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長い秋の例祭終わる:イスラエルを待ち構える内外の課題 2019.10.21

 2019-10-21
イスラエルでは、1日の新年、9日のヨム・キプール、13日から始まった仮庵の祭りと例祭続きであったが、21日のシェミニ・アツェレートが最終日となる。ガリラヤ地方では、日中まだ35-36度と暑いが、エルサレムは朝夕涼しく長袖の秋模様である。

20日は、ホサナ・ラバ。日の出前から、嘆きの壁広場では、4つの植物、エトログ(黄色い果実)、ルラブ(ナツメヤシの葉)、ハダス(ミルトスの枝)、アラバ(柳)を手に、ユダヤ人たちが再び集結。

罪の赦しを受け取る最終の日であるとされ、最終的に罪を捨てて赦しを受け取るしるしとして、アラバを地面にたたきつけていた。同時に、今年も雨が降るようにとの祈りがささげられた。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/270335

20日の日没からは、シェミニ・アツエレートと呼ばれる仮庵の7日の後の8日目を祝う。罪をすべて赦され、神と親密に過ごす時と言われ、その最高の喜びを表現する日である。終末の後に来る時代を表すとも言われている。

この日はまた、シムハット・トーラーとも呼ばれ、1年の聖書朗読が完了する日とされる。この日、トーラーの巻物を抱いて外に出し、男性たちがその周りを楽しそうに踊って回る。これについては、中世に始まった習慣とのこと。

ディアスポラ(流浪中)のユダヤ人は、シェミニ・アツェレートの翌日にシムハット・トーラーを祝っていたことから、イスラエルでも、今日と明日までの2日間にわたってこの祝いが行われる。町中が混み合うということである。いやはや、例祭が長いというのもまたなかなか大変である。

<今年もエルサレムパレードで万国民がエルサレムでパレード>

クリスチャンエンバシー(ICEJ)が毎年、仮庵の祭りに大きな国際的なカンファレンス(今年40回目)を行っているが、今年も約5000人のクリスチャン(主に福音派)が、約100カ国から集まって5日間、仮庵の祭り集会を行った。

毎年恒例のエルサレム市主催のパレードにも参加。今年は17日、約5000人が、それぞれの国旗とともに、エルサレムとイスラエルへの支持をふりまいた。今年はエジプトからの参加もあったという。すっかりエルサレムの仮庵の祭りにおける風物詩となっている。

https://www1.cbn.com/cbnnews/israel/2019/october/its-the-fulfillment-of-prophecy-why-5-000-christians-from-100-nations-are-in-jerusalem

エルサレムに攻めて来たすべての民のうち、生き残った者はみな、毎年、万軍の主である王を礼拝し、仮庵の祭りを祝うために上って来る。(ゼカリヤ書14:16)
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3回目総選挙か:ネタニヤフ首相統一政権案をガンツ氏拒否 2019.10.21

 2019-10-21
秋の例祭が終わると、イスラエルでは国内外で嵐が待ち受けている。2回目の総選挙で、連立政権立ち上げの使命を受けたネタニヤフ首相だが、連立を立ち上げることができず、来週水曜23日に、その期限28日を迎える。

その後、14日間の延長が認められているが、ネタニヤフ氏が延長を求めることはないだろうとの見通しである。

https://www.timesofisrael.com/netanyahu-wont-seek-more-time-to-form-coalition-says-likud-mk/

<これまでの流れまとめ>

半年の間に2回も総選挙を行ったあげく、結局過半数を占める連立政権も、また左右混合の統一政権樹立もならず、リブリン大統領は、やむなく”統一政権の樹立を期待して”ネタニヤフ首相に連立政権樹立の役割を指名した。

この時点で、ネタニヤフ首相のリクード(32)とユダヤ教政党を含む右派勢は、計55議席。対する中道左派ブルーアンドホワイト(33)が、労働党(6)と左派メレツ(5)と組んだとしての左派勢は、44議席であった。

ネタニヤフ首相は、まずは、ガンツ氏に、リクードとブルーアンドホワイト、2党だけの右派左派統一政権を持ちかけた。しかし、ガンツ氏はあっさりとこれを拒否。ネタニヤフ首相が、右派勢をひとつのブロックとして、ユダヤ教政党が必ず残る形をつくった上で、この話をもちかけたからである。

ガンツ氏がこれを拒否した時点で、ネタニヤフ首相が連立樹立の指名を返上するかとも思われた。しかし、ネタニヤフ首相はまだあきらめず、今も、連立立ち上げを模索している。

