝が行われる。

https://www.israel21c.org/eurovision-2019-kicks-off-in-plenty-of-style-in-israel/

今年、ユーロビジョンが、テルアビブで行われるのは、2018年の大会で、イスラエル人アーティスト、ネタ・バルジライさんが優勝したからである。それから1年、今日に至るまで、ユーロビジョンが、”紛争国”イスラエルで行われることが論議され、アーティストの中には、参加ボイコットを呼びかける者もいた。

しかし、最終的に不参加となったのは、ウクライナ(ボイコットが原因ではない)とブルガリアだけで、ヨーロッパからロシア方面の41カ国41国のアーティストがコンテストのためにイスラエル入りを果たしている。今回は、特別にアメリカからマドンナも参加している。

メイン会場は、テルアビブ中心のハビマ・スクエア。加えてビーチにはユーロビジョン・ビレッジが設けられ、食べ物に重点を置いたイベントなど、様々なイベントが行われる。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5507866,00.html

日本ではあまりなじみがないが、ユーロビジョンは、かなり大きな国際歌謡コンテストである。観光省は、4月に案内クリップをネットで流したが、再生は2億回。観光省は、この間、40万人がイスラエルに来ると予想している。

ちなみに、決勝戦の入場料は、1350~1700シェケル(約4-5万円)1000席。リハーサルもチケット制で、アーティストたちを見ることができる。

https://eurovisionworld.com/eurovision/tickets

また、コンテストは、テレビやネットで配信され1億人以上が見ることになる。このため、海外から取材に来たジャーナリストたちには、死海へのツアーが提供されるなど、プレスオフィスと観光省がコラボして、最大限に、イスラエルの良さをPRする作戦が展開されている。

しかし、イスラエルを憎む者たちがテロを決行するとしたら、これほど華やかな舞台はないだろう。アメリカ政府はアメリカ市民に対し、特に警戒するようよびかけている。

イスラエルは、テルアビブには警察官2万人を配置。ハビマスクエア周辺に加え、必要に応じてテルアビブ市内の道路が閉鎖されるため、今週1週間は、かなりの渋滞が予想されている。ガザ国境では、治安部隊を増強、迎撃ミサイルを追加するなど、治安強化を図っている。

特にこのユーロビジョンが危険視される状況は以下の通りである。

<厳しい治安情勢>

1)ガザ紛争停戦からわずか7日目

しかし、イスラエルでは、先週、ガザからの700発以上ものロケット攻撃を受け、市民4人が死亡したばかり。テルアビブは、そのガザから20キロしか離れれいない。

ガザでは、200万人のパレスチナ人のうち半数が貧困で生活できない事態となり、イスラエルへのロケット攻撃後の停戦で、なんとか必要物資を受け取るといった悪循環が続いている。今回は、停戦後6日目にあたる12日に、カタールの担当者がガザ入りし、13日、貧しいガザの109000家族が、それぞれ100ドルづつ受け取った。

カタールは、先週4億8000万ドルをパレスチナ人支援に出資すると発表。このうち3億ドルはパレスチナ自治政府に、1億8000万ドルは、ガザのハマスを経由せず、「貧しい市民」に直接手渡されるもようである。

200万人の崩壊寸前のガザ地区と、世界トップクラスのアーティストが、豪華な衣装でコンテストを行い、数十人が地中海ビーチで夜を楽しんでいるテルアビブ。わずか20キロで、この格差を思うとめまいがしそうなぐらいである。

https://www.timesofisrael.com/banks-in-gaza-start-handing-out-qatari-grants-to-impoverished-palestinains/

かろうじてカタールの現金がガザへ搬入されたが、ガザにいるイラン配下のイスラム聖戦が、テルアビブへロケット弾を撃ち込んでくる可能性は否定できない。

別の記事で述べるが、イランは今、アメリカの激しい経済制裁の下で苦しんでいる。このため、”中東のアメリカ”であるイスラエルを攻撃して、問題をそらす可能性もあり、その際は、ガザのイスラム聖戦や、南レバノンのヒズボラを使うこともありうる。

2)米大使館エルサレム移動からちょうど1年

14日は、アメリカ大使館がエルサレムへ移動してからちょうど1年になる。エルサレムでは、ネタニヤフ首相も出席しての記念式典が行われた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/263142