一方、ガンツ氏の方に、独自の連立立ち上げに向けた具体的な動きが見えてこなかったことから、ネタニヤフ首相は、仮庵の祭り中に、具体的な統一政権案をガンツ氏に再度持ちかけた。しかし、ガンツ氏は、やはり拒否した。  

しかし、もしかりに、ネタニヤフ首相に代わって、ガンツ氏が連立立ち上げをした場合、どのパターンでも、政過半数を割る不安定な少数政権となり、国会においては、リーバーマン氏のイスラエル我が家党(8)と、アラブ統一政党(13)が基本的にサポートするという条件の政治運営しか道はない。

ネタニヤフ首相は、「ガンツ氏、その相棒のラピード氏、リーバーマン氏は、アラブ政党の支持に依存する政治運営を計画している。これはヒズボラやイランに対抗できなくなる可能性を示唆するもので、イスラエルを危機に陥れるものだ。」と訴えるデビオクリップを流した。

これを受けて、ガンツ氏は、「ネタニヤフ首相。9月17日に選挙はもう終わっていた。あなたは連立を樹立できなかった。ビデオクリップを作っているヒマがあったら、さっさと指名を大統領に返上し、私にその役割をひきさたすべきだ。」との声明を出した。

<リブリン大統領はどう決断するか>

今後どうなるかだが、もし来週、ネタニヤフ首相が、連立立ち上げを返上した場合、まずは、リブリン大統領が、この使命をガンツ氏に渡すのかどうかが焦点となる。

チャンネル13によると、ガンツ氏が、イスラエル我が家(リーバーマン氏)とリクード(右派ブロックではなく、リクードのみ)の代表を招いて、この3者による統一政府を計画しているといった報道も出始めている。

https://www.timesofisrael.com/netanyahu-gantz-planning-government-with-backing-of-dangerous-arab-parties

いずれにしても、3回目総選挙の可能性はいぜんとして高いままである。
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入植地の極右ユダヤ人とイスラエル軍が衝突 2019.10.21

 2019-10-21
入植地に住む過激なユダヤ人の若者たちとイスラエル軍が衝突するという事件が発生している。この若者達は、ヒルトップ・ユースと呼ばれ、極右でパレスチナ人への暴力を繰り返すグループである。

白い服に身を固め、投石したり、パレスチナ人の畑や家、モスクに放火し、2015年には5歳児を除く一家3人が焼死するという事態にまでなった。パレスチナ人の間では恐怖になっている。このグループの活動がまた表に出始めている。

先週、イスラエル軍(ゴラニ部隊)は、西岸地区ナブルス近郊のユダヤ人入植地イズハルの谷ににあるパレスチナ人の町、フワラに放火しようとしたイズハル在住のヒルトップユース(10代)を逮捕した。

すると別のヒルトップユースが、ゴラニ部隊のアユブ・カヤフ少佐が運転していた車を止めて、暴行しようとした。カヤフ少佐はこれを逃れて、警察に通報。イズハル在住のヒルトップユース2人目が逮捕された。

すると、安息日の夜中3時すぎ、30人ほどのヒルトップユースが、イズハル付近を警備していたイスラエル軍兵士らに向かって、投石したりタイヤをやくなどの暴動を始めた。これにより、兵士1人が軽傷を負った。

イスラエル軍は、暴動対処法にしたがい、空中に発砲してこれを取り押さえた。これはユダヤ人同士の争いで、イスラエル軍としても心苦しい任務である。

西岸地区のユダヤ人入植地は、ショムロンとよばれるサマリア地区自治組織が運営している。その代表ヨシ・ダガン氏は、地域に駐留するイスラエル軍を訪ね、これは外部から来た少数のグループによるものであり、イズハル住民、ショムロン住民は、軍に敬意と感謝を忘れていないと強調した。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5610159,00.html

これらのヒルトップ・ユースは、主に、ユダヤ教超正統派で、厳しい律法遵守とトーラーの学びのみの毎日から落ちこぼれ、行き場を失った若者たちで、ユダヤ人過激右派らが集め、こうした行為を行わせているとも言われている。

超正統派の生活に疑問を持ち、そこから離脱するユダヤ人は、イスラエルの中央統計局によると、年間8-10%にも及んでいるという。

https://www.youtube.com/watch?v=Ketwp_WYu2k&t=8s
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アメリカ仲介:クルド自治区侵攻のトルコが停戦合意へ 2019.10.21

 2019-10-21
<これまでのまとめ>

シリア北部のクルド自治区への侵攻予告を受けて、トランプ大統領が、10月6日、その地域に駐留する米軍1000人を撤退させると発表すると発表。その2日後の8日、トルコは、シリア北東部、ユーフラテス川東のクルド自治区へ進軍を開始した。

トルコ軍は、480キロにもおよぶシリアとの国境からシリア側32キロ地帯を安全地帯にするため、クルド人勢力YPGを一掃するとして、この地域への激しい攻撃と進軍を開始した。

クルド人たちは、「アメリカはクルド人を見捨てた」と非難しながら、いっせいに撤退、逃亡したが、空爆などの激しい無差別攻撃で、8日後の18日までに一般市民も72人が死亡。難民となった人々は、30万人と推測されている。クルド人の民族浄化になるのではないかと世界は懸念した。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50091305

問題は、この地域が、ISを追放してクルド自治区になった地域であったため、多数の元IS関係者捕虜やその家族の収容所が存在するという点である。トルコ軍侵攻による混乱で、それらの施設が見捨てられ、すでに800人以上のISが解き放たれ、逃亡したとみられる。

世界は、クルド人を見捨てたアメリカ、トランプ大統領を大非難したが、かといって自ら介入し、クルド人を助ける国はひとつもないわけである。クルド人勢力は、予想されていた通り、シリアのアサド政権に救援を要請した。

要請に応じ、シリア軍は、14日、ユーフラテス川東北部タル・タマールに駐留を開始した。シリアによると、この動きは、ロシアの承認を受けていると表明した。これにより、アメリカの権威は失墜。ユーフラテス川東に、シリア、イラン、ロシア、トルコが控える形が現実となった。

実際、クルド人たちは、ロシアにも仲介を要請。ロシアも、この件に介入してくる動きを見せはじめていた。

<アメリカの巻き返し:ペンス副大統領とポンペイオ国務長官がトルコ訪問>

米軍のシリアからの撤退は、トランプ大統領の孤立を深め、アメリカの威厳をさらに落とす結果になったが、アメリカがそのままだまっていることはない。予告通り、トルコへの厳しい経済制裁を匂わせはじめた。

そうした中、17日、ペンス副大統領がポンペイオ国務長官を伴い、アンカラのエルドアン大統領を訪問。4時間以上の協議で、アメリカとトルコが、停戦への合意に至ったと発表した。

詳細はまだ発表されていないが、今後120時間(5日間)を停戦とし、トルコはクルド人たちへの攻撃をいったん停止するという。その間に、YPGとクルド人たちは、国境から32キロまでの地域から撤退を完了する。それを見届けたら、恒久的な停戦に入るということである。

この合意により、アメリカは、トランプ大統領が予告していたトルコを破壊するレベルの経済制裁は行わないことになり、トルコへの侵攻の責任も追及しないということで合意したもようである。

ペンス副大統領は、記者会見において、「アメリカはトルコの軍事行動には同意しないが、安全地帯設立については、これまでからも合意していた。」とし、ともかくも人命を守る事が先決とだけ述べた。

合意を発表するペンス副大統領の顔が、これまでになく緊張しているようにも見えたのが印象的であった。

ポンペイオ国務長官は、エルドアン大統領との会談が終わるとその足でイスラエルへ移動。18日朝、ネタニヤフ首相とシリア問題について会談し、アメリカとイスラエルに同盟関係継続を確認。その後、ブリュッセルに向かい、NATOのストルテンブルグ事務総長と会談する予定である。

https://www.timesofisrael.com/pompeo-lands-in-israel-for-meet-with-netanyahu-talks-on-syria/

*NATO(北大西洋条約機構軍(対ロシア西側連合)の動き

NATOとは、主にロシアなど、民主主義とは異なる勢力に対抗する西側諸国の連合軍のことである。トルコはその一員だが、今回のように勝手にシリアに攻め込み、ロシアの勢力を中東に招き入れる結果を作ることは、許容されることではない。

特にこの攻撃により、IS関係者が逃亡しており、ISに参加していたアメリカやヨーロッパ出身者たちが、帰国してくる可能性が出てきている。

ストルテンベルグ・NATO事務総長は、トルコがNATOの一員であることには変わりなく、今回のことも乗り越えられると思う。しかし、トルコが徐々にロシア側へスライドし始めていることは否定できないだろうとの見解を語っている。