2018年のこの日、ガザでは、パレスチナ人が「帰還への更新」を行い、イスラエル軍がこれに実弾で対応したため、14,15日で62人が死亡した。ハマスによると、このうち50人はハマス戦闘員で、3人はイスラム聖戦だったという。

この1年、アメリカに続いて大使館をエルサレムへ移動させると表明した国々はいくつかあったが、結局グアテマラ一国にとどまっている。そのグアテマラも、来月行われる選挙で、大統領が交代すれば、テルアビブへ大使館を戻す可能性が高い。

パラグアイも、アメリカに続いて大使館をエルサレムへ移動させたが、まもなく大統領が交代すると、パラグアイ大使館は、すぐにテルアビブへ戻された。

ホンデュラスも大使館をエルサレムへと言っていたが、最終的には、外交施設をエルサレムに開設し、大使館移動は次のステップというこおtになった。

ブラジルは、福音派クリスチャンで、大使館をエルサレムに移動させることを公約していたボルソナロ大統領が誕生し、期待が高まったが、結局、大使館ではなく、貿易事務所をエルサレムに設立するにとどまった。

このほか、ルーマニア、ハンガリー、チェコなども可能性を匂わせてはいるが、大使館移動にまでは至らないとみられている。

https://www.timesofisrael.com/year-after-us-embassy-move-jerusalem-diplomatic-influx-fails-to-materialize/

3)ラマダン中のナクバの日

14日は、パレスチナ人の「ナクバの日」である。 この日、パレスチナ人たちは、イスラエルが建国し、”災難”(ナクバ)が降りかかったことを覚え、各地で、パレスチナ人によるデモ活動が行われる。

16日深夜すぎ、ガザでは1万人がデモを開始して、イスラエル軍と衝突しているとのニュースが入り始めた。

パレスチナ人たちは、まもなく公表される予定の、トランプ大統領の和平案にも反発している。13日、ガザでは、国連事務所前でも、デモが行われた。

https://www.jpost.com/Israel-News/Palestinians-to-mark-Nakba-Day-with-protests-strikes-589685

なお、イスラム教徒は、5月6日からラマダン月に入っている。イスラム過激思想に火がつく可能性もあるが、逆に断食で、抑止される可能性もあり、予想は難しい・・・

*5月9日:ラマダン最初の金曜:神殿の丘に18万人

イスラム教のラマダンは5月6日に始まり、6月4日までとなっている。この間、イスラム教徒は、日中断食してアラーの前に出る。特に金曜の礼拝日には、多くのイスラム教徒がエルサレムの神殿の丘(ハラム・アッシャリフ)のアル・アクサモスクで祈りを捧げることになっている。

イスラエルは、治安維持を強化しながらも、ラマダンに敬意を表し、西岸地区などからパレスチナ人がエルサレムに入る制限を緩めている。このため、今年は、昨年より50%増えて、18万人とみられる。(Times of Israelによる:数字はメディアによって格差あり)

幸い、なんの衝突もなくこの日を終えることができた。

エルサレムの治安維持様子、神殿の丘の礼拝の様子のクリップ含むサイト
:https://www.timesofisrael.com/180000-muslims-pray-peacefully-at-al-aqsa-mosque-on-first-friday-of-ramadan/

<石のひとりごと>

超華やかなユーロビジョン、アメリカ大使館移動1周年、一方で、貧困と暴力にあえぐガザ、ロケット弾、ラマダンで神殿の丘に集結するイスラム教徒・・・これらすべてが一斉に同時進行している。

イスラエルは、ユダヤ人という単一民族の国と一言で言える国ではなく、非常に多様なものを含む国である。にもかかわらず、民主国家として繁栄しているという点は、まさに世界に類をみない超ユニークな国であるということをわかっていただければと思う。

聖書は、そのイスラエルを中心に描かれているわけで、結局聖書は、神と人類の壮絶なやりとりが描かれている書物であり、それは過去にとどまらず、今に続き、かつ将来にも続いていくものであるということである。

まさに、イスラエルという国の存在そのものが、聖書の神が実在することを証している。
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