<今後どうなる・・?:進む米軍撤退とすでに壊れ始めた合意>

アメリカが、危機一髪で、ロシアより先に仲介の旗を上げたことはよかったかもしれない。しかし、野党民主党員で下院議長のナンシー・ロペシ氏が指摘するように、この仲介がただのみせかけで終わる可能性も否定できないと指摘した。

だいたい、クルド人勢力が、裏切られたと思っているアメリカの策に乗って、完全撤退に応じるはずはなく、戦闘が再開される可能性は高い。そうなれば、今回の合意で、アメリカが、トルコが安全地帯を作るというトルコの”正義”に合意した以上、次に出す手がなくなってしまうだろう。

そうなれば、トルコは、アメリカの経済制裁回避は得た上で、クルド人たちを攻撃するということになる。

実際、停戦が始まってから2日目、シリア北部タルアブヤドで、(トルコの主張によると)クルド人の攻撃で、トルコ軍兵士1人が死亡。1人が負傷した。クルド人勢力(クルドシリア民主軍)はこれを否定している。

トルコのエルドアン大統領は、トルコ軍兵士が死亡したことを受けて、”テロリストの頭を砕く”と、クルド人を徹底的に排斥する意向を強調。トルコが軍事行動をいつでも再開する流れになりはじめている。

またトルコは、アメリカが責任を持って、クルド人を撤退させるべきだとも言っている。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50108417?intlink_from_url=https://www.bbc.com/news/world/middle_east&link_location=live-reporting-story

こうした中20日、アメリカ軍主要部隊(車両70台コンボイ)は、予定通りシリア北部の要所を離れ、イラク領内にまで撤退を完了した。今後クルド人が頼れるのはシリア、そしてロシアということになり、いよいよロシアが介入してくる可能性が高まっている。

<石のひとりごと:福音派の活躍と反発>

中東の混乱が増す中、アメリカの2人の使者が動き回る姿は、黙示録に登場する2人の証人を彷彿とさせるところだが、奇しくも、ペンス副大統領とポンペイオ国務長官は、2人とも、福音派クリスチャンである。2人はそれを公にしている。

ポンペイオ国務長官は、11日、国務長官の立場で、「クリスチャンのリーダーとして」というようなことを述べ、政教分離の基本理念に反しているのではないかとの物議となった。

https://www.timesofisrael.com/us-secretary-of-state-delivers-contentious-speech-on-being-christian-leader/

ポンペイオ国務長官の発言は、クリスチャンカンセラー協会の会議での発言であるので、特に問題はないはずだが、その場が、国務省主宰であり、国務長官という公の立場であったため、違和感を感じた人もいたわけである。

これはいいかえれば、ポンペイオ国務長官が、本当に公にキリストを認めているということを意味する。これはペンス副大統領も同じである。世界からの孤立を深めるトランプ大統領とこの2人のクリスチャンの動きは、非常に興味深いところである。

別件になるが、世界では、同じく福音派クリスチャンであることを公にしているエチオピアのアビー・アハメド首相(43)が、ノーベル平和賞を受賞した。アハメド首相は、父はイスラム教、母はエチオピア正教だが、自身はプロテスタントである。

内政でも外交でも、あちこちで和解を実現したことで、今回の受賞となった。

https://www.christiantoday.co.jp/articles/27284/20191012/ethiopia-pm-abiy-ahmed-nobel-peace-prize.htm (日本語)

現実の世で、クリスチャンたちが実質的な貢献もしている姿に励まされるとともに、特に今は、アメリカ政府でトランプ大統領を支えるペンス副大統領、ポンペイオ国務長官という2人の兄弟を覚えて祈る時であろう
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トランプ大統領:サウジアラビアに米軍3000を派遣へ 2019.10.21

 2019-10-21
リアからの撤退を決めたトランプ大統領だが、米防衛省からの情報としてTimes of Israelが伝えたところによると、中東全域でみれば、14000にまで戦力を増強している。11日、ペンタゴン(米国防省)は、サウジアラビアに、米軍3000を増強すると発表した。

2基のパトリオット迎撃ミサイル、THAAD弾道ミサイル迎撃ミサイルシステム、2飛行戦闘部隊、1遠征部隊などがサウジアラビアに配備される。

これは、先月、サウジアラビアの油田が攻撃され、さらにその後、サウジ沖でイランのタンカーがミサイルによるものと思われる攻撃を受けて地域の緊張が急速に高まってきたからである。

サウジアラビアの油田攻撃については、イランは否定。イエメンでサウジと戦っているフーシ派(イラン背景)が、この油田を含めサウジの油田3分の1を破壊したと主張したが、サウジアラビアはじめ、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスは、イランによるものであると言っている。

https://www.timesofisrael.com/us-deploying-3000-more-troops-to-saudi-arabia-to-boost-air-defenses/

フーシ派はイランのバックアップで戦っているので、いずれにしても攻撃はイランということである。

トランプ大統領は、サウジアラビアは、対イランにおける大事な同盟国だというと同時に、貿易において、かなりのお得意様であると説明。

また、「よーく聞いてくださいよ。」といいつつ、「なんと、私の要請に応じ、サウジに駐留する米軍の費用は、全部サウジが負担してくれることになった。」と発表した。

https://www.reuters.com/video/2019/10/11/trump-says-saudi-arabia-will-pay-the-usf?videoId=611590123

<変化するサウジアラビア>

サウジアラビアは、厳格なイスラム主義国で知られてきたが、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の登場で欧米化がすすんでいる。

女性に運転を認め、今回は、観光客を受け入れるビザを発行することを決めた。とはいえ、服装の規則始め、政治的会話も禁止、アルコール禁止などの規則はそのままである。

また男性と女性が同席することも最低限となっているが、今回、ようやく外国人夫婦に限りホテルで一緒に滞在をに認めたとのこと。普通の旅行とはだいぶイメージが違うようである。

しかし、BBCによると、サウジアラビアには、他に類をみない風景や遺跡が魅力だとのこと。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50013068

エゼキエル38章では、シェバやドタンと表現されているのが、サウジアラビアの地域で、終末におけるイスラエルへの攻撃には加わっていない国であるとみられている。

<レバノンで大規模反政府デモ:ヒズボラ(イラン)台頭の可能性は?>

変化が続く中東だが、レバノンで、ベイルートなど全国の都市で、大規模な反政府デモが続いている。原因は、ワッツアップなどの通信関係で新たな課税が決められたことからである。

レバノン政府は、すぐにこの課税を撤回すると発表したが、デモは、広く反政権デモへと発展。群衆となり、「革命だ」と叫んでいる。デモに参加している市民たちは、日常生活がいっこうに楽にならないとして、政府に根本的な政治改革を求めているのである。

BBCによると、レバノンは、多額の借金を抱えており、このままだと、今年末には、借金が、GDPの150%にまでふくれががってしまうという。電気の供給も滞るようになっている。

ハリリ首相は、ただちに、政府役人の給与を半分にするなどの改革案を提示。政府には3日以内に合意するよう要請を出した。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50118300

ところが、デモが発生するとまもなく、レバノンのキリスト教(マロン派)政党が、「今の政府は、この危機を解決できない。」として、連立から離脱すると発表した。

レバノン政府は、イスラム教シーア派、シーア派過激ヒズボラ、スンニ派、キリスト教と群雄割拠状態であるが、今は、大きくヒズボラの政党に牛耳られている。アウン大統領も親ヒズボラで知られている。

その中で、ハリリ首相は、スンニ派の首相として、これまで綱渡りを続けてきた。この状況の中、2017年、ハリリ首相は、個人的に友好関係にあるサウジアラビアを訪問した際、そこから辞任を表明したことがあった。

この時は、フランスの仲介で、ハリリ首相はレバノンに帰国。復帰して、今にいたるまで首相を続けていた。しかし、今回、大規模なデモを受けて、再び辞任をちらつかせているという情報もある。

レバノンが混乱する中、シリアに続いて、レバノンでもヒズボラ、つまりはイランがが台頭してくることがないか、懸念されるところである。
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ロシアで拘束のイスラエル人女性をめぐって 2019.10.21

 2019-10-21
中東が大きく変化する中、アメリカとロシアの力関係も変わりつつある。イスラエルもサバイバルをかけて、米露との関係を中心に、外交の駆け引きを続けている。そうなると、捕虜などで国民がとられた場合、それが駆け引きに使われることになる。

今年4月9日、アメリカ国籍で、イスラエル人でもあるナアマ・イッサカルさん(26)が、モスクワ経由でインドへ旅行した帰り、モスクワで、カバンの中にわずか9.6グラムの大麻が発見され、逮捕された。

ナアマさんは、麻薬密輸犯として、7年半の実刑判決を受け、そのままモスクワに拘留されたままになっている。

ナアマさんは、大麻がカバンに入っていることを忘れていたという。しかし、9グラムといえば、スティックシュガーほどの量で、イスラエルでは、医療用などで大麻を合法化する道も開かれ始めている。

しかも、モスクワには、トランジットで立ち寄っただけで、ロシアに麻薬を密輸するという道理もないわけである。イスラエル政府は、この判決が重すぎるとして、ロシアにナアマさんの身柄を引き渡すよう、要請した。

するとロシアは、2015年にイスラエルで拘束されたロシア人ハッカーのアレクセイ・ボルトブとの交換だと返答した。ボルトブは、クレジットカードのハッキングで、主にアメリカ人から莫大な金を奪い取った人物。イスラエルの最高裁は8月、ボルトブをアメリカへ移送することを決めた。

しかし、ロシアは、イスラエルにボルトブの身柄引き渡しを要求していた。イスラエルはこれを断っていたが、今、ナアマさんが、ボルトブとの交換に利用された形である。

https://www.timesofisrael.com/israel-hoping-woman-jailed-in-russia-will-be-freed-by-putin-visit-in-january/

ナアマさんの母親ヤッファさんは、政治的な策略で娘はスケープゴートにされるということだと思うと語り、一刻も早く娘をとりもどしてくれるよう、政府に要請した。

この件については、先にネタニヤフ首相がモスクワを公式訪問した際にも、プーチン大統領に要請が出していたが、受け入れられなかった。ネタニヤフ首相は、家族からの要請を受け、先週、再度プーチン大統領に要請を出した。

リブリン大統領も、プーチン大統領に、「ナアマは、間違いを犯したし、本人もそれを認めています。しかし、彼女には犯罪記録はないし、まだ若いうちにこうした判決を受けて、人生に及ぼす影響は大きいと思います。」と語り、恩赦を求めた。

https://www.timesofisrael.com/rivlin-pleads-with-putin-to-pardon-israeli-woman-jailed-in-russia/

プーチン大統領は、来年1月、アウシュビッツ解放75周年(旧ソ連軍が解放)を記念する式典のために、イスラエルを訪問することになっている。ナアマさんはこの時に返還されるのではないかと期待されている。

イスラエルは、期待にはずれてアメリカがシリアから撤退。ロシアがナアマさんを返還しないなど、ネタニヤフ首相が、頼りにしてきた米露との関係に影が及んでいる様子に、ネタニヤフ首相の外交の結果を疑う記事もある。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5608395,00.html

<石のひとりごと>

イスラエルは、今日はまだ例祭最後の国民の休日で、エルサレムの町も静かで平和そのものである 。イスラエルをとりまく中東情勢、内政も複雑で緊張が高まっているのではあるが、それとはほぼ無関係に、人々は平和を享受している。

しかし、この平和が当たり前でなく、いつ崩れてもおかしくないことは、だれもが承知の上である。心と実際の準備は、みなそれぞれの責任で覚悟している。

日本では、イスラエルのような戦争はないのだが、災害という大きな敵がやってくる。イスラエル人に学び、心を含めてできる限りの準備を行い、実際に難が来たときには驚かず、あわてず、周囲を助ける余裕を持っておきたいと思う。

今被災地で支援活動を行っているすべての働きの上に主のお導きと祝福を祈ります。
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トルコがシリア東北部へ侵攻開始:イスラエルの反応は? 2019.10.11

 2019-10-11
トランプ大統領が、シリア北部から米軍を撤退させると発表して約48時間後の10日早朝、トルコが、ユーフラテス川東川を含むシリアとの国境、約300キロ全域で、ロジャバとよばれる西クルド自治区への侵攻を開始した。

戦闘機による空爆は、少なくとも6都市、181箇所に及ぶ。これまでに少なくとも市民11人が死亡。数十人のクルド人戦闘員、SDF(自由シリア軍)戦闘員の死亡が報告されている。(トルコの報道では、トルコ兵1人と、クルド人戦闘員277人死亡となっている)

https://www.timesofisrael.com/turkey-reports-first-military-fatality-in-syria-incursion/

この地域には200万人とみられる人々がいるが、トルコの攻撃でパニックとなり、わずかな荷物とともに車で、多くは大荷物をかつぎ、子供たちを連れて歩いて脱出する様子が伝えられている。多くは、シリアで8年続いた内戦で、すでに難民となっていた人々である。

トルコの侵攻以来、すでに6万人が難民になったとの報告があるが、今後100万人規模で難民が発生する可能性も懸念されている。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50011468

トルコ空軍による空爆は、クルド人が管理していた元IS戦闘員らの収容所にも及んでいるもようで、最も危険とされるISメンバーが、脱出した可能性も指摘されている。

*西クルド自治区のIS関連収容所

クルド自治区には、ISとの戦闘で捕虜としたIS戦闘員とその家族ら数千人が、各地の収容所に入れられている。海外から来ているメンバーも少なくないが、今となっては、この人々を受け入れる国はない。まさに行き場のない囚人となっている。

トルコのエルドアン大統領は、世界中からの非難を受ける中、これはトルコ南部にトルコに対する危険なテロの回廊ができるのを防ぎ、地域の平穏を保つものだと主張。作戦を「平和の泉」と呼んでいる。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5604990,00.html

<西クルド自治区とは?:なぜトルコが攻撃するのか>

まずクルド人は、トルコ、シリア、イラク、イランにまたがる形で住んでいる。クルド人の国として独立国になる夢はあるが、なかなか実現するものではない。

シリア内戦中、シリアのクルド人勢力(シリア人口の7−10%)は、シリアの反政府勢力であるFSD(自由シリア軍)と米軍、水面下では敵であるアサド政権軍ともなんらかな協力をとり、ISと戦った。

IS領域を奪回する中、内戦でアサド政権が弱体化していたこともあって、クルド人の領域が、シリア領の30%を占めるまでに拡大し、ユーフラテス川東に安定したクルド自治区を形成するに至った。これを、イラクのクルド自治区に対して西クルド自治区(ロジャバ)ともよばれる。

このクルド自治区は、中東の中ではめずらしく、民主的な政治運営がなされており、クルド人だけでなく、アラブ系イスラムのほか、キリスト教徒やヤジーディなど、様々な人々が政治に参加するシステムを持つ非常にユニークな地域である。イスラエルとも友好関係にあり、ユダヤ人でクルド人勢力に混じって戦った人もいるほどである。

この西トルコ自治区がトルコに取って問題になるのは、クルド人勢力の中のYPGというグループである。YPGは独立をめざして、トルコ国内でも武力闘争を行ってきたため、トルコは、YPGをテロ組織とみなしている。

そのYPGが中心になっている西クルド自治区が、広く480キロにわたってトルコ南部と国境を接していることにトルコは、かねがね危機感を持っており、2018年にもアフリーンへの攻撃を行っていた。

また、今トルコが侵攻している地域は、アメリカとも合意の上で、シリア難民のための安全地域を設立する計画がすすめられていた地域である。

トルコとしては、この国境地域からYPGを追放したあとに、安全地域を確立し、トルコにいる360万人にものぼるシリア難民を、そこへ帰国させたいのである。

しかし、この地域には、YPGだけでなく、一般のクルド人の他、すでに多数のシリア難民や、ISの捕虜とその家族がおり、多くの人々が巻き添えになることはさけられないということである。

https://www.bbc.com/news/world-europe-49719284

<なぜアメリカは撤退を決めたのか>

トランプ大統領は、トルコとシリア国境(シリア側)に沿った安全地帯を設立することには賛成し、米軍もこれに協力していた。ところが、10月6日、エルドアン大統領が、この地域へ侵攻するとトランプ大統領に伝えてきた。理由は上記の通りである。

トランプ大統領は、これには同意せず、「これは”よくない動き”だ。アメリカはこんなエンドレスの戦いに巻き込まれるわけにはいかない。そんな戦争のために米軍兵士を犠牲にするわけにはいかない。」として、米軍を撤退させると言ったのである。

一方で、トランプ大統領にしても、トルコの申し出は、撤退へのよい理由になったとみえ、「戦争するなら勝手にやってくれ。それなら今後、その地域にいるISの捕虜とその家族についても、トルコが責任を持って対処するように。」

「クルド人は、我々とともに戦う中で、これまでに十分武器の供与を受けてきた。これからは、トルコ、ヨーロッパ、シリア、イラン、イラク、ロシアとクルド人でなんとかすることになるのだ。」と言い放って、アメリカは、さっさと手を引いたということである。

トランプ大統領に一理がないわけではない。しかし、広い視野で見た場合、アメリカ軍がここから撤退することは、事実上、同盟として戦ってきたクルド人を見捨てるとともに、多くの難民達を見捨てることになり、さらには中東情勢を大きく変えることになる。

現時点で、すでにどの程度のアメリカ軍がこの地域から撤退したのかは不明だが、もし本当に全部撤退した場合、ユーフラテス東側のをロシア、イラン、トルコにギフトとして与えることになると指摘されている。

<クルド人勢力:ロシアに仲介要請>

トルコからの攻撃を受け、一般のクルド人たちの組織(Autonomous Administration of North and East Syria)は、国際社会に対し、アメリカが中心の連合軍に対し、ただちに国境をノーフライゾーン(戦闘機が侵入できない空域)を設定するよう要請を出した。

しかし、アメリカがすでに撤退を表明していることから、クルド人武装勢力は、ロシアに、シリアのダマスカスにおいて(つまりはシリアの合意のもとということ)、トルコに攻撃をやめるよう仲介を要請を出した。

後者の場合は、西クルド自治区(ユーフラテス川の東)が、いよいよロシア、イラン、シリア(アサド政権)、トルコ側へ移行していくことを意味する。

<ロシアの反応:トルコに青信号も期間限定を要請>

トルコのエルドアン大統領は、シリア北東部への侵攻前にトランプ大統領に電話連絡したが、ロシアのプーチン大統領にも電話していたという。プーチン大統領は、侵攻するなら最小限にとどめるよう伝えたという。

もしトルコの動きに歯止めがかからない場合は、ロシアの権限で、国境の安全地帯をノーフライゾーンにすることも可能である。

ロシアにとっては、この地域からアメリカを撤退させることができ、もしロシアの仲介によって、トルコの動きを制することができたら、ロシアにとっては、政治的なプラスになっていく。いまや、中東ですべての国と対話できるのはロシアだけとなっている。

https://jp.reuters.com/article/russia-middleeast-turkey-idJPKBN1WQ0F0

<イランはトルコとの国境付近で軍事訓練>

イランのロウハニ大統領は、トルコにシリアへの侵攻をやめ、撤退するよう要請する声明を出した。

イランは、トルコがシリアへ侵攻するとまもなく、イランとトルコとアゼルバイジャンとの国境、クルド人居住地に近い地域で、突然、大規模な軍事訓練を開始した。イランは、あらゆる状況に備えるためと言っている。

イランにとっては、ユーフラテス川東から米軍が撤退することは有利であるかもしれないが、同時に、国内でクルド人勢力がどう動くのかにも警戒しているのかもしれない。

<EU・国際社会の反応>

トルコのシリアへの侵攻は世界中が非難している。特にEUは、トルコ経由で地中海を越えてヨーロッパに流れ込んでいたシリア難民をトルコで足止めしてもらうみかえりとして、66億ドル(約7000億円)を支払っているEUにとっては穏やかなことではない。

EUは、トルコの非人道的な攻撃を非難するとともに、危ないISメンバーが野放しにされることへ強い危機感を表明している。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5604990,00.html

しかし、アメリカ抜きでの連合軍では全く無力であるし、国連はもっと無力で、国際社会にできることはなにもないというのが現状であろう。

<イスラエルはクルド人を見捨てない?:イスラエルの懸念>

イスラエルはクルド人勢力とは友好関係にあり、これまでにも水面下での支援を行っていたといわれている。

トルコのシリア北東部への侵攻を受け、イスラエル軍予備役兵ら数十人が、フェイスブックに、イスラエルは、クルド人への人道支援ならびに、情報、軍事支援をするべきだとの意見を投稿した。

その数時間後、ネタニヤフ首相は、ヨム・キプール戦争に記念式典で、「クルド人はイスラエルとは友好関係のある。ネタニヤフ首相は、イスラエルはクルド人を見捨てず、人道支援を行う。」と発表した。

しかしながら、イスラエルがどのように支援するかは、報道されないであろうし、実際のところ、それを実行するかどうかも不明である。

また、ネタニヤフ首相は、無難にアメリカがクルド人を見捨てたというような非難は盛り込まず、あくまでもアメリカとは友好な関係は維持すると強調した。一方で、ロシアとの連絡も怠っていないだろう。

https://www.jpost.com/Israel-News/Dozens-of-reservists-call-on-Netanyahu-Kochavi-to-help-Kurds-604235

アメリカがシリアから撤退し、クルド人という同盟をも失うことは、イスラエルにとっては、大変危険なことである。しかし、それ以上に危惧されることは、トランプ大統領が、今回の決断で、いよいよ世界から嫌われ孤立することである。

イスラエル側に立つと目されるトランプ大統領が、世界から孤立するということは、それはそのまま、いや倍増する形で、反イスラエル感情につながっていく可能性があるからである。
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